転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件   作:友(ユウ)

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PHASE―04 力の責任

 

 

 

突如現れたゾンダーを撃退し、そのことについて説明するために再びミネルバにお邪魔することになった俺達。

ブリーフィングルームに集まったのは、グラディス艦長、副長のアーサー、パイロットから、シン、レイ、ルナマリア。

後は数人の乗組員達だった。

 

「さてと………では説明してもらいましょうか」

 

グラディス艦長がそう切り出す。

 

「説明と言われても、何を説明するかはそちらから質問して欲しい。それで答えられる質問なら答えよう」

 

俺はそう答える。

 

「ならまずは、あの敵について説明してもらえるかしら? 連合軍のMAが、あんなふうになるなんて通常では考えられないわ」

 

グラディス艦長が最初の質問をする。

 

「あの敵は、ゾンダーと呼ばれている」

 

「ゾンダー………?」

 

「俺達と同じく、異世界の存在だ」

 

「異世界の……!」

 

「ゾンダーは、生物にゾンダーメタルと呼ばれる物質が寄生して生まれる生機融合体。ゾンダーとなった存在は、周りの無機物を無制限に吸収、同化し、成長していく特性を持つ」

 

「無機物を吸収…………」

 

シンが呟く。

ゾンダーに吸収されそうになったことを思い出したのだろう。

 

「更にゾンダーはバリアシステムを持つ。生半可な攻撃は通用しない上、再生能力を備えているため核が無事な限り10秒以内に再生する力も持っている」

 

「あの時敵が元通りになったのはその力か……!」

 

レイが納得したように頷いた。

 

「そしてその特性上、通常の機動兵器による接近戦は自殺行為だ。無暗に接近戦を仕掛けても、同化吸収されるのがオチだ」

 

「ええっ……!?」

 

アーサーが情けない声を上げる。

 

「でも、あなたの機体は接近戦を仕掛けても平気な様に見えたわ。それは何故かしら?」

 

グラディス艦長は疑問を口にする。

 

「それは、ジェイアークにはゾンダーメタルと相反する力を持つJジュエルが動力源に使われているからだ。Jジュエルから発生するJパワーのエネルギーはゾンダーメタルのエネルギーの反物質とも言うべきものだ。よって、ゾンダーとJジュエルは対消滅する性質を持っているため、ゾンダーには吸収されないという事だ」

 

「そんなものが…………あの核が連合軍の兵士になったのは………」

 

「あの兵士がゾンダーの素体にされた人間だ。ハルはゾンダーにされた人間を元に戻すことが出来る『浄解』と呼ぶ能力がある。その力で元の人間に戻しただけだ。そしてハルはゾンダーを探知できる能力も持っている。地球上でゾンダーが活動を始めたならそれを探知できる。俺達がこの場に現れたのはそれが理由だ」

 

「つまり現状、そのゾンダーという存在に対抗できるのは、あなた達だけという事なのね?」

 

「そうなるな」

 

「ッ………………………」

 

グラディス艦長は如何するべきか思案顔になる。

 

「そう言えば………ゾンダーが現れた時には『素粒子Z0』と呼ばれる物質が検出される。そのデータを渡しておくので、その物質を検知したら逃げることを勧める」

 

「…………それでも、根本的な解決にはならないわね…………」

 

グラディス艦長はため息を吐く。

 

「そこで俺達から提案がある」

 

俺がそう言うと、

 

「提案?」

 

グラディス艦長が聞き返す。

 

「ああ。ミネルバの行動にジェイアークを同行させてもらいたい」

 

「ええっ!?」

 

アーサーが再び驚愕の声を上げる。

 

「同行って……どういう事なの?」

 

グラディス艦長が確認するように聞き返すと、

 

「言葉通り、ミネルバの行く先にジェイアークがついていく。ただし、本当についていくだけだ。基本的にミネルバの作戦行動に手は貸さないし、戦いにも手は出さない。そして相手の味方もしない。自衛程度の反撃はするが、ただの置物と思ってもらって結構だ。そして、ゾンダーが出てきた時のみ手を貸す。というわけだ」

