転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件 作:友(ユウ)
原種達を退けた俺達は、事の顛末を報告するためにクレフの下を訪れていた。
「まさか………ラファーガ達の体が敵に乗っ取られてしまうとは…………!」
クレフも動揺を隠せない表情でそう口にする。
「風ちゃん………大丈夫………?」
「え、ええ…………」
光が心配そうな声で風に問いかける。
風は頷くが、その表情は優れない。
ほぼ恋人と言っても問題ないフェリオが敵側に回ってしまったのだ。
そのショックは大きいだろう。
「まさかまたアスコット達と戦う事になるなんてね…………」
海も俯きながらそう言った。
フェリオを除いた4人は、かつてザガートの配下として魔法騎士達と戦っていた。
一度和解した者達と再び戦う事に、思う事もあるのだろう。
「気休めにもならんかもしれんが、原種に取り付かれた者達は原種を倒し、その核をハルが浄解すれば助けられる。こちらに居るステラとルリも、一度原種に取り付かれた事があり、浄解によって元に戻った人間だ」
俺はそう説明する。
「そうなんだ……!」
希望が見えた事に、光は少し表情を明るくする。
「原種達が動き出せば、ハルが感知できる。一先ずそれまでは待つしかない」
俺はそう言って、焦りは禁物だと諭した。
それから数日。
他の3国やデボネア一派、そして原種達の動きも無く、平穏な日々が続いていた。
しかしある時、
『ジェイさん』
ルリが報告して来た。
「どうした?」
『城の内部で小規模な爆発を確認しました』
「イーグルか………!」
遂に行動を開始したな。
確か、柱の証を手に入れる為にランティスを探すんだったな。
俺は直ぐに起き出して行動を開始。
同じく爆発に気付いたGGGの仲間や魔法騎士達と合流した。
しかし、あちこちで爆発が起こって居場所を特定できないでいる。
「どうしてあちこちで爆発が起こるの!? 逃げたオートザムの司令官は1人なのに!」
海がわけわかんないと言いたげに叫ぶ。
「おそらく時限式の爆弾を仕掛けているのだろう。爆発までのタイマーを調整すれば可能だ」
キョウスケがそう推測する。
「じゃあ、どうやって探せば……!?」
「手分けするほかあるまい」
光の言葉に俺が答える。
「数の利を生かして手分けして探す。本人が見つかったら報告し、爆発物らしきものが見つかっても下手に手は出さず、周りの者に近付かないよう注意するぐらいか」
「分かった。私はこの先に行く。風ちゃんは来た道を戻って、海ちゃんは下をお願い」
「はい」
「分かったわ」
魔法騎士の3人は手早く役割を決める。
俺は、ある人物へ通信を繋げた。
「聞こえるか? レモン」
『何かしら? ジェイ』
その相手はレモン。
「現在城の中をオートザムの捕虜が爆発物をバラまきながら逃走中だ。ハロを使って探索を頼む」
『わかったわ。すぐに準備するわ』
その言葉で、マクロス・ブレイバーから大量のハロが城へ投下された。
「俺達も行くぞ」
結果を言えば、原作通りに事が進んだ。
光がランティスと戦うイーグルを発見。
そのまま柱の証の間へ転移され、証の部屋に光とイーグルが飛び込み、2人とも生きて出てきた。
それは、どちらかが次の『柱』であるという事。
気を失っていた2人はそれぞれ別の部屋に寝かされている。
しかし、その事に驚く間もなく、童話に出てくる魔法のランプのような形をしたチゼータの移動要塞、『ブラヴァーダ』が現れた。
「チゼータか………」
俺は呟く。
「光さんもまだ気を失ったままですし、クレフさんも具合が宜しくないようですわ」
風がそう言う。
風の言葉通りこの場にはクレフは居ない。
「口にはなさらないけど、導師のお身体は、決して楽観できる状態じゃないの」
プレセアがそう言う。
クレフは常にこの城を維持するために精神力を消費し続けている。
その負担は相当なものだろう。
というか、セフィーロの代表的な人物が殆どいないってかなりヤバいな。
すると、
「出るわ」
海がそう言う。
「チゼータがセフィーロに侵攻してくる理由は、あのお姫様から聞いたわ。それでも、私は戦うと決めたの!」
