転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件 作:友(ユウ)
【Side 武】
俺達が再び207B分隊として訓練を始めて約半月。
まりもちゃんの眼が時折死んでること以外は大きな問題は無いと言っていいだろう。
まあ、まりもちゃんの眼が死んでるのは、俺達が遠慮なく……というか、むしろ張り切って訓練に臨んだため、まりもちゃんの軍人としての矜持を粉々に打ち砕いたに他ならないのだが…………
それはさておき、いよいよ最初の運命のターニングポイントである11月11日が近付いてきた。
その数日前に、俺は夕呼先生に呼び出されたため、地下19階の執務室へと向かう。
俺が部屋へ入ると、
「来たわね白銀」
『前』とは違い、随分と余裕のある表情で夕呼先生は俺を出迎えた。
まあ、既にオルタネイティヴ4の問題点は全てクリアしているようなものだからなぁ………
そう言えば純夏が無事だから00ユニットはどうなるんだろう?
俺が考え付くぐらいだから、夕呼先生が考えてない筈が無いだろうけど………
必要であれば教えてくれるだろうしな。
俺はそう思って本題を切り出すことにした。
「11月11日のBETA上陸の事ですね?」
「ええ。『前』と同じく、今回もBETAを捕獲するつもりよ」
「…………………わかりました」
俺は心の中の異論を飲み込み、返事を返す。
『前』………ジェイさんが現れなかった世界では、この時に捕獲したBETAが原因でまりもちゃんが命を落とした。
だけど、それは落ち込んでいた俺を励ます為に周囲の警戒が疎かになってしまったためだ。
今の俺ならそんな事にはならないと意を決して頷いた。
「………ふ~ん………反対しないんだ?」
そんな俺の心情を察してか、夕呼先生はそう聞いてくる。
「………確かに納得していない部分もあります。ですが、最前線の筈のこの基地の兵士達の意識が甘い事も確かです…………現に、あの事件の後の基地の空気は、それ以前よりも明らかに違いましたから………もしその事件を起こさずにBETAの襲撃を受けていたら、もっと被害が大きく………いいえ、基地が陥落していた可能性が高かったでしょうから………」
「よくわかってるじゃない」
「今回はZETAも居ますからね。前よりも厳しい戦いになるでしょうし」
「ZETAね………出来れば研究素材としていくらかのZETAも捕獲したいところだけど………」
「それはジェイさんから絶対にやめた方がいいと言伝を預かってます。そもそも身体が機械化してますので麻酔が効かないので捕獲自体が難しいですし、仮に捕獲できたとしても、ゾンダーである事には違いありませんから、素粒子Z0の影響で近くの人間がゾンダーになる可能性も無きにしも非ずという事です」
俺がそう言うと、
「そう………とりあえずゾンダーに関してはそっちが専門なんだし、言う通りにしましょうか」
「それが賢明です」
「………話を戻すけど、11月11日のBETA上陸の時には、あんた達207B分隊にも出撃してもらうから」
「出撃ですか………? でも機体が…………」
「あんた達用に吹雪を搬入させたわ。もちろんGNドライブ搭載機のね」
「よく手に入りましたね? GNドライブはまだ数がそこまで無い筈なんですが………」
「結構無理してそこら辺からかき集めさせたわ。あんた達を遊ばせとくなんてもったいないじゃない」
「それはそうですが…………所でまりもちゃんはどうするんですか?」
「まりもは当日だけA-01部隊に復帰させて一緒に出撃させるわ。あんた達は私直属の機密部隊という事で出撃。もちろんまりもや伊隅にも秘密よ」
「そこまでして俺達を出撃させるという事は、何かあるんですか?」
「…………『前』はA-01部隊に数名の戦死者が出たわ………」
「…………了解しました。俺達の役目は捕獲作業を行うA-01部隊の護衛という事で宜しいでしょうか?」
夕呼先生の言葉に、俺はそう言う。
夕呼先生は合理的な考えを持ってはいるけど、決して血も涙も無い訳じゃない。
人の死を望むはずが無いのだ。
「ええ………その通りよ」
「了解しました! A-01部隊護衛の任、承ります!」
俺は敬礼して応えたのだった。
そして11月11日当日。
新潟海岸線近くにA-01部隊の不知火と俺達207B分隊吹雪が待機していた。
俺達とA-01部隊の間で通信は禁止。
CPとのやり取りもピアティフ中尉相手の最小限のみ。
ただし、俺達にはA-01部隊の声は聞こえる様になっている。
『大尉………奴らは本当に来るんでしょうか?』
A-01部隊の1人、風間少尉が疑問の声を零す。
『さあな。だが副指令の言葉だ。我々は信じるしかあるまい』
風間少尉の言葉に、宗像中尉がそう言う。
『そうそう、あたしたちは与えられた任務をこなすだけ』
同じく中尉である速瀬中尉が答える。
『所で伊隅大尉、あいつ等ってもしかして………』
速瀬中尉の機体が俺達の方を向く。
