転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件 作:友(ユウ)
SMSフロンティア支部のメンバーが合流してからまた少し。
惑星ヴォルドールへの潜入任務が開始されようとしていた。
潜入メンバーは、ケイオス・ラグナ支部からは、ワルキューレ全員とデルタ小隊のメッサー、ミラージュ、ハヤテが。
SMSフロンティア支部からはミシェルとルカ、クランが。
そして、GGGからは生身での戦闘を想定し、俺、ハル、ルネ、ラミア、そしてアクセルとアルト。
バックアップ要員としてルリ。
更に念のためにボルフォッグが同行することになった。
ヴォルドールの衛星軌道上で小惑星の影にアイテールとマクロス・ブレイバーが隠れていた。
衛星軌道上には、敵艦隊と監視衛星が多数展開されており、突破は容易ではない様に思われた。
普通なら。
「敵絶対防衛網のシステムを逆手にとって、侵入しましょう」
マキナがそう言うと、
「相手にとって不足無し」
レイナが不敵に笑う。
「クスッ……この世に」
「開かないドアは無い……!」
マキナとレイナが揃って告げると、レイナがハッキングの準備に入る。
相手のネットワークプロテクトを解析し、侵入を開始。
相手は軍事用のプログラムというだけあり、強固なファイアウォールが複数展開されているが、レイナはそれらを事も無げに突破してく。
更に自作のコンピューターウイルスを送り込み、データを書き換えようとする。
しかし、当然ながら相手のシステムもカウンターを仕掛けてきた。
だが、
「させません!」
ルカが別方向から侵入してきており、カウンターシステムやトラップを次々に無力化していく。
「………なかなかやる」
レイナが珍しく感心した声を漏らす。
ルカの援護のお陰で予定よりも早いペースで最終防壁まで辿り着くレイナ。
レイナも、最終防壁には多少手古摺ると予測していたのだが………
「………………防壁が無い?」
レイナが最終防壁に辿り着いたとき、最終防壁は既に解除されていた。
すると、レイナの横に空間モニターが開き、ルリの姿が映る。
「ども。最終防壁は既に解除済みです。先にお進みください」
ルリが事も無げにそう言った。
「ウッソ……!? レイレイとルカルカのコンビよりも早く最終防壁に辿り着いて解除したの………!? 信じられない!」
マキナが驚いた声を上げる。
「ッ…………!」
レイナは僅かに顔を顰めた。
どうやらプライドに障ったようだ。
だが、レイナはウィルスを敵システムに送り込み、監視網に穴を開ける。
その穴を通り、各バルキリーとワルキューレを乗せたシャトル、そしてジェイアークが惑星ヴォルドールへ降り立つのだった。
ヴォルドールは地表の60%が湿原であり、水と緑が豊富な惑星の為、バルキリーやジェイアークを隠す場所を探すことに苦労は無い。
そして、ヴォルドールに潜入する目的だが、ウィンダミアが戦略的価値がゼロに等しいこの惑星を占領した理由を探る為だ。
尚、ヴォルドール人は所謂猫耳や猫尻尾を生やした獣人の姿をしている。
よって、
「了解だ~にゃん!」
潜入組もそれに扮して任務に当たることになっている。
今のはカナメの指示に返事をした猫耳と猫尻尾を付けたフレイアだ。
「にゃんは要りません、にゃんは」
ミラージュが淡々と指摘する。
「うにゃん……に゛ゃ!?」
場を和ませようとするフレイアだったが銃の準備をするミラージュを見て絶句の声を漏らした。
すると、
「ねえ、ジェイ………」
ルネが声を掛けてくる。
「ん?」
俺が顔を向けると、
「にゃん♪」
可愛らしくポーズを取りながら鳴き真似をするルネ。
「ッ………!?」
その瞬間呼吸が止まる。
思った以上の破壊力だった。
俺が呼吸を落ち着けようとすると、
「にゃ~ん♪」
まるで揶揄う様な笑みを浮かべながらハルが俺の前で鳴き真似をした。
「…………っぐ!」
追加ダメージを受ける俺。
更に、
「ほらほら、ラミアも!」
「お、おい、ハル………!」
ハルがラミアの背中を押しながら彼女を促す。
そして、
「あ………う…………にゃ、にゃんっ………!」
戸惑いながらも赤面し、あざとくポーズを取りながら鳴きまねをするラミア。
「ぐふっ………!?」
普段のギャップもあり、一番のダメージを受けた。
すると、
「何を遊んでいる? 貴様ら………」
アクセルが呆れた声を漏らしながらこちらを見ていた。
当然アクセルも猫耳と猫尻尾をつけているのだが、
「……………意外と似合って無いか? アクセル」
堂々としているのは潜入任務の訓練も受けた事があるからだろうが、猫耳姿にあんまり違和感がない気が………?
