転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件   作:友(ユウ)

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第5話 急襲! 最強の5原種!

 

 

 

オートザムとの戦いはNSXを撤退に追い込み、更にイーグルを捕虜とし、城の中に現れたデボネアと魔物達も、GGGの皆の活躍やワルキューレの歌、そして柱の証から放たれた光によって退けられた。

捉えられたイーグルは武器を没収されて結界のある部屋に監禁しており、今後のオートザムとの交渉に使われるのだろう。

それぞれの戦いが一段落した事で、セフィーロの城には一時の安らぎの時間が流れていた。

そして現在、城の中にある草木が植えられた公園のような広場がある大部屋で、ワルキューレにシェリル、ランカ、更にはYami-Q-rayと闇シェリル、闇ランカまで加えたライブが行われていた。

簡易的に作られたステージで歌を披露し、見ている観客が熱狂する。

尚、観客は子供達だけではなく、ここ数日で彼女達のファンになった大人達の姿も多い。

元々ファンタジーで娯楽も少ないだろう世界だ。

そして世界が荒廃し、不安が広がる中、彼女達の歌は正に希望の歌なのだろう。

 

「それにしても、立体映像が歌うなんて思いもしなかったわ」

 

海がYami-Q-rayを見て呟く。

 

「そうですわね。わたくし達から見ても、アニメや漫画の世界のお話ですもの」

 

風も同意するようにそう言うと、

 

「いや、ファンタジーな世界に召喚されて、剣と魔法で魔物と戦ってるあなた達も、十分にアニメや漫画の世界の住人だと思う」

 

ルネがそうツッコミを入れた。

 

「そう言われればそうですわね」

 

風が言われてみればと思い直す。

因みに光は皆と一緒にライブに夢中ではしゃいでいる。

Yami-Q-rayの歌はセフィーロの状況的にどうかとも思ったが、そんな事が気にならない程に盛り上がっていた。

だが、突如として鳥達が騒めき、飛び立つ。

まるで危険から逃げる様に。

その理由はすぐにわかった。

部屋の上空に突如として黒い球が現れる。

 

「何!?」

 

海が警戒するように叫ぶ。

人々も突然の事に悲鳴を上げたりする者もいた。

そして、その中から現れたのは光によく似た容姿を持つ少女が現れた。

 

「ノヴァ!!」

 

光が叫びながら剣を取り出して構える。

彼女がノヴァか。

確か、光の心の影が生み出した光の分身だったか………

 

「フフ……………えいっ!!」

 

ノヴァは薄く笑みを浮かべると、問答無用で光弾を放ってきた。

 

「ハルッ!」

 

「はあっ!!」

 

俺の呼びかけにハルは即座に浄解モードで障壁を張って光弾を防ぐ。

 

「また会えたね! ヒカルッ!」

 

ノヴァは嬉しそうに声を上げながら再び光弾を放つが、ハルがそれを防ぐ。

 

「ッ………! 知らない仲間が増えたみたいだね! ハァアアアッ!」

 

ノヴァは飛び上がると壁を蹴って勢いをつけ、攪乱しながら再び光弾を放つ。

 

「はっ!」

 

光は剣でその光弾を真っ二つに切り裂きながら防いだ。

 

「ヒカル! また強くなったね!」

 

ノヴァは嬉しそうにそう言うと、手に魔力で生み出した光剣を握る。

そして一気に飛び出してくると、

 

「皆をお願い!」

 

光がそう言うと、ノヴァを迎え撃とうとする。

だが、

 

「私はヒカルだよ! だから、ヒカルに起こったことは何でもわかる!」

 

ノヴァがそう言いながら飛び出し、ヒカルの胸元に手を伸ばすと制服のリボンに手を掛け、力任せに解く。

すると、ヒカルの胸元に鏡の付いたペンダントが現れた。

あれは、ランティスから送られたペンダントか。

ノヴァがそのペンダントを手に取ると、

 

