転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件 作:友(ユウ)
【Side 三人称】
光とランティスが待ち望んだ再会を果たし、深い口付けを交わしていた時、フェリオとアスコット、ラファーガ、カルディナに守られた光、海、風の家族達がやってきた。
3人の事が心配で、戦闘が終わった所で駆けつけてきたのだったが…………
「「な゛ぁっ!?!?!?」」
間が悪く光るとランティスの口付けの瞬間を目撃してしまい、光の兄である優と翔が顎が外れそうなほどに口をあんぐりと開けて固まった。
「あらあらまあまあ」
風の姉である空は頬に手を当てながらにこやかに微笑んでいる。
「……………………」
光の一番上の兄である覚は何かを察したように微笑んでいるだけだ。
すると、それに気付いた海と風はそれぞれの魔神から降りて地上に降り立つ。
その2人の前に出てきたのは、
「アスコット………」
「フェリオ………」
こちらも3年ぶりに再会した親しい人物だ。
「ウミ…………」
アスコットが海の前に歩み寄る。
「久しぶりね、アスコット」
「うん………久しぶりだね、ウミ………」
海はアスコットに笑いかけながら再会の挨拶を交わす。
「さっきは助けてくれてありがとう。お陰で助かったわ」
「お、お礼なんていいよ! 僕がウミを助けるのは当然の事なんだから!」
海の感謝の言葉にアスコットは首を振りながら慌てたようにそう言う。
「ふふふ……!」
その様子に海は可笑しそうに笑う。
すると、アスコットは真剣な表情をして、
「ウミ………セフィーロで別れる時に言ったよね? 僕は、君に伝えたいことがあるって…………」
「ッ………!? た、確かに言ってたわね…………」
アスコットの言葉に海はハッとなって察したのか頬を赤くする。
「ずっと君に伝えようと思ってた。だけど、原種に取り付かれて、言うタイミングを逃して、前は結局君に伝えられないまま別れてしまった………僕は、とても後悔した………」
「アスコット…………」
「だから、次に君に会った時は、絶対に君に伝えると決心してたんだ」
アスコットは海を見つめ、
「ウミ…………僕は、君が好きだ!!」
内に秘めた思いを言い放った。
「ッ!!」
その言葉を聞いて、目を見開くウミ。
アスコットは真剣な眼のまま海を見つめ続けると、
「ウミ………答えを聞かせて欲しい………どんな答えでも、ウミの答えなら僕は受け入れる………!」
そう言って返答を待った。
「…………………………」
海はアスコットの告白に、照れたように視線を逸らす。
「そ、その…………なんていうか…………とても嬉しいわ…………」
海は笑みを浮かべ、
「私が危ない時にはいつも助けに来てくれて、世界を越えてまで会いに来てくれる男なんて、中々いないしね?」
頬を染めつつぎこちないながらもアスコットに返事を返していく。
「そ、それって………!?」
アスコットが期待に満ちた表情を浮かべ、
「そ、その………これからよろしく………」
恥ずかしそうにしながらも、海はOKの返事をアスコットに返した。
「…………や、やったぁっ!!」
アスコットは思わずはしゃぐ様に喜びを露にした。
「もう……喜び過ぎよ………」
そうは言いながらも、何処となく嬉しそうな海だった。
「あらあら、海ちゃんも素敵な恋をしたようね?」
「そうだな。海ならお前のように素敵な女性になれるさ………」
「あなた………」
何故か海達そっちのけで2人の空間を作り出す
一方、
「フウ………」
「フェリオ…………」
風とフェリオ。
この2人は元々恋人同士と言っていいほどに親密となっていた。
自然と見つめ合い、互いに歩み寄る。
「3年振りだな…………綺麗になった」
「フェリオも、お久しぶりです…………」
互いに照れるように頬を僅かに染めながら言葉を交わすと、フェリオが聞くかどうか迷う様な仕草をして、
