転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件   作:友(ユウ)

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♯16 未来の為に

 

 

ゾンダー核から浄解されたネーナと留美は、一先ずプトレマイオス2で保護することになった。

そこで、治療を終えた紅龍が留美の元を訪ねた。

 

「………お嬢様、ご無事で何よりです」

 

紅龍は付き人としての態度で留美に声を掛ける。

すると、

 

「やめて!!」

 

「ッ!?」

 

突然留美が叫んだ。

 

「そんな他人行儀な態度はやめて………お兄様………!」

 

そう言って紅龍に向けて顔を上げた留美の表情は、今にも泣きそうだった。

 

「留美…………?」

 

思わず『兄』としての言葉が出てしまう紅龍。

そして、

 

「ごめんなさい………ごめんなさいお兄様………」

 

留美は涙を流しながら紅龍に頭を下げる。

 

「何故だ!? 何故お前が謝る留美!? 謝らなければいけないのは私だ! 私に当主としての器さえあれば………!」

 

紅龍のその言葉に、留美はフルフルと首を横に振った。

 

「人は生まれを選べない…………才能だってそう…………そんな簡単な事、分かっていた筈なのに、私はそれを全部お兄様の所為にして…………!」

 

涙を流しながら訴える留美。

 

「しかし………!」

 

「馬鹿ね私…………ネーナの言っていた通りだわ…………私は多くの物を持ってた………地位も、名誉も、財産も………お兄様の持っていなかった才能も…………それに、私の我儘を怒りもせずに聞いてくれた優しいお兄様も………………」

 

懺悔するように口にする留美。

 

「留美…………」

 

「ただ………『普通』という唯一つの物を持っていなかっただけで、私は自分が不幸だと決めつけて…………私より不幸な人達なんて、世界中にいくらでもいるのに…………!」

 

「もういい留美!」

 

紅龍が留美を抱きしめる。

 

「お兄様…………」

 

「もういいんだ留美………私は、お前が無事でいてくれれば、それでいいんだ………」

 

「お兄様………!」

 

留美は紅龍の胸に顔を埋める。

そこに居たのは紛れもない妹想いの『兄』と、泣きじゃくる『妹』の姿だった。

 

 

 

 

一方、ネーナは営倉に入れられていた。

ソレスタルビーイングの面々は、ネーナの性格から営倉の中で喚き散らすかと思っていたのだが、

 

「…………………………」

 

ネーナは営倉の隅で体育座りで膝に顔を埋めているだけだった。

 

「私………何やってたんだろ…………?」

 

ネーナは自問するように呟く。

 

「にぃに達が死んで、不幸ぶって………全部持ってるくせに不幸ぶってる王 留美に嫉妬して殺そうとして……………………私自身がそれ以上の不幸をバラ撒いてたのに…………そんなの、誰も同情してくれないに決まってるじゃない…………!」

 

まるで己のしたことを後悔するように呟き続けていた。

 

 

 

 

 

「どうなっているの………これは………?」

 

プトレマイオスのブリッジで2人の様子を見ていたスメラギが呟く。

留美は憑き物が落ちたように、ネーナは性格が矯正されたように思える。

すると、ジェイから通信が入り、解説が始まった。

 

『ゾンダーのエネルギー源は素体となった人間のストレスや、怒り、憎悪といったマイナス因子だ。ゾンダーとなった人間は、マイナス因子が消費されるため、浄解された事でストレスから解放された状態になる。2人の変化はその為だ。特にネーナ・トリニティに関しては、人格形成の時点からストレスを掛けられていたようなものだからな、今の状態が彼女本来の性格なのだろう』

 

「ストレスからの解放か………それだけ聞くと悪い事だけじゃねえな」

 

ジェイの解説にラッセが呟くと、

 

『それが本来ゾンダーが生み出された理由だ。マイナス因子を無くすことで、より幸せになろうとしたんだろう。まあ、その結果がシステムの暴走によって、『知的生命体がマイナス因子を生み出すなら、知的生命体を全てゾンダーにしてしまえばいい』という結論に至ってしまったわけだが』

