転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件   作:友(ユウ)

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第13話 BETA進軍

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

突如発令されたコード991。

その理由は、基地のすぐ近くにBETAが地中侵攻をかけて来たからであった。

本来はBETAが地中を掘削する振動を探知し、事前に侵攻ルートが予想できたのだが、今回に限ってBETAが現れる直前まで分からず、後手に回ってしまった。

その為、戦術機部隊が全てで払っている基地には戦車を中心とした部隊しか残っておらず、足止めも儘ならない状態であった。

その為、ソ連のサンダーク中尉は基地を放棄して退避を進言。

その際に避難を円滑に行うため、装備などは放棄するよう要請した。

イブラヒムは日本の軍事機密の塊である電磁投射砲だけは一考するよう要請したが、電磁投射砲を持ち出すことの出来る戦術機や重機が無い為諦めるようにと言われるだけだった。

そして同時に、それがソ連の狙いであることも察した。

BETAに侵攻され、もぬけの殻となった基地を再び自軍が取り戻し、その際に電磁投射砲も接収してしまおうとの策だ。

それだけ電磁投射砲の威力が魅力的に映ったのだろう。

だが、イブラヒムは先に唯依を電磁投射砲の元へ向かわせており、ソ連の思い通りにはさせる物かと一計を案じていた。

 

 

 

 

唯依も電磁投射砲のある格納庫へ向かっていたが、無線は全く使えず、司令部と連絡を取る事も出来なかった。

その途中ヴィンセントと合流。

機密データの処置をヴィンセントに任せ、唯依は電磁投射砲を爆破処理する以外に無いと決意した。

だが、電磁投射砲の格納庫は既にソ連軍の兵士が回されており、整備班は半ば強制的に退去させられており、唯依も理由を付けて退去させられそうになり、何かと口実を付けて爆破コードを入力することに成功したのだが、その時は既にシステムが書き換えられており、爆破システムは起動しなかった。

そして唯依も半ば強制的に退去用のヘリに乗せられたが、離陸直後にヘリから飛び降りて脱出。

再び電磁投射砲の元へ向かうと、そこには強制退去させられたはずの整備兵の1人が居た。

その整備兵、山本伍長は電磁投射砲の整備で物陰に居た為、ソ連の兵士の目を免れ、今まで隠れていたという。

その為、唯依は山本からシステムが書き換えられて爆破は不可能だという事を聞き、何とか爆破処理しようと策を考える。

一先ず航空燃料を利用した砲弾の一斉誘爆で破壊しようと考え、山本にコンテナの移送を頼み、自分は爆破した際のシミュレーションを行っていたのだが、

 

「駄目だ………! 主要部の耐熱対弾強度が高すぎる………! 航空燃料による砲弾の一斉誘爆だけでは、このモジュールの完全破壊には至らない………!」

 

現状の火力では完全破壊は不可能と言う計算結果が出てしまう。

 

「伍長! 機密部分だけでもいい。今から装甲を外せないだろうか?」

 

唯依はそう問いかけたが、

 

「自分は伝送系の専門なので、残された時間ではとても無理です………」

 

山本は畑違いの自分では不可能だという。

 

「わかった。爆破の準備を進めてくれ」

 

「申し訳ありません!」

 

山本は謝ると作業を進める。

 

「どうする………!? 一体どうすれば…………!?」

 

唯依の中に焦りが生まれ始める。

 

「…………このような状況でも、あの人なら何とかしてしまうのだろうか…………兄様…………」

 

思わずその言葉が漏れる。

初めて会った時から桁違いの操縦技術を見せつけ、どのような難関のテストだろうと悠々とクリアしてしまうその姿。

最初はその才能と実力に嫉妬すら覚えた。

だが、腹違いであるとはいえ兄であることが分かり、ユウヤも自分を気にかけてくれるようになり、『妹』として大切に思ってくれているのを感じていた。

頼りになる『兄』と言う初めての存在に、少なからず浮かれている自分が居ることに唯依自身も気付いていた。

だがその時、轟音と共に格納庫の扉が抉じ開けられる。

 

「ッ!?」

 

唯依は思わず目を見開く。

唯依の視線の先には、不気味な赤い体色をした戦車級の姿があった。

唯依の脳裏には、かつて目の前で戦車級に食い殺された同期の姿がフラッシュバックしていた。

 

「…………ッ!?」

 

