転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件 作:友(ユウ)
フレイアがワルキューレに、ハヤテがデルタ小隊の一員になって少しの時が流れた。
フレイアは歌やダンスの特訓に苦労し、ハヤテは訓練教官を任されたミラージュの教習を飛行実技はサボり気味という自由気ままな日々を送っていた。
ミラージュは元々ハヤテの入隊には反対しており、更に教習もサボり気味とあっては良い感情は持てず、候補生からの正式入隊のテストの模擬戦の時には遠慮なく不合格にするつもりであった。
ハヤテの方も基礎訓練不足という事もあり、次々と撃墜判定を喰らっていくが、フレイアの歌のお陰もあり、何とか制限時間内にミラージュに撃墜判定を与え、合格することが出来た。
それからはハヤテも真面目にミラージュの教習を受けるようになり、2人の仲は多少の改善を見せたようだ。
更にフレイアのデビューライブの日程も決まり、本日はフレイア(とハヤテ)の歓迎会が開かれていた。
その歓迎会には俺達も呼ばれ、会場であるチャックの家族が経営するラグ娘々に集まっていた。
「え~、思い起こせばワルキューレの結成を依頼され………」
乾杯の音頭を取っていたアーネストだったが、前置きの話が非常に長く、周りのメンバーはゲンナリとしていた。
なので、
「と、いうわけで!」
「フレフレとハヤハヤのデビューをお祝いして……!」
「「カンパーイ!」」
業を煮やしたマキナ達が強引に割り込み、乾杯の音頭を取った。
「「「「「「「「「「ようこそケイオスへ!!」」」」」」」」」」
参加者達が歓迎の言葉を唱和する。
「フレイア・ヴィオン! 命懸けで頑張りますっ!」
フレイアは嬉し泣きしながらその言葉に応えていた。
各々が楽しみ始める中、
「「グビッ…グビッ…グビッ……! ぷはぁ~!!」」
ビールを一気飲みするマクロス・エリシオンのブリッジオペレーターのベス・マスカットとエクセレン。
「「「「「おぉ~~~!」」」」」
その飲みっぷりに声を漏らす周囲の人間。
「中々いい飲みっぷりじゃなぁ~い?」
「そちらこそ……!」
どちらも相当な酒豪の様で、互いに不敵な笑みを浮かべながら飲み比べを始めていた。
別の場所では、
「ぬぉおおおおおおおおおおっ!!??」
「むんっ!」
「「「「「おおおっ!?」」」」」
屈強なケイオスの隊員2人を腕相撲で圧倒したアーネスト相手に、ラミアがあっさりと勝利していたり、
「よっ………と!」
ニールがダーツを全てど真ん中に命中させて、その隣でフェルトがパチパチと小さく拍手していたりしていた。
「……………呑気なものだ」
壁にもたれ掛かりながらアクセルが飲み物を片手に呆れた表情でその場を眺める。
「別に悪い事ではあるまい」
同じくキョウスケも壁にもたれ掛かりながらそう言う。
「フン………調子が狂う」
アクセルは鼻を鳴らす。
「まあまあ、郷に入れば郷に従え、ですのよ。アクセル」
いつの間にかアクセルの隣に陣取っていたアルフィミィがニコニコとしながらそう言った。
各々が楽しんでいる中、
「隣、いいかしら?」
いつの間にか美雲が隣に座り、声を掛けてきた。
……序盤の美雲って、こういう集まりには参加しなかったような気がするんだが?
