転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件   作:友(ユウ)

146 / 153
Mission 11 永遠のワルキューレ

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

 

 

フレイアの誕生日からまた少し時間が経った。

ウインダミアの計画をより明確にするために、ケイオスはラグナの遺跡を調査することにした。

その結果、やはり風の歌を使用することで球状星団全域をマインドコントロール下に置くことが出来る可能性が高い事が判明。

ケイオスは事態打開の為にプロトカルチャーのシステムと連動していると思われるシグル=バレンスを破壊する作戦を行う事が決定した。

尚、遺跡を破壊しないのは、遺跡のメインシャフトが惑星の中枢まで達しているので、破壊することで惑星そのものにどんな影響があるか分からないからだ。

その作戦内容は、ワルキューレのライブ配信に乗せてレイナ謹製のウィルスを球状星団全域に感染させ、それで敵の目を欺き、その隙に惑星アルヴヘイムにある遺跡を利用してフォールドゲートを開き、次元断層に包まれた惑星ウインダミアへフォールドするというものだ。

その際、陽動としてマクロス・エリシオン、並びにマクロス・クォーターが惑星ランドールへ攻撃を仕掛けることになっている。

陽動であることを見抜かれない様にスカル小隊も陽動側に回り、更にシェリルとランカもマクロス・クォーターで歌う事になった。

そして、デルタ小隊とワルキューレ、GGGがマクロス・ブレイバーで本命である惑星アルヴヘイムに降下。

以上の作戦を行う事が決まった。

 

 

 

 

 

 

 

ある時、球状星団の通信機器に騎士のような衣装のワルキューレが映し出される。

 

『銀河ネットワークをご覧の皆さんへ! 現在、球状星団はウインダミアの支配下にあり、私達ワルキューレは、対ヴァール用ワクチンライブを行えない状況にあります!』

 

『でも、このまま何も出来ないのは癪!』

 

『だから、私達のスペシャルライブを、銀河中に配信することにしました!』

 

『星も国も銀河も越えて! 皆に元気を届けたいんです!』

 

『これは、ウインダミアの支配には決して屈しないという私達の……意志!!』

 

カナメ、レイナ、マキナ、フレイア、美雲の順でそれぞれが言葉を続ける。

 

『『『『『女神の歌よ! 銀河に響け!!』』』』』

 

ワルキューレのライブ配信が始まり、それと同時にウイルスも拡散される。

ウイルスが順調に広がり続ける中、ワルキューレも歌うメンバーを交代しながらライブを続けていた。

そんな中、マキナとレイナが歌っている最中に休憩していた美雲がフレイアに話しかけた。

 

「変わったわね。あなたの歌」

 

「ほえっ?」

 

その言葉にフレイアは声を漏らす。

すると、美雲は指先から空間モニターを映し出し、ハヤテの映像を表示すると、

 

「彼の所為?」

 

「えあっ!? そ、それは……その………」

 

その言葉にフレイアは激しく動揺し、ルンをピンク色に光らせながら頬を赤くする。

 

「そ、そう言えば、美雲さんの歌も変わりましたよね!? ジェイさんの影響ですか!?」

 

フレイアは誤魔化す様にそう聞き返す。

その言葉に、

 

「…………そうね。彼の事を思うだけで心が、魂が熱くなるのを感じる…………もしかしたら、それが歌に現れているのかもね」

 

「ふえっ!? そんなハッキリと!?」

 

ジェイへの好意を隠そうともしない美雲にフレイアは面食らった表情になった。

その後、作戦はつつがなく進行し、ウィルスが球状星団中に行き渡った。

 

 

 

 

 

一方、ウインダミアでは国王だったグラミアが崩御。

元々寿命が近く、床に臥せっていたが、今回の出陣により限界を迎え、遂に亡くなってしまった。

それにより、風の歌い手でありグラミアの息子であるハインツが9歳という若さで王の座を継ぐこととなった。

だが、実際には宰相であるロイドが全権を委ねられることになる。

そのロイドは、風の歌い手を超える『星の歌い手』を探しており、遺跡と共鳴した過去のデータから、美雲がそうでは無いかと推測を立てていた。

そんな時、ランドールの防衛部隊からケイオスの攻撃を受けているという報告が届く。

ロイドは迎撃の為に空中騎士団を出撃させるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

惑星アルヴヘイム衛星軌道上。

そこにマクロス・ブレイバーがフォールドアウトして来た。

アルヴヘイムは現在では廃墟と言っていい惑星であり、戦略的にも重要な星では無い為、ウインダミアの防衛部隊も最低限しか配備されていない。

その為、GGGとデルタ小隊の前に成す術なく無力化された。

因みにルリの活躍で相手の通信機器は麻痺。

援軍を呼ばれることなく遺跡へと辿り着き、フォールドゲートを開くことに成功した。

 