「好きなんだね………ランティスの事………」

 

ノヴァは光にだけ聞こえる声で呟く。

俺はエヴォリュダーで聴覚も人以上なので聞こえたが。

 

「ッ!」

 

光はノヴァの手からペンダントを奪い返すと、

 

「たあっ!!」

 

片手で剣を振る。

ノヴァは大きく飛び退いてそれを躱すと、もう1本の光剣を生み出し、剣をクロスさせると、

 

「えいっ!!」

 

大きな手裏剣の様に投げ放った。

 

「ッ! はぁああああああああああああっ!!」

 

光の剣が輝き、大きく振り抜くと光の斬撃が飛び、ノヴァの投げた剣を相殺する。

すると、ノヴァは不敵な笑みを浮かべたまま、

 

「ランティス………………一番辛くて苦しい方法で殺してやる………!」

 

ノヴァはそう言い残すと姿を消した。

光は解かれたリボンを結び直す。

人々は、特に子供達は突然現れたノヴァに恐怖し、泣き出す者もいた。

するとその時、部屋の上空に再び黒い球体が現れた。

それが地面まで降りてくる。

その様子に再び人々の間に不安と恐怖が拡がった。

その直後、その球体の中から以前現れた魔物が這い出す様に現れ始めた。

 

「魔物か!」

 

俺は叫ぶ。

現れた魔物に人々は悲鳴を上げ、逃げ惑う。

そして、そんな人々に呼応するように魔物が更に姿を現した。

セフィーロは意志の世界。

人々が不安や恐怖に支配されれば魔物を生み出し、更にその不安と恐怖が魔物をさらに強くする。

完璧な悪循環だ。

 

「だが! 何度も同じ手が通用すると思うなよ!」

 

以前城内に魔物が現れた事で、その対策は既にできている。

その1つは…………

次の瞬間、突然サイレン音が鳴り響いた。

部屋の一角にパトカーが姿を現す。

 

「へっ? パトカー!?」

 

海が突然現れたパトカーに素っ頓狂な声を漏らす。

 

「どうしてセフィーロにパトカーが?」

 

風も首を傾げるような仕草をする。

その直後、パトカーのタイヤが高速回転し、勢いよく走り出すと、

 

「システムチェェェェンジ!!」

 

パトカーが飛び上がり、変形を開始。

瞬く間に紫の人型ロボットとなり、

 

「ボルフォッグ!!」

 

ボルフォッグが姿を現した。

 

「シルバームーン!!」

 

ボルフォッグは2つのブーメランを取り出すと、そのブーメランがミラーコーティングされ、銀色に輝く。

 

「はっ!」

 

ボルフォッグがそのブーメランを投げ放つと、複数の魔物を纏めて切り裂いた。

戻ってきたブーメランをキャッチすると、ボルフォッグは人々を守る立ち位置に着地した。

 

「私の名はボルフォッグ。GGGの隊員です」

 

背中越しに人々を見ながらそう名乗るボルフォッグ。

 

「パ、パトカーが変形してロボットになるなんて、本当にロボットアニメの世界ね………」

 

海が唖然として呟いた。

だが、それでも魔物は次から次へと出ていく。

今度はワルキューレや歌姫達に魔物が迫った。

 

「あっ! ワルキューレ達が!」

 

光が叫ぶが、

 

「フフッ!」

 

美雲が不敵な笑みを浮かべると、手を横に翳し、起き上がれと言わんばかりに手を振り上げた。

その瞬間、ステージに隠されていた防御用ドローンが起動。

ワルキューレの周囲を飛び回り、魔物を弾き飛ばした。

更に海と風も戦いに加わり、

 

「光! ノヴァが何処に行ったのか分かる!?」

 

その問いかけに、光は一瞬の思案のあと頷く。

 

「では、そちらへ行ってください!」

 

「ここは、私達に任せて!」

 

風と海がそう言う。

 

「で、でも………」

 

それでも迷っていたようなので、

 

