転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件 作:友(ユウ)
Mission 01 戦場のプロローグ
ガンダム00の世界から空間ゲートに入り、世界の狭間を移動中、
「これが世界の狭間っスか………」
リヒティがマクロス・ブレイバーの操舵席で呆けた声を漏らした。
「不思議な景色ね………」
オペレーター席からクリスが呟き、
「マクロス・ブレイバーのシステム、各部正常。異常ありません」
別のオペレーター席でフェルトが報告する。
「ありがとうございます。世界の狭間を抜けた瞬間に戦闘の可能性もあります。警戒は怠らない様に」
艦長席のルリがそう言うと、
「「「了解(っス)!」」」
3人が返事をした。
「……………一気に賑やかになったなぁ」
俺はその様子を見て呟いた。
今まではルリ1人で全ての操艦を行っていたが、リヒティ、クリスに加え、新たにフェルトも仲間に加わる事になり、マクロス・ブレイバーのブリッジに人員が一気に増えたからだ。
まあ、今まで仲間になるメンバーがパイロットばかりという偏りがあっただけだが。
「優秀なブリッジクルーが増えたのは、ルリの負担を軽減する意味でもありがたいな。場合によってはディビジョン艦の運用にも関わってもらう事になるかもしれない」
俺がそう言うと、
「任せておいてよ!」
クリスが自信を持った声でそう言った。
すると、
「あれ………? 前方に光………?」
リヒティが声を漏らす。
マクロス・ブレイバーの前方に、光が見えた。
世界の狭間の出口だ。
「間もなく別の世界に辿り着くぞ。全員注意してくれ」
俺がそう言った直後、その光の中にマクロス・ブレイバーが突入し、辿り着いた先は………
何も無かった。
いや、何も無い訳ではない。
宇宙空間だろう無数の星々の光が輝いてはいるが、マクロス・ブレイバーの周囲に地球の様な惑星が存在しないのだ。
「宇宙空間か………ルリ、過去のデータの天体の位置に類似性のある所はあるか?」
俺がそう聞くと、
「待ってください…………」
ルリがそう言うと、ルリの周囲にモニターが開き、オモイカネが情報を表示していく。
「…………過去のデータに類似する場所はありません。全く未知の宙域の様です」
ルリがそう報告した。
「あ~、またこのパターン?」
ルネがゲンナリとした声で呟く。
そう言えばルネは、マクロスFの世界に転生した時、宇宙空間に放り出されて1ヶ月ほど放浪生活を送ったと言っていたな。
「調べようにも近くに人工物が無ければハッキングも無理だな」
今まではあくまでもハッキングでその世界のネットワークに侵入し、情報を得ていただけなので、侵入するネットワークが無ければ情報も得られない。
こうなれば仕方ない。
「当ての無い旅の始まりだな」
この広い宇宙を放浪することになった。
1ヶ月後。
相変わらず放浪の旅を続けているが、今の所進展無し。
フォールドを利用し、距離を稼ぎながら旅をしているが、そんなものは広大な海で1歩踏み出す程度の物だ。
食料も心許なくなってきたし、そろそろ進展があって欲しい。
それはともかく、オービットベース内では多少の変化があった。
それは、
『ハロハロ!』
至る所にガンダム世界のハロが現れた事だ。
これは、イアンから資料を貰ったレモンが、各機体の整備の為に作ったものだ。
流石に1人で全ての機体を整備するのは大変だったからな。
だが、違う世界の集まりであり、多種多様な機体の全てのデータをハロに詰め込むことは出来ない。
そこでレモンは、各機体ごとにデータをインプットされた親機となるハロを作り、その親ハロが量産された子機のハロを統括し、機体を整備する方式を取った。
尚、親ハロは分かりやすくその機体を元にしたカラーリングとなっている。
例えばガオファイガーのハロは、黒を基調に赤と金のラインが刻まれたガオハロ。
アルトアイゼン・リーゼのハロは、赤を基調として鉄色が各部に施されたアルトハロ。
デスティニーのハロは、トリコロールカラーを施されたデスティニーハロなど。
色取り取りのハロが出来上がった。
尚、ジェイアークは自動修復されるため、専用ハロは存在していない。
因みに、もう一つ変化があり、
「あら、ジェイじゃない」
通路を歩いていたら、レモンにバッタリと出くわした。
「レモンか………」
俺は彼女の名を呟くが、自然と視線は彼女の後ろに控えている2人の人物に目が行く。
それは、
1人は肩辺りで切りそろえられた黒髪のメイド。
もう一人は背中に掛かる程のセミロングの黒髪のメイドだった。
「………………」
「………どうしたの?」
黙っている俺にレモンが問いかけてくる。
「………いや。自分のサポートの為にWシリーズを新たに作り出したのはいいんだが、何故メイド?」
俺は前から気になっていた事を尋ねた。
レモンが自分のサポートの為にWシリーズを作っていた事は最近になって聞いた。
まあ、ハロとは別で細かいサポートの為に作ったらしいが、その姿は何故か無表情メイドだった。
「だって、こっちの方が華があるじゃない? シャドウミラーの時はヴィンデルが不必要な事はするなって言われて、ロボットみたいな量産型Wシリーズしか作れなかったけど、ここじゃ気にしないでしょ?」
楽しそうな笑みを浮かべながらレモンは言う。
こういうおふざけをするところを見ると、あのエクセレンと同一存在であることに納得してしまう。
「………まあ、否定はしないが…………」
俺がやや困惑していると、すぐ横にモニターが開いた。
そこにはルリが映り、
『ジェイさん。至急ブリッジまで来てください』
通信でそう言われた。
