転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件 作:友(ユウ)
【Side ユウヤ】
レオンとバーであった翌日。
俺はランニングをしながらかつての出来事を思い出していた。
その事を思い返しながら、土手の斜面に寝っ転がっていた時、
「ふふふっ!」
突然笑い声が聞こえた。
俺が身を起こすと、フェンス越しにイーニァが微笑んでいた。
「イーニァ」
そして、イーニァが居るという事は、当然のようにクリスカもその横に現れた。
「何だお前ら? 今日も休みか?」
俺は立ち上がりながら歩み寄り、そう聞くと、
「泣いてたんだね? ユウヤ………」
「えっ………?」
突然のイーニァの言葉に俺は思わず声を漏らした。
「泣いていたのか?」
クリスカもそう聞いてくる。
「……………………」
「大丈夫だよ? 悲しい出来事も、辛い涙も、今のユウヤを作った大事な思い出だから…………」
「イーニァ…………」
やっぱり俺の感情が分かるっぽいな、この2人は。
だから俺は、
「なあ、ちょっと付き合ってもらって良いか?」
俺は、その事件について話すことにした。
母さんが死んで、俺には軍人として成果を出す事しかないと思い込んでいた頃、俺はラプターのテストパイロットとして機体の限界に挑戦していた時、無謀な機動を何度も行い、当時の隊長の手を焼かせてしまっていた。
そんな時、渓谷の合間を飛行するコースを飛んでいた時、僅かな気のゆるみから崖に激突しそうになった。
俺は咄嗟に避けたが、その時の衝撃波が崖の崩落を引き起こし、後を追ってきていた隊長が崖の崩落に巻き込まれて死亡。
その事件は事故として処理され、俺に責任が及ぶことは無かったが、その事件が切っ掛けで元々反りが合わなかったレオンとは完全に対立し、当時恋人だったシャロンとも別れる事になった。
「結局その事故は、俺の所為で起きたんだ………当時の俺は、良きアメリカ市民って奴になって、周囲に認めさせるしか無かった………それ以外、お袋を揶揄する連中を黙らせ、見返す方法は無い……そう思ってた。だからどうしても、軍で上り詰める必要があった。なりふり構わず、1秒でも早く。他人の事はどうでも良かった。周りは全て敵だったからな。その甲斐あって俺は衛士の頂点、テストパイロットまで上り詰め、エリートが集まる陸軍戦技研に配属された。だが、母さんが死んで、俺にはもう軍での地位しか残っていない……そう思い込んじまったんだ………その代償が……あの事故…………」
クリスカはその話を黙って聞いてくれていた。
「悪いな、つまんねー話で」
「いや」
「遭難した時に話したせいか、お前にはなんか話しやすくてさ」
その言葉に嘘は無い。
何故かクリスカには話せてしまう。
「そうか………だが正直、今の話は私にはよくわからない」
「だろうな………思い出すたびに、自分で自分に反吐が出るぜ」
俺はそう言うが、
「違う、そうじゃない。私が分からないのは貴様が部隊長の事故に責任を感じている事だ」
「えっ?」
「事故は起こる………その発生をゼロにするなど絶対に不可能だ」
俺はその言葉に、虚を突かれたように感じた。
「前線の衛士と同じように、我々テストパイロットも、命を賭して機体を開発している。貴様は自分の決断で任務に命を懸けた。それは大尉も同じだったはずだ。私もそうだ。この身をソ連に捧げている。例え任務中に落命しても後悔は無い。誰の所為にもしない」
「ッ…………!」
凄いな、クリスカは。
俺は2年かかってGGGの皆から教えられた答えを最初から分かっている。
「私の兄弟達も同じだった………その殆どが戦場に散った………生き残った者を恨む者はいまい………」
「………お前の兄弟………」
おそらくは同じ人体実験で生まれた存在達なのだろう。
クリスカは立ち上がると、
「人はいずれ死ぬ。そこに意味を求めるのは、残された者の感情だ」
そう言い放った。
「………………」
その時、
「クリスカ!」
イーニァがクリスカに抱き着く。
クリスカは微笑み、
「何か面白いものはあった?」
「うん! 凄く綺麗だったよ」
イーニァは俺の方を見ながらそう言った。
やっぱり、俺の感情を見ているのだろうか?