「ここは俺達とボルフォッグが居れば事足りる。お前は奴を追え!」

 

俺はそう促す。

 

「わ、分かった!」

 

光が頷いたのを確認すると、

 

「ルネ! お前は光の援護だ!」

 

「ん、了解!」

 

ルネは頷くと光と共に駆け出していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

 

 

一方、ラファーガ、カルディナ、フェリオ、アスコットの4人は、クレフから再び魔物が城内に現れたとの知らせを受け、広場へと向かっていた。

 

「くそっ! また城内に魔物が現れるなんて………!」

 

フェリオがそう吐き捨てる。

 

「一体どうなってんのや?」

 

カルディナも城内に魔物が侵入したことが信じられずにそう口にする。

 

「話は後だ。今は急がねば………!」

 

ラファーガが問答は後だと言わんばかりにそう言うと先を急ぐ。

だが、突如として通路の壁が爆発した。

 

「うわっ!?」

 

「何だ!?」

 

爆風から身を庇いつつ様子を伺う。

すると、破壊された壁の向こうに巨大な何かが存在していた。

彼らがそれを注視しようとした時、突如として紫の光が辺りを覆った。

そして、

 

「くっ………!」

 

「な、何や!?」

 

「これはっ……!?」

 

「うわぁあああああああっ!?」

 

4人は紫の光に飲み込まれた。

光が収まった時、4人の姿は無かった。

 

 

 

同じ頃、アルシオーネが軟禁されている部屋でも紫の光が発生。

光が収まると、部屋の中にアルシオーネの姿は無かった。

 

 

 

 

 

 

 

【Side Out】

 

 

 

 

 

 

 

【Side ルネ】

 

 

 

 

 

私は光と共にノヴァの行方を追っていた。

ノヴァの狙いはランティスだから、光はランティスを探している。

ランティスも単独行動が多いからその行方を捜すのは一苦労だ。

だけど、光のランティスから貰ったペンダントが光で行く先を指し示し、それを追って来たのはイーグルを監禁している部屋。

部屋に入った時、既に戦闘は始まっており、ランティスが負傷し、イーグルが隠し持っていた鋼糸のような武器でノヴァを拘束していたけど、ノヴァが放った炎の矢がイーグルに襲い掛かった。

 

「炎の矢ぁぁぁぁっ!」

 

光もすかさず炎の矢を放ち、ノヴァの炎の矢を相殺し、イーグルを救う。

 

「「ヒカルッ!」」

 

ランティスとイーグルが叫ぶ。

私もいるんだけどね。

ノヴァは光を認識すると、光剣をクロスさせ投げ放ってくる。

 

「はぁああああっ!!」

 

光は剣でそれを弾き飛ばすと、ノヴァは弾かれた光剣をキャッチ。

再び二刀として構えると跳躍。

だが、その矛先は光じゃない。

 

「ッ!?」

 

その狙いはランティス。

 

「「ランティス!?」」

 

光とイーグルが叫ぶ。

だけど、

 

「ッ!?」

 

「手負いの相手を狙うのは悪くないけど、そう簡単に行くと思わないで欲しいなっ!」

 

私がノヴァの剣をウィルナイフで受け止めていた。

 

「ルネさん!」

 

「はぁああああっ!!」

 

私は力を込めてノヴァを弾き返す。

 

「邪魔をするな!」

 

ノヴァが憎々し気に叫ぶ。

そしてランティスを見据え、

 

「絶対に殺す……! 私だけのモノにするんだ………!」

 

ノヴァは私を飛び越えてランティスに斬りかかる。

ランティスは剣で受け止めるけど、左腕を負傷していて力負けしており、じりじりと押されていく。

すると、何を思ったかノヴァはランティスに顔を近付け、一瞬の隙を突いて口付けをした。

 

「ッ!?」

 

驚愕の表情になるランティスと、

 

「ッ…………!?」

 

ショックを受けた表情になる光。

 

