転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件   作:友(ユウ)

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PHASE―06 ディオキアでの一幕

 

 

 

ガルナハンでのローエングリンゲートの突破作戦の後、黒海沿岸にあるディオキアというザフト軍の基地がある街に立ち寄るミネルバ。

俺達も上陸許可を貰えたわけだが、そこではなんとラクス・クラインのライブが行われていた。

まあ、正確には替え玉のミーアなんだが…………

それはともかく、

 

「わぁぁぁっ………!」

 

ハルがキラキラした表情でライブを眺めていた。

 

「凄い……! 楽しくなってくる歌だね、ジェイ!」

 

俺は、一瞬何を大げさな、と思ったが、すぐに思い直した。

 

「そう言えば……ハルはこういうイベントは初めてか」

 

ハルは、あのBETA蔓延る世界の出身者だ。

アイドルのライブイベントは元より、娯楽なんか殆ど無い世界だ。

 

「うん。歌って言えば、軍歌とか戦意高揚の為の歌がほとんどだからさ。こういう楽しむためだけの歌は初めてだよ……!」

 

そう言いながらもミーアの歌に聞き入っているようだ。

まあ、替え玉で名前を借りていると言っても、人気を落とさない彼女の歌唱力は本物だろう。

ラクス・クラインの偽物という点に目を瞑れば、これはこれで悪くない歌だしな。

俺達は、しばらく他のザフト兵と一緒にミーアの歌を楽しむことにした。

 

 

 

 

 

その後、何故か俺達はアスラン、シン、ルナマリアと一緒に車でとあるホテルに移動していた。

理由は、デュランダル議長がこの街に来ており、俺達にも会いたいそうだ。

断る理由は無いので受けたわけだが、会場には既にデュランダル議長とグラディス艦長、そしてレイが居た。

デュランダル議長はアスラン、ルナマリア、シンと挨拶を交わし、俺の前に来る。

 

「久しぶりだね、ジェイ殿。君の活躍も聞いているよ。ミネルバが随分と助けられたそうじゃないか。感謝しているよ」

 

デュランダル議長は握手を求めてくる。

一先ずその握手には答え、

 

「礼を言われることじゃありません。ゾンダーは俺達の敵なので」

 

俺はそう答える。

すると、他の皆が目を丸くしてこちらを見ていた。

 

「…………何か?」

 

「……いや、随分と穏やかな口調だと思ってね………以前の君は、もっと厳しい口調だったはずだ」

 

すると、

 

「ああ。こっちがジェイの素だよ。戦闘モードになると口調が厳しくなるだけで」

 

ハルがそう言う。

 

「……………そんなに違うか?」

 

特に意識をしているわけではない俺はハルに聞くと、

 

「全然違うよ」

 

ハルは笑って答えた。

気を取り直して俺達は席に着くと、デュランダル議長の話が始まった。

ミネルバ隊の功績を称える所から始まり、世界情勢、宇宙の状況、停戦の難航とシンやアスランの戦う事への意見。

そして、人々を戦争へと駆り立てる死の商人『ロゴス』の存在。

デュランダル議長はそこまで話して一区切りすると、俺達の方に向き直った。

 

「待たせてすまなかったね。君達をここに呼んだのは、あのゾンダーという存在について、是非とも話を聞きたかったからだ」

 

「大体の事は、グラディス艦長に話した通りですけど?」

 

「ああ。報告は聞いている。そこでいくつか気になる点もあってね。改めて話を聞きたいと思ったのだよ」

 

「はあ? 何でしょう?」

 

「まず、ゾンダーの目的は一体何なのだろうか?」

 

「ああ………ゾンダーの目的は『機界昇華』ですね」

 

「キカイ………昇華………?」

 

デュランダル議長は怪訝な声を漏らす。

 

「それは一体どういう事かね?」

 

「簡単に言えば、この星全ての生命をゾンダー化することです」

 

「「「「「ッ!?」」」」」

 

俺の言葉に、この場の全員が息を呑む。

 

「………だが、ゾンダーの出現頻度を考えれば、地球上の全ての生物がゾンダーとなるには、途方もない時間がかかるのでは?」

 

デュランダル議長はそう言ってくる。

 

「今は俺達が速攻で倒してますので問題ありませんが、ゾンダーはしばらく放っておくと完全体となり、数千のゾンダー胞子をバラまきます」

 

「ゾンダー胞子………?」

 

「これも生物をゾンダー化させるものです。しかも、素体となった生物のDNAを取り込んでいるため、その惑星の動植物は疎か、無機物までゾンダー化させます。で、そのゾンダーが再び完全体になれば、また数千のゾンダー胞子が撒き散らされます」

 

「ッ………つまり、1体でも完全体になってしまえば後は鼠算式に増えていき、瞬く間に地球は『機界昇華』されてしまうという事か………!」

 

「そうなります」

 

デュランダル議長の言葉に俺は頷く。

 

「なるほど………確かに世界の危機だ。この情報は、地球連合にも流しておこう。どれだけ信用してくれるかは分からんがね」

 

デュランダル議長は一息つくと、

 

「そう言えばもう一つ聞きたいことがあった。ゾンダーの核にされていた人間………そちらのハル殿が『浄解』という力で元の姿に戻した人間なのだが…………報告では、まるで憑き物が落ちたように此方の調査に協力的だという………この理由は分かるかね?」

 

