転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件 作:友(ユウ)
インド洋での戦いを切り抜けたミネルバは、元々の目的地であるジブラルタルへ向かっていた。
その途中、補給の為に立ち寄ったマハムール基地にて現状を教えられる。
ジブラルタルへ向かう途中にあるガルナハンに、補給路を確保している連合軍の基地があり、ジブラルタルへ向かうなら避けては通れないという事。
その基地には陽電子砲『ローエングリン』が設置されており、更には陽電子リフレクターを装備したMAまで配備されており、マハムール基地の司令官も攻略を試みたが、失敗に終わったという。
そこでマハムール基地の司令官はミネルバに協力を要請し、グラディス艦長もこれを受諾。
更に現地のレジスタンスの協力者を招き、ガルナハンローエングリンゲート突破作戦が行われることとなった。
ブリーフィングルームに集まるパイロットを始めとしたミネルバクルー達。
因みに俺も口出ししないことを条件に同席させてもらった。
作戦内容は、ミネルバとマハムール基地のラドル隊の戦力を陽動にして、インパルスが分離状態で砲台近くまで伸びている旧坑道を通り、接近。
インパルスに合体して砲台を叩くという作戦だった。
まあ、シンはツンケンしつつもアスランに乗せられ、作戦を了承することになる。
ブリーフィング終了後、坑道の情報を提供したレジスタンスの少女、コニールは、シンに向かって言った。
「前にザフトが砲台を攻めた後、街は大変だったんだ………それと同時に、街でも抵抗運動が起きたから………」
「ッ………!?」
「地球軍に逆らった人達は、滅茶苦茶酷い目に遭わされた。殺された人だって沢山いる。今度だって、失敗すればどんなことになるかわからない………だから、絶対やっつけて欲しいんだ、あの砲台……! 今度こそ……!!」
コニールの必死な懇願に、シンは予想外の衝撃を受ける。
「だから……! 頼んだぞ!!」
コニールは泣きながらそう口にした。
「………………」
シンは絶句していた。
「………責任重大だな、シン」
「ッ……! ジェイさん」
シンは驚いたように振り向く。
すると、
「っていうか、俺達がやるよりジェイさんがやるのが一番早いんじゃないんですか!?」
シンはそっぽを向きながらそう言う。
「………確かにジェイアークなら、突破も容易だろう」
「だったら……!」
「おい!!」
シンと俺のやり取りにコニールが割り込んできた。
「今の話は本当なのか!? アンタならあの砲台を壊すことが簡単だって!!」
「…………まあな」
俺は肯定する。
「だったら頼むよ! あの砲台を壊してくれ!!」
コニールは俺に懇願してくる。
だが、
「………悪いが、俺達は人と人との戦争に手を貸す気は無い」
俺の答えは否だ。
「どうして!? 彼女の言葉を聞いても何も思わないんですか!?」
シンはそう言って食って掛かる。
「可哀想だとは思っているし、多少は助けてやりたいとも思っている。だが、それだけで手を貸す気にはなれない」
「何で!? 少しでも助けたいと思う気持ちがあるのなら………!!」
俺はシンの言葉に背を向け、
「………戦争に手を貸したところで、残るのは虚しさだけだ」
そう言い残して立ち去った。
「ジェイさん……………」
【Side 三人称】
予定地点に到着し、シンはインパルスで発進する。
ミネルバとラドル隊はそのまま渓谷に沿って前進。
それに気付いた地球軍基地から複数のウィンダムと半人半虫のような大型MAゲルズゲーが発進する。
ミネルバとラドル隊もMS部隊を展開し、ミネルバが陽電子砲を発射しようと砲台を向ける。
そこでゲルズゲーが前に出てきて陽電子リフレクターを展開。
ミネルバの陽電子砲を防ぎ切った。
反撃とばかりに地球軍もローエングリン砲を発射。
ミネルバは急速降下で地面に擦りながらも、何とか第一射目を回避した。
アスランのセイバーを中心に、MS部隊に対処していくザフト軍。
ゲルズゲーが下がろうとするが、そこに坑道を抜けてきたシンが到着。
合体してインパルスとなり、砲台へ向かう。
ローエングリンゲートの司令は、すぐにローエングリンを戻す指示を出す。
