転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件 作:友(ユウ)
アル・シャハルでの戦闘で限界を迎えたメッサーを、俺はジェイアークの医療ポッドに運び込んだ。
ある程度の結果が出たところで、俺は皆に報告するためにマクロス・ブレイバーのブリッジへやってくると、
「ッ! ジェイさん! メッサー君の容態は!?」
カナメが切羽詰まった表情で問いかけてきた。
「落ち着け。一先ず一命は取り留めた。このまま安静にして居れば大丈夫だ」
俺の言葉に、カナメはホッと息を吐く。
「だが、暫くはポッドから出られないだろう。肉体や内臓の損傷はかなり深いところまでいっているし、ヴァールシンドロームに関しても、同じフォールド細菌が原因だとしてもシェリルのV型感染症とはまた毛色が違うようだからな。すぐに完治とはいかない」
俺がそう言うと、
「えっ!? メサメサ治るの!?」
マキナが驚いた声を上げる。
この世界では、未だヴァールシンドロームに対する有効な治療法が見つかっていないからだろう。
「時間を掛ければな。赤の星の技術力を舐めないで貰おう」
俺は自信を持ってそう言う。
「この際だ。治療の際のデータはそちらにも渡そう」
俺は序とばかりにそう言う。
「そいつはありがたい。ヴァールに対する有効な治療法の確立の助けになるかもしれん」
アラドが笑みを浮かべてそう言った。
遺跡のある星々の位置関係から、ウィンダミアの狙いが球状星団の全惑星を包囲するフィールドを形成する事だと判明する。
それは球状星団の人間80億全てをコントロール下に置くことを意味していた。
そして、残る遺跡のある惑星はアル・シャハルとラグナだったのだが、間を置かずアルシャハルにウィンダミアが侵攻。
プロトカルチャーの遺跡から発掘した古代戦艦シグル=バレンスと風の歌の力により、僅か15分でアル・シャハルは陥落した。
その為、ケイオスは急遽残存する戦力をラグナに集結。
風の歌が24時間以内に連続で使われた事が無い実績を元に、アル・シャハルへ奇襲をかける作戦を立案し、そのためのブリーフィングが行われた。
「奇襲攻撃は、デルタ小隊とワルキューレ、スカル小隊を中心にラグナ支部で行う。俺達はワルキューレの歌を常に身近で聞いているからな。諸君よりも風の歌への免疫は強い筈だ。あと、可能であればGGGの諸君にも加わって欲しいのだが………」
アラドがそう言いながら俺の方を向く。
その言葉に俺は、
「……………今回、GGGはラグナの防衛に回らせてもらおう」
そう返した。
「ッ!?」
「どうして!?」
美雲が意外そうに眼を見開き、ハヤテが聞き返してくる。
「奇襲で一番気を付けなければいけない事は、逆に奇襲をかけられる事だと思っている。先程美雲も言ったが、風の歌は歌い手に多大な負荷をかける………それには俺も同意する。風の歌を連続して使う事は、歌い手の命を削る行為だろう…………だが、逆を言えば、命を削れば可能という事だ」
「「「「「「「「「「ッ!?」」」」」」」」」」
俺の言葉に全員がハッとなる。
「ウインダミアの言い分には共感できないが、奴らの覚悟だけは本物だ。命を削る行為すら平然とやりかねん」
「なるほど………確かにその通りだ。それに、元々GGGに対しては我々に指揮権がある訳ではない。君達の判断を尊重しよう」
アーネストが納得したように頷くと、
「他の者もラグナの防衛に就いてもらう! 作戦開始は0400! 以上、解散!」
そう締めくくった。
作戦開始までの間、各々の時間を過ごす中、ミラージュは戦線離脱したメッサーに代わり、中尉に昇進。
デルタ2としてデルタ小隊の副隊長となった。
更に新統合軍がやってきてラグナの遺跡を反応弾で破壊する事を提案。
アーネスト達は反対し、レディMも新統合軍と話をつけ、奇襲攻撃の結果が出るまで爆破は行わない事が決まった。
まあ、俺達のやる事は決まっているがな。
