転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件 作:友(ユウ)
【Side 三人称】
レクイエムの砲撃をESミサイルで防いだ後、その宙域からジェイアークは離れていく。
「地球軍があんな兵器を作っていたことも驚きですけど、それをあっさりと防ぐなんて………何だったんですか? 今の武器………」
シンが無事だったプラントを眺めながらジェイに問いかける。
「ESミサイル…………エスケープウィンドウと呼ばれる空間を超越した別次元へ通じる窓を開くものだ。これを利用することで惑星間の超長距離航行も可能になる。わかりやすく言えば、ワームホールのイメージが一番近いか?」
「……………つまり、ジェイアークはワープが出来るってことですよね? こういうのを見ると、やっぱりジェイアークは別の世界の物だって実感が湧きますよ」
シンは、やや呆れるような口調でそう言った。
プラントでは、レクイエムの存在が明らかになったことで直ちにレクイエム攻略作戦が開始された。
プラントの月艦隊が第一中継ステーションを攻撃。
これを破壊出来れば、一先ずプラントへの直接攻撃は防げるという事だ。
そして、地球から移動中だったミネルバには、ダイダロス基地への攻撃という命令が出された。
正直、戦艦一機で基地を落とせなど、無茶も良い所だ。
しかもミネルバは、オーブ戦でシンとデスティニーを失っている。
だが、オーブ戦後、ミネルバにはある受領した機体があった。
それは、
「ハイネ・ヴェステンフルス! デスティニー! 行くぜ!!」
ミネルバから発進するオレンジ色を基調としたカラーリングのデスティニー。
それは、ハイネ専用のデスティニーであった。
ハイネのデスティニー。
レイのレジェンド。
そしてルナマリアのインパルス。
3機のガンダムが今のミネルバの戦力だった。
そして、デスティニーとレジェンド、そしてミネルバが正面から敵の気を引き、ブラストシルエットを装備したインパルスが別ルートから基地に接近。
潜入してコントロールルームを破壊する役割となった。
そして作戦が開始される。
ダイダロス基地もすぐに防衛部隊が展開し、大量のMSとMA。
そして、3機のデストロイが出撃する。
だが、既にヘブンズベースで戦闘経験があるレイは、既にデストロイの弱点を見抜いており、ハイネも元々フェイスであって、高い操縦技術を誇る。
初めて使うデスティニーもほぼ使いこなしつつあった。
2機の活躍で、デストロイは大した時間もかけずに沈黙。
ミネルバからの砲撃もMAの陽電子リフレクターで防がれるが、デスティニーの対艦刀やレジェンドのドラグーンのビームスパイクで容易く撃墜されていく。
そして、最後の悪あがきにチャージ途中にも関わらずレクイエムを放とうとしたが、その前にルナマリアがコントロールルームを破壊。
発射も阻止され、その隙に逃げようとしたジブリールもレイに見つかり、戦艦ごと破壊され、死亡したのだった。
【Side Out】
「ジブリールが死んだ?」
シンが意外そうにつぶやく。
「ああ。ザフトの情報ではな」
「そうですか………」
とはいえ、シンはあまり興味無さそうだ。
今いる場所はステラが眠る医療ポッドの前。
間もなくステラの治療が終わる所だ。
治療が終了した事を知らせるアラームが鳴り、ポッドの蓋が開く。
「ステラ………!」
シンが、我慢できないと言った様にステラに駆け寄る。
「ステラッ………」
シンがステラの顔を覗き込むと、ステラの瞼がゆっくりと開き、その眼がシンを捉えた。
「………シン?」
ステラがシンの名を呼ぶと、シンの目に涙が滲んだ。
「………ああ………俺だよ。ステラ………!」
意識は朧気のようだが、ステラの顔色は良く、健康状態も問題なしとモニターに出ている。
「ステラ………! よかった………! 本当に良かった………!」
泣き崩れるシン。
「シン………? どうしたの………?」
ステラの言葉にシンは顔を上げると、
「いいや、何でもないよ。ステラ……」
笑みを浮かべるシン。
「君は俺が護るから………必ず………!」
改めて誓いを立てるシン。
「シン………私もシンを護る………」
ステラも笑みを浮かべてそれに応えた。
暫くして、俺達は月面都市のコペルニクスに居た。
その理由は、簡単に言えばショッピングだ。
シンやステラの日用品。
ついでに俺とハルも便乗することにした。
しかし、
「………………………改めて、無茶苦茶ですね、ジェイさん」