「黙れ」
アクセルはそう言って押し黙る。
「何やってんだか」
アルトが俺達の様子を眺めながら呆れた声を漏らす。
「お前も序に女装すればよかったんじゃないのか?」
ミシェルがアルトにそう言うと、
「誰がするか!」
ムキになって言い返した。
「ククク………」
そんなアルトを見てミシェルは笑いを零した。
二手に分かれて街に潜入することになったが、カナメ、マキナ、レイナ、メッサー、ミシェル、ルカ、クラン、アルトのグループと、美雲、フレイア、ハヤテ、ミラージュ、俺、ハル、ルネ、ラミア、アクセルのグループで別れる事になった。
こうして分かれて行動を開始したのだが、
「…………珍しいですね? 美雲さんが一緒に行動するなんて………」
ミラージュが不思議そうに問いかけた。
ミラージュは美雲とコンビを組むことが多いが、美雲はいつも単独行動を取り、真面に行動を共にできた事など皆無だった。
それが、今回に限って一緒に行動しているからなのだろう。
「…………そういう気分もあるわ」
美雲は素っ気なさげに答える。
そのまま調査を進めていくが、これと言った成果は得られず、ハヤテに至っては猫アレルギーの為、猫型の獣人であるヴォルドール人に近付くだけでクシャミが止まらなくなったりと苦労していた。
だがある時、ヴォルドール人の子供2人が警備のバルキリーに向かって呼び掛けていた。
2人は男女の兄妹の様で、妹はワルキューレの歌を歌い、兄が必死に呼びかけている。
そのバルキリーに描かれていたエンブレムから、ミラージュがそのパイロットがヴォルドール軍のアルベルト・ララサーバル大尉だという事を突き止め、更に少年が叫んだ『父さん』という言葉で、2人がララサーバル大尉の子供だという事が判明した。
しかし、ララサーバル大尉は子供たちの呼びかけには全く反応せず、やってきた連絡車両からの言葉でその場を立ち去ってしまう。
しかも、名前では呼ばずに番号で呼ばれたにも関わらず、淡々と命令に従い、子供たちの言葉にも反応しなかった。
「……………胸糞悪いな………!」
俺は自然と拳に力が籠る。
「いくら大義名分を掲げても、やってることは最悪だね」
ルネも同意するように呟く。
その後、ボルフォッグや他の皆が集めた情報から、近くにある遺跡でウィンダミア軍が何やら怪しい事をしているという情報を得て調査に向かう。
途中、美雲がいつものように単独行動で姿を消してしまうが、再びハッキングで施設の警備システムを掌握し、その隙に潜入するも、遺跡内部で見つかったのは遺跡から湧き出る天然水と、大量のウィンダミアアップル。
それぞれ単品では全くの無害だったのだが、その2つを合わせるとヴァール化を促進・誘発する成分、セイズノールが合成されることが判明。
ウィンダミアが意図的にヴァールを広め、『風の歌』でマインドコントロールするという目的が明確になった。
その後、直ぐに侵入がバレたようで、警報が鳴り響き、俺達は脱出を急ぐ。
脱出する俺達だが、その途中美雲の歌が聞こえたフレイアが足を止めてしまい、その隙に隔壁によって分断されてしまった。
分断のされ方が偶然にも調査グループと同じだったが、ミラージュが分断されたメンバーに先に脱出するように伝え、俺達はハヤテが発見した通気口を通り、追っ手から逃れる。
まあ、俺やルネだったら隔壁位破れるのだが、俺達はあえて別ルートからの脱出を選んだ。
その理由は…………
「「「「「「「ッ!?」」」」」」」
その瞬間、俺達にサーチライトが当てられる。
「罠にかかったのは7匹か………」
その言葉から、通気口から逃走するのは予測されていたようだ。
既に出入口には人員が配置されており、逃げ道は無い。
「統合政府の犬どもと………裏切り者のウィンダミア人か」
「ッ………!?」
その言葉にフレイアが動揺する。
「空中騎士団!?」
ミラージュが叫ぶと、
「こいつらが………敵………!」
始めてその姿を見たハヤテが声を漏らす。
その時、正面の赤髪の騎士が飛び上がると、かなり高い段差から飛び降り、事も無げに俺達の前に着地する。
そして、
「風を汚す裏切り者………!」
「ッ………!」
赤髪の騎士の言葉にフレイアが何か言いたげに前に出ようとしたが、その前にハヤテが庇うように前に出た。
だが、赤髪の騎士は素早い身のこなしで接近してくると、
「ぐはっ!?」
「がはっ!?」
一瞬にしてハヤテは頬を殴られ、ミラージュは腹を殴られて制圧される。
