転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件 作:友(ユウ)
【Side 三人称】
惑星ラグナが存在する球状星団から遠く離れた銀河の一角。
そこに存在する一つの惑星。
かつてそこはバジュラが住んでいた惑星であり、現在はバジュラ達から惑星を譲り受けられたフロンティア船団が入植を進めていた。
この惑星に降り立ってから8年が経ち、アイランド船が降り立った沿岸部を中心に、都市と呼べるほどに大きくなった街が作られ、現在も開発が進められている。
その街の一角にある大きめの建築物、SMSフロンティア支部の拠点となる建物では、隊員達が日々の業務を熟していた。
その中には、かつてアルトの仲間だったスカル小隊の面々の姿もある。
ランカの義兄でスカル小隊隊長のオズマ・リー。
コールサインはスカル1。
8年経っても前線で戦う現役のバルキリー乗りであり、現在では大佐となっている。
尚、ヨリを戻した恋人のキャサリン・グラスと結婚。
現在では2児の父親である。
スカル2、ミハエル・ブラン。
アルトの学生時代の同級生で、相変わらずの狙撃の名手。
現在は昇進して階級は中尉となっている。
女好きは相変わらずで、クランとの仲も中々進展しなかったが、最近になって漸く結婚。
まだ子供は居ないが、夫婦仲は良好な模様。
スカル3、ルカ・アンジェローニ。
アルトより年下だったが飛び級で同級生だった。
現在の階級は少尉。
相変わらずの電子関係の天才。
最近では指揮官訓練も受け始めている。
思いを寄せていた松浦 ナナセに漸く気持ちが通じ、恋人同士となっている。
スカル4、ブレラ・スターン。
かつてはギャラクシー船団に洗脳され、アルト達の敵として立ちはだかったランカの実の兄。
インプラントから解放された事で自我を取り戻した。
現在はアルトが抜けた穴を埋める形でスカル小隊に入隊。
アルトに代わり、スカル4のコールサインを貰っている。
階級は、SMSに転属したことなどや、元々ギャラクシー船団のメンバーだったことを踏まえて、現在は少尉となっている。
他にもピクシー小隊のクランや、マクロス・クォーターの艦長であるジェフリー・ワイルダーなども未だ現役で働いていた。
そんな中、
「たたた、大変ですっ!!!」
マクロス・クォーターのブリッジオペレーターの女性隊員の1人であるラム・ホアが取り乱した様子で、スカル小隊が訓練後のブリーフィングを行っているブリーフィングルームに駆け込んできた。
「どうした? そんなに慌てて?」
オズマが問いかけると、
「はぁ……! はぁ……! ケ、ケイオス経由でアルト准尉達から、メッセージが届きました!」
息を切らせながらラムが報告する。
「何っ!?」
「アルトから!?」
「先輩から!?」
「…………!」
オズマ、ミシェル、ルカが驚きの声を漏らし、ブレラも目を軽く見開いて反応を示す。
ラムが持ってきたメモリーをブリーフィングルームの端末に差し込むと、空間モニターが現れた。
すると、
『え~っと……これで映ってるのかな?』
聴こえてくる女性の声、更に画面をのぞき込むように映ったその顔は、
「ランカ……!」
オズマが反応する。
ランカの顔が一度画面外へ消えると、画面の横から3人の人物が姿を現した。
言わずもがな、アルト、シェリル、ランカの3人だ。
アルトを中心に、シェリルが右、ランカが左に居る立ち位置だ。
すると、
『あ~………久しぶりだな皆』
アルトが片手を上げながら挨拶をした。
「アルト……!」
ミシェルが驚きと怪訝が入り混じった声を漏らす。
『突然の連絡に驚いていると思う。実際俺達も驚いてる所だ』
画面の中のアルトはそう言う。
アルトが言葉を区切ると
『久しぶり! 皆、それとお兄ちゃん。キャシーさんとは仲良くしてる?』
「ランカッ………!」
ランカの言葉にオズマは滂沱の涙を流す。
「仲良くしてるぞっ! 今は嫁になって子供も2人居るっ!!」
所謂ビデオレターなのに、ランカの質問に力強く答えるオズマ。
『ハァーイ! シェリルよ。皆、元気にしてたかしら?』
シェリルも変わらぬ様子で声を投げかける。
「シェリル………変わらんな」
