転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件   作:友(ユウ)

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第32話 A-01部隊(イスミヴァルキリーズ)

 

 

 

【Side 武】

 

 

 

 

次に気が付いたとき、俺はベッドの上に寝かされていた。

 

「う………ここは……………?」

 

俺は身を起こそうと腕に力を入れながら上半身を起こそうとして、

 

「あぐっ!?」

 

両腕に激痛が走った。

起こそうとした身体がベッドに倒れる。

 

「何が………?」

 

俺は首だけを動かして両腕を確認すると、両腕がギブスでガチガチに固定されていた。

 

「な、何だこりゃ…………!?」

 

俺は腹筋だけで体を起こし、改めて両腕を確認する。

その時、

 

「あっ! 少尉! 気が付かれたのですね!」

 

何となく見覚えのある衛生兵の女性が部屋に入ってくるなり駆け寄ってきた。

 

「あの……これは………?」

 

俺は両腕のギブスについて尋ねると、

 

「無理をしてはいけません。少尉の両腕の骨には罅が入っているのです」

 

「罅!?」

 

彼女の言葉に俺は驚く。

何でそんな事に………

 

「信じられない事ですが、少尉は兵士級を素手で殴り飛ばしたと聞きました。おそらく命の危機に瀕したことで脳が体のリミッターを外し、身体が耐えきれる限界以上の力を発揮したのだと推測します。所謂火事場の馬鹿力という奴です」

 

その説明に、俺は気を失う前の事を思い出した。

 

「そうだ! まりもちゃん! まりもちゃんは!?」

 

俺はまりもちゃんの事を思い出し、思わず詰め寄ってしまう。

 

「落ち着いてください……! 神宮司軍曹の事であれば心配いりません。少尉をここへ運んだのも軍曹です」

 

彼女にそう言われ、俺は心底安堵した。

 

「そうか………よかった…………」

 

俺はホッと息を吐くと、

 

「それでは少尉はこのままお待ちください。少尉が目を覚ましたら、最優先で報告するよう香月副司令から言われていますので」

 

彼女はそう言って部屋を出て行った。

 

 

 

暫くすると、

 

「生きてる~? 白銀~? 聞いたわよ~! 兵士級を素手で殴り飛ばしたそうじゃない」

 

楽しそうな声でそう言いながら、夕呼先生が入室して来た。

その後ろには霞の姿もある。

 

「夕呼先生………笑い事じゃないですよ…………危うく死ぬところだったんですから」

 

俺はゲンナリしながらそう言うと、霞が前に出てきた。

霞は俯いていて前髪で目が隠れていて表情を伺う事は出来なかったが、

 

「……………心配…………しました………」

 

「…………霞?」

 

霞の言葉に俺は思わず聞き返した。

すると、霞が顔を上げ、

 

「武さんが死んじゃうんじゃないかって………とても怖かったです………!」

 

涙を浮かべたその瞳で俺を見つめてきた。

 

「ッ………!? その………心配させてごめん………だけど、まりもちゃんは死なせたくなかったから………」

 

「それでもっ………! 武さんが死んでしまったら意味がありませんっ………!」

 

霞らしからぬ強い口調でそう言われた。

その瞳からは涙が流れ出している。

 

「うっ…………」

 

その言葉と涙に俺は何も言えない。

 

「はいはい。白銀へのお説教は後でタップリとしてあげなさい。それで? あんた大丈夫なの? 佐渡島攻略まで約2週間。流石に普通の治療は間に合わないわよ」

 

夕呼先生がそう言って来たので、

 

「それは大丈夫です。GGGに戻ればこの位の怪我なら1日も掛からず治せますので」

 

実際訓練の中で骨折した事も1度や2度じゃない。

その度にジェイアークの医療ポッドにはお世話になっていた。

 

「そう。それならいいんだけど…………」

 

それから夕呼先生は含み笑いをすると、

 

「それじゃあ白銀、アンタにはしばらく社を付けるわ」

 

「はい?」

 

夕呼先生の言葉に俺は素っ頓狂な声を漏らした。

 

「両腕がそんなんじゃ、日常生活も儘ならないでしょ? だから社にお世話してもらいなさい」

 

「いやいや! ちょっと待って………!」

 

