転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件   作:友(ユウ)

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第10話 極東戦線

 

 

 

【Side ユウヤ】

 

 

 

 

 

西インド諸島での環境耐久試験の次は寒冷地域での環境耐久試験ということで、ソ連の基地であるペトロパブロフスク・カムチャツキー基地へと来ていた。

今回の目的は実戦テストと日本軍が開発した試作新兵器の発射テストとなる。

試作新兵器とは、電磁投射砲。

新兵器と言うには珍しい実弾兵装であり、所謂レールガンの速射機関砲だ。

その事を唯依が説明していると、

 

「しつもーん」

 

タリサが手を挙げて発言する。

 

「何だ? マナンダル少尉」

 

「何で新兵器が実弾なわけ? ビーム兵器作った方がよくねえ?」

 

タリサが疑問を口にする。

 

「いい質問だ。先ず第一に、GNドライブ搭載機は未だ数が少ないという点だ。この兵装は、非GNドライブ搭載機でも使用可能であり、かつ機械級BETAにも有効なダメージを与えられる事を確認している」

 

それは凄いな。

データを見る限りこの世界の技術力だけで作られている。

外装こそEカーボン製だが、内部構造はこの世界の物だ。

 

「もう1つの理由として、我々はGNドライブに頼り過ぎることを危惧している」

 

「あん? どういう意味だ?」

 

ヴァレリオも怪訝な声を漏らした。

 

「GNドライブはあくまで提供された技術………借り物の力に過ぎない。もし何かの切っ掛けでGNドライブが使えなくなったら? そうなった場合、我々人類はあっという間にBETAに侵略されてしまうだろう」

 

ほう。

その辺りもちゃんと考えている奴も居るんだな。

 

「考えすぎじゃねえの? もううち等でGNドライブは作れるんだし」

 

タリサは楽観的な言葉を口にする。

 

「杞憂ならそれでいい。だが、備えはしておくべきだと言うのが帝国軍の考えだ」

 

日本のことわざで言う『備えあれば憂いなし』ってヤツだな。

 

「そして、今回の試験運用を行う機体は不知火弐型である」

 

唯依がそう言う。

 

「既に非GNドライブ搭載型の戦術機に対しては試験運用を行っているため、今回はGNドライブ搭載型の機体での試験運用となる。GNドライブを補助機とし、非搭載型と比較して、威力、射程、砲身強度などに変化がみられるかの試験だ」

 

なるほど、非GNドライブ搭載型でも使えるが、GNドライブ搭載型なら性能アップが見込めるかもしれないって事か。

まあ、折角の不知火弐型のデビュー戦が後方からの援護射撃しか出来ないって言うのは少々不満だが、それが唯依達の意向なら従うとするか。

 

 

 

 

ブリーフィングの後、唯依と少し話して電磁投射砲を実際に見せてくれたりした。

その後、唯依と別れて自分達の宿舎に向かって歩いてきたはずなのだが、

 

「………………参ったな。俺らの宿舎、この辺りの筈だよな?」

 

ものの見事に迷っていた。

 

「そう言えば………イーニァについてった時も、こんな雰囲気だったよな………」

 

同じソ連の施設だからなのか、何となく似たような雰囲気を感じる。

すると、道端に何か落ちているのを発見した。

 

「………ん? あれは………」

 

俺はそれに近付いてみると、どこかで見たクマのぬいぐるみが横たわっていた。

 

「こいつは…………イーニァのぬいぐるみのミーシャ………?」

 

なぜこんな所にと思った時、

 

「素直に謝ることも出来ねえのかよ!」

 

「観光気分かよ!」

 

何処からか怒鳴り声が聞こえて来た。

 

「ッ!」

 

俺は思わず駆け出す。

幾度か倉庫内を見回ると、その1つに6人ほどの少年兵に絡まれているクリスカとイーニァの姿を発見した。

しかも、聞こえる言葉の内容から、かなり下種な事を口走っているようだ。

クリスカはともかくイーニァにまで欲情するとはロリコンかこいつらは。

それはともかく、

 

「おらっ!」

 

「ぶげっ!?」

 

イーニァを捕まえていたガキを問答無用で殴り飛ばす。

 

「ユウヤ………ブリッジス………?」

 

蹲っているクリスカが弱々しく俺の名を口にする。

 

「ユウヤ!」

 

イーニァが嬉しそうに俺の名を呼んだ。

 

「ほら」

 

俺はイーニァにミーシャを差し出す。

 