「その……フウ…………なんていうか……………………別の男なんて出来てないよな?」
そんな問いかけをフウに投げかけた。
それは、ジェイについて行くときに言われた、『再会できた時には隣には別の男が居るかもしれない』という可能性を思い出したからだ。
風は一瞬キョトンとした後にクスクスと笑い、
「言った筈ですよ? あなたの事、絶対に忘れません、と……………心の中にあなたが居るのに、他の男性とお付き合いするなんて考えられません。もしあなたに再会できなければ、独身を貫くことも厭わない覚悟でしたから」
にこやかにしながらもとんでもなく重い言葉を吐く風。
「そ、そうか………それならよかった……!」
その言葉を平然と受け止め、ホッとする様子さえ見せるフェリオ。
「あらまあ、風さんも隅に置けないわね………あんな素敵なボーイフレンドがいらっしゃったなんて………」
それを温かい目で見つめる空だった。
少し長い口付けを交わした光とランティス。
光は頬を染めながらランティスを見上げ、ランティスは微笑んで光を見下ろす。
その時、
「「ひ、光~~~~~~っ!!!」」
優と翔が物凄い形相で駆け寄ってきた。
「優兄様!? 翔兄様!?」
そんな兄達に光は驚いた様子を見せた。
「光! 誰なんだその男は!?」
「貴様! よくも光のく、く、く、く………唇をぉぉぉぉぉぉぉ~~~~!!!」
優がランティスを指差し、翔が凄まじく動揺した様子で叫んだ。
「ヒカル………彼らは………?」
ランティスが問いかけると、
「えっと………私の兄様で2番目の優兄様と3番目の翔兄様だよ」
光の言葉に、
「ヒカルの兄上殿か………」
2人を見据えるランティス。
そんなランティスを2人はまるで仇を見るような目で睨みつけていた。
「……………どうやらかなり敵意を持たれているようだが………?」
「兄様達はその………私の事をすっごく可愛がってくれてるから…………優兄様と翔兄様に至っては、私と付き合いたい人は俺達3兄弟を倒せって言ってるくらいだし………」
「…………ヒカルを、大事に思っているのだな」
「うん…………」
そんな2人の仲睦まじい様子を見て、優と翔の怒りのボルテージが限界を突破しようとしていた。
そんな時、
「落ち着け、お前達」
そう言いながら2人の後ろからもう1人の光の兄、覚が歩み出てきた。
「覚兄さん!?」
「兄さんは平気なのか!? 光がどこの馬の骨とも知れない奴に………!?」
覚はその言葉を聞き流しつつ、光とランティスに歩み寄る。
「覚兄様………」
光は心配そうに覚を見上げると、
「光………彼を紹介してもらえるか?」
覚はそう言った。
「えっ? あっ…………うん。こっちはランティス。私の……大切な人…………」
「………そうか」
「ランティス。こっちは私の一番上の兄様で覚兄様」
光はランティスに覚の事も紹介した。
「ランティス殿………と言ったか?」
「ああ………」
覚の言葉にランティスは頷く。
「ランティス殿は、光を護り続ける覚悟があるか?」
「この命に代えても………!」
ほんの短い言葉のやり取り。
だが、
「そうか………」
覚は微笑むと、
「光を……よろしく頼む」
そう言って頭を下げた。
「覚兄様!」
光が驚きの声を上げ、
「何をしているんだ覚兄さん!?」
「いきなり何を……!?」
覚の行動に優と翔が困惑する。
覚が頭を上げると、
「光が自分で選んだ相手だ。私はそれを尊重してやりたい」
2人に向かってそう言った。
「けど! 光が純粋な事を利用して騙してるだけかもしれない!」
「光は確かに純粋だが悪意には敏感だ。それに、私自身彼と話して光を騙すような男では無いと感じた」
「そもそも! こんな男が光を護れるのか!? 少なくとも俺達3兄弟よりも強くなければ………」
「それこそ心配無用だ。彼は強い………私よりも遥かにな」
優や翔の言葉を論破していく覚。
2人は尚も口を開こうとしたが、
――ブォォォォォォン!
