転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件   作:友(ユウ)

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Mission 08 閃光のAXIA

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

 

 

惑星ヴォルドールの任務からまた少し。

ラグナの恒例行事であるクラゲ祭りが近くなり、その準備が進む中、ハヤテとミラージュがメッサーのヴァール化が進んでいる事を知り、その事で色々と動く中で距離が近くなったりしていた。

そしてついにメッサーの身体が限界を迎え、デルタ小隊を脱退し、ヴァールが少ない星系に転属することが決まった。

 

 

メッサーが転属先へ発つ前日。

ラグナはクラゲ祭りで賑わっていた。

デルタ小隊やワルキューレの面々も、チャックの家族が経営しているラグ娘々の出店の手伝いで参加しており、中々に盛況である。

GGGやフロンティアメンバーも各々で祭りを楽しんでいた。

そんな中、マキナやレイナの発案で転属するメッサーに最後の思い出を作ってもらおうと、メッサーと、彼が気にしているであろう女性、カナメを引き合わせた。

桟橋で2人で並ぶ様子を伺うハヤテ、フレイア、ミラージュ、マキナ、レイナ、チャック。

また別の場所では、ジェイ、ハル、ルリ、ルネ、ラミア。

シン、ステラ、ルナマリア。

アルト、シェリル、ランカ。

ニール、フェルト。

リヒティ、クリス。

キョウスケ、エクセレン。

アクセル、レモン、更にはアルフィミィのグループで海を眺めていた。

 

「つか、GGGってカップル率たけーな。男女の比率もおかしいけどよ………」

 

そんな彼らの姿を見たハヤテがぼやく。

 

「ハルハルに聞いたけど、一夫一妻はあくまでそういう風に法律で決まってる場所が多いだけ。世界を渡り歩く自分達には関係ない。だって」

 

「正妻公認ハーレム」

 

マキナがハルから聞いた話を口にし、レイナが面白そうに笑みを浮かべながらそう言う。

 

「ハ、ハーレッ…………!?」

 

その言葉にフレイアが顔を真っ赤にしながら絶句し、

 

「ふ、不純ですっ……!」

 

ミラージュも顔を赤らめながら動揺する。

 

「いや、そうかもしれないけどよ………」

 

マキナの言葉にハヤテは呆れたような表情をするが、

 

「バジュラ戦役の英雄様も、歌姫2人と引っ付いてるしな」

 

チャックが楽しそうに口にする。

 

「英雄色を好む」

 

レイナはニヤリと笑った。

すると、

 

「あれ? クモクモ?」

 

マキナがハッとなって声を漏らす。

ジェイ達が集まっている桟橋の後方で、美雲がジェイ達を見つめていた。

 

「何やってんだ美雲さん?」

 

ハヤテが声を漏らすと、

 

「分かってねーなハヤテ」

 

チャックがハヤテの首に腕を回しながらそう言う。

 

「美雲、ジェイにラブラブ。熱視線」

 

更にレイナの言葉で、

 

「うぇっ!? マジかよ!?」

 

その言葉に盛大に驚くハヤテ。

 

「ふぇええええっ!? 美雲さんが!?」

 

「美雲さんが!? まさか……!?」

 

フレイアとミラージュも驚愕の声を上げる。

 

「まあ、クモクモ自身も気付いて無いと思うんだけどねー」

 

マキナが補足すると、

 

「まあ、俺も気付いたときには驚いたけどな。まさかあの美雲さんが誰かを好きになるなんて………」

 

チャックがそう口にする。

彼らにとって美雲は孤高の歌姫と言っていい存在であり、歌以外に興味を持つなど考えもしなかった。

 

「でも、確かにジェイさんが現れてから、美雲さんの単独行動も少なくなりましたし………」

 

ミラージュが思い当たる節を口にする。

 

「無意識にジェイジェイと一緒に居たかったんだと思うよ」

 

「ほえ~。あの美雲さんが…………」

 

フレイアが驚きながら声を漏らすと、

 

「けど、話を聞くに、あいつら原種って奴を倒しちまったらこの世界から居なくなるんだろ?」

 

ハヤテがその事実を口にすると、全員が視線を下げる。

 

「うん………そうらしいね………」

 

「叶わぬ恋………」

 

「だな…………」

 

湿っぽい空気が流れるが、突然祭りの明かりが消える。

 

「ん? 何だ?」

 