俺がマクロス・ブレイバーのブリッジまで来ると、メインモニターには一つの惑星が映し出されていた。
「ルリ、何があった?」
俺が聞くと、
「人類が存在している惑星を発見しました」
ルリはそう言うと、モニターに情報を表示する。
「惑星の名はアル・シャハル。距離が遠いので詳しい情報はまだ………。しかし、使われている言語はアルトさん達の世界の物で、バルキリー等の情報もあります。もしかしたら、アルトさんの世界と同一かもしれません」
「何だって!?」
ルリの言葉にアルトが驚愕の声を上げる。
「年号は西暦2067年。アルトさん達が居た時代から8年後になります」
「8年!?」
アルト達の主観では、まだ3年程度しか経っていないからだ。
「俺達の時とは逆だな」
シンが呟く。
シン達の場合は、3年位旅していたが、1年程度しか経っていなかった。
「でも………もしかしたら、お兄ちゃん達にまた会えるのかな?」
ランカが期待した声を漏らす。
「可能性はあるだろう。本当にここが以前と同一の世界なら………だが」
俺は可能性を踏まえてそう言う。
「一先ず、正確な情報を得るためにメンバーを絞ってあの惑星に降りることを提案する。ジェイアークなら気付かれずに降りることは出来るだろう」
そう提案すると、
「なら、俺達も行かせてほしい。ここが俺達の世界と同じ世界だというのなら、力になれるかもしれない」
アルトがそう言う。
相談の結果、ジェイアークで地上に降りるのは、俺、ハル、アルト、シェリル、ランカに加え、護衛としてボルフォッグと各ガンマシン。
そして、ジェイアークでの情報収集役として、ルリが同行することになった。
マクロス・ブレイバーのブリッジクルーが増えた事で、ルリが掛かりきりにならなくても良くなったからだ。
因みに、直接ジェイアークで地上に降りる理由は、情報収集範囲内までマクロス・ブレイバーで近付くと間違いなく勘付かれるだろうし、後はアルト達へのサービスと言ったところだ。
降り立ったアル・シャハルは大部分が砂漠に覆われた惑星で、宇宙から見ても黄色い大地が目立つ惑星だった。
ジェイアークは砂の中に隠し、ルリはジェイアークの中で情報収集。
俺達はシャハルシティと呼ばれる場所までホログラフィックカモフラージュで姿を隠したボルフォッグのビーグル形態で移動。
それから俺とハル、アルトとシェリルとランカのグループに分かれて物資補給を兼ねて街の様子を見て回ることにした。
尚、シェリルとランカは顔が有名過ぎる可能性があるのでサングラスや伊達メガネ、帽子で変装して、だが。
【Side アルト】
ジェイ達と別れた俺達は、一先ず一番目立つ宇宙港の様子を見に来た。
「ゼントラーディ人だ」
ここが俺達が居た世界と同じ、もしくは限りなく近い世界という事に違いはなさそうで、10m程の巨人――ゼントラーディの姿も伺える。
ふと見れば、コンテナ貨物運搬用の作業用デストロイド『ワークロイド』がコンテナを運びながら行き来していた。
そんな中、
「……………ん?」
俺が気になったのは、1機のワークロイド。
他のワークロイドよりも軽快な動きで次々とコンテナを運んでいる。
作業スピードは他のワークロイドと比べて3倍位早いだろうか?
「凄いな………」
掛け値なしにそう思った。
そのワークロイドは作業場に流れる音楽に合わせ、まるで踊る様に動き、コンテナを積み上げていく。
更に操縦者もノッているようで、ジャンプしながら回転し、決めポーズを取ったりしている。
「凄い………! あのワークロイド、踊ってる!」
ランカが興奮した面持ちでそのワークロイドを見つめた。
俺も純粋にあの操縦者のセンスはずば抜けていると感じていた。
「フフッ。対抗心でも燃やしてる?」
シェリルが面白そうに笑みを浮かべながら囁いてくる。
「ッ……! まあ、バルキリー乗りとして、あいつのバトロイド適性が高いのは認める」
俺は誤魔化すようにそっぽを向いた。
その時、けたたましくサイレンを鳴らしながら、現地のパトカーと警備用ドローンが通り過ぎていくのを見た。
近くの作業員たちが、密航犯がどうとかと話しているのを聞き、
「ここを離れるぞ。俺達も密入国者だからな。見つかると面倒くさそうだ」
俺は2人にそう言って、この場を離れた。
その後も色々な場所を見て回り、日が傾いて街がオレンジ色に染まる頃、住宅街を歩いていた時だった。
「アタシは、好きな歌を歌いたい!」
突然少女の声が響いた。
思わずそちらを振り向けば、道を挟んで向かい合う建物を繋ぐ木の支え棒の上に立つオレンジ色の髪に赤い外套を着た少女が居た。
「1分でも1秒でも長く! だから絶対………帰らない!!」
その少女はそう強く口にしながら振り返り、その下に居た紺色の髪の少年に言い放った。
「ッ…………!」
その少年は、虚を突かれたように目を見開く。
だが次の瞬間、バキッという音と共に、少女が立っていた木の支えが欠け、足を踏み外した。
「ふえっ!?」
「なぁっ!?」
声を漏らす2人だったが、少年が咄嗟に庇って少女の下に回り込んだが、受け止め損ねてもんどりうって倒れこんだ末、少年が少女を押し倒すような形になった。
「いてて…………」
「………………ッ!? ふわぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
少女は軽く錯乱したのか庇ったはずの少年を駄々を捏ねるようなパンチや掌底で押しのけようとしている。
すると、
「動くな!!」
第三者の声が響いた。
道の向こう側には赤紫の髪を持ち、ゼントラーディの血が入っているだろう尖った耳をした女が居た。
風貌からして軍人か何かだろうか?
