転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件 作:友(ユウ)
横浜基地へ帰還した武達は歓声の中出迎えられた。
人類の最大の攻略目標であるオリジナルハイヴのあ号標的の破壊に成功したことは、瞬く間に世界に知れ渡った。
その桜花作戦を成し遂げたヴァルキリーズは正に英雄であった。
まあ、それはともかく、
「何で龍虎王が居るんだよ?」
俺は思わずぼやいた。
脱出してくる凄乃皇と、冥夜やキョウスケ達の機体と共に現れたのは、グルンガスト参式ではなくスパロボOGの世界にも存在した龍虎王だった。
何でも、武が危機に陥った際に純夏が『前』の純夏と一つになり、無数の並行世界の中から超機人を呼び込んだらしい。
まあ、超機人は太古の昔に作られたものだから、並行世界の中にはその世界線上に存在するマブラヴ世界もあったのだろう。
横浜基地が勝利で沸く中、俺はGGGの仲間達を集めて腕原種から聞いた事を相談していた。
「火星………か」
キョウスケが呟く。
「ああ。腕原種が決着を付けたいなら火星に来いと言っていた。まあ、十中八九罠を張っているのだろうが…………」
俺が懸念を口にすると、
「でも、残ってる原種って腕原種を含めても後2体だけなんですよね? キングジェイダーやガオガイガーが居るんですから罠ごと打ち破れそうな気もするんですけど………」
シンはそう言う。
すると、
「原種を甘く見ちゃダメ。あいつらは狡猾。何か策があると見て間違いない」
ルネが警告するようにそう言った。
「俺も同意見だ。それに火星はBETAの巣窟だ。最低でも火星全てのBETAがZETA化していると推測している。まあZETAだけであれば、そこまで苦労はしないだろうが」
「そんな事は、原種も百も承知だろうしね。それでも居場所を教えたって事は、何らかの勝機があるって事だろうし」
ハルも続く。
「だが、行かないという選択肢は無いんだろう?」
アルトがそう尋ねると、
「ああ。俺達の戦いは原種を倒さなければ終わらないし、ラファーガも助けなければならない」
俺がそう言うと、
「ジェイ………おおきにな」
カルディナが涙ぐんで礼を言った。
「へっ! 罠を張ってるってわかってるなら、罠ごと打ち破ればいいだけの話だろ!」
ハヤテが強気な口調でそう言う。
「ハヤテ………」
「俺もその意見に賛成だ。ゴチャゴチャ考えていても始まらん」
アクセルがそう口にする。
「確かにな…………ならば、罠を破るには奇襲が一番有効だろう。おそらく、原種が居る可能性が一番高い所は火星最大のハイヴであるマーズゼロ」
俺の言葉と共に、ルリが火星のマップをモニターに出し、位置を光点で示す。
場所はエリシウム平原と呼ばれる場所。
「その直上の衛星軌道にフォールドで転移。そのままマクロス・ブレイバーで大気圏に突入し、マーズゼロに直接攻撃を仕掛ける。可能であれば、ジェイクォースで一気に勝負をかけたいところだな」
俺がそう提案すると、
「フォールド? ESミサイルでは無いのですか?」
ミラージュが疑問を口にする。
「ああ。ESウインドウは原種も使える技術だ。同じ技術より、別系統の技術であるフォールドの方が気付かれる可能性は低いだろう。まあ、気休め程度……ではあるがな」
原種の技術力は宇宙終焉寸前まで発達した文明によるものだ。
マクロス世界の技術力も相当なものではあるが、それでもまだ原種達の技術力の方が上だろう。
「なるほど………」
「まあ、策としては単純だが取れる手もそう多くは無いだろう。最終的には個々の能力頼みの力押しという事だ」