ハヤテが声を漏らすと、

 

「始まったな」

 

チャックがいよいよだと言いたげにそう言った。

 

「あっ!」

 

すると、フレイアが海面を指差した。

そこには、いくつもの光が浮かび上がっている。

それはラグナ固有種のクラゲだった。

クラゲが海面から浮かび上がり、空中へ昇っていく。

 

「ゴリゴリデカルチャー!」

 

フレイアが驚きを隠せずに叫び。

 

「なるほど、確かにクラゲの下だ」

 

ハヤテはそう零す。

ラグナには、『祭りの日、クラゲの下で愛を誓い合った恋人同士は永遠に結ばれる』という伝説があり、それを聞いたハヤテはその時、『クラゲの下』という言葉の意味が分からなかった。

その意味がやっと分かったのだ。

 

「年に一度………必ず9月の新月の日にクラゲは地上に上がり卵を産む………生命の神秘ってヤツだな」

 

その光景に、誰もが目を奪われた。

メッサーは自分の心の支えにしていた、カナメがメインボーカルを務めた曲、AXIAが収められた腕輪をカナメに託し、別れを告げた。

翌日、皆に見送られる中、メッサーはシャトルでラグナを後にした。

 

 

 

しかし、さほど間を置かず、アル・シャハルでヴァールが発生。

ヴァール鎮圧のために出撃することになった。

アイテール、マクロス・ブレイバー、マクロス・クォーターの3隻がアル・シャハルの衛星軌道上にフォールドアウトする。

だがその時、

 

「ッ!? ゾンダー!」

 

ハルの髪が赤く逆立ち、ゾンダーの出現を察知した。

 

「何っ!? 場所は!?」

 

ジェイが問いかけると、

 

「場所は………全部で5カ所!? この惑星の各地に反応がある!」

 

「何だと!?」

 

ゾンダーの5カ所同時出現にジェイが驚愕の声を上げる。

 

「くっ! こちらも戦力を分けるしかない! GGGはこれよりゾンダーの対処に当たる! ジェイアークで1カ所! ガオファイガーで1カ所! シン、ステラ、ルナマリアで1カ所! キョウスケ、エクセレン、ラミアで1カ所! アクセル、アルフィミィで1カ所だ! アルトとニールはマクロス・ブレイバーと共にデルタ小隊の援護を!」

 

ジェイは即座にそう言う。

 

「「「「「「「「「「了解!」」」」」」」」」」

 

尚、他の勇者ロボ達は、空中騎士団を相手にするつもりだったので、オービットベースで待機になっていた。

GGGの各機はESミサイルでゾンダーの出現場所へ散り散りになる。

各艦はそのまま惑星へ降下。

だが、そこには『風の歌』が響いており、パイロット達を苦しめていた。

それに対抗するためにワルキューレも歌い出し、プロトカルチャーの遺跡へ降下する。

 

「スカル小隊は、これよりスカル3が遺跡の解析を行う。解析が終わるまでスカル3と共にワルキューレを守り切れ!」

 

「「「了解!」」」

 

オズマの言葉にそれぞれが返事を返した。

ルカがレドームを展開し、ワルキューレの歌に反応する遺跡の解析を始める。

 

「この反応………やはりワルキューレの歌に共鳴してる………?」

 

ルカはそう漏らしながら解析を続ける。

だが、その時計器が異常な反応を示した。

 

「何だ!? この反応は!?」

 

次の瞬間、遺跡が激しい光を放ったかと思うと、美雲とフレイアが気を失ってしまう。

更にワルキューレの歌が止まったことで、空中騎士団が攻撃を仕掛けてきた。

デルタ小隊も応戦するが、エースであったメッサーが抜けた穴は大きく、苦戦は必至だった。

だが、

 

「うぉおおおおおおおおっ!!」

 

アルトの操るYF-29が空中騎士団が射出したリル・ドラケンを複数機一気に撃ち落とす。

更に、

 

 

「狙い撃つ!」

 

一筋の閃光がリル・ドラケンを正確無比に撃ち抜き、爆散させた。

ニールのアシュセイヴァーが放ったものだ。

それを見ていたミシェルが、

 

「やるねぇ。俺も負けてられないな!」

 

対抗心を燃やす様にスナイパーライフルを展開。

同じようにリル・ドラケンを撃墜した。

 

「やるじゃないか、アンタも」

 

