転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件   作:友(ユウ)

149 / 153
Mission 14 Yami₋Q₋ray

 

 

マックス艦長とデルタ小隊、スカル小隊、そしてアルトとの模擬戦が終わり、その様子を見ていた俺達。

 

「あの改修されたYF-29とアルトを相手に、改修前の同機体で相打ちに持ち込むなんて………なんてパイロットだ………!」

 

シンが驚きの表情でそう零す。

 

「うん………マックス艦長、凄い」

 

ステラも純粋に感じた事を口にし、

 

「操縦技術だけなら、もしかしたら、ヤマト隊長やアスラン以上かも………」

 

ルナマリアも、自分の世界のトップエース達と比べても、同等以上の力の持ち主であることを感じていた。

 

「まあ、マックス艦長はマジモンの『天才』だからな」

 

俺はそう口にする。

コーディネイターは遺伝子操作で人工的に人の潜在能力を引き出しているようなものだが、マックス艦長の方は、天然自然の中から生まれた最強格の人間だ。

限界のある人工的な遺伝子操作に比べて、自然にはそのような限界は無い。

人の科学の限界との差だ。

 

「あれで73歳のおじいちゃんなのよね~?」

 

エクセレンは、73歳という高齢であのような動きが出来ている事に驚いていた。

 

「まあ、体力的に難はあるだろう。いくら天才だろうと、老いには勝てん。それでも見た目は実年齢よりも若く見えるが」

 

俺はそう言った。

 

 

 

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

 

 

模擬戦を終えたデルタ小隊だったが、ハヤテとボーグが口喧嘩を始めていた。

ミラージュの一喝によってその場は収まったが、

 

「2人とも、その闘志を戦場でも見せて欲しいものだな」

 

そう言いながら現れたのは、YF-29から降りてきたマックスだった。

だが、

 

「うっ……!」

 

胸を抑えて苦しむ表情をする。

戦闘の負荷に体が耐えきれなかったのだ。

 

「御爺様!」

 

ミラージュが思わず駆け寄った。

 

「おじ……艦長! 大丈夫ですか!?」

 

ミラージュは任務中であることを思い出し、言葉を直してマックスに呼び掛けた。

 

「………お前は戦士になるには優しすぎる」

 

「ッ!?」

 

突然そんな事を言うマックス。

 

「他人を押し退けてでも、獲物を仕留めようとする強い意思が無い………どうせ、恋敵にも相手を譲ってしまっているのだろう?」

 

「そんなことありません!」

 

顔を赤くしつつもミラージュはその言葉だけはキッパリと否定した。

だが、すぐに表情を曇らせ、

 

「私は………! 私は、艦長のような天才とは違うんです………」

 

天才エースパイロットを祖父に持つが故のミラージュのコンプレックスだった。

 

「確かに…………エースの才能は無いな………」

 

それはマックスも認めるものだった。

 

 

 

 

同じ頃、シャワーを浴びていたフレイアは、自分の手の甲にあるウインダミア人の老化の証である結晶化が進行している事に、心を痛めていた。

シャワーを終えて通路を歩いていたフレイアに、ハヤテがヘイムダルの攻撃の折に焼け残っていたリンゴを渡し、フレイアを励まそうとするものの、不意に零れたウインダミア人と地球人の寿命の差を感じさせる言葉で更に深く沈んでしまう。

無重力区画で丸まっていたフレイアに、話を聞いていたミラージュが近付き、

 

「ハヤテの事、許してやってください。単細胞ですが、悪気は無いんです」

 

そう声を掛けた。

 

「………うん。わかっとる………」

 

その事はフレイア自身も分かっている。

 

「そういうハヤテを、好きになったんですよね?」

 

ミラージュの言葉を肯定するようにルンが点滅する。

しかし、

 

「………けど、やっぱり違うんだなって………ハヤテやミラージュさんと、私は………」

 

現実を突きつけられ、フレイアの心は曇るばかり。

 

「あなたと一緒では、ハヤテは幸せになれない、と………?」

 

ミラージュの言葉でフレイアは頷くように目を伏せた。

 

「…………1人で勝手に決めないでください!」

 

