転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件 作:友(ユウ)
【Side 武】
GGGの介入により、米軍とクーデター軍のGNドライブが強制的に停止させられてしまったことにより、戦闘は済し崩し的に終わった。
にしてもシンさん?
状況を引っ掻き回すだけ引っ掻き回してハイさよならはちょっと酷くないですか?
ここから俺達に如何しろと?
俺が如何するべきか悩んでいると、
「武様。ハッチを開いてください」
俺から現状の説明を聞いた悠陽がそう言った。
俺は言われるままにコクピットのハッチを開ける。
すると、悠陽は簡易ハーネスを外してハッチから姿を見せると、先程デスティニーに頭部を破壊され、地面に倒れた沙霧大尉の不知火を見下ろし、
「沙霧大尉。これ以上戦う気が無ければ、戦術機から降りなさい」
そう言い放つと、一拍置いて不知火のコクピットハッチが開き、沙霧大尉が出てきた。
すると、狭霧大尉は不知火の上で膝を着く。
「殿下………このような形でご尊顔を拝謁賜るご無礼をお許しください。私は帝国本土防衛軍帝都防衛第1師団第1戦術機甲連隊所属沙霧 尚哉大尉であります」
「………面を上げるがよい。此度……このような形でそなたと顔を合わさねばならぬ事………真に遺憾です」
言葉のやりとりが始まる。
俺はそれを聞いていて思った。
やはり、悠陽と冥夜は姉妹で繋がっているんだと。
何故なら、殿下の口から出る言葉は、『前』の世界で替え玉として沙霧大尉の前に立った冥夜の言葉とほぼ一緒だったのだから。
「…………殿下。我が同士の処遇………くれぐれも宜しくお願いいたします」
沙霧大尉はそう言うと、頭を垂れた。
それは、沙霧大尉が投降の意を示したことを現していた。
俺はホッと息を吐く。
すると、突然突風が吹き、何かが上空から降下して来た。
「ッ!?」
「何事っ!?」
悠陽や沙霧大尉が驚愕するが、上空から降下して来たのは、
「ッ! 鋼鉄の獅子っ!?」
沙霧大尉が驚愕の声を上げる。
それはギャレオンだった。
ギャレオンがジェット噴射を利用してゆっくりと地面に着地すると、
「終わったみたいだね」
その頭の上に立っていたIDアーマーを装着したルネさんがそう言った。
「何者ですか!?」
悠陽が問いかけると、
「GGG。預かってた人を返しに来た」
ルネさんがそう言うと、ギャレオンが頭を低くし、顎を地面に付けると口を開く。
すると、その中から人影が降りてきた。
それは、
「榊首相!?」
内閣総理大臣で委員長の父親の榊首相だった。
やっぱり助けてくれてたんだな。
「榊首相! ご無事だったのですね!?」
悠陽が思わず声を上げた。
「この老いぼれ1人がおめおめと生き永らえてしまいました。お恥ずかしい限りです」
ギャレオンの口から出てきた榊首相が悠陽に向かって頭を下げる。
「いいえ! 良くぞ生きていてくれました!」
「こちらのGGGのお嬢さんのお陰です」
榊首相はギャレオンの頭の上のルネさんを見上げた。
ルネさんはギャレオンの頭から飛び降り、地面に着地する。
悠陽が俺に振り返ると、
「私を地上に降ろしてください」
そう言われたため、吹雪に膝を着かせ、悠陽と共に地上へ降りた。
すると、悠陽はルネさんに歩み寄り、
「この度は榊首相の命を救っていただいたこと、真に感謝の念に耐えません」
そう言いながら頭を下げた。
「こっちはこっちの都合で助けただけ。お礼を言われる事じゃない」
ルネさんは淡々とそう返す。
「それでも、榊首相を失う事は、この国にとって大きな損失です。お礼は言わせてください」
悠陽が尚もそう言うと、
「そこまで言うなら感謝は受け取る………」
ルネさんは仕方なさげに息を吐いた。
俺は委員長の吹雪の方を向き、
「今の内に会っておくべきじゃないのか?」
そう通信で委員長に呼び掛けた。
すると、委員長の吹雪が歩み寄ってきて目の前で立ち止まると、ハッチが開いて委員長が地上に降りてくる。
その姿を見た榊首相が、
「ッ………千鶴………!?」
驚愕の表情で委員長の名を呼ぶ。
「あ………お父さん…………」
委員長はバツが悪そうな表情で目を逸らしながらそう言うと、
「…………心配かけて………ごめんなさい………!」
勝手に行方を晦ませた事に頭を下げた。
「………………………」
榊首相は無言で委員長に歩み寄ると、その頭に手を置き、
「………………無事で良かった…………」
微笑みながらそう言った。
「ッ…………ううっ………!」
思わず涙を浮かべ、鳴咽を零す委員長。
俺はそれを見て良かったと笑みを浮かべ、
「GGGにお願い申し上げる!」
突然ウォーケン少佐が叫んだ。
「此度のビーム兵器の使用の全責任は私にある! どのような罰でも受け入れる! この命を欲するのなら差し出そう! だからどうか本国へのGNドライブの停止措置を解除していただきたい!」
続けてそう叫ぶ。
その言葉にルネさんは軽くため息を吐き、
「その覚悟はご立派だけど、今回の措置はあなたの部隊だけの問題じゃない」
「何っ………?」
「さっき沙霧大尉が言ってたクーデター軍がビーム兵器を使用したという話。クーデター軍でビーム兵器を使用したのも、斯衛部隊からビーム兵器で反撃したのも、全てアメリカの工作員の仕業。それはこちらでも裏は取れてる」
「なっ………!?」
「それに、おたくの国の上層部は、いずれGGGに反旗を翻すことも考えてる。そんな恩を仇で返すような人達に『力』を持つ資格は無いと判断しただけ」
「そ、そんなバカな…………!」
「それに……………!」
ルネさんが言葉を続けようとした時、タァーンと銃声が響いた。
気付けば、ルネさんは悠陽の頭のすぐ前に拳を突き出している。
「………………え?」
悠陽が思わず素っ頓狂な声を漏らした。
「で、殿下!? 貴様! 何を……!?」
その行動に沙霧大尉が思わず反応する。
しかし、
「こうやってドサクサに紛れて漁夫の利をかすめ取ろうとする輩は、個人的にも気に入らない………!」
そう言いながらルネさんが突き出した拳を開くと、その手から握りつぶされた銃弾が雪の上に落ちた。
まさか今のは、悠陽を狙った狙撃!?
