転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件   作:友(ユウ)

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第5話 早すぎる『さよなら』…………なんてさせるわけがない!

 

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

 

現在ナデシコは、第4次防衛ラインのミサイル攻撃を受けながら宇宙に向けて上昇していた。

ナデシコの相転移エンジンは、真空にならないと臨界状態まで上がらない。

大気圏内では一気に宇宙へ上がる出力が足らないため、上昇するにつれて徐々にスピードを上げていくしかないのだ。

因みにジェイアークはレーダーに映らないので直接狙われてはいないが、下手な鉄砲も数うちゃ当たると言わんばかりに何発かミサイル攻撃を受けてはいる。

まあジェネレイティングアーマーによって無傷であるが。

とりあえず今の所問題無く高度を上げていった。

 

 

 

 

 

そして第3防衛ラインに近付き、地球連合軍の有人機動兵器『デルフィニウム』部隊が出撃して来た。

尚、9機の内1機には、置いてきぼりを喰らったジュンが乗っており、ナデシコの火星行きを止める為に自らIFSのナノマシン処理を行い、出撃していた。

 

「…………と言う訳で、デルフィニウム部隊を迎撃するために、アキトとヤマダさん、それとシン君に出撃してもらいます!」

 

『了解だ』

 

『ダイゴウジ・ガイだ!』

 

『了解』

 

ブリッジでそう言うユリカに、それぞれの機体からそう返すアキト、ガイことヤマダ、そしてシン。

因みにステラはガイアが飛べないので今回はお留守番である。

 

「デルフィニウムは有人兵器なので、出来るだけコクピットは避ける方向でお願いします」

 

ユリカは付け足す様にそう言った。

 

「それでは各機、発進をお願いします」

 

ユリカの指示に、格納庫で整備班が駆け回り、発進準備に入る。

 

『最初は一番デカいデスティニーだ! 次にテンカワのブラックサレナ! それからヤマダ機だ!』

 

ウリバタケが拡声器で班員に指示を出す。

デスティニーが移動し、重力カタパルトに入る。

 

『重力波、チャージ!』

 

メグミのアナウンスで発進準備完了の知らせが来る。

そして、

 

「シン・アスカ! デスティニー! 行きます!!」

 

重力カタパルトで射出されるデスティニー。

 

「…………シンの奴、何かサマになってたな」

 

アキトがシンの発進を見てそう呟いた。

続いてブラックサレナがカタパルトに入る。

 

「…………ここは、シンの奴に倣うとするか」

 

アキトは思いついたようにそう言った。

ブラックサレナが射出準備に入る。

そして、

 

「テンカワ・アキト! ブラックサレナ! 出るぞ!!」

 

射出されるブラックサレナ。

続いてカタパルトに入るエステバリス空戦フレームのヤマダ機。

 

「しゃあっ! スペースガンガー! 発進だぁっ!!」

 

発進報告もクソも無いガイが発進する。

3機の発進が完了すると、デルフィニウムが目視できる距離まで近付いてきた。

 

「ヒーローの戦い方、タップリと見せてやるぜ!!」

 

ガイはペダルを踏み込むと、エステバリスを加速させてデルフィニウム部隊に突撃する。

 

「あっ! おい!」

 

シンが思わず声を掛けるが、ガイはそのまま突っ込んでいってしまう。

その瞬間、

 

『アターーーーック!!』

 

デルフィニウム部隊がミサイルを放ってきた。

 

『うぉおおおおおおおおおおおおっ!!』

 

そのミサイルは更に分離して拡散ミサイルとなるが、構わず突っ込んでいくガイ。

 

「あのバカッ!?」

 

シンは慌てるが、

 

「慌てるな、シン」

 

アキトがそう声を掛けた。

すると、

 

「うぉおおおおおおおおっ!! たあっ!!」

 

エステバリスが直前で向きを変え、ミサイルのロックを振り切る。

そのガイのエステバリスをデルフィニウム部隊が追う。

 

