転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件   作:友(ユウ)

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第19話 トータルイクリプス

 

 

【Side ユウヤ】

 

 

 

 

テロリストが解放したBETAを全滅した直後、地鳴りと共にユーコン基地近くに突如として現れた巨大な円柱状の物体。

 

「何だ………? アレは…………?」

 

俺は思わず呟いた。

既に日が沈み、暗くなりかけていたので見辛いが、赤っぽい色をしており、表面は金属のような輝きを放っている。

 

『推定半径180m…………高さは………地表部分だけでも500m以上!?』

 

ブレーメルが驚愕しながら報告する。

 

『何だと!?』

 

唯依が驚愕の声を上げると、その円柱状の物体が傾き、倒れ始める。

 

『倒れるぞ!』

 

タリサが声を上げると、轟音と共に横倒しとなる。

距離が離れていたためこちらには影響は無かったが突風が木々を揺らす。

すると、その円柱状の先が口のように開き、内部から大量のZETAが這い出して来る。

 

『BETA!? しかも全部機械級だ!』

 

タリサが叫ぶと、

 

『馬鹿な!? 機械要塞級まで出てきただと!?』

 

あのレオンですら驚愕の声を隠し切れなかった。

その瞬間、俺は武達に聞いた話を思い出した。

 

「まさかあいつは………母艦(キャリアー)級なのか!?」

 

思わず口に出してしまう。

 

『ッ!? 知ってるのユウヤ!?』

 

シャロンが問いかけてきた。

俺は、思わず口を滑らせたことをまずったと思いつつも、

 

「以前居た部隊で噂で聞いたことがある。BETAには、大量のBETAを輸送し、大深度地下を移動する母艦のような役目をするBETAが居ると!」

 

俺は咄嗟に言い訳を口にする。

別に嘘では無いが。

 

『母艦の役目を果たすBETA………母艦級………そんなのが居るなんてね………』

 

崔中尉が戦く様な声で呟く。

 

「俺だって話で聞いただけで実際に見るのは初めてだ………! まさかここまでデケェとは………」

 

俺はそう言いながら母艦級を注視する。

その体表は金属のように月の光を反射し、光っていた。

それはつまり、

 

「しかもZETA化までしてやがるとは…………!」

 

『ゼータ?』

 

ヴァレリオが怪訝な声を漏らす。

 

「前の部隊に居た時は、機械級をそう呼んでいただけだ」

 

すると、母艦級ZETAから現れたZETAの群れは、こちらにもユーコン基地にも向かわず、別方向に移動を始めた。

 

「何だ? どこに行くんだ奴ら?」

 

俺が疑問の声を漏らすと、

 

『いけない! あのBETA群は北米絶対防衛線に向かってるわ! このままだと、レッドシフトが発動してしまう!』

 

ブレーメルが声を上げた。

 

「何っ!?」

 

『いかん! 奴らを食い止めるぞ!』

 

唯依が叫ぶが、

 

『けど、この戦力じゃあの数の機械級は………!』

 

タリサの言う通り、普通のBETAならまだしも、全てがZETAだとすれば、食い止めるのは難しい………いや、不可能に近い。

すると、

 

『ッ………! サンダーク中尉! 貴官は基地司令部に戻り、非戦闘員の避難と可能な限りのGNドライブ搭載機を出撃させてほしい! その間は我々がBETAを食い止める!』

 

『……………それしかあるまい…………ビャーチェノワ少尉とシェスチナ少尉は………』

 

『我々は戦います。レッドシフトが発動すれば、祖国が滅んでしまいます』

 

クリスカがそう言う。

サンダーク中尉は目を伏せたが、

 

『…………………………わかった。諸君らの健闘を祈る』

 

サンダーク中尉は全員に敬礼する。

俺達も答礼を返し、ストライクイーグルは反転して司令部方面へと向かった。

 

『我々も行くぞ!』

 

『『『『『『『『「了解!」』』』』』』』』

 

俺達もZETAの群れを止める為に飛び立った。

 

 

 

 

俺達がZETAの群れの前面へ回り込んだ時には、既に広範囲にZETA達は展開していた。

ZETAの移動速度は通常のBETAの倍………いや、3倍は速い。

その為、短時間でもかなりの距離を移動できてしまう。

 