「別に構わないが………」
俺がそう答えると、美雲は頬杖を突きながら俺の顔を見上げてくる。
「……………前から思ってたが、一体どうしたんだ? 俺の顔になんかついてるのか?」
今までもしょっちゅう見つめられている事が多かった俺は、思い切ってそう尋ねてみる。
すると、
「何故かしらね? 私も良く分からないわ。こんなに他人が気になったのは初めてよ」
そんな答えが返ってくる。
本人にもよくわかっていないらしい。
「…………………」
美雲は黙って俺の顔を眺め続ける。
「ねえルリ、ルネ。美雲ってやっぱり…………」
「どうでしょう? 見た限り『恋心』までは行ってないようですが………」
「……っていうか、『恋心』自体どういうものか理解してないと思う」
俺の後ろで、恋人たちがこそこそと様子を見ていた事にも気付かずに。
数日後、惑星ランドール近くの宙域にアイテールとマクロス・ブレイバーがフォールドする。
先の通り、フレイアがデビューするワクチンライブを行うためだ。
GGGもヴァールやゾンダーが現れた時の為に、同行することにした。
地上にある会場には、既に多くのファンが詰めかけ、満員御礼といった具合だ。
マクロス・ブレイバーはライブの邪魔にならない様に上空待機。
ワルキューレが乗ったシャトルと共に、ハヤテが加わって5機編成となったデルタ小隊が色とりどりのスモークで尾を引きながら飛行すると、シャトルからワルキューレが飛び降りる。
「歌は……愛!」
「歌は……希望!」
「歌は……命!」
「歌は……神秘!」
レイナ、マキナ、カナメ、美雲が次々と飛び降り、決め台詞と共にステージ衣装へと変化する。
そして、少し遅れてフレイアもシャトルから飛び降り、
「歌は………元気!!」
自身の決め台詞を言い放った。
まあ、初めてのステージで緊張している上に空中での飛行及び着地になれていないせいで転んだりもしたが、歌い始めると雰囲気は一変する。
まあ、ダンスの所々で失敗する所は見受けられるが。
「頑張れ! フレイアちゃん!」
マクロス・ブレイバーのモニターでその様子を見ているランカが声を掛ける。
ランカはフレイアに何処となく親近感を持っているようで、普段からよく気にかけていた。
ハヤテも真面目に基礎教習を受けている成果か、他のデルタ小隊のメンバーに後れを取るような事にはなっていない。
だが、途中で隊から離れたと思うとバトロイドに変形し、ワルキューレの上空で踊り始める。
予定にはない行動だが、ハヤテのバルキリーのダンスはワルキューレの歌に合っており、とても予定外の行動には見えない。
それがプログラムされた動きでは無く、マニュアル操作でやっているのだから驚きだ。
「ほんと、あいつのバトロイドの操縦センスとリズム感には驚かされるな………」
アルトは感心半分、呆れ半分の声を漏らす。
アルトの操縦の腕自体はハヤテよりも上であるが、あのようにバトロイドでダンスを踊るなど出来ないだろう。
だが、曲が最高潮に高まろうとした時、
「ッ! アイテールより入電! アンノウン部隊が衛星軌道に出現! 大気圏に突入してきます!」
オペレーターのフェルトがそう報告して来た。
「狙いはワルキューレだな………」
「私達は如何しますか?」
俺の言葉にルリが訪ねてくる。
「……………民間人が居る所に攻撃することはテロ行為と判断。GGGは人命救助の為に行動を開始する!」
「「「「「「「「「「了解!」」」」」」」」」」
その言葉にそれぞれが返事を返した。
【Side 三人称】
アンノウン部隊が放ったジャミング攻撃により、ワルキューレを守るドローンが停止し、そこへミサイルが殺到する。
そのミサイルはデルタ小隊が迎撃して事なきを得る。
すると、新統合軍の機体が駆けつけ、デルタ小隊が有利になると思われた。
しかし、
『♪♪♪~~~~~~♪♪♪♪♪♪~~~~~~~~~』
「えっ?」
「何?」
「何だ……?」
ワルキューレやハヤテが怪訝な声を漏らした。
彼女達の耳は歌が聞こえていた。
それは、
「何……これ……?」
「歌………?」
「歌……なのか………?」
ランカやシェリル、アルトにも聞こえていた。
すると突然、援軍に来たはずの新統合軍がデルタ小隊に攻撃を開始。
確認の結果、全員がヴァールになっている事が判明する。
だが、同時に疑問も残る。
今までのヴァールは唯の暴動に等しかったが、今回は編隊を組んで攻撃してきているのだ。
これまでのヴァールでは考えられない事だった。
すると、新統合軍の機体がワルキューレに向けてビームガンポッドを乱射する。
ドローンが機能停止している現在、逃げるしかないと思われた。