 

「本末転倒だな」

 

ティエリアが呟いた。

その時、

 

「暗号解析、終了しました」

 

留美から渡されたメモの解析をしていたフェルトが報告する。

 

「ポイントは、CZ9842R………月の裏側です!」

 

その言葉に、

 

「ミレイナ、超望遠カメラでポイントを」

 

「了解です」

 

スメラギの言葉にミレイナが指示されたポイントをモニターに映し出す。

しかし、そこには何もない宇宙空間が映し出されているだけだ。

 

「……………なにも無いぜ?」

 

ライルがそう言うと、

 

「…………この位置からの天体図を画像に重ねて」

 

「ハイです!」

 

スメラギが少し考え、そう指示する。

モニターの映像に天体図が重ねられると、

 

「ん? 何だ?」

 

「星の位置がズレている………」

 

「光学迷彩ね」

 

スメラギは予想通りと言わんばかりに呟く。

 

「フェルト、ズレのある距離を算出して」

 

「了解」

 

フェルトが指示通りに解析をすると、

 

「距離は………ッ!? ちょ、直径15㎞です!」

 

驚愕しながら報告する。

 

「15㎞だって!?」

 

「そこまで隠すほどの物体が………」

 

「月の裏側にある………!」

 

それぞれが驚愕していると、フェルトが通信が入っている事に気付く。

 

「ッ! スメラギさん! ラボの輸送艦より暗号通信です!」

 

フェルトが明るい声で報告すると、

 

「ママ!!」

 

「新装備が来たか!!」

 

ミレイナとイアンが嬉しそうに叫んだ。

 

 

 

 

 

「戦力になりそうなものはすべて持ってきたわ。各ガンダムのパワーアップパーツにトレミーの補給物資」

 

イアンの妻であるリンダ・ヴァスティが輸送して来た物資の説明をする。

 

「おお………おっ! Oガンダムまで……!」

 

イアンの視線の先には、第1世代ガンダムであるOガンダムの姿もあった。

 

「粒子貯蔵タンクを付けたから、一定時間の戦闘は可能よ」

 

「よし! 直ぐに搬入するぞ!」

 

「ハイです!」

 

「フフフ」

 

ヴァスティ一家が気合を入れていると、マクロス・ブレイバーの方から勇者ロボ達が飛んできた。

 

「作業のお手伝いに参りました」

 

「デカい荷物は俺達に任せとけ!」

 

氷竜と炎竜がそう言うと、

 

「おっ! 悪いな、助かるよ」

 

イアンがそう言うと、

 

「いえ……我々は人同士の戦いには力になれませんので、この位は………」

 

少しトーンの落ちた声で氷竜は言う。

 

「…………すまんな。俺達の世界の戦争に巻き込んで………話には聞いたが、アンタらは本来レスキュー用なんだろ? 戦争の手伝いなんて出来るわけもない」

 

「あなた達の行動が、より大勢の人々を救う行動だという事は理解しているつもりです。ですが………」

 

「それ以上は言わなくていい。理解してくれるだけで十分だ」

 

イアンはそう言って笑って見せた。

すると、マイクが近付いて来ると、バリバリーンから1人のパイロットスーツを着た人物が彼らに近付いてきた。

体つきからすると女性の様だ。

すると、

 

「少し良いかしら?」

 

「アンタは?」

 

女性に呼び掛けられ、イアンが言葉を返すと、

 

「私はレモン・ブロウニング。GGGの技術者よ」

 

その名前を聞くと、イアンは表情を明るくし、

 

「おお! あんたがブロウニング博士か! リヒティの命の恩人だそうだな? リヒティを助けてくれて感謝するよ!」

 

そう返した。

 

「お礼はジェイの方に言って頂戴。私は彼の指示に従っただけだから」

 

「だが、アンタが居なければリヒティも助からなかった。やはりアンタにも感謝は必要だ」

 

「そう………」

 

レモンは余り興味無さげだったが、何処か満更でもない様子だった。

 

「それで、何の用なんだ?」

 

