転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件   作:友(ユウ)

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第27話 幕間②

 

 

【Side 武】

 

 

 

 

珠瀬事務次官が帰った後、俺は夕呼先生の元を訪れていた。

理由は、

 

「先生、何故HSSTの落下を止めなかったんですか?」

 

この事を聞きたかったからだ。

『前』の世界では見ものだとか言ってたけど結局は止めてくれたわけだし、そんな理由で止めないはずが無い。

 

「ああ、それね。XG-70………凄乃皇は覚えてるわよね?」

 

「それは勿論………!」

 

「『前』はHSSTを止めた事で相手のメンツを潰しちゃって、XG-70を出し渋られて結構苦労したのよ。だから今回はあえて止めずにスルーしたの。今の珠瀬なら失敗することは無いと思ってたし…………そのためにGNスナイパーライフルを予め準備してたのよ。まあ、1発で決めちゃったのは予想外だったけど………」

 

そう言いながら軽く笑う夕呼先生。

 

「そう言う事でしたか…………あれ? でも肝心の00ユニットが無ければ凄乃皇は動かせないんじゃ………?」

 

「その辺は考えがあるから楽しみにしときなさい」

 

「はあ………?」

 

夕呼先生は楽しそうに笑うのだった。

 

 

 

 

 

 

【Side まりも】

 

 

 

 

 

今日は市街地演習。

B分隊を2組に分けての模擬戦だ。

B分隊は7人なので1人余ってしまうため、私が入ることで数を合わせる様にしている。

本来であれば、教官である私が入ることは戦力バランスとしては好ましくないが、この子達は別。

むしろ実力的には私が入る方がハンデになってしまうだろう。

組訳は、Aチームが榊、彩峰、白銀、そして私。

Bチームが御剣、珠瀬、鎧衣、鑑。

尚、私の機体はA-01部隊に居た頃に使っていた不知火だ。

吹雪よりは性能はいいが、以前はこれでもコテンパンにやられているため彼らにとってはハンデにもならないだろう。

結果だけ言えば、引き分けに終わった。

総合力で勝るBチームだったが、榊、彩峰の見事な連携が戦いを互角に持ち込んだ。

ここまで見事な連携を見せる癖に、何故普段は仲が悪いのか不思議で仕方がない。

私も白銀のフォローを受けつつ立ち回っていた。

その際にGNドライブの特性についてアドバイスを受けながら動かしていたので、この1戦だけでかなり動きが良くなったと自負できる。

少し前なら何故と疑問に思っていたが、彼らがGGGの一員であるならそれも納得だ。

教え子たちに負けないよう私も強くなる。

そう思った一戦だった。

 

 

 

 

 

 

 

【Side Out】

 

 

 

 

 

【Side 武】

 

 

 

 

 

俺は純夏と共に霞の元を訪れていた。

 

「やっほー霞ちゃん! 遊びに来たよ~!」

 

明るい声で声を掛ける純夏。

 

「いらっしゃい、純夏さん、武さん………」

 

霞は嬉しそうに微笑んでそう言う。

霞も記憶を受け取っているため、『前』よりも感情表現が豊かになり、表情も誰が見ても分かるぐらいになっている。

 

「あのね、霞ちゃん。今日は皆と模擬戦をしたんだよ!」

 

純夏は今日の出来事を話していく。

霞も楽しそうに話を聞いていた。

その時だった。

 

「「「ッ!」」」

 

3人同時に夕呼先生の執務室の方に振り向く。

誰かがやってきたのだ。

敵意は無いが、気配を隠して動いている。

 

「誰だろ? 敵意は無いみたいだけど………」

 

純夏が呟く。

 

「………あの、武さん、純夏さん。何故誰かが来たと分かったんですか?」

 

霞が不思議そうに聞いてきた。

 

「ああ。俺と純夏には、ジェイさん曰く『念動力』っていう力があるみたいなんだ。この世界の俺達だけに身に着いた力なのか、元々そう言う資質があったのかは分からないけど………訓練の中で、それなりに使えるようにはなってるんだ」

 

「そんな力が…………」

 

「だから霞のリーディング能力にも気付けるし、その気になればブロックすることも可能だ。霞にはする必要が無いからしないけどな」

 

「ッ………タケルさん…………」

 

「そんな事よりもタケルちゃん! 夕呼先生の部屋に誰が来たか調べないと!」

 

純夏がそう言ったが、

 

「いや、多分誰が来たのかは分かってる」

 

「えっ?」

 

このフロアまで来れる人物は、俺の知る中では限られる。

そして、その中で得体のしれない人物と言えば………

俺はそう思いながら執務室の扉を潜る。

部屋の中は電気がついておらず暗かったが、

 

「そこに居るのは分かってますよ?」

 

部屋の一角を向いてそう声を掛けた。

 

「おやおや、まさか気付かれるとは………」

 

そう言って影から歩み出てきたのはスーツに帽子を被った姿の1人の男性。

 

「だ、誰ッ!?」

 

純夏が問いかけると、

 

「驚かせてすまなかったね。私は微妙に怪しい者だ。初めまして、シロガネ タケル君。カガミ スミカ君?」

 

「な、何で私達の名前………!?」

 

純夏が驚いていたが、

 

「お互い様ですよ。帝国情報省、鎧衣課長?」

 

俺がそう言うと、一瞬眉間がピクリと動いたが、

 

「香月博士に聞いたのかね?」

 

「そんな所です」

 

俺は隙を見せない様にそう答える。

この人の隠密スキルは油断できないからな。

いきなり顔を抓られたくはない。

すると、

 

「え、え? タケルちゃん、今、鎧衣って………」

 

純夏が困惑したようにそう聞いてくる。

 

