転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件 作:友(ユウ)
【Side 武】
俺達は今、南の島へバカンスに来ていた。
まあ、バカンスとは隠語であり、実際は総戦技演習なのだが。
で、相も変わらず夕呼先生はビキニで息抜きを満喫している。
まあ、その事を知ってる俺達は特に取り乱したりもせずに命令書を受け取り、演習に臨んだ。
島の森へ入ると、
「さてと、まずは現状の確認ね。命令書に『前』との変更点は無いわ。第一目標は指定ポイントへの脱出。第二目標は追跡部隊の陽動の為の3カ所の拠点の爆破よ」
委員長の言葉に、俺達は頷く。
夕呼先生の事だから、面白半分に命令内容を変更するなんて真似はしなかったようだ。
班分けも、『前』と同じで純夏をどこかに加えればいい。
俺はそう思っていたが、委員長は考える仕草をすると、
「…………皆、『前』と同じ班分けで良いと思っているかもしれないけど、私は万全を期したいと思うわ」
「? どうするのだ榊?」
委員長の言葉に冥夜が聞き返すと、
「
あ~、それはあり得るかも。
俺は委員長の言葉に納得してしまう。
「だから、サバイバルに長けている鎧衣、それから念動力者で周りの機敏に敏い武と鑑をそれぞれの班に振り分けようと思ってるの」
そう言った委員長の班分けは以下の通りだった。
美琴と冥夜。
純夏と慧、たま。
俺と委員長。
「どうかしら?」
委員長が俺達に同意を求めると、
「……………榊」
口を開いたのは慧だった。
「武と2人きりになる為の班分け?」
そんな事を言う慧。
「ええっ!? そうなんですか榊さん!?」
「ズルいよ千鶴さん!」
「私もタケルちゃんと2人きりが良い!」
たまと美琴、純夏まで騒ぎ出す。
「バ、バカな事言わないでよ! そんなんじゃないんだから!」
委員長が顔を真っ赤にさせつつ否定すると、
「まず、鑑はこの演習は初めてよ。だからサポートの為に3人の班に入れるべきだと思ったの。念動力もそこまで万能ってわけじゃないから」
その言葉に皆は頷く。
「二つ目の理由は各個人の身体能力よ。鎧衣はこの7人の中では低い方だし、武と鑑を抜いた中で身体能力が高い御剣と彩峰が候補に挙がったから、鎧衣との相性的に御剣が良いって判断したわ」
「む、むぅ………確かに………」
冥夜は渋々と納得した様子を見せる。
「そして私達の中で身体能力が低い珠瀬に身体能力が高い彩峰を組ませて身体能力は平均の鑑の班に入れた。それで余った私が武と組むことにしたのよ。間違っても私と彩峰が組むわけにはいかないでしょ? 相性悪いんだし………!」
委員長はつらつらと理由を述べた。
まあ確かに各メンバーの能力のつり合いは取れているか………?
だけど、
「いやいや、委員長と慧の相性は抜群だろ!?」
俺がサムズアップしながらそう言うと、他の皆はウンウンと頷く。
すると、
「「いい訳無い(でしょ)!?」」
委員長と慧が同時に叫んだ。
やっぱり息ピッタリなんだが?
俺が他の4人に目配せすると、4人も同じ気持ちなのか苦笑した。
まあ、それはともかく班分けにはこれ以上の異論は無かったため、そのまま行く事にした。
「あ、美琴!」
別れる前に美琴に声を掛ける。
「何? タケル」
「ヘビには気を付けろよ?」
「ヘビ…………? あ~、そう言えばタケルって『前』にヘビに噛まれて…………ッ!?」
美琴がそう言いかけたところでボッと美琴の顔が赤く染まった。
……………あの事を思い出したのかな………
いかん、俺も恥ずかしくなってきた。
「そ、それだけだ! 皆! 気を付けて行こう!」
俺は踵を返して歩き出した。
「う、うん!」
だが、他の5人のジーッと見つめる視線が痛かった。
俺は委員長と共に森の中を歩く。
「あ、委員長、多分その辺に何かある」
俺がその場を指差すと、委員長が慎重に近付き、
「単純なブービートラップね。回避可能よ」
すぐにどのような罠かを看破し、対応策を口にする。
「それにしても便利ね、念動力って………」
突然委員長がそんな事を言う。
「いや、敵意を持つ相手ならともかく、罠が対象だとなんとなーく嫌な予感がする程度しか分からないからな? 仕掛けた人間の残留思念………?っていうのか? そう言うのを僅かに感じ取れる程度だ。それにこれは演習だから、仕掛けた人間も敵意なんて殆ど無いだろうし………」
「それでもかなりのアドバンテージよ。少なくとも罠を事前に察知できるのはありがたいわ」
俺もいきなりジェイさんから『お前には念動力の資質がある』なんて急に言われてポカンとしたからなぁ………
分かりやすく言えば、お前は超能力者だって言われた様なもんだし。
純夏もポカンとしてたなぁ………
俺が懐かしがっていると、