俺は自嘲的にそう言う。
「良いじゃないですか! それでこそ俺達って奴ですよ!」
それでもシンは明るい声でそう言ってくる。
「シン……」
「それだけジェイさんは俺達を頼ってくれるって事ですから!」
そう言って笑って見せた。
「………ああ、その通りだ…………皆。次の戦いはこれまでで最も厳しい戦いになるだろう。だから改めてお願いしたい。力を貸してくれ!」
俺がそう言うと、
「「「「「「「「「「ああ/うん/ええ!」」」」」」」」」」
皆は迷わずに頷いてくれた。
「今日はゆっくりと身体を休めて明朝に出発する!」
「「「「「「「「「「了解!」」」」」」」」」」
GGGで決めた事を一応香月博士や武達に報告する事にした。
「GGGは明朝、原種との決戦の為に火星へ赴くことにした。おそらく、力を貸せるのは今回で最後だ」
俺がそう言うと、
「そう。まあ、『前』もそうだったから、そろそろだと思ってたけどね」
香月博士は分かっていたようにそう言うと、
「それで? 機体は回収していくの?」
そう問いかけてきた。
「最初はそう考えていたが……………個人に任せることにした」
「えっ………?」
武が意外そうな顔をする。
「龍虎王は純夏がこの世界に呼び出した物で俺達とはほぼ関係が無い。それと、他の機体に関してもZETAがまだ残っている上に地中には何匹かの母艦級も生き延びているだろう。それに対処するためにも、お前等には力が必要だ」
俺は武達を見回す。
「お前達が不要だというのなら破壊すればいい。動力であるプラズマ・ジェネレーターなんかはこの世界にはオーバーテクノロジーだからな。人類を滅ぼす可能性もある諸刃の剣だ。強引に接収される可能性もゼロではない。それを防ぐために破壊するのも一つの方法だ。まあ、龍虎王に関してはこの世界の文明では解析不能だと思うがな」
俺はそう言うと、
「そう言う訳だ。お前達の機体だ。好きにしろ」
俺が話を終わらせようとした時、
「ジェイさん! 明日の戦い、俺も連れて行ってください!」
武がそう言った。
「武………気持ちは嬉しいが、原種との戦いは俺達の戦い。お前達が無理に戦う必要は無い」
俺は気持ちだけ受け取って、原種との戦いに武を巻き込まない様にそう言う。
「それを言ったらジェイさん達だって、この世界の戦いに関わる必要は無かったのに、俺達を助けてくれたじゃないですか」
武はそう言いながら俺を見る。
「それはこの世界にZETA……次元の歪みによるイレギュラーが発生していたからだ。そのイレギュラーを修正するのが俺達の役目。それに、その気になれば3年前の時点でBETAを駆逐することも出来た………俺は自分の都合で救う命を選んだ偽善者に過ぎない」
「それでもジェイさん達は沢山の人達を救ってくれました!」
「それはただの自己満足だ。全員を救えないなら少しでも犠牲者を減らしたいという、な」
「だったら、俺も自分の自己満足でジェイさん達を手伝いたいです!」
武は強く口調でそう言った。
「武………」
「ジェイさんが自分をどう思っていようと、俺はジェイさんに感謝しています! だから、俺はジェイさんに少しでも恩返しがしたいんです!」
「………………」
「タケルの言う通りだな」
「冥夜………」
「ここまで助けて貰って、目的が達成されたらハイさよならなんて、そこまで恩知らずじゃないわよ」
「千鶴……」
「借りは返す」
「慧………」
「わ、私も少しでも恩返しがしたいです!」
「壬姫……」
「ボク達も手伝うよ~」
「美琴……」
