転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件 作:友(ユウ)
【Side 三人称】
―――
そこは地球上で初めてBETAのハイヴが作られた場所であり、現在ではオリジナルハイヴとも呼ばれている喀什ハイヴ。
その場所は現在、唯一存在する建造物はハイヴの巨大なモニュメントだけであり、
他は人の文明の痕跡は疎か、草木一本すら生えていない平坦な荒野が広がり、BETAが闊歩しているだけの場所だった。
だが……………
突如として多数の光線級が上空に向けてレーザーを照射し始めた。
その特性に従い、感知した飛翔体を撃ち落すためだ。
この光線級が居る限り、航空戦力は無意味と化した。
しかし…………
レーザーの照射先、空の彼方から、レーザーを物ともせずに何かが急降下して来た。
それは、火の鳥であった。
火の鳥はそのままモニュメントの上部に飛び込むと、そこからモニュメントの表面に罅が入り、それが瞬く間にモニュメント全体。
そして内部のハイヴにまで広がる。
更に横方向に張り巡らされたドリフトの範囲内の地上部分に無数の罅が走った。
その数秒後、罅を中心に地面が膨れ上がる様に隆起すると、内部から超高エネルギーが炸裂。
ハイヴ全体がBETA諸共、大破壊に飲み込まれながら崩れ去った。
破壊されたハイヴの跡地から火の鳥が不死鳥の如く飛び立ち、空へと帰っていく。
その先には、白き巨神―――キングジェイダーが存在していた。
不死鳥はキングジェイダーの突き出された右腕に戻っていくと、巨大な錨となった。
不死鳥は、キングジェイダーの放ったジェイクォースだったのだ。
「残り、21」
キングジェイダーはそう口にする。
「オリジナルハイヴが一発で…………」
キングジェイダーの頭部、ジェイアークの艦橋の玉座に腰掛けながら、晴子が感慨深く呟く。
そして、艦橋に居るのは晴子だけではない。
「す、凄い…………」
「なんとまぁ………」
呆然と呟くA-01部隊の面々。
そして、
「私達の今までの苦労は一体何だったのかしら………?」
夕呼が呆れたように呟く。
因みに日本からオリジナルハイヴに来るまでにあった2つのハイヴもついでの如く破壊されていた。
因みに他の面々が立っているのに晴子が玉座に腰掛けている理由は、ジェイの意向であった。
この玉座はアルマ専用。
故に、アルマである晴子以外は座ることを許されないとの事。
すると、キングジェイダーは次のハイヴの方向を向き、
「ジュエルジェネレーター! 出力全開!!」
『リョウカイ!』
ジェイの号令によりキングジェイダーの推進装置、メガ・インパルスドライブが火を噴き、その巨体を凄まじいスピードで飛行させる。
瞬く間に次のハイヴへ移動すると、
「十連メーザー砲!!」
両手の指先から放つメーザーでハイヴを破壊。
「残り、20」
地球上の残りのハイヴ数を告げると、再び次のハイヴへと飛び立った。
キングジェイダーの快進撃は続いた。
あるハイヴは十連メーザー砲で吹き飛ばされ、
「残り、13」
またあるハイヴは反中間子砲で分子レベルで粉々にされ、
「残り、7つ」
そして、またあるハイヴはジェイクォースで粉砕された。
「残り、あと1つ!」
そして残すは、ソ連領にあるH26『エヴェンスクハイヴ』を残すのみとなった。
【Side Out】
俺はキングジェイダーで最後のハイヴ、エヴェンスクハイヴへと近付く。
そこで俺は不思議なことに気付いた。
「む………? レーザー照射が来ない?」
今までのハイヴは、ジェネレイティングアーマーを突破できなかったにせよ、必ずレーザー照射を受けていた。
しかし、最後のハイヴは射程圏内まで近づいてもレーザーが照射されなかった。
「そういえば、このエヴェンスクハイヴだけは今のところ光線級が確認されていなかったわね………」
俺の疑問に答えるように、艦橋で香月博士が呟いた。
「光線級が確認されていない………?」
怪訝に思いながらも、俺はハイヴに近付いていく。
その時、
『チジョウニ高えねるぎーハンノウヲ感知。れーざー属シュトオモワレル』
「ッ………!?」
「何ですって!?」
トモロの報告に俺と香月博士が驚愕する。
その瞬間、俺は悪寒が走り、
「ジェネレイティングアーマー! 出力全開!!」
『リョウカイ』
俺は咄嗟に防御姿勢を取った。
次の瞬間、今までとは比較にならない出力のレーザーがキングジェイダーを襲った。
「ッ……!?」
十分に耐えれる威力ではあったが、
『じぇねれいてぃんぐあーまー、ヤク5ぱーせんと減衰』
「何っ!?」
トモロからの報告に俺は耳を疑った。
今までのレーザー攻撃はいくら受けようともジェネレイティングアーマーの減衰率は1%未満だったはず。
それが5%も減衰したという事は、少なくとも重光線級の10倍以上の出力が出ていることになる。
すると、
「ジェイ、悪いんだけど、今の攻撃の正体を突き止めてくれない? 地球上のハイヴはこれで最後でも、情報は必要よ」