その女は銃を少年に向けながら、
「くっ! この、変態っ!!」
そう叫んで少年を捻り上げた。
「密航犯確保!!」
「違う! 違うって……!!」
女に捻りあげられた少年は手で地面を叩きながら無実をアピールする。
「婦女暴行犯とでも呼ばれたい!?」
状況的に仕方ないかもしれないが、勘違いした女は話を聞こうとしない。
俺は仕方ないと状況を説明しようと踏み出そうとして、
「はいっ!! 密航犯はアタシです!!」
その前に隣にいた少女が手を上げながら盛大に自白した。
「…………………………………え?」
その女は素っ頓狂な声を漏らし、
「………あっ!」
少女は思わず口を塞いだ。
グダグダな雰囲気になってしまった所に踏み込むのは少し勇気が必要だったが、
「あ~、ちょっといいか? 今の一部始終の目撃者なんだが………」
俺はそう言いながら3人に話しかけると、赤紫の髪の女に少女が柱の上から落ちて少年がそれを庇い、もんどりうった末に先ほどの状態になったことを説明した。
その証言が少年と少女の口からも正しいと証明されたため、
「すみませんでした!」
その女は深く頭を下げた。
「アンタ、空港の警備員じゃないな? 何者だ?」
先程の少年が捻りあげられた腕をほぐす様に動かしながら問いかける。
その女は頭を上げると、名乗りを上げた。
「ケイオス・ラグナ第三戦闘航空団デルタ小隊所属、ミラージュ・ファリーナ・ジーナス少尉です!」
「えっ!? デルタ小隊!?」
その言葉に少女が驚きの声を上げた。
「苦情でしたら、公報に………」
「デルタ小隊って、もしかして………ワルキューレと一緒に飛んどる………!?」
ミラージュと名乗った女の言葉を遮って、少女が興奮した面持ちで問いかけた。
「えっ? そうですが………」
「はわ~~~~! ゴリゴリ~~~~~~~~!」
ミラージュ少尉が頷くと、少女は浮かれたように声を上げた。
「な、何なんですか?」
ミラージュ少尉は困惑の声を漏らすと、
「ファンなんだと、アンタらの」
少年が答えた。
「………ファン?」
「はいなっ!!」
どうやらミラージュ少尉の所属する部隊は、何かしら有名な部隊みたいだな。
そう言えば、ミラージュ少尉のファミリーネームって、あの伝説のパイロットと同じ………
その事を問いかけようとした時、突然サイレンが鳴り響いた。
それと同時にミラージュ少尉の持つ通信機に通信が入る。
「…………了解! 直ぐに向かいます!」
ミラージュ少尉はこちらに振り向くと、
「あなた達はシェルターに避難してください!」
「何だよ!? 何が始まった!?」
少年が問いかけると、
「ヴァールが発生しました! これからここは………戦場になります!」
「えっ……?」
「戦場……?」
その言葉を肯定するように、周囲の住民達が大慌てで避難を始めている。
というか、『ヴァール』って何だ?
2人の様子を見るに、かなり深刻な様子だが………
しかし、ミラージュ少尉は直ぐに走り去ってしまう。
「アルト君……! 一体何が………?」
「分からない………だが、なんかヤバそうだ……!」
不安そうなランカの言葉に、戦士としての勘が警報を鳴らしている。
「はあ? アンタらヴァールも知らねえのかよ!?」
少年が本気かよと言いたげな様子で俺達を見てくる。
「悪かったな! 俺達は訳あって最近の事情には疎いんだ!」
俺はムカッときて言い返した。
だが、かなり近い位置で爆発が起こった。
「何だ!?」
「くそっ! こんな近くに!」
少年はそう言うと、少女の肩を支えると、
「アンタ達もさっさと避難した方がいい!」
そう言うと少女と共に逃げ出す。
「アルト!」
シェリルの呼びかけに、
「一先ず避難だ! ジェイ達と合流を……!」
俺はそう言った。
街中では、ゼントラーディのリガードが暴れまわっていた。
「何だ!? 暴動……!?」
俺達は逃げながら、暴れまわるリガードを見た。
軍属と思わしきデストロイド隊が応戦しているが、一方的にやられている。
「くっそ! あっさりやられすぎだろ!」
せめてもう少し時間を稼いでくれればと悪態を吐く。
目の前には、先程の少年と少女が走っていた。
その時、近くにミサイルが着弾。
俺は咄嗟にシェリルとランカを庇い、爆風に煽られる。
「くっ!」
「アルト!」
「アルト君!」
2人が心配そうな声を上げるが、
「大丈夫だ! それよりも………」
俺が顔を上げると、少年と少女も瓦礫の中から身を起こした。
2人も無事だったようだ。
だが、その時だった。
「♪~~~~♪~~~~~~~~」
口ずさむような歌が聞こえる。
「これは………」
「歌?」
シェリルとランカも反応する。
「虹色の………声!?」
先程の少女も振り返った。
その視線先には、暴れまわるリガードに向かって歩いて行く1人の女。
「ふふっ、やっと温まってきたみたいね………!」
その女は不敵に笑うと、
「行くよ! I‘s show time!!」
サングラスを外し、帽子を脱ぎ去る。