イアンが改めて用事を聞くと、

 

「ええ。あなた達が使っている丸いサポートロボットがあるじゃない?」

 

「ハロの事か?」

 

イアンがそう言うと、

 

「そう言う名前なのね? そのハロの構造を教えてもらえないかと思って………」

 

「何故だ? あんたらの技術力は、俺達の技術力を遥かに上回っていると思うが………」

 

レモンの言葉にイアンが聞き返す。

すると、

 

「恥ずかしい話だけど、GGGには技術者と言える人間が私しかいないの。カーペンターズも居るから大きな損傷には対応できるけど、細かな調整や整備はちょっとね………今までは騙し騙しやってきているけど、流石に人手が足らないわ。だけど、あなた達は少人数の人員でガンダムの修理や調整もやり遂げている。それでハロみたいなサポートメカが居ると、頼もしいと思ったのよ」

 

「なるほど…………まあ、ハロはそこまで重要な機密ではないからな。後で仕様書を送るよ」

 

「助かるわ」

 

レモンはお礼を言うと離れていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そのしばらく前の地球。

元ユニオン領のとある区域に、1つの基地があった。

そこへ、非公式に1機のシャトルが着陸する。

そのシャトルから降りてきたのは、元AEU所属でありアロウズの指揮官であるカティ・マネキンであった。

カティは基地の内部へ歩いて行き、待っていた人物と対面する。

そして、

 

「お久しぶりです! エイフマン教授!」

 

敬礼をしながらそう挨拶した。

 

「久しぶりだねマネキン君………いや、大佐」

 

そこに居たのはユニオンの技術主任だったレイフ・エイフマン。

 

「そして、非公式に私に会いたいとは………何用かな?」

 

レイフは自分に会いに来た理由を尋ねると、

 

「我々は、アロウズ打倒の為に決起することを決意いたしました! 教授にも、力をお貸しいただきたい!」

 

「………………」

 

すると、レイフは無言で立ち上がると背を向ける。

 

「教授!!」

 

その背にカティが強い口調で声を掛けると、

 

「…………ついてきなさい」

 

レイフは静かな口調でそう言った。

 

「……………!」

 

カティは一瞬怪訝な表情をしたが、直ぐに後を追う。

すると、レイフはエレベーターに乗り込んだ。

カティも同じく乗り込むと、エレベーターは地下へと向かって降りていく。

暫く降り続けた後、目的の階に着いたのか、エレベーターは停止。

出入り口が開く。

レイフに続いてカティもエレベーターから出ると、そこは真っ暗な空間が広がっていた。

 

「ここは…………?」

 

恐らくは広大な地下施設なのだろうが、照明が点いていないため、エレベーターから漏れ出る僅かな光が頼りだったが、直ぐに扉が閉まってしまい、再び暗闇に包まれた。

その直後、

 

「……………うっ!?」

 

ガシャンと何かを動かす音が響いたかと思うと、突如として視界が明るくなり、急激な明暗の差からカティは思わず声を漏らしながら目を庇った。

やがて、徐々にカティの目が明るさに慣れてきて、ゆっくりと瞼を開けると…………

 

「………ッ! こ、これは………!?」

 

飛び込んできた光景に、カティは思わず目を見開いた。

目の前にはズラリと並んだ十数機の戦闘機達。

それを見て、

 

「これはヴァリアブル・フラッグ………!? だが、どれもVF-1とは違う………!」

 

カティはその戦闘機を見て驚きの声を漏らす。

すると、

 

「この5年で私が開発していたVFシリーズじゃ」

 

レイフはそう言う。

 

「開発………!? ですが、VFの新型機は難航していた筈では………!?」

 

カティは自分の知る情報にないVFシリーズに驚愕していた。

5年前に開発された物とはいえ、VF-1は量産機としては、今でもこの世界最高峰の機体だからだ。

 

「確かに難航していたとも………アロウズ等という力を与えてはならぬ奴らがのさばっておったからな………!」

 