 

 

 

 

 

シグル=バレンスで指揮を執っていたロイドは、緊急の報告を受けた。

 

「ウインダミア国内にフォールドゲート出現!! クォーター級がフォールドアウトしてきました!」

 

その報告と同時にモニターにマクロス・ブレイバーの姿が映し出される。

 

「あれはGGGのっ……! ランドールは囮かっ!!」

 

ロイドが叫ぶと、モニターのマクロス・ブレイバーからデルタ小隊が発進する。

 

「デルタ小隊………!」

 

更にワルキューレの歌声も聞こえてくる。

 

「まさか、このウインダミアに直接攻め入ってくるとは………! 至急キース達を呼び戻せ! 残っている空中騎士団も出撃を!!」

 

そう指示するロイド。

待機していたテオ、ザオ、カシムを始めとした空中騎士達が出撃する。

 

「余所者が我らの風を汚すなど!」

 

「この空は飛ばさせぬ!!」

 

恨みの籠った声を上げ、デルタ小隊へ向かってくるSv-262で編成されたバルキリー部隊。

 

「来るぞ!」

 

アラドが呼びかけると、何かが凄まじい勢いで彼らの横を追い抜いていく。

それは、

 

「ガオファイガー!?」

 

ミラージュが声を上げる。

デルタ小隊を追い抜いて行ったのはガオファイガーだった。

ガオファイガーは左腕にディバイディングドライバーを装備し、シグル=バレンスの方へ飛翔していく。

 

「行かせはしない!!」

 

Sv-262が一斉にミサイルを放つ。

すると、

 

「各機! ガオファイガーの道を切り拓け!! トモロ! メーザーミサイル発射!!」

 

ジェイが叫ぶ。

 

『リョウカイ』

 

ジェイアークからメーザーミサイルが発射され、空中騎士団から放たれたミサイルを迎撃する。

 

「でやぁああああああっ!!」

 

シンのデスティニーが高エネルギー長射程ビーム砲を薙ぎ払うように放ってミサイルを飲み込み、

 

「やぁああああああああああっ!!」

 

ルナマリアのインパルスもビーム砲で薙ぎ払う。

 

「はぁああああああっ!!」

 

ステラのガイアもビームライフルで可能な限り撃ち落し、

 

「射撃は苦手なんだがな………四の五の言っていられんか!!」

 

キョウスケもアルトアイゼン・リーゼの左腕に装備されている5連チェーンガンを連射して弾幕を張る。

 

「援護射撃、いっくわよー!!」

 

エクセレンのライン・ヴァイスリッターがハウリング・ランチャーのEモードでビームを連射。

乱射しているように見えて、その一発一発は的確にミサイルを撃ち抜いている。

 

「ソードブレイカー射出! そして狙い撃つ!」

 

ニールのアシュセイヴァーも、ミサイルを正確に狙い撃った。

その甲斐もあり、殆どのミサイルは撃墜され、僅かに残ったミサイルも、ガオファイガーを止めるには至らなかった。

だが、ガオファイガーの向きはシグル=バレンスではない。

その直下、ウインダミア首都へと向いていた。

 

「奴め! まさか首都を攻撃する気か!!」

 

「やめろぉぉぉぉぉぉっ!!」

 

テオとザオが悲痛な声を上げながらガオファイガーを追いかけるが、ガオファイガーの最高速度はバルキリーよりも速い。

Sv-262のエンジン推力が1955kN×2に対し、ガオファイガーのエンジン推力は1500t×2。

同じ単位に直せば14700kNという約7.5倍の推力をガオファイガーは持っている。

Sv-262では追いつけはしなかった。

そのままガオファイガーはシグル=バレンス直下の首都へと到達し、

 

