転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件 作:友(ユウ)
【Side ユウヤ】
暴風小隊との対戦から数日。
崔中尉のとんでもない爆弾発言と共に、時間がある時には突撃されるようになっていた。
ちょっと前の俺だったら、単なるおふざけだと思って適当にあしらっていたと思うが、GGGでは機動兵器の技術力や操縦技術だけでなく、恋愛面でもヤベー連中が揃っている。
その筆頭がGGGの代表であるジェイなんだが、恋人が5人。
アルトやシン、ハヤテも恋人が2人。
アクセルはレモンが恋人らしいが、アルフィミィの様子が若干怪しい。
あの仏頂面のキョウスケやメッサーですら恋人が居るのだ。
正直恋人が居ないのはマキナとレイナぐらいなのだが、この2人は互いに百合の疑いがあったりする。
例外としてYami-Q-ray(闇シェリル、闇ランカ含む)ぐらいか?
更に言えば、武がもっとやべぇ。
あいつは純夏、冥夜、千鶴、壬姫、慧、美琴から好意を寄せられている。
ジェイ曰く恋愛原子核とかなんとか………
とまあ、恋愛面でも猛者揃いのGGGに居た結果、以前よりも女心については理解できるようになっているつもりだ。
なので、崔中尉が本気であることは分かっている。
とはいえ、会ったばかりの崔中尉に好意を持っているわけでも無い。
衛士としては好感を持てる相手とは思っているが。
まあ、気が強いが悪い奴では無いだろう。
で、その崔中尉率いる暴風小隊は、本日レオンやシャロンの所属するインフィニティーズとの対戦だったのだが……………
結果はインフィニティーズの勝利。
とはいえ、追い詰められた崔中尉が意地で1機撃破していた。
そもそも、近接格闘戦が得意な暴風小隊に対し、インフィニティーズのラプターは射撃特化の機体だ。
単純に相性が悪い。
だが、それでも1機墜として見せた崔中尉の執念には敬意を覚える。
レオン達としては、アメリカ製戦術機の優位性を示す為に無傷での勝利を望んでいたのだろうが、早々うまくはいかないという事だ。
対戦の視聴を終えた俺は、海岸線を歩いていた。
自分の土俵に持ち込んだとはいえ、あの暴風小隊を5分足らずで全滅させたからには、相応の腕があるのだろう。
この2年で成長したのは俺だけじゃないってことか………
まあ、今日見た限りでは負ける気はしないが。
そう思っていると、
「あっ! ユウヤー!」
イーニァの声が聞こえた。
顔を上げると、イーニァとクリスカの姿があり、イーニァが駆け寄ってくる。
「イーニァ。どうしたんだ今日は? 2人そろって来るなんて?」
イーニァだけなら割とよく見かけるが、クリスカが一緒なのは珍しい。
「クリスカがね、お話したいんだって!」
「えっ? 俺と?」
俺がクリスカに目をやると、クリスカはゆっくりと頷いた。
「ユウヤ・ブリッジス………貴様に聞きたいことがある」
クリスカは真剣な表情でそう言った。
立ち話も難なので、俺達はビルフォートの街へ向かった。
「やはり………この街は………」
クリスカは不安そうに呟く。
「密談は、逆に人が多い方がいいんだよ。それにこの街はソ連軍の連中は立ち入り禁止だ。安心だろ?」
「あ、ああ………それはそうなのだが…………ッ! イーニァ? どうしたの?」
先を行っていたイーニァが立ち止まっていた事に気付き、クリスカが声を掛ける。
「あっ、ううん!」
イーニァは首を振った。
「折角だ、何か飲むか?」
俺がそう聞くと、
「いや、いいんだ……」
「遠慮すんなよ」
「違う……そう言う問題ではない。私の事情で付き合わせている以上、貴様の負担を増やすわけにはいかない」
クリスカが、こんな気遣いするなんてな………
いや、いつもこいつなりに真剣にやってるんだろう。
だが、いつも表現がストレート過ぎて誤解されるんだ。
俺達は場所を変え、噴水のある広場のベンチに腰掛けた。
「それで話って?」
俺が本題を切り出すと、
「あ、ああ……以前にも話したと思う。イーニァは、貴様に特別な興味を持っているらしいと………」
「ああ。そうみたいだな」
確かにそう言う話を聞いたな。
「私は、その理由が知りたい……」
「そう言うのは、本人に聞いた方が早くないのか?」
「聞いても分からないからここまで来ている!」
俺の言葉に強く反論するクリスカ。
「あ、ああ……そうか………」
「それに……その………私の個人的な問題も関わっているんだ………」
「お前個人の? どういうことだ?」
「おそらく……イーニァと類似の現象………上手く言い表せないが……その、私にとっても貴様は他の者とは違うようだ………」
「俺が?」
「その……つまり………何かがおかしい………! 貴様の事考えると集中が…………」
クリスカが俺の方を見ると、ハッとなって目を逸らす。
「ッ………! 乱れる………!」
え?
