転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件   作:友(ユウ)

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第1話 転生

 

 

 

 

「………………ん?」

 

次に気が付いたとき、俺は広い部屋の中で大の字に倒れていた。

 

「ここは………」

 

俺が体を起こしてあたりを見渡すと、前方には前面を一望できる広い窓。

その向こうには青い海が広がっている。

俺がその窓に近づいていくと、その全貌が露になる。

まず目に入ったのが、赤く彩られた二連装の4つの砲門。

その砲門が乗る紺色の台座と、白と赤の装甲。

 

「ジェイアーク…………」

 

それは紛れもないジェイアークそのものだった。

ふと窓に薄く映った自分の姿を見た。

 

「若い………」

 

そこに映った自分の顔は確かに若返っていた。

見た限り20歳ぐらいだろうか?

俺は後ろを振り返る。

教壇の様に高い場所にある指揮壇とその背後にある鳥をイメージさせる金色のエンブレム。

そして、指揮壇の前にある空の玉座。

 

「…………ジェイアークのブリッジ…………」

 

本当に転生したことが若干信じられない。

 

「マジでジェイアークなのか…………………」

 

あの神(?)が言ったことが本当なら、ここはマブラヴオルタネイティヴの世界。

そんな世界に1人放り出されたことに、今になって不安を感じてきた。

 

「ッ…………!」

 

その不安に押しつぶされそうになった時、左手の甲が疼いた。

 

「ん?」

 

俺がそこを確認すると、左手の甲が赤い光を放っていた。

 

「な、なんだ……!?」

 

俺は慌てて凝視すると、そこには『J』の紋様が浮かび上がっている。

 

「これは………エヴォリュダーの証…………」

 

どうやらあの神(?)に要請した通り、俺の身体はエヴォリュダーとなっているようだ。

その時、

 

『…………オマエガ、コノフネノ『J』カ?』

 

合成音声のような声が響いた。

 

「ッ!?」

 

俺は驚いて顔を上げ、あたりを見渡す。

 

「だ、誰だ!?」

 

誰もいないことを確認したが、

 

『モウイチドキク。オマエガコノフネノ『J』カ?』

 

再び合成音声の声が響く。

俺は驚いたが少し考えてその正体が分かった。

 

「もしかして………ジェイアークのメインコンピューターのトモロか!?」

 

俺がそう問うと、

 

『ソノトオリダ。ワタシガコノじぇいあーくめいんこんぴゅーたーノ『トモロEX』ダ。ソウイウオマエハ、『J』デマチガイナイカ?』

 

「…………ああ、そうなるだろう。名前は…………」

 

俺は前世の名を名乗ろうとして、途中でやめた。

今の俺は前世の俺とは違う。

なら、俺が今名乗るべき名は、

 

「…………名前は『ジェイ』。ジェイと呼んでくれ。ああ、カタカナ表記でジェイな?」

 

ソルダートJにあやかってジェイと名乗ることにした。

カタカナ表記なのは、俺はソルダートJではないという事の分別をつけるためだ。

 

『リョウカイシタ。じぇいトヨバセテモラウ』

 

「ああ、それでいい。早速だがトモロ。現在のジェイアークのスペックを教えてくれ」

 

俺はまず、現状を確認するところから始めることにした。

あの神(?)の最後の笑みがどうしても気になるからだ。

すると、

 

『ゲンザイノじぇいあーくハ、せーふてぃーぷろぐらむガカケラレテイル』

 

「セーフティー?」

 

トモロの言葉に俺は嫌な予感がした。

 

『ソレニヨリ、ゲンザイノじぇいあーくノキノウハイチジルシクセイゲンサレテイル』

 

「……………正確には?」

 

俺は改めて聞き返す。

 

『マズ、めがふゅーじょんオヨビジェイクォース、反中間子砲ガシヨウフノウダ』

 

「なっ!?」

 

『サラニ空対空めーざーみさいる、対地れーざー砲のハンスウモシヨウフカトナッテイル』

 

「マジかよ………メーザーミサイルやレーザーまで…………」

 

『ソシテシュツリョクモハンブンニセイゲンサレテイル』

 

「出力まで!?」

 

実質現在のスペックは半分どころかいいとこ3割ぐらいじゃねえか!

俺はこんなことをした神(?)に憤りを感じる。

しかし、今からジタバタした所で仕方ない。

 

「………ところでトモロ。セーフティーを外す方法はあるのか?」

 

トモロは『セーフティープログラム』と言った。

つまり、そのセーフティーさえ外すことができれば、ジェイアークはそのスペックを100%発揮できるという事だ。

 

『ホウホウハアル』

 

「本当か!?」

 

トモロの答えに思わず食いついた。

 

『せーふてぃーヲハズスタメニハ、『あるま』ガヒツヨウダ』

 

「アルマ…………って、『アルマ』か!?」

 

『アルマ』。

それはアニメで言う戒道 幾巳のように、赤の星で生み出された浄解能力やサイキック能力を持つ生体兵器だ。

そういえば、ジェイアークはJ、トモロ、アルマが揃って本来の力が発揮できるという設定もあったような………

神(?)が最後に悪い笑みを浮かべていたのはその設定に気付いたからか!