そして翌日の早朝、マクロス・エリシオンとマクロス・クォーターが発進。
アル・シャハルへ向けて飛び立っていった。
それをマクロス・ブレイバーの甲板から見上げていた俺は、
「…………さて、こちらも準備するか」
そう呟くと踵を返した。
【Side 三人称】
そして、程なく衛星軌道上にシグル=バレンスを中心としたウインダミア艦隊がデフォールドし、衛星軌道上の防衛部隊と戦闘に入る。
遅れてデルタ小隊やスカル小隊もデフォールドし、戦闘に参戦するが、シグル=バレンスの降下を許してしまった。
更にワルキューレを乗せたアイテールもデフォールドし、シグル=バレンスを追って降下すると共にワルキューレが歌い始める。
だが、惑星上での戦闘が始まって少ししたとき、新統合軍が遺跡に仕掛けた反応弾を爆破。
指向性とはいえ巨大な爆発が起こり始めた。
その爆発は、敵味方問わず多くのバルキリーを飲み込みながらシグル=バレンスをも飲み込み、
「イレイザーヘッド! 発射ぁっ!!!」
その爆発が拡がるより早く強攻型のマクロス・ブレイバーの左腕の甲板に待機していた超竜神がイレイザーヘッドを発射。
爆発のエネルギーを宇宙へと放出する。
「これはっ!?」
「爆発のエネルギーが上空へ!?」
アラドとミラージュが驚いた声を上げる。
だが、ジェイは少しおかしい事に気付いた。
反応弾にしては、放出されるエネルギーの量が少ないのだ。
以前にも反応弾に対してイレイザーヘッドを使ったことはあったが、その時はもっと放出エネルギーは多かった。
ジェイがそう思っていると、
『ぷろとかるちゃーノイセキガハンノウダンノえねるぎーヲキュウシュウシテイル』
「ッ!」
トモロの言葉にジェイはハッとなる。
直後、シグル=バレンスを始めとした多くの艦艇が無事な姿を見せた。
すると、遺跡があった場所に亜空間から謎の建造物が転移してくる。
それを確認すると、新統合軍の艦艇は撤退していった。
「ああいう態度が反感を買う理由だと思うんだがな」
それを見ながらジェイは呆れた声を漏らした。
直後、シグル=バレンスと現れた遺跡がリンクを構築。
情報交換を始める。
そして
『♪♪♪~~~~~~♪♪♪♪♪♪~~~~~~~~~』
ついに風の歌が響き始めた。
シグル=バレンスが変形しながら遺跡との接続を試み始めた。
各部隊のパイロットにヴァール化の兆しが表れ始める。
だが、
「そう思い通りに行くと思うなよ?」
ジェイは以前より立てていた仮説を試すことにする。
「シェリル! ランカ! 頼んだぞ!」
ジェイが叫ぶと、
「漸く? 待ちくたびれたわ!」
「やってみる!」
マクロス・ブレイバーの甲板にフォールド・サウンド・ステージが現れ、ステージ衣装のシェリルとランカが姿を見せた。
そして、
『君は誰とキスをする♪』
『わたし『それとも』わたし♪』
『君は誰とキスをする♪』
『『星を巡るよ 純情♪』』
2人が歌い始める。
シェリルとランカにはワルキューレのようなフォールド・レセプター因子は無い。
その為、ヴァールに対しては殆ど効果を持たない。
しかし、
『弱虫泣き虫連れて まだ行くんだと思う わたし♪』
『愛するより求めるより 疑う方がずっと たやすい自分が悔しい♪』
2人の歌に含まれるフォールドウェーブが拡がると、シグル=バレンスのシステムに異常が現れ始めた。
「何だ!?」
ウィンダミアの指揮官であるグラミア王が兵士達に問いただすと、
「敵サウンドウェーブにより、シグル=バレンスと遺跡のリンクが阻害されている模様!」
「ワルキューレか!?」
ロイドが問いただすと、
「いいえ! ワルキューレとは別の波長です! これは………GGGを名乗る組織の母艦から発せられています!」
兵士が次々と報告する。
『痛いよ 味方だけど愛してないとか♪』
『守れるけど側にいれないとか♪』
『苦い二律背反♪』
『今『すぐ』タッチミー♪』
『『運命ならばつながせて♪』』
(この歌は一体………!?)