「あっ!」

 

イーニァはミーシャを嬉しそうに受け取ってギュッと抱きしめる。

俺はイーニァを庇いながらクリスカの元へと歩いて行く。

 

「は? 何アンタ?」

 

「正義の味方気取りか?」

 

ガキ共の言葉は無視し、クリスカに歩み寄ると声を掛けた。

 

「大丈夫か?」

 

「クリスカ……!」

 

イーニァも心配そうな声を上げる。

 

「………私は………大丈夫だ………それより………イーニァを頼む………」

 

クリスカは弱々しい雰囲気で俺にそう頼んでくる。

何故あの凛として毅然な振る舞いをしてきたクリスカがこんなにも儚い様子を見せているのか怪訝に思ったが、放っておくわけにはいかない。

俺は立ち上がってガキ共に向き直ると、

 

「おいガキ共。お前ら何処の整備兵だ?」

 

ぶっちゃけあいつらの軍服に付いているウイングマークには気付いているので、衛士だろうという事は分かっているが。

 

「何っ!?」

 

「ざけんな! これが見えないのか!?」

 

軍服のウイングマークを指し示しながら叫ぶ。

 

「ああ。そんなの付けて衛士ごっこか? 階級詐称は罪に問われるからやめた方がいいぞ?」

 

俺は更に煽る。

 

「ふざけるな! 本物だ!」

 

「そういやコイツの顔、港で見たぜ。アラスカで呑気にやってる腰抜けの1人か」

 

「クソッ………へへっ………!」

 

ガキの1人がナイフを抜く。

 

「わりぃね兄ちゃん。ここは安全な後方基地とはちょっと勝手が違うんだよ!」

 

周りのガキ共も鉄パイプを持ち出してくる。

だが、

 

「こらこら。子供がそんなもん振り回しちゃ危ないだろ? ケガするぞ?」

 

俺には何の脅威も感じない。

 

「こいつ! どこまでもバカにして!」

 

「ここは叫んでもMPなんて来やしないよ」

 

「連れに手を出した片、キッチリ付けさせて貰うぜ!」

 

ガキ共がにじり寄ってくる。

 

「ッ………!」

 

イーニァが怯えた様子を見せていたので、

 

「イーニァ、俺から離れずクリスカと一緒に身を屈めてろ」

 

「う、うん…………」

 

俺がそう言うと、イーニァがクリスカに身を寄せながらしゃがみ込む。

 

「さて、ガキ共。躾の時間だ」

 

俺が挑発すると、

 

「こいつ、いい加減に……!」

 

「死ねやっ!」

 

正面の少女が言葉で俺の気を引き、後ろから別のガキが鉄パイプを振り下ろしてくる。

しかし、

 

「見え見えだ、アホ」

 

俺は少し体を横にズラすと、その鉄パイプは空を切り、地面を思いきり叩く。

 

「いつっ!?」

 

それによってガキの手がしびれた為、

 

「そらよっ!」

 

そのまま鉄パイプを蹴り上げると、握力の無かったその手から簡単に鉄パイプは離れ、宙を舞う。

俺はその鉄パイプをキャッチすると、

 

「フッ!」

 

周囲のガキ共の鉄パイプを打ち払って弾き飛ばす。

 

「くあっ!?」

 

「あっ!?」

 

「ぐっ!?」

 

「いつっ!?」

 

一瞬で鉄パイプを持っていたガキ共から鉄パイプを弾くと、

 

「……………はっ?」

 

最後に、目の前で起こった出来事に呆けた声を漏らす正面に居たナイフを抜いたガキ目掛けて鉄パイプを振り上げ、

 

「チェストッ!!」

 

袈裟懸けに振り下ろした。

そして、

 

―――キィンッ!

 

甲高い音と共に、ナイフの刃が宙を舞い、地面に転がる。

 

「………………へっ…………?」

 

ガキの手には、根元からぽっきりと折れたナイフの持ち手だけが残っていた。

 

「こんなもんか…………」

 

白兵戦はどの程度かと思っていたが、鉄パイプやナイフを力任せに振り回すだけの素人だ。

アクセルと行った訓練に比べれば欠伸が出る。

つーか、アクセルとの訓練って、やっぱり桁違いだったんだよな?