「あ、そこにも何かある」
とりあえず嫌な予感がするところは片っ端から指摘していく。
「う~ん………これは解除した方が良さそうね」
委員長は手早く罠を解除。
アクセルさんの訓練には、基本的な罠解除や爆弾解体なんかも繰り返しやらされてるから、もはやこの程度の罠の解除は朝飯前だ。
そのまま順調に進んだ俺達は、日が暮れる頃には第二目標である拠点周辺へと辿り着いた。
「武のお陰でスムーズに来れたわね。『前』はここに来たのは2日目の日中よ」
「役に立てたなら何よりだ」
俺がそう言うと、
「拠点の爆破はセオリー通り夜明け前に行う事にして、武は野営の準備をしておいて。私は周囲の探索をしてくるわ。前と同じならラベリングロープがあるはずだし」
「わかった」
委員長が探索に出て、俺が焚火を起こして野営の準備をする。
暫くすると、ラベリングロープを持った委員長が戻ってきた。
「今戻ったわ」
「お疲れ」
そう声を掛けてレーションで食事を済ませる。
食後の休憩時間の時、
「…………………よいしょっと」
委員長が俺の横に腰掛けた。
「ん? 委員長?」
すると、俺にもたれ掛かってきて頭を肩に乗せる。
「どうしたんだよ? いきなり?」
「偶にはいいでしょ?」
「ま、まあいいけど………」
今更な話だが、俺は6人全員と関係を持ってしまっている。
俺が皆と、皆(純夏以外)が俺と結ばれた記憶を持っていた事も大きいが、決定的だったのは、ジェイさん達の存在だろう。
ジェイさんを始めとして、シンさんやアルトさん、ハヤテさんも複数の女性と恋人関係になっている。
ぶっちゃけアクセルさんも怪しいと思っていたり………
本人に言えばぶっ殺される事間違いないので言わないが。
それはともかく、複数の女性と恋仲になる事に嫌忌感の無いGGGに居たことで、俺達の論理感も狂ってしまったようで、ルネさんの後押しもあって全員と関係を持ってしまった。
委員長は普段は気張っているが、2人きりになるとこうやって甘えたりしてくるようになっている。
「流石にこれ以上はダメだぞ………?」
「分かってるわよ。私はそこまで節操無しじゃないわ」
一応釘を刺すが、委員長はそう言う。
「だけど、今だけは甘えさせて………」
「……………ああ」
こうして委員長とのほんのり甘い夜は過ぎて行った。
翌日。
ドオォォォォンと爆発音が響く。
仕掛けておいた時限式の手作り爆弾が爆発したのだ。
「よし! 第二目標の爆破を確認!」
爆炎を遠巻きに眺めながら俺はそう口にする。
「なら、早く合流ポイントへ急ぎましょ」
委員長はそう言ってさっさと先へ行ってしまう。
昨日の甘えてきた様子は見る影もない。
まあ、これが委員長なんだが。
昨日と同じく俺が罠を発見し、委員長が解除する役割を全うし、合流ポイントへ急ぐ。
太陽の位置から見て、丁度正午前後になる頃に合流ポイントに到着したが、そこにはまだ誰も居なかった。
「どうやら私達が一番乗りみたいね?」
委員長が何処か得意げに言う。
すると、
「あれ? タケルちゃんたちもういる?」
純夏の声が聞こえた。
茂みをかき分けて純夏、慧、たまが現れる。
「チッ………榊に後れを取るとは………不覚!」
「聞こえているわよ彩峰!」
委員長と彩峰が早々に口喧嘩を開始し、
「あれ? 皆もういるの?」
別方向から美琴と冥夜がやってきた。
「ちぇっ! 今度も一番乗りって思ったのに……」
美琴は少し残念そうにそう言うが、
「いやいや、念動力者が居ない状態でこんなに早く付けるだけでスゲーって!」
「そうだよ! 私達もついさっき着いたばかりだし」
俺と純夏はそう言う。
「そうかなぁ?」
「「そうだよ!」」
俺と純夏は声を揃えてそう言った。
こいつ、自分がどれだけ凄いことしてるか自覚ねーな。
「さてと、ここからは小隊での行動になるわ! 一度クリアしてるからって油断せずに行くわよ!」
「「「「「「了解!」」」」」」
委員長の言葉に俺達は返事を返す。
もちろん互いの持ち物の確認も忘れない。
俺達が回収したラベリングロープの他には、アンチマテリアルライフルと弾が一発。
それとシートだ。
暫く進んでいくと、進行を遮る様に谷があった。
以前までは慧に谷を渡ってもらい、ラベリングロープを張って渡っていたが…………
「……………これなら全員渡れるわね」
委員長はそう判断する。
今の俺達の身体能力は以前とは比べ物にならない。
身体能力が低いたまですら、以前の慧を軽く凌駕しているだろう。
それを踏まえての判断だった。
まあ、訓練でも崖昇り何度かやらされたしなぁ………
俺は遠い目をする。
そうこう思っている内に谷を渡り終えていた。
全然楽勝だ。
そのまましばらく進んでいくと、海岸線のヘリポートに出る。
命令書では、ここが回収ポイントになっているが、誰にも喜びは無い。