 

「………アルマが必要なんて、どうしようもねえだろ………」

 

この世界にアルマは存在しない。

その為、どう足掻いてもジェイアークのセーフティーを外すことは不可能だ。

俺がそう思っていると、

 

『ソウトハカギラナイ』

 

トモロがそう言った。

すると、床の一部に穴が開き、そこから人1人が余裕で入れそうな透明なガラスのポッドがせり上がってきた。

 

「これは?」

 

俺がトモロに尋ねると、

 

『コレハニンゲンヲあるまニカイゾウスルタメノ生体ぽっどダ』

 

「改造!?」

 

出てきたキーワードに俺は思わず驚愕する。

 

『コレヲツカエバあるまヲヨウイデキル。タダシ、一度シヨウスレバ二度トシヨウデキナクナリ、あるまトナッタモノヲ、モトノニンゲンニモドスコトモフカノウダ』

 

「ッ…………重いな」

 

俺は思わずそう漏らす。

実質、アルマとなった者には、ずっとジェイアークに乗ってもらわなければならなくなる。

生半可な覚悟では無理だろう。

そして、アルマとする者も、俺達が本気で信頼できる相手でなければダメだ。

そんな奴がこの世界にいるとは思えないが。

 

「…………ふう」

 

俺は一度ため息を吐く。

 

「ひとまず、アルマについては保留だ」

 

『リョウカイシタ』

 

ポッドが再び床の下に消える。

 

「さてと、改めて確認したいんだが、メガフュージョンと反中間子砲、及び空対空メーザーミサイルと対地レーザー砲の半数が使用不可。更に出力も半分と………これで間違いないか?」

 

『ソノトオリダ』

 

「なるほど…………フュージョンによるジェイダーへの変形は?」

 

『カノウダ』

 

「ジェイダーにはなれると…………」

 

俺は落ち着いて考える。

確か、ジェイアークの出力って5千万kw近くあったよな?

それが半分だから、2千5百万kw弱で………

それでジェイダーの方は39万kw位で、半分の約19.5万kw…………

この世界の戦術機の出力は良く知らないが、量産型の中で性能が良いと言われるガンダムシリーズのジェガンは1870kw。

もしジェイアークが通らなかったらこれを選ぼうと思っていたヴィクトリーガンダムの出力は4780kw……………

どう贔屓目に見ても戦術機がヴィクトリーガンダムより高性能とは思えないから………

あれ?

こう考えると、リミッター掛けられてるジェイダーでも全然余裕?

ジェイダーの飛行能力は時速39万㎞でそれも半分としても19.5万km。

音速が時速1225㎞だから現状でもマッハ159は出せるという事になるから空中で停止しなければ光線(レーザー)級も問題ないだろうし…………

 

「…………………もしかしてやりすぎたか?」

 

死にたくない一心でジェイアークを選んだ俺だったが、この世界にとってジェイアークはオーバースペックすぎることに今更ながら気付いた。

先ほどはスペックの3割程度しか発揮できないと嘆いたが、ぶっちゃけ3割程度でも高すぎるぐらいだ。

そういえば、キングジェイダーは普通に衛星クラスの敵も破壊出来ていたしな………

まあ、広範囲殲滅は出来ないだろうが、白兵戦ならジェイダーでも十分だ。

 

『ソレデじぇい。コンゴノコウドウホウシンハドウスル?』

 

「今後か……………トモロ。この世界の情報を集められるか?」

 

『カノウダ。コノセカイノツウシンねっとわーくニあくせすシ、ジョウホウヲシュウシュウスル』

 

「頼む」

 

『…………………………シュウシュウカンリョウ』

 

「早いなおい!」

 

1分も経ってないのに情報の収集が完了したというトモロに俺は思わず声を上げた。

 

『ゲンザイヒツヨウトオモワレルサイテイゲンノジョウホウヲアツメタダケダ。オドロクコトデハナイ』

 

「いや、十分スゲェって………」

 

ジェイアークは直接戦闘だけでなく情報戦もチートだった!?

俺がそう思っていると、

 

『えゔぉりゅだーデアルじぇいナラバ、ドウトウイジョウノはっきんぐハカノウノハズダ』

 

「………そういやエヴォリュダーは気合でハッキング出来るんだったか………」

 

俺は気を取り直す。

 

「それならトモロ。現在位置と今日の日付を教えてくれ」

 

俺がそう言うと、

 

『ゲンザイイチハ、タイヘイヨウニホンキンカイ。ゲンザイノヒヅケハ、セイレキ2001ネン10ガツ22ニチ。ジコクハゴゼン8ジ33プン』

 

「物語が始まった時か…………」

 

『じぇい、オマエノキオクカラ、オオヨソノゲンジョウハハアクシテイル。コノアトハ白銀 武トセッショクスルノカ?』

 

「…………………いや、まずは今の俺が何処まで出来るのかを把握したい」

 

強力な戦艦や機体を貰ったからと言って、何の訓練も無しにぶっつけ本番で戦闘に出るような無謀な真似はしない。

 

「しばらくは訓練に費やす。トモロ、サポートは頼むな?」

 

『リョウカイシタ。ワタシハじぇいヲさぽーとスルタメニココニイル』

 

「ああ、改めてよろしくな。トモロ」

 

こうして、俺の新たな人生が幕を開けたのだった。

 

 




余談:キングジェイダーの出力 2億4436万kw

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