『ッ! 各機! 兵器使用自由! 1匹も通すな!』

 

唯依が叫ぶ。

とはいえ、その言葉がどれだけ難しいかも唯依は理解しているだろう。

ZETAの耐久力はBETAの比ではない。

通常の36㎜突撃砲は疎か120㎜砲でも足止めが精々であり、ビームマシンガンでも完全破壊には十数発当てなければならない。

その為、ZETAに対してはビームライフルによる攻撃が有効だが、普通のBETA進軍の時のZETAが締める割合は1%未満であり、ビームマシンガンで通常のBETAを殲滅しつつ、時折現れるZETAをビームライフルで仕留めるという戦術が普通だ。

しかし、今回の戦いにおいては全てがZETAであり、目測だけで1000体は下らないだろう。

それだけの数のZETAが一斉に進軍してきている。

それをGNドライブ搭載型とはいえ9機の戦術機で食い止めようとしているのだ。

その無謀さはよくわかるだろう。

 

「だがっ!」

 

俺はビームライフルを放って要撃級ZETAを仕留める。

 

「こんな所で諦めるわけにはいかねーんだよ!」

 

俺は空中からビームライフルを連射し、それぞれを1発ずつで倒していく。

他のメンバーも今の所順調に戦えていたが、

 

「ッ!?」

 

突如として悪寒が走った。

 

「GNフィールド全開!」

 

俺は咄嗟にGNフィールドを展開する。

その直後、母艦級ZETAの下部辺りから閃光が放たれた。

 

「ぐぉおおおっ!?」

 

GNフィールドで何とか防げたが、衝撃によって吹き飛ばされた。

 

『ユウヤ!?』

 

『ブリッジス!?』

 

崔中尉とクリスカの声が響いた。

 

「くっ!」

 

俺は機体を立て直して地面に着地する。

俺がその攻撃の元へカメラを向けると、そこには機械化された重光線級の姿があった。

 

「ZETA化した光線級だと!? しかも、今のはレーザーじゃない………! ビームだ!」

 

レーザーであれば衝撃は無いが、今の攻撃は吹き飛ばされる衝撃があった。

 

『ッ!? 各機! 高度を下げろ! 狙い撃ちにされるぞ!』

 

唯依が呼びかける。

 

『クッ………! 機械級になった光線属種だと……!?』

 

『参ったわね………』

 

レオンとシャロンが漏らす。

 

『畜生! 唯でさえ時間が無いっていうのに………!?』

 

タリサが愚痴を漏らしながら攻撃を続行するが、地上からの攻撃では、広範囲に対応できない。

レーダーに映る離れた場所に居るZEATが次々と俺達の防衛線を突破していく。

 

『どうする!? このままじゃ………!?』

 

『レッドシフトが発動してしまう………!』

 

ヴァレリオとブレーメルも焦りを隠せない。

だから俺は、

 

「俺が行く!」

 

そう口を開いた。

 

『ブリッジス!』

 

唯依を含めた全員が驚いた顔をする。

 

「俺が光線級吶喊(レーザーヤークト)を仕掛けて光線級を黙らせる! 皆はこの場を頼む!」

 

俺がそう言うと、

 

『馬鹿かお前は!? さっきの威力は集中照射されたらGNフィールドで防ぎきれるもんでもねえだろ!?』

 

レオンがそう言ってくる。

 

「当たらなきゃ如何ってことはねえ!」

 

俺はそう言い返した。

 

「唯依! 頼む!」

 

俺が唯依に頼み込むと、

 

『……………ッ! 頼めるか、アルゴス1?』

 

覇を食いしばりながらも、唯依はそう言ってくれた。

 

「任せろ!」

 

俺は自信を持って言うと、機体を飛び立たせる。

 

『ユウヤ!?』

 

シャロンも声を上げるが、

 

『心配しなくても大丈夫だよ!』

 

タリサが口を開く。

 

『ユウヤが出来るって言ったんだ。それなら出来るって事さ……』

 

ヴァレリオが続き、

 

『悔しいけど、ユウヤの操縦技術は群を抜いてるからね』

 