 

俺はそう説明する。

 

「対ゾンダー戦にのみ有効な戦力……と考えて宜しいのかしら?」

 

「ああ。とはいえ、指図される気は無いし、戦闘は俺達の意思で行わせてもらうがな」

 

「………もう一つ。何故このミネルバなのかしら?」

 

グラディス艦長は怪訝そうにそう問いかけてくる。

 

「……………世界には、稀に世界を動かす大きな出来事に遭遇しやすい組織、人物がいる。悪く言えばトラブルメーカー………よく言えば主人公体質だな」

 

「このミネルバがそれだと………?」

 

正確にはシンだがな。

 

「俺はそう感じている。そして、その存在について行けば、ゾンダーとも遭遇しやすいだろうとの考えだ」

 

「……………………」

 

グラディス艦長は目を瞑って少し考えると目を開き、

 

「わかりました。同行を許可します」

 

そう口にした。

 

「ええっ!? 艦長! いいんですか!?」

 

アーサーは俺達を不安要素と考えているのか声を上げる。

 

「少なくとも、得体のしれない存在を相手に、対抗できる存在を手元に置けるのはこの上ないアドバンテージの筈よ。戦いに手は出さないにしても、そこに居るだけでも相手にとっては威圧になるだろうし。けど、報酬は出せないわよ。それでいいかしら?」

 

グラディス艦長は俺達に確認を取る。

 

「かまわん。同行する限り、多少の危険は織り込み済みだ」

 

俺はそう答える。

 

「分かったわ。乗組員全員に伝えて頂戴。議長には私から連絡をしておくわ」

 

グラディス艦長はそう言って、その場を解散した。

 

 

 

 

 

 

 

そう言う訳でミネルバと行動を共にすることにした俺達。

カーペンタリア基地に移動した後、ミネルバの修理と補給が行われた。

その間に起こった出来事と言えば、オーブでカガリとユウナ・ロマ・セイランとの結婚式の最中に前大戦の英雄であるフリーダムが現れてカガリをさらって逃走したというニュースが入っていた。

そして、ミネルバの修理が間もなく終わるとき、プラントからザフトに復帰し、セイバーを受領したアスランが合流。

MS部隊の隊長を務めることになった。

 

 

 

その後、カーペンタリア基地を出港したミネルバだったが、インド洋にてまたしても連合軍の襲撃を受ける。

ウィンダム30機とカオス、アビス、ガイアの大部隊であった。

不利に見えた状況だったが、シンのパイロットとしての成長と、元からスーパーエース級の実力を持つアスランの活躍により、ミネルバ自身には大した被害も無く切り抜けることが出来た。

しかし、アビスの攻撃によりミネルバに随伴していた潜水母艦ニーラゴンゴが轟沈。

更に連合軍は近くの島に前線基地を建設中であり、島の民間人を労働力として強制労働させていた。

戦闘のどさくさで民間人達が逃げようとするも、見張りの兵士たちが発砲。

多くの人々が射殺されてしまう。

それを目撃したシンが、ニーラゴンゴの報告と相まって激昂。

インパルスで基地を襲撃。

次々と基地施設を破壊し、最後にフェンスを壊して民間人達の再会を見て微笑んだ。

しかし、ミネルバに戻ったシンを待っていたのは、アスランの平手打ちだった。

乾いた音が響き、何事かとミネルバクルー達の視線が集中する。

因みに俺達も様子を見に来ていたため、ミネルバに乗っていた。

 

「殴りたいのなら別に構いやしませんけどね! けど、俺は間違ったことはしてませんよ! あそこの人たちだって、あれで助かったんだ!!」

 

シンはそう叫ぶが、もう一発アスランの平手が飛ぶ。

 

「戦争はヒーローごっこじゃない! 自分だけで勝手な判断をするな! 力を持つものなら、その力を自覚しろ!!」

 

「ッ………!?」

 

アスランの叱咤にシンは歯を食いしばる。

 

「……………………」

 