「ディバイディングドライバァァァァァァァァァァッ!!」

 

誰も居ない場所を狙ってディバイディングドライバーを突き立てた。

すると、地面が割れて空間が広がり、シグル=バレンスの直下に直径十数kmの戦闘フィールドを作り出した。

 

「なっ!? こ、これは………!?」

 

カシムが驚愕の声を上げる。

 

「これがディバイディングフィールド………! 被害を広げない様に別の戦闘フィールドを作り出す技術………!」

 

レイナが驚愕の声を漏らす。

 

「凄い………」

 

カナメも驚きの声を漏らしている。

 

「ありがてぇ……! これで民間施設への被害を抑えられる!」

 

ハヤテは民間人を巻き込むという気掛かりが消えた事に笑みを浮かべる。

すると、

 

「マクロスキャノンで敵戦艦を狙い撃ちます。射線軸上の機体は退避を」

 

ルリからの注意勧告が発せられる。

すると、マクロス・ブレイバーの右側艦首のガンシップが展開。

マクロスキャノンが発射された。

マクロスキャノンは一直線にシグル=バレンスへ向かうが、次元バリアによって防がれてしまう。

 

「敵艦、次元バリアにより有効なダメージを確認できません!」

 

クリスがルリに報告すると、

 

「………ここまでは想定通りですね………では、予定通りプライヤーズの発進準備を」

 

「了解。プライヤーズは発進準備を」

 

ルリの言葉にフェルトがプライヤーズの発進準備を進める。

マクロス・ブレイバーのカタパルトから、3体1組のプライヤーズが飛び出していく。

相変わらずDP-L3だけは手足をバタつかせながら飛んでいるが。

 

「くっ! 今度は何をするのか知らないが、これ以上好き勝手は!!」

 

ザオがプライヤーズに狙いを定めて接近してくる。

 

「デルタ小隊! GGGの邪魔をさせるな!!」

 

「「「了解(ウーラサー)!!」」」

 

アラドの言葉でデルタ小隊がザオのSv-262に攻撃を仕掛ける。

その隙にガオファイガーが飛翔してきて、

 

「ディメンジョンプライヤァァァァァァァァァッ!!」

 

その名を叫ぶと共にプライヤーズが合体。

巨大なプライヤーの形を形成する。

そして突き出したガオファイガーの両腕にドッキングすると、

 

「はぁあああああああああああああああっ!!!」

 

そのままシグル=バレンスの次元バリアに突撃していく。

ディメンジョンプライヤーの先端が空間を捻じ曲げながら閉じていき、

 

「でやぁああああああああああああっ!!」

 

ガオファイガーがディメンジョンプライヤーを振り上げると、次元バリアを剥ぎ取る様に消滅させた。

 

「次元バリア消失!!」

 

クリスの言葉にルリが頷くと、

 

「ジェイさん!!」

 

ルリがジェイに呼び掛ける。

 

「うむ!」

 

ジェイがジェイアークを突撃させるために号令を掛けようとした時、

 

「待って! ジェイ!」

 

突然美雲が呼びかけた。

 

「美雲っ………!?」

 

ジェイがワルキューレの方を向くと、

 

「私も連れて行って!」

 

突然美雲がそんな事を言い出した。

 

「私はあの場所に行かなければいけない……! そんな気がするの!」

 

「美雲………」

 

「お願い………!」

 

「……………………わかった」

 

美雲の真剣な眼にジェイは頷いた。

ジェイはジェイアークから飛び出すと、ワルキューレのステージへ飛翔し、美雲を抱える。

 

「エスコートは頼むわね。ジェイ」

 

楽しそうに言いながら、ジェイの首に手を回す美雲。

 

「荒っぽいエスコートになりそうだがな」

 

そう返すとジェイは再び飛翔し、ジェイアークの艦橋に戻る。

そして、

 

「ジュエルジェネレイター全開! ジェネレイティングアーマー出力最大!!」

 

『リョウカイ』

 

ジェイアークがジェネレイティングアーマーの赤い輝きに包まれると共に、ブースターから火を噴いて船体を加速させた。

ジェイアークはそのままシグル=バレンスの中央下部の球体部に突撃、艦首が突き刺さった。

 

 

 

 

同じ頃、マクロス・ブレイバーの医務室。

 