ブレーメルもそう言う。

 

「フッ………行ってくる!」

 

俺はビームの発射地点に向かって飛翔する。

その瞬間、母艦級ZETAの足元でチカチカと光が点滅し、

 

「ッ!」

 

機体をずらした瞬間、再びビームが放たれる。

先程まで居た場所をビームが通過した。

 

「狙いは相変わらず正確! だが、発射前に発光現象あり! これなら躱せる!」

 

次々と放たれるビームを躱していく。

 

『マジかよ!? 本当に躱してやがる!?』

 

『ユウヤすっごぉい!』

 

レオンとシャロンが驚愕の声を漏らしたが、

 

『当然だろ? ユウヤはウチのエースなんだ!』

 

タリサがドヤッと言いたげな顔で言い放った。

それでもZETAを倒す手は止まっていないのは流石だ。

 

「光線級ZETA、攻撃数から約10体前後! 行くぜ!」

 

ある程度近付いた所でビーム発射元にビームライフルを撃ちこむ。

ビームが重光線級ZETAを貫き、爆発するのが見えた。

攻撃は問題なく通じる様だ。

すると、再びビームが放たれる。

 

「っと……! 通常の光線級よりインターバルが短いな………! おおよそ5秒と言った所か?」

 

そう言いながらビームを躱し切ったタイミングでビームライフルを放ち、ZETAを排除する。

それを何度か繰り返し、ビームが放たれなくなったことを確認すると、

 

「…………一応あのデカブツの威力偵察もやっておくか!」

 

俺は母艦級ZETAに向かってビームライフルを放った。

的はデカい為、外しようが無い。

そのまま赤い閃光は母艦級ZETAの表面に着弾するが、

 

「装甲がちょっと削れただけかよ………」

 

あまり効果があるとは思っていなかったが、奴の防御力は想像以上だった。

要塞級ZETAでも同じ場所にビームライフルを2発当てれば貫けるからな。

母艦級ZETAの装甲がどの位の厚みかは分からないが、普通のビームライフルでは100発撃っても倒せる気がしない。

その時、地上から要撃級ZETAがビームを放ってくる。

光線級ZETA程の威力と射程は無いが、要撃級ZETAにも射撃能力はあったんだったな。

俺は一先ずその場を離れることにした。

 

 

 

皆の元へ戻ると、皆は1人も掛けることなく奮戦していた。

だが、

 

「ッ! このZETAの動きは………!」

 

一度防衛戦を突破していたZETAが反転し、後方から迫ってきていた。

 

「ッ! こちらアルゴス1!」

 

俺は即座に通信を繋げる。

 

『アルゴス1! 無事だったか! 光線級は!?』

 

唯依が安堵の表情を見せて応える。

 

「ああ! 光線級は片付けた! だが、防衛戦を突破したBETA共が反転して来ている! このままじゃ囲まれるぞ!」

 

『何っ!?』

 

唯依はレーダーを確認すると、後方からZETAが迫ってきているのを確認した。

 

『ッ!? 各機! この場を放棄し2㎞後退! 新たに防衛線を構築する!』

 

『『『『『『『『了解!』』』』』』』』

 

レッドシフト発動までの最終防衛ラインまで残り10㎞程になってしまうが、囲まれて袋叩きにされるよりかはマシだろう。

皆が飛び立とうとした時、

 

「ッ!?」

 

俺は咄嗟に回避行動を取った。

その直後にビームが通過する。

 

「ビーム攻撃!? 馬鹿な! 光線級ZETAは全て片付けたはず!」

 

俺が思わず叫ぶと、

 

『おい! 見ろ!』

 

タリサが驚愕の声で叫んだ。

タリサの示す方向を見ると、要塞級ZETAの一部から機械のパーツのようなものが零れ出し、地面に落ちると光線級ZETAが組み上がった。

 

『機械要塞級にも、普通の要塞級と同じように小型を搭載する能力があったの!?』

 

崔中尉が驚愕の声を漏らす。

 

『確認できる機械要塞級は8。最大48体の光線級が出てくることになるわ!』

 

ブレーメルが切羽詰まった声で報告する。

 

『ッ………!』

 

唯依が悔しそうに歯を食いしばる。

 

『後方より機械級BETA多数接近!』

 

クリスカが珍しく焦りを感じさせる声で報告する。

 

『囲まれた!?』

 

ヴァレリオも焦りを感じさせる声で叫んだ。

 

『このままじゃ………!』

 

全滅…………!