ニールがミシェルに通信を入れる。

 

「そっちこそ。見事な腕前だ」

 

「へっ、同じスナイパー同士仲良く行こうじゃないか」

 

「フッ、それなら…………」

 

「「狙い撃つ!」」

 

2人の閃光が同じリル・ドラケンを撃ち抜いた。

アルトとニールの加勢により、思ったよりも優位に戦況を進めることが出来ていたデルタ小隊だったが、突然近くの都市の中で爆発が起こった。

 

「ッ!? ヴァールの暴動か!?」

 

それを見たハヤテが叫ぶが、

 

「いや、素粒子Z0反応を確認! ここにもゾンダーが!?」

 

アルトが叫ぶ。

都市の中央部には、守備隊のデストロイドを吸収したと思われる砲身を無数に展開した戦車型のゾンダーが居た。

そのゾンダーが無差別に攻撃を開始。

都市に甚大な被害を齎す。

 

「くっ! 空中騎士団はゾンダーは無視か! 仕方ない! ゾンダーは俺が対処する!」

 

アルトは方向転換し、ゾンダーへ向かう。

 

「くそっ! アルトまで抜けちまった!」

 

ハヤテが歯噛みしながら空中騎士団に応戦するが、白騎士の動きに翻弄される。

追い詰められていくハヤテだったが、突如として白騎士の機体が向きを変えて別方向に向かって行った。

 

「何が……!?」

 

その時、大気圏外から降下してくる物体があった。

それは、

 

「デルタ2! エンゲージ!!」

 

メッサーのVF-31だった。

白騎士は、メッサーの接近を感じて向きを変えたのだ。

 

「メッサー!? なんのつもりだ!?」

 

アラドが問いかけると、

 

「状況は聞きました………!」

 

「勝手な真似を!」

 

「まだ俺は、デルタ小隊の隊員です!!」

 

顔にヴァールの兆候である血管を浮かび上がらせながらメッサーは叫ぶ。

 

「メッサー………!」

 

叱咤しようとしたアラドだったが、メッサーの覚悟に何も言えなくなってしまった。

空中騎士団のボーグが、テオ、ザオと共にワルキューレを狙う為に遺跡に接近する。

 

「各機! ワルキューレを守れ!」

 

オズマが指示すると、ミシェルとブレラが前に出る。

そしてビームが放たれる瞬間、上空からメッサーのVF-31が急降下してきて攻撃を加えた。

陣形を崩されたボーグ達は退避するも、直前に放たれたビームがワルキューレに襲い掛かるが、直前で割り込んできたメッサーの機体がピンポイントバリアでそれを防ぐ。

その勢いで機体が倒れてしまうが、オズマたちが即座にカバーに入った。

 

「メッサー中尉! なんて無茶を!」

 

オズマが呼びかけたが、

 

「カナメさん! 無事か!?」

 

メッサーはカナメの安否を確認する。

 

「メッサー君!?」

 

カナメはメッサーの機体に駆け寄る。

 

「歌ってくれ! カナメさん!」

 

「メッサー君!」

 

「歌ってくれ! 俺がヴァールになり切る前に!」

 

バイザーを開いたメッサーの顔に、ヴァールの兆候が表れている事をカナメからも確認できた。

 

「ッ!?」

 

「カナメさん!」

 

メッサーは再度呼び掛ける。

カナメは不安そうに振り返り、美雲とフレイアの様子を確認するが、2人はまだ気を失ったままだ。

2人はワルキューレのエース的存在であり、カナメも2人が来る前はエースとして歌っていたが、2人………正確には、美雲が現れた事で自分にエースの才能は無いと感じていた。

そんな自分の歌でいいのかと自信を持てないカナメだったが、

 

「ッ……………! 分かったわ! メッサー君!」

 

メッサーの覚悟に応える為に、歌う事を決意した。

 

「ありがとう………! カナメさん……!」

 

メッサーは笑みを浮かべながら敬礼すると、バイザーを戻して機体を飛び立たせる。

そして、カナメは歌い出した。

 

「今、見た笑顔が 最後の笑顔かもしれない♪」

 

歌う曲は『AXIA』。

カナメがメインボーカルで歌った最後の曲であり、2年前にメッサーを救った曲でもあった。

 

「例えば別の人と 会話をする横顔も 尊い一秒♪」

 

