転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件 作:友(ユウ)
【Side 三人称】
シンのデスティニーがゾンダー化したレイのレジェンドとハイネのデスティニーを倒した時と同じ頃。
アークエンジェルとミネルバの戦いも決着を迎えていた。
突撃したアークエンジェルがバレルロールによって反転しつつミネルバの武装の死角である真上を取り、更に真上にも攻撃可能な大型リニアカノン、『バリアントMk.8』によってミネルバの主砲である2門のトリスタンを破壊。
更にアスランの乗るインフィニットジャスティスのファトゥム01の突撃により、メインスラスターが破壊され、月面に不時着。
決着となった。
そして、ミネルバの艦長であるタリアは、総員退艦を命じると、副艦長であるアーサーに他の部下たちの事を任せ、小型艇でメサイアへと向かった。
そしてレクイエムも、記憶を取り戻したネオもといムウ・ラ・フラガのアカツキと、インフィニットジャスティスによって発射寸前で破壊に成功。
オーブへの攻撃は阻止された。
シンのデスティニーはメサイアに向かっていた。
しかし、メサイアには陽電子リフレクターに覆われており、突破は容易くない。
Jパワーによるパワーアップは既にタイムリミットを過ぎており、デスティニーは元の色を取り戻していた。
すると、キラのストライクフリーダムがミーティアを装備して現れ、陽電子リフレクター発生装置であるリングを破壊。
シールドが消失する。
シンはこれ幸いとばかりにメサイアに突入。
キラもネオ・ジェネシス発射口を潰した後、ミーティアから分離してメサイア内部に突入した。
アスランもその後を追う。
シンがデスティニーから降りて司令部に突入すると、先程の攻撃の余波か、爆発が起きた跡が見られ、兵士達が死んでいるのか気を失っているのか、誰もが机に突っ伏しており動かない。
そんな中、部屋の中央部にある司令官の席………ギルバートだけは無傷でその椅子に座っていた。
まるで、玉座に腰掛ける王の様に。
シンがギルバートの前まで歩み出ると、ギルバートは立ち上がった。
「まさか君が此処に来るとは思わなかったよ。シン・アスカ」
言葉ではそう言うが、驚いているよう見には見えない態度でギルバートは言う。
「………ギルバート・デュランダル。アンタに聞きたい。レイやハイネの機体にゾンダーメタルを仕込んだのは、アンタなのか?」
シンはそう問いかける。
その眼は確信を持ってはいるが、それでもシンは問いかけた。
「……………その問いに関しては『Yes』と答えよう」
ギルバートの言葉を聞くと、シンは歯を食いしばって拳を握りしめるとギルバートを睨みつける。
「何でだ!? レイもハイネもアンタの為に戦った! アンタの選ぶ道を信じて! それなのに、何で!?」
シンが叫びながら問いかける。
「勘違いしないでくれたまえ。あれは保険だったのだよ」
ギルバートは落ち着いた声でそう言う。
「保険だって!?」
「そう。もしジェイアークが介入してきたとき、彼らの目を引くためのね」
「……………ジェイさん達は、戦争には介入しないって言ってただろ?」
「だが、彼は感情に左右されている。実際に、オーブではゾンダーが現れていないにも関わらず、介入してきた」
「それは俺の為に………!」
「たとえ個人に対する事とは言え、君という優秀な兵士を我々は失う事となった。ならば、対策をしておくのは当然の事ではないのかね?」
「だからって……! ゾンダーにすることは無いだろ………!? ジェイさんから聞いただろ!? ゾンダーの目的は機界昇華だって………」
「ああ………もちろん分かっているとも……………『機界昇華』…………人の負の感情を取り除き、宇宙から争いを無くす……………まさしく私のデスティニープランの上位互換だ」
ギルバートは何処か嬉し気な笑みを浮かべる。
「なっ!?」
シンは驚愕の表情になる。
「人は愚かだ。故に何度も過ちを繰り返す。私のデスティニープランも、その輪廻をどうにかしようとした末の政策だったのだがね………だが、ゾンダーの機界昇華はそれよりも確実だ。そう思わないかね? キラ・ヤマト」
ギルバートの視線は、先程この場に現れたキラに向けられた。
「ッ!?」
シンがキラに気付く。
すると、キラはギルバートに銃を向けた。
「なるほど………だがいいのかな? 本当にそれで」
ギルバートは銃を向けられても動じずにそう問いかけた。