ミラージュが叫んだ。

 

「2人の事は、2人で考えないと!」

 

その言葉に、フレイアはハッとなり、

 

「ッ…………! はいなっ!」

 

表情を明るくして力強く返事をした。

それを見てミラージュは安堵の表情を浮かべると、

 

「ですが勘違いしないでください!」

 

「えっ?」

 

ミラージュの言葉にフレイアは声を漏らす。

 

「ハヤテの事を譲ったわけではなりません! 恋敵が腑抜けたままだと、張り合いが無いじゃないですか!」

 

ミラージュは照れを隠す様にそっぽを向いた。

 

「ミラージュさん………負けませんから!」

 

フレイアは微笑んでそう言うのだった。

 

 

 

 

 

 

マックスとアラドは世間話をしながらマクロス・ギガシオンのブリッジへ向かっていた。

ブリッジへ入室した2人だったが、ブリッジ内には怪しいガスが充満しており乗組員たちが意識を失っていた。

 

「うっ!? 催眠ガス!?」

 

咄嗟に口を押さえる2人。

意識を失っている乗組員の中、1つの操作パネルの前に動く気配があった。

 

「何をしている!?」

 

マックスが叫ぶと、その影が振り向く。

それは兵士の姿をしていたが、直後に体の内側から皮を破り捨てる様に中からロボットが現れた。

大砲のような頭をしており、手足の先は刃物となった戦闘用ロボットだ。

ヘイムダルから送り込まれた物だろう。

そのロボットは頭部の大砲にエネルギーを溜め始める。

 

「ッ! 失礼!」

 

アラドが咄嗟にマックスを押し倒し、直後にビームが放たれ、先程までマックスが居た場所を通過した。

白兵戦用のロボットで、そこまで強力なビームでは無かったが、生身の人間が受ければ致命傷は免れないモノだ。

 

「クッ!」

 

アラドは拳銃を抜いて発砲、応戦する。

だが、拳銃では効果は薄く、弾丸は装甲によって弾かれるだけだ。

その隙にマックスは先ほどロボットが操作していたパネルに近付くと、発せられていた信号を止める。

その時、ロボットがアラドに飛び掛かって拳銃を弾き飛ばす。

その際に吹き飛ばされたアラドは階段から滑り落ち、床に背中を打ち付けた。

 

「うぐっ!?」

 

すぐに身を起こそうとするが、直後に飛び掛かってきたロボットに後ずさろうとしたが間に合わず、片足を踏み砕かれた。

 

「ぐぁああああああああああああああっ!?」

 

痛みから悲鳴を上げるアラド。

 

「アラド!?」

 

マックスが呼びかけたが、直後にロボットがマックスの前に身を乗り出し、頭部の砲口にエネルギーを集中し始めた。

 

「ッ!?」

 

マックスは戦くが、次の瞬間、

 

「はぁあああああああああっ!!」

 

ブリッジに飛び込んできた影がロボットを蹴り飛ばす。

 

「君はっ!」

 

マックスが声を上げる。

飛び込んできた影は、

 

「無事か? マックス艦長、アラド」

 

「ぐっ………! ジェイ……!」

 

そういうジェイと、痛みを堪えながら状況を確認したアラド。

 

「何故ここに!?」

 

マックスが問いかけると、

 

「ルリがギガシオンから不自然な信号が発信されているのに気付いてな。様子を見に来たら案の定と言う訳だ」

 

ジェイはこの場に現れた経緯を説明する。

その時、蹴り飛ばされたロボットが起き上がり、再び飛び掛かってきた。

だが、

 

「ラディアントリッパー!!」

 

ジェイが即座に抜いた赤い光剣がロボットを細切れにする。

直後にバラバラになって崩れ落ちた。

 

「大丈夫か? アラド」

 

ジェイがアラドに歩み寄ると、

 

「大丈夫だ………! だが、敵に居場所を知られた………!」

 

アラドが痛みを堪えながらもそう言うと、

 

「それだけでは無さそうだ」

 

マックスは、先程のロボットが操作していたパネルを見て呟いた。

 

 

 

 

 