「ようし! ついてきたついてきた! 今だウリバタケ! スペースガンガー重武装タイプを落とせ!」

 

ガイがそう要求するが、

 

『あの~、ヤマダさん?』

 

ユリカが遠慮がちにモニターを開いて通信してきた。

 

「ダイゴウジ・ガイ!」

 

すかさず名前に訂正を入れるガイ。

 

『その必要は無さそうですよ?』

 

「へ?」

 

ガイがその言葉にくるりと後ろを向くと、9機居たはずのデルフィニウムは既に残り3機になっており、たった今デスティニーのビームライフルに貫かれて1機が爆散し、もう1機がブラックサレナのハンドガンに撃ち抜かれた。

尚、パイロットは全員脱出した模様である。

 

「なぁああああああああっ!? お前ら俺の見せ場をぉおおおおおっ!?」

 

ガイが悲鳴を上げるように叫んだ。

 

「いや、見事な囮だったぞ」

 

アキトがそう言う。

 

「そうだな。お陰ですぐにケリが付いた」

 

シンもそう言う。

 

『いやはや見事なものですなぁ』

 

プロスペクターはこちらに被害が無くて、ニコニコ顔だ。

尚、損害による経費のロスが無いことが主な理由であることを記しておく。

 

「だったら、最後の1機は俺がぁぁぁぁぁぁっ!」

 

ガイが最後の1機に向かっていこうとしたが、

 

「待て」

 

アキトのブラックサレナに止められる。

 

「何だよ!?」

 

止められたことに不服そうにするが、

 

「………お前だろう? ジュン」

 

アキトがそう言った。

すると、ナデシコに通信が入り、

 

『……………ユリカ。最後のチャンスなんだ。ナデシコを戻して』

 

パイロットスーツに身を包んだジュンがそう言った。

 

「ジュン君」

 

「君の行動は契約違反だ」

 

ユリカに続いてゴートがそう言う。

 

『このまま行けば、第3防衛ラインの主力と戦う事になる。僕は君と戦いたくない!』

 

ジュンはそう訴えた。

しかし、

 

「ごめんジュン君。戻ることは出来ないの。私はナデシコでやらなきゃいけない事があるから………」

 

ユリカは迷わずにそう答えた。

 

『ッ………!?』

 

ジュンは目を見開く。

 

『やっぱり…………こいつが良いのかい…………?』

 

「へっ…………?」

 

ジュンの言葉にユリカは声を漏らす。

 

『わかったよ……………テンカワ・アキト! 僕と勝負しろ!!』

 

ジュンのデルフィニウムがアキトのブラックサレナを指差しながらそう言い放った。

 

「………って言ってるけど?」

 

シンがアキトを伺う。

 

「やっぱりこうなるのか…………」

 

細部の違いはあれど、決闘を申し込まれたことに軽く息を吐いた。

 

「何やってんだアキト! 男が勝負を申し込んでるんだ! これを受けなきゃ男じゃねえぜ!!」

 

ガイはシチュエーションが気に入ってしまったのか、アキトに勝負を受けるよう促す。

 

「分かったよ………それでお前の気が済むのなら」

 

アキトはブラックサレナで前に出ると、

 

「行くぞ! テンカワ・アキト!!」

 

搭載されているミサイルを放つジュンのデルフィニウム。

 

「………ディストーションフィールド、最大出力」

 

ブラックサレナのフィールドの出力が上がると、デルフィニウムに向かって突撃する。

ミサイルが爆発するが、フィールドに阻まれてブラックサレナまで届かない。

 

「何っ………!」

 

ミサイルを突破すると、フィールドを切ってデルフィニウムに肉薄した。

 

「…………それでいいのか? ジュン」

 

「何をっ!?」

 

目の前に来たブラックサレナに、デルフィニウムが拳を繰り出す。

しかし、ブラックサレナがそれを左の掌で受け止める。

 