その瞬間、シェリルやランカ達が行うライブの時の様に服装が変化。
まるでステージ衣装の様な派手な服装に変わった。
「歌は………神秘!!」
紫の髪の女はそう言い放つ。
「やっぱり……! 美雲さん!!」
少女が興奮した声を上げた。
その時、バルキリーのエンジン音が聞こえ、空を見上げると、4機のバルキリーが編隊を組んで飛行して来た。
だが、そのバルキリーは俺の知らないものだ。
そのバルキリーは無数のドローンを射出する。
更にバルキリーから人影が飛び降り、
「歌は………愛!!」
黄緑の髪の少女。
「歌は………希望!!」
ピンクのツインテールでグラマラスなスタイルの少女。
「歌は………命!!」
赤髪で長身の女。
「聞かせてあげる! 女神の歌を!」
先程の紫の髪の女が言い放つ。
「「「「超時空
4人がそれぞれ手でWの形を作りながら言い放った。
『『『『のぼせてScreming! もう止まれないの! 「S」「O」「S」アガるサイレン 恋! ハレイション THE WAR♪』』』』
ドローンによるシールドで攻撃を防ぎつつ、歌い出す彼女達。
特に紫の髪の女は自ら飛び出し、戦場を飛び回っている。
『目覚めれば動き出す物語 いつもと何か違う朝 まぶたこすった♪』
更にはバルキリーに飛び乗って歌い出す始末。
「とんでもないな………」
俺は思わずそう漏らす。
シェリルやランカとは別ベクトルで凄い歌い手だと思った。
更に彼女達を護衛しているバルキリー乗りの実力も中々のモノだ。
的確にコクピットを外して無力化している。
特に背中に死神のエンブレムが描かれたバルキリーが頭一つ飛び抜けていると感じた。
そして、やがて変化が起こった。
ゼントラーディ達の暴動が徐々に治まってきていたのだ。
「これは………歌で暴動を鎮静化させているのか………?」
俺は思わずそう漏らす。
「へえ………中々やるじゃない」
シェリルはこんな時でも上から目線だな。
暴動がほぼ収まってきたと感じていた時、上空から新たに別のバルキリーが降下してくるのを発見するのだった。
【Side Out】
【Side 三人称】
「………………マクロスΔだったのかよ」
ジェイが戦場で歌う音楽グループ『ワルキューレ』を眺めながら呟いた。
「そう言えばアル・シャハルって最初の惑星じゃねえか………」
たった今思い出した事実に、ジェイは自己嫌悪する。
「え~っと………この後は確か………」
その時、大気圏外から無数のバルキリーが降下してくる。
「ウィンダミアの空中騎士団………」
ジェイはその正体を言い当てる。
デルタ小隊が応戦に向かうが、ヴァールとは桁違いの強さの相手に苦戦する。
数の差もあり、1機がデルタ小隊を振り切って抜け出した。
そのバルキリー『Sv-262 ドラケンIII』は地上のデストロイド部隊をあっさりと撃破すると、ワルキューレに向かって無数のミサイルを撃ち放った。
それらのミサイルが周囲の建物を破壊しながら美雲に殺到する。
防御用のドローンを滑り込ませて直撃は防いだようだが、足場としていた建物は崩れ、美雲は爆風に煽られながら落下していく。
「……ッ! チッ!」
その時、ジェイは咄嗟に動いた。
地面を蹴ると、落下しかかっていた美雲を横抱きで受け止め、そのまま別の建物の屋根へ着地する。
「無事か?」
ジェイは腕の中にいる美雲に問いかけた。
「………あなたは?」
美雲はキョトンとした表情で問いかえす。
「唯の通りすがりだ」
ジェイがそう答えると、
「美雲!」
赤髪の女性、ワルキューレのリーダーであるカナメ・バッカニアが心配そうな声を上げて駆け寄ってくる。
その時、立ち上がったリガードが頭部の砲門を向けてきた。
「ッ!?」
カナメが思わず振り向いたとき、
「ボルフォッグ!!」
ジェイが叫んだ。
その瞬間、銀色のブーメランが何処からともなく飛んできて、リガードの砲門を斬り落とした。
「ッ!? 今のは!?」
その銀色のブーメランが戻っていくと、空中で何かに掴まれたように停止。
すると次の瞬間、ホログラフィックカモフラージュを解除して建物の上に立つボルフォッグが姿を見せた。
「何!? あのロボット!?」
それを見たマキナ・ナカジマが思わず叫ぶ。
その時、背後からミサイルが飛んできた。
「「ッ!?」」
マキナは一緒にその場にいたレイナ・プラウラーと共に、爆風に備えたが、その直前に赤い光が立ちはだかり、ミサイルを防いだ。
「えっ………?」
爆風すら感じなかったマキナは声を漏らしながら顔を上げると、そこには浄解モードのハルの姿があり、防壁でミサイルを防いでいた。
「大丈夫だった?」
ハルはニコリと笑いかける。
「あなた達は一体………?」
カナメが問いかけると、
「先程も言ったが唯の通りすがりだ」
美雲を降ろしながらジェイがそう答える。
「………まあこの際だ。手を貸そう」
ジェイがそう言うと進み出て、
「ボルフォッグ! IDアーマーを!」
ジェイがボルフォッグに呼び掛けた。
「了解しました! ジェイ代表! IDアーマー、射出します!」
