転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件   作:友(ユウ)

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マブラヴ オルタネイティヴ Another編
第1話 絶望の世界に降臨せし『破壊神』


 

 

【Side 三人称】

 

 

 

 

 

 

――1998年 日本

 

7月初頭、喀什から東進してきたBETAが北九州に上陸。

台風上陸が重なったことも災いして一般市民の避難すら満足に行うことができないまま九州・四国・中国がわずか一週間で壊滅。

犠牲者は3600万人(日本人口の30%)にも上った。

斯衛軍主導による首都防衛戦が展開されたが、BETA上陸から1か月後には首都京都が陥落。

京都陥落直前までに皇族、政府機能、一般市民の避難を完了させ東京へ遷都する事となる。

だが、BETAの進軍を止めることは出来ず、今現在、横浜の街がBETAの侵攻を受けていた。

帝国軍の戦術機が防衛線を展開しているが、既にいくつかの防衛戦は破られ、街中にBETAの侵入を許してしまっている。

そんな中、1人の少年が1人の少女の手を引きながら逃げていた。

 

「はあっ! はあっ!」

 

「たっ、タケルちゃんっ………!」

 

少年は激しく息を吐き、少女は今にも足を縺れさせそうだ。

 

「頑張るんだ純夏! 追いつかれたら終わりだ!」

 

少年が少女に呼び掛ける。

 

「う、うん…………」

 

少女も体力の限界であったが、掴んだその手だけは離すまいと少年の手を握りしめる。

少女の名は鑑 純夏。

この街に住む唯の少女。

そして少年の名は白銀 武。

彼は……………

 

(畜生! 何で記憶の流入が起きたのがついさっきなんだ………! せめて1ヶ月………いや、1週間でも早く記憶の流入が起きていれば………!)

 

武はこの出来事を知っていた。

いや、先程思い出したという方が近いが。

彼は因果導体という特異な存在であり、並行世界の白銀 武の因子が集まって形作られた存在だ。

本来であれば、2001年の10月22日に現れるはずだが、この世界に限ってはつい先ほどこの世界に現れた。

正確には、この世界の白銀 武が生きている状態だったので、彼と同化したと言うべきか。

そして、現在は幼馴染の鑑 純夏を連れてBETAから逃げるべく走り続けていた。

だが、突如として前方の塀が砕かれ、そこから兵士(ソルジャー)級BETAが現れた。

 

「ソ、兵士級………!?」

 

思わず足を止め、戦く武。

 

「ひっ!? た、タケルちゃん……!」

 

純夏は怯えながら武にしがみ付いた。

 

(畜生……! このままじゃ俺の知ってる歴史の通りに……BETAに捕まって、俺がBETAに殺されて、純夏が凌辱されて、脳髄だけの姿にされちまう………!)

 

その時、ぐりん、と兵士級の顔が武達の方を向いた。

兵士級までの距離は20mほど離れていたが、その動きが恐怖を更に搔き立てる。

 

「タ、タケルちゃん………!」

 

「ッ~~~~~! だ、大丈夫だ純夏……! お前は必ず、俺が護ってやるから……!」

 

武に出来ることは、純夏を少しでも不安にさせない様に強がることだけだった。

 

(くそうっ! 俺にもっと力があれば…………! あの人の様に……!)

 

武の脳裏に浮かぶのは、赤き一閃。

武の並行世界の記憶の1つ。

複数の兵士級や闘士(ウォーリア)級だけに留まらず、戦車(タンク)級すら一刀両断にして見せたあの姿。

 

(……………ジェイ特務少佐の様に!)

 

兵士級が、タケル達に向かって進み始めた。

 

 

 

 

 

一方、横浜を防衛する戦術機部隊の1つに、山吹色のカラーをした戦術機、瑞鶴が迫りくるBETAと戦っていた。

その戦術機の衛士は篁 唯依(たかむら ゆい)という名の少女。

京都陥落時の防衛戦に訓練生ではあったが非常事態の為、実戦に参加していた。

その結果は無残なもので、同期の者達は教官を含め全員戦死。

唯依も生き延びたにせよ、機体を失い、助けが間に合わなければ死んでいた。

それから余り時間が経っていないが、横浜の防錆戦に新人衛士として参加していた。

唯依は、今度こそ守り切る思いでいた。

しかし、現実は非情であり、BETAの圧倒的物量の前に次々と防衛線が崩れ、横浜の街がBETAに蹂躙されていた。

 

(私は………また守れないのか………!)