「任せてください!」

 

俺が口を挟む前に霞が力強く肯定した。

 

「いや、霞、俺なら大丈夫…………」

 

「武さんの『大丈夫』は信用なりません」

 

ピシャリと言い切られる。

 

「これも心配させた罰です」

 

「………………」

 

そう言われると俺には何も言えない。

 

「クスクス。あんた社にも尻に敷かれるんじゃない?」

 

夕呼先生がおかしそうに笑いを零すと、

 

「あ、そうそう。あんたこの後A-01との顔合わせがあるからね」

 

「あ、はい。わかりました」

 

俺はいよいよかと気を引き締める。

 

「まあでも、その前に試練が待ってるけどね」

 

「試練?」

 

俺が言葉を零すと、

 

「タケルちゃん!」

 

「「タケル!」」

 

「「武!」」

 

「たけるさん!」

 

純夏、冥夜、委員長、慧、たま、美琴が雪崩れ込んできた。

その後俺は、皆から無茶した事をしこたま怒られることになった。

 

 

 

 

 

 

 

「A-01部隊へようこそ。貴様たちを歓迎する!」

 

あの後A-01部隊とのこの世界では初の顔合わせとなった。

シミュレーターでは対戦したけど、こうやって向かい合うのは初めてだ。

 

「それではメンバーの紹介に入ろう。私が隊長の伊隅 みちる大尉だ。よろしく頼むぞ」

 

「「「「「「「はっ! 大尉殿!」」」」」」」

 

伊隅大尉の言葉に俺達がそう返すと、

 

「お前達、一つ言っておく。この隊ではかたっ苦しい言動をする必要は無い。副司令から無意味なことをするな、との命令だからな。そう言うのは部隊外の人間がいる時だけにしておけ」

 

「「「「「「「はい、わかりました!」」」」」」」

 

「では、中隊のメンバーを紹介しよう」

 

伊隅大尉の言葉で最初に前に出てきたのは、

 

「A-01部隊副隊長の神宮司 まりも大尉だ。本日付でA-01部隊に復帰する事となった。それに伴い階級も大尉に復帰となった。見知った顔だが、改めてよろしく頼む」

 

まりもちゃんだった。

無事だという事は聞いていたが、こうやって実際に自分の眼で確認すると安心感が違う。

 

「「「「「「「よろしくお願いします!」」」」」」」

 

そう応えると、まりもちゃんの視線が俺の眼と合い、フッと微笑んできた気がした。

そして涼宮 遥中尉、速瀬 水月中尉、宗像 美冴中尉と続き、

 

「鳴海 孝之中尉だ。この部隊で男は俺と慎二だけだったからな。男が入ってきてくれて嬉しいよ。よろしくな」

 

「「「「「「「よろしくお願いします!」」」」」」」

 

鳴海 孝之って………『前』の涼宮から聞いた涼宮中尉と速瀬中尉の想い人………

明星作戦で死んだって言ってたから、今回はGGGの介入によって助かったんだな。

鳴海中尉の親友という平 慎二中尉が続き、風間 祷子少尉、涼宮 茜少尉、築地 多恵少尉、高原 凛少尉、麻倉 真緒少尉と続く。

『前』の世界では戦死していた人間が生きているという事に、俺達のやってきたことは無駄じゃなかったんだという喜びが溢れる。

そして最後に、

 

「柏木 晴子少尉だよ。よろしくね皆!」

 

柏木がそう挨拶をしたが、

 

「「「「「「「…………………………」」」」」」」

 

俺達は黙り込んだ。

 

「…………あ、あれ? どうしたのかな、皆?」

 

柏木が困惑したようにそう問いかけてきて、

 

「「「「「「「いえ、何でも………よろしくお願いします。柏木少尉」」」」」」」

 

俺達はそう返したが、俺達が思っていた事は、

 

((((((若い柏木(さん)、久しぶりに見た))))))

 

(わ~、若いハルさんだ~)

 

等と言う少々失礼な事だった。

尚、その頃、

 

「クシュン! クシュン!」

 

「ん? どうした、ハル?」

 

「ん~? なんだか誰かに失礼な事を言われた気がするよ」

 