「ああ。純夏が考えてる通り、美琴の親父さんだ」

 

「えぇ~~~~っ!? 鎧衣さんのお父さん!?」

 

俺の言葉に純夏は盛大に驚く。

 

「そうそう………息子がいつも世話になっているね」

 

「えっ? 息子っ!? 鎧衣さん女の子だよね!?」

 

「ん? ああ、失敬………娘のような息子………いや違うな。息子のような娘――だ、うん。私は屈強な息子が欲しかったのでね。つい………」

 

「このマイペースっぷり………間違いなく鎧衣さんのお父さんだよう………」

 

純夏は『前』の俺のようにゲンナリしながら美琴の親父であることを納得する。

その時、部屋の照明が付けられた。

 

「騒がしいわね? 人の部屋で何やってるわけ?」

 

振り向けば入り口に夕呼先生が立っていた。

 

「先生!」

 

「帝国情報省ってのは礼儀がなって無いわね………入室の許可どころか面会の予約も貰った覚えは無いんだけど………?」

 

「ハハハ、何。彼らに自己紹介をと思いましてね………もっとも、シロガネ タケルの方は私の事を御存じだったようですが………そちらのお嬢さんには改めて自己紹介をしよう。帝国情報省、外務二課の鎧衣だ」

 

「は、はあ………?」

 

純夏は困惑しながら返事を返す。

 

「……で? 今回は一体何しに来たわけ?」

 

「XG-70の件についてご報告をと………」

 

「何? 全機ここに回してもらえるんでしょうね?」

 

「それは抜かりなく。特に出し渋る理由もありませんので」

 

「なら、可能な限り早くしてほしいわね。こっちもあまり時間がある訳じゃないの」

 

「善処させていただきますよ」

 

「話はそれだけ?」

 

「いえ、もう1つ。実はここ最近正規のルートを経ない奇妙な命令が発令されていましてね。11月10日帝国陸軍総司令部宛でね」

 

佐渡島からBETAが南下した時だな。

 

「BETA上陸。彼らの動きを正確に予測し、的確に部隊の増強を指示できたのは何故です?」

 

「さあね……そんなの指示した人に聞いてよ」

 

「………始めは社 霞かと疑ったが………」

 

鎧衣課長はそう言いながら俺達の方を向いた。

 

「3年間行方知れずだった者達が突然姿を現した。それも7人同時に………」

 

「ッ………!」

 

純夏が息を呑む。

このオッサンは何処まで把握してるんだか?

俺達がGGGから来たという確証は無い筈。

予測ぐらいはされてるとは思うが。

 

「仕事熱心なのは結構だけど、少し脇道に逸れ過ぎじゃないかしら?」

 

「おっと、これは失礼………所詮私は飼い犬ですから……飼い主には逆らえません」

 

「大体人に聞く前に自分で調べたら如何? それが仕事でしょう?」

 

「これは耳が痛い………ではご忠告に従って、自力で一調べしていきますかな!」

 

そう言って鎧衣課長は踵を返す。

 

「もしもし、私だけど、鎧衣課長がお帰りよ。エントランスまで送って差し上げなさい」

 

夕呼先生は即座に連絡を取って鎧衣課長に単独行動を許さない。

この人に単独行動させたら何調べられるか分からないからなぁ。

 

「何とも嫌われたものですなぁ」

 

鎧衣課長は最後に俺達の方を向くと、

 

「さらばだシロガネ タケル君、カガミ スミカ君。またの機会に会おう」

 

そう言って鎧衣課長は去って行った。

 

 

 

 

 

 

それからしばらく。

『前』はオルタネイティヴ4の数式の回収の為にてんやわんやしていたが、今回は特に目立ったイベントも無く訓練を行う毎日が過ぎて行った。

そして12月4日の本日、PXでとあるニュースが報道されていた。

それは、天元山の火山活動が活発化し、災害派遣部隊による不法帰還者の救助作戦が行われたというものだった。

今回も夕呼先生は天元山の麓に住む不法帰還者達の救助を俺達には任せず、手を打ったようだ。

おそらくはクーデターを誘発させるためだろう。

犠牲者が出ることは心苦しいが、国内の不穏分子を一掃する為には必要な事でもある。

そして、クーデターもまた大きなターニングポイントでもある。

それを未然に防ぐことは好ましくなかった。

 

「……………………」

 

そのニュースを冥夜は複雑そうな表情で見ていた。

 

「………やっぱり納得できないか?」

 

俺が冥夜に尋ねると、

 

「…………私も『前』の記憶を持つ故、あの時そなたが笑みを浮かべた理由が分からんでもない。そして、この手を打たなければならない事も、頭では理解している…………だが、納得できない部分もあることは確かだ………」

 

冥夜はそこに住む人々の気持ちに何処までも寄り添う奴だ。

命懸けで故郷に戻った人々を強制的に難民キャンプに放り込むことを心苦しく思っているのだろう。

『前』はお互いの意見をぶつけ合って口論になってしまった。

だから今回は………

 

「だったら、俺達でさっさと戦争を終わらせて、皆が安心して故郷に戻れるようにしてやろうぜ?」

 

青臭いセリフだという事は承知している。

けど、俺達はその為に力を付けてきたんだ。

俺の言葉に冥夜は一瞬キョトンとしたが、

 

「……………うむ、その通りだな」

 

すぐに笑みを浮かべて頷いた。

そしてついに12月5日。

クーデターの日を迎える……………

 

 

 

 

 

 

 





はい、マブラヴオルタネイティヴAnother編第27話です。
今回は幕間的お話なので特に盛り上がり無し。
まあ繋ぎ回なので勘弁を。
次はいよいよクーデター勃発です。
お楽しみに。
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