シンは諦めたように、呆れたように項垂れていた。
その理由は、
「気合でハッキングって………一体何なんですか………!?」
ここに来るにあたって問題は二つ。
ジェイアークでは真面に寄港出来ない事と、後はお金の問題である。
前者の問題は、ジェイアークのステルス性能で都市まである程度近付き、そこから生身で向かった。
シンはパイロットスーツがあるので問題ないが、ステラは着の身着のまま飛び出してきたので持っていなかったので、ジェイアークで作ってみた。
まあ、ハルの能力範囲内なら宇宙空間でも大丈夫のようだが念の為だ。
そして、誰にも気づかれない様に非常口からハッキングを仕掛けて入り口を作り、入国したのだ。
そしてもう一つ、お金の問題なのだが、シンはおそらくMIA判定を受けたことになるので、口座は凍結されていた。
なので、それもハッキングで使えるようにした。
ついでに、使用履歴が残らない様に。
という事でコペルニクスに密入国した俺達は、気軽にショッピングをすることにした。
俺達もシンからある程度のお金を貰ったので買い物もできる。
年下から金をたかるのもアレかと思ったが、ステラの治療代と考えることにした。
とりあえず、2組に分かれて自由行動とし、数時間後に待ち合わせることにした。
俺はハルと2人でいろんな場所を回っていた。
そして、服などが売られているファッションエリアに来た。
そこで、
「これはどうですか?」
「うん、いいと思うよ」
「む………何でもいいみたいですわね」
『ザンネン!』
「いや、そう言う意味じゃ………」
男女4人のグループが服の試着をしていたようなのだが、その内2人に見覚えがあった。
「あれ? アスランとメイリン?」
ハルが思わず声を漏らした。
「え…………?」
そのグループの1人、メイリンがこちらに振り向いた。
「えっ!? ジェイさんとハルさん!?」
メイリンが驚いた声を上げた。
「ジェイとハルだって!?」
サングラスをかけたアスランも俺達に気付く。
っていう事は、もう2人の男女はキラとラクスか。
「アスラン達の知り合い?」
キラらしい青年がアスランに尋ねる。
「ああ………ジェイアーク………あの白い戦艦の持ち主だ」
「ッ!?」
アスランの言葉にキラが目を見開く。
「何故君達が此処に………?」
アスランが訪ねてくる。
「何故って………買い物?」
俺はそう答えた。
「そう言う事ではなくてだな………」
アスランは呆れたように頭を抱えた。
その時だった。
『ハロ! ハロ! エクスキューズミー? ユーアンダースタン?』
ラクスの連れているピンクのハロとは違う赤いハロが飛び跳ねながらラクスの手に収まった。
その口にはメッセージカードが咥えられている。
「これ、ミーアの……!」
アスランがその事に気付き、辺りを伺う。
ラクスがそのメッセージカードを手に取ると、『助けて、殺される。ラクス様』とメッセージが書かれていた。
ご丁寧に簡易な地図と場所まで書かれている。
「………なんか、思いっきり罠ですね?」
あからさますぎるメッセージにメイリンがそう零す。
「ああ。だが放っても置けない。くそっ……それも見越して仕掛けてる!」
アスランは議長の手口に苛立ちを隠せない。
「この子が………?」
「そうだ。ミーア・キャンベル。議長のラクスだ」
キラの問いにアスランが答えると、
「お前はラクスを護って、すぐに船に戻れ」
「え?」
「ああ、いや。応援を呼ぶ。ちょっと待て! どこが狙いか分からない………!」
アスランはそう言って通信機を取り出すが、
「わたくしも参りますわ」
「は?」
ラクスの言葉にアスランは素っ頓狂な声を漏らした。
「バッ………!」
「この方が呼んでいるのは、わたくしです」
「だが……!」
「どこかでいずれ、ちゃんとしなければならない事ですから。ね? キラ」
「…………」
ラクスの言葉にキラは少し迷っていたようだが、
「キラッ………」
「わたくしはお会いしたいですわ。彼女と………」
「「ええっ?」」
ラクスの言葉にアスランとメイリンが驚きの声を上げる。
そこに、
「………わかった。じゃあとにかく、船に連絡して」
「なっ……!? お前………」
キラが了承し、アスランが驚く。
「大丈夫だよ、アスラン。罠だってわかってるんだし。皆いるし………ね?」
「ッ~~~~~~!!!」
アスランは頭を抱える。
「ありがとう、キラ」
「ううん。でも、気を付けて」
何か俺達の存在忘れられてないか?
