転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件   作:友(ユウ)

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第3話 『夫らしく』でいこう!

 

 

 

この世界に来てから半年。

間もなくナデシコ就航の日だ。

その間、俺達が何をやっていたのかと言えば、俺とハルは情報収集をしつつ、この世界にも表れるであろうゾンダーや原種の警戒。

何故かこの半年間全く音沙汰が無いが。

暫く世界の様子を見つつ、日本に戻ってきた俺とハルは佐世保にある『雪谷食堂』という定食屋に入る。

すると、

 

「いらっしゃいませ~」

 

扉を潜ると女性店員が声を掛けてくる。

その女性店員は金髪の少女。

 

「あ、ジェイとハル!」

 

パッと顔を輝かせて笑みを浮かべる女性店員。

と、いうか、

 

「よっ!」

 

「やっほーステラ! 看板娘が板についてるね」

 

その女性店員はステラだ。

すると、店の奥の方を向き、

 

「シン! ジェイとハルが来たよ!」

 

そう声を掛ける。

 

「ジェイさん! ハルさん! 帰って来たんですね!」

 

カウンターの奥から顔を見せたのは、頭に手ぬぐいを巻いて前掛けを掛け、洗っている最中の皿を持ったシンだ。

 

「久しぶりだな、シン」

 

「元気そうだね」

 

こうしてシン達に会うのは1カ月振り位だったりする。

何故これほど時間が空いているのかと言えば、ゾンダーや原種を警戒して、地球上だけではなく、各コロニーや月、果ては火星や木星まで様子を見に行ったからだ。

まあ、全部空振りに終わったが。

俺達は空いている席に着く。

すると、

 

「ご注文は?」

 

ステラがメモ用紙片手に注文を聞いてきた。

以前の片言と違い、かなりハッキリと口を利いている。

ステラもこの食堂のアルバイト経験で、コミュニケーション能力が育ったようだ。

そして俺達は、

 

「ラーメン2つ。あと、餃子とチャーハンも付けてくれ」

 

「かしこまりました」

 

ステラはそう言ってカウンターに注文を告げる。

すると、カウンターの奥から食材を炒める音が聞こえると共にいい匂いが漂ってくる。

暫くして、ステラがトレーに注文した品物を乗せて運んできた。

 

「お待たせしました」

 

俺達の前に品物を置く。

俺達は合掌し、

 

「「いただきます」」

 

そう言って割り箸を割った。

ラーメンを掬い、口に運ぶ。

一口食べると、

 

「おっ、美味い! 一ケ月前よりもかなり美味くなってるな!」

 

俺は純粋な感想を口にする。

 

「スープの濃さも良い感じだよ。美味しいね!」

 

ハルもニコニコしながらそう言う。

すると、

 

「………だそうだ。よかったじゃねえか」

 

雪谷食堂の店主であるサイゾウさんが、厨房の奥に居る人物に声を掛けた。

すると、その人物がカウンターの方に歩いてきて、その姿が露になる。

それは、白いコックコートを着た青年。

最初に会った時と比べれば、穏やかな雰囲気を感じさせるようになった男。

 

「アキト」

 

「フッ…………」

 

アキトの名を呼ぶと、アキトは嬉しそうに笑みを浮かべる。

それからサイゾウさんに向き直ると、

 

「それではサイゾウさん。最後の審査をお願いします」

 

厨房の一角に、俺達が注文したのと同じラーメンとチャーハンが置かれていた。

サイゾウさんは、無言でラーメンのスープをレンゲで掬って一口飲み、麺を一口啜る。

それから、チャーハンを一口食べた。

 

「…………………………」

 

それから少し考えるように目を伏せた後、目を開いてアキトを見た。

 

「…………………………」

 

アキトも黙ってその視線を受け止める。

そして、

 

「よくもまあ、たった半年でここまで腕を上げたもんだ。いや、腕を取り戻したって言うべきか?」

 

口元に笑みを浮かべてサイゾウさんは言った。

 

「文句無しの合格だ。胸を張って良い」

 

満足そうに頷く。

 

「ッ! ありがとうございます!」

 

アキトは万感の思いを込めて頭を下げた。

 

「やったな。アキト!」

 

「アキト凄い!」

 

シンとステラも喜びの表情を浮かべた。

 

「ああ………! シンとステラもありがとう」

 

