転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件 作:友(ユウ)
戦闘後、事情説明を含めてナデシコにやってきたわけだが、
「アキト!!」
「ユリカ………!」
現在目の前では感動の再会が繰り広げられてます。
青髪長髪の女性が、アキトに飛びつくように抱き着く。
アキトはそれを落ち着いて抱き留めた。
因みにアキトの格好はバイザーに黒マントなので絵面の方はややシュールである。
そして、アキトに歩み寄る人物がもう一人。
「…………アキトさん」
銀髪金眼の少女。
「ルリちゃん…………」
ユリカに抱き着かれながら、ルリに向かって微笑むアキト。
現在の場所は格納庫。
流石に正体不明の輩をナデシコ内部まで入れるつもりは無いらしい。
因みにデスティニーとガイアも格納庫にあるのだが………
何故エステバリス用の格納庫にMSが入るのかは気にしてはいけない。
いけないったらいけない。
すると、
「おほん! 艦長、そろそろ我々にも説明をして頂きたいのですが?」
ちょび髭に眼鏡をかけた男性が咳ばらいをしながら声を掛ける。
それに気付いたユリカがアキトから離れた。
すると、
「俺の名はテンカワ・アキト」
「ジェイだ」
「ハルだよ」
「俺はシン。シン・アスカ」
「ステラ・ルーシェ」
アキトを筆頭に俺達が名乗る。
「…………名乗るのが遅れましたな。私の事はプロスペクターとでも呼んでください。ま、ペンネームのようなものですな」
彼、プロスペクターは人の良さそうな笑みを浮かべながらそう言う。
「して、あなた達は何者ですかな? どうやらテンカワさんは、艦長やルリさんとはお知り合いのご様子ですが……………あの機動兵器の事も……………」
「はい! アキトは私の王子様です!」
プロスさんの言葉の途中にユリカが割り込む。
アキトは苦笑し、
「すみませんが詳しい話は黙秘します。ただ、俺はユリカやルリちゃん………いえ、このナデシコの敵には絶対にならないとだけは言っておきます」
「ふむ……………」
プロスさんは鋭い眼光でアキトを睨むが、アキトはそれを真正面から見返した。
「そしてお願いがある。俺をこのナデシコに乗せて欲しい」
アキトのその言葉に、プロスさんは目を見開いた。
「確かにあなたの力はこちらとしても魅力的ですが………正体不明の人物を軽々しく乗せるわけには…………」
「アキトの身元なら、私が証明します!!」
ユリカが叫ぶ。
「私も同じくです」
ルリも手を上げながらそう言った。
「………………ふう。艦長たちがそうおっしゃるのでしたら信じましょう」
プロスさんが息を吐きながらそう言う。
「では、あなたはパイロットとして契約を…………」
プロスさんがそう言いかけた時、
「もちろんそれは構わない。艦長の判断で必要というのなら出撃する。だが、パイロットは兼任という形にさせてもらいたい」
「兼任ですと? では、他にやりたい仕事があると?」
「ああ……………コックだ」
「……………コックさん………ですか?」
アキトの口から出た言葉に、プロスさんは唖然とした表情を見せた。
そして、
「「「「「コック~~~~ッ!?!?」」」」」
この場に居たユリカとルリ以外のナデシコメンバーが驚愕の声を上げる。
「………………そんなに驚く事か?」
「「「「「だって似合わない!」」」」」
「……………」
グサッと言葉の刃がアキトの胸に突き刺さったのを幻視した。
すると、
「どうしてそう決め付けるんですか!? アキトにコック以上に似合う仕事なんてありません!」
ユリカが怒った顔で反論した。
一方、ルリが意外そうな顔でアキトに歩み寄ると、
「アキトさん………もう一度コックをするという事は……………」
何かを察したようにそう問いかけた。
「ああ………五感が戻ったんだ………ジェイ達のお陰でね」
アキトはバイザーを外すと笑いかけた。
「アキトさん………!」
ルリはその言葉を聞くと、嬉しそうな顔をする。
「そう言えば、あの人達は一体………?」
ルリが俺達に視線を向けた。
「ひとまず、テンカワさんについてはコック兼パイロットとして雇いましょう。して、あなた達は…………」
プロスさんも俺の達の方を向く。
「俺達の言葉を信じるかどうかはそちらに任せる。俺達はこの世界とは違う世界の人間だ」
俺はいつもの如く俺達の身の上を掻い摘んで話す。
「はあ………? 異世界の人間と兵器にゾンダー、原種ですか? 俄には信じられませんな」