いや、その反応って………まさか………!?
「このままでは、いずれ任務に支障が出る! そうなる前に、原因を突き止めなくては! 教えてくれブリッジス! これは一体どういう事なんだ!? イーニァといい、私といい、何故貴様にだけこのような影響を受ける!? 貴様が原因なのは明らかなんだ!!」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
らしくなく取り乱すクリスカの肩を掴んで落ち着くよう促す。
「………ただ私は、教えて欲しいだけなんだ………このままでは、どうしたらいいのか………わからない………」
泣きそうな声でそう言うクリスカ。
俺が答えに困っていると、
「ねえクリスカー! あっちも見てきていい?」
「あまり遠くに行かないようにね?」
「うん!」
イーニァはそちらへ走っていく。
「………………………」
さて、どう話したものか…………
「………なあクリスカ? お前、本読んだりするか?」
とりあえずそう聞く。
「本? 軍事教練に関する参考書や、戦術機のマニュアルなどは読むが………」
「いや、そう言うのじゃなくて、小説とか漫画とか………そっち系の………」
「いや、読んだことは無い」
「やっぱり………」
俺は項垂れる。
俺の自惚れかもしれないが、クリスカは俺に気があるという事なのだろうか?
だが、クリスカはその感情がどういうものか知らないため、どうすればいいのか分からないのだ。
本来であれば、自然と周りの環境から教わっていくものだが、クリスカの場合、完全に外界とは遮断された場所で育ったのだろう。
更に、戦うためだけの兵士として教育されている可能性が高い。
だから、『恋』や『愛』といった兵士として必要ない事は教えられていないのだろう。
胸糞悪い。
とにかく、クリスカにはどう伝えるか………
「ユウヤ・ブリッジス?」
俺が悩んでいると、クリスカは不思議そうに俺の顔を見てくる。
ここはなんやかんやで誤魔化すべきか?
だが、それはクリスカに対して失礼な気もする。
そして俺が出した答えは…………
「クリスカ。本を読むべきだ」
「本?」
「ああ。軍や戦術機に関する事じゃない。趣味の一環としての本だ」
俺は、恋愛関係の内容を含む本を読ませてそう言う事を学ばせるという方法だ。
「お前は、兵士に必要な知識ばかりを学んで、人としての一般常識が欠けているんだ。本を読んで、一般常識を学べば、お前の悩みの解決の一助になるかもしれない」
流石に俺の口からは言えん。
「なる………ほど………? そう言うものなのか?」
「まあ、確実とは言えないが、無駄にはならない筈だ」
…………まあ上にばれたら取り上げられるかもしれんが。
すると、
「クリスカ―! ユウヤ―!」
イーニァが花屋の前で手を振っていた。
「そろそろ行こう」
「ああ」
何とか話を変えることに成功した。
イーニァの元へ行くと、
「見て! 綺麗だよ!」
そこにあったのは黄色い花。
確かに綺麗だ。
「そうか、気に入ったのか!」
俺はポケットを弄って財布を取り出すと、
「これ、貰えるか?」
店主に向かってそう言うと、
「羨ましいねぇ。両手に華じゃ足りないってか?」
店主は冗談めかしてそう言うと花束を包んでくれた。
「ブリッジス?」
クリスカが怪訝な声を漏らす。
「ほら」
俺はイーニァに花束を差し出す。
「え? いいの?」
「ああ」
俺は頷く。
「いや、しかし………」
クリスカが遠慮気味だったので、
「お前達の為じゃない。俺がそうしたいんだ。ほら」
もう1つの花束をクリスカに差し出す。
「あっ………」
「お前達はいつも一緒だからな。花もそろってた方がいいだろ?」
クリスカは困惑していたが、
「クリスカ。嬉しいね!」
イーニァが笑顔でそう言うと、クリスカは遠慮気味に受け取った。
すると、
「…………ありがとう」
小さな声でお礼を言った。
コイツがお礼を言うなんてな。
尚、その直後に崔中尉と鉢合わせ、夫だの嫁だの喚くうちにクリスカが不機嫌となり、去って行ってしまった。
嫉妬でもしたのか?