半年間自分を手伝ってくれた2人に礼を言うアキト。

すると、

 

「……………行くのか?」

 

サイゾウさんが何かを察したように口を開く。

 

「…………はい!」

 

アキトはハッキリと頷く。

 

「半年前だったか………いきなりお前達がやってきて、アルバイトとして半年雇ってくれなんて頼み込んできたのは…………」

 

サイゾウさんは懐かしそうに呟く。

 

「誰が来たかと思えば、病み上がりでブランクのある半人前にまともな料理もしたことねえド素人。それにコミュ障のガキと来たもんだ」

 

言うまでも無く、順番にアキト、シン、ステラである。

 

「それがたった半年で、一人前の立派なコック。なんでも雑用を熟す縁の下の力持ち。近所で評判の美人な看板娘になったんだ。まったく驚きだぜ」

 

サイゾウさんは、ハッハッハと笑って見せる。

 

「まあ、優秀なスタッフが居なくなるのは店としては損だが………やることが有るんだろ?」

 

「はい」

 

「そうか。頑張ってこい」

 

サイゾウさんはそうアキトに激励の言葉を掛けた。

 

「お世話になりました!」

 

アキトは改めて頭を下げ、それに倣ってシンとステラも頭を下げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

【Side ルリ】

 

 

 

 

 

 

―――佐世保 地下ドック ナデシコブリッジ

 

「ちょっとそれどういう事!? 言うに事欠いてアタシ達はいらない!?」

 

ブリッジの壇上でムネタケ・サダアキ提督が前回と同じくゴート・ホーリーさんに食って掛かってます。

 

「あの人達ですよね、火星でコロニーに戦艦落としたの」

 

「まあ、キャンキャン吠えたくなるのも分かるけど」

 

メグミ・レイナードさんとハルカ・ミナトさんのやり取りも前と同じ。

でも……………

 

「彼らは各分野のエキスパート。そして艦長は地球連合大学在学中、『統合的戦略シミュレーション』の実習において無敗を誇った逸材です」

 

ゴートさんがそう言うと、

 

「で!? その逸材は何処なの!?」

 

ムネタケ提督が叫びながらそう聞くと、

 

「はーい! 私がナデシコ艦長、ミスマル・ユリカです。ぶいっ!」

 

私の横に居たユリカさんが立ち上がりながら振り向き、壇上を見上げながらVサインを決めました。

 

「「「「「ブイッ!?」」」」」

 

ユリカさんの行動に皆が驚きます。

しらけたとも言うでしょうか?

っていうか、またやるんですねユリカさん。

中身25歳ですよね?

というわけで、今回ユリカさんは遅刻していません。

私は内心呆れつつ、この半年を振り返ります。

ナデシコCが攻撃を受けて相転移エンジンが暴走。

ユリカさん。

そしてアキトさんと一緒に死んだ……………と思ったら、何故か西暦2196年の4月に目覚めました。

信じられませんが、時を遡ったようです。

身体は16歳でしたが、どうやらこの世界では私の誕生が早かったらしく、16歳で間違いないようです。

私は現状を把握してすぐユリカさんとアキトさんの事を調べました。

ユリカさんについては直ぐわかりました。

前と同じく地球連合大学を首席で卒業していました。

でも、アキトさんは……………

私が調べた限り、この世界のテンカワ・アキトは火星に木星蜥蜴が現れた際に死亡したことになっています。

聞いた話では、アキトさんはこの時に地球にボソンジャンプしたはずです。

しかし、火星襲撃から私が目覚めた半年前の地球の至る所を調べても、アキトさんの形跡は発見できませんでした。

この世界にアキトさんは居ない。

そう悟った時、私は目の前が真っ暗になる気分でした。

ですが、救いもありました。

それは、ユリカさんも私と同じで、精神が時を遡ってきたユリカさんだったんです。

何とか会いに行く段取りをつけ、出会ったときに発覚しました。

再会を喜びつつも、私はこの世界にアキトさんが居ない事を告げます。

ユリカさんは少し悲しそうな顔をしましたが、

 

『アキトはきっと来るよ! だってアキトは私の王子様なんだもん!』

 