ボルフォッグが片膝を着く体勢になると、脚部の一部が展開し、そこから大型のトランクケースが射出された。
「フッ!」
ジェイが飛び上がると、トランクケースが開き中からアーマーが飛び出す。
「イィィィィィィィィクイィィィィィィィィィップ!!」
ジェイが合言葉を叫ぶと、アーマーがジェイの身体の各部に装着される。
白いアーマーに首元のマフラーが靡き、ヘッドギアに片目の赤いバイザーが展開した。
そしてジェイの左手の甲にエヴォリュダーの証であるJの紋章が輝く。
「ハッ!」
そしてマフラーが翼に変形し、ジェイは高速で飛行する。
そして、
「ラディアントリッパー!!」
抜き放った光剣で飛んでくるミサイルを全て切り裂く。
ジェイは高速で切り抜けているため、ミサイルが爆発する時には、ジェイは既に爆発の影響を受けない距離を稼いでいた。
すると、
「やるじゃない………!」
その姿を見た美雲が、まるで対抗心を燃やす様に不敵な笑みを浮かべ、
『見つめ合って恋をして 無我夢中で追いかけて だけどもっと知りたくて メラメラしてる♪』
再び歌い出す美雲。
他のメンバーも頷き合うと、
『『『『願うほど謎が増え 思うほど熱になる だからもっと飛び込むの 未開の世界 ah♪』』』』
美雲と共に歌い出す。
『『『『恋とか夢とか 誰でも信じるけど ソコソコ攻めなきゃ つまんないよ♪』』』』
その時、アルト達と出会った少女、フレイア・ヴィオンはその姿を見て、昂りを覚えていた。
「ダメ………ダメ…………! 凄いよ………! もう………キちゃいそう………!」
フレイアの精神に呼応するように、ハート形の髪飾りが点滅する。
いや、髪飾りではない、ハート形のそれは、徐々に持ち上がり始めた。
「ルンルン……! ルンルン……!!」
ハートが持ち上がり切った瞬間、
「ルンピカァァァァッ!!」
フレイアの精神の昂ぶりが最高潮に来た時、ハート形の触覚の様な器官『ルン』が輝きを放った。
『『『『ギリギリ愛 いけないボーダーライン♪』』』』
「ウィンダミア魂を、見せちゃるけんねぇっ!!」
そのまま戦場に向かって駆け出した。
「あいつ……ウィンダミア人………!?」
フレイアと一緒にいた少年、ハヤテ・インメルマンはフレイアの言葉とルンの存在から彼女の出身惑星を悟った。
『難易度Gでも 全て壊してみせる♪』
「命がけで!?」
危険を顧みず歌う姿に何かを感じるハヤテ。
『キリキリ舞 更なるGへと 意識が溶ける♪』
そして、フレイアの歌声はワルキューレのメンバーにも届いた。
「この歌!?」
「胸がチクチクって……!」
「アクティブ反応!? 私達の他にも!」
その事に驚愕するカナメ達。
『体は制御不能 いっちゃうかもね♪』
戦場へ向かって行ってしまうフレイア。
「無茶だ! くっ!」
ハヤテは何か方法が無いかと辺りを見渡すと、被弾してパイロットが負傷し、現在は無人のバルキリー、VF-171 ナイトメアプラスが目に入った。
「ッ! うぁあああああああっ!!」
ハヤテは一瞬躊躇したが、そのバルキリーに向かって駆け出す。
「おい待て! 素人じゃ無茶だ!!」
近くにいたアルトが呼び止めようとするが、ハヤテはそのままバルキリーに乗り込む。
「基本は同じか!」
ハヤテは今まで色々な仕事を経験し、ワークロイドの動かし方も熟知している。
ワークロイドもバルキリーのバトロイドも、操縦の基本は同じの為、ハヤテにも動かすことは可能だった。
「いっけぇぇぇぇぇっ!!」
ハヤテはVF-171を立ち上がらせると、フレイアの後を追う。
「くそっ!」
アルトは辺りを伺うと、被弾した別のVF-171がガウォークモードで近くに不時着して来た。
「ッ!」
衝撃と共に舞い上がった砂ぼこりから思わず顔を庇ったアルトだったが、パイロットがキャノピーを開けてはい出てくる。
負傷しているのか動きが覚束ない。
「ッ! 2人とも、来い!」
アルトはシェリルとランカに呼び掛けると、そのVF-171に向かって駆け出す。
「アルト君!?」
アルトはその機体に辿り着くと、コクピットに飛び乗った。
「お、おい! 何をしている!?」
元々のパイロットが思わず立ち上がってアルトに向かって叫ぶが、アルトは機体のシステムを再起動させると、
「俺は元SMS所属のパイロットだ! 緊急事態だ、機体を借りる!」
元のパイロットに向かって言い返す。
「し、しかし!」
「このまま黙って死ぬ気は無い!」
アルトがそう言い放つと、
「ッ………! わかった」
アルトの言葉に気圧されたのか、パイロットは了承する。
「2人とも、乗れ!」
アルトがそう言うと、シェリルとランカがコクピットの中に飛び込んでくる。
「しっかり掴まっていろ!」
アルトは機体を立ち上がらせると、そのまま飛び上がらせた。
『『ふざけ合った友達と 求め合ったあの人と♪』』
歌い続けていたフレイアだったが、
「うわっ!?」
『また会える日の為に ギラギラしてる♪』
間近で起こった震動に思わず足を止める。