レイフは当初からアロウズに対しては余り協力的ではなく、VF-1の開発もかなり渋った末の決定だった。

余りにも非協力的過ぎると、消される可能性も否めなかったからだ。

故に、新型機こそ世に出さなかったが、追加装備等は順次開発していたため、切り捨てられることは無かった。

 

「教授…………」

 

カティはレイフの思慮深さに感服する。

 

「おそらくアロウズの黒幕は、世界中のあらゆる端末にアクセスできるのだろう。故に私は、この地下施設の端末は、この施設の中だけに留め、外部とのアクセスは物理的、システム的にも一切遮断しておる。故に黒幕もこの施設の存在には気付かなかったようだ」

 

レイフはカティに振り向くと、

 

「私は待っていた。正しき志を持つ者達が立ち上がるのを………! その時の為に、密かにVFの改良、開発を進めていた………! そして………君が来てくれた………!」

 

レイフのその顔は、待ち兼ねたと言わんばかりだ。

すると、2人が来たエレベーターとは別のエレベーターの扉が開き、そこから3人の軍人が現れた。

3人はレイフの前で立ち止まると、

 

「ヴァリアブル・フラッグ試験小隊! グラハム・エーカー大尉! ハワード・メイスン少尉! ダリル・ダッジ少尉! 呼び出しに応じ、参上いたしました!」

 

敬礼しながらそう口にする。

レイフは頷くと、再びカティに向き直り、

 

「マネキン大佐。彼らとVFシリーズを君に預ける。有効に使ってくれたまえ」

 

「エイフマン教授……………はっ! 必ずやアロウズを打倒し、世界の行く末を市民達の手に………!」

 

カティの言葉に、レイフは重々しく頷くのだった。

 

 

 

 

 

 

準備が完了したソレスタルビーイングとGGGは、月の裏側へ向けて発進する。

だが、そこには既にアロウズ艦隊が集まっていた。

しかし、それこそがその場所にヴェーダが存在するという証明でもあった。

ソレスタルビーイングは艦隊を突破してヴェーダを奪還する作戦を敢行。

ガンダム各機、そしてマクロス・ブレイバーからも勇者ロボ以外が出撃する。

アロウズ側だが、指揮官であるアーサー・グッドマンはプトレマイオス2だけではなく、マクロス・ブレイバーの存在に驚愕していた。

 

「何だあれは? ソレスタルビーイングの母艦は1隻では無かったのか!?」

 

狼狽えながらそう言うと、

 

「データ照合! あれはGGGを名乗る組織の母艦のようです!」

 

「GGGだと!? おのれ………地球の情勢には不干渉を明言しておった癖に、ソレスタルビーイングと手を組むとは………! やはり奴らも地球の害悪だ!! ソレスタルビーイング共々叩き潰してやる! 先行部隊! 攻撃開始!!」

 

アーサーはそう命令を下すと、

 

「特務艦………上手くやれよ………」

 

そう小さく呟いたのだった。

 

 

 

先行部隊である3隻のバイカル級航宙巡洋艦からジンクスⅢとVF-1が発進。

ガンダムとGGGの部隊へ迫った。

しかし、アリオスガンダムがミサイルで敵部隊を追い詰め、セラヴィーガンダムのハイパーバーストで一網打尽にすると、ケルディムガンダムの援護射撃で更に数機を撃ち落し、ダブルオーライザーが撃ち漏らした敵をGNソードⅢで切り裂く。

だが、先行部隊の母艦であるはずのバイカル級航宙巡洋艦が3隻ともプトレマイオス2に向かっていた。

 

「敵艦! 減速無しです!!」

 

ミレイナが叫ぶ。

 

「特攻!?」

 

操舵手を務めていたアニューが驚愕の声を上げると、

 

「ッ……………刹那! ライザーソードで敵艦隊を!」

 

『了解!』

 