「あ~…………元々ゾンダーは、生命体のストレスを消すために生み出されたシステムです。そのシステムが暴走して『機界昇華』が宇宙の平穏を守る唯一の方法なんて計算結果を出してゾンダー化させてるわけですが…………そのゾンダーのエネルギー源は、素体となった生物の持つストレスを始めとしたマイナス因子です。ゾンダーになると、そのマイナス因子が消費されるため、浄解して元に戻ると、ストレスが奇麗さっぱり解消された状態になるわけです。悪人がゾンダー化した後浄解によって元の姿に戻ったら真人間になった。なんて話もあります」

 

「ストレスを……………」

 

デュランダル議長は何かを思案する。

 

「いや、すまない。聞きたいことは以上だ。時間を取らせてすまなかったね」

 

そう言ってこの場は解散となった。

 

 

 

 

 

 

翌日、デュランダル議長と共に居たザフトの赤服のフェイス、ハイネ・ヴェステンフルスがミネルバに合流する事となり、挨拶を交わした。

とりあえず今日は休暇らしく、各々が自由に過ごすこととなった。

俺はハルとその辺りをぶらつくデートに繰り出す。

適当に街を回り、買い食いしながら興味がある所に行ったり来たり。

他愛のないデートだが、ハルはとても楽しんでいるようだ。

その後、海に面する道沿いを散歩していたのだが、

 

「………わかった! 大丈夫だ! 君は死なない!」

 

ふと聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

「俺がちゃんと………俺がちゃんと護るから!!」

 

「………シンの声?」

 

ハルがキョロキョロと辺りを伺う。

しかし、周りには岩場の崖があるだけだ。

そう言えばディオキアって………

俺がもしやと思い、声の聞こえてきた方の崖下を覗く。

するとそこには、海の浅瀬でずぶぬれになりながら、金髪の少女を抱きしめるシンの姿があった。

 

「ありゃりゃ、シンってば結構大胆だね!」

 

ハルは面白そうなものを見たと言わんばかりに様子を伺う。

あの金髪の少女はステラか………

そう言えばここがシンとステラの初めての出会いになるんだな。

アーモリー・ワンで擦れ違った時と、MSで戦ったことを除けば。

泣きじゃくるステラを宥めながら、ステラを岸に上げるシン。

ステラの頭をハンカチで拭いてやりながら、ステラを気遣い、足のケガに気付いてハンカチを巻く。

 

「………でも、どうすりゃいいんだ………? この子は泳げないし………」

 

シン達が居る所は切り立った崖の入り江であり、歩いて上がってこれる場所は無い。

すると、シンは服の下からペンダントに取り付けられている救難信号を発信する機器を取り出す。

 

「後で何言われるかわかんないけど…………」

 

そう言いながらその機器に手を掛ける。

救難信号を発信して助けを呼ぼうという魂胆なのだろう。

だが、救難信号を発信するという事は、救援部隊が編制されることになる。

結構な人員とコストがかかるため、本来はこんなところで使うものではないだろう。

なので、

 

「こんな所で救難信号を発信するのは如何かと思うぞ?」

 

俺はそう声を掛けた。

シンはハッとなって辺りを見渡すと、崖の上から覗いている俺達に気付いた。

 

「ジェイさん! ハルさん!」

 

すると、ハルが浄解モードになってゆっくりと崖下へ降りていく。

シンがハルに駆け寄り、

 

「いつから居たんですか?」

 

そう聞くと、

 

「そうだね~。シンが、その子に『俺がちゃんと護るから』ってカッコよく叫びながら抱きしめてる所からかな?」

 

ハルが楽しそうに笑いながらそう言うと、シンが顔を真っ赤にして、

 

「そこまで見てたんなら早く声かけてくださいよ!」

 

そう叫んだ。

 

「いや~、結構いい雰囲気だったから、邪魔したら悪いと思って」

 

「そんなんじゃないですから!!」

 

ハルの揶揄いにシンは過剰に反応する。

 

「?」

 

因みにステラは何が起こっているのか分からず首を傾げているだけだ。

シンは、一通りハルに揶揄われると、

 

「………はぁ~~~~~。とにかく助かりました。この子泳げないんで如何しようかと思ってたんです。崖の上まで連れてってください」

 

シンは頭を下げる。

 

「うん。それはいいけど、2人ともずぶぬれだしさ。そのままだと風邪ひくんじゃない?」

 

「えっ? いや、俺はコーディネイターだから簡単には風邪なんか………」

 

「シンは良くてもその子は違うんじゃないかな~?」

 

「あっ…………!」

 

「だから先に火を起こして体と服を乾かしときなよ。1時間ぐらいしたら迎えに来るからさ」

 

ハルはそう言うと再び崖の上へ上昇していく。

 

「えっ? あのっ!? ちょっと!?」

 

置いてかれるとは思わず大声を上げるシン。

 

「ちゃんと迎えには来るから、そこは安心してね」

 

「ハルさぁぁぁぁぁん!!」

 

シンの慟哭のような声が響いた。

 

 

 

 

 

因みに約束通り1時間後に迎えに行ってやった。

その時にはシンはステラの名前を知っており、ちゃんと交流はできたようだ。

すると、ステラを探しに来た2人の少年が丁度現れた。

言うまでも無くアウルとスティングだったが。

シンとステラは名残惜しそうにしながらも別れる事となった。

 

 

 

 

 





ガンダム種死編第6話です。
今回は休暇編?
そしてシンとステラの出会いです。
少しだけジェイ達(というかハル)を絡ませてみた。
次回は黒海での戦いです。
お楽しみに。

この小説のヒロインについて

  • ハル1人だけで十分
  • 異世界毎にヒロイン増やしてハーレム戦艦に
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