「このままナデシコの………ユリカの『敵』になって良いのかと聞いている」

 

「ッ………!」

 

アキトの言葉にジュンは一瞬動揺するが、

 

「僕は、子供の頃から地球を守りたかった………連合宇宙軍こそ、その夢をかなえる場所だと信じてるんだ!」

 

「………………だからナデシコの………ユリカの『敵』になると?」

 

「この手で地球を守って見せる! 正義を貫いて見せる! 一時の自由を取って、栄誉や誇りを忘れたくない!!」

 

デルフィニウムがブラックサレナを押し返そうと出力を高める。

しかし、ブラックサレナの力の前にはビクともしない。

 

「………………そんなお前に、ユリカは渡さない」

 

勢いをつけて頭部を叩きつける。

いわゆる頭突きだ。

 

「がっ!?」

 

「自分の正義の為にユリカの『敵』になることが、お前の望みか!?」

 

「好きな女だから、地球の『敵』になることが耐えられないんじゃないかぁ!!」

 

デルフィニウムがミサイルを乱射。

 

ブラックサレナはそれを回避していくが、

 

「…………今の俺には、前ほど熱い言葉は吐けないなぁ」

 

自嘲気味にそう呟くアキト。

しかしその時、アキトにも予想しえないことが起こった。

 

『ん? 何だあれ?』

 

最初に気付いたのはガイだった。

紫色に光る、流星のようなものに気付いたのだ。

その紫色の流星は、どんどん近付いてくる。

 

『おいおいおい! 何かやべえぞ!?』

 

ガイが戦慄の声を漏らした瞬間、その紫色の流星が飛来。

ジュンのデルフィニウムに直撃した。

 

『うわぁああああああああああああっ!?』

 

「ジュン!?」

 

「ジュン君!?」

 

アキトとユリカが叫ぶ。

そして、

 

「ッ………! ゾンダー!!」

 

ハルがゾンダーの出現を察知した。

 

『ゾンダァァァァァッ!!』

 

ジュンのデルフィニウムが紫色の光と共に形を変えていく。

 

「な、何だ………!?」

 

珍しくアキトが困惑した声を漏らす。

 

「ゾンダーだ! 下がれアキト!」

 

シンがそう言いながらブラックサレナを引っ張って下がらせる。

 

『ゾンダァァァァァァァァァァァァァァッ』

 

ゾンダー化したデルフィニウムは、ミサイルを作り出して発射。

 

「くっ!」

 

シンがデスティニーのビームライフルでミサイルを破壊するが、その威力は今までよりも遥かに上だった。

 

「ジュン!? 一体どうしたんだ!?」

 

アキトが呼びかけるが、

 

「無理だ! ジュンはゾンダーに取り込まれてる! 今の奴にジュンの意志は無い!」

 

シンはそう言う。

 

「何だぁ!? この機械の化け物は!? 俺様が退治してやるぜ!」

 

そう言ってガイが突っ込もうとするが、

 

「止めろバカ! 普通の兵器がゾンダーに触ったら取り込まれるぞ!」

 

シンが叫んで止める。

 

「じゃあどうしろっていうんだよ!?」

 

ガイがそう言い返した時、

 

『それは我々に任せてもらおう!』

 

ジェイアークがナデシコを追い抜き、前に出てきた。

 

「ジェイさん、お願いします!」

 

シンはそう言う。

すると、

 

『フュゥゥゥジョン!!』

 

ジェイが指揮壇から跳躍。

背後のエンブレムからジェイバードへ融合する。

 

『ジェイバード、プラグアウト!』

 

戦艦の艦橋と砲台部分が分離、上昇していく。

 

「分離した!?」

 

アキトが叫ぶ。

更に艦橋に直角に繋がっていた砲台部分が稼働し、垂直に変形する。

 

「こ、これはまさか…………………変形かぁっ!?」

 