等と言うやり取りがジェイアーク内であった事など俺達には知る由もない。

 

 

 

 

その後、親睦を深める為にPXでの食事となったのだが、早速困っていた。

 

「武さん、あ~ん…………」

 

そう言って箸に挟んだサバの煮付けを差し出してくるのは霞。

 

「か、霞っ!? そんなことまでしてくれなくても………!」

 

「武さん、両手使えませんよね?」

 

「うぐっ!?」

 

「はい、あ~ん」

 

「あ、あ~ん…………」

 

俺は半強制的に口を開き、差し出されたサバの煮付けを口に入れた。

 

「ああっ! 霞ちゃんズルい!」

 

純夏が声を上げる。

 

「私は香月博士から武さんのお世話を命じられていますので」

 

「タケルちゃんのお世話なら私だって!」

 

「待て純夏! それは抜け駆けだ!」

 

冥夜まで参戦してくる。

 

「皆ズルいよ! 僕も!」

 

「わ、私もたけるさんのお世話します!」

 

美琴にたままで。

 

「………はしたないわよ! あなた達!」

 

「とか言いつつ、漁夫の利を得ようと虎視眈々と狙っている榊だった………」

 

「彩峰……!?」

 

とまあ、こんな修羅場を起こしていれば、

 

「何だ白銀少尉? ハーレムとはいいご身分だな?」

 

こういう話が大好きな宗像中尉が反応しないわけがない。

 

「え~、あ~、いや、まあ…………」

 

ぶっちゃけ否定できる要素が無い為答えに困る。

 

「まあ、ハーレムと言えば、こちらにも1人居るがな」

 

そう言いながら宗像中尉は鳴海中尉の方へ視線を向けた。

その両横には速瀬中尉と涼宮中尉が陣取っている。

困った様子の鳴海中尉には親近感を感じた。

 

「でもなんか、白銀君を取り合ってる様な感じは無いですよね? 険悪な様子は無いっていうか…………」

 

高原少尉がボソッと呟く。

鋭いな…………

 

「それはまあ、その内一夫多妻制が認められるでしょうし…………」

 

その言葉に答えたのは委員長だった。

 

「どういう事だ?」

 

伊隅大尉がやや食いつくように尋ねる。

 

「いえ、単純な考えですけど、BETAとの戦争でただでさえ男の数が少なくなってるんですよ? いつまでも一夫一妻に拘ってたら人口の減少に歯止めがかからないでしょうし、一夫多妻にしないと結婚できない女性が大多数ですよ?」

 

委員長は当然のようにそう答えた。

 

「な、なるほど………それは盲点だった………ならば、私にも…………」

 

伊隅大尉はブツブツと呟き、

 

「もしそれが事実なら、遥と無理に争う必要は無い訳ね」

 

「私も水月なら大丈夫かなぁ………」

 

速瀬中尉と涼宮中尉は鳴海中尉を挟んで目を合わせながら互いに納得するように頷き、

 

「お、おい………?」

 

鳴海中尉は困惑の極みに居るし……………

でも何だろう? 

そんな鳴海中尉を見ていると、不思議と安心感が………

これがジェイさんが言っていたハーレム仲間が居ると安心できるという奴なのか?

 

「そ、その………白銀………?」

 

そんな俺に声を掛けてきたのはまりもちゃんだった。

 

「まりもちゃ………失礼しました! 神宮司大尉!」

 

俺は思わず愛称で呼ぼうとしてしまい、慌てて言い直す。

だが、まりもちゃんは怒る様子を見せず。

 

「も、もうプライベートでならまりもちゃんでも構わないわよ! そ、それよりも、白銀は年上でも平気?」

 

「へっ!?」

 

まりもちゃんの発言に俺は素っ頓狂な声を漏らす。

 

「なっ、何でも無いわ!」

 

まりもちゃんはすぐにそう言って顔を逸らしてしまった。

でも、見えてる耳が真っ赤なのですがそれは?

