転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件   作:友(ユウ)

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第7話 ルリさん『航海日誌』

 

 

 

【Side ルリ】

 

 

 

 

さて、リョーコさん達エステバリスの補充パイロットを加えたナデシコは、遂に火星に向かって出発します。

火星までの所要時間は約1カ月。

ここでは前回との違いとそれぞれのクルーの様子を見ていきましょう。

 

 

 

まず、前回と大きな違いは3つ。

1つは言わずもがなジェイさんを始めとしたジェイアークの一派が居ることです。

積極的に介入するわけではありませんが、シン君やステラさんはナデシコの戦力として使えるため、結果的に戦力アップとなっています。

2つ目はヤマダさんの生存ですね。

前回はヤマダさんが早くに亡くなったために、主にアキトさんとメグミさんがショックを受けていましたが、今回はアキトさん自身がそれを助けました。

そのヤマダさんは、自室でゲキガンガーのアニメを鑑賞していて涙を流しながら叫んでいます。

何度も同じ内容を見返してあそこまで興奮できるという事は、それだけゲキガンガーが好きなのでしょう。

ヤマダさんなら、木連の人たちと仲良くできそうです。

3つ目は、サツキミドリ2号の壊滅を防げたことですね。

そのおかげでユリカさんも葬式に追われることも無く、まったりと艦長席でだらけています。

以前なら暇が出来ればアキト、アキトとアキトさんを追っかけまわしてましたが、2人が結ばれている今、ユリカさんにも精神的に余裕が出来ているのでしょう。

で、そのアキトさんは今も食堂の厨房でせっせと働いています。

たまに様子を見てますが、やはり料理をしているときのアキトさんは楽しそうです。

パイロットをやっている姿なんかよりも、ずっと似合ってます。

とまあ、毎日のように散発的な攻撃を受けつつ日々が過ぎていきます。

そんな中……………

 

「急にお呼び立てしてすみませんな」

 

プロスさんに、私、アキトさん、ユリカさんが呼び出されました。

プロスさんの他には、ゴートさんも居ます。

 

「いえ、そろそろだと思っていたので」

 

アキトさんは平然とそう返します。

プロスさんは一呼吸置くと、

 

「テンカワさん。失礼とは思いましたが、少しあなたの事を調べさせていただきました」

 

「…………」

 

予想通りの言葉に、私達は動じません。

 

「テンカワ・アキト。火星のユートピアコロニー出身。しかし、木星蜥蜴の侵攻時に死亡……………これがデータベースに記録されているあなたの出自。死亡しているあなたが生きていることは別に不思議ではありません。あくまで死亡記録は火星に居たからであって、実際に確認したわけではありませんからな。しかし、私共が不思議に思ったのは年齢です。記録上ではテンカワさんの今年の年齢は18歳の筈。しかし、今のあなたは…………」

 

「俺の今の年齢は23歳だ」

 

プロスさんの訝しむような視線に、アキトさんは平然と答えた。

 

「あっさりと答えてくれましたな。それと、艦長と知り合いなのも納得しています。艦長も火星で生まれ、幼少期は火星のユートピアコロニーで過ごしていた記録があります。ですが、私共がどうしても腑に落ちないのは、ルリさん。あなたです」

 

プロスさんの視線が私に向きます。

 

「ルリさんはナデシコにスカウトされるまでネルガル傍系の研究所に居たはずです。そのあなたが、何故アキトさんと知り合う事が出来たのか? それが不思議でなりません。差し支えなければ、教えていただけませんかな?」

 

言葉遣いは丁寧ですが、その眼光は虚偽は許さないと言っているようです。

私達は出されていたお茶を一口飲み、

 

「では、本当の事を言います」

 

ユリカさんがそう切り出しました。

 

「「ッ…………!」」

 

プロスさんとゴートさんが気を引き締めました。

 

「私の名前はテンカワ・ユリカ。アキトのお嫁さんです! ぶいっ!」

 

ユリカさんはピースサインを決めながらそう言い放ちました。

 

「「ガクッ…………!?」」

 

プロスさんとゴートさんは同時に脱力します。

 

「艦長………そのような冗談は…………」

 

プロスさんがハンカチで汗を拭きながら気を取り直そうとする。

 

「冗談ではない」

 

アキトさんが口を開きます。

 

「確かにこのユリカは俺の妻だ。そして俺はテンカワ・アキト。ユリカの夫にしてコックを目指していた男だ」

 

「「ッ!?」」

 

余りにも真剣な声色に、プロスさんとゴートさんが冷や汗を流します。

そして、

 

「そして私が地球連合宇宙軍少佐、ナデシコC艦長、ホシノ・ルリです」

 

私はそう名乗った。

 

「少佐………? ナデシコC………? 何を言っている?」

 

ゴートさんが少し狼狽えを見せながらそう問いかけてくる。

 

「ナデシコCは2201年………今から5年後に完成するこのナデシコの後継機です」

 

「待ってください………! それではまるで、あなた達が…………」

 

プロスさんが内容を察したのか、声が若干震えています。

 

「はい。私達は未来からやってきました。正確には、よく似た並行世界ですね。私は以前ナデシコに乗った時は、11歳でしたから………そして私とユリカさんは精神のみの………アキトさんは当時の身体とブラックサレナごと過去に飛ばされました」