ガイが期待の籠った声で叫んだ。

レーダー関係と思われていた艦橋両側に突き出す翠の装甲が90°回転すると、その装甲内から腕が飛び出してくる。

そして、艦橋上部から顔が迫り出した。

 

『ジェイダー!!』

 

ジェイバードから変形するメカノイド、ジェイダーとなった。

すると、それを見たガイが、

 

「かっ、かかかかかかかかか………………」

 

顎が外れそうな勢いで口を大きく開けながら『か』を連呼し、

 

「カッケェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェッ!!!」

 

切望の眼差しでジェイダーを見ながら叫んだ。

 

「プラズマウイング!!」

 

ジェイダーは背中に10枚の光の翼を発生させると、ゾンダーデルフィニウムに飛翔。

ゾンダーデルフィニウムは小型ミサイルを無数に放ったが、

 

「遅い!」

 

ジェイダーはそのスピードと運動性でミサイルの隙間をあっさりと掻い潜った。

そして、

 

「プラズマソード!!」

 

右手から光の剣を発生させると、すれ違いざまにゾンダーデルフィニウムを十字に切り裂いた。

爆発するゾンダーデルフィニウム。

そしていつもの如く、その手にはゾンダー核が握られていた。

 

「スゲェェェェェェェェェェェェェェェェェッ!!! ツエーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」

 

狂喜乱舞で叫ぶガイの声が宇宙に響いた。

 

 

 

 

 

 

 

その後、浄解により元に戻ったジュンは、無事ナデシコに戻ることになった。

しかし、そのドサクサに紛れてナデシコから脱出しようとする軍人達が居た。

格納庫にある小型艇に乗り込む軍人達。

そして、丁度それを目撃したガイの姿が、

 

「あれ? アンタ達!」

 

気になったガイが声を掛ける。

すると、その中の1人が銃をガイに向け、

 

―――パァン!

 

乾いた音が鳴り響いた。

そして……………

カラカラと拳銃が床を転がる。

 

「くっ………!?」

 

拳銃が弾かれた手を抑える軍人、もといムネタケ。

 

「貴様だったか、ムネタケ…………!」

 

格納庫の闇の中から、銃口から硝煙が上がる銃を持った、バイザー黒マント姿のアキトが姿を現した。

 

「あ、あんた………この私にこんな事してただで済むと…………」

 

しかし、アキトはその言葉に興味無さそうな表情で、

 

「さっさと行け」

 

何とアキトは脱出を促した。

 

「わ、私達を見逃すっていうの!?」

 

「これ以上このナデシコに不穏分子を乗せておきたくないだけだ」

 

「ッ…………!覚えてらっしゃい………!」

 

ムネタケは苦虫を嚙みつぶしたような表情で小型艇に乗り込んだ。

そのままナデシコから脱出していく小型艇。

 

「お、おい! 逃がしてよかったのかよ?」

 

我に返ったガイが問いかけるが、

 

「言った通りだ。これ以上不穏分子をナデシコに乗せておくより、さっさと出て行ってもらった方が良いと判断したまでだ」

 

「お、おう…………」

 

すると、アキトはガイに向き直り、

 

「ガイ…………」

 

「な、何だ?」

 

突然改まったアキトにガイは困惑するが、

 

「…………無事で良かった」

 

アキトは本心からそう呟いて笑みを浮かべた。

 

「お………おう………」

 

ガイは困惑しつつもそう返すのだった。

 

 

 

 








ナデシコ編第5話です。
今回は、ガイの死亡フラグ回避&ジュンのゾンダー化ですね。
まあ、ジュンはストレス溜まりまくりな人物だと思ってます。
まあ、これでストレスから解放されたわけですが。
次回はエステ3人娘の登場ですかね。
お楽しみに。

ルリの扱いについて

  • アキトの第二夫人
  • アキトの家族(娘的な)
  • Jアークに乗せたら情報戦でも無敵じゃね?
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