「私達は、皆ジェイさんのお陰でここまでこれたんです! その恩を返させてください!」
「純夏……」
「当然、俺達もな」
「ユウヤ……」
全員からそう言われた。
「…………わかった。それなら、最後に皆の力を貸してくれ」
俺はそう言った。
「「「「「「「「はい!」」」」」」」」
翌日。
衛星軌道上で出撃準備を整えていた。
フォールド直後に戦闘開始が予想されるため、出撃する機体は全てマクロス・ブレイバーの甲板に戦闘可能状態で待機し、即座に動けるようにしている。
「全員、準備はいいか?」
俺はキングジェイダーにメガフュージョンした状態で全員に確認を取る。
全員が頷いたことを確認し、俺は前を向いた。
「GGG! 火星へ向けて発進する!」
「了解しました。マクロス・ブレイバー、フォールド開始します」
俺の言葉にルリが応え、マクロス・ブレイバーがフォールドを開始した。
視界が紫の光に包まれ、フォールド空間に入る。
それぞれが戦いに備える表情で緊張を伺わせる。
そして、遂にフォールド空間を超え、フォールドアウトすると通常空間に復帰した。
次の瞬間に目に入ったモノは、
「何だ!? コイツは!?」
俺は思わず叫んだ。
何故なら、マーズゼロがある地点からは、火星の衛星軌道上まで届く超巨大な円柱の柱が聳え立っていた。
『待っていたぞ。GGG!』
ラファーガの声が響く。
同時にその円柱が動き出した。
いや、それは円柱では無かった。
その先の丸く太い部分が広がり始め、巨大な手となる。
「こいつは………!」
「腕原種!?」
シンとガオガイガーが驚愕の声を上げる。
聳え立っていたのは円柱ではなく巨大な腕。
その大きさは直径数十㎞。
高さは500㎞を超えているだろう。
「何て大きさなの!?」
「だが、これだけの巨体を作る材料を一体どこから!?」
天竜神が驚愕の声を上げ、超竜神がその巨体を作り出す材料を一体どこから調達したのかと疑問を口にする。
すると、
「ジェイさん! 火星表面にBETAと思わしき動態反応は一切確認されません!」
ルリがそう報告する。
「ッ!? まさか、奴は火星のBETAを全てZETA化させ、それを全て集めてあの体を作り上げたのか!?」
俺はそう推測した。
『貴様らを葬る為に用意したこの力、存分に味わうと良い!』
腕原種の声がそう響くと、二の腕辺りが輝き始め、
『超重力波!!』
指向性超重力波が放たれた。
「ッ! ジェネレイティングアーマー出力全開!」
『リョウカイ』
「プロテクトシェード!!」
俺がジェネレイティングアーマーを纏い、ガオガイガーが前面でプロテクトシェードを張る。
超重力波はジェネシックガオガイガーのプロテクトシェードによって止められ、何とか仲間達に被害を出さずに済んだ。
「やってくれるな………!」
俺は腕原種を見据える。
「皆! 予定とは違ってしまったが、奴を倒さなければならない事に違いは無い! 攻撃開始だ!」
俺はそう叫ぶ。
「了解! ダブルガン!!」
超竜神が我先にと両腕のメルティングガンとフリージングガンで攻撃を仕掛ける。
「
撃龍神が右腕の
「プライムローズの月!」
天竜神が右肩のパラボラアンテナ型のレーザー砲から高出力レーザーを発射した。
3体の合体ビーグルロボの攻撃が腕原種へと向かうがその本体に到達する前にバリアに阻まれて爆発してしまう。
『フッ、その程度の攻撃など………』
腕原種は余裕の声を漏らすが、
「メルティングサイレン!!」
その攻撃を隠れ蓑に近付いたビッグボルフォッグが胸のサイレンを鳴り響かせて腕原種のバリアを分解する。
『何っ!』