そう言って気丈に振舞っていました。

だから、私も信じることにしました。

あの人は、きっと私達の所に来てくれると。

私が半年間を振り返っていた時、ふと思い出しました。

………………あ、そう言えばこの時って。

私はオモイカネにアクセスして格納庫の様子を映し出します。

そこでは、

 

『レッツゴー! ゲキガンガー!!飛べー!! スペースガンガー!! トドメは必殺ぅ ゲキガンブレード!!』

 

エステバリスがポーズを取りながら叫んでいます。

 

『ちょっとちょっと! アンタ! 何なんだよ?! パイロットは三日後に乗艦だろ!』

 

『だっははははは! いや、ほんまもんのロボットに乗れるって聞かされたらも~、 一足先に来ちまいました。いやん、バカン、あドッカーン!』

 

ヤマダ・ジロウさんですね。

懐かしくも暑苦しいです。

整備班長のウリバタケ・セイヤさん、お疲れ様です。

 

『何だ何だ? 何のまねだ!?』

 

『諸君だけにお見せしよう、このガイ様の超スーパーウルトラグレ~ト必殺技!人呼んでー!!』

 

私はヤマダさんがおかしな行動を取り始めたので、オモイカネを介してエステバリスのシステムに介入。

強制的にシステムダウンさせました。

 

『あれっ? 動かなくなったぞ?』

 

私はヤマダさんに通信を繋ぎます。

 

「私がエステバリスのシステムを強制的にダウンさせました」

 

『何だよ!? せっかく俺の超スーパーウルトラグレ~ト必殺技を披露してやろうと思ったのに!』

 

ヤマダさんはそう言いますが、

 

「あなたは宇宙に出るまではたった1人のパイロットなので、怪我でもされたら困ります」

 

実際に、前回は足の骨を折る大怪我を負っていましたし。

こう考えると、前回はアキトさんが居なければ速攻でアウトだったのでは?

そう思っていると、振動と共に警報が鳴り響きます。

どうやら前回と同じで木連………木星蜥蜴の無人機による襲撃が始まったようです。

 

「ナデシコの対空砲火を真上に向けて、敵を下から焼き払うのよ!」

 

相も変わらずムネタケ提督は無茶苦茶な作戦を。

 

「上に居る軍人さんとか吹っ飛ばす訳?」

 

ミナトさんが冷静な意見を言います。

 

「ど、どうせ全滅してるわよ!」

 

ムネタケ提督はそう言いますが、前回でも戦死者は5名しかいませんでしたからね。

 

「それって非人道的って言いません?」

 

「ムキーッ!!」

 

メグミさんのツッコミに猿のような声を上げます。

 

「艦長は何か意見はあるかね?」

 

フクベ・ジン提督がユリカさんに意見を求めます。

 

「海底ゲートを抜けて一旦海中へ。その後浮上して敵を排除、殲滅します!」

 

ユリカさんが以前と同じ作戦を立案します。

 

『そこで俺の出番さぁ! 俺様のロボットが地上に出て囮となって敵を引き付ける! その間にナデシコは発進! くぅぅ~……! 燃えるシチュエーションだぁぁっ!!』

 

ヤマダさんが通信で発進準備をしながら叫びます。

今回は怪我してないので普通に出撃できますね。

 

「それではヤマダさん。お願いします!」

 

『ちっがーう!! それは仮の名前………俺の名はダイゴウジ・ガイ!! 魂の名前……真実の名前だ!!』

 

そこは相変わらずのヤマダさんです。

ヤマダさんのエステバリスがエレベーターで地上に向かいます。

 

「作戦は10分間。とにかく敵を引き付けろ。健闘を祈る」

 

ゴートさんがそう伝え、

 

「エレベーター停止します」

 

ヤマダさんに地上へ出た事を私が告げます。

そして、

 

『よっしゃぁぁぁぁ! 行くぜぇぇぇぇぇぇ!!』

 

六本脚の多脚型の蟻のような見た目の無人兵器、『ジョロ』の大群に囲まれているにも関わらず、勇ましく叫びながらエステバリスが目の前のジョロに殴りかかりました。

殴ったジョロが吹き飛び、後ろに居たジョロも巻き込んで爆発します。

 

『はっは~! 如何だ!?』

 

ヤマダさんは調子に乗ってそう言いますが、

 

『どわっ!?』

 

後ろから機銃の攻撃を受けてよろけました。

 

『この野郎! やりやがったなぁ! ゲキガンパァンチ!』

 