一瞬呆けてしまうが、戦車級は自分が通れる広さまで扉を抉じ開けると、格納庫内に滑り込み、6本足の素早い動きで唯依に向かって突進して来た。

そのまま戦車級は唯依に襲い掛かり…………………

赤き一閃によって切り裂かれた。

戦車級の体が力を失って倒れると、その向こう側には白いアーマーを纏い、赤い光剣を持った1人の男が居た。

 

「無事か?」

 

その男はそう声を掛けてきた。

 

「……………ッ! 何者だ!?」

 

呆けていた唯依はハッとなって我を取り戻すと、咄嗟に拳銃を取り出してその男に向ける。

だが、その男は慌てる素振りすら見せず、

 

「俺の名はジェイ。GGGの関係者だと言っておこう」

 

「ッ………! GGGの………!?」

 

唯依は驚愕の声を漏らす。

 

「GGGがなぜこんな所に居る!?」

 

唯依が再び問いかけると、

 

「野暮用で近くに居たのでな。異変に気付いて様子を見に来たらこの有様と言う訳だ」

 

「ッ~~~~~~~~~………………!」

 

唯依は悩んでいたようだったが銃を降ろす。

 

「銃を降ろしていいのか?」

 

ジェイがそう問いかけると、

 

「貴殿が本当にGGGであるなら敵では無いだろう。それに、銃を向けてそれだけ落ち着いているという事は、何ら脅威では無いのだろう………?」

 

唯依の言葉に、

 

「さて? どうだかな?」

 

ジェイははぐらかす言葉を口にする。

 

「中尉!?」

 

山本が異変に気付いてフォークリフトに乗ったままこちらにやってきて、

 

「ご無事ですか!?」

 

「ああ………こちらのジェイ殿のお陰で助かった」

 

「そんな………戦車級を倒すなんて信じられません………!」

 

山本は戦車級の死骸を見てそう漏らした。

 

「ああ。確かに信じられん。信じられんが故に、GGGであることに嘘は無いだろう」

 

唯依はそう言った。

すると、

 

「さて、BETAの大群が此処に押し寄せるまで時間が無い。脱出するなら手を貸すが?」

 

ジェイはそう問いかけたが、

 

「それは出来ない! 我々は、絶対にこの99型を爆破しなければならない!」

 

唯依はそう宣言する。

 

「方法はあるのか?」

 

「ッ…………! 本来は自爆装置が組み込まれているが、ソ連軍によってシステムが書き換えられている………何とかして外部からの破壊を模索している所だ………」

 

「システムの書き換えね………端末はコイツか?」

 

ジェイは作業台に置かれているノートパソコンに歩み寄ると、左手を添えた。

 

「待て! 勝手に触ることは………!?」

 

唯依の言葉が止まる。

ジェイの体が赤い光を放ち始めたからだ。

そして、

 

「アクセス!」

 

ジェイの左手にJの紋様が浮かび上がった。

そして、光が収まると、

 

「自爆コードを撃ち込んでみろ」

 

「ッ…………?」

 

ジェイにそう促され、唯依は訝しみながら自爆コードを入力する。

すると、コードが承認された画面が現れ、タイマーが表示された。

 

「ッ! 承認された!?」

 

唯依が驚きながらそう叫ぶ。

 

「一体何を………!?」

 

「俺には、電子機器に気合でハッキング出来る能力があるんでね。それでシステムを再度書き直しただけだ」

 

「き、気合…………?」

 

唯依は呆気に取られた表情をする。

すると、

 

「さて、ここにはもう用は無いのだろう? 脱出するぞ」

 

ジェイは格納庫の出入り口を指差す。

そしてそちらに歩き出そうとした時、ガコンと音がして出入り口に兵士級が屯しているのが見えた。

 

「ひっ!? もうBETAが此処に!?」

 

山本が引きつった声を上げるが、

 

「心配ない」

 

ジェイは落ち着いた声でそう言うと、銀色の一閃が兵士級を一気に真っ二つにした。

すると、その向こう側に10m程の紫の人型ロボットが見えた。

 

「ナイスだ。ボルフォッグ」

 

そこに居たのはGGGの一員であるボルフォッグ。

 

「いえ。それよりも、大型BETAの群れが近付いてきています。即時脱出を進言します」

 

「ああ。ボルフォッグ、頼む」

 

ジェイがそう言うと、

 

「システムチェーンジ!!」

 

ボルフォッグが変形を開始し、人型からパトカーへと姿を変える。

 

「へ、変形した!?」

 

山本が思わず驚愕の声を上げる。

すると、パトカーとなったボルフォッグのドアが開き、

 

「乗れ」

 