フレイアが顔を上げると、そこにはデストロイド・シャイアンIIが立ち塞がっていた。
「あ、ああっ………!」
我に返ったフレイアは死の恐怖に包まれる。
『光る程影はでき 燃えるほど灰になる 走る程見えてくる 危ないライン ah♪』
目の前のデストロイド・シャイアンⅡはフレイアを踏み潰さんと足を振り上げた。
フレイアは思わず目を瞑って頭を抱えた。
しかし、衝撃音が響き、フレイアは顔を上げる。
そこにはVF-171が体当たりでデストロイド・シャイアンⅡを押し倒した所だった。
「無事か!?」
それは、ハヤテの操縦するVF-171であった。
「逃げるぞ!」
ハヤテはフレイアをマニピュレーターで掴む。
「ふわぁっ!?」
驚きの声を上げるフレイア。
『自由も平和も望めば生まれるけど モタモタしてたら腐っちゃうよ♪』
一方、ジェイは迫りくる攻撃からワルキューレを守っていたが、再び無数のミサイルが接近する。
「ッ!」
ジェイは全て斬り落とそうと光剣を構えたが、その前に別方向から弾丸が飛んできて、ミサイルを全て撃ち落した。
すると、ガウォークモードのVF-171が現れ、
「ジェイ! ハル!」
開いたキャノピーからアルトが顔を見せた。
「アルト!」
「すまないが2人を頼む!」
アルトは同乗していたシェリルとランカを指してそう言う。
「分かった」
すると、ハルがサイコキネシスを使って2人をコクピットから拾い上げた。
「頼む!」
アルトはそう言うとファイターモードに変形させ、飛んでいく。
その時、美雲がヴァール化した機体に取りつき、間近で歌を聞かせ鎮静化させると、ふと横目でジェイを見やる。
その視線がジェイの視線と交わると、美雲はフッと笑みを浮かべると、機体から飛びのき、無防備に落下を始めた。
「なっ!?」
それを見たジェイは驚愕の声を漏らしながら方向転換し、美雲の元へ飛翔する。
地面に落下する直前で美雲を拾い上げることに成功するジェイ。
「何をやってるんだお前は!?」
思わず叫んだジェイだったが、美雲の腕がジェイの首に回された。
「何を……!?」
『ギリギリ愛 あぶないボーダーレス♪』
その状態で歌い続ける。
その時、再びミサイルが雨霰の様に振ってきた。
「チィッ!」
ジェイは両手が塞がっているため、迎撃を諦めて回避に専念する。
飛翔しながら縦横無尽に飛び回り、ミサイルの雨を掻い潜る。
『非常識だね まだ加速しているよ♪』
美雲はそんな状況でも臆すことなく歌い続けている。
その様子は何処か楽しそうだ。
ジェイは美雲を抱き上げたまま空高く飛翔した。
そして、その歌でリズムを取る様に、ハヤテのVF-171が躍る様に攻撃を回避していた。
『キリキリ舞 限界点なら 塗り替えて良い 破壊と再生から 私ができる♪』
それでも、回避だけでは限界がある。
ついに被弾したハヤテは倒れこみそうになり、そのハヤテの機体に向かって無数のミサイルが降り注ごうとした。
それは、地上での回避では明らかに無理な量だ。
しかしその時、
「飛べぇっ!!」
ハヤテの援護に来たアルトが叫んだ。
「ッ!?」
その言葉に、ハヤテはミサイルの向こう、『空』を見上げた。
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
ハヤテは叫びながらブーストを吹かす。
足裏の噴出口から火を噴き、機体を上昇させていく。
ミサイルを振り切ったハヤテは空高く飛び立ち、機体をガウォークモードに変形させる。
「ッ!?」
空を飛んだことに驚くハヤテだったが、
「ッ……飛んだ!」
フレイアは嬉しそうに叫び、
『ギリギリ愛 いけないボーダーライン 難易度Gでも すべて壊して見せる♪』
再び歌い出すフレイア。
『キリキリ舞 更なるGへと 意識が溶ける 体は制御不能 いっちゃうかもね♪』
その時、ハヤテは不思議な感覚に包まれた。
「ッ!? 何だ……このカンジ………? この歌………!」
まるで大空を飛んでいるような感覚。
そう、これは、
「…………風!」
ハヤテは初めての感覚に感動を覚えていた。
だが、ハヤテの飛び方は初心者で拙いもの。
戦場では唯の的にしかならない。
そんなハヤテの機体を狙ってSv-262の無人小型支援機『リル・ドラケン』が狙いを定めていた。
そのリル・ドラケンの銃口が火を噴きそうになった時、別方向からの弾丸がリル・ドラケンを破壊する。
すると、別のファイターモードのVF-171がハヤテの機体の後ろにつくと、
「おい! 空を飛べて感動する気持ちは分かるが、ここは戦場の真っ只中だ! 気を抜くと死ぬぞ!」
そのパイロット、アルトがハヤテに警告を飛ばす。
「アンタはさっきの……!」
アルトの顔に見覚えのあったハヤテは驚きの声を上げるが、
「話は後だ! お前は生き残る事だけを考えろ!!」
「わ、わかった!」
『ギリギリ愛 いけないボーダーライン 燃え尽きながら まだ輝いてみせる♪』