「チャンスだ! 十連メーザー砲!」
俺は両手を突き出して指先からメーザー砲を発射。
腕原種の中指の付け根に当たり、中指をちぎり飛ばす。
『チィ! だが……!』
ちぎられた中指が分解し、無数のZETAとなった。
「何っ!?」
『この体が機械化した虫共の集合体だという事を忘れるな!』
宇宙空間にも関わらず、自由に動き始めるZETA。
だが、そのZETA達に無数のビーム攻撃が叩き込まれる。
「おらおらおらぁっ!!」
「雑魚掃除は俺達に任せな!」
「まあ、流石にこの機体でも、あの大きさは相手に出来ないでしょうし……」
「これでも喰らいなさいっ!」
「露払いぐらいは受け持ってやる」
「お掃除お掃除♪」
量産型ゲシュペンストMk-Ⅱのアルゴス小隊だ。
「そちらは任せる!」
俺は再び腕原種に向き直る。
すると、
「龍王炎符水!!」
龍虎王が札を取り出すと眼前に八卦陣が出現。
その八卦陣から炎の龍が飛び出す。
その炎の龍が腕原種の小指に巻き付くと爆発した。
小指の付け根にダメージこそ与えたが、まだ千切るには至らない。
「F2Wキャノン! ロング・レンジモード!」
量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ改がF2Wキャノンのロング・レンジモードを発射。
ダメージのあった小指を更に削り取る。
「フルインパクト・キャノン!!」
ヒュッケバインボクサーとAMガンナーのフルインパクト・キャノンが更に大きく削り取り、
「「ツインバード! ストラーーーーイクッ!!」」
ビルトビルガーとビルトファルケンのツインバードストライクが小指を斬り飛ばした。
すると、その小指がZETAにばらける前に、
「収束荷電粒子砲! いっけぇっ!!」
「逃がしません!!」
ラーズアングリフ・レイブンと量産型アシュセイヴァーの攻撃がその指を貫いて更に爆散。
それでも尚生き残りのZETAが動き始めたが、
「順逆転身! 虎龍王!!」
龍虎王が虎龍王へと変形。
「ソニック・シャウト!!」
虎龍王の咆哮が周囲のZETAを纏めて消し飛ばした。
そして、
「リミット解除! コード麒麟!!」
「わたくしも行きますの………」
ソウルゲインの麒麟とペルゼイン・リヒカイトの巨大な斬撃が薬指を断ち切る。
「エクセレン!」
「了解! せ~のっ!」
アルトアイゼン・リーゼとアヴァランチ・クレイモアとライン・ヴァイスリッターのハウリングランチャー・Xモードの同時攻撃が断ち切られた指をバラバラにし、
「奥義! 光刃閃!!」
ヴァイサーガの超高速の斬撃が更なる追撃を行う。
「狙い撃つぜ!!」
それでも取り逃した敵を、アシュセイヴァーが撃ち抜いて行く。
「闇爆殺襲!!」
魔神ランティスの重力魔法が残らず圧し潰した。
そして、
「シン! あれやろっ!」
ガイアのステラがシンに呼び掛けた。
「ええっ!? ステラ本気なの!?」
シンはその言葉を聞いて戸惑った。
「大丈夫! 私達ならできる!」
「わ、分かったよ……」
ステラの言葉にシンは戸惑いながらも頷いた。
「ちょっとシン! 一体何をするのよ!?」
インパルスのルナマリアがシンに問いかけたが、
「ルナは援護を頼む!」
シンはそう言うとガイアと一緒に行ってしまう。
「んもうっ!」
ルナマリアは置いてかれた事にやけっぱちになりながらビーム砲を発射する。
すると、
「行くよシン!」
ガイアがMA形態に変形すると、デスティニーがアロンダイトを抜いてその背に飛び乗った。
「「刃騎! 一体!!」」
っておい!
それってまさか!
