転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件   作:友(ユウ)

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第31話 トライアル

 

 

 

数日後。

予定通り俺達の任官式が行われ、俺達は晴れて正式な正規兵となった。

そしてその翌日のトライアルの内容を見て俺達は愕然としていた。

それは、

 

「バトルロイヤル~?」

 

複数の部隊の人間を同じ戦場に配置し、全員が敵だという状況を想定しての演習だという。

尚、全てGNドライブ搭載機である。

更に、衛士毎にポイントが割り振られており、その衛士を倒せばそのポイントが自分に入り、その合計値が高い順に順位が決まるという…………

そして、そのポイントの割り振りなのだが、普通の衛士が100や200ポイント。

エース級でも500ポイントだったのだが、当の俺達のポイントは…………『10000』だった。

文字通り桁が違う。

因みに優勝者には特別ボーナスが出るらしい。

どう考えても俺達に攻撃を集中させようという夕呼先生の悪ふざけが透けて見えた。

 

「何考えてんの夕呼先生ぇ~………」

 

俺はがっくりと項垂れる。

 

「これはまた、香月副司令らしいというか………」

 

冥夜も苦笑気味にそう漏らす。

 

「それだけ私達の実力を買ってくれてるっていう事なんでしょうけど………」

 

委員長もやれやれとため息を吐く。

 

「これだけ持ち上げられてあっさりとやられたらカッコ悪いね」

 

慧の言葉に、

 

「だ、大丈夫だよ! きっと……!」

 

純夏がやや緊張気味に気合を入れた。

 

「が、頑張りますっ!」

 

「きっと大丈夫だよ~」

 

同じく緊張気味に気合を入れるたまと楽観的な美琴。

そしてついに、トライアルが始まった。

 

 

 

 

 

 

『な、何だこの動きは!?』

 

『照準が追い付かない!? うわぁっ!?』

 

俺は機体を浮遊させ、地上を滑るような動きで相手に接近。

相手のペイント弾を躱しつつ、相手の死角に回り込んでペイント弾を撃ち込み、撃墜判定を与える。

 

『状況終了! A20706、キルスコア9機。全機撃墜!』

 

やはりと言うべきか俺に集中攻撃を受けた為、やむなく全機返り討ちにした。

因みに一度の戦闘は10機毎に行い、それぞれ勝ち抜いた者が午後の決勝に出場できるという形だ。

他の皆も順調に勝ち進んでいた。

 

「切り捨てる………!」

 

冥夜の剣が全ての敵を切り伏せ、

 

「そこよ!」

 

委員長の高速移動から射撃が瞬く間に撃墜判定を与え、

 

「遅い………!」

 

慧の格闘技能が相手の反撃を許さず、

 

「狙い撃ちます!」

 

たまの狙撃が相手に自分の居場所を悟らせる前に決着し、

 

「それぇ~!」

 

美琴の状況把握能力が見えない位置にいる敵を炙り出し、

 

「そぉれっ!!」

 

懐に飛び込んだ純夏が痛恨の一撃を相手に与える。

それぞれが決勝の午後の部に駒を進めた。

 

 

 

 

 

そして決勝の午後の部。

俺はより一層気を張り詰める。

『前』と同じであれば、この午後のトライアルの最中にBETAが現れるからだ。

そして午後のトライアルが始まり、俺達以外の3機を速攻で退場させ、味方同士の7機で睨み合いに入った時だった。

突如として鳴り響く爆発音と警報。

そして発令されるコード:991。

BETA出現の合図だった。

 

「俺が時間を稼ぐ! 皆は武器を!」

 

俺は反射的に皆に呼び掛けた。

『前』の俺はここで後催眠と興奮剤で感情が暴走してしまい、ペイント弾で相手に向かって行くという愚を犯してしまい、皆にとても心配をかけてしまった。

だけど今回は違う。

自分の『意志』と『覚悟』でこの場に残り、時間を稼ぐ。

 

『『『『『『了解!』』』』』』

 

皆も俺の思いを汲み取って迷わずに返事を返してくれた。

俺はそれを見送ると、

 

「俺が、『前』と同じだと思うなよ!」

 

俺はBETAに立ち向かう。

既に何機かの戦術機はやられていたが、俺は臆さずに立ち向かう。

レーザー警報が鳴り響くが、俺は最低限の回避行動でレーザーを躱す。

そこに突撃級が突っ込んできたが、

 