ウィンダミア人は平均寿命が30年と短命だが、非常に高い身体能力を持つ。
バルキリー乗りになったばかりのハヤテは元より、多少鍛えただけのミラージュでは手も足も出なかった。
赤い髪の騎士はそのまま次の目標であるアクセルに向かい、拳を繰り出した。
そして、
「何っ!?」
赤髪の騎士は驚愕の声を漏らす。
赤髪の騎士が繰り出した拳は、アクセルの左手で受け止められていたからだ。
「フン………身体能力は大したものだが、技がなっていないな?」
アクセルは余裕の態度でそう口にする。
「チッ!」
赤髪の騎士は舌打ちすると、手を捻ってアクセルの手を振り解くと、そのまま後ろ回し蹴りを放つ。
だが、
「甘い!」
その蹴りを腕でガードすると、
「はぁあああああっ!!」
諸手の掌底突きを赤髪の騎士の腹に叩き込んだ。
「がはっ!?」
赤髪の騎士は吹き飛び地面に倒れこむ。
「「「ッ!」」」
その瞬間、別の出入り口を封鎖していた騎士が飛び降りてきて向かってくる。
青髪と紫髪の双子の騎士と、巨漢の騎士が降り立ち、向かってくる。
「「はぁああああああああっ!!」」
双子の騎士が同時にサーベルを抜いて斬りかかってくるが。
「ウィルナイフ!」
「ラディアントリッパー!」
ルネの緑の刀身のナイフの一撃と、俺の赤い光剣の一振りが2人のサーベルを断ち切る。
「「なっ!?」」
双子の騎士は同時に驚き、
「「はぁあああああああっ!!」」
俺とルネの同時に放った蹴りによって吹き飛んでいく。
そして、
「ぬぅぅぅ………!! 貴様………本当に地球人か………!?」
ラミアを制圧しようとした巨漢の騎士の腕をラミアがその細腕で掴み、完全に力で圧倒している。
「生憎と私は人造人間だ………! 唯の人間では………ない!!」
ラミアは巨漢の騎士を押し返すと、その場で飛び上がり、その頬に飛び蹴りを見舞った。
「ぐっ!?」
巨漢の騎士はその蹴りを受けて吹き飛ばされるが、自分から後ろに飛んで威力を軽減したようで、地面に倒れる者のすぐに身体を起こす。
「失礼いたしましたですことよ」
最後に変な言葉が出たが………
その時、別方向から応援に来た兵士達が銃を乱射してくる。
しかし、
「させないよ!」
ハルが防御壁で銃弾を防ぐと、
「せやっ!!」
サイコキネシスで遠くにいる兵士達を薙ぎ払った。
「馬鹿な………何故地球人如きに………!?」
赤髪の騎士があり得ないと言いたげな声を漏らす。
「貴様が弱かっただけの話だ。これがな」
アクセルがそう言い放つ。
「ほざくな!!」
再び向かってくる赤髪の騎士。
「こぉぉぉぉぉ…………!」
アクセルは独特の呼吸で息を吸い込むと、赤髪の騎士の一撃を往なし、
「ハッ! セイッ! でやぁあああああああっ!!!」
肘打ち、裏拳ときて、拳の乱打を叩き込んだ。
「ぐっ!? がっ!? ぐあぁあああああっ!?」
アクセルの反撃を諸に喰らい、最後の一撃で大きく吹き飛ばされた。
「………まさか、これほどやる地球人が居たとは………」
後方で見ていた最も高齢であると思われる騎士が冷静な目で俺達を見下ろす。
すると、
「茶番は終わりだ」
また別の男の声が聞こえた。
高齢の騎士の後ろの通路から、金髪の青年騎士が現れた。
「フレイア・ヴィオン。祖国を捨て、お前は何故汚れた者達の歌を歌う?」
金髪の騎士はフレイアに問いかける。
「祖国を………捨てて………?」
その言葉にショックを覚えるフレイア。
「私は、ウィンダミアを捨ててなんか………!」
フレイアは否定しようとするが、
「では何故歌う? 憎むべき者達の歌を………」
「ッ!? 私は………私は…………」
「お前はただ、歌という幻に取り付かれているに過ぎない」
「ッ!?」
「何の覚悟も持たぬ者の歌など戦場には不要。その震えるルンごと斬り落とし、祖国の大地に帰してやろう」
金髪の騎士はサーベルを抜きながら言い放ち、
「それが、同じ風の中で生まれた者としての、最後の情けだ」
切っ先をフレイアに向けた。
「ッ!?」
その恐怖に震えるフレイア。
その時、
「さっきから聞いてれば、好き勝手言ってくれちゃって………」
ルネが口を開く。
「ルネさん………」
「御大層な言い回しをしてるけど、あなた達がやりたいのは要は復讐でしょ? だから復讐しようとしないフレイアを許せない」
「貴様っ! 我らの大義を愚弄するか!」
双子の騎士の片割れが口を荒げる。
ルネはその様子を冷めた目で見据えると、