「………くっ! うぉおおおおおっ!!」

 

ランティスは何とかノヴァを押し返し、飛び退かせるが、

 

「あっはははははは! ヒカル、胸が痛い?」

 

「ッ………………!」

 

ノヴァの言葉を光は否定できなかった。

 

「紅い稲妻!!」

 

ノヴァの放った魔法を、呆然としていた光は避けることも防ぐことも出来なかった。

 

「うわぁああああああああああっ!?」

 

吹き飛ばされ、倒れる光。

 

「「「光/ヒカル!?」」」

 

叫ぶ私達。

 

「あははははは! 避けられなかったのはどうして?」

 

ノヴァは分かっている口調でそう問いかける。

すると、ノヴァは光に寄り添うほどに近付き、

 

「ランティスの事本当に好きなんだ…………?」

 

ノヴァは更に耳に口を近付け、

 

「ランティスのお兄さんを殺したの、ヒカルなのに」

 

そう囁いた。

 

「ッ!!!」

 

衝撃を受けた表情になる光。

 

「好きになって貰えないって分かってるのに、どうして好きになるの?」

 

更なるノヴァの問いかけは、光の心を抉るもの。

だから私は、

 

「そんな言葉、大きなお世話だよ」

 

横からそんなノヴァを蹴り飛ばした。

 

「くっ!?」

 

ギリギリで防御したみたいだけど、かなり後退する。

 

「お前っ!」

 

私を睨みつけてくるけど、私はスルーして、

 

「光」

 

「ルネさん………」

 

「恋愛の先輩として一言」

 

「えっ?」

 

「光はランティスが自分を好きになるはずないって思ってるみたいだけど、それを決めるのはノヴァでも光でもない」

 

「えっ?」

 

「ランティスが誰を好きになるのかを決めるのはランティス自身。他人が決める事じゃない」

 

「でも……私は………」

 

光は俯く。

理由はどうあれ、兄であるザガートを殺した自分を、弟であるランティスが好きになるはずが無いと思っているのだろう。

 

「因みにGGGの仲間の中には、妹の乗った機体を撃墜した男に惚れた女がいるよ」

 

「えっ!?」

 

「まあ、結果的にその子の妹は生きてたけど、状況的に死んでてもおかしくなかったし」

 

言わずもがなルナマリアの事。

この世界のシンも何だかんだでアスランとメイリンの乗ったグフを撃墜したらしいし。

原作でも傷の舐め合いから始まった関係みたいだけど、よく妹の乗った機体を撃墜した男と付き合おうと思ったものだと当時は思っていた。

 

「だから、可能性は決してゼロじゃない。最初からあきらめる必要は無いよ」

 

「ルネさん………」

 

ルネの優しさに、光は幾分か気の緩んだ表情をするのだった。

 

 

 

 

 

【Side Out】

 

 

 

 

 

 

次々と現れる魔物を倒していく俺達。

だが、それでも際限なく魔物は現れる。

するとその時、風が気付いた。

 

「恐怖が………魔物を生み出す………」

 

「セフィーロは意志の世界! 魔物も全て心が生み出すもの!」

 

海もそう口にする。

子供達や人々の悲鳴に比例して、魔物の強さが上がっている事に気付いたのだ。

子供達の中には、恐怖に耐えきれず泣き出す子も現れ始めた。

 

「泣いちゃダメ!」

 

海が叫ぶ。

 

「この魔物は、私達の心が生み出したものよ!」

 

「この球体は、恐怖心を吸収して、その力で魔物を生み出しているんですわ!」

 

「だから怖いって思っちゃダメ! あなた達の怖いって心が、もっと怖い魔物を生んじゃうのよ!」

 

海が叫ぶが、あんな子供達に怖がるなというのが無理な話だ。

 

「…………少し違うな。『恐怖』という感情は生きている限り避けては通れない………いや、生きる為に必要な感情の1つだ。それを捨てろと言われても難しいだろう」

 