「当たるかよっ!」

 

俺は地面を蹴って跳躍。

空中に逃れた事で再びレーザー警報が鳴るが、

 

「させるかっ!」

 

俺は即急降下でレーザーを躱すと、地上スレスレを飛行して光線級に近付き、

 

「小型種なら武器が無くてもっ………!」

 

俺は空中から勢いを付けて光線級を踏み潰した。

通常の光線級なら3m程しかないため、戦術機でも踏み潰すことが出来る。

要撃級が迫ってきたため再び跳躍し、即座に急降下で着地。

これを繰り返すことで、光線級や戦車級ぐらいなら倒すことが可能だ。

Eカーボン製の装甲の機体なら、大型種も無理すれば倒すことは可能だろうが、時間稼ぎが目的の今はそこまでする必要は無いだろう。

やがて、

 

『タケルちゃん!』

 

純夏の声と共に赤い閃光がBETAを撃ち抜く。

ハンガーでビーム兵器を手に入れた皆が戻ってきたのだ。

俺はビーム兵器を受け取ると、

 

「よし! 反撃開始だ!」

 

俺達は瞬く間にBETAを全滅させたのだった。

 

 

 

 

 

暫くして、BETA全滅の報が入ったが、俺は油断していなかった。

俺は自動小銃(アサルトライフル)を持って哨戒に出る。

『前』の通りなら兵士級の生き残りが居るはずだからだ。

戦術機が使えれば一番良かったのだが、俺達は警戒部隊から外されてしまったためそれは出来なかった。

因みに皆には黙ってきた。

小型種とはいえ、BETA相手に生身で立ち向かう危険な事に皆を巻き込みたくは無かったからだ。

 

「…………はぁ………はぁ………」

 

自然と緊張で息が荒くなる。

俺は、『前』に自分が居た所へ辿り着くと、辺りを警戒する。

 

「……………ッ! この奇妙なプレッシャーは………!」

 

俺は念動力の能力で異様な『圧』を感じる方向へ足を進める。

BETAには『敵意』などというものは無い為、ハッキリと感じ取ることは出来ないが、集中していればその人間とは違う『圧(プレッシャー)』を感じることは出来た。

 

「ッ………! 見つけた!」

 

旧市街地演習場の建物の崩れた瓦礫の下から兵士級が這い出てくるのを発見した。

俺は一度建物の影に身を隠し、息を整えた。

俺………『白銀 武』にとって兵士級は因縁の強いBETAだ。

『前』の世界でまりもちゃんを殺された事は勿論、多くの並行世界では兵士級によって『白銀 武』は純夏を護ろうとして殺されている。

 

「落ち着け………! まだ奴との距離はある………! 兵士級ならアサルトライフルのフルオートで十分に倒せるはず………!」

 

俺は一度目を瞑って覚悟を決めると、建物の影から飛び出し、

 

「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

 

叫び声を上げながらアサルトライフルをフルオートで連射した。

兵士級もこちらに気付き、向かってくる。

 

「死ねぇえええええええええっ!!」

 

俺は構わずに撃ち続ける。

兵士級の姿を見た事で、ドクンと心臓が高鳴り、恐怖からライフルを持つ手が震えて、照準が乱れる。

 

「くっ! うぉおおおおおおおおおおおおっ!!」

 

俺は歯を食いしばりながら手の震えを無理矢理抑え込もうとする。

その間にも、兵士級は近付いてくる。

残り10m。

9m。

8m。

7m。

6m。

5m。

 

「う、うわぁあああああああああああああっ!!」

 

近付いてくる兵士級に俺は悲鳴に似た叫び声を上げてしまった。

残り4m。

3m……………と、そこで兵士級の動きがぴたりと止まり、その場に崩れ落ちた。

兵士級が前のめりに崩れ落ちた為、丁度その頭が俺のすぐ足元に転がり、偶然にもその首が曲がって俺を凝視した。

 

「ひっ!? うわぁああああああああああああっ!!!」

 

俺は反射的にその頭にアサルトライフルを連射。

弾切れを起こすまで撃ち尽くしてしまった。

ハッと我に返った時、兵士級の頭部は原型を留めてなかった。

 

「はぁっ! はぁっ!」

 

俺は激しく息を吐く。

漸く心が落ち着いてきて、若干自己嫌悪した。

 

「あれだけ覚悟したつもりだったのにあっさりと我を見失うなんて………情けねぇなぁ、俺…………」

 

俺はアサルトライフルを手放しつつその場に大の字に寝っ転がった。

それでも、

 

「これで………まりもちゃんは死なずに済む…………」

 

俺は思わず握り拳を掲げた。

護れた………護れたんだ………!