風の歌い手であるグラミア王の息子、ハインツ・ネーリッヒ・ウインダミアはシェリルとランカの歌に動揺する。
ハインツも歌ってはいるものの、その効果は著しく減衰していた。
『君は誰とキスをする♪』
『わたし『それとも』わたし♪』
『『心揺らす言葉より 無責任に抱いて 限界♪』』
シェリルとランカの歌が風の歌を巻き込み、かき消していた。
「この風………まるで嵐………いや、全ての風を巻き込み飲み込む台風か………!」
グラミアはシェリルとランカの歌をそう評した。
「シェリルさんとランカさん………凄い………」
アイテールから2人の歌を聞いたフレイアが呆けたように呟く。
「2人のフォールド・ウェーブが風の歌をかき消してる!?」
カナメがデータを表示させながらそう叫ぶ。
「あれが、バジュラ戦役の歌姫………」
美雲が呟く。
「…………私達も負けていられないわね!」
美雲が気を取り直す様に言うと、ワルキューレのメンバー達が頷いた。
マクロス・ブレイバーでは、
「各機発進! 敵艦と遺跡のドッキングを阻止する!」
ジェイがそう言うと、勇者ロボを除いた全機が発進。
更にジェイアークも浮上し、シグル=バレンスへと艦首を向けた。
「GGGに動きあり! 機動兵器が発進した模様!」
ウインダミアの兵士が切羽詰まった声で報告する。
「………地球人に味方するか………異なる風を持つ者達よ………!」
グラミアは忌々しそうに呟く。
「風の歌も敵サウンド・ウェーブにより効果が見込めません……! このままでは………!」
「ぬぅ………!」
ロイドの言葉にグラミアが声を漏らした時、
「ッ!? 敵母艦上空にアンノウン出現!!」
突如としてそんな報告が上がった。
アイテール上空に、突如として紫色の八角形の巨大な柱のような物体2つが出現した。
「何!?」
美雲がその物体を見上げながら叫ぶ。
「あれはっ………原種!!」
ウインダミア軍と戦っていたアルトが叫ぶ。
すると、その柱………原種の恒星間航行形態の所々が輝き始め、
「重量子! 密度増大!!」
反応を捉えたルカが叫ぶ。
「磁場チューブの形成を確認!! この向きは………!? やばい! 奴らの狙いは……!」
チャックが切羽詰まった声で叫び、
「ワルキューレか!?」
アラドが目を見開く。
「フレイア!!」
それを聞いたハヤテが叫ぶ。
次の瞬間、2体の原種の柱の間にエネルギーが集中し、巨大なビームがアイテールへ向けて発射された。
その攻撃のエネルギーは、原種1体で3000万kw以上に上り、アイテールのピンポイントバリアなど容易く貫き、沈めるだろう威力を持っている。
「「「「「ッ!?」」」」」
ワルキューレがその光景に目を見開き、死を感じた。
その刹那、
「させん!!」
巨大な物体が横から射線軸上に割り込み、その攻撃を受けた。
「ッ!?」
「あれは!?」
その攻撃に割り込んだのは、
「ジェイアーク!?」
カナメが閃光から目を庇いながら叫んだ。
その直後、ジェイアークが爆煙に包まれ、そのまま高度を落として海に沈む。
「ジェイアークが………!?」
フレイアが悲痛な声を漏らす。
「ジェイジェイ! ハルハル!」
マキナも叫んだ。
「ジェイアークが………沈んだ………?」
「嘘だろ…………?」
アラドやハヤテが信じられないといった表情で声を漏らす。
「…………ジェイ……………?」
美雲は呆然と目を見開きながらジェイの名を呟いた。
だが、
「う、歌わないと………」
美雲は気を取り直して原種の攻撃で止まってしまった歌を再開する。
しかし、
「美雲のフォールド・レセプター、ノンアクティブ!?」
カナメが異常に気付く。
美雲の歌が明らかにおかしいのだ。
いつもは高い数値を示すフォールド・レセプター数値が急激に低下している。
「今の美雲の歌、チクチク来ない………グルグル……グチャグチャ………!」
レイナも美雲の歌をそう評する。
「美雲!」
カナメが美雲に向かって叫ぶが、美雲は歌い続ける。
だが表情は何処か辛そうで、それでも気丈に振舞っているようにも思える。
その姿が痛々しくて見ていられなかったカナメは、
「美雲! 一度止まって!」
カナメは美雲の手を取るが、
「ッ!」
美雲は放せと言わんばかりにその手を振り解いた。
「止まりなさい美雲!」
カナメは今度は肩を掴む。
「邪魔しないで! 私は歌わないと………!」
美雲はカナメに振り向きながら叫ぶ。
「ッ!」