海が真剣な表情で言い放った。
「ならばGGGも手を貸そう」
俺はそう言う。
「ジェイ」
「城の防衛にも何機か残し、援護する」
「………ありがとう」
海はそう礼を言った。
海はセレスを呼び出し、マクロス・ブレイバーと合流。
ブラヴァーダを迎え撃たんとした。
一先ず様子見の為、エクセレンのライン・ヴァイスリッターとニールのアシュセイヴァーが海の護衛に就く。
すると、ブラヴァーダを前にした海が、
「またあの妙な精霊と戦うのかしら?」
若干脱力した様子で頭に手を当てる。
「妙な精霊?」
ニールが怪訝な声を漏らすと、ブラヴァーダがほのかな光を放った。
「ッ!」
海が身構えると、魔法のランプのような形のブラヴァーダの先から、青と赤の煙のようなものが噴き出す。
それぞれの色の煙が集まって形をとり、そこに現れたのは、ランプの精霊というにはムキムキマッチョすぎる筋肉を持った2体の精霊。
「「……………………」」
その姿にエクセレンもニールも思わず絶句した。
「……………ランプの魔人というにはちょーっとムキムキ過ぎないかしら? 童話に出てくるランプの魔人は、もっとこう………もうすこしポッチャリ系よ?」
流石のエクセレンのツッコミにもキレが無い。
それだけ衝撃がデカかったのだろう。
「な、何だありゃ………?」
ニールが思わず口にすると、
「チゼータの王族であるタータ、タトラが操る守護精霊、ラクーンとラシーンよ。ふざけた見た目だけど、どちらも強敵だから注意して!」
海が答える。
その言葉に気を引き締める2人だが、
「…………動かねえぜ?」
ニールの言葉通り、現れた2体の精霊は戦う様子を見せない。
すると、
『リュウザキ ウミ』
青い精霊が口を開き、女性の声が聞こえた。
ムキムキマッチョな精霊から女の声が聞こえるのはシュールだ。
『チゼータのタータ、タトラ。チゼータ王族の名に懸けて、戦いを望む!』
「戦い………?」
『私とタトラ姉様が一本ずつ勝負する。精霊と魔神では無い! お互いの実力だけで決着を付ける! お前が勝てば、セフィーロから手を引こう!』
「………………」
海はセレスと相談していたが、決闘を受けるつもりのようだ。
「おいおい、本気か?」
ニールが呆れた声を漏らす。
「あら? 別に良いじゃない。私は嫌いじゃないわよ、そう言う決闘で白黒つけるの」
エクセレンは割と乗り気の様だ。
まあ、分の悪い賭けは嫌いじゃないキョウスケの恋人だからなぁ………
そして、
「その申し出! お受けするわ!」
海は了承の返事を返した。
すると、2体の守護精霊が再び煙の様になって交じり合うと、空中に浮かぶ決戦場を作り出した。
『そこが戦いの場だ!』
海がセレスから降りて決戦場に降り立つと、ブラヴァーダからも2人の少女が降り立つ。
2人とも赤毛の褐色肌の少女で、片方は勝気そうな雰囲気のサイドテールの少女。
こちらはタータで、もう1人の赤毛をストレートに伸ばしたおっとりした雰囲気の少女がタトラだろう。
まず、タータが前に出た。
タータは右手に曲刀を、左手に円形の盾を持ったスタンダードな戦士のスタイル。
「一本勝負! どちらかが戦闘不能になるまで戦うんだ!」
そう言い放つタータに、海は西洋の騎士の様に一度顔の前で剣を掲げ、構える。
そこへ俺が近くの岩場に降り立ち、
「ならば立会人は俺が努めよう」
「ジェイ!?」
海が驚いた声を上げる。
「安心しろ。贔屓はせん」
俺はそう宣言する。
「………いいだろう!」
タータも俺を睨んでいたが、了承の意を返してきた。
俺は手を掲げ、
「それでは………………始めっ!!」
手を振り下ろすと共に叫んだ。
「はぁああああああああっ!!」
その瞬間、タータが一気に踏み込んで剣を振るう。
タータの剣は西洋風の曲刀で刀身も厚い。
一方海の剣は、細身のレイピアに近い剣だ。
真面な打ち合いでは分が悪い為、タータの剣を受け流しながら凌いでいく。
「くっ!」
それでもタータの怒涛の攻めに海は押されており、後退を余儀なくされていく。
気付けば、決闘場の端まで追い込まれていた。
「ッ!?」
「足を踏み外したら、そのまま墜落するぞ?」
タータが剣を突きつけながらそう言う。