クランが安心したような笑みを浮かべる。
『単なる偶然なんだが、またこの世界に戻ってきちまったみたいだ。現在は、球状星団の惑星ラグナのケイオス・ラグナ支部に厄介になってる』
「………………あれ?」
そこでルカが疑問の声を漏らした。
「どうかしたのか?」
ミシェルが尋ねると、
「なんかアルト先輩達、若すぎません?」
ルカの言葉に皆がハッとなる。
アルトと同い年のミシェルは現在25歳。
だが、画面の中のアルト達は精々20歳前後に見える。
すると、その疑問があるのを予想してたのか、
『多分、俺達の年齢が食い違う事を疑問に思ってるかもしれないが、こっちの世界じゃ8年経ってるらしいが、俺達の主観ではまだ3年位しか経ってないんだ』
「ウラシマ効果みたいなものですかね?」
ルカが呟く。
『まあ、偶然とはいえこの世界に戻ってきたんだ。せめてみんなに無事を知らせようと思ってこのメッセージを送る事にした』
『お兄ちゃん。あの時は勝手に飛び出しちゃってごめんね? だけど、私は今も元気に、幸せに暮らしてるから!』
ランカがアルトの腕に抱き着く。
『心配しなくても、私達
シェリルも反対側の腕に手を回した。
『お、おい! お前ら、こんな時にそんなことしなくても………』
アルトは顔を赤らめて困惑の表情を上げるが、特に嫌がりはしていない。
『と、とにかく! 俺達は今でも元気にやってるから! あと、ジェイやルネ達も元気だから安心してくれ! それじゃ!』
アルトは早口でまくし立てると、映像が途切れた。
「…………アルトの奴、両手に華とは羨ましい事を………」
ミシェルがそう言いかけた時、
「ミシェル………?」
背後でクランがジト目でミシェルを睨んでいた。
「………なんでもない」
ミシェルは口を閉ざす。
すると、いつの間にか静かになっていたオズマがフルフルと震えると、
「アルトーーーーーーーっ!! ランカが居ながらシェリルにも手を出しているだとぉ!? ゆるさーーーーーーーん!!!」
大爆発するオズマ。
更に、
「…………隊長、早乙女 アルトを処罰する許可を」
ブレラが静かに。
だがそれでいて何よりも真剣な声色でオズマに進言する。
「許す!! 直ぐに惑星ラグナに飛ぶぞ!!」
オズマは叫ぶとブリーフィングルームから出ていく。
「隊長ぉ………! そう簡単には行きませんよぉ………!」
ルカがその背中に呼び掛けたが、オズマはずんずんと先に言ってしまった。
所変わって惑星ラグナ。
「うぉっ!?」
メッセージを送った翌日。
アルトは得体のしれない悪寒に襲われ、身を震わせた。
「どうかしたの? アルト」
シェリルが尋ねると、
「いや……突然悪寒が………」
「大丈夫? 風邪?」
ランカが心配そうに問いかけると、
「いや、大丈夫だ。多分今の悪寒は昨日の………」
アルトは、昨日送ったメッセージが、早ければそろそろ読まれている頃だろうと察し、悪寒の正体は何となくアレが原因なんだろうなー、と考えていた。
「にしても………」
アルトは視線を移して2階の回廊から眼下のエントランスホールを見下ろす。
そこには、大勢の女性たちがそれぞれ気合を入れながら屯していた。
「ワルキューレの新メンバーのオーディション、か………」
アルトは若干呆れたような雰囲気で呟く。
アルトから見て、オーディションを受けに来た面々は、どちらかと言えば憧れの面が強く、本当に戦場で歌うという意味を分かっているのか?と疑問に思った。
アルトは、本気で戦場で歌えるシェリルやランカを知っているので、その覚悟の度合いも半端でない事は分かっている。
その覚悟が、眼下に居る女性たちにアルトは、一目では分からなかった。
「………そういや、2人がワルキューレに入るのはダメだったのか?」
アルトがふと尋ねる。
「えっと、なんかワルキューレになる為には『フォールド・レセプター』……? って言うのが無いとダメみたい。私やシェリルさんは、その数値があまり高くないんだって」
「それに、結局はその内またこの世界を去るのよ? 私達が入ったって意味ないじゃない」
2人がそう言うと、
「…………お前達は、それでいいのか?」
アルトはふと言葉を漏らす。
「何が?」
ランカが首を傾げる。