カナメの歌を背に、メッサーは飛ぶ。

空中騎士団からの集中砲火を受けるも、メッサーはヴァールになるギリギリ一歩手前で踏みとどまり、それによって増幅された感覚で攻撃を見切ると弾丸の嵐を掻い潜り、次々とリル・ドラケンを撃墜する。

 

「羽根よりも命が 軽くなるこの世界で 君は私の生きる意味 だから出会えた♪」

 

そんなメッサーに白騎士であるキースが向かって行く。

 

「せつなさはこの胸のAXIA 片道だけの微熱で翔ける空♪」

 

メッサーとキースは激しい空中戦を繰り広げる。

メッサーが無数のマイクロミサイルを放つがキースはそれを全て迎撃し、お返しとばかりに無数のマイクロミサイルを撃ち返した。

 

「すぐ消える無慈悲な虹になる 悠遠の君が ダイスキでダイキライ♪」

 

メッサーは直撃コースのミサイルを迎撃しつつ掻い潜るが、キースに後ろを取られてビーム機銃による攻撃を受けるが、メッサーはそれを躱し、再びキースの後ろを取ろうとする。

 

「ひとりで生まれて 誰もがひとりで死にゆく♪」

 

互いが後ろを取り、更に後ろを取り返す。

交互にそれを繰り返しながら互角の戦いを繰り広げる2人。

その戦いに、敵味方問わず目を奪われていた。

 

「……………………」

 

だが、ブレラだけは何かに気付いたように一度目を伏せると、もう一度目を開き、自分の機体を飛び立たせた。

 

「スカル4!? どうした!? ブレラ!」

 

オズマが呼びかけるが、ブレラはそのまま飛んで行ってしまう。

 

「それでも私達は 独りきりじゃ生きられない 慕い合う周波数♪」

 

「フッフフフッ! 風が見える!」

 

メッサーとの戦いに昂りを覚えるキースは、フォールドクォーツを利用した短時間限定の推力増強システム『リヒート・システム』を起動。

Sv-262の推力が上昇し、更に加速する。

だが、メッサーの機体もフォールドウェーブシステムによりカナメの歌と共鳴し、その出力を上げた。

 

「疼く傷口へと 愛しさが滲みる 言えないままの一言が 瞳あふれた♪」

 

「もらったぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

メッサーは一瞬の隙を突いてビーム機銃で狙い撃ち、キースの機体の翼が被弾する。

しかしそれは、装着されていたリル・ドラケンであり、キースは分離させると被害を最小限に止める。

 

「死神、やはりお前も風に乗るか!!」

 

キースは嬉しそうにそう叫ぶと、反撃してミサイルコンテナに損傷を与える。

 

「ぐっ………!」

 

メッサーは爆発前にコンテナをパージして爆発から逃れた。

 

「涙さえ明日(あす)照らすAXIA 儚い粒子で繋げてゆく鼓動♪」

 

「うぉおおおおおおおおっ!!」

 

メッサーはキースの機体に正面から向かってゆく。

熱くなるメッサーに対し、キースは冷静であった。

 

「…………風?」

 

一瞬交わったキースの視線に何かを感じるメッサー。

 

「ッ………!」

 

だが、気を取り直すと、ビーム機銃を連射し、正面からくるキースを狙った。

しかし、その弾丸は先ほど分離した片側のリル・ドラケンを盾にすることによって止められる。

 

「ッ!?」

 

「陽炎に浮かぶ夢のように 永遠のフリをした薄情な情熱♪」

 

次の瞬間、爆炎の中を突っ切ってきたキース。

 

「うぉぁあああああああっ!!」

 

冷静なキースには珍しく、気合の籠った声を上げながら1発の弾丸を放った。

その一撃にメッサーは反応………………出来なかった。

メッサーの居るコクピット………

いや、メッサーの心臓を狙って放たれたその弾丸は、吸い込まれるように一直線にメッサーの心臓に向かい………………メッサーの機体の翼を閃光が撃ち抜いた。

 

「ッ!?」

 

その光景にキースが目を見開く。

翼を撃ち抜かれた衝撃で機体が傾き、キースの放った弾丸はコクピットのすぐ横を通過する。

 

「メッサー君!?」

 

思わず歌を中断し、声を上げるカナメ。

その直後、翼から煙を上げて高度を墜としていくメッサーのVF-31と入れ替わる様に向かってきたのは、紫色のVF-27。

ブレラの機体であった。

 