「ッ! たぁあああああああああああっ!!」
だが、海は表情を引き締め直すと反撃に出た。
タータが海の剣を受け止めるが、堪えるので精いっぱいだ。
「ッ………! 強いな……!」
「私は………! 負けるわけには行かないの………! セフィーロの為にも………!」
海の脳裏に原種に取り付かれていなくなってしまった仲間達、そしてアスコットの姿が過る。
「アスコット達の為にも!!」
海がタータに競り勝ち、タータが思わず後退する。
すると、海が構えを変えた。
剣を真っすぐに突き出した状態で構えるフェンシングスタイルだ。
そう言えば、海はフェンシング部に所属しているんだったか………
最小限の動きで鋭い突きが連続で繰り出される。
「うわっ!? なっ……!?」
タータは必死で避けていたが、
「たぁあああああああああああっ!!」
回避不能な渾身の一突きが放たれた。
タータは咄嗟に盾で防いだが、その突きは盾を砕き、タータを吹き飛ばした。
「あああああああああああっ!?」
細身の剣で盾を砕く威力が出せるのは、信じる心が力になるセフィーロの特性故だろう。
飛ばされたタータは、決闘場の外まで吹き飛ばされた。
「ああっ………!?」
タータは思わず怯えた声を漏らしたが、
「蒼い竜巻ぃっ!!」
海が放った水の竜巻がタータを決闘場の上まで巻き上げた。
決闘場の上に落ちたタータに海が歩み寄る。
「大丈夫?」
海が問いかけると、
「何で助けたんや……?」
タータは思わず問い返した。
その問いに、
「戦闘不能にすればいいんでしょ?」
海は微笑んでそう言った。
「そこまで! 勝者、龍崎 海!」
俺は海の勝利を宣言する。
タータも特に反論はせず、敗北を受け入れた。
すると、
「次はわたくしね……!」
傍観していたタトラが立ち上がる。
その声色は、今までの何処かおっとりした声色とは違い、強者の威圧を持った声だった。
「タトラ………」
「姉様は強いぞ……! チゼータでタトラ姉様に敵う者は、1人もいなかった………!」
タータが海にそう言うと、タトラは何かの柄を生み出してそれを握ると、腰に巻いていた布や腕の装飾を脱ぎ去り、身軽な格好になる。
「立会人………! 開始の合図を!」
タトラが俺に言うと、
「海、準備は良いか?」
俺は海に確認を取る。
「………ええ!」
海が頷くと、タータは下がり、
「それでは………始め!」
再び開始の合図で腕を振り下ろした。
その瞬間、
「勝ぉぉぉぉぉぉぉ負っ!!」
タトラが飛び掛かる。
持っていた柄には、短剣の刃が生み出されていた。
普段の様子からは想像も付かない怒涛の攻め。
海も凌ぐので精いっぱいだ。
反撃する暇もない。
海は仕切り直す為に間合いを取ろうと跳躍でタトラの頭上を飛び越えようとしたが、
「ハッ!」
タトラの刃が光の鞭のように変化し、海の足に巻き付く。
「ッ!?」
「はぁあああああああああああっ!!」
そのまま勢いよく地面に叩きつけた。
「あうっ!?」
それでも海は立ち上がろうとする。
「ッ……! くっ……!」
「フフ……」
タトラは笑みを浮かべながら鞭を再び短剣の状態に戻した。
「負けられない……! ここで負けたら、またあなた達と戦わなきゃいけなくなる……」
海は気力を振り絞って立ち上がると、
「絶対負けられない!」
そう言い放つ。
その心が、海に再び力を取り戻させた。
「あなたは本当に強いのね………心が………!」
タトラは海を認める発言をする。
「はぁああああああああああっ!!」
今度は海から仕掛ける。
先程の様に一方的に攻められることは無いが、それでもまだタトラの方が一枚上手と言った所か。
着実に海のダメージが蓄積してきている。
「ッ……!」
そんな海の姿を見て、タータは何処かもどかし気な………見ていられない仕草を見せている。
そして、タトラの鞭に腕を取られそのまま投げ飛ばされた瞬間、
「ッ!」
決闘場の一部が守護精霊の手となり、海を受け止めた。
「タータ!?」
タトラが思わず振り返る。
タータは、なぜ自分がそんな事をしたのか理解できない様子だった。
すると、海に意志の力が集中し、渾身の一撃が放たれることを示す。