ジェイの言葉に2人は思わず頷く。

唯依が助手席に、山本が後部座席に乗り込む。

ジェイも運転席に乗り込むと、ボルフォッグが走り出した。

程なくして、爆発音と共に格納に爆炎が上がり、電磁投射砲が爆破された事を伝えた。

 

「ッ……………!」

 

その光景を何とも言えない表情で見つめる唯依。

 

「大丈夫か?」

 

ジェイがそう声を掛けると、唯依がハッとして、

 

「だ、大丈夫だ! それよりも、この車は一体………? いや、それよりも何故あの大きさのロボットがこの大きさの車に変形できるんだ!?」

 

唯依は誤魔化す様に疑問を投げかける。

 

「その辺りは気にするな。そう言うものだと納得しておけ」

 

「いや、納得できないから聞いているのだが………」

 

そうは言うが、ジェイも何故ボルフォッグがこの大きさに変形できるのかは知らない。

もっと言えば、開発者ですら何故この大きさに出来たのか分からないという。

ボルフォッグがBETAを躱しつつ基地の敷地内から飛び出す。

すると、

 

「ジェイ代表。基地へ向かう2機の機影を発見しました」

 

ボルフォッグの言葉にそちらに視線を向けると、

 

「あれは、不知火弐型! ブリッジス少尉!」

 

唯依が叫ぶ。

そこにはアルゴス小隊の不知火弐型とストライクイーグルが基地に向かって飛翔していた。

 

「ボルフォッグ」

 

「了解しました」

 

ジェイの言葉にボルフォッグが応えると、けたたましくサイレンを鳴らし始めた。

その音が聞こえたのか、不知火弐型がこちらを向く。

すると、ボルフォッグが停車し、ドアが開く。

唯依が外へ出ると、自分が居ると示す様に手を振った。

不知火弐型とストライクイーグルが降下してくると、目の前に着地。

コクピットハッチが開くとユウヤが飛び出してきた。

降下用ロープで地面に降りると、

 

「中尉!」

 

「に……ブリッジス少尉!」

 

ユウヤが唯依に駆け寄り、

 

「良かった……無事だったか………」

 

ユウヤはホッと息を吐く。

 

「貴様達こそ、何故ここに!?」

 

唯依が問いかけると、

 

「ヴィンセントから聞いたんだ。中尉が1人で残って電磁投射砲を爆破しようとしてるってな……!」

 

「軍曹から………」

 

「……ったく、無茶しすぎだぜ………無事だったから良かったものの………」

 

ユウヤはそう言いながら視線をジェイへと向ける。

 

「あ、彼はジェイ。私達の命の恩人でGGGの一員だそうだ」

 

唯依はそう説明する。

まあ、ユウヤにとってジェイは知った仲だが、それを知られるわけにはまだ行かない。

すると、ユウヤはジェイに向かって頭を下げ、

 

「中尉を助けてくれて、ありがとう………!」

 

ユウヤはそう言う。

 

「気にするな。事の序だ」

 

ジェイはそう言う。

 

「それはさておき、迎えが来たのならここまででいいな?」

 

「ああ。中尉は俺達の方で保護する」

 

「そうか。あと、もう1人居るんだが?」

 

「もう1人?」

 

ジェイが視線をボルフォッグに向けると、後部座席から山本がはい出てくる。

 

「あいつは?」

 

「彼は整備班の山本伍長。勇敢にも私と共に現場に残り、爆破作業に力を貸してくれた者だ」

 

唯依がそう説明する。

 

「なるほど、根性のある奴だ。アルゴス4! そっちで篁中尉を頼む。俺は伍長を乗せる」

 

「了解」

 

ステラが返事をした。

それぞれの戦術機に乗せると、

 

「改めて中尉達を助けてくれて感謝する。気を付けて帰れよ」

 

「そちらもな」

 

ユウヤとジェイがそう言葉を交わすと、不知火弐型はストライクイーグルと共に背を向け、飛んでいった。

 

「………………さて、こちらも行くか」

 

「了解しました」

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ジャール大隊は前線基地の防衛を命じられ、不審に思いながらも前線基地に到着。

BETAを掃討していた。

だが、そこへ爆撃機が接近してくることに気付いた。

 

『フッ、ようやくお出ましか』

 

『まっ、連中が後続を吹っ飛ばしてくれれば、多少は楽になるけどね』

 

『へっ! 基地のお掃除なんて、チマチマ面倒な事に変わりねえよ!』

 

『ったく、余計な真似しやがって………俺らだけでやれるっての!』

 

『何よ? ターシャの報告聞いてビビってたくせに!』

 