その単語が全員の脳裏を過る。

 

「くぅっ………!」

 

俺は光線級ZETAのビーム攻撃を避け続けているが、その数と距離、正確性に反撃に転じる暇がない。

空中での機動が制限された皆は、徐々にZETAに囲まれ、その範囲は狭くなってきている。

 

「ッ…………………!」

 

このままでは………皆が……………

 

「……………………………」

 

そして…………………俺は決心した。

 

「………タリサ」

 

『ん?』

 

「ヴァレリオ」

 

『あ?』

 

「ブレーメル?」

 

『え?』

 

「俺を仲間にしてくれて………ありがとう」

 

『はあ?』

 

『いきなり何言ってんだよ? お前………』

 

『まるで別れの挨拶みたいね?』

 

皆の言葉には答えず、次の人物に視線を移す。

 

「レオン………」

 

『あ? 何だよ? 無駄話なら後にしろ!』

 

「…………最初に会った時、握手を跳ね除けちまって………悪かった…………」

 

『っ!? いきなり何言ってんだテメェは!?』

 

「シャロン………」

 

『何?』

 

「お前とは済し崩し的に別れちまったが…………あの時の事は………いい思い出だった」

 

『ユウヤ……………』

 

俺は更に視線を移動させる。

 

「崔中尉………」

 

『あら? 私にも何か言いたいことがあるの?』

 

「俺をいい男なんて言ってくれて、ありがとな。アンタも恋愛感情とかは抜きにして、いい女だと思うぜ」

 

『それは、脈アリって受け取って良いのかしら!?』

 

「そこはご自由に」

 

俺は笑って流す。

 

「クリスカ、イーニァ………」

 

『ブリッジス………?』

 

『ユウヤ………?』

 

「何だかんだで、お前らとはユーコン基地に来た時からの付き合いだよな。なんつーか………お前らと居ると安心できたよ」

 

『ッ………!』

 

『私もユウヤと居ると楽しかったよ?』

 

「ッ………ありがとう」

 

そして、

 

「唯依………」

 

最後の人物に視線を移す。

 

「お前に会えて、俺は自分を知ることが出来た。本当に感謝してる…………」

 

『あ…………』

 

「本当にありがとうな………唯依」

 

俺は唯依に笑いかけた。

 

『に…………兄様!』

 

唯依は我慢できなかったのか、人前で俺を兄と呼んだ。

 

「不謹慎かもしれないが、この基地の生活は楽しかった………! 俺、この基地に来て良かった………! お前達に会えて………良かった………!」

 

『ユウヤ………』

 

『ユウヤ………』

 

『ユウヤ………』

 

『ユウヤ………』

 

『ユウヤ………』

 

『ユウヤ………』

 

『ユウヤ・ブリッジス………』

 

『ユウヤ………』

 

『兄様………』

 

皆が俺の名を呼ぶ。

 

「……………だから…………誰も死なせねぇ!!」

 

俺は顔を上げると、あるシステムを開放する。

それは…………………

 

「トランザム!!!」

 

疑似GNドライブの切り札。

擬似太陽炉を無理矢理暴走させて出力を3倍近くまで引き上げるシステムだ。

ニールから聞いた話では、本来のトランザムは機体内の粒子を完全解放する事で平常スペックの3倍相当の出力を得られるようになるらしいが、今は関係の無い話だ。

それに伴い、放出されるGN粒子が不知火弐型の装甲を赤く染め上げる。

 

『不知火弐型が………赤く………!?』

 

次の瞬間、光線級ZETAのビームが放たれると同時に俺は動いた。

その速度は今までの比ではなく、GN粒子の影響で残像を発生させる程だ。

上がった出力を遺憾なく発揮し、ビームが途切れた瞬間に一気に接近すると、光線級を6体一気に狙い撃ち、更に間近に居た要塞級ZETAをビームサーベルで切り裂く。

 