その姿にカナメは目を細めると、
「いい加減にしなさい!!」
パンッ、と美雲の頬に平手を見舞った。
「ッ!?」
突然の事に、一瞬呆ける美雲。
打たれた頬に手を当てながらカナメに向き直ると、
「美雲、いい加減自分を誤魔化すのはやめなさい! 今あなたはショックを受けてる! ジェイアーク………いいえ、ジェイさんがやられた事で!」
「な、何を言ってるの………? 歌だけが私の全て………そんな筈………」
「確かに以前まではそうだったかもしれない! だけど、今の美雲は違う! あなたは、確実にジェイさんに仲間や興味以上の感情を持っていた!」
「わ、私が…………?」
美雲は困惑した表情を見せる。
だがその時、空中騎士団のボーグのSv-262がチャンスとばかりにアイテールに向かって来た。
『あれが何なのかはよくわからんが、このチャンスを逃してなるものか!!』
ボーグはアイテールの防衛部隊を突破すると、
『くらえぇぇぇぇぇぇっ!!』
ボーグはビームを発射し、それがアイテールのフォールド・サウンド・ステージに直撃する。
フォールド・サウンド・ステージのシールドが罅割れ、防ぎきれずに砕け散った。
「「「「「きゃぁああああああああっ!?」」」」」
ワルキューレ達は庇い合って伏せた事で直撃は免れたが、無防備な状態だ。
「敵空母のサウンド・フォールド波、沈黙!」
シグル=バレンスで観測していた兵士が叫ぶ。
「GGGの母艦のサウンド・フォールド波も停止しています!」
「本艦と出現したプロトカルチャーシステムとの同調、安定!」
「本艦の攻撃システムも起動しました!」
シグル=バレンスの乗員たちが次々と報告する。
「風向きを変えるチャンスは今を置いて他に無し! 全艦攻撃準備! 目標! 敵空母!!」
グラミアが号令を掛ける。
シグル=バレンスの4つの主砲にエネルギーがチャージされ始めた。
アイテールでは、ワルキューレ達が身を起こし始める。
「皆無事!?」
「何とか………」
カナメの言葉にレイナが答えたが、
「美雲さん!?」
フレイアが叫ぶ。
美雲が腕を負傷していた。
「これぐらい………ッ!」
美雲は強がりを言いながら起き上がるが、その時シグル=バレンスの主砲にエネルギーが集中しているのに気付いた。
次の瞬間、4条の閃光が放たれる。
その光は防衛部隊のバルキリーを飲み込みながらアイテールに迫る。
「くっ………!」
カナメは悔しそうに歯を食いしばり、マキナやレイナは抱き合って目を瞑る。
「あぁっ………!」
フレイアは迫りくる脅威に声を漏らし、
「…………………………ジェイ」
美雲は自然とジェイの名を口にし、目を伏せた。
その瞬間、アイテール直下の海面から凄まじい水柱を上げながら白き巨神が飛び出した。
「うぉおおおおおおおおおおおおっ!!」
白き巨神――キングジェイダーがアイテールの前に立ち塞がると、
「ジェネレイティングアーマー! 全開!!」
『リョウカイ』
その身を防御フィールドで包み込み、シグル=バレンスの主砲を受け止める。
キングジェイダーは爆発に包まれるが、すぐに爆煙の中から無傷の姿を現した。
「これは………?」
フレイアが声を漏らすと、
「キングジェイダー…………」
マキナがその名を口にする。
「キングジェイダー?」
フレイアが聞き返すと、
「データで見ただけだけど、ジェイアークが人型に変形した姿だよ」
「ッ! それじゃあ!」
カナメが声を上げると、キングジェイダーが振り返ってワルキューレを見下ろし、
「無事か?」
そう問いかけた。
「ジェイさん!」
フレイアが表情を明るくして声を上げる。
「ッ……………! ジェイ…………!」
美雲は思わず目に涙を浮かべながら笑みを浮かべた。
そんな美雲を含めたワルキューレをキングジェイダーは確認すると、上空の原種を見上げる。
「よくもやってくれたな………? お返しはさせてもらうぞ! ゆくぞ! ガオファイガー!!」
「了解!」
原種が現れた事でこちらに向かっており、たった今到着したたガオファイガーに向かってキングジェイダーが呼びかけると、ガオファイガーは応える。
それと同時に、ワルキューレが再び歌い出した。
「一度だけの恋なら 夢の中で遊ぼう♪」
「「「「「我儘なキスをしよう♪」」」」」
その歌は今までとは一味違っていた。
その最大の理由は、
(心が熱い………! 喜びで満ち溢れてる………! これが、『恋』というものなの………!?)