「そう言われるのは承知の上だ。話半分に聞いておけばいい」
プロスさんの反応に俺はそう返す。
「俺達の要望だが、このナデシコに同行したいという事だ。自分の身は自分で護るし、ある程度の手助けはしよう」
「ふむ………このナデシコについてこられるだけの力がそちらにはあると?」
「ああ」
その言葉に俺は迷いなく頷く。
「なるほど………」
プロスさんは何か思案顔になる。
「ついでに言うなら、シンとステラ、そして2人の機体をそちらで預かってくれると助かる。ジェイアークは完全な戦闘艦だ。2機を格納できるようなスペースは無いのでな。もちろん、有事の際にはそちらの戦力として数えてもらって構わない。データを取ることも自由だ」
これは予めシンとステラと話して決めた事だ。
実際2人にとってジェイアークの生活は不便な所があるだろう。
特に艦内移動については。
機体については異世界の物なので機密もクソも無いだろう。
C.Eとこの世界の技術水準は、総合的に見れば同等、もしくはこの世界の方が若干上なので、C.Eの技術が露呈した所で技術の前倒しなどは起こらないだろう。
「………というか、先程からそっちの整備班の人間が、デスティニーとガイアを調べたくてたまらないって顔をしてるんだが?」
俺は眼鏡をかけた整備班の男性。
おそらくウリバタケ・セイヤらしき男を見た。
「ギクッ!?」
身体を震わせるウリバタケ。
「ま、その2機を調べれば、この世界の兵器とは方向性が違うって事は分かると思うぞ」
「そうですか。あなたの戦艦については…………」
「こちらの技術提供は断らせてもらう。ジェイアークはこの世界の技術水準からみても完全なオーバーテクノロジーの塊だ。余計な火種の元になる」
「ふむ…………………」
プロスさんはしばらく考えていたが、
「よろしい! それでは一先ず仮契約という形で如何ですかな? そちらの事を信用出来たら本契約という事で」
「こっちの世界に戸籍も何もない俺達に契約なんぞ意味が無いと思うが………」
「それはこちらの職業柄という奴ですな」
一先ず同行の許可は得られたようで何よりだ。
【Side 三人称】
慣熟航行がてら海上を航行中のナデシコ。
その後ろをついて行くジェイアーク。
格納庫では、ウリバタケがさっそくデスティニーとガイアを調べまくっていた。
で、その中間報告なのだが、
「それではウリバタケさん。現在判明したことの報告をお願いします」
プロスペクターがそう言うと、
「ああ。シン達から話を聞いた所、この2機はモビルスーツという名前だそうだ。全高約18m。シンが乗ってた方をデスティニー、ステラちゃんが乗ってた方がガイアって名前らしいんだが、こいつらは明らかにエステバリスや既存の兵器とは違うな」
「ほう………?」
プロスペクターが興味深そうな声を漏らす。
「デスティニーの方が最新型でガイアの上位互換って感じなんだが、動力としてはガイアの方がバッテリー、デスティニーの方が核エンジン………原子炉を搭載してるな」
「あの大きさで核エンジンですか………それは中々………」
「武装もビーム兵器が主力だな。ビームライフルにビームサーベル。実弾兵装は牽制用にバルカンが付いてるぐらいか」
「ふむ………」
「だが、俺が着目したのは装甲だ!」
ウリバタケが叫ぶ。
「装甲ですか?」
「ああ、この2機に使われている装甲………ヴァリアブルフェイズシフト装甲、略してVPS装甲なんだが、一定の電圧の電流を流すことで相転移する特殊装甲だ。要は一定のエネルギーを消費することにより、物理的な衝撃を無効化する効果がある。相転移技術はナデシコの相転移エンジンにも使われているが、装甲に使うのは盲点だったぜ」
ウリバタケのテンションは、未知の技術に出会ったからか、かなり高い。
「わかりました。引き続き調査をお願いします」
「おうよ!」
「ふうむ………これほどまでに既存の技術とは違うものが出てくると、ジェイさんの言っていた異世界というものも現実味を帯びてきますなぁ………」
そうは言うが、プロスペクターの中ではまだ半信半疑と言ったところだろう。
ゾンダーでも出てくれば一発なんだろうが。
それからしばらくして、
「はい、ラーメン2つ」
ナデシコの食堂で、ステラが従業員としてラーメンを配膳していた。
ステラは当初ガイアのパイロットとして契約する予定だったが、この食堂を見て、自分もやりたいと言い出したのだ。
そして、そのラーメンを受け取ったのは、
「ありがとうステラちゃん!」
「どうも………」
ユリカとルリだ。