シンはウィンダムや護衛の砲台を破壊しながらローエングリンへと向かう。
アスランもゲルズゲーを相手にしつつ、シンを急かす。
だが、ローエングリンの砲台は、基地内に収納され、最後のシェルターが閉じようとしていた。
シェルターが閉じてしまえば現状のインパルスでの装備では破壊は不可能だろう。
シンは、インパルスに標準装備されている対装甲ナイフを護衛のダガーに突き刺し、ローエングリンの閉まろうとしたシェルターに向けて放り投げると、胸部の機関砲を連射して穴だらけにする。
ダガーを爆破させて、ローエングリンを誘爆させようという考えだった。
その目論見通り、シェルターが閉まり切る寸前にシェルター内に半壊したダガーが滑り込み、シェルターが閉まり切ったところで爆発の振動が響いた。
「よし!」
シンは上手くいった事に笑みを零す。
しかし、少ししておかしいことに気付いた。
「………ッ? 爆発の規模が小さすぎる…………もしかして破壊しきれなかったのか?」
シンは一瞬そう思ったが、光学兵器の砲台というのはその構造上あまり頑丈には作れない。
陽電子砲ならば尚更だ。
あの状況で誘爆すれば、砲台は勿論、エネルギーが逆流して基地全体に被害が及んでもおかしくは無い。
「一体なんで………?」
シンが怪訝に思ったとき、突然足場が………
いや、基地全体に振動が走った。
「な、何だ!?」
シンは咄嗟にインパルスを退避させる。
インパルスが砲台部分から飛びのいた直後、基地のあった岩山全体が崩れだした。
「こ、これは………!?」
シンが驚愕しつつ状況を把握しようとすると、
『ゾンダァァァァァァァァァァァァァァッ!!』
岩山の中から巨大な何かが立ち上がった。
基地の施設を取り込み、強引に組み合わせて巨大化。
そしてローエングリン砲が頭部になった全長200m程の巨大な獣のような姿。
それはミネルバからも観測出来ていた。
「あれはまさか!? メイリン!」
タリアがメイリンに確認するように呼び掛けると、
「素粒子Z0反応を確認! あれはゾンダーです!!」
メイリンはそう報告した。
「やはり………! 全部隊に通達! ゾンダー出現! 各機は直ちに撤退せよ!!」
タリアは即座に指示を出す。
その直後、ゾンダーの頭部のローエングリンにエネルギーが集中し、陽電子砲が発射された。
狙いはつけられておらず、山岳地帯を薙ぎ払うように放たれた。
「な、なんて威力………」
アーサーが唖然とした声を漏らした。
陽電子砲の威力は、山岳地帯に大きな爪痕を残している。
巻き込まれた部隊は居なかったが、その威力と風貌は、兵士たちを慄かせるのに十分であった。
その時、地上部隊を率いるラドルから通信が入った。
『グラディス艦長! あの化け物は一体……!?』
ラドルがそう問いかけると、
「あれはゾンダーです」
『ゾンダー!? 少し前に報告が入ったあれか! 聞いたときは、異世界の存在などと馬鹿馬鹿しいと一笑に付したが…………』
「そう思う気持ちは理解できます………しかし、これが現実です」
『う………うむ………グラディス艦長、我々は如何すれば………?』
「我々の武装では、奴に歯が立ちません。直ちにMS部隊を退避させてください」
『し、しかし、このまま奴を野放しには………』
ラドルが困惑するした時、ゾンダーの頭部の砲台がガルナハンの街へ向いた。
「ゾンダー、狙いをガルナハンの街へ向けています!」
メイリンがそう報告する。
見れば、陽電子砲のエネルギーが再びチャージされ始めていた。
しかし、
「ご心配なく。こんな時の為の彼らです」
タリアがそう言った瞬間、赤き閃光がゾンダーの身体を支えている前腕の片方を貫き、粉砕してゾンダーを転倒させる。
それと同時に陽電子砲が発射されるが、転倒した拍子に砲台は空へと向いており、放たれた閃光は空の彼方へと消えた。
その直後、ジェイアークがこの戦闘空域に現れる。
「ジェイアーク!」
退避していたセイバーからその姿を目撃したアスランが叫ぶ。
「現れたな、ゾンダー!」
ジェイはゾンダーを見据えてそう叫ぶと、
「フュゥゥゥゥゥゥゥジョンッ!」
指揮壇から跳躍し、ジェイバードへと融合する。
「ジェイバード、プラグアウト!」