嫌な予感がしたスメラギは、刹那にトランザムライザーの使用を指示。

ダブルオーライザーが作り出した超巨大ビームサーベルが3隻を一度に切り裂いた。

爆煙の中に沈没する巡洋艦だったが、爆煙とは違う煙が周囲に広がる。

それは粒子攪乱弾と同じものであり、アロウズは巡洋艦を巨大な粒子攪乱弾として使用したのだ。

そして、この効果範囲内では、GN粒子による恩恵が著しく減衰し、粒子ビームは疎か、GNフィールドやGN粒子でコーティングしてある装甲にも影響を与え、旧世代のMSの武装でも有効なダメージを与えられてしまうほどまでに弱体化してしまう。

しかし、それは疑似GNドライブを使用しているアロウズも同じことだが、主力部隊はバズーカやミサイルといった実弾兵器を装備しており、アンチフィールドに対する備えは万全だった。

流石のソレスタルビーイングもそれには苦戦する…………はずだった。

しかし、1機のジンクスⅢがアンチフィールドの内部にもかかわらず、ビームに貫かれて爆散する。

何故なら、

 

「お生憎様。こちとらGN粒子とは別物なんでね」

 

そう言いながらビームを撃つのはニールのアシュセイヴァー。

アシュセイヴァーのビームは中性粒子ビームと呼ばれる物であり、GN粒子用のアンチフィールドでは、多少の影響はあるものの、元々の攻撃力が高いために、MS程度は問題なく貫く威力を保持していた。

更に、

 

「貫く! 止めてみろ!!」

 

VF-1がアルトアイゼン・リーゼのリボルビング・バンカーに貫かれて爆発四散する。

元より実弾兵器100%のアルトアイゼン・リーゼには関係が無く、

 

「はぁああああああああああああっ!!」

 

光の翼を広げ、大剣アロンダイトを振り回すデスティニーも、アンチフィールドなど知った事かと言わんばかりにジンクスⅢやVF-1を次々と叩き切っていく。

GGGの他の機体も、アンチフィールドには関係のない武装や近接武器で次々とアロウズの部隊を撃破していった。

 

「な、何なんだ……奴らは…………?」

 

渾身の作戦があっさりと破られていく光景に、アーサーは危機感を覚える。

すると、アロウズの部隊の側面方向から攻撃が来る。

 

「何事だ!?」

 

「部隊側面より攻撃………! これは………カタロンです!!」

 

「カタロンだと!?」

 

しかも、カタロンの武装はリニアガンやバズーカ、ミサイルと言った実弾兵器を多く装備していた。

次々と落とされていくアロウズの部隊。

更に、

 

「准将! 我が方の輸送艦が……!」

 

「輸送艦だと!?」

 

部下の報告にアーサーが怪訝な声を上げると、

 

「粒子ビームが来ます!」

 

「何っ!?」

 

部隊後方に位置していた旗艦艦隊はアンチフィールドの影響下にはなく、その攻撃で艦の一隻が轟沈する。

すると、アーサーの艦に通信が入った。

 

『アロウズ艦隊に勧告する。我々は決起する。悪政を行う地球連邦の傀儡となったアロウズは、最早軍隊ではない!』

 

それはアロウズを打倒するために立ち上がったクーデター部隊を指揮するカティからの通信だった。

 

『世界の行く末は、市民の総意によってのみ決められるものだ。我々は貴様らの蛮行を断罪し、市民にその是非を問う!』

 

アーサーはわなわなと身体を震わせると、拳を手すりに叩きつけた。

 

「あの女狐め………! 叩け! 奴らは反政府勢力だ!!」

 

アーサーは叫ぶ。

アロウズのMS部隊がカティの指揮する輸送艦に迫る。

すると、

 

「MS部隊! 攻撃開始!!」

 

その命令と共に、艦載機が発進。

そしてそれらは、レイフから預けられたVFシリーズであった。

その先頭を掛けるのは3機。

それは、

 

「とくとご覧に入れよう! このVF-5の性能を!!」

 

グラハムが叫ぶと、戦闘機形態のVF-5が急加速。

ハワードとダリルもグラハム機に追随する。

 

『な、何だあれは!? 速い!? うわぁっ!?』

 

アロウズのVF-1が殆ど何も出来ずにすれ違いざまに撃ち抜かれ、爆散する。

 