尚、
「ビャーチェノワ少尉の次は崔中尉………? 何をしているのですか兄様は………!」
その様子を唯依に見られていた事など俺には知る由も無かった。
色々あって疲れた俺は、ナタリーのバーに寄ったのだが、
「あれ? 中尉?」
珍しく唯依がバーのカウンターに座っていた。
「にっ……ブリッジス少尉!」
唯依は何処か慌てた様子だった。
俺は唯依の隣に座ると、
「お客さん、ご注文は?」
「じゃあ、いつもの」
飲み物を注文する。
「今日は疲れたぜ。飲まなきゃやってられねーな」
「………そうだろうな」
何処か拗ねたような口調で呟いた。
「最近の調子は如何だ?」
俺は唯依に問いかけると、
「あ、ああ………お前のお陰で随分と計画が捗っている。順調と言っていいだろう」
「いや、そう言う事じゃなく………無理とかはしてないか?」
俺は唯依自身を気遣うつもりでいったんだが………
「えっ!? あ、ああ! 大丈夫だ。睡眠も十分に取れている」
「なら良かった」
一度会話が途切れると、
「その………篁大佐とは連絡は取ってるのか?」
気にしないとは言ったものの、多少は気になってしまう。
「う、うむ………定期的にな…………大分苦労しているようだ」
俺は何となく想像がついてしまった。
「そうか…………」
その時、
「日本が嫌いでも、相手が女なら関係ないのかよ」
この生意気な声と口調は………!
「随分と都合がいいポリシーだな?」
「レオン………!」
なんでコイツがここに居やがる。
いや、この基地所属だから居てもおかしくは無いんだろうが。
すると唯依と目が合うと、
「失礼しました! 自分はアメリカ陸軍第65戦闘教導団所属、レオン・クゼ少尉であります!」
上官である唯依に対し敬礼をして名乗るレオン。
唯依も答礼を返すと、
「XFJ計画の、篁 唯依中尉だ! 演習は見事だった。機体練度も素晴らしい!」
当たり障りのない世辞を口にする。
「光栄です! 日系人として、中尉が育てた機体との対戦が楽しみです!」
レオンも当たり障りのない言葉を返した。
「しかし、ハンデを負わされての機体開発。ご心労をお察しします」
コイツ、一々俺に突っかかってきやがって………
「ハンデ?」
唯依が首を傾げる。
「誰も過去を知らない場所で良い奴ぶるのは、さぞ楽だったろうな………?」
レオンが俺を見下ろしながら言う
「……………俺はもう、俺の仕出かしたことを否定するつもりは無い」
「何………?」
「確かにあの事故は俺の行動が切っ掛けになったんだろう………それは認める」
「テメェ………開き直ってんじゃねえぞ……!」
「だが、いくら過去を悔いてもやり直すことは出来ない………! なら、俺は隊長の分まで前を向いて進んでいく。そう決めたんだ……!」
俺は心の内を言葉にする。
「ッ………! お前………本当にあのユウヤか?」
「さてな。2年も経つんだ。多少変わりもするさ。それでも俺の事が気に食わないなら、決着はブルーフラッグで付ける……! それでいいだろ?」
「………面白れぇ………吠え面かかせてやるよ………!」
「やってみな」
互いに宣戦布告して、その場は別れるのだった。
はい、マブラヴオルタネイティヴAnother編第15話です。
今回は日常編?でした。
ユウヤは原作と違い、多少は鈍感が薄れてるって事で。
因みに、ユウヤが起こした事故の正確な日時は分からなかったので、この小説ではユウヤがゾンダー化する直前に事故を起こしたことにします。
では、次もお楽しみに。
P.S:今日の返信もお休みします。