分離したジェイバードが人型へと変形、
「ジェイダー!!」
メカノイド、ジェイダーとなる。
「プラズマウイング!」
ジェイダーは背中からプラズマウイングを発生させると、ゾンダーに向かって飛翔する。
その時、
『ゾンダァァァァァッ……! ゾンダァァァァァァァァァァァァァァッ!!』
ゾンダーは破壊された腕を再生させて再び立ち上がった。
ゾンダーは頭部の砲台をジェイダーに向けてエネルギーをチャージ。
直後に陽電子砲を放つ。
だが、
「遅い遅い! 遅すぎる!!」
ジェイダーは余裕で陽電子砲を躱しつつ射線に沿ってゾンダーに接近。
「ダブルプラズマソード!!」
両手にプラズマソードを発生させると、前方で合わせてそのままゾンダーに向けて突撃。
陽電子砲が途切れた直後に頭部を貫通。
背後から飛び出す。
その手にはゾンダー核が確保されていた。
爆発と共に崩れ去るゾンダーの身体。
『おおっ!? あの化け物を、あれほどまでに容易く………』
ラドルはジェイダーの強さに驚愕する。
そして、ジェイダーの胸部からハルが赤き光と共に飛び出してくると、
「テンペルム…………ムンドゥース………インフィニ………トゥーム………レディーレ!!」
ゾンダー核を浄解する。
ゾンダー核が変化していき、地球軍の軍服を着た男の姿となった。
「ありがとう………ありがとう………!」
その男は涙を流しながら感謝の言葉を口にする。
ジェイダーはその男をミネルバに預けると、ジェイアークへと戻っていった。
ローエングリンゲート壊滅の知らせが届いたガルナハンの街では、ここぞとばかりに大規模な抵抗運動………いや、暴動が起きていた。
地球軍が撤退する中、石を投げつけ、物資を奪い取る。
「帰れ帰れ!!」
「おら! 逃げんな!!」
「連合は皆殺しだ! 1人も逃がすな!」
過激な暴動も起きており、逃げ遅れた連合軍兵士を暴行したり、射殺する等の現場もある。
対して、シンを始めとしたミネルバは、英雄視されていた。
MSを降りたシンに人々は駆け寄り、称えたり肩車をして持てはやす。
しかし、その陰では捕まった連合軍兵が順番に射殺されていた。
その様子を、ジェイやハルは上空のジェイアークから見ていた。
「………こういう所を見ちゃうと、ジェイが戦争に手を貸す気が無いって言う理由が分かっちゃうなぁ………」
ハルはため息を吐くようにそう呟く。
「彼らの気持ちも分かる。特にこの街の人間は、相当ひどい目に遭わされていたようだからな…………だが結局、立場が変わればやっていることは連合もこの街の人間にも大した差は無い」
「軍の兵士たちは、上からの命令でそうしなきゃいけなかっただけだもんね。まあ、だからってやった事が許されるとは思わないけどさ」
「だからこそ悲しみや憎しみの負の連鎖が折り重なり、後戻りできない状況まで追い込まれてしまうんだ。だから俺は、何処の勢力にも加勢しない。目の前の見える悲しみを取り除いたところで、見えない誰かの悲しみを増やすだけだからな………」
「アスランは、その事に気付いているみたいだね………」
「シンはまだまだ子供だな。持てはやされて、自分のやった事は正しかったと舞い上がっている」
アスランとシンの表情の違いを見て、2人はそう評する。
「ままならないよね………人同士の戦争なんてさ…………」
ハルは、悲しそうにそう呟くのだった。
ガンダム種死編第5話です。
今回はローエングリンゲート攻略戦でした。
とりあえず、何があっても戦争には協力しないジェイ達の立場の明確化と、協力しない理由を書いてみました。
ゾンダー化するのはゲズルゲーと予想してた人もいましたが、ゾンダー化したのはローエングリンを含めた基地全体でした。
まあ、ジェイダーの速度を捉えられず、即撃破されましたが………
次回はディオキアでの話になるかと。
お楽しみに。
この小説のヒロインについて
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ハル1人だけで十分
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異世界毎にヒロイン増やしてハーレム戦艦に