俺も驚く中、ガイアが駆けだした。
「斬り拓けデスティニー!! その名の意味を!!」
シンが叫ぶ。
戸惑ってた割にはノリが良いな。
それと同時に背中の光の翼を展開。
翠の光の翼が広がる。
「駆け抜けろ! ガイア! その名が示す先へ!!」
ステラが叫ぶとブレイクフィールドが展開され、更に加速してゆく。
2人の闘志にGストーンが反応したのか、そのエネルギーが高まり、翠の輝きを放つ。
そして、その光がデスティニーのアロンダイトに集中し、長大な光の剣を作り上げた。
「刮目しろ!!」
「これが私達の!!」
「乾坤一擲の一撃だ!!」
その言葉と共にデスティニーが光の剣を纏うアロンダイトを大きく振りかぶり、
「奥義!! 竜巻対艦刀! 逸騎刀閃!!」
人差し指を根元から断ち切った。
「わーお! シンちゃんやるぅ!」
エクセレンが誉め言葉を零す。
「フッ! リシュウ先生から教えを受けただけの事はある」
キョウスケもそう呟いた。
そして、その斬り飛ばされた人差し指には、
「デルタ小隊! 反応弾発射準備!」
4機のバルキリーが向かっていた。
「へっ! 原種相手なら遠慮しねえぜ!」
普段は反応弾を快く思っていないハヤテも、原種相手なら遠慮は無い。
「ターゲットロック……」
メッサーは淡々と照準を合わせ、
「宇宙空間なら!」
アルトも引き金に指をかけた。
「発射!」
ミラージュの号令で一斉に反応弾を発射。
着弾と同時に大爆発が起こり、その指を焼き尽くした。
「ガジェットツール!! ボルティングドライバァァァァァァァァッ!!」
ガオガイガーがボルティングドライバーを装着し、
「ブロウクンボルト!!」
右肩のブロウクンガオーの口から円錐状の先端パーツが射出され、それをボルティングドライバーの先端に装着する。
「はぁああああああああああああああああっ!!」
ガオガイガーはそのまま飛翔し、親指の先端に突き刺すと、
「ブロウクンエネルギー! 解放!!」
破壊エネルギーであるブロウクンエネルギーを直接腕原種の内部に送り込み、内部から破壊し、親指が粉々になる。
そして、
「ディスクX! セットオン! ギラギラーンVV!!」
マイクがダメ押しとばかりにディスクXを発動。
重厚な音楽と共に、生き残ったZETA諸共腕原種本体にダメージを与えていき、その表面に罅が入り始める。
『ぬぁあああああああああああっ!?』
腕原種の悲鳴が響く。
「よし! 今がチャンスだ!」
俺は止めを刺そうとしたが、ふと頭に不安が過った。
これではあまりにも呆気なさすぎるのではないか?
あれだけ自信満々だった腕原種の策が、本当にこんな力押しだけの策だったのか……と。
だが、迷っている間にも再生が始まる。
「ッ!」
俺は嫌な予感を振り切る。
例え何か策があろうとも、反撃を許さない最大攻撃で一気に仕留める!
「ジェイフェニックス!!」
俺はジェイフェニックスを発動する。
「うぉおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
巨大な不死鳥が羽搏き、腕原種へと突撃する。
『ジェイ…………!』
「はぁああああああああああああっ!!」
俺は指を失った腕原種の掌に突っ込み、内部を突き進んでゆく。
そして、その中にあった原種核を掴み、手の甲部分から飛び出した。
不死鳥の姿が消え、エネルギーを使い尽くしたキングジェイダーの姿を現れると、腕原種の体は崩れ落ちながら爆散していった。
「ッ………! ハル、浄解を………」
腕原種は再生が早い。
その前に浄解を済ませようとハルを促そうとして、
「ッ!? ジェイ! それは違う!!」
ハルが気付いたように切羽詰まった声で叫んだ。
次の瞬間、原種核がボロボロと崩れ去る。
いや、原種核に似せただけのダミーだ。
「なっ!?」
俺は思わず声を漏らし、
『かかったな!』
背後から聞こえた声に振り向けば、凄まじく巨大な物体が高速で近付いてきていた。
「ッ!?」