「…………うっ………」

 

そこで眠っていた1人の男が目を覚ました。

 

 

 

 

 

 

 

ジェイアークがシグル=バレンスに突撃した時、上空に複数のSv-262がフォールドアウトして来る。

ランドールに行っていたキースを始めとした空中騎士団が戻ってきたのだ。

 

「白騎士!?」

 

「ランドールの陽動に引っ掛かってた残りの部隊が戻ってきたのか!」

 

ハヤテとアラドが叫ぶ。

 

『おのれ地球人共……! よくも我らが星に土足で踏み込んでくれたなぁ!!』

 

ボーグが忌々しそうに叫びながらマイクロミサイルを発射。

マクロス・ブレイバーのフォールド・サウンド・ステージに居るワルキューレを狙う。

 

「拙い! フレイア!!」

 

ハヤテが慌てて引き返すが、戦況を優位に進めることが出来ていたため、前線に出過ぎていた。

 

「迎撃!」

 

ルリが指示を出し、マクロス・ブレイバーから対空砲火が放たれるが、完全には防ぎきれない。

幾つかはフォールド・サウンド・ステージに到達し、ピンポイント・バリアで防ぐものの、余波でシールドに罅が入る。

更にボーグのSv-262がワルキューレに接近し、目の前でバトロイドモードに変形すると、

 

『くたばれワルキューレ!!』

 

ビームガンポッドをワルキューレに向けた。

 

「いけない!」

 

「「ッ!」」

 

「ハヤテッ………!」

 

カナメは歯を食いしばり、レイナとマキナは身を寄せ合い、フレイアはハヤテの名を叫ぶ。

 

「フレイアーーーーーッ!!!」

 

ハヤテはフレイアの名を叫ぶが、距離が遠すぎる。

そして、その銃口にビームの輝きが発生し、

 

『終わりだ………!』

 

ボーグは勝利を確信して口元を釣り上げた。

だがその瞬間、側面から無数の閃光が飛来し、ビームガンポッドが破壊され、機体も損傷する。

 

『何ぃっ!?』

 

思わぬ攻撃を受けたボーグは叫びながら墜落していく。

すると、VF-31がワルキューレを庇うように目の前に現れた。

死神のエンブレムを背中に刻んだその機体は………

 

「カナメさん! 無事か!?」

 

「ッ!」

 

その声にカナメは思わず顔を上げた。

 

「メッサー君!?」

 

「カナメさん!」

 

カナメの声に、もう一度その名を呼ぶメッサー。

 

「メッサー君! 目を覚ましたのね!」

 

「はい! 遅れてすみません!」

 

「メッサー君………!」

 

カナメは嬉しさでその眼に涙を滲ませる。

 

「メッサー!?」

 

「メッサー中尉!?」

 

「メッサー!?」

 

「目覚めたか! メッサー!」

 

デルタ小隊のメンバーがそれぞれ驚きの声を上げる。

 

「メッサー・イーレフェルト中尉! これより戦線に復帰します!!」

 

そう宣言すると共に、VF-31を飛翔させる。

その行く先は、

 

『死神………!』

 

「白騎士………!」

 

キースの駆るSv-262。

 

「今度は負けない!」

 

『面白い………!』

 

メッサーの言葉に、キースも楽しそうに笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

シグル=バレンスに突入したジェイアーク。

ジェイはハル、美雲と共に内部に降り立った。

そこには玉座のような椅子と、その前にあるステージのような円形の足場がある空間だった。

 

「ここは…………」

 

美雲が見覚えがあるような様子を見せた。

すると、

 

「まさかここまで来るとはな………」

 

玉座の後ろから、眼鏡をかけた銀髪の男が現れた。

宰相であるロイドだ。

 

「無益な殺生はこちらの望むところではない。この戦艦さえ破壊させてくれるならこの場は退き、以降GGGはウインダミアと新統合政府の戦争には手は出さない事を誓おう」

 

ジェイはそう持ち掛けた。

すると、ロイドは眼つきを鋭くし、

 

「このシグル=バレンスは我々ウインダミアの旗艦! そのような条件、到底飲むことは出来んな!」

 

ロイドは即言い返す。

 

「ならば、この場所の完全破壊で手を打とうか?」

 

「貴様………もしや知っているのか?」

 