「止めたまえ。せっかくここまで来た…………そんな事をすれば、世界はまた混迷の闇へと逆戻りだ…………私の言っていることは真実だよ?」
続けてそう言うギルバート。
「…………そうなのかもしれません………でも、僕達はそうならない道を選ぶことも出来るんだ………それが許される世界なら…………」
「ふん………だが誰も選ばない。人は忘れる。そして繰り返す……! こんなことはもう二度としないと………! こんな世界にしないと……! 一体誰が言えるんだね!? 誰にも言えはしないさ………君にも………むろん
そう言い放つギルバート。
「……………だけど、僕達はそれを知っている。わかっていけることも、変わっていけることも………! だから『明日』が欲しいんだ! どんなに苦しくても、変わらない世界は嫌なんだ!」
「傲慢だね。流石は最高のコーディネイターだ」
「傲慢なのはあなただ! 僕はただの………1人の人間だ! どこも皆と変わらない………ラクスも! でも、だからあなたを撃たなきゃならないんだ! それを知っているから!」
その時、タリアが司令室に入ってくる。
「………だが、君の言う世界と、私の示す世界………皆が望むのはどちらかな?」
ギルバートは自信をもってそう言う。
「今ここで私を撃って、再び混迷する世界を、君は一体どうしようというのかね?」
「…………………」
キラは一瞬黙る。
すると、
「…………ジェイさんが言っていた。藻掻き足掻く事こそ生命の本質だって…………」
シンが口を開いた。
「藻掻き足掻く事を否定した世界に………生命の『未来』は無い。俺はそう思う」
シンは真っ直ぐにギルバートの方を向いてそう言った。
そして、その言葉に背中を押されたように、
「…………ッ。覚悟はある! 僕は戦う………!」
キラもそう言い放った。
更にそこでアスランも入室してきた。
「キラッ!」
銃を構えるキラにアスランは思わず叫ぶ。
すると、
「……………やはり、わかってはくれんかね…………」
ギルバートは諦めたようにため息を吐いた。
そしてシンやキラ達に背を向ける。
すると、
「どうやら、賭けは私の負けの様だ………」
誰かに話しかけるようにそう呟いた。
直後、ギルバートの前の床が大きく盛り上がり、そこから人よりも大きなトゲ付きの紫色の球体………原種核が現れた。
「原種核!?」
シンが叫ぶ。
ギルバートは再び振り向くと、
「デスティニープランが失敗に終わった今、彼らを束縛するものは無い」
「どういうことだ!?」
ギルバートの言葉にシンは叫ぶ。
「私は彼と取引をしていたのだよ。彼をジェイ殿達から匿う代わりに、地球の機界昇華は一時待って欲しいとね。その代わり、デスティニープランによって人が宇宙の害悪にならないと判断すれば、地球の機界昇華は中止すると………」
「原種がそんな取引に応じるもんか!!」
シンが叫ぶ。
「だが、実際に彼は活動を休止していた。ゾンダーメタルも彼からの贈り物だよ」
「ッ………そいつがレイたちを………!」
「だが、残念なことにデスティニープランは実行不可能となってしまった。故に、彼も活動を再開する。私は、人類は人類の手で正しい存在になってほしかった」
すると、原種核が変形し、ギルバートを包み込み始めた。
「ああ………私の身体は君にあげよう。だが、キラ・ヤマトとラクス・クライン。この2人だけは確実に始末してくれ。例えゾンダーになろうとも、この2人はこの宇宙に存在してはいけない者達だ」
ギルバートはそう呟く。
「今ジェイ殿が気付いても、ここに来るまでにどれ位かかるだろうな? 少なくともキラ・ヤマト、君はここで終わりだ」
「議長!」
「ギルバート!」
アスランとタリアが叫ぶ。
だが、ギルバートの身体が原種核にすっぽりと覆われ、繭の様になる。
そして、紫の光と共に人型を成していき、ギルバートの姿に薄紫のマントを纏った姿となった。
ただ、髪の色は銀色になっている。
「個体名ギルバート・デュランダル………心弱き者の中ではまだ真面な存在だったが所詮はこの程度…………やはり知的生命体は全てゾンダーに昇華されるべきである」
ギルバートに同化した原種はそう口にする。
「だが、契約は契約。個体名キラ・ヤマト、及びラクス・クラインは消去する」
すると、原種がキラを見据える。
「個体名ギルバート・デュランダルの記録より外見情報の一致する個体を確認。個体名キラ・ヤマト。消去する」
原種がそう言った瞬間、原種の銀髪がうねる様に動き、鋭い刃となってキラに襲い掛かった。
「ッ!?」
突然の事にキラは動けなかったが、
「キラッ!」
アスランが咄嗟に引き倒してその刃を躱す。