バイクのエンジン音が響き渡り、赤い大型バイクが走ってきたかと思うと、キキィッとブレーキ音を響かせて彼女達の前で停止する。
そのバイクに乗っていたのは長い金髪で仮面を被った女性だった。
「あなた達! 少し話を聞かせて貰っていいかしら?」
突然そう呼びかける仮面の女性。
一同が驚きと警戒の表情でその女性を見ると、
「驚かせて悪かったわね。私の名はベガ。地球防衛組織、『GEAR』の副司令よ」
その女性、ベガはそう名乗る。
何人かは怪訝そうに見ていたが、ベガが電童を見上げると、
「あなた達は先に基地に戻ってなさい!」
そう呼びかけた。
電童は頷く仕草をすると、手足のタービンを回転させて飛び去って行く。
「これで私がGEARの関係者だとは証明できたはずよ」
この世界で電童がGEARの保有するロボットであることは公表されており、それに命令や指示ができるということはGEARの関係者であることが前提となる。
それによって光達は警戒を解いた。
「私が聞きたいのは、先程現れた謎の敵と、それと戦っていたロボット達の事。あそこに残ってる2機のロボットも含めてね」
すると、光が前に出て、
「私がレイアース………赤い魔神に乗っていた」
そう名乗り出た。
「同じく、私がセレス……青い魔神に乗っていたわ」
「私がウィンダム……緑の魔神に乗っていました」
海、風も続けて名乗り出る。
「黒い魔神には俺がのっていた」
ランティスもそう言う。
「あ、あなた達が!?」
ベガは驚いた表情を見せた。
「何故あなた達があんな戦力を保有していたのか聞かせて貰えるかしら?」
ベガがそう聞くと、光は家族達の方に一度振り向くと、もう一度ベガに向き直り、
「わかった……でも、家族にも説明させてほしい。兄様達に心配をかけたくない」
ベガは一度周りを見回すと、
「…………分かったわ。なら、まずは場所を変えましょう」
そう言ってから、アルトアイゼン・リーゼとライン・ヴァイスリッターを見上げ、
「もしあなた達に敵意が無いのなら、話を聞かせてくれないかしら!?」
そう呼びかけた。
すると、
「そちらについては、俺達が話をしよう!」
突然別の男の声が聞こえ、空から人影が降ってきて近くに着地した。
「誰!?」
ベガが身構えたが、
「俺の名はジェイ。ガッツィー・ジェネレーション・ガード………通称GGGの代表者だ。あそこにいるアルトアイゼン・リーゼとライン・ヴァイスリッターは俺達が保有している戦力だ」
ジェイがそう名乗った。
「同じくハル。ジェイの相棒だよ」
隣に居たハルもそう名乗る。
「あっ! ジェイさん! ハルさん!」
光が嬉しそうに声を上げた。
「久しぶりだな。光、海、風」
ジェイがそう言うと、
「あなた達もこの世界に来てたのね!」
「お久しぶりですわ!」
海と風も嬉しそうにそう言った。
「………少し話が見えないけど、話を聞かせて貰えるというのならお願いするわ」
ベガは少し呆気に取られた表情でそう言うのだった。
【Side Out】
ベガの指示で迎えの車両が来て連れていかれたのは何と星見町にある星見野アミューズメントパーク。
その地下に地球防衛組織『GEAR』の秘密基地があるのだ。
「まさか、アミューズメントパークの地下に地球防衛組織の秘密基地があるとは………」
エレベーターで地下に向かいながら、海が呆れたと言わんばかりに頭に手を当ててそう言う。
やがてエレベーターが最下層まで到着すると、
「ようこそ、秘密機関『GEAR』の本部司令室へ。私は長官の渋谷という」
恰幅の良い男性が出迎え、そう名乗った。
「俺はジェイ。ガッツィー・ジェネレーション・ガード……通称GGGの代表者だ」
俺はそう返す。
「ふむ……ガッツィー・ジェネレーション・ガード……スリージーか………聞いた事の無い組織だ」
渋谷長官はそう返してくる。
「知らないのも当然だ。俺達がこの世界に来たのはつい数時間前の事だからな。おそらく観測出来ていると思うが、衛星軌道上に俺達の基地がある」
「愛子君」
「分かりました」
俺の言葉に渋谷長官がオペレーターに呼び掛けると、パネルを操作してモニターを表示する。
「つい数時間前に、衛星軌道上に突然現れた宇宙ステーションらしきものです」
そこに映し出された金色の宇宙基地。
「あっ! オービットベース!」
光が思わず口に出す。
「あれが俺達の基地だ」
「そうか………最初に確認したいが、君達は我々地球人と敵対するつもりは無いと考えてもよろしいのかな?」
「ああ。基本的に無暗に争いを吹っ掛けるつもりは無い。攻撃されたときは別だがな」
俺はそう返す。
「それを聞いて安心した。次に、君達は何者なのか? 何故そちらのお嬢さん方と知り合いなのかを聞かせて貰いたい」
続けて渋谷長官が質問してくる。
「それは………」
俺が説明しようとした時、司令室の出入り口が開き、
「今日は散々だったぜ………」
「ホント、あのロボット達が来てくれなかったらどうなってたか………」
2人の少年が入ってきた。
それは、
「銀河君!? 北斗君!?」
この世界、『GEAR戦士電童』の主人公である出雲 銀河と草薙 北斗。
それに光が名前を呼んだって事は知り合いなのか?