『な、なんだぁっ!? 今の動きは!?』

 

『は、速過ぎる……!?』

 

驚愕の声が聞こえるが、説明している暇は無い。

再びビームが放たれるが、既に俺はそこには居ない。

次の光線級ZETAの一団に接近し、一掃する。

序とばかりに要塞級ZETAを切り裂くと、再び上昇。

空中から射程内に居た光線級ZETAを片っ端から撃ち抜いてゆく。

そして、

 

『嘘だろ………? たった1分で48体の機械光線級を全滅させた………?』

 

レオンが震える声で呟いた。

俺はそのまま戻ってくると、

 

「アルゴス1より各機! これより2分以内に指定ポイントまで辿り着け! 道は俺が切り拓く!!」

 

俺はそう言うと退路を確保するために進行方向に居るZETA群を攻撃する。

 

『おいユウヤ!?』

 

タリサが呼びかけてくるが、

 

「急げ! 時間が無い………! 信じてくれ………!」

 

俺はそう口にする。

すると、

 

『……………ホワイトファング1より各機、アルゴス1の指示に従い指定ポイントまで移動する!』

 

『けど中尉!』

 

『私は………! 兄様を信じる!』

 

「唯依……!」

 

その言葉に、俺は口元に笑みを浮かべた。

 

『あ~も~! あとでちゃんと説明しろよユウヤ!』

 

タリサが叫びつつ、俺の後について飛び立つ。

他の皆も訝しんでいるようだが後に続いた。

 

 

 

進行方向のZETAを片付けながら指定ポイントに近付いてきたとき、ボンッと言う音と共にGNドライブが煙を吹いて停止する。

 

「ッ……!? ここまでか……!」

 

俺は何とか機体のバランスを取って地面に着地する。

 

『兄様!?』

 

心配そうな声を上げてすぐ横に唯依の武御雷が降り立つ。

 

「大丈夫だ」

 

俺はそう言う。

しかし、GNドライブは焼き切れてしまったため、もう真面には動かないだろう。

 

『ユウヤ、今のは一体………』

 

ヴァレリオが疑問の声を漏らす。

 

「今のは………トランザムシステムだ………」

 

『トラン………?』

 

『………ザム………?』

 

クリスカとイーニァ疑問の声を漏らす。

 

「GNドライブを無理矢理暴走させ、3分間だけ3倍近い出力を得るGNドライブの切り札………だが、見ての通り使った後にはGNドライブが焼き切れ、使い物にならなくなる、正に諸刃の剣と呼べる代物さ」

 

俺は軽くトランザムの説明をする。

 

『そんなシステム聞いたことねえぞ!? 何でそんなこと知ってんだよ!?』

 

タリサが思わず声を上げるが、

 

『その話は後よ! すぐにBETA共が押し寄せてくるわ!』

 

崔中尉が声を上げた。

多少距離は稼げたが、あと2分足らずでここまでZETAが押し寄せるだろう。

だが、

 

「いや、もう大丈夫だ」

 

俺は安心しきった声でそう言った。

 

『『『『『『『『『『え?』』』』』』』』』』

 

全員が怪訝な声を漏らした瞬間、

 

「「おぁああああああああああああああああっ!!」」

 

「きゃぁあああああああああああああああっ!?」

 

何処からともなく悲鳴のような声が聞こえたかと思うと、

 

――ドゴドゴドゴォォォォォォォン!!

 

上空から3つの影が降ってきて盛大に地面に激突。

砂埃を上げながら数百メートル滑って俺達の近くで停止した。

 

『な、何!?』

 

ブレーメルが驚愕の声を上げたが、俺はため息を吐く。

 

「おい、お前ら。大丈夫かよ?」

 

俺が声を掛けると、

 

「いてて………」

 

「この位平気だぜ」

 

「みっともない所をお見せしました……」

 

赤、黄、黒のロボットがそれぞれ立ち上がる。

言わずもがな炎竜、雷龍、闇竜だ。

すると、再び上空から3つの影が飛んでくると、青、緑、ピンクのロボットが奇麗に着地。

俺達を挟んで炎竜達の反対側で止まる。

すると、

 

「お待たせしました。ユウヤ隊員」

 