「アスラン!? くっ……!」
シンが叫び、咄嗟に持っていた銃で原種に向かって発砲するが、銀髪が盾の様になり、銃弾を受け止めた。
拉げた銃弾が床に転がる。
しかし、原種はシンを一瞥すらせずにキラを見据え続ける。
「消去する!」
原種は、今度は逃がさないと言わんばかりに髪を大きく逆立たせて束ねたかと思うと、それが螺旋を描くように絡み合い、巨大なドリルの様になった。
「なっ!?」
アスランが思わず叫ぶ。
あんな巨大なものを躱すことは不可能。
巨大な髪のドリルがキラに襲い掛かり…………
原種の目の前の空間が歪んだ。
「ッ!?」
原種が目を見開いた瞬間、その歪みから巨大な円柱状の物体………ミサイルが飛び出した。
「ぐおっ!?」
そのミサイルは原種に直撃すると、そのまま押し込んでいき、壁に激突して止まる。
「な、何っ………!?」
「ミサイル………!?」
キラとアスランが驚愕の声を漏らす。
すると、
「空間転移型ミサイルには、こういう使い方もある」
そのミサイルの上に誰かが立っていた。
それは、
「ジェイさん!」
シンが叫ぶ。
「無事のようだな、シン………」
ジェイが背中越しにシンに視線を向けるとそう呟く。
「ジェイさんこそ、何てド派手な登場の仕方ですか………!」
シンは半分呆れ、半分喜びの表情でそう言った。
ジェイはフッと笑みを浮かべると、
「こいつは俺が引き付ける。お前達は自分の機体に戻って脱出しろ!」
「はい!」
ジェイの言葉にシンは迷いなく頷く。
「キラ、俺達も………」
「うん………!」
アスランはキラと脱出しようとしたが、呆然としているタリアに気付く。
「グラディス艦長!」
「ッ!? アスラン!」
「グラディス艦長も脱出を!」
「え、ええ………」
原種となったギルバートに言葉は届かないと分かっているのか、やや躊躇しながらも部屋を出た。
残ったジェイが前を見据えた瞬間、ジェイはその場を飛び退いた。
その瞬間切り刻まれるミサイル。
ジェイが着地すると、バラバラになったミサイルの向こうから、銀髪を逆立たせた原種が現れる。
「髪が武器に…………こいつは鉄髪原種か!」
ジェイがそう言った瞬間、髪が複数の束に別れ、それが刃物となって次々とジェイに襲い掛かる。
ジェイは高速移動で躱しながらラディアントリッパーを抜き、
「はぁああああああああああっ!!」
髪の刃を掻い潜って懐に飛び込み、一閃する。
しかし、その一撃は髪の一部を硬質化させた盾によって防がれた。
「チッ!」
ジェイは舌打ちするとその場を飛び退く。
その瞬間、その場に複数の刃が一斉に突き立った。
「あれを喰らえばただじゃすまんな………」
エヴォリュダーとはいえ、ジェイの中身は元々一般人だ。
幾度か戦いを乗り越えたとはいえ、生身での戦いは数える程度。
しかも、同等以上の相手は初めてだ。
ジェイは今までで一番の危機感を感じていた。
「ソルダートJの紛い物………消去する」
原種はジェイを最優先対象と認識したのか髪をドリル状にして襲い掛かる。
「ッ……負けるものか!」
ジェイはラディアントリッパーを構えて立ち向かう。
とはいえ、巨大なドリルを相手にまともに受け止めるわけはない。
高速移動で原種の後ろに回り込む。
だが、髪の一部が変化し、刃となって襲い掛かった。
「ぐおっ!?」
何とか直撃は防ぐが、吹き飛ばされるジェイ。
しかも、間の悪いことに背後は壁で叩きつけられる。
「ぐうっ!?」
叩きつけられたダメージに声を盛らすジェイ。
だが、原種の攻撃の手は緩まない。
再び複数の刃がジェイに襲いかかる。
ジェイは首を逸らして何とか躱すが、髪の刃は後ろの壁に突き刺さる。
しかしジェイは気付いた。
今の攻撃はジェイを倒すためのものではない事に。
「くっ、身動きが………」
髪の刃は頭の横、両脇、足とジェイの動きを封じるためのものだった。
そして、原種は残った髪を束ねて再び巨大なドリルを作り出す。
「ま、拙いっ!」
ジェイは命の危機に戦慄を覚えた。
「ソルダートJの紛い物………消去する!」
その髪のドリルがジェイに向かって突き出された。
「くっ………!?」
その瞬間、
『ジェイ!!』
ハルの声が響いた瞬間、司令室の壁が大きく崩落。
白いくちばしの様な艦首が現れる。
それは、ジェイアークの艦首だ。
「うぉおおおおおおおっ!?」
突然の事にジェイも困惑する。
だが、そのおかげで原種の拘束から逃れることが出来た。
すると、
「ジェイから離れろ!!」
ハルが浄解モードで現れ、力を開放しつつ原種に迫る。