 

その考えが唯依の脳裏を過る。

 

『ぐぁああああああああっ!!』

 

『ひぃいいいいいいいっ!?』

 

通信から同じ部隊の仲間の悲鳴が聞こえる。

見れば、仲間の戦術機が突撃(デストロイヤー)級に押しつぶされ、戦車級に群がられて食い破られている。

 

「ッ!」

 

唯依は咄嗟に突撃砲を乱射し、そのBETAを仕留める。

しかし、また新たなBETAの群れが現れた。

 

「くっ!」

 

歯噛みする唯依。

既に同じ部隊で残っているのは自分と隊長機の2機のみ。

護り切れないのは明らかだった。

 

『篁少尉! 貴様は撤た…………!』

 

隊長からの通信が途中で途切れた。

光線(レーザー)級のレーザーが隊長機のコクピットを貫いていた。

 

「ッ! ああああああああああっ!!!」

 

唯依は叫びながら突撃砲を乱射。

しかし、ピーッという警告音と共に弾が出なくなる。

 

「弾切れっ!?」

 

それに気付いた唯依は失態を悟る。

更に、その事に気を取られた隙に、要撃(グラップラー)級が迫っていた。

 

(…………ここまでなの………?)

 

唯依の脳裏に走馬灯が過る。

そして要撃級の硬質化した前腕が振り上げられ……………

凄まじい衝撃と共にはじけ飛んだ。

 

「きゃぁあああああっ!?」

 

その衝撃で唯依の瑞鶴は吹き飛ばされて地面に倒れる。

 

「な、何が…………?」

 

唯依は吹き飛ばされた拍子に揺れた頭を押さえながら、前方を確認する。

目の前には無残に飛び散った要撃級の肉片が広がっており、その中心地点には砂煙がモクモクと上がっている。

 

「………艦砲射撃でも来たの………?」

 

唯依はそう呟くが、随時更新されるデータにはそれらしき情報は無い。

すると、煙が薄れていくにつれ、その中に異形の影が浮かび上がった。

 

「な、何だ………?」

 

唯依は思わず声を漏らす。

大きな禍々しい翼に長い尻尾。

威圧感を感じさせる鬣。

この世界の日本人である唯依走る由も無いが、そのシルエットは欧州の神話や伝説に出てくる悪魔を連想させた。

その時、風が吹いて煙が吹き飛ばされ、その姿が露になった。

戦術機の倍ほどもある体躯。

黒く大きな背部ユニットに膝にドリルを付けた脚部。

胸に獅子を携え、赤い髪を靡かせるその姿。

究極の破壊神であり、最強の勇者王であるジェネシックガオガイガーであった。

 

「せ、戦術機………なのか………?」

 

唯依が呟いたとき、1体の突撃級がガオガイガーに向かって突進してくる。

すると、ガオガイガーはゆっくりと左手を前に出し、突撃級の突進を左手一本で微動だにせず受け止めた。

 

「デ、突撃級の突進を片手で……!?」

 

唯依は驚愕の声を漏らす。

仮に通常の倍の大きさの戦術機があろうと、突撃級の突進を無傷で受け止める事など不可能だ。

絶対に腕が潰れてしまう。

だが、目の前の機体はそれを軽々と無し遂げた。

そして次の瞬間、ガオガイガーの手が光を纏ったかと思うと、突撃級が光の粒子に分解されて消え去る。

 

「き、消えた………?」

 

これは、ジェネシックガオガイガーの武器の1つ、ゴルディオンネイルの力だ。

ジェネシックガオガイガーの手や足の爪には局所的に活断ウェーブを発震させ、対象を光子分解する能力を備えている。

要はゴルディオンハンマーの元になった武装なのだが、地球の技術力では小型化出来なかったため大型化した結果、オリジナルよりも威力が高くなる結果となった。

ガオガイガーが迫りくるBETAの大群を見据える。

すると、

 