直ぐに振り返りながら攻撃したジョロをワイヤードフィスト(ワイヤーで繋がったロケットパンチ)で殴り飛ばします。

ただ、四方八方を囲まれた状態の為、また後ろから攻撃を受けます。

 

「ヤマダさん! あなたの役目は囮です! 無理に相手を撃破せずに逃げ回って敵を引き付けることを優先してください!」

 

ヤマダさんの状況にユリカさんが思わず指示を飛ばします。

しかし、

 

『ダイゴウジ・ガイだ! 敵に背中を向けるなんて、男のすることじゃねえんだよ!』

 

そう言って指示を聞かずに敵に向かっていきます。

ディストーションフィールドでダメージは軽減できていますが、このままではジリ貧でしょう。

 

「空中より、バッタが多数接近中」

 

私がレーダーを見ながらそう報告する。

『バッタ』とは、黄色い装甲でミサイルを装備した、木連で最もポピュラーな小型無人兵器です。

 

「ルリちゃん! ナデシコの発進急いで! このままじゃ持たないかも………」

 

「善処します」

 

以前のアキトさんは、パイロットとしては素人だったかもしれませんが、逃げ回って結果的に上手く囮の役目を果たしてくれました。

ですが、今の状況はその時よりも悪いです。

私が出来るだけ早くナデシコの発進を進められるようにしつつ、状況を伺います。

その時気付きました。

 

「艦長、このままでは拙いです」

 

「どうしたの? ルリちゃん」

 

私の言葉にユリカさんが聞き返してくる。

 

「ヤマダ機が地上に張り付いているせいで、敵機が地上付近に集まっています。もしこのままナデシコが発進して敵を殲滅しようとしても、地上ごと薙ぎ払う事になります」

 

「えええっ!?」

 

「このままでは拙いぞ! どうする艦長?」

 

ゴートさんがユリカさんに問いかけます。

 

「………………………………」

 

ユリカさんは目を伏せます。

 

「艦長!」

 

ゴートさんは強い口調でユリカさんに呼び掛けますが、ユリカさんは目を伏せたまま何も言いません。

ですが私には、ユリカさんが何かを信じて待っているように思えました。

そして………………レーダーに反応がありました。

 

「新たにこの空域に接近する反応を感知!」

 

私は咄嗟に報告します。

ユリカさんは目を見開き、

 

「モニターに出して!」

 

そう叫びます。

正面に開いたモニターに映ったのは、飛翔する黒い機動兵器。

その姿を見て、私は思わず目を見開きます。

 

「何だあれは!?」

 

ゴートさんが叫び、

 

「敵よ! 敵に決まってるわ!」

 

ムネタケ提督は喚きますが、

 

「いいえ! あれは味方です!」

 

ユリカさんはそう言い切ります。

 

「なんでそんなこと言えるのよ!?」

 

ムネタケ提督が更に喚きます。

でも、ユリカさんは希望に満ちた目でモニターを見つめます。

その視線の先で黒い機動兵器―――ブラックサレナが、集中攻撃を受けるヤマダさんのエステバリスの下に急行。

両手に持ったハンドカノンで周囲の敵を一掃します。

そして、

 

『無事か!? ガ………そこのエステバリスのパイロット!』

 

ヤマダさんのエステバリスの隣に着地しながらそう言いました。

今、ガイって呼ぼうとしましたね?

それなら、乗っているのは間違いなく………

 

『おおっ!? 何もんだオメーは!?』

 

ヤマダさんが驚きながら問い返します。

それだけ元気なら平気そうですね。

すると、

 

「艦長、ブラックサレナから通信です」

 

私はそう報告する。

 

「すぐに繋いで!」

 

ユリカさんは即答しました。

新しく空中にモニターが開き、黒いバイザーを掛けた男性の姿が映し出されます。

 

「「「「「あ、怪しい…………」」」」」

 

ブリッジに居る皆さんは彼を見てそう評しますが、その人こそ私とユリカさんが求めてやまない人物です。

 

『聞こえるか!? ナデシコ!』

 

黒いバイザーを付けたその人………アキトさんの声が聞こえます。

 

「アキト!」

 

「アキトさん!」

 

ユリカさんと私は思わず声を上げます。

 

『ユリカ………ルリちゃん…………待たせて悪かった…………』

 