「GGG機動部隊、ただいま到着です!」

 

「ユウヤ! 久しぶり!」

 

氷竜、風龍、光竜がそれぞれ声を掛けてきた。

 

「ああ。久しぶりだな。すまないがこの場は頼む!」

 

「了解しました! GGG機動部隊! 攻撃開始します!」

 

勇者ロボ達が攻撃を開始し、近付いてくるZETA群を次々と撃破していく。

更に、赤い2機の機体が飛んできて、その内1機がZETAの群れに飛び込んでいき格闘戦でZETAを破壊し、もう1機の赤い機体が後方から援護射撃でZETAを撃ち抜いていく。

 

『彩峰! 突っ込み過ぎよ! 援護する方の身にもなりなさい!』

 

『榊の援護があるから安心して突っ込めるだけ』

 

『こういう時だけ調子の良い事言わないでよ!』

 

『本当の事しか言ってない』

 

通信から聞こえる声は言い合いに近いが、見事な連携でZETAを次々と撃破していく。

すると、紫の機体、量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ改が降り立ち、

 

『切り伏せる…………!』

 

腰の刀に手を掛けると、銀閃が走って周辺のZETAがまとめて一刀両断にされている。

そういや最初は機体カラー青だったんだが、途中で紫に変えたんだったな。

 

『援護砲撃! いっくよ~!』

 

通信からそんなマイペースな声が聞こえた瞬間、大型のミサイルが飛んできてZETA群に着弾。

大爆発を起こして多数のZETAを吹き飛ばした。

更に、

 

『狙い撃ちます!』

 

その爆風で止めを刺し切れなかったZEATに的確にビームが撃ち込まれていく。

後ろを確認すれば、小高い丘の上で2機の機動兵器、ラーズアングリフ・レイブンと量産型アシュセイヴァーがいた。

まあ、距離はかなり離れているが。

 

『嘘………あんな遠くから狙撃できるの!?』

 

ブレーメルが驚愕の声を漏らす。

 

『あ、あれはGGGの戦力………? ですが、何故兄様が?』

 

唯依が思わずこちらを振り向く。

だがその時、この場に大きな影が掛かった。

それは戦術機の3倍以上の大きさを誇る巨大なスーパーロボット、グルンガスト参式。

 

『ユウヤさん!』

 

通信で少年の声で呼び掛けられる。

 

『あなたの機体です!』

 

続けて少女の声で呼びかけられた。

そのグルンガスト参式は、紺色の機動兵器、ヒュッケバインMk-Ⅲを抱えていた。

 

「武! 純夏! 助かるぜ!」

 

グルンガスト参式が俺の不知火弐型の前にヒュッケバインMk-Ⅲを降ろす。

 

『こ、この機体は!?』

 

唯依が驚愕の声を漏らしたが、俺はすぐに不知火弐型のコクピットから出て地上に降りるとヒュッケバインMk-Ⅲへと駆け出していく。

その途中、一度立ち止まって振り返り、不知火弐型を見上げた。

 

「…………今までありがとな……相棒!」

 

不知火弐型に礼を言うと、再び駆け出してヒュッケバインMk-Ⅲの元へ辿り着く。

昇降用のワイヤーを使ってコクピットに辿り着き、乗り込むと、久しぶりのシートへと身を預ける。

 

「久しぶりだな……この感覚………!」

 

俺は慣れた手つきで機体のシステムを立ち上げる。

 

「各種システム、オールグリーン! ヒュッケバインMk-Ⅲ、起動!」

 

俺の言葉と共にヒュッケバインMk-Ⅲのデュアルアイに光が灯り、機体が立ち上がる。

 

『明星作戦の時………助けてくれた…………』

 

唯依が呆然と呟く。

 

「いっくぜぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

 

テスラ・ドライブを起動し、俺はヒュッケバインMk-Ⅲを飛び立たせる。

 

「フォトンライフル! 喰らえっ!!」

 

俺は大型をライフルを取り出し、ZETAに向けて放った。

ビームライフルの威力を超える光弾が放たれ、ZETAを粉砕する。

更に重力波によって特殊な力場を作り、高温のプラズマを力場に閉じ込めて刀身を形成するロシュセイバーを抜くと、

 