『BETA………』

 

女性の声が聞こえた。

 

『私は………お前達を…………破壊ッ……するッ!!』

 

宣言するように指を突きつける。

そして右腕を天に向かって掲げると、手首から先が高速回転を始め、

 

「ブロウクンッ………マグナムッ!!」

 

その腕を繰り出すと共に手首から先が射出される。

それが向かってくるBETAの先頭集団である突撃級の大群へ向かって突き進む。

そして、

 

「なっ!?」

 

唯依が信じられない声を漏らした。

突撃級の前面はダイヤモンドより硬く、モース硬度15以上と言われ、戦術機の標準装備である36㎜突撃砲は疎か、120mmすら角度によって弾く強度を持つ、BETAの先鋒を担う『槍』であり『盾』であるとも言える。

この突撃級がBETAの大群の前面に出てくるため、面制圧が出来ない大きな要因となっている。

だが、ガオガイガーのブロウクンマグナムは、そんな突撃級の甲殻を、まるで発泡スチロールかの如く楽々と砕き、その身を粉砕させる。

それどころか、ブロウクンマグナムはそのまま突撃級の群れを突き抜け、後ろから迫っていた戦車級、要撃級、要塞(フォート)級の群れにも突っ込み、同じように粉砕していき、群れを貫き切るとブロウクンマグナムはUターン。

同数を粉砕しながら戻ってきた。

ガオガイガーが掲げた腕に、右手が再びドッキングする。

それでも、粉砕したのは正面のBETAのみなので、周囲のBETAが接近してくる。

だが、突如晴れている筈の空に雷鳴が轟き、ガオガイガーの周囲に落雷が起こり、近付いてきたBETAがその落雷に撃たれて黒焦げとなっていた。

 

「な、何だ……!? 雷が落ちた!?」

 

唯依は思わず空を見上げる。

そこには黒い騎士のような機体が存在していた。

それは、魔神ランティス。

空中に存在する魔神ランティスに対し、飛翔体を優先的に撃ち落す光線級がレーザーを発射。

だが、

 

『殻円防除』

 

ランティスの唱えた結界魔法がレーザーを遮断。

無傷で地上に降り立った。

そして、左手に持っていた剣を両手持ちで天に掲げると、

 

『稲妻っ………!』

 

その剣に雷が落ち、

 

『………招来っ!!』

 

剣を振り下ろすと共に放たれた雷がBETAを飲み込みながら蹂躙する。

 

「な、何だこれは………?」

 

唯依は最早呆然と声を出す事しか出来ない。

その時だった。

 

『こちらは、ガッツィー・ジェネレーション・ガード! これより帝国軍を援護します!』

 

突如として入る通信。

 

「援護……?」

 

その時、レーダーが高速で接近してくる反応を捉える。

 

「ッ!? この反応は!?」

 

唯依がそちらを振り向けば、上空を飛行する4機の戦闘機が見えた。

 

「馬鹿かっ! 光線級が存在する戦域で戦闘機を飛ばすなどっ!」

 

唯依が思わす叫ぶ。

BETAが地球に飛来した当初、航空戦力は非常に有効な戦術だった。

空の飛べないBETAに対し、一方的に攻撃を加えられるからだ。

しかし間もなく、光線級という新種のBETAが現れた事で事態は一変。

航空戦力に対し、正確無比に命中させる正確性と長射程。

並の装甲では一瞬で融解させられる出力のレーザーによって、航空戦力は無力と化した。

その為に戦術機………『戦術歩行戦闘機』が開発されたのだが、少し高く飛ぶだけでも撃ち落としてしまう光線級は、BETAとの戦いにおいて、最も脅威であると言わざるを得なかった。

勿論この戦場にも光線級は存在する。

実際に先ほど隊長機がレーザーによって撃ち落されたのだ。

そして事実、空を飛ぶ4機の戦闘機に向かって、無数の閃光が発射された。

唯依は、無残に爆散する4機を幻視したが、

 

「そ、そんなっ………!?」

 