「その………その気があれば、この世界に残る事だって………」
アルトがそう言いかけた時、ランカが人差し指でアルトの口を止める。
「怒るよ、アルト君?」
ランカは拗ねたような表情でそう言う。
「そもそも、今更どちらかを諦められるの? あなたは?」
更にシェリルから問いかけられる。
「………………いや。無理だな」
アルトは白状した。
「すまん、馬鹿な事を聞いた」
「本当だよ………!」
「ちゃんと自信を持ちなさい。あなたは私達が愛してる人なんだからね」
「ああ」
アルトは気を取り直して顔を上げた。
その時、
「ええぇ~~~~~~~っ!? オーディション受けられんって、どういう事ねぇ~~~~~~~!?!?」
聞き覚えのある少女の声が響いた。
「あれ? あいつら………」
アルトがその声が聞こえた方に視線を向けると、アル・シャハルに居たフレイアとハヤテが受付前に居て、フレイアが身を乗り出しながら叫んでいた。
聞き耳を立てていると、フレイアは今日のオーディションが最終選考であることを知らずにオーディションを受けに来たようだ。
なんやかんやとひと悶着があったようだが、フレイアも特別にオーディションを受けても良い事になったようだ。
シェリルとランカは興味本位でオーディションの様子を見学していたのだが、
「…………どの子もイマイチね」
シェリルはオーディションの様子を見てそう零す。
「お前達に比べればそうだろう」
そんな声を掛けながら、ジェイがハル、ルリ、ルネ、ラミアを伴ってやってきた。
「ジェイ達もワルキューレのオーディションに興味が?」
アルトが尋ねると、
「そんな所だ」
そう言いながら、ジェイは会場に視線を移す。
その視線の先には、フレイアの姿。
他の受験者達と比べると、ダンスのリズムを外したり、緊張で体が硬くなっているのが分かる。
それでも一生懸命さは伝わってくる。
だが、結果発表の場でカナメから言い渡されたのは、今回のオーディションでの合格者は無しという非情な現実。
それぞれが帰路に着く中、フレイアは人一倍落ち込んでいた。
だが、それは最終試験の前段取り。
本当の最終試験は、『ワルキューレで歌う事を目的とするのではなく、歌う事に命を掛けられるか』どうか。
ワルキューレに入ることが出来なくても尚歌う事が出来るか。
その為に敢えて不合格が言い渡された。
そして帰りのモノレールの中で、フレイアにはヴァールが発生したとの情報が流され、同乗していた男性がヴァール化の振りをしてフレイアに襲い掛かる。
試験であることを知らされていないフレイアは突然の事態に呆然となり、命の危機を感じる。
フレイアの脳裏に走馬灯が過る中、ワルキューレに入ることが出来なかったフレイアに残された物。
それは、『歌う』事だった。
命懸けの歌により、フレイアのフォールド・レセプターが活性化。
そのデータを見た同乗者に扮したワルキューレメンバーは満場一致で合格を宣言。
フレイアは脱力するも、その顔は満面の笑みが浮かんでいた。
同じ頃、ハヤテもアラドによってデルタ小隊にスカウトされていた。
今までやりたい事が見つからず、各地を転々としていたハヤテだったが、命懸けで空を飛ぶ感覚を覚えた今の彼は、その申し出を受け、デルタ小隊の候補生として訓練を受けることになったのだった。
はい、マクロスΔ編第3話でした。
前回に続き短いです。
本当は前回と今回を合わせた位が丁度良かったり………
オーディションの話ですが、この辺は関わる所が無いのでしばらくすっ飛ばさせてもらいます。
フロンティア勢の現在については、作者の勝手な想像です。
そして、シェリルやランカのフォールド・レセプター数値は低い事にしました。
ワルキューレの意味が無くなるので。
でもその代わり…………
ともかく次もお楽しみに。
マクロスΔ編でフロンティア勢は参加する?
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参加させてウィンダミアを涙目にしてやろう
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いやいや、ウィンダミアが可哀想でしょ?