そんな海にタトラは真っ向から受け止める覚悟だ。
「はぁぁぁぁぁぁっ! たぁあああああああああああああっ!!!」
海の突きと共に放たれた『意志の力』はタトラが迎撃の為に振るった鞭を吹き飛ばし、タトラ自身を飲み込んだ。
「あああああああああああああああっ!?」
「姉様ぁっ!?」
タータが叫び声を上げる。
光が収まった時には、タトラはその場に倒れていた。
「それまで! 勝者、龍崎 海!」
俺は海の勝ちを宣言した。
その後、倒れたタトラを海が介抱し、2人と和解。
チゼータとセフィーロの間に停戦が結ばれることになる。
だが、
『フフフフ…………茶番は終わったかな?』
その場に響く怪しい声。
海達の居る場所から少し離れたところに黒い穴が発生。
そこから2人の人物が現れた。
それは、
「アスコット!? カルディナ!?」
アスコットとカルディナの姿をした2人。
腸原種と爪原種だった。
「なんともくだらない戦いやったなぁ?」
カルディナの姿をした爪原種がバカにしたようにそう言い放つ。
「何ですって!?」
信念を懸けた決闘をくだらないと言われた海は言葉を荒げる。
「あんさんらがどれだけ小さな戦いを繰り返しても、宇宙全てを機界昇華するっちゅう事にはかわりないのにな?」
「キカイショウカ…………?」
海が怪訝そうに呟く。
「な、何者なんだ奴らは………? 女の方はチゼータの人間に見えるが………」
タータが呟くと、
「私達の仲間よ。だけど、今は原種って奴らに体を乗っ取られてるの」
海がそう説明する。
「心弱き者共よ。貴様らの拠点とゾンダーメタルプラントと化し、この宇宙の機界昇華の先駆けとしてくれよう」
腸原種がそう言いはなった。
「心弱き者………? 私達が…………!?」
その言葉に海が一瞬動揺したが、その瞬間俺は腸原種に斬りかかった。
「ッ!?」
直前で気付いた爪原種が立ち塞がって左手の爪で俺の光剣を受け止める。
「不意打ちとはやってくれるやないか?」
カルディナの言葉で爪原種がそう言う。
「原種相手に真っ向勝負で勝てると思うほど、俺は己惚れてはいない」
俺はそう言った弾き合い、海の近くまで後退する。
「ジェイ!?」
海が驚いた声を上げると、
「気にすることは無い。奴らの言う『心の強さ』というのは、怒りや憎しみ、悲しみ、ストレスと言った負の感情を感じないことだ。つまり、喜怒哀楽全ての感情を無くした、機械のような心こそ『強い』と勘違いしているバグったシステムだ」
「何を言う? 貴様ら知生体の発生させるマイナス思念こそがこの宇宙を混沌に導く元凶。生命体は、マイナス思念を持たない機械生命体ゾンダーへと昇華されるべきなのだ」
腸原種がそう言うと、
「そんなの、大きなお世話よ!!」
海が叫ぶと剣を構え、
「アスコットとカルディナを返してもらうわ!!」
そう言い放った。
「出来るかな?」
「やってやるわよ!」
海は手を掲げ、
「水のぉぉぉぉぉぉぉぉ龍ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」
水の龍を放ち、2体の原種を狙う。
だが、
「甘いなぁ!」
爪原種が腕を振り、水の龍を切り裂いて四散させる。
「ッ!?」
「ウチの爪は、どんなもんでも切り裂くんや」
得意げに爪原種が言う。
「それならっ……! 蒼い竜巻ぃぃぃぃぃぃっ!!」
今度は水の竜巻を放つ海。
しかし、腸原種がマントの中から触手が飛び出し、
「ブラックホール……!」
その先にマイクロブラックホールが生み出され、水の竜巻はあっさりと吸い込まれた。
「くっ……!」
魔法が通用しなかったことに、海は歯噛みする。
「私の生み出すマイクロブラックホールは全てを吸い込む。その程度の攻撃は無意味だ」
腸原種はさも当然と言いたげにそう言った。
「それならっ!」
海は剣を構えて直接斬りかかった。
「馬鹿めっ!」
腸原種は触手を海に向け、マイクロブラックホールを発生させようとした。
だが、
「させんっ!」
その前に俺が高速飛行で横切りながら触手を断ち切る。
「ぬうっ!? 忌々しいソルダートの紛い物め!!」
腸原種が俺に気を取られる。
その瞬間、
「たぁあああああああああああっ!!」