香月博士が情報収集を要請してきた。
「了解した」
俺は頷く。
俺としても、今の攻撃の正体は気になっていた。
俺はキングジェイダーを地上に向けて降下させていく。
すると、ハイヴのモニュメントの近くに要塞級と同等以上の大きさをした、見た事のないBETAが存在していた。
「あれは………?」
「未確認種ね」
香月博士が呟く。
「ジェイ、あいつと少し戦ってみて。なんでもいいから情報を集めたいわ。呼称は……そうね、一先ず超重光線級とでも呼びましょう」
「超重光線級………」
俺は、その超重光線級に近付く。
その超重光線級は3本の突き出た突起の先に、それぞれ3つのレーザー照射膜を持っており、合計9つのレーザー照射膜があることになる。
すると、その9つのレーザー照射膜からまるでガトリングの様にレーザーを放ってきた。
とはいえ、先程のような出力は無く、通常の重光線級と同レベルのレーザーだったので問題なく防げている。
だが、
「照射のインターバルが約0.2秒? とんでもない連射速度ね。それに、周りにいる光線級のインターバルも短くなってるから、何かしらの非接触型のエネルギー補給能力でもあるのかしら?」
この世界の人間にとって、その事実は驚異的だった。
「ジェイ、もっと近付いてみて、近距離での反応を知りたいわ」
俺は香月博士の指示通り、超重光線級に近付いていく。
すると、超重光線級の下部にある複数の膨らみや、足の付け根にある無数の黄色の粒に見えた場所から触腕が伸びてきた。
その触腕の先には衝角があり、キングジェイダーに殺到してくる。
それでもジェネレイティングアーマーは破れないため、無傷で済んでいるが。
「あの黄色いのは全部小型衝角触腕ってわけ? 近接戦には無類の強さを発揮するわね」
香月博士が呆れたように呟く。
更に、中央の主体節下部に要塞級と同等の大型衝角触腕があり、それを伸ばして攻撃してきた。
とはいえ、それもジェネレイティングアーマーに弾かれたが。
「ジェイ、もういいわ。データは十分だからやっちゃいなさい!」
「その言葉を待っていた!」
香月博士の言葉に俺は待ち兼ねたように声を漏らすと、
「はぁあああああああああああああああっ!!」
右の拳を超重光線級の胴体に叩きこみ、
「五連メーザー砲!!」
超重光線級の体内でメーザー砲を撃ち放った。
内部から膨れ上がり、破裂するように粉砕する。
そして、
「ジェイクォォォォォォォス!!」
ハイヴに向かってジェイクォースを放つ。
火の鳥が羽搏いて一度上昇すると、モニュメントの頂点から飛び込むようにハイヴを蹂躙する。
今までと同じように罅がハイヴ中に広がり、爆発と共にハイヴを地球上から消し去った。
「フュージョンアウト!」
キングジェイダーからメガフュージョンの逆回しの様に変形し、ジェイアークとなる。
「ジェイアーク!」
俺は融合を解除し、指揮壇の上に降り立つ。
「地球上のハイヴ、残り0。目的は達成した。横浜基地に帰還する」
俺はそう宣言すると、ジェイアークが横浜基地に向けて発進した。
数日後。
世界中のハイヴが突如破壊されたことで、世界中がてんやわんやしていた。
キングジェイダーは、地球のセンサー関係には全く探知されないため、残っている記録は人工衛星からの僅かな望遠映像ぐらいだろう。
そして、年が明けた今日のある時。
空に突然空間の歪みが生まれ、ESウインドウのような空間の穴を作り出した。
俺は横浜基地の訓練場でそれを見て、
「………あれが別世界への入り口か………」
そう察した。
何となくだが、俺達があの穴に入らない限り、あの穴は延々と広がり続け、地球すらも飲み込んでしまうだろうと感じた。
「ハル…………」
「うん、覚悟はできてるよ、ジェイ」
傍らにいたハルが頷く。
すると、A-01部隊の面々や香月博士がやってきた。
「行くのね………?」
「はい。お世話になりました」
「お礼を言うのはこっちの方よ。あなたのお陰で、この先人類は、50年は確実に生き延びれる。その間に技術の進歩が進めば、太陽系からBETAを駆逐することも夢ではないわ」
「そうですか」
俺がそう言うと、上空にジェイアークが現れる。
空間の入り口が現れた時点で呼んでおいたのだ。
「では………俺達は行きます」
「皆………私だけ逃げるみたいで悪いんだけど………頑張ってね」
俺とハルはそう言う。
俺はアーマーの入ったトランクケースを放り投げ、
「イィィィィィィィィィィックイィィィィィィィップ!!!」
アーマーを装着し、マフラーを翼にして空中に飛び立つ。
ハルも浄解モードになり、俺の後を追って飛び立った。
すると、
「総員! ジェイ特務少佐と柏木少尉に…………敬礼!!」
伊隅大尉の号令でその場の全員が一糸乱れぬ敬礼をして見せた。
その様子に、俺とハルは空中で留まって振り向くと、
「「………ッ!」」
2人そろって答礼をして見せた。
数秒間して敬礼を終えると、再びジェイアークに向かって飛ぶ。