目の前で信じられないことが起こった。

放たれるレーザーを、その戦闘機達は次々と躱していくのだ。

到底戦闘機が出来る機動ではない。

だが、目の前の戦闘機はそれを行っている。

 

『へへっ! 空中騎士団に比べれば素直なもんだぜ!』

 

得意げに語る通信が聞こえて来た。

 

『デルタ3! 油断しない! 光線級を優先的に潰します! 行きますよ!』

 

『了解!』

 

そう言うと、4機の戦闘機は急降下。

レーザーの発射元に向かって行く。

当然レーザーが発射されているが、戦闘機は紙一重と言えど悠々と躱していった。

そして、無数の小型ミサイルを発射すると、地上に着弾。

その一帯からのレーザーが途切れた。

 

「ま、まさか………航空戦力だけで光線級吶喊(レーザーヤークト)を成功させた!?」

 

唯依は驚嘆する。

とはいえ、光線級が存在する場所はまだ他にもある。

すると、もう1つの影が空に浮いているのに気付いた。

先程のジェネシックガオガイガーが悪魔なら、こちらは堕天使という風貌のライン・ヴァイスリッター。

ライン・ヴァイスリッターにもレーザーが発射されると、

 

『ひらりっ……! そして、バキューン!』

 

瞬時にレーザーを躱し、その発射地点にハウリングランチャーEモードを撃ち込み、沈黙させる。

尚、その発射地点は数十㎞離れていたが、当然の様に直撃させていた。

 

『ほほいのほいさっ!』

 

そのままレーザーを躱し、発射元にビームを撃ち込む行動を繰り返すライン・ヴァイスリッター。

 

「…………………」

 

唯依は最早言葉を失っている。

が、そこに生き残っていた突撃級が突っ込んできた。

 

「し、しまっ………!?」

 

唯依は直前で気付いたがもう遅い。

瑞鶴の反応速度や性能では絶対に間に合わないタイミングだ。

だが、赤い衝撃が突撃級を横から吹っ飛ばした。

 

『戦場でボーっとするな………!』

 

そこに建つのは、真っ赤な装甲を持つ機体、アルトアイゼン・リーゼ。

アルトアイゼン・リーゼは吹っ飛ばした突撃級に左腕の5連チェーンガンを向けると発射。

突撃級はあっという間に蜂の巣………というよりバラバラに粉砕される。

すると、アルトアイゼン・リーゼは向かってくる突撃級を見据え、前傾姿勢になると、

 

『ブースト!』

 

弾丸の如く突っ込んでいった。

比喩ではなく、本当に弾丸のような速度で。

唯依が気付いたときには、アルトアイゼン・リーゼは突撃級の体に正面から右腕の杭を突き立てていた。

そして、撃鉄が落ちた瞬間、杭が突き刺さっていた突撃級がはじけ飛び、その甲殻の欠片が散弾のように周囲のBETAを蹂躙する。

 

『どんな装甲でも………撃ち貫くのみ………!』

 

そんなセリフが聞こえた。

 

「わ、私は夢を見ているのか…………?」

 

あれほど脅威に感じていたBETAがまるでゴミ屑の様に蹴散らされている。

もはや自分が死の間際の夢を見ているのかと思っていた。

 

 

 

 

 

 

兵士級が武達に向かって近付いてくる。

 

「た、タケルちゃん………」

 

純夏が涙を流しながら武に抱きつく。

 

「くっ!」

 

武も強く純夏を抱きしめた。

 

(頼む……! 誰でもいい………! 純夏だけでも助けてくれ!)

 

武は心の中で願う。

そんな都合のいい事が起こるはずが無い事も分かっている。

しかし武は願わずにはいられなかった。

そして、いよいよ兵士級の影が武達に掛かる程までに近付いてきた。

 

「ッ………!」

 

武は純夏を庇うように抱きしめ、兵士級はそんな2人に手を伸ばし――――

ズバッ、と何かを切り裂く音と共に兵士級の体が斜めにズレると、そのまま崩れ落ちた。

 

「……………え?」

 

武は呆けた声と共に、恐る恐る目を開ける。

すると、

 

「大丈夫だったか? 坊主」

 

そこに居たのは大剣を担いだ緑の髪の青年だった。

 

「え………あ…………は、はい………」

 