勿論このラーメンはアキトの作ったものである。
「いっただっきまーす!」
「………いただきます」
2人は手を合わせて箸を取り、ラーメンを啜った。
そして、
「………………アキトのラーメンの味だぁ…………」
ユリカは目に涙を滲ませながら呟く。
「……美味しいです」
ルリも嬉しそうだ。
それから厨房で楽しそうに働くアキトを見つめる。
「よかったね、アキト」
その様子を見て、嬉しそうに微笑むのだった。
ナデシコクルーが慣熟航行にも慣れてきたころ、艦内に一斉放送が流された。
ナデシコの目的地、それは火星だという事。
地球の事が心配なジュンは反論したが、プロスペクターは火星にも取り残されている人がいるかもしれないと言う。
しかし、そこでムネタケを始めとした軍人が銃を構えて割り込んできた。
勿論ブリッジだけではなく、食堂、格納庫と言った主だった場所にも軍人が乗り込んでくる。
しかし、
「はぁあああああああああああっ!!」
ステラが体勢を低くしながら軍人に駆け寄ると勢いを付けた飛び膝蹴りを繰り出す。
反撃を受けるとは思ってなかった軍人が慌てて銃を構えようとしたが、
「おっと、そこまで!」
「反撃を想定していなかったのは甘かったな」
シンとアキトによって捻りあげられた。
更に格納庫では、
「ぐわぁああああっ!?」
「ぐえっ!?」
バタバタと倒れる軍人達をウリバタケを始めとした整備班の人間がポカンと見つめていた。
目の前では、ジェイとハルが乗り込んできた軍人達をあっという間に気絶させていたのだ。
ジェイはナデシコの目的地をいう所で軍人が押し入ってくることを知っていたので、放送が始まった時点でナデシコに向かってきていたのだ。
因みに気合のハッキングで勝手に乗艦している。
そしてブリッジでは、
「ムネタケ! 血迷ったか!?」
何も知らなかったと思われるフクベがムネタケに向かって怒鳴る。
「フッフッフ………提督、この艦を頂くわ」
ムネタケが自信たっぷりにそう言う。
「その人数で何ができる?」
ゴートが冷静に問いかけた。
「わーったぞ! おめえら木星のスパイだな!? うっ……!」
ガイことヤマダが勇ましくそう言うが、銃を突きつけられて押し黙る。
だが、
「そこまでだ………!」
声が聞こえたかと思うと、一瞬で銃を向けていた軍人達がバタバタと倒れた。
「なっ!? なっ!? なっ!?」
突然の事にムネタケが狼狽える。
そこには、黒いバイザーを掛けて黒いマントを纏ったアキトと、アーマーを纏ったジェイだった。
「アキト!」
ユリカが嬉しそうな声を上げる。
「な、なによアンタ達!?」
ムネタケが喚くが、
「艦内の軍人たちは全て無力化した」
「残るはお前だけだ。諦めるんだな」
2人の言葉に、
「出鱈目を言わないで! そんなはず………」
「ルリちゃん」
アキトがルリに呼び掛けると、ルリはコンソールに手を翳し、モニターを開く。
そこには、見事に格納庫と食堂でふん縛られた軍人達が映った。
「そ、そんな………!?」
ムネタケはがっくりと膝を着く。
「ルリちゃん、ついでに周辺海域を探査して」
「了解しました」
ユリカの指示に、ルリは周辺の探査を開始する。
「連合宇宙軍の艦が3隻、海中に潜んでいます。さらに休眠中のチューリップが一つ」
「思った通りですね! 拿捕するにしては、軍人さんの人数が少なかったですから!」
ユリカはそう言うが、前回の記憶から分かっただけだろう。
すると、その艦の1隻が浮上して来た。
そしてモニターが開き、
『こちらは連合宇宙軍第3艦隊提督、ミスマルである!』
「お父様………」
ユリカの父親であるミスマル・コウイチロウが映った。
『おおユリカ、元気だったか?』
「はい!」
『これも任務だ。許してくれ、パパも辛いんだよ』
コウイチロウがそう言うと、
「困りましたなぁ………連合軍とのお話は済んでいるはずですよ? ナデシコはネルガルが私的に使用すると」
『我々が欲しいのは、『今』すぐ木星蜥蜴共と戦える兵器だ。それをみすみす民間に………!』
「いやー! 流石ミスマル提督分かりやすい! じゃあ交渉ですな! そちらへ伺いましょう!」
『よかろう………ただし! 作動キーと艦長は当艦が預かる!』
プロスペクターの言葉にコウイチロウはそう言い放った。
その言葉に、
「……………キーを抜くことはできません!」
ユリカはそう言い返した。
『何っ!?』
断られるのが意外だったのか、コウイチロウは声を上げる。