美雲が自分の気持ちを自覚したからだ。
キングジェイダーと共にガオファイガーがスラスターを吹かし、上空の原種へ向かって行くと、原種が再び砲撃の準備を始めた。
すると、ガオファイガーが前に出て、
「プロテクトウォール!!」
砲撃が放たれると共に左腕を前に突き出し、防御フィールドを形成。
放たれた砲撃を湾曲させ、原種達に跳ね返した。
跳ね返された砲撃が原種達を掠め、損傷させる。
更に上昇して来たキングジェイダーが左右それぞれの手を2体の原種に向かって伸ばし、
「五連メーザー砲!!」
その指先からメーザーを放った。
原種はバリアで防ごうとするが、その威力に耐えきれず、その身を貫かれて爆発を起こし、高度を維持できずに落ちていく。
「ゴルディマーグ!!」
「よっしゃぁっ!!」
ガオファイガーの呼びかけにゴルディマーグがマクロス・ブレイバーのカタパルトから射出されると、
「ゴルディオンハンマー。発動、承認します」
マクロス・ブレイバーの艦長席でルリが金色のキーを艦長席に設けられた鍵穴に差し込み、回転させる。
すると、フェルトのオペレーター席のパネルが回転して別のパネルが現れた。
フェルトは金色のカードキーを取り出すと、
「了解……! ゴルディオンハンマー、セーフティディバイス………!」
差込口に差し込み、
「リリーヴ……!」
一気に下へスラッシュした。
それによってゴルディマーグのセーフティプログラムが解除される。
「システムチェーンジ!!」
ゴルディマーグがシステムを組み替え、ゴルディオンハンマーと巨大な腕、マーグハンドへと変形する。
「ハンマァァァァァッ………コネクト!!」
右腕を分離させたガオファイガーがマーグハンドをドッキングさせ、ゴルディオンハンマーを掴む。
「ゴルディオン………ハンマァァァァァッ!!!」
ゴルディオンハンマーの余剰エネルギーにより、ガオファイガーが金色に輝く。
マーグハンドの側面から光の杭を抜き出すガオファイガー。
更に、
「ジェイクォォォォォォス!!」
キングジェイダー巨大な錨が装着された右腕を真っすぐに伸ばすと、その錨にJパワーが集中し、赤く輝き出す。
「ハンマァァァァァッ………ヘルッ!!」
ガオファイガーが墜落しかける原種に向けて光の杭を撃ち込み、ゴルディオンハンマーでさらに深く打ち込む。
それと同時にキングジェイダーの錨が射出されると同時に火の鳥を形作り、もう1体の原種へ向けて羽搏いた。
火の鳥はそのまま原種を貫通。
「ハンマァァァァァッ………ヘブンッ!!」
ガオファイガーはマーグハンドから巨大な釘抜きを展開し、光の杭を引き抜くと原種核を確保。
同時に原種を貫いたジェイクォースがキングジェイダーの右腕に戻り、再び装着されると、その先には原種核が確保されており、キングジェイダーは右手で原種核を掴んだ。
そして、
「原種よ! 光になれぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」
ガオファイガーがゴルディオンハンマーを振り被り、原種の体へ叩きつけた。
光の粒子にまで分解され、原種は消え去る。
そして同じ頃、空中騎士団とデルタ小隊、スカル小隊の戦いは佳境に入っていた。
『この地球人がぁぁぁぁぁっ!!』
ボーグが忌々しく叫びながらハヤテのVF-31に迫る。
だが、
「読める………! 奴の動きが………!」
ワルキューレ、いや、フレイアの歌にVF-31とハヤテ自身が共鳴。
出力が上がると共にハヤテの感覚も拡張される。
ボーグの攻撃を神業とも言うべき動きで躱し切った。
『避けた!?』
ボーグが信じられないといった声を漏らす。
「このカンジ………!」
ハヤテは初めて空を飛んだ時のような高揚感を覚える。
ボーグの動きを先読みし、その機体を照準に捉える。
「こいつ……! 俺の風を……!?」
ボーグは最後の足掻きとばかりに急制動を掛けたが、それすらハヤテは読んでいた。