「ハワード! ダリル!」

 

「「了解!」」

 

グラハムが呼びかけただけで部下である2人は何をすべきか即座に判断すると、グラハム機にシンクロするようにMS形態に変形。

3機同時にビームライフルを放ち、巡洋艦のブリッジを撃ち抜き、無力化する。

あの後に続いてきたのはVF-5とはまた違う3機のヴァリアブル・フラッグ。

それは、

 

「不死身のコーラサワー! ただいま参上!!」

 

元AEUのエースパイロット、パトリック・コーラサワー。

戦場に現れる度にガンダムに撃墜されていた彼だが、その腕は極めて高い。

戦闘機形態のVF-1の後ろをあっさりと取ると、ビームライフルで撃墜する。

そして、後の2機は、

 

「………これがVF-4………VF-1とは桁違いの性能だ……! こんなものが1年前には開発されていたんて………!」

 

その内の1機に乗っていたのは、セルゲイの息子、アンドレイ・スミルノフ。

すると、

 

『アンドレイ』

 

もう1機のVF-4から通信が入り、セルゲイの姿が映る。

 

「父さん………」

 

『………死ぬなよ、アンドレイ』

 

セルゲイの言葉にアンドレイは不器用な優しさを感じると、口元に小さく笑みを浮かべ、

 

「……はい。私はもう間違えません………! 今度こそ、真の平和を勝ち取るために戦います!」

 

アンドレイの言葉に、セルゲイは笑みを浮かべると、真剣な表情になり、

 

『ならば往くぞ! アンドレイ!』

 

「了解!」

 

2機のVF-4は見事な連携を見せながら敵機を撃破していった。

 

 

 

 

クーデター軍の中でも頭一つ飛び抜けてアロウズのMSを墜としていくグラハムが率いるVF試験小隊。

そんな中、グラハムはソレスタルビーイングのガンダムと共に戦うYF-29の姿を発見した。

 

「あれはっ…………!!」

 

するとグラハムは一瞬俯き、

 

「………………会いたかった…………!」

 

そう呟くと勢いよく顔を上げ、

 

「会いたかったぞ!! バルキリー!!!」

 

そう叫ぶと戦闘機形態に変形し、戦闘宙域を強引に突破。

YF-29の元へと飛んでいく。

 

「ん? あれは………?」

 

アルトが猛スピードでこちらに向かってくるVF-5に気付く。

すると、

 

「久しぶりだな! 早乙女 アルトォ!!」

 

興奮した声で通信が繋がる。

 

「お前は………あの時の軍人………!」

 

「覚えていてくれたか! 嬉しいぞ!」

 

そう叫びながらも周囲のアロウズのMSを墜としていく2人。

 

「やはり私と君は運命の赤い糸で結ばれていたようだ………!」

 

「はぁ!?」

 

グラハムの物言いにアルトは思わず素っ頓狂な声を漏らした。

 

「ようやく理解した…………その圧倒的な性能に、私は心奪われた………この気持ち、まさしく愛だ!!!」

 

「愛ぃ~~~っ!?」

 

グラハムの言葉に驚愕するアルト。

すると、

 

『ちょっとアルト!! 今のどういう事よ!?』

 

シェリルから物凄い剣幕で通信が入った。

 

『そうだよアルト君!! もしかして、アルト君も3人目を!? しかも男の人!?』

 

ランカからもとんでもない通信が入る。

 

「ちょっと待て! 誤解だ! 俺は何も知らない!!」

 

慌てて弁明に入るアルト。

それでも一切被弾せず、逆に敵MSを墜としている所は流石だが。

 

「俺はっ! お前ら一筋だっ!!」

 

そう叫ぶアルト。

因みにGGGの面々からは、二股なのに一筋とはこれ如何に?と思われていたりする。

 

 

 

 

一方、セルゲイは戦いながらGGGの戦いの様子を見ていた。

5年前よりも圧倒的に性能の良いアロウズのMSを全く歯牙にかけずに撃破していく。

そして、

 

「…………ふう」

 