アキトさんは優しそうな声で私達にそう伝えます。

 

「アキト………! アキト、アキト! アキトぉ!!」

 

ユリカさんが感極まって涙ぐみながらアキトさんの名を連呼します。

すると、

 

『泣くなユリカ………』

 

アキトさんはバイザーに手を掛けてそれを外すと、優しい瞳でユリカさんを見つめます。

 

『大丈夫だ…………』

 

「アキト…………?」

 

『俺はもう………どこにも行かないから………!』

 

微笑みを浮かべてアキトさんはそう言いました。

 

「アキト…………!」

 

ユリカさんも、その言葉に嬉しそうに笑みを浮かべました。

私も自然と口元が綻びます。

アキトさんは、もう一度バイザーを掛けると表情を引き締め、

 

『作戦は分かっている。敵はこちらで引き付けよう。ナデシコは発進を急げ!』

 

「うん! 気を付けてね、アキト!」

 

通信を終えると、

 

「ちょ、ちょっとユリカ!? あいつ誰なの?」

 

副艦長のアオイ・ジュンさんがユリカさんに問いかけます。

居たんですねアオイさん。

 

「話は後です! ナデシコの発進を急いでください!」

 

ユリカさんは表情を引き締めてそう言いました。

戦場では、ジョロやバッタがブラックサレナとヤマダさんのエステバリスに殺到しようとしていました。

でもその時、別方向から何かが回転しつつ飛来してきて、バッタを数機纏めて切り裂き、爆散させました。

アキトさんとの再会に気を取られていましたが、ブラックサレナとは別に2つの新たな反応があります。

 

『先行しすぎだぞ、アキト!』

 

『シン!』

 

通信から聞こえたのは少年の声。

飛来した回転物が戻っていった先に、エステバリスの倍以上もある大きさの、人型ロボットが存在していました。

青を基調としたトリコロールカラーのその機体は、回転物を片手でキャッチします。

今のはブーメランのような武器でしょうか?

更に、地上のジョロを一直線に殲滅しながらもう一つの反応がアキトさん達に近付きます。

 

『でぇぇぇぇぇぇい!!』

 

通信から聞こえるのは少女の声。

四足歩行の獣のような形の黒い機動兵器が背中のウイングに取り付けられたビームの刃でジョロを切り裂きながら現れました。

 

『ステラ!』

 

『今度は何だ!? 犬か!?』

 

ヤマダさんも驚いています。

 

『安心しろ。味方だ』

 

アキトさんはそう言います。

アキトさんが言うなら大丈夫ですね。

ユリカさんも同意見の様です。

 

『シン、ステラ。やりすぎるなよ。今回の俺達の役目は囮だ。ナデシコに花を持たせてやってくれ』

 

アキトさんのその口ぶりは、その気になれば敵を全滅させることも簡単だと言っているように聞こえます。

 

『わかってるよ!』

 

『ん!』

 

シンと呼ばれた空を飛ぶ方のロボットは、先程キャッチした物から光の剣を出現させます。

あれは、ビームを剣にしたものでしょうか?

 

『はぁあああああああああっ!!』

 

その一撃は、そこまで出力は高くないとはいえ、ディストーションフィールドを持つバッタを軽々と切り裂いていきます。

更に、ステラと呼ばれた方の獣型の機動兵器が飛び上がると、驚くことに変形して人型ロボットになりました。

そして腰にある筒状の物を掴み、剣を抜くような仕草をすると、同じようなビームの剣が現れます。

 

『でやぁああああああああっ!!』

 

黒いロボットもジョロを簡単に切り伏せます。

 

『おおおおおおおおっ!? 変形した!? カッケェェェェェェェッ!!』

 

どうやら『変形』がヤマダさんの感性に刺さったようです。

 

『俺達も行くぞ。敵を引き付ける』

 

『お、おう!』

 

アキトさんがそう言うと、ヤマダさんは場の雰囲気に流されたのか、素直に頷きました。

4機は海岸方面に移動を始めます。

それに釣られるように無人兵器群も後を追ってきました。

ナデシコの発進を進める中、私はそれぞれのロボットを観察していました。

ヤマダさんのエステバリスはともかく、アキトさんのブラックサレナはハンドカノンのみで的確に邪魔になるジョロやバッタだけを撃ち抜いていきます。

そして空を飛ぶロボットは、あれだけの大きさにも関わらずすさまじい機動性と運動性能を発揮し、無数のミサイルを殆ど避けています。

時々直撃コースの物もありますが、それは手から光の盾のようなものを発生させ、無傷で防ぎます。

武器は、先程のビームの剣で、近くの物は切り裂き、遠くに居るバッタはブーメランにして投げつけて撃破してます。

時々素手でバッタを掴んで爆破したりもしてます。

何で掴んだだけでバッタが爆発するんでしょうか?