アスランはシンを一瞥すると、そのまま踵を返してその場を離れる。

 

「ッ……………………」

 

シンは納得いかなそうな表情をしながら悔しそうに歯を食いしばっていた。

 

「…………納得いかなそうな顔をしているな?」

 

そんなシンに、俺は声を掛けた。

 

「ッ………!? ジェイさん………」

 

シンは驚いたように顔を上げる。

 

「俺も状況は把握している。お前がやらかしたこともな」

 

「…………ジェイさんも俺が間違ってるって思うんですか?」

 

やや棘のある言葉でそう言ってくるシン。

 

「…………そうだな。民間人が撃たれる所を見て、お前が猛る気持ちも分からんでもない。他者の為に怒れるお前自身の気持ちは尊重してやりたいと思う」

 

「本当ですか!?」

 

シンは表情をパッと明るくして食いついてきた。

 

「ああ。だが、その行動自体は正直褒められたものではない」

 

「どうして!?」

 

上げて落とされた気分になったのかシンは叫びながら問いかけてくる。

 

「これは俺自身の考えだが、あそこの民間人をほっとけなかったというのなら、フェンスを破壊し、民間人に手を出さない様に威嚇しておくに留めておくべきだった」

 

「でも! あいつらは無抵抗の民間人達を………!」

 

「ああ。そう言う命令を受けていただけの末端の兵士だろうな」

 

「ッ!?」

 

俺の言葉にシンが息を呑む。

 

「好き好んで民間人に発砲する人間がどれだけいるだろうな?」

 

「でも………それならそんな命令なんて聞かなければ………!」

 

「軍はそんなに甘い所か?」

 

「ッ………!?」

 

「シン。お前はエリートで議長の覚えも良く、多少の我儘も見逃されてきたのかもしれない。だが、本来軍というところは上からの命令には絶対服従だ。命令違反や命令無視は良くて営倉行き、悪ければ銃殺刑だってあり得る。誰もそんな事になりたくないから、命令には従うしかないのさ」

 

「それは………」

 

「それに、改めて自分のしたことを考えてみろ。お前は、抗う力を持たない民間人に、連合軍の兵士が銃を向けた事に怒った。そしてインパルスという圧倒的な力で、抗う力を持たない基地の人間達を一方的に蹂躙した………」

 

「ッ…………!?」

 

俺の言葉にシンは目を見開く。

 

「民間人と銃を持った歩兵。銃を持った歩兵とMS…………多少の差はあれど、お前のやったことは、お前が怒りを覚えた行動と同じように思えるがな………」

 

「あ……………!」

 

シンが目を見開いたまま、唇が震える。

 

「そして、お前の起こした行動で何人の兵士が犠牲になったかは分からないが、その兵士にも家族が……………親や、子供や、恋人が、友人が居ただろう…………お前が殺した人間の数だけ、子を、親を、恋人を、友人を失い、悲しむ者が増えていくことを忘れるな。それがアスランがさっき言った、自分の力を自覚しろという事だ」

 

「ッ…………………」

 

シンは呆然となる。

俺はそう言ってその場を去った。

すると、ハルが小走りで俺の横に並ぶ。

 

「柄にもなく説教しちまったな………」

 

俺はそう呟く。

 

「でも私は、ジェイの言うことは間違ってないと思うよ。多分、あの基地に居た人のほとんどは、あんなこと望んでなかったと思う。でも、彼らも自分達の生活を守るために、必死だっただけだと思うから」

 

「そうか…………」

 

そのまま俺達は、ミネルバを後にするのだった。

 

 

 

 

 







はい、ガンダム種死編第4話です。
今回はゾンダーの説明とシンの説教回でした。
ぶっちゃけ当時のシンは短絡的すぎると思うんですよね。
まあ、見た当時は爽快感も無いことは無かったですが…………
次回はおそらくローエングリン攻略。
お楽しみに。


この小説のヒロインについて

  • ハル1人だけで十分
  • 異世界毎にヒロイン増やしてハーレム戦艦に
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