突然の事に、武は呆然としたまま返事を返す。

すると、その青年はニッと笑うと、

 

「それにしてもやるな坊主。最後までその子を守ろうとするなんて」

 

その青年は武を褒める言葉を口にする。

 

「………タ、タケルちゃん………?」

 

純夏が恐る恐る顔を覗かせた。

 

「あの………あなたは………?」

 

武が青年に尋ねると、

 

「おっと、まだ名乗って無かったな。俺はフェリオ。GGG………ガッツィー・ジェネレーション・ガードの一員さ」

 

「ガッツィー………ジェネレーション………ガード………?」

 

武は聞いたことのない単語に首を傾げる。

すると、

 

「フェリオ!」

 

緑の髪の青年……フェリオの名を呼びながら、もう1人の青年が駆け寄ってきた。

 

「アスコット!」

 

その青年の呼びかけにフェリオが応えた。

 

「この近くには、もう他の人は居ないみたいだ」

 

フェリオにアスコットと呼ばれた青年がそう言う。

 

「そうか。じゃあ、この2人を早く安全な場所に送り届けなきゃな」

 

フェリオがそう言った時、ドゴォンという破砕音と共に、要撃級が住宅を破壊しながら現れた。

 

「よ、要撃級!」

 

武がそのBETAの名を叫んだ。

同時に再び絶望感が武を襲うが、直後に緑色の閃光が要撃級を引き裂いた。

同時に爆発が起こり、武達は爆風に煽られる。

 

「うわっ!?」

 

「きゃあっ!?」

 

武と純夏は悲鳴を上げたが、フェリオがマントで2人を庇っていた。

 

「な、何が起きたんだ……?」

 

武が突然の事に困惑しながら顔を上げると、

 

『大丈夫か? フェリオ! アスコット!』

 

青年の声と共に、上空から巨大な人型兵器が降りてきた。

トリコロールカラーのその機体は、デスティニー。

 

「シンか! 助かったぜ!」

 

そう礼を言うフェリオ。

 

「な、何だこの戦術機は………!?」

 

デスティニーを見上げて思わずそう叫ぶ武。

 

『誰だそいつ?』

 

シンが疑問の声を漏らすと、

 

「逃げ遅れた民間人みたいだ。なかなかガッツのある坊主だぜ?」

 

フェリオはそう答えた。

すると、更に2機の人型機動兵器が降りてくる。

 

『シン! この辺りはBETAって奴に囲まれてるわ!』

 

『早く避難させた方がいいと思う』

 

その2機、インパルスとガイアから女性の声でそう言われる。

すると、甲高い音と共に、パトカーが猛スピードで走ってきて、ドリフトしながら武達の前で止まると、勝手にドアが開く。

 

「ここは一時、マクロス・ブレイバーへその2人を避難させるべきかと。このまま戦っても負けはしませんが、犠牲になる確率が高いです」

 

そう声が聞こえた。

 

「な、何だ!? 運転手が乗っていないのに声が!?」

 

武が再び驚愕の声をあげる。

 

「話は後だ! 早くボルフォッグに乗り込め!」

 

フェリオはそう急かすと、2人を後部座席に半ば強引に押し込む。

それからフェリオが運転席、アスコットが助手席に乗り込むと、フェリオが手を触れていないにもかかわらず、ギアが切り替わり、勝手にアクセルが踏み込まれる。

そのまま再びタイヤが甲高い音を立てて、猛スピードで走り出した。

 

「おわぁああああああああっ!?」

 

「きゃぁああああああああっ!?」

 

思った以上のスピードに、2人は悲鳴を上げる。

更に、進行方向に要塞級が現れた。

 

「フォ、要塞級!?」

 

武が叫ぶ。

要塞級は現在確認されているBETAの中では全長52m、全幅37m、全高66mと最大を誇り、動作は比較的緩慢ではあるが、その巨体に見合った攻撃力、防御力、耐久力を持つ厄介なBETAだ。

 

「しっかり掴まっていてください! 少し荒っぽく行きます!」

 

再びパトカーから声がして、パトカーは減速するどころか加速する。

 

「うぉわぁあああああああああっ!?」

 