俺は口を挟む。

 

「ジェイ!? でも………」

 

「だから、『恐怖』に負けない『勇気』を持て!」

 

俺はそう言う。

 

「勇気…………」

 

「恐怖を感じるのは仕方ない。だが、大切なのは恐怖に負けない事だ。恐怖に負けず、乗り越える心…………それが『勇気』だ!!」

 

その言葉に、子供達は少し戸惑う表情をする。

 

「皆! 『歌』を! 皆の勇気を奮い立たせる歌を!!」

 

俺はワルキューレに呼び掛ける。

 

「ジェイ!」

 

美雲が叫ぶ。

 

「それに………どうやら役者もそろった様だからな」

 

俺は意味深に呟く。

それは、先程トモロから俺に報告が来ていた事。

それと同時に、タタタタッと駆け抜ける足音が響いてきた。

それは、部屋の中に駆け込んでくると同時に、人々を飛び越える跳躍を見せ、

 

「歌は……………元気!!」

 

その姿を赤を基調とした衣装に変化させながらステージ上に降り立つワルキューレの最後の1人。

 

「フレイア!?」

 

ハヤテが驚いた声を上げる。

 

「嘘ッ!? フレフレ!?」

 

「大丈夫なのか、フレイア!?」

 

マキナやレイナも心配そうな声を上げるが、

 

「はいな! もうすっかり大丈夫です!」

 

元気よく声を上げるフレイア。

その姿は、特に無理をしているようには思えない。

 

「でも、フレイアの治療には後数週間は掛かるはずじゃ………」

 

カナメがそう言ったが、

 

「セフィーロは意志の世界。フレイアの早くみんなと一緒に歌いたいという強い気持ちが、フレイアの回復を早めたんだろうというのが俺の見解だ」

 

俺は自分の推測を口にする。

 

「理由は何でもいいわ。これで漸くワルキューレが5人揃ったわね! 準備は良いフレイア!」

 

「もちろんです!」

 

美雲の言葉に迷いなく頷くフレイア。

すると、ワルキューレは円陣を組み、

 

「銀河の為に!」

 

「誰かの為に!」

 

「今、私達!」

 

「瞬間、完全燃焼!」

 

「命懸けで楽しんじゃえ!」

 

「「「「「GO! ワルキューレ!!」」」」」

 

欠けていたピースがようやく揃ったワルキューレの歌は、今までの比では無かった。

5人揃えばシェリルやランカにも負けない力を発揮する。

 

「「「「「わあぁぁっ………!」」」」」

 

子供達がその姿を見て感嘆の声を漏らした。

聞く者の恐怖を吹き飛ばし、勇気を与えるその歌は、まさしく女神の鼓舞と言っていいほどだ。

すると、

 

「魔物の力が弱くなってるわ!」

 

海が叫ぶ。

 

「思った通り、恐怖心が魔物を生みだしていたようですわ!」

 

風も推測通りと言わんばかりだ。

力の弱まった魔物は既に敵では無く、殲滅速度も上がってきていた。

するとその時、新たな5人の人影が、入り口から入ってきたのに気付いた。

それは、

 

「フェリオ! カルディナさん!」

 

「ラファーガ! アスコットも!」

 

風と海がその名を叫ぶ。

5人の内の4人はラファーガ、カルディナ、フェリオ、アスコットだった。

ただ、その恰好はいつもの姿ではなく、薄紫のマントを纏った姿だった。

そして、

 

「えっ!? どうしてアルシオーネまで一緒に居るの!?」

 

海が驚いた声を上げる。

何故なら5人の内の最後に1人は、敵であるはずのアルシオーネだったからだ。

しかし、その理由を考える間もなく魔物達が5人に殺到する。

 

「皆! 危ない!」

 