 

「ワリィな。俺は最前線で内輪もめしてる様な甘ったれたガキ共とは違うんだ」

 

「くっ………こいつ………!」

 

ここまでコテンパンにされても未だに食って掛かろうとするその闘争心は大したものだ。

俺はもう少しお灸をすえた方がいいかと思っていた時、

 

「貴様ら! 何をやっているか!?」

 

別の少女の声が響いた。

倉庫の出入り口を見ると、2人の人影が入ってくる。

 

「ターシャ………」

 

「ってことは………」

 

先に入ってきた少女を見て、ガキ共が狼狽えた声を漏らす。

すると、

 

「貴様らにお客さんと遊んでいる暇は無い筈だがな?」

 

少女の後ろからやってきた少し年配の女兵士。

周りのガキ共が一斉に姿勢を正して敬礼をした。

どうやらこいつらの上官のようだな。

 

「歓迎パーティーはお開き。直ちに持ち場に戻り、機体の整備状況の確認に当たれ!」

 

「わ、わかりました、中佐! おい、いくぞ」

 

ガキ共がいそいそと倉庫を出ていく。

ここは礼を言っといた方がいいか?

 

「あの………」

 

俺が声を掛けようとすると、先程の少女が前に出て敵意に近い威圧を飛ばしながら俺を睨みつける。

すると、中佐らしき女兵士が手を肩に置くと、後ろに下がる。

 

「ありがとうございました。中佐。お陰で……」

 

「貴様ら分を弁えて行動しろ。いいな?」

 

余計な怪我人を出さずに済んだと続けようとして、中佐からそのお言葉を貰う。

それだけ言うと、中佐は踵を返した。

何かそのまま行かせるのは癪だったので、

 

「だったら、分を弁えて行動できる環境を作ってください中佐」

 

そもそも、こんな問題を起こしてくれなければ、俺だって分を弁えて行動してたさ。

クリスカもイーニァも、もう知らない仲じゃない。

そんな2人が危険な目に遭えば、助けも入りたくもなる。

 

「ッ……………」

 

中佐は一瞬立ち止まって俺を睨んだが、すぐに視線を切るとそのまま行ってしまった。

 

 

 

 

 

翌日、エヴェンスクハイヴから大規模なBETAの群れが現れた事が確認されたため、それに伴い、大規模な群れが沿岸部に上陸することが予測された。

それに伴い、第1回目の実戦テストが開始される運びとなり、俺達を護衛するジャール大隊の隊長が紹介されることになったのだが、その隊長と言うのが、

 

「ジャール大隊を預かるフィーカツィア・ラトロワ中佐だ」

 

昨日のガキ共を率いているあの女中佐だった。

 

「演習期間中、諸君を護衛させていただく。たっぷりと地獄を満喫していくがいい」

 

なんとまあ素敵なお言葉で。

そのまま作戦説明に入る。

話を要約すれば、俺達は後方に配置され、他の部隊がBETAの数を減らしつつ、一定数のBETAをワザと引き込み、そのBETA相手に試作型電磁投射砲を試射するということだ。

 

「――――以上が、諸君らに()()()戦争をして頂くための段取りだ」

 

「「「「「あははは!」」」」」

 

最後に付け加えられた皮肉に、ジャール大隊のガキ共が嘲笑を零す。

 

「最後に、警護部隊の部隊長として派遣部隊の衛士諸君に言っておかねばならない事がある…………邪魔をするな。以上だ」

 

はぁ、少しはマシな上官かと思ったが、この上官あってのあの部下たちってことか。

俺は内心呆れる。

確かに前線の兵士達が危険な目に遭っているのも確かだし、後方の安全な所でぬくぬくしてる馬鹿な奴らが居ることも認める。

だからと言って、真剣にBETAに勝利するための研究開発を行っている者達すら一纏めにして馬鹿にするのは違うだろうと俺は思う。

この様子じゃ不測の事態が起きた時に連携が取れずに総崩れにもなりかねない。

 

「…………保険をかけとくべきか……………」

 

俺はボソッと呟くのだった。

 

 

 

 

 





はい、マブラヴオルタネイティヴAnother編第10話です。
本日も休日出勤だったので短いです。
新兵器はどうしようかと悩んだ結果電磁投射砲のままにしました。
ビーム掃射砲とかにしようかなとも思いましたが、一年で新兵器は難しいかなと。
そんでユウヤの白兵戦無双。
ユウヤもアクセルの訓練受けているので白兵戦も強いです。
チェスト!は勿論シンの影響。
そんでラトロワ中佐との初邂逅ですが、ユウヤからの評価は低かったり………
次回は実戦ですがはたして………
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