海の放った渾身の突きが腸原種を吹き飛ばした。
「ぬぁあああああああああっ!?」
腸原種は叫び声を上げながら吹き飛び倒れる。
俺は即座に海の前にカバーに入り、爪原種の爪を受け止めた。
「ちぃっ! しくじったかいな!」
「お前達の行動はありきたりすぎる!」
俺は爪原種を弾き飛ばした。
海はそのまま腸原種に追撃を懸けようとして、
「………………………ウミ?」
腸原種が今までとは違う声色で海の名を呼んだ。
「ッ!?」
その声に、海は思わず足を止める。
「ウミ………? どうして僕に剣を………? いや、僕は一体何を……?」
その口調はアスコットのものだ。
その眼も先程のような凶悪な眼つきではなく、優しさを感じさせる眼差し。
「アスコット!? 目が覚めたのね!」
海は思わず顔を綻ばせて駆け寄る。
だが、
「海! 駄目だ! 近付くな!!」
それに気付いた俺は叫んだ。
その直後、再び凶悪な目付きとなり、
「愚かな!!」
海をマイクロブラックホールに吸い込まんと触手を向けた。
「ッ………!?」
海も気付くがもう遅い。
触手の先に、マイクロブラックホールが発生した。
海はそのまま成す術なくマイクロブラックホールに吸い込まれ……………
「………………え?」
…………ることは無かった。
何故なら、
「はぁああああああああああああああああああっ!!」
間一髪でハルが立ち塞がり、Jパワーの解放によってマイクロブラックホールの吸引力と拮抗していたからだ。
「ハル!」
海が嬉しそうに叫ぶ。
「ぬぅぅ……! 貴様、アルマか!」
忌々しそうにその名を呼ぶ腸原種。
「散々人間達を馬鹿にする割には、随分と狡い手を使うね?」
「邪魔者を効率よく排除するために、弱点を突いているに過ぎん!」
ハルの言葉に、腸原種はそう言い返す。
その言葉を聞いて、海は歯を食いしばる。
「……………許さない………!」
そう呟くと拳を強く握り、
「私を騙す為にアスコットを利用するなんて……………絶対に許さない!!」
海の純粋な怒りが彼女に力を与え、その魔法力を高めていく。
「な、何や!?」
「これは………!」
爪原種が声を漏らし、俺はハッとなって咄嗟に爪原種の体勢を崩すとその場を飛び退く。
そして、
「氷のぉぉぉぉぉぉぉぉっ! 刃っ!!!」
無数の氷でできた刃が原種達を襲った。
「うわぁああああああああああっ!?」
「ぬぁああああああああああああっ!?」
海の新魔法によって2体の原種は各部を傷つけながら吹き飛ばされる。
だが、そこまでダメージは無いのか、すぐに立ち上がってきて、
「よくもやってくれたなぁ!?」
「遊びは終わりだ!」
爪原種と腸原種は気を取り直し…………
次の瞬間爆発に呑まれた。
「なっ!? 今度は何や!?」
爪原種が驚きの声を上げながら見上げると、
「はいは~い! そこまで~!」
「これ以上やるってんなら、俺達が相手になるぜ?」
上空から原種達を狙う、ライン・ヴァイスリッターとアシュセイヴァー。
「ッ~~~~~~! そんなに死にたいっていうなら、やってやろうやないか!」
爪原種はそう叫んだが、
「爪、ここは退くぞ」
腸原種はそう言う。
「腸! 何でよ!?」
爪原種が聞き返すと、
「ここでエネルギーを消費するのは得策ではない。紛い物とはいえ、アベルの残せし災い。カインの遺産の複製品も控えている」
「ッ~~~~~~~~! 命拾いしたな! アンタら!」
爪原種は悔しそうに叫ぶと、腸原種が作り出した黒い穴に吸い込まれ、姿を消した。
「ハル?」
「駄目。追跡できない」
ハルは首を振った。
「そうか」
俺はそう呟く。
「アスコット……カルディナ………」
海は2人を助けられなかったことに、悲しそうな表情をしたが、すぐに引き締め、
「次は絶対に助けて見せるから!」
そう宣言するように口にする。
「やはり強いな………」
彼女の心の強さに、俺は尊敬の念を覚えるのだった。
はい、レイアース編第6話です。
今回はチゼータの姉妹と海の決闘と、原種達との戦いでした。
ジェイは決闘の立会人なってもらいました。
そして腸原種と言ったら狡いだまし討ちですね。
今回は取り逃がしてしまいましたが果たして?
次もお楽しみに。