海が叫ぶ。

すると、カルディナが前に出ると、マントの下から左手を出す。

その左手の先には長く赤い爪が伸びていた。

次の瞬間、カルディナは目に見えない速度で左腕を振る。

近付いた魔物達は細切れになり、消え去る。

また、彼らの左手方向から近付いた魔物には、フェリオが前に出て、マントの前が開くと巨大なあばら骨が広がり、

 

「原子分解!」

 

紫の光が放たれたかと思うと、魔物達が原子レベルで分解される。

更に右手方向から近付いた魔物にはラファーガが前に出て、マントの下から右腕を出す。

その右腕は異常に巨大で発達していた。

すると、その腕にエネルギーが集中し、

 

「超重力波!」

 

放たれた超指向性重力波が魔物達を纏めて消し飛ばした。

 

「フェ、フェリオ………それは一体…………?」

 

予想もしなかった攻撃の方法に、風は思わず口に手を当てながら驚愕の声を漏らす。

 

「ラファーガもカルディナも………一体何なのよそれ!?」

 

海も問いただす様に叫ぶが、

 

「違う!!」

 

ハルが叫んだ。

 

「そいつらはラファーガ達じゃない! 原種だ!!」

 

続けてハルが叫ぶ。

 

「クッ……まさかとは思ったが、やはりか………!」

 

俺は当たって欲しくない予想が当たってしまったことに声を漏らす。

 

「ラファーガ達に原種が取り付いたのか………!」

 

しかも、奴らの攻撃手段から見て、ラファーガが『腕原種』、カルディナが『爪原種』、フェリオが『肋骨原種』だ。

しかも、アルシオーネはやたらとピアスを付けた大きな耳が特徴の為、十中八九『耳原種』だろうし、アスコットも今まで戦った原種から考えて、残った『腸原種』である確率がかなり高い。

原種の中でも最も力を持つ、『機界最強7原種』に名を連ねる原種達だ。

 

「どういう事!?」

 

海が問いかけてくる。

 

「簡単に言えば、ラファーガ達は敵に取り付かれ、身体を乗っ取られてしまったんだ!」

 

「乗っ取られた!? 助けることは出来ないんですの!?」

 

風が余裕のない声で確認してくる。

 

「一度奴らを倒し、ハルが浄解すれば助けられる筈だ!」

 

俺はそう答える。

 

「だったら………!」

 

海が原種達に向き直る。

 

「待てッ! 海!」

 

俺は静止を呼び掛けるが、

 

「水のぉぉぉぉぉぉぉぉ………龍ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」

 

海は水の龍を放って攻撃する。

すると、アスコットが前に出ると、マントの中から細長い管のような触手が現れ、

 

「ブラックホール」

 

その先にマイクロブラックホールを作り出し、水の龍を吸い込んだ。

 

「何今の……!?」

 

「マイクロブラックホール……! やはり『腸原種』か……!」

 

その能力から正体を割り出す。

すると、アルシオーネに取り付いた原種が、耳のピアスのようなものを次々と打ち放ってきた。

 

「拙い! 防げ!!」

 

俺は叫ぶ。

 

「守りの風!!」

 

風が放った防御魔法が耳原種のピアスを弾き飛ばす。

 

「気を付けろ! 奴のピアスには人間を操る能力がある!」

 

俺は直ぐに警告を飛ばす。

そしてラディアントリッパーを抜くと、

 

「はぁああああああああああっ!!」

 

高速移動でかく乱しつつ、ラファーガに取り付いた腕原種を狙った。

だが、俺の一撃は腕原種が掲げた腕に止められる。

 

「フン。ソルダートの紛い物か………」

 

腕原種が呟くと、その腕に光が集中し、

 

「フン!」

 

その腕で殴り飛ばされた。

 

「ぐあぁああああああっ!?」

 

その一撃は今までに受けた事が無いほど強力で、部屋の壁まで吹き飛ばされて激突する。

 

「「「「「ジェイ!?」」」」」

 

皆の驚愕する声が聞こえた。

 

「手応えが無いな………やはり紛い物か………」

 

腕原種は呆れたような声を漏らした。

すると、

 