「タッ、タケルちゃぁああああああんっ!!」

 

2人はヒシッと抱き合いながら叫び声を上げた。

すると、要塞級の足が振り下ろされ、直前にパトカーのハンドルが切られ、その一撃を躱す。

更にその先にある中脚、後ろ脚と見事なコーナリングを見せて躱し、要塞級を潜り抜けた。

 

「た、助かった…………?」

 

武は呆然としつつもホッと息を吐く。

だが、それもつかの間、武の目の前に広がったのは海。

武は船や戦艦が待機しているのかと思ったが、パトカーは減速する気配を見せず、そのまま海に向かって一直線に走ってゆく。

 

「おわぁああああああああっ!? う、海におちるぅぅぅぅぅぅっ!!」

 

武の叫びも空しく、パトカーはそのまま海上へと飛び出し……………

海面を走り出した。

 

「へっ?」

 

「う、海の上を走ってる………?」

 

素っ頓狂な声を漏らす武と、その事実に呆然と声を盛らす純夏。

そのままパトカーは沖の方へ走っていくと、

 

「ボルフォッグよりマクロス・ブレイバーへ。逃げ遅れた民間人2名を保護。一時収容を願います」

 

『こちらマクロス・ブレイバー。了解しました。これより浮上します』

 

通信が返ってくると、目の前の海が盛り上がり始め、巨大な物体が浮上して来た。

それは、金色の戦艦マクロス・ブレイバー。

 

「せ、戦艦っ!?」

 

武が驚きの声をあげる。

マクロス・ブレイバーが浮上した際、タイミングよく左舷艦首の甲板に乗ったパトカーはそのまま空母のような甲板の上を走って行き、根元にあるハッチへ飛び込んだ。

すると、格納庫らしき場所に辿り着き、パトカーはドリフトしつつ停車。

降りろというようにドアが開いた。

 

「よし。もう良いぞ」

 

フェリオがそう言いながらパトカーから降りる。

アスコットも同じように降りた。

武は純夏と顔を見合わせると、恐る恐るパトカーから降りた。

 

「あ、あの………?」

 

武が恐る恐るフェリオに尋ねようとした時、1人の赤髪の女性が歩み寄ってきた。

 

「あなた達がフェリオ君達が保護した民間人ね。初めまして。私はカナメ・バッカニア。安心して? あなた達に危害を加えたりしないわ」

 

カナメと名乗った女性は安心させるような優しい声で武達に語り掛けてきた。

彼女達の後ろには複数人の女性達の姿も見える。

 

「は、はい………白銀 武………です………」

 

「か、鑑 純夏です………」

 

2人は戸惑いながらも自分の名を名乗る。

 

「武君に純夏さんね? よろしく!」

 

カナメはニッコリと笑みを浮かべてそう言った。

その表情に、武と純夏も警戒心を薄れさせた。

すると、遠くにある扉が開いて新たな2人の人物が入ってきた。

その2人が歩み寄ってくると、

 

「フェリオ達が民間人を保護したんだって?」

 

その内の1人、青髪の女性がカナメに尋ねつつ武達の方を向き、

 

「ああ、紹介するわね。彼女達は……」

 

カナメが彼女を紹介しようとした瞬間、

 

「柏木っ!?」

 

その顔を見た武は叫んだ。

 

「へっ?」

 

その青髪の女性は素っ頓狂な声を漏らした。

それから武の顔を見ると、

 

「…………………白銀?」

 

その女性、ハルも武の顔を見て呟いた。

 

「それにジェイ特務少佐も!」

 

更にもう1人の男性、ジェイに気付いて叫んだ。

 

「………白銀 武か………?」

 

ジェイが確認を取る様に聞くと、

 

「はい! 俺です! 白銀 武です!」

 

武は肯定するように叫んだ。

 

「…………なーんでこの世界の白銀が、私やジェイの事を知ってるのさ?」

 

ハルは疑問を口にする。

 

「それは………」

 

武が言いよどむと、

 

「白銀 武は因果導体と呼ばれる並行世界の情報が集まった特異な存在でもある。この世界はハルがいた世界とは別の並行世界だが、その世界の因果情報をこの世界の武が受け取ったのだろう。何故このタイミングでその記憶を持っているのかは疑問だが、それも次元の歪みの影響だろうな」