その時、2機のSv-262が更に2機のリル・ドラケンを引き連れて接近して来た。
「ッ!」
アルトは機体を旋回させ、近付いてくるSv-262に向かってく。
すると、Sv-262が無数のマイクロミサイルを放ってきた。
「…………!」
アルトは集中してミサイルを見据えると、機体を加速させつつガンポッドでミサイルの一部を迎撃。
それによって弾幕が薄れた所を最大加速で突っ切った。
『キリキリ舞 あなたの為に 未来の為に 何度砕け散っても♪』
そのまま2機のSv-262とすれ違った瞬間、アルトは機体をバトロイドモードに変形させ、手に持ったガンポッドで背後から狙い撃った。
その攻撃はリル・ドラケン2機を撃ち落したが、Sv-262には損傷を与えただけで撃墜には至らなかった。
その理由は、
「チッ………反応速度が鈍い………!」
アルトは舌打ちする。
量産型の機体ではアルトの反応速度について来れないのだ、
もし機体がアルトのYF-29………いや、SMS時代に使っていたVF-25ぐらいの性能があれば、今の1度のエンゲージで墜とせていただろう。
被弾したSv-262らは分が悪いと判断したのかその場を離れていく。
『愛することで 生まれ変わる 愛されたくて 生きて帰る♪』
すると、まだ大局は決していないにも関わらず、Sv-262の部隊は撤退していった。
「撤退したか…………」
アルトは呟くと機体を降下させ、美雲を抱き上げていたジェイも地上に降りていく。
アルトは、フラフラと飛ぶハヤテのVF-171を見つけ、フォローの為に機体を寄せる。
「大丈夫か?」
「あ、ああ………凄いなアンタ………軍人なのか?」
「元SMS所属のパイロットだ。今は違うがな」
「ああ……民間軍事会社の………」
戦い慣れていたアルトの操縦技術に納得するハヤテ。
「それよりも早く降りた方がいい。無断で機体を乗り回しているのもそうだが、その子もそろそろキツイだろう?」
ハヤテはVF-171の手に掴んでいたフレイアを見ると、少し疲れが伺えた。
「わ、分かった…………」
ハヤテはアルトにフォローされつつ機体を降下させていく。
地上ではワルキューレの歌により、ヴァール化したゼントラーディ達も沈静化し、戦闘は終結した所だった。
ジェイが美雲を建物の上に降ろすと、
「「「無限の星々に!」」」
「女神の祝福を!!」
ワルキューレが決め台詞を言い放った。
住民達から歓声が沸き起こる。
アルトは彼女達の近くに立つシェリルとランカに機体を寄せ、
「大丈夫だったか!?」
そう声を掛けた。
「アルト!」
「アルト君……! うん! 私達は大丈夫!」
2人は怪我が無い事をアピールする。
ハヤテの方は地上に降り、機体から降りると疲れた様子で地面に座り込んでいた。
フレイアもVF-171の手から抜け出すと地上に立つが、へなへなと座り込んだ。
「あの2人も無事のようだな」
その様子を見てアルトはホッと息を吐いた。
だが、
「動くな!」
背中に死神のエンブレムが描かれたバルキリー『VF-31 ジークフリード』がバトロイド形態で腕に装備されたビーム機銃の銃口を、背後から突き付けていた。
「メッサ―君!?」
カナメが叱咤するような声を上げるが、
「性能で劣るVF-171で奴らを退けたその腕前………唯の民間人ではあるまい? 何者だ?」
そのVF-31のパイロット、メッサー・イーレフェルトが警戒の眼差しでアルトを睨みつけながら問いかける。
アルトは敵意が無い事を示すために両手を上げると、
「俺は元SMS所属のパイロットだ。非常事態だったから機体を使わせてもらった。軍の機体を勝手に使ったのは悪いと思っているが、こっちも命が掛かっていたんだ。その辺りは大目に見て欲しい」
アルトはそう答える。
「…………!」
メッサーは目を細めて注意深くアルトを観察する。
すると、
「メッサー、余り刺激するな」
別のVF-31、竜のスカルマークが描かれた機体が降りてきた。
「隊長……! しかし………!」
メッサーがそう言うが、
「部下がすまなかったな。俺はデルタ小隊隊長、アラド・メルダース少佐だ。まずはワルキューレを守ってくれたことに感謝する!」
アラドと名乗った男は、アルトとジェイ、ハルに視線を向けると礼の言葉を述べる。
「だが、アンタ達が怪しい輩であることは確かだ。だから、差し支え無ければアンタ達が何者か教えてもらえないか?」
「俺達は………」
アラドの言葉にジェイは答えようと口を開こうとした。
その時、街中で爆発が起こった。
「何だ!?」
アラドは驚きの声を上げて振り返ると、街中にモクモクと煙が上がっている。
「一体何が!?」
「もしかして、まだヴァールが!?」
レイナとマキナがそう声を上げるが、
「違う………」
ハルがその言葉を否定した。
「………ゾンダーだ!」
ハルが叫んだ瞬間、立ち上る黒煙の中から、生物の様に蠢く機械が姿を現した。
その姿は長い蛇、もしくは龍の様な姿をしている。
「何だぁ!? あの化け物は!?」