まあ、こういうのも時空の歪みの影響の1つなんだろう。
「えっ!? 光ねーちゃん!?」
「何で光さん達が此処に!?」
驚く2人と、
「しまった………2人に司令室に近付かない様に言っておくの忘れてたわ………」
ベガが失敗したと言いたげに頭に手を当てた。
「2人こそ、何でGEARの基地に!?」
光は続けてそう聞くと、
「……………もしかして、そのお2人が電童のパイロットなのでしょうか?」
風が少し考えるような仕草をした後、そう言った。
「ええっ!?」
「そ、それは………」
2人は分かりやすく狼狽える。
「どういうことなの、風?」
海が尋ねると、
「銀河さんと北斗さんの年齢はどう見ても小学生………普通なら、このような防衛組織に居る事など考えられませんし、自分から志願したとしても、それが認められる事などあり得ません。それでも尚、この2人がGEARに居なければならない理由を考えると、GEARの最大戦力である電童に関する事では無いかと…………もしかしたら電童は、この2人にしか動かせない。もしくは、乗れる人物が限られる上で、この2人が電童をもっとも使いこなせる人物なのでは無いかと」
風が自分の考察を口にする。
「なるほど………」
海が納得した声を漏らすと、ベガがため息を吐き、
「お察しの通り、この2人が電童のパイロットよ。そちらのお嬢さんの考えの通り、電童を動かせる人間は非常に限られるの。その上で、この2人がもっとも電童の力を発揮できる、電童自身が選んだパイロットなの。もちろん、出来ることなら私達だってこんな子供を戦わせたくは無いわ。だけど、ガルファに対抗するためには必要な事なの」
ベガはそう言った。
「それよりも、何で光ねーちゃん達が此処に居るんだよ!?」
銀河が叫ぶと、
「その話を、これからするところなの。続きをお願いしても良いかしら?」
ベガが俺に向かってそう言った。
「ああ………最初に言っておく。俺達………GGGはこの世界の人間ではない。並行世界、パラレルワールド、異世界……言い方は色々あるが、別の世界からやってきた」
「別の世界!?」
「異世界って………どこの国だ?」
北斗が意味を理解して驚愕の叫びをあげ、銀河が意味を理解できずにボケる。
「俺とハルは色々な世界を放浪していて、GGGは放浪していたあらゆる世界で仲間になった者達で構成された組織だ。まあ、組織と銘打ってはいるが、それぞれの目的で仲間になった者達の集まりだ。俺が代表者となっているが、上下関係は無い。今回は、この世界に渡ってきたのが数時間前という事だ」
「でも、それだと彼女達と知り合いなのに説明が付かないんじゃないかしら? あなた達は、彼女達と知り合いなのよね?」
ベガが光達を見て言う。
「そこからは、私達が説明する」
光がそう言い、海と風が横に並ぶ。
「私達は3年前………中学2年生の時、異世界『セフィーロ』に召喚されたんだ………」
「今度は異世界召喚!?」
光の言葉に北斗は再び驚く。
「中学の社会見学で東京タワーに言った時、突然空が光って声が聞こえたんだ」
「『この世界を助けて………』」
「『伝説の……』」
「『
3人は言葉を繋げる。
「次の瞬間、気付いたときには私達3人は異世界セフィーロに召喚されていたんだ」
「そこで、クレフっていう魔導師に会って私達がどんな状況に居るかを聞いたの」
「そしたら、私達は、その世界の『柱』であるエメロード姫によって召喚されたと聞いたんですの」
そこまで言うと、
「世界の『柱』?」
空がその単語が気になったのかそう聞くと、
「セフィーロは、『心の強さ』が全てを決める世界………心が強い事がその人の力となり、剣や魔法の威力にそのまま現れる」
「そして、そのセフィーロで最も心の強い人がセフィーロの『柱』となってセフィーロの平和と安定を願う役割を担っていたの」
「そして、その時のセフィーロの『柱』がエメロード姫………私達を召喚した人物だと教えられましたの」
「っていうか魔法!? 剣と魔法の世界って、創作小説でよくある奴!?」
北斗が再び驚きの声を上げる。
「何故あなた達が召喚されたの?」