「確かに新統合政府のやり方は強引だったところもある。反感を覚えるあなた達の気持ちも分からなくはない」
「そうだ! 我々には制空権を確立し、ブリージンガルの星々を開放するという大義がある! 統合政府に強制的に併合された人々に、自由を取り戻すのだ!」
アクセルにボコられた赤髪の騎士が何とか起き上がってそう叫ぶ。
「だからこそ、そうやって綺麗事を並べて本音を隠すあなた達が気に入らない。復讐がしたいのなら、ハッキリとそう言えばいい。どれだけ綺麗事を並べても、あなた達がやっている事は新統合政府と大した違いはない」
「キッサマァ!!」
赤髪の騎士が激昂する。
「今のルネの言葉を否定したいのなら、何故あの子たちは泣いていたんだ?」
今度は俺が口を開く。
「何っ………?」
「お前達がヴァールを利用し、マインドコントロールの支配下に置いた兵士の子供達だ。あの子たちは泣いていたぞ。父さん、帰ってきて………と。お前達の行いが、そう言った子供達を増やしている事を自覚しているのだろうな?」
「先に我らの平和を土足で踏みにじったのは地球人だ!!」
「ウィンダミアは地球人が来るまでは静かな星だった……!」
「俺達は俺達の世界を取り戻す!!」
赤髪の騎士の言葉に便乗して双子の騎士達も言い放つ。
その言葉に、
「くくくっ…………!」
思わず笑いが零れた。
「何が可笑しい!?」
赤髪の騎士が叫んでくる。
「これが笑わずにいられるか。要は、お前達が行っている事の全ては地球人の所為だと言いたいのだろう?」
「ああ、その通りだ! 地球人さえ来なければ、俺達は平和に暮らせたんだ!!」
俺の言葉を肯定する赤髪の騎士。
「そうかそうか。ヴァール化を広げるのも地球人の所為。戦争で被害を広げるのも地球人の所為。人々をマインドコントロールして子供達を泣かせるのも地球人の所為…………か………………? ふざけるなよ………!」
思わず低い声で叫んでしまった。
「自分達の行いに責任を持たず、他者に責任を押し付け、自分達は悪くない? ガキかお前らは!?」
俺は言い放つ。
「ああ、これは戦争だ。負けるわけにはいかない。手段を選ばない理由も分からんでもない。だがな、その罪から目を逸らし、あろうことかその罪を他者に擦り付けるなど、それの何処に大義がある!? 大義があるというのなら、自分達が行った罪の重さを全て背負うぐらいの気概を見せて見ろ! それができなければ、お前達は唯のテロリストだ」
俺はそこまで言い切った。
「ジェイ………」
ハヤテが俺を見て声を漏らす。
その時、突然メロディーが流れ出した。
ワルキューレの歌だ。
それと共に、ワルキューレのホログラムが各所に現れ、敵を混乱させる。
その隙に救援に来たメンバーとその場を脱出した。
混乱の隙を突き、アラド隊長やオズマ隊長らが応援に駆け付け、自分達の機体に乗り込んだ俺達は、マインドコントロールされたヴォルドールの防衛軍や空中騎士団と対峙する。
その中でハヤテはマインドコントロールされたララサーバル大尉と対峙。
説得を試みるも、マインドコントロールされたララサーバル大尉は止まらない。
しかし、フレイアが飛び出し、迷いを振り切って歌った歌がララサーバル大尉のヴァールを鎮静化させることに成功。
空中騎士団の1機がフレイアを狙うが、ハヤテが迎え撃った。
フレイアの歌と共鳴し、感覚が引き上げられたハヤテは空中騎士団を圧倒。コクピットを外しつつ撃墜に成功した。
その隙に全員が退避に成功し、撤退するのだった。
はい、マクロスΔ編第7話です。
今回やってみたかったことは、アクセルの猫耳姿と空中騎士団を生身でボコる事です。
作品の中でも言いましたが、自分はウィンダミアの言い分は責任転嫁にしか思えなかったので。
手段を選ばないのはともかく、その罪を他者の所為にするなと。
なのでGGGの近接最強メンバーで逆にボコボコにしてやりました。
アクセルの生身の強さもかなり規格外なようなので存分に活躍させました。
今回はこんなもんで。
では、次もお楽しみに。
マクロスΔ編でフロンティア勢は参加する?
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参加させてウィンダミアを涙目にしてやろう
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いやいや、ウィンダミアが可哀想でしょ?