電子戦用の装備を施されたVF-31のパイロット、チャック・マスタングが驚愕の声を上げた。
すると、
「あれは俺達の敵だ」
ジェイがそう言う。
「敵……? そりゃ一体………」
アラドが問いかけようとしたが、
「話は後だ。まずは奴を片付ける!」
ジェイがそう言うと、ゾンダーとは反対の方に振り返り、
「発進! ジェイアーク!!」
そう叫んだ。
その瞬間、砂漠の中に隠されていたジェイアークが発進。
砂を巻き上げながら白亜の戦艦が浮上した。
「あれは………白い戦艦!?」
デルタ小隊の最後の1人、ミラージュがジェイアークを見て叫んだ。
「あの戦艦は………!?」
カナメが驚きの表情でそう口にすると、
「俺の戦艦だ」
ジェイがそう答えた。
すると、ジェイアークがシャハルシティ上空に到達する。
その時、
「あなた達のステージ、中々のモノだったわ………」
今まで傍観していたシェリルが歩み出し、ワルキューレに向かってそう口にする。
ランカもその横に並ぶと、
「それじゃあここからは、私達のステージよ!」
その言葉と共に、2人はサングラスと帽子を脱ぎ去ると、服がステージ衣装へと変化し、
「「私の歌を聞けぇ!!」」
そう叫んだ。
『星を廻せ 世界の真ん中で くしゃみすれば何処かの森で蝶が乱舞♪』
「シェリル・ノーム!?」
カナメが驚愕の声を上げる。
『君が守る ドアの鍵デタラメ 恥ずかしい物語♪』
「ランカ・リー!?」
「胸がチクチクって!」
マキナとレイナも声を上げた。
『『舐め合っても ライオンは強い♪』』
「嘘ッ!? シェリル・ノームとランカ・リー!?」
フレイアが興奮した面持ちで2人を見つめ、
「バジュラ戦役の歌姫達が、何故ここに!?」
アラドが驚愕するが、ジェイが空に飛び立ちジェイアークへと搭乗する。
そして、
『生き残りたい 生き残りたい まだ生きてたくなる 星座の導きでいま 見つめ合った♪』
「フュゥゥゥゥゥゥゥジョン!」
ジェイがジェイバードと融合。
「ジェイバード! プラグアウト!」
ジェイバードがジェイキャリアーから分離、上昇し、人型に変形する。
「ジェイダー!! プラズマウイング!」
ジェイダーに変形し、背中に光の翼を発生させる。
「変形した……!?」
メッサーが驚愕の声を漏らした。
『生き残りたい 途方に暮れて キラリ枯れてゆく♪』
「はぁっ!!」
ジェイダーは蛇の様なゾンダーに向かって飛翔する。
すると、蛇の様なゾンダーは口を開き、針のようなミサイルを無数に乱射した。
だが、
「遅い!」
その攻撃を、ジェイダーは掠りもせずに回避しきった。
だが、その一部がワルキューレの方に向かって飛んでくる。
「ドローンを!」
カナメが慌ててそう言ったが、その前にアルトがVF-171をバトロイド形態に変形させ、ガンポッドでそのミサイルを迎撃する。
『本気の身体見せつけるまで♪』
ジェイダーが更に近付くと、ゾンダーは鋭い尾の先でジェイダーを貫こうとした。
しかし、
「プラズマソード!!」
そのような攻撃はジェイダーには通用しない。
右手にプラズマソードを発生させると、突き出された尾をあっさりと切り裂き、
「はぁあああああああああっ!!」
そのままプラズマソートを突き出し、頭から貫いた。
『『私眠らない♪』』
ジェイダーはそのまま蛇のようなゾンダーの長い体を突き抜け、尾の方から飛び出すと、その右手にはゾンダー核が握られていた。
すると、ジェイダーはハルの傍まで飛んでくると、ゾンダー核を差し出す。
「テンペルム………!」
ハルが言霊を唱えだした。
「ムンドゥース………インフィニ………トゥーム………レディーレ!!」
言霊を唱え切ると、光と共に波動が放たれ、ゾンダー核が光に包まれて収縮。
やがて人の姿を取り戻した。
そこには、涙を流す新統合軍の兵士がいた。
「人間……!?」
アラドが驚愕の声を漏らす。
ジェイダーはその兵士を地面に降ろすと、アラド達に向き直り、
「では、話をしようか」
そう口にするのだった。
はい、マクロスΔ編第1話でした。
結構詰め込み過ぎたかもしれない。
1ヶ月ほど間を開けてハロの開発。
序にアンケートで多かったメイド型Wシリーズも2人程付けておきました。
メイド型Wシリーズのイメージは『俺は星間国家の悪徳領主』に出てくる量産型メイドロボみたいな感じです。
ハロは本文中にも説明ありましたが、各機体に1機ずつ専用の親ハロが存在し、そのほかの量産型の子ハロを統括して機体を整備するような形です。
早速第一話から介入しとります。
そしてジェイにはいきなり難関が待ち構えていそうな………?
それでは続きをお楽しみに。
マクロスΔ編でフロンティア勢は参加する?
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参加させてウィンダミアを涙目にしてやろう
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いやいや、ウィンダミアが可哀想でしょ?