ここは本当の回収ポイントでは無いと知っているからだ。
発煙筒を焚いてヘリが来たところで砲撃されるんだよなぁ………
一度目はマジで死ぬかと思った。
まあ、今回も俺が砲撃されるしか無いか。
周囲を捜索し、発煙筒を発見する。
俺は発煙筒を手に持ってヘリポートに向かうと、
「………気を付けて」
慧にすれ違いざまにそう言われる。
「ああ」
俺は頷いてヘリポートに立つと、発煙筒を焚いた。
ヘリのローター音が聞こえ、ヘリが降下して来た。
その時、別方向からプレッシャーを感じる。
「ッ……! 来たか!」
瞬間的に俺は発煙筒を投げ捨て、駆け出す。
直後に少し離れた地面が破砕音と共に砕ける。
「タケル! こっちだ!」
冥夜が退避方向を示す。
1度目は超ギリギリ。
2度目も結構ギリギリだったが、今回はある程度余裕で岩陰に隠れることが出来た。
「とは言っても、心臓に悪い………」
俺は息を整える。
いくら鍛えたとはいえ、生身で砲弾喰らえば肉片間違いなしだ。
緊張感は勿論あった。
その時、通信機に通信が入った。
「はい、こちら207B分隊」
千鶴が答えると、
『あ~みんな生きてる?』
夕呼先生の声がした。
「隊に損害はありません」
『そう、よかった。それはそうと、ちょっと予定が狂っちゃったわ。撃たれたからもう分かってると思うけど、そこから北東方向に見える半島の砲台が、何故だか稼動しちゃってるのよね~』
「そうですか…………では、我々の今後の行動は如何いたしますか?」
『新しい脱出ポイントを設定するわ』
「了解。場所はどこに?」
『新たな脱出ポイントは、攻撃をしている砲台の真後ろね』
「了解しました。後はこちらで何とかします」
『そう、がんばってね~』
そう言って通信が切れた。
「と言うわけで新しい脱出ポイントへ向かうわ。行くわよ!」
委員長は全く気負った様子を見せずに行動を開始した。
砲撃に気を付けながら進んでいく。
「………そろそろだったな」
「はい、もうすぐ砲台のセンサーのレドームが見えてくるはずです」
たまがそう言う。
海岸線を注視していると、
「………ありました!」
たまがレドームを発見した。
「よし。珠瀬、狙撃準備」
「はい!」
委員長の言葉にたまは自信を持って返事を返す。
手慣れた様子でアンチマテリアルライフルを設置すると、伏射の体勢を取り、
「狙い撃ちます!」
その言葉と共に引き金が引かれ、発砲音が響く。
その言葉はニールさんの口癖であり、その人に師事しているたまもいつの間にか口癖になってたんだよな。
「命中確認!」
「流石……!」
俺は思わずそう漏らす。
いつ見てもたまの狙撃は凄いと思う。
「よくやったぞたま!」
俺は思わずたまの頭を撫でる。
「えへへ……!」
たまは嬉しそうに目を細めた。
「さ、これで砲撃される可能性が減ったわ。今まで以上に急ぐわよ!」
「「「「「「了解!」」」」」」
俺達の足取りは軽くなり、更に進軍速度を上げた。
その後、一晩野営をした翌日、回収ポイントへ到達した。
そこには、まりもちゃんが回収ヘリと共に待ち構えていた。
「状況終了! 207B分隊集合! 只今を以て総合戦闘技術評価演習を終了する! ご苦労だった!」
最初は凛としていたまりもちゃんだったが、
「…………おめでとう。貴様らはこの評価演習をパスした!」
そう言うとゲンナリとした表情に変わって行き、
「本来であれば、ここで問題点などを指摘し、気を引き締めるのが通例なのだが………貴様らの行動内容には文句の付け所が無い………! それどころか演習クリア時間は最短記録をぶっちぎりで更新した…………」
まりもちゃんは頭が痛くなってきたのか、手を当てる。
「まあ、貴様ら規格外は今に始まった事では無い…………」
すると、優しい笑みを浮かべ、
「おめでとう………これで戦術機だ」
「「「「「「「はい!」」」」」」」
こうして、俺達の総戦技演習は無事終了した。
そして、
「ひゃっほーい!」
俺は海に飛び込んだ。
演習終了後にある自由時間で海水浴を満喫している。
前回、前々回と余裕が無くて水着の用意をしていなかったから遊べなかったが、3度目の正直の今回―――実際には3度目所では無いが―――はちゃんと水着を用意してきて、以前遊べなかった分を取り戻すかの如くはしゃいだのだった。
はい、マブラヴオルタネイティヴAnother編第24話でした。
今回は総戦技演習でした。
まあ、多少は変えてみました。
念動力がまるでニュータイプになってますが気にしない様に。
スーパーな207B分隊は演習でも容赦無し。
まりもちゃんの頭痛は続く。
次回から戦術機という事はとうとう彼女が………
お楽しみに。
P.S:なんか今日はやたらと疲れているので返信もお休みします。