ハヤテもほぼ同時に急制動をかけ、その照準は外していない。
「うぉおおおおおおおおっ!!」
ハヤテはビームキャノンを発射し、ボーグの機体の武装を破壊し、機体本体にも大きなダメージを与えた。
『くぅぅっ!?』
ボーグは悔しそうな声を漏らして高度を下げていった。
そしてもう1つ、高機動戦闘を行っている2つの機体があった。
それは、
『くっ! このサイボーグ如きが………!』
白騎士であるキースと、
「………………」
現在のスカル4であるブレラだ。
前回の戦いでは消耗していたキースが不利だったが、今回はどちらも万全。
前ほど一方的ではない。
しかし、それでも戦いはブレラが優位に進めていた。
ブレラはサイボーグの為、無人機のゴーストに近い戦闘機動が可能だ。
更にブレラの腕もエースの中でも高い技量を持っているため、彼に対抗できる人間などアルトを含めて極僅かだ。
「白騎士様!」
他の空中騎士団も援護に入ろうとするが、2人の戦いに介入できる腕前を持つパイロットはおらず、その上他のデルタ小隊やスカル小隊の相手で手一杯であった。
2機が空中で交差を繰り返し、その度に爆炎が輝く。
その2機が並び、互いに照準を合わせ合う。
『うぉおおおおおおおおおおおおおっ!!』
キースが叫びながら砲口をブレラのVF-27に向ける。
「………………………」
対するブレラは無言で照準を合わせる。
そして、キースの機体のビームキャノンが放たれる瞬間、
「ッ!」
ブレラは機体をバトロイドに変形させ、更なる急制動を掛けた。
キースの放ったビームは紙一重で空を切る。
『何っ!?』
キースは驚愕の声を上げる。
ブレラはガンポッドをバーストモードに変形させ、高出力ビームを放った。
『ぐあっ!?』
その一撃はコクピット付近を掠めなら機体の左側を貫く。
機体を損傷し、自身も負傷したキースは戦線を離脱していった。
「くっ…………!」
グラミアは悔しそうに目を伏せる。
大勢はウインダミア軍が不利。
白騎士であるキースや、空中騎士団のボーグも墜とされ、巻き返しはほぼ不可能。
「上空より、敵母艦が降下してきます!!」
更なる報告が届く。
大気圏外からマクロス・エリシオンが降下して来たのだ。
「アーネスト…………」
駄目押しとばかりに現れたマクロス・エリシオンに、グラミアは目を開けて決意した表情をすると、
「この戦いは我らの負けだ。全軍撤退せよ!」
その言葉に動揺が広がる。
「陛下!」
ロイドが窘める様に叫ぶが、
「命令だ! 後の勝利の為に、今は退くのだ!」
グラミアは再度命令する。
「ッ………! 心得ました。これより撤退準備に入ります」
ロイドは頷くと、各位に命令を伝達する。
シグル=バレンスが遺跡から離れて上昇を始め、各部隊も撤退を始めた。
それを見て、
「勝った………?」
チャックが呆然と呟く。
「ふう………何とか守り切れたようだな………」
アラドも安堵の息を吐いた。
「GGGのお陰で反応弾の被害も最小限に留められた。感謝しなければな」
アラドはそう言いながらキングジェイダーを見上げたのだった。
はい、マクロスΔ編第9話です。
今回はラグナでの戦いでした。
なんとラグナを守り切ってしまうという展開。
原種の横槍も入りましたが、まああっさりと退場。
一時的にもジェイアークを沈めるには原種出さないと無理なので。
で、そのお陰で美雲が自分の心を自覚したという………
白騎士はブレラに倒してもらいました。
そんで、シェリルとランカの歌はヴァールには効果なくても風の歌を封殺できるという設定。
ぶっちゃけこの時のハインツは義務感と使命感で命を捨てる覚悟をしているだけで、歌そのものに対してはあまり思い入れが無いと思ったので、シェリルとランカには遠く及ばないと思ったのです。
さて、原作を大きく逸脱してしまったこの小説ですが、どうなるんでしょうか?
次回もお楽しみに。