「シルバークロス!!」

 

隙を伺っていたボルフォッグが2つのブーメランを合体させ巨大な四方手裏剣として放った。

 

「原子分解!」

 

しかし、直前で気付いた肋骨原種がシルバークロスを分解してしまう。

 

「くっ………!」

 

悔しそうな声を漏らすボルフォッグ。

 

「下等な機械人形の複製品が………貴様など相手にもならん」

 

腕原種がそう言う。

 

「ほな、さっさとこの建物の人間全部ゾンダーにしてやらなぁ」

 

爪原種がカルディナの口調でそういう。

その視線が人々へ向く。

その視線に人々に恐怖と不安が広がりそうになるが、

 

「フッ……そう何もかも事がうまく運ぶとは思わない事です」

 

ボルフォッグは不敵な笑みを零した。

 

「何………?」

 

腕原種は怪訝な声を漏らした。

 

 

 

 

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

 

 

セフィーロ城の外。

そこに勝利の鍵が存在していた。

それは、

 

「システムチェーンジ!!」

 

バリバリーンから射出されるコスモロボ形態のマイク。

2頭身のずんぐりむっくりしたコミカルなロボットが8頭身のスマートなブームロボ形態へと姿を変える。

 

「マイクサウンダース 13世!!」

 

バリバリーンが反転したスタジオ7に乗ると、

 

「最高だッゼ!」

 

サムズアップをしながら決めポーズを取る。

そして、

 

「カモンロックンロール!」

 

スタジオ7からディスクが射出され、マイクはそれを掴むと、

 

「ディスクX! リミックスバージョン! セットオン!」

 

胸のハッチを開けてその中にディスクをセットすると、スタジオ7から複合サウンドツールが飛び出し、マイクがそれを掴むと、

 

「ギラギラーンVV!!」

 

重厚な音楽が響き始めた。

ディスクXのソリタリーウェーブは、対象の分子構造さえ把握すれば、破壊出来ないものは無いと言わしめる代物。

そして、勇者ロボ。

延いてはオービットベースは複製であるレプリジンではあるが、対象となった時系列はジェイやルネで言う『勇者王ガオガイガー FINAL』の時系列。

つまり、原種達との戦いが終わった後の時系列であり、原種達のデータは既に揃っている状態なのだ。

そして、ソリタリーウェーブは対象以外には効果を及ぼすことは無い。

つまり、セフィーロ城を破壊することなく原種達にのみダメージを与えることが出来るのだ。

 

「ぐああっ!?」

 

「こ、これは………!」

 

「ソリタリーウェーブ………!」

 

苦しみだす原種達。

 

「い、いかん………今のままではエネルギーが足りん………撤退するぞ!」

 

腕原種が腕を振り下ろして煙幕を作り出すと、姿を消した。

 

 

 

 

魔物とノヴァの襲撃。

そして原種達を何とか退けたが、ラファーガ、カルディナ、フェリオ、アスコット、アルシオーネを乗っ取られた事で、手放しには喜べない状況だった。

そしてそれは、海と風。

2人の魔法騎士に大きな衝撃を与えたのだった。

 

 

 

 

 

 







はい、レイアース編第5話でした。
本日は代休で休みだったので更新です。
まあ、色々とツッコミどころはあるでしょうが、遂に登場腕原種を含めた機界最強7原種の残り5体。
一気に出てくるとは思わなかったでしょう。
そしてまさか、ラファーガ達が乗っ取られるとは………予想通りの人も多かったり?
因みに、乗っ取られた原種の種類は自分の独断で決めたので悪しからず。
まあ、腕原種はラファーガぐらいしか似合いそうな人物居なかったからですけど。
というわけで元ザガート一味+フェリオが原種となって立ちはだかることになりました。
特に風ちゃんのダメージがデカそうです。
海は………どうでしょうね?
因みに自分は、海のお相手はクレフよりアスコット派です。
兎に角次もお楽しみに。
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