『お察しの通り、以前に私達をコテンパンにしてくれた相手だ。香月副司令の命令で我々の護衛をしてくれるらしい』
『ッ……やっぱり……! あんた達! 一度勝ったからっていい気にならないでよね! すぐに追い抜いてやるんだから!!』
速瀬中尉がそう叫んでくるが、答えるわけにはいかない。
『速瀬、残念だがあちらさんとの通信は許可されていない』
伊隅大尉がそう説明した。
『むぅ~~~~!』
速瀬中尉は不服そうに唸った。
すると、
『あ、あの~………確かにあちらの部隊も気になるのですが………』
そう言ったのは涼宮。
その涼宮はある1機の不知火に目をやる。
その不知火には、
『………もう駄目よ~………私はダメダメなのよ~………訓練兵にコテンパンにされちゃうぐらいダメダメな教官なのよ~~~~~』
通信越しにもズーンと重苦しい雰囲気を感じさせる呟きを繰り返すまりもちゃん。
『ど、どうしちゃったんですか神宮司教官………!?』
ごめんなさい。
それは俺達の所為です。
だが、その瞬間、ドォンと遠くで爆発音が響く。
『ッ………!?』
その音に息を呑む音が聞こえた。
『…………どうやら手ぶらで帰らずに済みそうだ…………全機出撃!!』
A-01部隊の隊長である伊隅 大尉が号令を掛ける。
『『『『『『『『『『『『了解!!』』』』』』』』』』』』
その言葉に、A-01部隊の戦術機、不知火が一斉に起動した。
同時に俺達も動き出す。
『私達の役目はA-01部隊が安全にBETAを捕獲できるように進行してくるBETAを間引く事よ! 白銀、鑑、御剣、彩峰が前に出てBETAを間引いて! 要塞級及びZETAは殲滅していいわ! それ以外を適当に通して! 私、珠瀬、鎧衣はこの場で待機! 狙撃でBETAを捕獲するA-01部隊の直掩に着くわ!』
『『『『『「了解!」』』』』』
委員長の言葉に返事を返す。
迫ってくるBETAの群れに向かって俺達は飛び出す。
すぐにレーザー警告が鳴るが、
「新品の吹雪を壊すなって命令だからな!」
俺は即座にレーザーを回避する。
GNフィールドでも防げるが、その間は反撃できないからな。
そのままビームマシンガンで最前列を掃射。
多くの突撃級を撃破する。
『………GNドライブ搭載機とはいえ、当たり前のようにレーザーを回避してるな………』
鳴海中尉の声が聞こえた。
って、今更なんだが鳴海中尉って、『前』に涼宮から聞いた速瀬中尉と涼宮中尉の想い人なんだよな……………
なんだか親近感を感じる。
『前』は明星作戦で戦死したって言ってたから、ジェイさんが退避を呼び掛けたお陰で助かったんだろう。
『いっくよ~!』
『切り裂く!』
『突っ込む………!』
純夏、冥夜、慧の3人がBETA群に突っ込み、まるで競い合うかの如くBETAを撃破していく。
まあ何匹か後ろに通してるから、ちゃんと役目は分かっているようだが。
『来たぞ! 捕獲準備!』
伊隅大尉が号令を掛け、BETAに麻酔弾を撃ち込んでいく。
動かなくなったBETAを順番にカーゴに入れていく。
『何か拍子抜け………』
築地がぼやく。
『あの部隊がBETAの進行を完全に食い止めているからだ。本来の捕獲任務はこのように容易い事では無いぞ』
『は、はいっ! 失礼しました神宮司教官!』
『今は臨時大尉だ』
『は、はい! 申し訳ありません!』
築地は慌てて次の要撃級を運ぼうと手を伸ばした。
その時、突然要撃級が動き出す。
麻酔が不十分だったのだろう。
『え…………?』
築地は素っ頓狂な声を漏らす。
現実味が無かったのだろう。
そのまま要撃級の前腕が振り上げられ…………
閃光が要撃級を貫き破裂させた。
BETAの血を浴びて真っ赤に染まる築地の不知火。
築地はポカンとしたまま視線を移動させると、その先にビームライフルを構えた、たまの吹雪の姿があった。
『え………あ………?』
築地は何が起こったのか理解できていない。
『ぼさっとするな! あちらさんが居なければ貴様は死んでいたぞ!』
まりもちゃんが叱咤する。
『ッ!? は、はい!』
築地は我に返って返事をする。
やがて予定数のBETAの捕獲を完了すると、
『ヴァルキリー・マムより、ヴァルキリーズ。捕獲したBETAの輸送部隊の安全圏への離脱を確認。撤退を開始せよ』
CP将校の涼宮 遙中尉から撤退の指示が出る。
その直後、
『CPより207小隊へ。ヴァルキリーズを援護しつつ撤退せよ』
ピアティフ中尉からこちらにも撤退の指示が出た。
『20701了解』
委員長が返事をする。
最後まで気を抜かず、A-01部隊を援護しつつ後退する。
こうして、A-01部隊に損害を出すことなく作戦を終了することが出来たのだった。
はい、マブラヴオルタネイティヴAnother編第23話です。
本日も休日出勤で時間無くなったためメチャクチャ端折って無理矢理完成させました。
なので短いです。
まあ、特に無理に変える所でも無かったのでスーパーな207小隊を突っ込んだだけでした。
次も時間飛びます。
何処まで飛ぶかはまあ、お察しで。
休日出勤で疲れたので今日の返信もお休みします。