「近くに休眠中とはいえチューリップがあります。万一活動を再開することを考えて、ナデシコが無防備になる選択を取るわけには参りません!」
ユリカはそう言った。
『む………その時は我が艦隊が責任をもって……………』
「対処できるというのなら、ナデシコを無理に拿捕する理由はありませんよね?」
ユリカはしてやったりという笑みを浮かべる。
『………………わかった。作動キーはそのままで良い。とにかく、交渉役と艦長はこちらに来てくれたまえ』
コウイチロウはそう言ってモニターを閉じた。
すると、
「ルリちゃん、私がいない間の艦長代理をお願いね」
ユリカは気楽な敬礼をルリに向けてすると、
「拝命します」
ルリも気軽な様子で答礼を返した。
そのままブリッジを出るユリカ、プロスペクター、そしてジュン。
それを見て、
「………………ふと思ったんだが、こういう時は副艦長のジュンが艦長代理として残るもんじゃないのか?」
ジェイが疑問に思ったことを口にする。
「「「「「あ……………」」」」」
ルリ以外のブリッジクルーが声を漏らした。
すると、
「信用の問題もあるだろうが、ジュンはどちらかと言えば連合軍派だ。ナデシコに残しても、連合軍の有利になる様に動くと判断したんだろう」
アキトの言葉に、ジェイはなるほど、と思うのだった。
結果だけを言えば、ナデシコはこれまで通りネルガルが私的に使用することで話が付いた。
しかし、その時休眠中だったチューリップが活動を再開。
連合軍の護衛艦であるクロッカスとパンジーを吸い込もうとしていた。
それを見て、
「流石に放っておくわけにはいきませんね。グラビティブラスト発射準備」
ルリがそう告げるが、
「待て」
ジェイが声を掛けた。
「何か?」
「あれはこちらで対処しよう。手助けはするといった手前、少しは力を見せておかねばな」
ルリはジェイを見ると、
「………では、お任せします」
特に心配する様子を見せずに頷いた。
「任された」
ジェイはルリの言葉にうなずくと、
「トモロ! 反中間子砲発射準備!」
『リョウカイ』
ジェイの号令に合わせてジェイアークの反中間子砲が起動。
「目標! チューリップ!」
砲塔が回頭し、狙いを戦艦2機を吸い込もうとしているチューリップに定めた。
「撃てぇ!!」
号令と共に8条の赤い閃光がチューリップを貫く。
チューリップは立体パズルのようにバラバラになりながら爆散した。
「ッ……………チューリップを一撃ですか………」
ルリは僅かに驚いた表情をする。
「あの程度なら容易いことだ」
ジェイは余裕の表情でそう言うのだった。
そして、
「たっだいまー!!」
いつの間にか戻ってきたユリカが元気よくそう言った。
「ありがとー! ルリちゃん!」
「いいえ。チューリップはジェイさんが対処しましたので」
「それでもその判断をしたのはルリちゃんでしょ? だったらルリちゃんのお陰でもあるよ!」
ユリカは嬉しそうにそう言った。
「では艦長、艦の指揮権をお返しします」
「了解! それではナデシコ! 火星へ向けて発進します!」
ナデシコのメインブースターが火を噴いて空へと向けて発進。
ジェイアークもそれを追随する。
それぞれが希望に満ちた顔で空の先を見据える。
と、そこで、
「……………ところで副艦長のジュンは如何したんだ?」
ジェイがそう発言する。
「……………え?」
ユリカの引き締めていた表情が崩れる。
それからキョロキョロと辺りを見回し、
「…………また忘れてきたのかお前………」
アキトが呆れたように呟くのだった。
ナデシコ編第4話です。
今回はジェイ達の紹介とナデシコ拿捕のお話ですが、キノコ提督達はあっさりと鎮圧。
逆行アキトにジェイにハルにシンにステラが居ればただの軍人位制圧も簡単ですよね。
原作と違う所も少々。
でも結局ジュンは置いてきぼり(笑)
ガイの見せ場だったチューリップもジェイアークが一撃粉砕。
そしてデスティニーとガイアはスパロボマジックを取り入れナデシコに乗せました。
……………ご都合主義でごめんなさい!
それでは次回もお楽しみに。
ルリの扱いについて
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アキトの第二夫人
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アキトの家族(娘的な)
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Jアークに乗せたら情報戦でも無敵じゃね?