「ぐっ………何をっ……」

 

「貴様の負けだ。下がっていろ!」

 

ブレラはメッサーにそう言うとキースに向かって行く。

ブレラは、キースがリル・ドラケンを分離した時点で既にメッサーの負けを確信していた。

その為、メッサーの翼を撃ち抜くことでメッサーの命を救ったのだ。

 

「貴様っ!」

 

真剣勝負を邪魔された怒りか、キースはブレラに攻撃を仕掛ける。

だが、ブレラは瞬間的な加速を繰り返し、鋭角な機動でその攻撃を躱す。

これはブレラが常人よりも優れた耐久力を持つサイボーグだからこそできる機動であり、魔改造されたYF-29以外でこのような機動をすれば、生身のパイロットでは耐えきれないほどだ。

 

「ッ!? この冷たい風は………!」

 

キースもブレラがサイボーグであることに気付いたのか、そう評する。

反撃のビームキャノンがキースの機体を掠め、煙を上げる。

 

「チィッ! 死神との戦闘で消耗したこの機体では………!」

 

分が悪いと判断したキースは、撤退を開始した。

ブレラも深追いはせず、追撃はしなかった。

 

「…………………」

 

ブレラは不時着するメッサーの機体を見下ろした。

メッサーの機体はカナメの近くに不時着する。

 

「メッサー君!」

 

カナメがメッサーの機体に近付くと、メッサーはコクピットから降り立つ。

 

「…………うっ!」

 

「メッサー君!?」

 

倒れこむメッサーをカナメが支える。

メッサーの身体はヴァール化の影響でかなり危機的な状況だった。

 

「すみません…………カナメさん…………」

 

「駄目、喋らないで!」

 

「せっかく歌ってくれたのに………俺は………勝てなかった………!」

 

メッサーは悔しそうに拳を握りしめる。

 

「そんなことない! メッサー君は、ちゃんと私を護ってくれたわ!」

 

「カナメさん…………」

 

「ありがとう、メッサー君………!」

 

カナメが涙を浮かべながら礼を言う。

カナメには分かっていた。

抱きしめているメッサーの心臓の鼓動が弱まっている事に。

メッサーの身体は、度重なるヴァール化と回復の影響で内臓に酷いダメージを負っていた。

それが今回の戦いで、遂に限界を超えてしまったのだ。

メッサー自身もこうなる事は分かっていた。

メッサーは死を覚悟でワルキューレを………

いや、カナメを助けに来たのだ。

 

「メッサー君…………!」

 

カナメは震える声でメッサーの名を口にする。

その様子を悲し気に見つめる他のワルキューレの面々。

その時、上空にESウインドウが開き、ジェイアークと各地のゾンダーと戦っていた各機が現れた。

 

「ッ………! 戦闘は終わってしまったか!」

 

ジェイが地上の様子を伺うと、カナメに抱き上げられているメッサーを見つける。

 

「メッサー………! 間に合わなかったか………!」

 

ジェイはそう漏らすが、

 

『めっさー・いーれふぇるとノビジャクナセイメイハンノウヲカクニン』

 

「ッ!」

 

 

トモロの報告にジェイは目を見開く。

 

「生きているのか!?」

 

『アア。ダガ、セイメイハンノウハヨワマッテイル。コレイジョウハキケンダ』

 

「メッサーを医療ポッドに入れるぞ! トモロは準備を! ハルはアルトが確保したゾンダー核の浄解を!」

 

『リョウカイ』

 

「うん!」

 

ジェイ達は、メッサーを救う為に行動を開始するのだった。

 

 

 

 





はい、マクロスΔ編第8話でした。
まあ、何だかんだでメッサー生存です。
どうやって助けるかで悩みましたがTV版基準で死にそうになる所をブレラの横槍で救われる形に。
ブレラならこういう助け方もアリ?
因みにパイロットの腕はデルタ勢よりもフロンティア勢の方が上だと思っています。
その違いが分かるのが、視線でのミサイルロックオン時の眼球の動き。
それぞれの隊長であるアラドとオズマの差を比べても、オズマの方が圧倒的に動きが速いのです。
尚、TV版フロンティアの最終話のアルトでもオズマと同等のロックオン速度を見せているので、この小説ではそれ以上になってます。
さて、メッサー生存によってこの先どうなるのか?
因みにしばらくはメッサー戦闘不能です。
次もお楽しみに。
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