「ッ…………アルマかっ!」
原種は表情を歪める。
「ハルッ!?」
ジェイも叫ぶ。
「はぁあああああああああああっ!!」
ハルから放たれる赤い光の強さが増す。
「ぐっ………アルマめ……この私と対消滅する気か………!?」
原種は髪を伸ばしてハルに攻撃を仕掛けるが、その髪はハルに届く前にボロボロと崩れ去る。
「ッ!? やはり無理か………ここは一時撤退する」
原種はそう言うと、床に穴をあけて姿を消した。
原種が姿を消したことを確認すると、ハルは力を緩めるが、そのまま力を失った様に浄解モードが解かれ、落下しそうになった。
「ハルッ!」
そのハルを、ジェイが飛び出して横抱きで受け止める。
「ハル……なんて無茶を…………」
アルマであるハルは、原種と対消滅する関係にある。
原種とまともに相対すれば、原種1体で対消滅して命を失ってしまうのだ。
「だって、ジェイが危ないのを、黙って見てることなんてできないよ………」
ハルは辛そうにしながらも笑って見せる。
「…………ありがとう」
ジェイは礼を言う。
その時司令室が、いや、メサイア全体が振動を始めた。
「これは………原種が何か始めたか!」
ジェイはそう察する。
「まずは脱出する!」
ジェイはそう言ってハルと共にジェイアークに乗り込んだ。
その頃、外では脱出したシンやキラ達がメサイアの変化に驚愕していた。
メサイアの一部が変化し、まるで銀の髪の様なものになったのだ。
「これは…………」
「まさか原種がメサイアを取り込んだっていうのか………!?」
驚愕する面々だが、突如としてメサイア原種の一部が爆発した。
「何だっ!?」
驚愕するアスランだったが、その爆煙を切り裂き、白い戦艦が姿を現す。
「ジェイアーク! ジェイさん!」
シンが嬉しそうな声を上げた。
「やはりメサイアを取り込んだか……………しかし、最後の手段で巨大化を選んだ悪党の末路は決まっている!」
ジェイはそう叫ぶと飛び上がり、
「フュゥゥゥジョン!!」
背後の鳥を思わせるエンブレムの場所からジェイアークと同化する。
「ジェイバード、プラグアウト!」
ジェイキャリアからジェイバードが分離、上昇しジェイキャリアが艦首後方から直角に折れ曲がり、巨大な胴体と脚部を形成する。
「メガッ……フュージョン!!」
ジェイバードの砲台部分が直角から垂直方向に変形。
その直後、艦橋部分と砲台部分が分離。
同時に砲台部分が左右に分離した。
艦橋がそのままジェイキャリアの艦首上部にドッキングし、艦首に取り付けられていた巨大な錨、『ジェイクォース』が分離。
更に分離した砲台部分の先が変形し、マニピュレーターが現れる。
そのまま砲台が艦首の両サイドに接続され、巨大な腕となる。
ジェイクォースが右前腕の内側に装着されると、最後に艦橋部分のJジュエルが輝いて上部にスライドし、デュアルアイが現れた。
「キングッ………ジェイッ………ダァァァッ!!」
この世界に、再びキングジェイダー現れた。
すると、メサイア原種が髪を針の様にして無数に飛ばしてくる。
だが、
「ジェネレイティングアーマー、全開!」
キングジェイダーが赤い防御フィールドに包まれると、それらが全て弾かれた。
そのままキングジェイダーは右腕を突き出すと、
「ジェイクォォォォォォォォス!!」
そこから火の鳥が羽搏いた。
ジェイクォースがメサイア原種の一部に飛び込むと、そのままメサイア原種の中を駆け巡り、外周に沿ってメサイア原種を一回りする。
そして、膨大なJパワーの解放と共にメサイア原種は粉々に砕け散った。
ジェイクォースが戻ってきて右手に収まると、そのジェイクォースの先には原種核が確保されていて、キングジェイダーはその原種核を掴んだ。
「あれほど巨大な要塞を一撃で…………」
アスランは、キングジェイダーの力に驚愕する。
「さっすがジェイさん!」
シンはジェイを信頼しているのか、喜びが勝っていた。
そしてハルによって原種核が浄解され、ギルバートとゾンダークリスタルへと変わった。
こうして、この戦争に終止符が打たれることとなった。
ガンダム種死編第17話です。
さて、議長はやはり原種と絡んでました。
まあ原種があそこまで融通効くかと言われれば首を傾げるしかないわけですが…………その辺はご都合主義でご勘弁を。
今回はキングジェイダーの戦いより白兵戦に重きを置いてみました。
このジェイはやはり戦闘経験が足らないわけです。
でも、キングジェイダーになればやはり一撃。
次回でガンダム種死編はラストです。
次の世界はナデシコですね。
お楽しみに。