 

「ッ!? 知っていたんですか!?」

 

武が思わず叫ぶ。

 

「まあな」

 

ジェイが頷くと、

 

「あの……タケルちゃん…………? その人達知ってるの?」

 

純夏が不安そうに武に尋ねると、

 

「ああ………この人達は安心していい、味方だよ。ジェイ特務少佐と柏木だ」

 

「そうなんだ………!」

 

その言葉に、不安が和らいだのか、少し表情を明るくする純夏。

すると、

 

「ねえねえハルハル?」

 

カナメの後ろに居たピンクの髪をツインテールにした少女、マキナが話しかけてくる。

 

「さっきからその子がハルハルの事を『カシワギ』って呼んでるのは何で?」

 

初めて聞く名に疑問を感じたマキナがハルに問いかける。

 

「あ~うん………私は元々この世界に近い並行世界の出身で、その時の名前が『柏木 晴子』って名前だったの。その世界で偶然にも流れ着いたジェイに出会って、恋人になって、『アルマ』になったから、元の名をその世界に置いていって『ハル』って名乗ることにしたんだ」

 

「へぇ~。じゃあ、『カシワギ ハルコ』って言うのがハルハルの本当の名前なんだ?」

 

「まあ、そうなんだけど…………今の私は『アルマのハル』だから、今まで通りハルって呼んでね」

 

「うん。わかった!」

 

ハルの秘密を知れてうれしかったのか、マキナは笑顔で頷いたのだった。

 

 

 

 

 

 





はい、新章開幕。
調子こいて書きまくってたら一日で出来てしまいました。
今度の世界はマブラヴ オルタネイティヴの並行世界でした。
またこの世界かよ~、と思われる方もいるかもしれませんが、始まりの地が決戦の地っていう割とありがちな設定です。
並行世界ですけど。
まあ来たのはオルタネイティヴ本編の3年前。
横浜が一度BETAに侵攻されて壊滅する時です。
初っ端からジェネシックガオガイガーが介入して大暴れ。
先に言っときますが、そこまで設定に詳しいわけでは無いので、矛盾点がいくつも出てくるかと思いますが、そこは次元の歪みの所為でスルーしてください。
では、今回の話の中で特に疑問に思う部分を先に答えますと、

Q.なんでこの時点で武に記憶の流入が起こってるの?
A.次元の歪みの所為です。

Q.この時点で唯依が防衛戦に参加してるのおかしくね?
A.次元の歪みの所為です。

ってわけです。
まあ今回は以前と違って色々やっちゃおうかと思ってます。
で、さっそく最初のアンケート。
武と純夏をこの後この世界に居る間は仲間に加えようと考えてます。
で、武と純夏の乗る機体はどれが良いかのアンケートです。
後は207B分隊の人間も仲間に引き入れようかとも思っちゃったりもしてます。
その場合、武と純夏の乗る機体で仲間達の乗る機体も変わります。
とりあえず今考えているのは、

① 何故かあるグルンガスト参式で2人乗り。仲間達は量産型ゲシュペンスト。
② 何故かあるビルトビルガーLタイプ(武)とビルトファルケンLタイプ(純夏)。仲間達は量産型ヒュッケバイン。
③ 再現したガンダムSEED無印のフリーダム(純夏)とジャスティス(武)。仲間達はストライク(冥夜)、イージス(慧)、デュエルAS(千鶴)、バスター(壬姫)、ブリッツ(美琴)。
④ その他
⑤ 仲間にしない

てな感じですかね?
もっといいご意見があればメッセージなどでお願いします。
それでは次も頑張ります。



P.S:本日は気力が尽きたので今回の返信はお休みします。




P.SのP.S:感想の中にジェネシックガオガイガーのファイナルフュージョンについてご意見があり、なるほどと思ったので追記しました。興味があれば見てください。

武と純夏の乗機は?

  • グルンガスト参式
  • ビルトビルガーL&ビルトファルケンL
  • フリーダム&ジャスティス
  • その他
  • 仲間にしない
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