ベガがそう尋ねると、
「それは分からない………だけど、魔法騎士は異世界の人間しかなれないって話だった」
光がそう言う。
「異世界の人間………何故………?」
ベガがそう聞くと、3人は辛そうに俯く。
「私達は………エメロード姫が攫われて、セフィーロの為に祈れなくなったから、平和だったセフィーロが天変地異に襲われ、魔物が跋扈する世界になったと聞いた………だからエメロード姫は、『柱』しか使えない召喚魔法を使って、私達を召喚したって………」
「世界の平和を祈るお姫様が攫われた!?」
「とんでもねえ奴だな、そいつ!」
銀河もそれは理解したのか憤りを見せる。
「一体誰なのよ、そのお姫様を攫ったのって?」
しかし、それを聞いても光達の表情は曇るばかり。
赤髪の少女………おそらくエリスが疑問を口にする。
「ッ………!」
光が一瞬苦しそうに言葉に詰まり、ランティスに伺うように見上げると、ランティスは安心しろと言うように微笑んで頷いた。
「エメロード姫を攫ったのは、神官ザガート。本来はエメロード姫を補佐する立場だった人だ。その力は、エメロード姫に次ぐ心の強さの持ち主だと聞いた」
「もちろん、当時の私達は反発したわ。どうして私達がそんな事をしなきゃいけないのって。東京に返してと叫んだわ」
「でも、それは無理だと言われてしまいましたの。東京に帰るには、エメロード姫の願いを叶えるしかないと」
「それでそのお姫様を助けるために旅に出たのね!」
エリスが期待に満ちた声を上げる。
「そうね………最初は嫌々だった私だけど、光や風と一緒に旅をして、セフィーロに人達と交流を持つ事で、自分の意志でこの世界の為に戦いたいと思うようになってきたわ。そう言えば、アスコットも最初は敵だったわよね」
海が可笑しそうに話を振る。
アスコットは動揺したのか慌てて、
「そ、それは………! その時の間違ってた僕を止めてくれたのはウミなんだ………ウミのが僕を叱ってくれたから、僕は過ちに気付けたんだ………」
「それを言ったら、ウチやラファーガも最初はザガート陣営やったなぁ」
カルディナがそう言う。
「お、俺はザガートに操られていただけだ」
ラファーガは恥と思っているのかそっぽを向く。
その様子に光達は笑いを零すと、
「色々あったけど、私達は力を合わせて試練を乗り越えて、3体の魔神を蘇らせることができた」
「マシン?」
ベガが尋ねると、
「私達が乗ってた、赤、青、緑のロボットみたいなのがそうよ」
すると、オペレーターがパネルを操作してモニターを表示し、3体の魔神を映し出した。
「そう、この3体ですわ」
風が頷く。
「魔神を蘇らせた私達は、ザガートとの決戦に臨んだ」
「ザガートは自分の心の力で魔神を作り出して、私達に襲い掛かってきたわ」
「私達は、ザガートが魔神を持っているから私達も魔神を纏って戦わなければいけないと思っていました…………」
「ザガートは強かった…………とても強かったけど…………私達は3人の力を合わせてザガートを………倒した………」
光が拳を握って震えながら声を絞り出す。
「良かったじゃん! それでお姫様を助けられたんだろ?」
銀河がこれでハッピーエンドだと言わんばかりに明るい声でそう言った。
だが、3人の表情は曇るばかり。
「ど、どうしたんですか!?」
北斗がその様子に気付いて思わず尋ねた。
すると、
「ザガートを倒した私達の前に現れたエメロード姫は…………私達に襲い掛かってきたわ」
「「「「「「「「「ッ!?」」」」」」」」」」
その言葉に、事情を知らない者達は驚愕の表情を浮かべた。
「どうして!? 何でそんな事になるんだよ!?」
銀河が思わず声を荒げてそう言うが、
「それは……………ザガートとエメロード姫は…………愛し合っていたから………」
光が声を絞り出す。
「魔法騎士の本当の役目…………それは、セフィーロの為に祈れなくなった『柱』を殺すためだったんですの…………」
「「「「「「「「「「ッ!?」」」」」」」」」」」
風の言葉に全員が絶句する。