『誰がビビるかバーカ! 余裕だぜ!』

 

ジャール大隊の少年少女達にも余裕の声が出てくる。

だが、爆撃機が基地を爆撃範囲内に収めた時、爆撃機が投下体制に入る。

 

『え………? 早くない…………?』

 

爆撃機はそのまま爆弾を投下。

 

『な、何で………!?』

 

ジャール大隊の2人が呆けた声を漏らした。

そのまま爆弾は落下していき……………

赤い閃光が通り過ぎたかと思うと空中で爆発した。

 

『ッ!? な、何がッ!?』

 

驚くジャール大隊の隊員だったが、爆撃機の編隊から次々と爆弾が投下される。

 

『ッ! 各自の裁量で誤爆を回避! 急げ!!』

 

ラトロワからそう指示が飛ぶ。

だが、雨のように振ってくる爆弾に、完全回避は難しい。

だが、赤い光が爆弾の嵐を縫うように通過。

その直後に爆弾は爆発し、地上へは届かない。

 

『あの光は何だ?』

 

ラトロワが目を凝らすと、一瞬だが高速で動き回る人型を見た。

 

『まさかあれは………戦術機なのか!?』

 

ラトロワが驚愕の声を漏らした瞬間、別のアラートが鳴り響いた。

 

『これは………レーザー警報!?』

 

この戦域では今までに無かった光線級が出現した報せだった。

山岳地帯から次々と閃光が発射され、爆撃機を貫き、爆散させていく。

瞬く間に爆撃機の編隊が全滅する。

 

『高度を下げろ!! タチアナ!!』

 

ジャール大隊の副官であるターシャが高度を取ったまま呆けていた隊員に叫ぶ。

しかし、その直後に閃光がその隊員の戦術機を直撃した。

 

『タチアナ――――――ッ!!』

 

ターシャの悲痛な声が響く。

しかし、戦術機程度は軽く貫き、爆散させる威力を持つレーザーは貫通せず、爆散もしていなかった。

何故なら、タチアナ機の前に戦術機よりも大きな人型ロボット、ジェイダーが立ち塞がり、両手から発生させている赤い光剣をクロスさせてレーザーを防いでいた。

 

『こ、この機体は…………!?』

 

すると、ジェイダーはレーザーの照射元へ向かって飛翔。

当然迎撃の為のレーザーが放たれるが、ジェイダーは光剣を振り、次々とレーザーを切り払ってゆく。

 

『レーザーを切り払ってる!?』

 

『あり得ない………そんな事不可能だ!!』

 

隊員達は信じられない声を漏らすが、ジェイダーはそのまま照射元へと向かって行くと、すぐにレーザーが発射されなくなった。

 

『レーザーが………止まった………?』

 

『嘘だろ………? 真正面から単機で光線吶喊(レーザーヤークト)を成功させたっていうのか……!?』

 

驚愕の声を漏らす。

だがその時、別方向から所属不明機が接近してくる反応を捉えた。

 

『わざわざ口封じを寄越すとは………バカ者どもめ………!』

 

ラトロワはすぐにそれが口封じのための刺客だと直感する。

 

『このスピードと殲滅速度…………GNドライブ搭載機か………ならば、私が出るしかない…………ッ!?』

 

ラトロワがそう呟いて所属不明機の方へ向かおうとした時、突如として戦術機が止まる。

いや、何かに止められた。

すると、

 

「お止めなさい…………理由はどうあれ、ビーム兵器を人に向けたとなれば、我々はあなた方の敵に回らなければならなくなります」

 

その言葉と共に、ビッグボルフォッグがラトロワの戦術機の肩を掴んだ状態で現れた。

 

『貴様は………GGGの………!』

 

「ここは私にお任せを…………」

 

ビッグボルフォッグはそう言うと、接近してくる所属不明機を見据えるのだった。

 

 

 

 

 

 





はい、マブラヴオルタネイティヴAnother編第13話です。
本来はユウヤが活躍の場面をジェイが掻っ攫いました。
何気にアニメオリジナルキャラの山本伍長も生存です。
この伍長、モブキャラなのに電磁投射砲の機密ブロックの悪名高き横浜製のプロテクト(恐らく香月博士謹製)を、偶然かもしれないが短時間で突破した何気にヤベースペックをした奴です。
ジャール大隊も爆撃に巻き込まれた奴はいないので生存。
正体不明機にはボルフォッグが対応。
後は原作通りになるって事で。
次回からブルーフラッグ編ですかね。
お楽しみに。

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