その事を実感してきて、心に喜びがあふれ始めた。

その時、忙しない足音が聞こえてきて、

 

「今の銃声は何っ!?」

 

建物の影から現れたのはまりもちゃんだった。

 

「あ………まりもちゃん…………」

 

俺は身を起こしてそう呼んでしまった。

 

「ッ………白銀少尉!? 今の銃声は一体………!?」

 

まりもちゃんが駆け寄ってきて、倒れている兵士級に気付いた。

 

「ソ、兵士級!? これは………!?」

 

「あ、その………生き残りを発見したので咄嗟に………」

 

俺は転がっているアサルトライフルを見つめながらそういう。

 

「ッ! 最弱の兵士級とは言え、生身でBETAに挑むなんてなんて無茶を!?」

 

「………すみません…………」

 

まりもちゃんからのお叱りの言葉が今は心地よく聞こえる。

 

「いいですか! このような場合にはまずは状況を報告して………!」

 

俺はまりもちゃんを護れたことに安堵しながら、その視線をまりむちゃに向け…………

その背後から迫る影に気付いた。

 

「ッ!! まりもちゃん!!!」

 

俺は咄嗟にまりもちゃんの腕を掴むと思いきり引っ張った。

 

「きゃっ!?」

 

おれはそのまままりもちゃんを護る様に抱きしめる。

そのお陰で間一髪でその影の魔の手………もう1体の兵士級の腕から

まりもちゃんを救い出すことが出来た。

だが、

 

「畜生………! もう1体居たなんて………!」

 

なんて俺は馬鹿なんだ!

生き残りが1体とは限らないなんて少し考えればわかるはずなのに………!

 

「兵士級!? まだ生き残りが!?」

 

まりもちゃんもその存在に気付いて声を上げた。

俺はまりもちゃんを庇いつつ立ち上がって数歩下がる。

 

「ッ~~~~~~~~!?!?!?」

 

既にアサルトライフルは弾切れ。

それでなくても先程地面に落としてしまったそれは兵士級に踏まれ、拉げている。

もう使い物にならない。

如何する?

如何すれば!?

俺は混乱する頭を回そうとして、

 

「………私が囮になります。白銀少尉はその隙に逃げてください」

 

まりもちゃんがそんな事を言った。

 

「何を!? それなら俺が囮に………!」

 

「なりません!!」

 

俺の言葉にまりもちゃんがピシャリと言い放った。

 

「あなたは日本の………いいえ、人類の希望………! こんな所で死んでいい人間ではありません!」

 

まりもちゃんは一呼吸おいて優しい表情を浮かべると、

 

「あなたなら、きっと世界を救うことが出来る………そんな気がするわ………だから生き残って………お願い………!」

 

まりもちゃんはそう言って兵士級に向き直った。

兵士級はこちらを見据え、今にも襲い掛かってきそうだ。

俺はまりもちゃんの背中を見て、一瞬言われた通りに逃げ出そうかという考えが過る。

だけど、その時、気付いてしまった。

まりもちゃんの握りしめたその手が、震えていた事に…………

 

「ッ!!」

 

その瞬間、俺は頭が沸騰した。

余りの自分の情けなさに。

知っていた筈だ!

まりもちゃんは本来心優しい先生だった!

そんなまりもちゃんが兵士級を目の前にして、恐怖を感じてないはずが無いじゃないか!

いくらこの世界で軍人として生きてきたとしても、まりもちゃんだって本当は普通の女の子なんだ!

それなのに、俺を生かす為に死の恐怖に立ち向かっている。

それに対して、俺は何だ!?

こうやって恐怖に震えているだけなのか!?

世界を救うって言ったのは口だけの出まかせなのか!?