「エメロード姫がセフィーロの為に祈れなくなったのは、ザガートに攫われたからじゃなかったの…………ザガートを好きになってしまって、セフィーロよりも、ザガートの幸せだけを考える様になってしまったから…………ザガートも、本当はエメロード姫を護ろうとしていただけだったの………」
海がそう続ける。
「魔法騎士が異世界の人間なのも、セフィーロの人間では『柱』には絶対に勝てないから………真実を知った私達は、当然困惑した。人を好きになっただけで、何で死ななきゃいけないんだって……………!」
「でも………最後に残ってたセフィーロの為を思うエメロード姫の心が私達に語り掛けてきたの………」
「『私の本当の願いを叶えて…………ザガートの下へ、行かせて………』と………」
「だから私達は………エメロード姫を…………この手で…………!」
3人は声を絞り出してそう言った。
「……………3年前に、一時元気が無かったのは、そう言う理由だったのだな?」
覚が光に問いかけた。
「うん………ごめんなさい、兄様………」
光は謝る。
「謝ることは無い。それに、お前は自分で乗り越えたのだろう?」
覚は光の頭に手を置いてそう言う。
「あの………ここで聞くのも野暮かもしれないけど、さっきの話にジェイさん達が全く出てこなかったんだけど………」
ベガがそう言うと、光は目に溜まった涙を拭い、
「この話には、まだ続きがあるんだ」
そう言った。
「エメロード姫を倒した私達は元居た東京タワーの元の時間に戻されていた。それからしばらくした後、海ちゃん、風ちゃんと同じ東京タワーで会う約束をしていたんだ」
「そこで私達は、セフィーロでの出来事、後悔ややり切れなさを再認識した」
「そして願ったんです。もう一度セフィーロへ行きたいと。今度こそセフィーロの為に、何かを成し遂げたいと………」
「そうしたら、私達は、再びセフィーロに召喚されたんだ」
「だけど、2度目のセフィーロは様子がまるで違っていた」
「以前は魔物は居ましたが、自然や海や火山………空に浮かんだ山もありました。ですが、2度目に訪れたセフィーロは、草木が一本も生えない荒廃した大地が広がり、空には暗雲が広がった崩壊しかかった姿だったのです」
「「「「「「「「「「ッ!?」」」」」」」」」」
「セフィーロは『柱』によって支えられている世界。『柱』であるエメロード姫が居なくなったから崩壊しかかってたんだ」
「セフィーロの人々は、クレフを始めとした魔導師達の心の力で作り出した城に避難していたわ」
「そこで新たな『柱』となる人を探しながら、他国からの侵攻に備えていたんです」
「他国?」
北斗が尋ねると、
「向こうの世界にもセフィーロ以外に国があったんだ。セフィーロに侵攻してきていたのは、オートザム、チゼータ、ファーレンの3国………」
「私達は、今度こそセフィーロの為に何かしたいと思って、戦う事を決めたわ」
「私達は再び剣を取り、魔神と共に戦う事を決意したんです」
3人の言葉に、
「当時中学生の女の子が………そんな覚悟を…………」
ベガが気の毒そうに目を伏せた。
「そうやって3国の侵攻や、別の第三勢力を退けながら柱候補を探していたんだけど、ある時、セフィーロにジェイさん達GGGの一団が転移して来たんだ」
光がそう言う。
「その通りだ。いくつもの世界を回った先で俺達はセフィーロに流れ着いた」
俺は頷くと、
「そこで俺達は話を聞いた上で、防衛戦に限りセフィーロに協力することを約束した。光達と知り合いなのはそう言う経緯だ」
「GGGの協力もあって、侵攻して来た3国とは和解して、セフィーロを滅ぼそうとしている第三勢力………セフィーロの人々の不安や恐怖が生み出した存在……デボネアやジェイさん達の敵、原種を倒し、私がセフィーロの『柱』に選ばれた」
「お、お、おおい! 光が『柱』とか言うのに選ばれたって!?」
「ひひひ、光は大丈夫なのか!?」
優や翔が酷く動揺した様子を見せた。
「大丈夫だよ、兄様達。私は、エメロード姫を倒した後からずっと考えてたんだ。柱制度は本当に正しいものなのかって…………だから私は………セフィーロから『柱制度』を無くして、皆でセフィーロの未来を創っていって欲しいと願ったんだ」