それは直径20㎞はあろうかという隕石………いや、衛星だった。
「まさか!? 火星の衛星のフォボス!?」
ルリが叫ぶ。
それは高速で俺に体当りを仕掛けてきた。
「ぐぁああああああああああああああああああああああああああっ!?!?」
ジェイフェニックスを放ち、真面にエネルギーが残っていなかった俺は、その体当りを受ける。
最早それは体当りという生易しいものではなく、巨大な岩山が迫ってくるようなイメージに近い。
俺はそのまま跳ね飛ばされそうになったが、
『おっと、回収をせねばな』
その衛星の一部が変形し、岩の腕となってキングジェイダーの胴体を鷲掴む。
「ぐぁあああああああああああああっ!?」
そのまま胴体の装甲が抉られ、
「ま、拙い………! ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
腕原種の狙いに気付いた俺はどうにか止めようと藻掻くが、真面に動くエネルギーは残されていない。
腹部を抉られ、今まで集めた29個のゾンダークリスタルを奪われてしまった。
「がはぁっ!?」
そのまま指を引き抜かれ、腹部に重大な損傷を受けた。
「ぐ、ぐああっ………!」
『貴様にもう用は無い……!』
その腕が握り拳を作ると、そのまま殴り飛ばされた。
「うぐあっ!?」
そのまま飛ばされたが、
「ジェイ!!」
「ジェイさん!」
「ジェイ!」
飛ばされた方が偶然にも皆の方だったので、ガオガイガー、デスティニー、アルトアイゼン・リーゼが背中を受け止め、ブースト噴射で勢いを殺す。
「ジェイ! 大丈夫!?」
ガオガイガーが悲痛な声を上げる。
だが、
「き、気を付けろ………ゾンダークリスタルが………奪われた………」
「ゾンダークリスタルを……!? 何の為に……!?」
シンにとってゾンダークリスタルは原種核を浄解した後に残る欠片としか認識していないため、そう呟く。
だが、その腕原種の衛星の後ろにもう1つの衛星が近付いてきた。
そちらは腕原種の衛星の半分ほどだったが、
「火星のもう1つの衛星………ダイモス………!」
ルリがそう言う。
「心臓原種!?」
ハルが叫ぶ。
すると、
『これで原種は全て揃った!』
『Zマスター融合!』
心臓原種の衛星が光に包まれ、光が人型取ると、そこへ腕原種が融合する。
更に、
『復元、再結合開始』
更なる光を放った。
「一体なんだ!?」
「この光は!?」
アルトとハヤテが驚愕の声を上げる。
「超高密度エネルギー観測!」
「全ての計器を振り切ってます!」
フェルトとクリスが叫ぶ。
「あれは…………?」
ルリは目の前に広がってゆく光景を目にして言葉を失う。
その光は恐ろしく巨大な人型を形成して行く。
「あれは………機界31原種全集合体………Zマスターだ………!」
俺は何とか声を絞り出す。
「Zマスター?」
武が声を漏らす。
「原種達は、31体にして1つの存在。その全てがZマスターの一部」
ガオガイガーが俺の説明を引き継いでそう言った。
すると、その存在が露になる。
逆立った髪。
巨大な一つ目。
牙が並んだような口。
横に大きく広がる翼。
左手の長い爪。
突き出した右手に現れる仮面のような顔。
「何だよ………この大きさ…………」
シンが戦いた声を漏らす。
「推定全高35000㎞………推定全幅100000㎞!?」
フェルトがその見た目から推測されたZマスターの大きさを割り出し、驚愕の声で報告した。
「こんなのに勝てるの………!? 私達…………!」
ルナマリアの恐怖に呑まれそうな声。
それはこの場に居る者達の心の代弁そのものであった。
はい、マブラヴオルタネイティヴAnother編第39話です。
決戦の地、火星へ。
で、待ち構えていた腕原種。
割とあっさり倒せたなと思ったら………?
遂に出現Zマスター。
ザ・パワーこそ無いですが、その戦力は絶望的。
しかもキングジェイダーエネルギー切れ。
この状態で勝機はあるのか!?
次回をお楽しみに。
P.S:本日の返信はお休みします。