ロイドがキッとジェイを睨みつけた。

 

「さて? 何の事やら?」

 

ジェイはとぼけて見せた。

 

「それでどうする? これ以上の譲歩をしろというのなら、手荒な真似をしなければならないが?」

 

ジェイはラディアントリッパーを抜き、赤い刃をロイドへ向けた。

 

「ッ…………!」

 

ロイドは忌々しそうにジェイを睨みつける。

すると、一度目を伏せ、大きく息を吐いた。

そして顔を上げると、美雲を見て、

 

「…………出来ればもう少し確証を得てからの方が好ましかったが………」

 

そう呟き、

 

「真なる王の名の下に! ルダンジャール・ロム・マヤン!」

 

ロイドは合言葉のような言葉を口にした。

その瞬間、

 

「うっ!?」

 

美雲が苦しむような声を上げ、美雲の体に紋様のようなものが浮かび上がる。

 

「おおっ! やはり! 彼女こそ星の歌い手!」

 

ロイドがそれを見て喜びに満ちた声を上げる。

すると、玉座に腰掛け、ルンを玉座の背もたれにある接続部位へ繋げた。

その瞬間、強力なフォールド・ウェーブが周囲に広がった。

 

「ぐっ……!」

 

「うっ………はあっ!」

 

ジェイとハルもその干渉を受けたが、ハルが咄嗟に障壁を展開する。

だが、

 

「♪~♪~♪~♪~~~~~~」

 

美雲が不思議な歌を口遊み始めた。

その歌は周囲に広がり、デルタ小隊や空中騎士団にも影響を与え始めた。

 

「くっ!? 何だ!?」

 

ハヤテが苦しそうに声を漏らし、

 

「うっ! この歌………!」

 

「まさか……!?」

 

「美雲さん………!?」

 

フレイア達も異変に気付く。

シグル=バレンスに重なる様に巨大な美雲の立体映像が投射される。

その姿は、ワルキューレのステージ衣装ではなく、神聖さを感じさせる、巫女のような衣を纏っていた。

 

「ぐっ……!? これは………!」

 

「ううっ……何なの……この嫌な感じ……!」

 

キョウスケやエクセレンも不快感を露にした。

その歌はウインダミアだけでなく、遺跡を通じて球状星団全てに響き渡る。

それは風の歌よりも強力なフォールド・ネットワークを構築。

人々の意識を繋げて行く。

 

「おおっ! フォールド・ニューロ・ネットが繋がってゆく!」

 

ロイドが歓喜の声を上げた。

 

『これは………どういう事だロイド!?』

 

異変に気付いたハインツが問いかける。

 

『全人類の意識をシンクロさせ、我々は大いなる知生体へと進化する』

 

『進化……!?』

 

『それが星の歌の真の力………全人類は繋がり、一つの存在に進化することで、銀河に聖なる平和を齎す………』

 

『何っ!?』

 

『陛下を………ウインダミアを裏切るつもりか……!?』

 

空中騎士団の騎士達からも非難の声が飛ぶ。

だが、

 

『裏切りなどではない。人類はバジュラを超える銀河規模の巨大な知生体へと進化する。そして、コアとなるのがルンを持つ我々ウインダミア人。数百億の意識を繋ぎ、情報処理速度を神の領域に高めることで、一瞬を永遠に変える。我らは儚き命の限界を超え、永遠に銀河を収めるのだ』

 

星の歌により、銀河全ての人々の意識が強制的に繋げられていく。

それは空中騎士団やデルタ小隊も例外ではない。

 

『世界が……生まれた………!』

 

ロイドは感動的な声を漏らした。

 

「ああっ………! 私は………!」

 

美雲は眼下に見える銀河に戸惑いの声を漏らす。

 

『今や私もお前も銀河そのもの。我らが内に歌声を響かせよ』

 

「これが私の………生きる意味………」

 

美雲は自分のやるべきことはこれだったのだと、運命を受け入れる覚悟を持ち…………

 

「それでいいのか? 美雲……」

 

ジェイの声が響いた。

 

「ッ!? ジェイ!?」

 

美雲は振り向く。

無数の人々の意識が繋がり、自我が次々と消えていく中、ジェイは赤い輝きを放ちながら、自分を保っていた。

 