地上の変形する黒い機体は、獣型になったり人型になったりを繰り返し、人型のビームの剣や、獣型のウイングのビームの剣でジョロを撃破していきます。

時折機銃やミサイルの直撃を受けてはいますが、よろけはしても、損傷が見受けられません。

ディストーションフィールドも持っていないようなのに何故?

どれだけ頑丈な装甲してるんでしょうか?

そうこうしている間に、ナデシコも発進準備が完了。

海底ゲートを抜けて海に出ます。

 

「アキト!」

 

ユリカさんがアキトさんに呼び掛けます。

 

『飛べ!』

 

アキトさんがヤマダさんと黒いロボットのパイロットに呼び掛けます。

 

『うぉおおおおおおおおおおっ!?』

 

ヤマダさんのエステバリスが思いきりジャンプし、

 

『ッ!』

 

黒いロボットも獣型に変形して踏み切ります。

その先には何もない海面。

でも、ヤマダさんのエステバリスと黒いロボットは、海面に()()しました。

何故なら、その水面下からナデシコが浮上して来たからです。

2機はナデシコのブリッジの上面に着地していたんです。

海面から浮上したナデシコ。

 

「敵残存兵器、有効射程内に殆ど入ってます」

 

私はレーダーを確認しながらそう報告する。

 

「目標! 敵纏めてぜーんぶ!」

 

『いや、適当すぎるだろ………』

 

空を飛ぶロボットのパイロットからツッコミが入ります。

 

「てぇーーーーーーーーーーっ!!」

 

それでもユリカさんは発射の号令を掛けます。

ナデシコ中央部の砲口から、主砲であるグラビティブラストが発射されます。

黒い閃光の様に見える重力波砲が無人兵器を殲滅していきます。

でも、

 

「撃ち漏らした敵兵器が接近!」

 

レーダーを見ていた私がそれに気付き、報告します。

どうやら前回と完全に同じ、と言う訳には行かなかったようです。

でも、生き残った数は少数の為、

 

「ルリちゃん、ミサイル発射準備!」

 

ユリカさんは落ち着いて次の指示を出します。

私は迫ってくるバッタをロックオンしようとしました。

でもその瞬間、海中から赤い閃光が飛び出し、向かってきたバッタを全て破壊しました。

 

「何、今の?」

 

ユリカさんが怪訝な声を漏らしますが、

 

『大丈夫だ』

 

アキトさんがそう声を掛けます。

すると、赤い閃光が飛び出した海面から、巨大な物体が浮上してきます。

それは戦艦でした。

全長100m程の小型の白い戦艦。

すると、その戦艦から通信が入りました。

 

『こちらはジェイアーク。アキトの協力者だ』

 

またもや現れる予想外の存在。

私達の記憶は、あんまり当てにならなさそうです。

でも、まあ、アキトさんに再会できたから良しとしましょうか。

 

 

 

 

 

 





ナデシコ編第3話です。
自分がナデシコの逆行を書くならこういう風にやりたかった。
という事を詰め込んだ話でした。
はい、アキトが雪谷食堂で働くと予想してた人は多いでしょうが、シンとステラも働くと思ってた人はどれだけいるでしょうか?
シンは雑用のスペシャリストでステラは看板娘です。
そのおかげでステラのコミュニケーション能力がレベルアップしました。
次はアキトのナデシコの乗艦です。
お楽しみに。
シンとステラもナデシコ乗っけ解きたいけど、ナデシコの格納庫にデスティニーとガイア入らんよな…………
あと、ルリの扱いについてアンケートです。
3番目は単なる思い付きです。
次回もお楽しみに。

ルリの扱いについて

  • アキトの第二夫人
  • アキトの家族(娘的な)
  • Jアークに乗せたら情報戦でも無敵じゃね?
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