調査の結果、敵はレディMからケイオスへの暗号通信のデータをハッキングしていた事が判明した。

暗号を解析すれば、レディMの現在の居場所を割り出せるからだ。

マックスの話によれば、レディMの正式名称は『レディ・メガロード-01』。

その名は2012年に出港した第一次移民船団の旗艦と同じ名前だ。

2016年に消息を絶ったが、その艦と同じ通信周波数帯を使った亜空間からのフォールド通信を傍受。

そこから星の歌やプロトカルチャーの遺跡に関する情報を得ていたという。

 

 

 

程なく、拠点近くの宙域にフォールドゲートが出現。

そこからヘイムダルの新型ゴースト『Sv-303 ヴィヴァスヴァット』の編隊が出現する。

デルタ小隊とスカル小隊、その他部隊も迎撃の為に出撃するのだが、負傷したアラドに代わり、デルタ小隊の指揮はミラージュが執る様にアラドから言われた。

 

「ッ!? 何故私が………? 隊長代理なら、メッサー中尉の方が………」

 

ミラージュはそう言ったが、

 

「お前が適任だからだ」

 

アラドにそう言われ、納得いかないながらも隊長代理を引き受けることとなった。

ワルキューレも歌い始め、新型のフォールド・サウンド増幅装置の効果もあり、相手の歌を封じることに成功。

Sv-303の動きも単調なものとなり、マクロス・ギガシオンからのアラドの指示も的確な事もあり、序盤は戦いを有利に進めることが出来ていた。

だがある時、突如として敵の生体フォールド波が強力に………

いや、増えたのだ。

その影響を受け、Sv-303の動きが変わり、より速く、より正確になる。

 

「うぁああああああっ!?」

 

その生体フォールド波の影響を受け、ワルキューレ達が苦しむ声を上げた。

 

「これは………生体フォールド波が………」

 

「増えてる………!?」

 

「私達の歌を解析して………」

 

「学習したって事!?」

 

「ッ………!? まさか、これって……!」

 

最後にカナメが聞こえて来た歌声に驚愕の声を上げた。

それは、

 

『歌は歓喜!』

 

カナメに似た茶髪のセミロングの女性の姿が浮かび上がる。

 

『歌は絶望!』

 

『歌は欲望!』

 

マキナに似たグラマラスな体形を持ち、紫の長い髪を両横でシニョンにした女性と、レイナに似た黄緑の髪のロングヘアーの少女が浮かび上がる。

 

『歌は狂気!』

 

フレイアに似た、薄い金髪にウェーブのかかったロングヘアーに前髪の一部に赤いメッシュが入り、右目が緑、左目は白目が赤く、瞳が薄い紫のオッドアイの少女が浮かび上がる。

そして、

 

『歌は闇!』

 

美雲に似た水色の長い髪をポニーテールにして赤い瞳を持ち、黒い翼を生やした女性が浮かび上がった。

 

『逝かせてあげる! 堕天使の歌で!!』

 

『『『『『超ダークエンジェル! Yami₋Q₋ray!!』』』』』

 

まるでワルキューレの様に決め台詞とその名を言い放った。

彼女達に実体はなく、投影されたホログラムのヴァーチャロイドだ。

 

「Yami₋Q₋ray!?」

 

その姿にハヤテが驚きの声を上げる。

 

「マジか!?」

 

レイナも驚愕の声を漏らした。

その歌は、人々に希望を与えるワルキューレの歌とは違い、人を堕落させ、闇に落とすような歌だ。

更にYami₋Q₋rayはSv-303を操り、怒涛の攻撃を仕掛けてくる。

デルタ小隊やスカル小隊は何とか攻撃を躱すが、他の部隊のバルキリーは次々と墜とされていく。

 

「くっ! 何なんだ奴らは!?」

 

オズマが声を上げると、

 

「ッ………! 彼女達に実体はありません! おそらく、シャロン・アップルと同じで、ワルキューレの歌を解析して生み出されたヴァーチャロイドだと思われます!」

 