すると、
「ねえ、ジェイ。ちょっと寄り道しても良いかな?」
ハルが突然そう言うのだった。
【Side 三人称】
とある中学校。
そこに通う1人の男子生徒。
名前は柏木 太一。
晴子の弟で間もなく徴兵年齢を迎える中学三年生であった。
帝国軍ではなく国連軍に行った晴子の事をあまり快く思っていないが、彼自身はシスコンである。
今日もいつも通り授業が行われているが最近の学校教育は軍事教練の基礎課程の様になっている。
そんな折、突然空に異変が起き、教員や生徒たちが何事かと外に出て様子を伺う。
太一もその一人であった。
そんな時、
「…………太一」
太一にとって、とても聞き覚えのある声がした。
それは、
「ハルー!? 何でここに!?」
自分の姉である晴子。
だが、国連軍の横浜基地に居るはずの彼女が何故ここに居るのかと驚愕する。
すると、
「…………ごめんね太一。突然だけど…………お別れを言いに来たんだ」
晴子の口から出てきたのは、唐突で信じられない言葉。
「えっ………? お別れって………どういう意味だよハルー!?」
半ば意味を察しながらも、信じたくないのか声を荒げて問い返す太一。
晴子は困ったように笑みを浮かべ、
「言葉通りの意味かな? 多分、もう二度と会えないと思う………」
そう言った。
「二度と会えないって………なんでだよ!? ハルー!!」
その言葉を認めたくないのか、更に問いかける太一。
「………私………行かなきゃいけないんだ…………」
「行くって何処に!?」
「遠い所…………ずっとずっと遠い所…………」
晴子は空の、空間の入り口を見上げてそう言う。
「何で………何でハルーが行かなきゃいけないんだよ!?」
「…………それが………私が選んだ道だから………かな?」
晴子の言葉が全て真実だという事を察しているからか、太一は涙を浮かべている。
「ハルーッ!!」
「ゴメン…………時間も無いからもう行くね………………」
晴子は一言謝ると、浄解モードに変化する。
「ハ、ハルー!? その姿は!?」
浄解モードの姿に驚く太一。
すると、上空にジェイアークが現れた。
晴子はその場で浮かび上がる。
「最後まで自分勝手なお姉ちゃんで………ゴメンね…………」
晴子は最後に悲しそうな笑みを浮かべた。
「大好きだよ。太一………じゃあね」
晴子はそう言い残すと背を向け、ジェイアークに向かって飛んでいく。
「待って……! 待ってくれよ!! ハルーーーーーーーッ!!!」
晴子の赤い輝きがジェイアークの艦橋部分に入っていくと、ジェイアークが向きを変え、空間の入り口に向けて発進する。
「行くな…………ハルーを連れて行かないでくれよ!!」
太一はジェイアークを追いかけるように走り出すが、途中で躓いて転んでしまう。
そして、顔を上げた時には、ジェイアークが空間の入り口に入っていくところを目撃した。
「ハルーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」
太一の慟哭のような叫びと共に、空間の入り口は閉じて消え、いつも通りの青空が広がるのだった。
【Side Out】
空間入り口を潜ったジェイアークは次元の狭間らしき場所を進んでいた。
「…………あれでよかったのか? ハル」
落ち込んだ様に俯いている彼女に、俺は声を掛ける。
「うん………あまり長く話してても、別れがつらくなっちゃうし…………」
ハルがそう言いながら目じりに浮かんだ涙を拭う。
「…………………すまん」
俺が謝ると、
「謝らないで! これは私が選んだ道だから! アルマになった時から、どんな事があっても私はジェイと一緒に居ることを誓ったから!」
「ハル…………」
俺はハルに歩み寄り、そっと肩を抱きしめる。
ハルも俺に体を預けるように首を傾けて寄り添う。
「だからね、『柏木 晴子』の名前はあの世界に置いていくよ…………今の私はアルマの『ハル』。ジェイと共に歩むハルだよ」
「そうか…………」
俺達は前を見据える。
やがて、次元の狭間先に光が見えた。
おそらく、次の世界への入り口なのだろう。
そこがどんな世界だろうと、俺は大丈夫だと思った。
ジェイアークとトモロと、そしてハルが傍にいるのだから…………………
視界が一瞬白く染まり、次の瞬間一気に開けた。
目の前に広がったのは宇宙だった。
そこで目撃したのは、明らかに人工物と思われる無数のデブリと小惑星。
そして、その小惑星の破片に埋もれるようにして身動きが取れなくなっている戦艦と、それを狙うように進む戦艦があった。
はい、第12話ことマブラヴ編最終話です。
最後はハイヴ全滅です。
少しだけ超重光線級君に頑張ってもらいました。
ジェネレーティングアーマー5%も減衰するのはやりすぎたでしょうか?
でもって聞いたことのあるセリフを繰り返すジェイ君。
最後はハルと弟君の別れでした。
こんなんでどうでしょう?
そして別の異世界にたどり着いた所は………
次回もお楽しみに。