俺がハッとなった瞬間、ルネさんはある1機のラプターへ視線を向ける。
俺もつられてそちらへ視線を向けると、そのラプターのハッチが開いて、そのラプターの衛士が狙撃銃を構えていた。
しかし、その表情は驚愕に彩られている。
まあ、素手で銃弾掴むなんてアニメや漫画の話だし………
次の瞬間、ルネさんの姿がその場から消えると、
「はぁああああああああああああっ!」
気合の入った声と共にいつの間にかその衛士の下へ辿り着いたルネさんが拳を叩きつけていた。
「ぐぎゃっ!?」
強化装備を着ているにも関わらず、一撃で昏倒する工作員らしき衛士。
それからルネさんはウォーケン少佐の方に振り向くと、
「…………ってことだから、残念だけどあなたの懇願は受け入れられない」
そう言葉を突きつけるルネさん。
「ッ………!」
ウォーケン少佐は思わず膝を着いた。
「…………でも、あなたの『覚悟』は尊敬に値する。だから、おそらく本国に帰れば一連の責任を押し付けられて極刑を受けることになると思うけど、そんな事はさせないよう取り計らってあげる」
ルネさんはそう言った。
それがウォーケン少佐への最大限の配慮なんだろう。
尚、後で聞いた話では、やはりと言うべきかGNドライブが使用不能になった全ての責任をウォーケン少佐は負わされそうになったが、GGGからの上層部の話し合いがリークされ、責任は全て上層部の人間に行ったという。
その後は無事横浜基地まで悠陽を送り届け、悠陽は海路で仙台へと戻ることになった。
そして、アメリカのGNドライブが使用不能に陥ったことは、世界中に戦慄を齎した。
条約を破っても、そこまで徹底的にやられるとは思っていなかっただろう各国がGNドライブやビーム兵器についての使用を厳命し、絶対に人類に対して使用しないよう再三と注意を呼び掛けていた。
そして、俺は夕呼先生の下を訪れていた。
「お疲れ様」
夕呼先生が珍しく労いの言葉をかけてくる。
「どうも………」
「それにしてもGGGの連中、とんでもない事を仕出かしてくれたわね………」
夕呼先生が呆れたようにそう漏らす。
「まあ、その位しないとこの世界の人間は自滅するって言ってましたし」
「まっ、その意見については否定しないわ」
俺の言葉に夕呼先生はあっさりと認める発言をする。
「BETAっていう共通の敵がいるのに、内輪揉めを止めないこの世界が異常なのよ」
そう続ける。
「ジェイさんもそう言ってましたね………」
悔しいけど、俺も同意見だ。
「さてと、それじゃあ早速だけど、次はあんた達の任官よ」
「ようやくですか………」
任官となれば、BETAを放ったトライアル。
そしてその次は漸く佐渡島だ。
俺が今度は誰も死なせないと意気込んでいると、
「それにしても、ちょっと困ったことになってるのよ」
夕呼先生が突然そう言い出す。
「どうかしたんですか?」
「私の考えている事に、GNドライブが複数必要なんだけど、御存じの通りアメリカのGNドライブが使えなくなったせいで、必要数が確保できなくなっちゃったのよ。あんた達の機体に乗せる分を確保するのに、結構無理しちゃったから、当てが無いのよね~」
困ったと言いたげに頬杖を突く。
「GNドライブ………いくつ必要なんですか?」
「何とか3つは確保できたから、後7つなのよ」
「7つ…………それなら、今207小隊の吹雪に使ってるGNドライブを使ったらどうですか?」
「それだとあんた達に割り当てる不知火の分が無くなるわよ? GNドライブだけ乗せ換えるつもりだったんだから………」
「それなら心配いりません………佐渡島の戦いには、自分の機体で行くつもりですから…………!」
「ッ! 自分の機体…………GGGの?」
「はい」
「なるほど、それじゃあトライアルが終わった時点であんた達の機体のGNドライブは取り外させてもらうわ」
「はい。そう言えば………今回のトライアルの名目はどうするんですか? 今使われてるOSはGGGから寄与されたもので、TC-OSには及びませんけどXM-3よりかは良いものですし………」
「そんなの良い口実があるじゃない。GNドライブ搭載機の本当の使い方を教えるっていうね…………」
夕呼先生が楽しそうな表情で俺を見た。
「な、何やらせる気なんですか………?」
俺は嫌な予感がしてならなかった。
はい、マブラヴオルタネイティヴAnother編第30話です。
今回も短いですが、家の稲刈りでクタクタだったのでご勘弁を。
とりあえずクーデター終了です。
次回はトライアルの予定。
お楽しみに。
P.S:稲刈りでクタクタなので本日の返信はお休みします。