「こんなつまらない歌を歌い、無理矢理人々に聞かせることが、お前の望みなのか………?」

 

ジェイが再び問いかける。

 

「それは…………」

 

「もしそうだというのなら、見損なったとしか言えないな」

 

「ッ!?」

 

その言葉に、美雲は思わず顔を上げた。

 

「俺が惹かれた女は、自分の歌に誇りを持ち、自分の歌で人々を振り向かせる覚悟を持った女だ。少なくとも、こんなふざけたシステムに頼るような奴じゃない」

 

「ジェイ…………」

 

「それに、こんなシステムに頼るようじゃ、あいつらにはいつまで経っても追いつけないぜ?」

 

「えっ?」

 

ジェイの言葉に美雲が声を漏らした瞬間、

 

「ヴァルキュリア♪」

 

「崩れ折れた戦士の前 ヴァルキュリア♪」

 

何処からともなく歌声が聞こえて来た。

 

「舞い降りる幻想の 恋人♪」

 

「空の青に♪」

 

「「あなたが溶けてしまわないように♪」」

 

それはシェリルとランカの歌声。

ランドールに居るはずの2人の歌が、繋がった意識を越えて聞こえて来たのだ。

 

「この歌は………!」

 

「ヴァルキュリア♪」

 

「両手で拾い上げた ヴァルキュリア♪」

 

『シェリル! ランカ!』

 

2人を呼ぶアルトの声。

「継ぎ接ぎの悲しみが 真実♪」

 

『エクセレン!』

 

『キョウスケ!』

 

「この廃墟に♪」

 

『ステラ! ルナ!』

 

『『シン!』』

 

「東へ♪」

 

『俺は俺だ! 誰の物でもない!』

 

『アクセル………』

 

『アクセル』

 

「「誇り育つ種握りしめ♪」」

 

『クリス!』

 

『リヒティ!』

 

「愛おしくて♪」

 

『フェルト……!』

 

『ニール……!』

 

それぞれが互いを求める者の名を呼ぶ。

 

「愛おしくて♪」

 

『ジェイ!』

 

『ジェイさん!』

 

『ジェイ!』

 

そしてジェイを呼ぶ声も。

 

「澄み渡るよ♪」

 

「ラミア、ルリ、ルネ………!」

 

「ヴァルキュリア♪」

 

『ジェイ!!』

 

「A-ha♪」

 

「ハル……!」

 

それぞれの声に応えるジェイ。

 

『何故だ!? 何故集わぬ!? もう少しで我々は永遠を手に入れられるというのに!』

 

ロイドが激昂した声を上げる。

 

「お前のやっている事は、ギャラクシー船団の連中や、異世界の人類補完計画と同じだ。人が人であることを捨て、意味の無い生命に成り果てる最低の行為に過ぎない!」

 

ジェイが叫ぶ。

 

「ジェイ!」

 

美雲がジェイの名を呼ぶ。

 

『ッ!? 黙れ! 貴様らには分からぬ! 短き命しか持たぬ我々の気持ちは!!』

 

ロイドが叫ぶと、悲しみと絶望の波動が拡がり、全てを飲み込もうとする。

だが、

 

「確かに分かるとは言えない………だが、俺達も生きている! 精一杯生きてるんだ!」

 

ジェイが叫ぶとJジュエルの赤い輝きが拡がる。

 

「確かに私達はウインダミア人より寿命は長い。でも、一瞬一瞬を精一杯生きてることに違いは無い……!」

 

ルネが叫びながらGストーンの緑の輝きを放つ。

赤と緑の光が交じり合い、銀色の輝きが辺りを照らす。

すると、

 

『美雲さん!』

 

「フレイア!?」

 

『私、ワルキューレで歌えて、ルンが生きてるって感じで一杯で! 美雲さんは何故、どんな思いで歌うんですか!?』

 

「ッ!?」

 

フレイアの言葉に美雲の脳裏に過ったのは、星の歌い手としての記憶。

しかし、

 

「違う……私は…………私は!」

 

美雲は何か言いたげに叫び、

 

『歌は愛!』

 

レイナが、

 

『歌は希望!』

 

マキナが、

 

『歌は命』

 

カナメが、

 

『歌は元気!』

 

そしてフレイアが。

自分の歌は何かを指し示す。

 