だが、
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
上空から赤いロボットが飛来………
いや、落下してきてワルキューレのステージに派手に激突。煙を巻き上げる。
それは、
「畜生……やっぱ上手くいかねえや………」
炎竜だった。
着地に失敗しながらも、シールドで新統合軍からの攻撃を防いでいる。
「あなたは……!?」
カナメが思わず問いかけると、
「僕は炎竜。GGG機動部隊の1人だ!」
炎竜はそう名乗る。
すると、新統合軍の別の小隊が編隊を組んで攻撃して来た。
今度は無数のミサイルだ。
「また来る!」
マキナが叫ぶと、
「はぁああああああああっ!!」
今度は緑色のロボット、風龍が降下してきて見事に着地すると、
「
背中の
ミサイルは全てその風の防壁に防がれ、後ろには通らない。
「ナイスだ! 風龍!」
炎竜はそう声を掛けた。
「炎竜先輩こそ」
風龍もそう返す。
だが、無差別に等しい攻撃は、観客にも向かう。
建物にビームガンポッドの弾丸が直撃し、巨大な看板が観客を圧し潰さんと落下する。
観客たちは悲鳴を上げて逃げ惑うが、逃げ切れない者達も少なくない。
だが、
「パワークレーン!!」
その看板に巨大なクレーンのフックが引っかけられ、落下を止めた。
そのクレーンの根元には青いロボット、氷竜の姿が。
「皆さん! 今の内に避難を!」
氷竜が呼びかける。
更に攻撃を受けた建物が崩れ、瓦礫が降り注ぐが、
「ヴァンレイ!!」
黄色いロボット、雷龍が放った電撃により、それらが砕かれる。
「絶対に護る! 安心してくれ!」
そう叫ぶ雷龍。
しかし、彼ら勇者ロボは、プログラム上人間に対する攻撃は出来ない。
故に、新統合軍機は勿論の事、テロリスト同然のアンノウン機にも攻撃することは出来ない。
「やむを得ん……! 地上はGGGに任せて、俺達はヴァールの迎撃に当たる! 各機、攻撃開始! 市民とワルキューレを守るぞ!」
アラドはヴァール化した新統合軍機に対し、攻撃を指示。
「…………ッ! 了解!」
メッサーは頭痛を振り払うように首を振ると、即座に返事をして攻撃を開始する。
だが、
「攻撃だって!?」
「相手は味方じゃん!?」
「正気を失っているだけかもしれません!」
ハヤテやチャック、ミラージュは相手が味方機という事もあり、攻撃を躊躇ってしまう。
「それがどうしたっ!?」
メッサーから帰ってきた返事は無情なものだった。
「たとえそうだとしても、今は敵だっ! 命を懸けて戦えっ! 守ることが俺達の任務! それは新統合軍のパイロットも同じ。彼らも覚悟はできている筈だ!」
メッサーは実戦の厳しさと、守るべき優先順位を間違えるなと叱咤する。
「……………ッ!」
ミラージュは新統合軍機の背後を取り、照準を合わせようとする。
「翼だけ………翼だけ狙えれば………!」
ミラージュは翼を撃ち抜いて撃墜せずに戦闘不能にしようとしていた。
だが、それを即座に行うだけの技量はミラージュには無い。
その為、ロックオンに時間が掛かっていた。
その時、
「デルタ4! チェック6!!」
「ッ!?」
メッサーから背後に気を付けろとの警告が飛ぶ。
照準に時間をかけていた所為で、アンノウンの1機に背後を取られたのだ。
ミラージュはそのアンノウン機に狙われていたが、メッサーがカバーに入り、その機体に損傷を与える。
「デルタ2!」
「撃つのを躊躇うから敵に後ろを取られる!」
メッサーは厳しい言葉をミラージュに投げる。
メッサーはそのままアンノウン機を墜とそうとしたが、その直前にアンノウン機の隊長機らしき機体がカバーに入ってきて、メッサーを牽制する。
「アル・シャハルに居た……!」
メッサーはアル・シャハルでもその機体と交戦しており、互角の戦いを繰り広げていた。
再び矛を交える2人。
そして、ハヤテも味方機を撃つことを躊躇っていた。
その時、ハヤテが狙おうとした新統合軍機の翼を飛来した閃光が撃ち抜く。
「何だ!?」
ハヤテが振り返ると、あるビルの屋上でアシュセイヴァーがスナイパーライフルを構えていた。
「アシュセイヴァー、ニール・ディランディ! 狙い撃つぜ!!」
アシュセイヴァーが放つスナイパーライフルの閃光が、新統合軍機の翼を正確無比に貫いていく。
「何て命中精度………!」
ハヤテはその精密射撃の腕に驚愕の声を漏らす。
しかし、それに気を取られた隙に、アンノウン機から分離したリル・ドラケンが複数機ハヤテのVF-31の後ろに回り込んだ。
「しまった………!?」