「それで私達は今度こそセフィーロの為に戦えたと思ったの」
「でもそれは、セフィーロの皆様との別れでもありましたわ」
「2度目のセフィーロに私達を召喚したのは、私達自身の願いだったんだ。だから、その願いが叶った時、私達は元のこの世界に帰らなきゃいけなかった」
3人がそう言った時、
「まっ、その別れに納得いかなかった俺達は、世界を渡るジェイについて行かせてもらう事にしたのさ。この世界に来れる可能性は低いと言われたが………もう一度フウに会える可能性があるのなら、いくら低くたって構わなかった。ま、こうやってもう一度会えたんだ。結果オーライって奴さ」
フェリオがそう言った。
「光ねーちゃん達………思った以上にスゲー経験してたんだな…………」
銀河がそう呟く。
「そうして紆余曲折の末この世界に辿り着いたんだが、まさかアインストまで出現するとは思っていなかったな」
「アインスト?」
北斗が俺の言葉に反応する。
「アインストは、お前達がガルファの機獣を倒した後に出てきた敵だ。あれもまた別の世界で現れた敵だ」
「別の世界の敵が、なんで僕達の世界に?」
北斗が疑問の声を漏らす。
「ふむ………信じられないとは思うが、この世界は、次元の歪みによる影響を受けている。その為、本来とは違った歴史を辿っているんだ」
「違った歴史?」
「ああ、本来はあり得ない出来事や存在が現れ、本来の運命とは違う運命となっている」
「違う運命………」
「おそらくその所為で、別の世界の存在であるアインストが現れたのだろう。次元の歪みの大本の存在は既に俺達が叩いたが、影響を受けてしまった世界は簡単には元には戻らないからな」
まあ、その所為で電童の世界戦に光達が居るのだが。
「だが安心しろ。可能な限りGGGはGERAに協力する」
俺がそう言うと、
「本当かね?」
渋谷長官が確認するように問いかけてくる。
「ああ。俺達は本来人と人との争いには介入しないスタンスだが、罪の無い人々が多く犠牲になる場合は話は別だ。ガルファは、知的生命体全てを標的にしているようだからな」
俺がそう言うと、
「私達も戦う!」
光がそう言って、海と風が頷く。
「光ねーちゃん!?」
「光さん!?」
銀河や北斗も驚く。
「私達、戦う力が無くてずっと悔しい思いをしてたんだ………でも、モコナのお陰で私達はもう一度戦う力を手にすることが出来た………今度は、この世界を………自分達の大切な人を護る為に戦いたいんだ……!」
光は強い意思を宿した瞳で前を向く。
「うん!」
「ええ!」
海や風も同じだ。
「長官、どうしますか?」
「う~む………」
渋谷長官は腕を組んで悩む。
「正直、ガルファに対抗できる戦力は欲しい………それに、アインストという未知の敵まで現れては、電童だけでは対処できない可能性もある………」
渋谷長官としてはまだ未成年の光達を戦いの場に出すのは忍びないが、戦力的にも居てくれた方が助かる気持ちもあるので揺れ動いているのだろう。
「よし。ではこうしよう。君達3人をGEARの特別隊員として任命する。出撃に関しては個人の意思を尊重する。もちろん、出撃の際には報酬も出そう。これで如何かね?」
渋谷長官はそう言った。
「そんな! 報酬なんて………!」
光達は報酬と聞いて断ろうとしたが、
「貰っておけ」
俺はそう言う。
「ジェイさん………?」
「彼らにも体面は必要なのさ。女子高生を無報酬で戦場に駆り出したなんて世間に知られたらどうなると思う?」
その言葉で気付いたのか、風はハッとなる。
「ほぼ間違いなく非難が飛び交いますわね………最悪、GEARの存続の危機に関わるかもしれません」
「そう言う事だ」
こうして、GGGのGEARへの協力、及び光達魔法騎士のGEARの特別隊員としての入隊が決定した。
はい、GEAR戦士電童編第2話です。
今回は色々な説明会でした。
思ったよりも書くのに苦労しました。
お陰でこんな時間に…………
なので今回の返信もお休みです。
申し訳ない。
次から電童の物語が始まる………と思います。
お楽しみに。