「あなた達と出会えたから………あなた達と一緒に歌いたい!!!」

 

美雲は己の気持ちを口にした。

そして、右手でWを形作りながら掲げ、

 

「歌は………神秘!!」

 

そしてワルキューレの歌を歌い出す美雲。

 

「フッ………」

 

それを見て笑みを浮かべるジェイ。

すると、美雲に手を差し出し、

 

「行くぞ、美雲」

 

「ッ……ええ!」

 

迷わずその手を取った。

ジェイが美雲を抱き上げ、その場を飛び立つ。

 

「逃がすものか! 星の歌い手ぇぇぇぇぇっ!!」

 

ロイドは慌ててマインドコントロール下に置いた空中騎士団のメンバーを向かわせるが、それらはデルタ小隊とキースを始めとした空中騎士団の精鋭達によって止められる。

 

「キース! 何故理解しない!? あの空でお前も感じたはずだ! 儚き命を越え、あの永遠を生きることが出来たのに!!」

 

「俺には今、この瞬間こそが全て!!」

 

ロイドの言葉にキースはそう叫ぶ。

 

「何故だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

ロイドは悲鳴のような咆哮を上げる。

その瞬間、球体を紫の光が覆った。

 

「これはまさか!?」

 

「ゾンダー!!」

 

ジェイの言葉に答えるようにハルが叫んだ。

シグル=バレンスの球体部分が突如分離し、宙に浮かぶ巨大な目玉のようなゾンダーロボへと変化した。

そのゾンダーの巨大な眼の中央が輝くと、強烈なビームが照射され、辺りが薙ぎ払われる。

ディバイディングフィールドのお陰で被害は無いが、かなり強力な攻撃だった。

ゾンダーは今度はマクロス・ブレイバーへと狙いを定め、再びビーム攻撃を放つ。

だが、

 

「プロテクトウォール!!」

 

ガオファイガーが左手を突き出しながら防御フィールドを展開。

空間を湾曲させてビームを五芒星にして跳ね返した。

自分の攻撃に直撃するゾンダー。

しかし、即座に再生する。

 

「……ハル、ゾンダー核の場所は分かるか?」

 

ジェイが尋ねるとハルは目を瞑って意識を集中する。

 

「………あった! ゾンダーのほぼ中心にあるみたい!」

 

ハルが言うと、

 

「各機! 一斉攻撃でゾンダー核を露出させる! その隙を狙ってガオファイガーはゾンダー核を抜き出せ!」

 

ジェイはそう号令を掛けた。

 

「「「「「「「「「「了解!!」」」」」」」」」」

 

それぞれが返事を返すと、それぞれが武装を展開。

ジェイアークも反中間子砲の砲塔がゾンダーに狙いを定める。

そして、

 

「撃てぇっ!!!」

 

ジェイの号令と共に、一斉攻撃が炸裂した。

その攻撃により、身体の大半を吹き飛ばされるゾンダー。

 

「今だ! ガオファイガー!!」

 

「ハンマーコネクト!! ゴルディオンハンマァァァァァッ!!」

 

ゴルディマーグと合体し、ゴルディオンハンマーを振り上げる。

 

「ハンマァァァァァッ………ヘルッ!」

 

光の杭を突き刺し、ハンマーで深く打ち込み、

 

「ハンマァァァァァッ………ヘブンッ!!」

 

巨大な釘抜きで杭を抜き取り、同時にゾンダー核も確保する。

ガオファイガーは再びゴルディオンハンマーを振り上げ、

 

「光になれぇぇぇぇぇぇっ!!!」

 

ゾンダーの体を光へと返した。

ウインダミアの雪に交じり、光の粒子が辺りに降り注ぐ。

その姿はまるで、金色の雪が降っているようであった。

 

 

 

 

 

 






はい、マクロスΔ編第11話です。
あっれぇ~? 本当ならこうなる予定は無かったんだけどなぁ………
何故かTV本編分が終わってしまった………
一体何故?
とりあえず絶対LIVE辺まではやる予定だったので、激情版にどこかで路線変更する予定だったのですが、何故かこの一話で終わってしまった………
まあ、終わってしまった物はしょうがない。
と、言う訳で次回からは絶対LIVE編に入ります。
お楽しみに。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。