「そろそろ時間だ。私達は戻る」
クリスカがそう言ったので、
「悪かったな。愚痴に付き合わせちまって」
「気にするな。私が聞きたいからここに居た。ただそれだけだ」
クリスカはそう言って微笑む。
前と比べると、大分感情が豊かになってきている気がする。
「そうか、助かったよ」
俺は礼を言うと、2人と別れたのだった。
【Side Out】
【Side 三人称】
ユウヤがそんな日々を過ごしている頃、宇宙ではオービットベースの展望室から武が地球を眺めていた。
「…………………………」
「…………タケルちゃん?」
そんな武を純夏が見つけ、声を掛けた。
「純夏………」
武は振り向いて微笑みかける。
「どうしたの?」
純夏が尋ねると、
「いや………もうすぐだなと思ってさ…………」
そう言いながら武はもう一度地球に向き直る。
「10月22日…………その日がタケルちゃんの………ううん。私達の運命の始まりの日なんだね…………」
「ああ…………」
10月22日。
それは武が『この世界』に現れた日であり、『元の世界』では冥夜が武の前に現れた日だ。
どちらの世界も、その日が運命の分岐点と言っていいだろう。
「この世界は、俺が今まで経験して来た世界の中でも、一番危機的状況な世界だ………ジェイさん達の………GGGのお陰で、この世界は何とかBETAと渡り合っていけてる………それなのに、ユウヤさんからの報告を聞けば、何処の国も、自分の利権しか考えていない………それが堪らなく悔しい………」
武は拳を握りしめる。
「タケルちゃん…………」
そんな武の拳に、純夏はそっと手を重ねた。
「純夏………」
武は純夏に視線を向ける。
「大丈夫だよ、タケルちゃん。タケルちゃんは、皆を護る為にここに居るんだから………」
「純夏………」
「それに、タケルちゃんは1人じゃない。GGGの皆も………冥夜達も…………私だって一緒だよ!」
「ッ………! ああ、そうだな…………ありがとう純夏」
「どういたしまして!」
純夏の元気さに、沈んでいた心が引っ張り上げられる感覚を武は感じた。
まあ2人が念動力者として覚醒しているので、文字通り以心伝心出来てしまう事も大きいのだが。
すると、
「…………………」
「…………………」
2人は自然と見つめ合う。
星の輝きをよく見えるようにするために薄暗くなっている展望室の雰囲気も相まって、2人の距離は自然と縮まっていく。
そしてそのまま2人の顔が近付いていき…………………
「あーーーーーーーーっ! 鑑さんが抜け駆けしてるーーーーーーっ!」
突如として美琴の声が響いた。
思わずビクついて離れる2人。
そちらを振り向けば、展望室の出入り口で美琴が2人を指差していた。
その周りには、他の4人の姿もある。
「全く純夏め。油断も隙も無い。タケルはもうそなただけのものでは無いぞ!」
「ズルいです! 純夏さん!」
「幼馴染だからって少しは遠慮しなさい!」
「抜け駆け禁止………!」
そんな事を叫びながらワイワイと武の周りに集まる少女達。
「やれやれ…………」
そんな彼女達を見ながら、様子を見ていたジェイが呟くのだった。
はい、マブラヴオルタネイティヴAnother編第16話です。
短っ!
全くネタが無かったのでほぼアニメの通りとなりました。
なので、武達の様子もちょこっと。
同じくネタが無いので、アニメでやってた温泉回はぶっ飛ばします。
というわけで次回はテロ編に入ります。
自分は原作ゲームについてはよく知らないので、テロ編でオリジナル展開に入り、トータルイクリプス編は終了させてしまう予定です。