「はぁああああああああっ!!」

 

ZETAに突っ込み次々と切り伏せる。

すると、敵が前面から放射状に攻め込んできたので、ロシュセイバーを仕舞うと、今度は左腕に取り付けられている棒状の武装を取り外し、右手で掴んで振り被ると、それが変形し十字型になる。

 

「行け! ファングスラッシャー!!」

 

それを投げ放つと、回転しながらロシュセイバーと同じ非実体刃が形成され、手裏剣とチャクラムが合わさったような武器となって飛翔する。

それがZETAに向かうとそのまま真っ二つに切り裂き、弧を描きながら次のZETAへ。

そのまま向かって来たZETAを全て切り裂くと、手元に戻ってきた刃が消えたファングスラッシャーをキャッチして、元通り左腕に取り付けた。

その時、

 

『一掃する! 後退してくれ!』

 

武が叫ぶとZETAの正面にグルンガスト参式を立たせる。

その言葉通り、俺達は即座にグルンガスト参式の正面から退避すると、

 

『オメガ・ブラスタァァァァァァッ!!!』

 

グルンガスト参式の胸部にエネルギーが集中し、直後に極太ビームとなって放たれた。

それは要撃級ZETAや突撃級ZETAどころか、要塞級ZETAすら呑み込む射幅を持っており、まとめて消し飛ばす。

更に武はエネルギーを放射したまま薙ぎ払うように射角を変え、ZETAの殆どを消し飛ばした。

 

『あ、あれだけの量のBETAが一瞬で………』

 

レオンが唖然とした声を漏らした。

その時、地鳴りと共に母艦級ZETAが動き出した。

 

『デカブツが動き出したぞ!』

 

タリサが叫ぶと、先程ZETAが出てきた口が閉じ、そこが、まるでドリルのように回転を始めた。

すると、その先がこちらを向く。

 

『おいおい………まさかだろ………?』

 

ヴァレリオが引き攣った声を漏らす。

母艦級ZETAは回転させた先端をこちらに向けながら突進して来た。

 

『冗談だろ!?』

 

『総員退避!!』

 

『駄目ッ! 間に合わない!』

 

各々が慌てた声を漏らすが、俺を含めてGGGメンバーに狼狽える者は1人も居ない。

何故なら、

 

「ガジェットツール!!」

 

目の前に破壊神が降り立ったのだから。

 

「ヘル! アンドヘブン!! ゲム・ギル・ガン・ゴー・グフォ………はぁああああああああああっ!!!」

 

両手にエネルギーを集中させながら両手を重ね合わせると、

 

「ウィータァァァァァァァァァッ!!!」

 

背中のスラスターを吹かして突撃。

片や直径180m、全長2㎞弱の高速回転する超巨大削岩機。

そして片や全高34.7mの人型兵器。

常識的に考えれば、後者の方が圧倒的不利。

いや、比べようとも思わないだろう。

しかし、目の前の勇者王にはそんな常識は通用しない。

その2つが激突した瞬間、拮抗する様子など一瞬も見せずに母艦級ZETAの全身に罅が広がった。

そして、

 

「はぁああああああああああああああああああああああああっ!!!」

 

ジェネシックガオガイガーの気合の入った声と共に、先から砕かれていく母艦級ZETA。

そのまま2㎞近くもある頭の先から尾の先までを一瞬で粉微塵にされたのだった。

 

『『『『『『『『『……………………………』』』』』』』』』

 

その様子を、皆は唖然とした様子で見つめるしか出来ないのだった。

 

 

 

 

 

 






はい、マブラヴオルタネイティヴAnother編第19話です。
今回でトータルイクリプス編がほぼ終わりました。
そしてついに出てきたトランザム………と思いきや乗り換えイベントで印象薄れましたかね?
結局出てきたのはZETA化した母艦級でした。
まあ、今のユウヤは大量のZETAでも無いと苦戦しそうになかったので。
この場に居るメンバーはGGGに一時加入します。
サンダーク中尉はフェードアウト。
次回はトータルイクリプスのエピローグ的お話をして、その次からオルタネイティヴ本編へ入っていく予定です。
お楽しみに。

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