その時、

 

「「「「「「「じと~~~~~~~~~~~………!」」」」」」」

 

後ろから7対の冷たい視線が背中に突き刺さって悪寒を感じるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

翌日から、A-01部隊としての訓練が始まった。

とはいえ、俺は両腕が使えないために見学だ。

体力を落とさない様にランニングをするぐらいか。

早くGGGに戻って腕の治療をしたいが、そうなるとどうやってこの短期間で治療したのかも説明しなければならないため、佐渡島奪還作戦まではこのままだ。

尚、最初のシミュレーター訓練で、俺達が横浜基地に来た初日にA-01部隊を圧倒してしまった吹雪の衛士だという事は即行でバレた。

まあ、隠してるつもりも無かったし、まりもちゃんはとっくに気付いてた節があるし。

速瀬中尉には問い詰められたけどな。

何とか躱しておいた。

それよりも驚くべきことは、A-01部隊のGNドライブ搭載機での練度が比べ物にならない位上がっていた事だ。

話を聞くに、俺達の動きを研究し、それを訓練に反映させて鍛えてきたようだ。

まあ、それでも冥夜達が勝ったけどな。

そんなある日のPX。

 

「むき~~~! また勝てなかったぁっ!」

 

速瀬中尉が悔しそうに叫ぶ。

速瀬中尉は慧との一騎討ちで負けたのだ。

それでも慧も無傷とはいかず、小破判定を受けている。

たった2ヶ月足らずでここまで練度を上げるなんて、こちらとしても驚いている。

 

「もしかしたら、お前らだったらGGGと戦っても勝てるんじゃないか?」

 

平中尉がそんな事を言う。

だが、

 

「「「「「「「無理です!」」」」」」」

 

俺達は口をそろえてそう言う。

 

「おおう………!?」

 

俺達の反応に平中尉は引き気味になった。

キングジェイダーやジェネシックガオガイガーは勿論の事、他の勇者ロボやシンさんやアルトさん、キョウスケさん達に勝てるイメージが全くわかない。

ぶっちゃけ俺達の完全上位互換な人達だし。

パイロットにしろ機体にしろ。

白兵戦でもアクセルさんを筆頭にジェイさんにハル、ルネさんも戦闘可能だし、挙句の果てにはランティスさん達は魔法まで使う始末だ。

勝てる要素が全くない。

 

「慎二。冗談もほどほどにしとけ。あんなスゲーロボットを持ってるGGGに勝てるわけ無いだろ?」

 

鳴海中尉がそう言う。

 

「なぁに? またあの明星作戦の時に助けてくれたロボットの話?」

 

速瀬中尉が鳴海中尉に問いかける。

 

「助けてくれたロボットですか?」

 

俺が尋ねると、

 

「ああ。俺と慎二は明星作戦に参加してたんだが、そこで初めて機械級BETAに………それも機械要塞級に遭遇したんだ。当然36mm弾や120mm弾も効果なく、S-11も効果薄だった」

 

そうだったのか…………

ん?

機械要塞級?

何となく覚えが………

 

「仲間が次々とやられて行って俺と慎二ももう駄目だって思った時、そのロボットが現れたんだ………! オレンジ色の………戦術機の3倍以上の大きさの巨大なロボットが………!」

 

鳴海中尉はまるでヒーローの活躍を語る様に興奮気味だ。

にしても、オレンジ色で戦術機の3倍以上の大きさの巨大ロボットって………

 

「「「「「……………………」」」」」

 

元207分隊の皆の視線が俺と純夏に向く。

やっぱりグルンガスト参式の事だよなぁ?

確かに要塞級ZETAから不知火を助けた覚えがあるし…………

 

「そのロボットは巨大なドリルで機械要塞級のどてっぱらに大穴を開けて倒したんだ………! 俺と慎二が生き残ったのは、間違いなくあのロボットのお陰さ……!」

 

ううっ……!

目の前で褒められると恥ずかしくなる。

 

「はぅぅ………」

 

純夏も縮こまって恥ずかしそうにモジモジしていた。

 

 

 

 

 

 

そしてついに、佐渡島攻略作戦の日を迎える。

 

 

 






はい、マブラヴオルタネイティヴAnother編第32話です。
とりあえずタケルちゃんの戦闘後の負傷とA-01部隊との合流です。
この世界の晴子との出会いの若い云々はやっておきたかったネタです。
次回は佐渡島攻略戦です。
ここからGGGも本格参戦してきますのでお楽しみに。

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