深いため息を吐いた。

 

『どうかしましたか? 父さん』

 

アンドレイが様子を怪訝に思ったのか、声を掛けてきた。

 

「いや…………改めて人革連時代のMSのティエレンでGGGに戦いを挑んだ我々は、大馬鹿者だったと再認識しただけだ」

 

セルゲイは、今使っているVF-4でもGGGには及ばないだろうと確信していた。

すると、セルゲイは何かに気付くと進路を変える。

 

『父さん……!?』

 

「野暮用だ」

 

セルゲイはそう言うと、視線の先に居るガンダム、アリオスガンダムの方へ向かう。

アリオスガンダムの背後から近付いてきたジンクスⅢをセルゲイが撃墜すると、

 

『ッ!?』

 

セルゲイはアリオスガンダムの背後を守る様にMS形態に変形し、牽制射撃を周囲に行う。

そして、

 

「久しぶりだな。ガンダムのパイロット」

 

『ッ! スミルノフ大佐!?』

 

アレルヤが驚きながら返事をするが、直ぐに気を取り直して攻撃を続行する。

 

『どうしてここに? まさか、スミルノフ大佐もクーデターに!?』

 

「ああ。アロウズのやり方には、私も疑問を持ち続けていたからな」

 

『そうですか………』

 

すると、

 

「所で………『彼女』は元気か?」

 

セルゲイの言う『彼女』とは、マリーの………

延いてはソーマ・ピーリスの事だ。

 

『はい。今はトレミーに居ます』

 

「そうか………約束通り戦場には出していないようだな?」

 

『彼女は最後まで自分も出撃すると言っていましたが………止めました。今はGGGも協力してくれています。戦力的には問題無いと………』

 

「そうか…………」

 

セルゲイはホッとしたような表情をする。

 

「…………これからも、彼女を頼むぞ」

 

『はい! もちろんです!』

 

その返事を聞くと、セルゲイはVF-4を戦闘機形態に変形させ、自分の部隊へと合流していった。

 

 

 

 

アロウズの旗艦では、指揮官のアーサーがイラつきを抑えられないでいた。

 

「ええい! たかが輸送艦に何をしておる!?」

 

「そ、それが、敵のMSがどうやら新型のVFシリーズらしく、我が軍のMS部隊が一方的に押されていて………」

 

「新型のVFだと!? おのれ、エイフマンの奴め……! 新型の開発は難航しているなどと謀りおって!!」

 

部下の報告にアーサーが吐き捨てる。

だが、

 

「准将! 敵艦がアンチフィールドを突破しました!!」

 

「何だと!?」

 

部下からの報告に、アーサーは絶望的な表情をする。

すると、アンチフィールドを突破して来たプトレマイオス2とマクロス・ブレイバーに先駆け、トランザム状態のダブルオーライザーが向かって来た。

 

「ガ、ガンダム………!?」

 

アーサーが狼狽えると、

 

「ダブルオーライザー! 目標を、駆逐する!!」

 

刹那のその言葉と共に、GNビームライフルの3門のビームを収束させた強力な砲撃を放った。

トランザムによって強化されていたその一撃は、旗艦の上半分を飲み込みながら貫き、爆散させた。

旗艦が沈んだことで戦いの大勢は決する。

ソレスタルビーイングは、いよいよ最後の戦いに身を投じようとしていた。

 

 

 






はい、ガンダム00編第16話です。
なんか1日で書けました。
ゾンダー化した留美とネーナのその後と、アロウズ艦隊との戦いです。
まあ、一方的な蹂躙ですけど。
負ける要素が全くないという。
そしてここで出てきた不死身さんことパトリックにグラハムさんにセルゲイさんにアンドレイまで。
そしてVFの新型。
いきなりVF-5はやり過ぎか?
後はそれぞれのやり取りを少々。
次はイノベイターとの決戦です。
お楽しみに。
明日更新できるかは分かりません。

レモンのサポートロボットはどれが良い?

  • ハロ
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  • 量産型Wシリーズメイドさん型(核爆)
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