ハヤテは失態を悟りつつ、振り切ろうと機体を加速させるが、中々振り切れない。
リル・ドラケンからもビーム攻撃が放たれ、ハヤテは何とか被弾は免れるが、徐々に追い込まれてしまう。
「くっ………!」
ハヤテが歯を食いしばった時、突如としてリル・ドラケンの1機が爆発する。
「ッ!?」
ハヤテがその事に目を見開くと、上空から赤と白にカラーリングされたYF-29が飛来。
ハヤテの背後にいた残りのリル・ドラケンを撃ち抜き、撃墜する。
「あの機体は……!?」
ハヤテが声を漏らすと、
「YF-29!? 一体誰が!?」
チャックが驚いた声を漏らす。
すると、
「こちらはGGG。早乙女 アルトだ」
アルトから通信が入る。
「アルト!?」
ハヤテが驚くと、
「こちらは俺達に任せろ! お前達はワルキューレの防衛に専念するんだ!」
「りょ、了解……!」
アルトの言葉にハヤテは咄嗟に応えてしまう。
すると、複数のアンノウン機が、リル・ドラケンと新統合軍機と共にアルトのYF-29に向かって来た。
「ッ!? あの数……!」
「ちょ、ヤバいんじゃ……!」
ハヤテとチャックは危機感を覚えたが、
「……………ッ!」
アルトは集中すると、YF-29を敵部隊へ向かわせる。
その直後、敵部隊からミサイルが雨霰の様に放たれた。
だが、
「ッ!」
アルトはガウォークモードで急減速すると共にガンポッドで迎撃。
更に後退しつつ引き撃ちで約半分のミサイルを迎撃すると、ファイターに変形。
急加速しつつミサイルから逃れ、迎撃のミサイルを放つと、殆どのミサイルを撃ち落す。
更にバトロイドに変形してガンポッドやビーム砲で新統合軍機の翼を撃ち抜くと、残りのアンノウン機やリル・ドラケンを視線でロックオンすると、マイクロミサイルを一斉発射した。
そのミサイルは、リル・ドラケン全てを撃墜し、アンノウン機は迎撃されつつも少数を小破させる。
アンノウン機は分が悪いと判断したのかYF-29から離れていった。
「マジかよ………」
「あれがバジュラ戦役の英雄………」
ハヤテとチャックは呆然とした声を漏らす。
明らかに数の差がある状況で、一瞬で敵部隊を撤退に追い込んだ実力に驚愕したのだ。
まあ、これは単純にアルトの腕だけではなく、魔改造されたYF-29の性能のお陰である部分も大きいのだが。
ハヤテ達がワルキューレの防衛に付き、美雲とフレイアを中心としたワルキューレの歌でヴァールが沈静化へ向かって行く。
だが、その時アーネストから通信が入り、今回の攻撃が陽動であり、惑星ヴォルドールの首都が敵軍によって陥落したことが伝えられた。
すると、アンノウン機が突然攻撃を中止すると、編隊を組みなおし、スモークを発しながらそのカラーリングに変化が起こった。
今まで緑一色だった機体色に白や金の縁取りが施され、その尾翼に紋章が描かれる。
「あの紋章!?」
「やはり………空中騎士団!」
ミラージュやアラドが驚愕の声を漏らすと、アンノウン機が発していたスモークにも紋章が浮かび上がり、今までファイターモードしか見せていなかったアンノウン機がバトロイドモードに変形する。
その左腕に装備された盾にも、同じ紋章が刻まれていた。
すると、彼らの背後の紋章に重なる様に、1人の男の姿が映し出された。
『ブリージンガル球状星団、並びに全銀河に告げる! 私は、ウィンダミア王国宰相、ロイド・ブレーム!』
「嘘………ロイド殿下………?」
その言葉に、フレイアが驚愕の声を漏らす。
ウィンダミアとは、フレイアの出身惑星であるからだ。
『全てのプロトカルチャーの子らよ。我らウィンダミア王国は、大いなる風と、グラミア・ネーリッヒ・ウィンダミア王の名の下に、新統合政府に宣戦を布告する!!』
それは、ウィンダミア王国からの新統合政府に対する宣戦布告だった。
「…………どうして?」
フレイアは、突然の出来事にそう呟く事しか出来なかった。
はい、マクロスΔ編第4話でした。
結構時間すっ飛ばしました。
ハヤテの入隊試験は、まあミラージュとの関わりもあるので余計な事はしないと。
後は歓迎会でGGGメンバーがチラホラと。
ニールがダーツ得意なのは自分の勝手な想像です。
出てきてないメンバーはオービットベースの待機組という事で。
あとは、この戦いでゾンダーとか出すと宣戦布告がかすれてしまうと思ったのでゾンダーは出しませんでした。
ウィンダミアの空中騎士団の活躍はこの先にあるか分からんので………
次回はもしかしたら彼らが合流するかも?
お楽しみに。
マクロスΔ編でフロンティア勢は参加する?
-
参加させてウィンダミアを涙目にしてやろう
-
いやいや、ウィンダミアが可哀想でしょ?