俺は握り拳を作ると、自分の額を殴りつけた。

 

「ッ……!」

 

俺は前を向くと、兵士級に立ち向かおうとしたまりもちゃんの肩を掴んで止めた。

 

「ッ!? 白銀少尉……!?」

 

「下がっていてください。まりもちゃん………!」

 

俺はまりもちゃんを後ろに押し退けながら前に出る。

 

「白銀少尉!? 何を!?」

 

「まりもちゃんは俺の『大切』な人だ!! ここで死なせるわけにはいかない!!」

 

「し、白銀っ!? いきなり何をっ………!?」

 

まりもちゃんの顔が赤くなってる気がしたが、今はどうでもいい。

俺は兵士級を見据える。

その瞬間、再び恐怖が俺を襲う。

だけど!

 

「…………感じている『恐怖』は認めろ…………そしてそれを乗り越えろ…………! それが『勇気』だ!!」

 

俺はそう言い放つ。

俺はGGGの皆に教えてもらった『勇気』で『恐怖』を乗り越える!

すると、俺は兵士級の姿が良く見えるようになった。

知識で知っている兵士級の能力は俊敏で腕力も人の数倍。

噛みつきは強化装備を食い破る程。

 

「だけど…………それがどうした!?」

 

俊敏で腕力は人の数倍?

そんなのアクセルさんだってそうだ!

俺は、訓練で相手をして貰っていたアクセルさんと目の前の兵士級を比べる。

感じる威圧感は比べるべくもない。

俺は相手の様子を観察する。

腕は駄々っ子のように振り回されて獣のように噛みつくだけ。

フェイントどころか相手の隙を突く考えすら持たない単純な動き。

 

「…………………」

 

次の瞬間、兵士級が腕を繰り出してくる。

 

「白銀っ!?」

 

まりもちゃんが叫ぶが、

 

「ッ!」

 

俺はその腕を身体を逸らして躱すと、

 

「おらあっ!」

 

そのまま相手の懐に飛び込んで右アッパーを見舞う。

兵士級の頭が上を向くが、即座に顔を戻して噛みついてきた。

 

「見えてんだよ!」

 

しゃがんで噛みつきを躱すと、差し出されたように低くなった頭に回し蹴りを見舞う。

 

「し、白銀………?」

 

まりもちゃんの唖然とした声を聞こえる。

俺はファイティングポーズを取ると、再び向かって来た兵士級の腕を躱して懐に飛び込み、首に左の肘打ちを見舞うと、そのまま右ストレートを顔面に見舞う。

頭が仰け反って無防備な腹を晒した所で俺は両手を振り被りながら力を溜め、

 

「白虎咬!!」

 

見よう見まねでアクセルさんの技である諸手突きを放った。

すると、思った以上に兵士級が吹き飛び、瓦礫に突っ込んだ。

 

「ソ、兵士級を吹き飛ばした………!?」

 

まりもちゃんが驚愕の声を漏らす。

それでも兵士級には致命的ダメージには至っていないのか瓦礫の中から起き上がる。

でも……………

 

「俺の勝ちだ………!」

 

俺はそう言い放つ。

何故なら、次の瞬間兵士級はバラバラに吹き飛んだ。

警備部隊が漸く状況に気付き、駆け付けたからだ。

 

『おいっ! そこの! 無事か!?』

 

この声………伊隅大尉…………?

その声を聞いた瞬間、安堵感が増し、ズキンズキンと両腕が痛み始めた。

それと共に気が遠くなっていく。

 

「白銀少尉っ…………! 白銀っ…………!」

 

まりもちゃんが駆け寄ってこようとする姿を最後に、俺の意識は闇に落ちた。

 

 

 

 

 

【Side Out】

 

 

 

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

武が倒れ、まりもが駆け寄った場所から少し離れたビルの上に、白いアーマーを装着したジェイが立っていた。

ジェイは武を見下ろし、

 

「よくやったな………武………」

 

そう言い残すとジェイはマフラーを翼に変形させて飛び去った。

 

 

 

 






はい、マブラヴオルタネイティヴAnother編第31話です。
今回はトライアル編とまりもちゃん救出でした。
はい、タケルちゃんを生身で兵士級と勝負させてみた。
タケルちゃんは生身でも原作よりも強くなってますが兵士級を倒し切れるほどではない。
最後の吹っ飛ばしは火事場の馬鹿力です。
それでもやり過ぎ?
でもってまりもちゃんフラグがたった?
次回はA-01との合流です。
お楽しみに。

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