目の前でとんとん拍子に進む話を、俺達は横で聞いていた。
古代の劇場を再現したステージにミーアが居て、アスランが銃を向けながら警告する。
そこにキラとメイリンに護られたラクスが姿を現し、ミーアは動揺する。
ラクスは自分だと言い張り、銃を向けるがアスランが発砲し、ミーアの銃を弾いた。
そこでラクスがミーアに語り掛け、諭す。
ラクスの言葉にミーアが膝を着いた。
まあ、そんなラクスを暗殺しようとする輩が居るわけで、
「フッ!」
「なっ!?」
スナイパーライフルで狙っていた女のライフルを、俺はラディアントリッパーで切り裂く。
更に手刀を食らわせて気絶させる。
別の場所でもハルがサイコキネシスで黒服たちを伸していた。
そこでようやくアスラン達も騒ぎに気付くが、その時にはもう襲撃者たちは全滅していた。
「ジェイ!?」
アスランが驚いた声を上げるが、
「まあ、事の序だ」
俺はそう言い残してハルと共に飛び去った。
その後、シン達と合流してジェイアークに戻り、デスティニーとガイアが隠してある地球の無人島に戻った。
それから程なくして、デュランダル議長が全世界に向けて声明を発表した。
人が無知だの己を知らないだの、否定はしないが共感できない言葉を並べたその後に宣言したもの。
それは、『デスティニープラン』。
簡単に言えば、遺伝子を調べて才能のある職種を見出し、それに就かせるというものだ。
強制的に。
「議長………なんだってこんな………?」
ザフトから離れたとはいえ、デュランダル議長に対して一定の信頼を持っていたのか、シンはショックを受けたような表情でモニターを見つめている。
「フン………聞こえの良い言葉を並べてはいるが、このプランには致命的な欠点があるな」
「致命的な欠点………?」
ハルが疑問の声を漏らす。
ハルは人類存亡を賭けた戦いの中で育った人間。
将来の選択が少なかったために、デュランダル議長の言葉に余り矛盾を感じないのだろう。
「ああ。それは、人は必ずしも、向いている事とやりたい事が一致するとは限らないという事だ」
「向いている事と………やりたい事…………」
「極端な例を言えば、幼い頃病気で命の危機に瀕した人間が医者に救われ、それに感動して自分も命を救う医学の道を進もうとしたのに遺伝子上向いているからと言って、人の命を奪う兵士になれと言われて、簡単に納得できるか?」
「あっ…………」
「確かに向いている事を行わせれば効率はいいかもしれない。だが、そこに人の意志は無い」
「人の意志………」
シンが呟く。
「そして、才能が無くとも藻掻き足掻くことで才能を超える能力を手にする。それが努力だ。デュランダル議長の方針は、人の努力を否定し、ただ与える役目を享受させる。それで良い人間も一定数居るだろうが、そうでない者も必ず居る。デュランダル議長はそういった人間の意志を無視している!」
俺はそう述べる。
「そして確信した! デュランダル議長は藻掻き足掻くことを止めた人間だ!」
「藻掻き足掻く事…………」
シンが呟く。
「藻掻き足掻く事こそ生命の本質! それを失わせようとする事など、ゾンダーと変わらん!」
「議長………!」
シンは拳を握りしめる。
「…………俺は、そんなの望んじゃいない!」
モニターに映るデュランダル議長に向かって、シンは言い放つ。
そして俺に向き直り、
「ジェイさん! お願いがある!」
決意をした表情で、そう言うのだった。
ガンダム種死編第14話です。
はい、レクイエム攻略からデスティニープラン発表まででした。
しれっとミーアが生き残ってます。
そして、ハイネにはなんと専用のデスティニー。
まあ、予想してた人はそれなりに居るでしょう。
一応設定としてはあったので使わせてもらいました。
シンが抜けた穴はこの人が代わりって事で。
デュランダル議長は、アニメでも『足掻く事は嫌』だと言っていたのでJのあのセリフを使わせてもらいました。
本当は『それ無くして何の生命か!』というセリフも居れたかったのですが、何となく違うと思ったので外しました。
さて、次はレクイエム・メサイア攻略戦になります。
お楽しみに。
シンとステラの今後は?
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異世界の旅についていく
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この世界に置いていく