ルカが現在判明した情報から推測して叫んだ。

Yami₋Q₋rayの歌が激しくなるとSv-303の攻撃も苛烈になり、同時にそれに呼応するように球状星団のプロトカルチャーの遺跡が各地に現れ始めた。

ヘイムダルの狙いは、闇の歌い手の力を遺跡の力で増幅させ、スーパーフォールドゲートを作り出す事だった。

Sv-303は防衛線を突破し、拠点の衛星に向かって反応弾を撃ち放った。

10発近い反応弾を受けては、拠点の防御システムでも防ぎきれないだろう。

デルタ小隊やスカル小隊のメンバーに戦慄が走る。

しかしその瞬間、側面方向から無数のビームが撃ち放たれ、全ての反応弾を撃ち落した。

 

「ッ! GGGか!」

 

ミシェルが叫ぶ。

その言葉通り、側面方向にはマクロス・ブレイバーとツクヨミが存在しており、艦載機が出撃する。

すると、

 

『私の歌を聞けぇっ!!』

 

シェリルの決め台詞が響いた。

直後に流れ出す『射手座☆午後九時Don't be late』の曲。

シェリルだけでなくランカも加わったアレンジバージョンだ。

 

「これ以上好き勝手やらせるかぁっ!!」

 

その歌をBGMにシンが叫びながらビームライフルを放つ。

Sv-303は散開して避ける。

だが、その内の1機の回避先に向かって赤い衝撃が迫った。

 

「バンカー! セット!」

 

その赤い衝撃、アルトアイゼン・リーゼが右腕のリボルビング・バンカーの撃鉄を引く。

アルトアイゼン・リーゼは鈍重に見える機体ではあるが、真正面に突撃する時は話は別。

まるで機体そのものが弾丸になったかと思えるほどの速度でかっ飛ぶことが出来るのだ。

そして、Sv-303もシェリルとランカの歌によってYami₋Q₋rayの歌の恩恵を著しく低下させていた。

 

「前より大口径だ! ただでは済まんぞ!!」

 

繰り出されたバンカーはSv-303の中心に突き刺さり、撃鉄が叩き落とされた。

炸薬が炸裂し、衝撃がバンカーを伝ってSv-303の内部に浸透。

内側から破壊する。

その威力は、Sv-303が粉々になるどころか、余りの威力に液状化して一瞬輪っかのような形になってしまうほどだ。

更に、

 

「天竜神! 光と闇の舞!!」

 

天竜神が左肩のコンテナから無数のミサイルを発射。

Sv-303はバトロイドに変形し、迎撃するが、ミサイルから黒い煙が広がり、辺りを覆い尽くした。

天竜神が放ったのはジャミング弾幕であり、センサー類を狂わせる効果がある。

特に無人機のゴーストであるSv-303はセンサーが使えないとなれば状況を把握することは出来ない。

精々煙幕の外に脱出する行動を取る程度だ。

その時、ある方向からレーザーが発射された。

Sv-303は熱源センサーで感知できたのか回避行動を取る。

だが、次の瞬間レーザーは乱反射し、思わぬ方向からレーザーに貫かれ、爆散する。

これは、ジャミング弾幕に含まれる金属片がミラーコーティングによりレーザー反射板となっており、天竜神はそれらすべての反射角度を一瞬で計算し、敵機に攻撃を命中させているのだ。

無人機とはいえ、システムに則って動くだけのAIが搭載されただけのSv-303と、心を持つにいたる勇者ロボの超AIとでは、隔絶した差がある。

セイレーンシステム自体には自我に近いものはあるが、その手足となっているだけのSv-303にはそこまでの能力は無い。

瞬く間に撃墜されていく残りのSv-303。

 

「ふう。GGGのお陰で何とかなったか………」

 

アラドはマクロス・ギガシオンのブリッジでホッと息を吐く。

だが、レディMを狙うヘイムダルの魔の手は、刻一刻と迫っているのだった。

 

 

 

 

 





はい、マクロスΔ編第14話でした。
GW内で何とかマクロスΔ編を終わらせるつもりでいます。
マクロスΔ編は多分後2話ぐらいです。
そしてついに登場Yami₋Q₋ray。
出もシェリルとランカによって封殺されるという愁き目に。
これはちょっとした伏線でもあります。
あと、フレイアの無茶を止めるためでもあります。
どうなるかは続きをお楽しみに。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。