 

「そ、そんな事が…………」

 

「ボソンジャンプならあり得る」

 

驚愕するプロスさんの言葉にアキトさんが続きます。

 

「ボソンジャンプ?」

 

ゴートさんが疑問の声を漏らします。

 

「木連………木星蜥蜴がチューリップを使って行う空間跳躍の事だ。チューリップは無人兵器を運搬しているわけではない。空間跳躍の出入り口なんだ」

 

続けてアキトさんが説明し、

 

「もっと正確に言うと、ボソンジャンプは瞬間移動技術じゃなくて、時間移動なんです。瞬間移動に見えるのは、同じ時間の違う場所にジャンプしてるだけで………」

 

ユリカさんが続き、

 

「そして私達は、おそらくですがナデシコCの相転移エンジンの暴走と、A級ジャンパーであるユリカさんとアキトさんが切っ掛けとなり、偶然にもこの世界のこの時間にジャンプアウトしたわけです。そして、ここからは憶測ですが、私とユリカさんはこの世界にジャンプアウトした瞬間にこの世界の自分達と融合したんだと思います。アキトさんは、この世界のアキトさんが死んでいることが切っ掛けなのか、それとも、この世界に来る寸前のジェイアークと衝突事故が切っ掛けなのかはわかりませんが、そのままの身体でジャンプアウトすることになったんだと思います」

 

「いや~………ジェイさん達の異世界から来た話を聞いていたので、大概の事では驚かない自信がありましたが、よもや未来から来たというのは流石に…………」

 

やはり簡単には信じてくれませんね。

 

「…………この世界で私達の時と全く同じ事が起きるかはわかりませんが、そろそろ『反乱』が起きる時期ですね」

 

「反乱………ですか?」

 

私の言葉にプロスさんは呆気に取られた声を漏らす。

 

「はい。契約書の一番最後の項目が原因の反乱です」

 

「契約書の一番最後の項目と言いますと……………」

 

私の言葉にプロスさんが内容を想い返そうとした時、ユリカさんの前に空間モニターが開き、

 

『艦長! 反乱です! 乗員の一部が、反乱を起こしました!』

 

メグミさんがそう報告しました。

 

「「…………………ッ」」

 

プロスさんとゴートさんがその報告に目を丸くします。

 

『責任者! 出てこーい!!』

 

ウリバタケさんが顔を見せてそう叫びました。

 

 

 

私達がブリッジへ向かうと、

 

『我々は~! 断固~! ネルガルの~! 悪辣さに~! 抗議する~!!』

 

格納庫を中心に抗議活動が行われていました。

ブリッジの扉を潜ると、

 

「現れたな~! 諸悪の根源~!」

 

ウリバタケさんがスパナをプロスさんに突きつけます。

その周りには、他の整備班や、リョーコさん達エステバリスパイロットも居ます。

………流石にヤマダさんは居ませんね。

あの人は反乱に参加するぐらいならゲキガンガー見てるんでしょうし。

 

「皆さ~ん! 一先ず落ち着いて下さ~い!」

 

ユリカさんがそう呼びかけますが、

 

「これが落ち着いていられるか! これを見ろ!」

 

ウリバタケさんが1枚の紙をユリカさんに突きつけます。

 

「これは契約書ですね」

 

ユリカさんは平然と返します。

 

「そこの一番最後に書いてある小さい文字を読んでみな?」

 

一緒に反乱に参加しているリョーコさんがそう言います。

 

「え~、『社員間の男女交際は禁止いたしませんが、風紀維持のためお互いの接触は手をつなぐこと以上の事は禁止』………これが何か?」

 

「読んでの通り!」

 

「お手々繋いでって、ここはナデシコ保育園か!? いい若いもんが、お手々繋いでで済むわけなかろうが!」

 

「そのエスカレートが困るんですなぁ?」

 

ウリバタケさんがの言葉にプロスさんが口を挟みます。

 

「やがて2人が結婚すれば、お金かかりますよねぇ………更に子供でも生まれたら大変です。ナデシコは『保育園』ではありませんので、はい」

 

「黙れ黙れぇ! いいか、宇宙は広い! 恋愛も自由だ………! それがお手々繋いでだとぉ………? それじゃあ女房の尻の下の方がマシだぁっ!!」

 

ウリバタケさんが更にヒートアップします。

 

「とはいえサインした以上…………」

 

「うるせー!! 今時こんな契約書よく読んでサインする奴いるかぁ!?」

 

ウリバタケさんが契約書の紙を突きつけます。

すると、

 

「私はちゃんと読みましたけど? 因みに最後の項目は削除済みです」

 

ユリカさんがそう言います。

 

「「「「「えっ!?」」」」」

 

その言葉に反乱組が驚きの声を上げます。

 

「私も同じくです」

 

続けて私が軽く手を上げながらそう言いました。

 

「「「「「ええっ!?」」」」」

 

更に驚きの声を上げる反乱組。

 

「ついでに俺も」

 

アキトさんが畳みかけました。

 

「「「「「「「「「「何ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!?」」」」」」」」」」

 

反乱組だけでなく、ブリッジクルーまで驚いてます。

まあ、今のアキトさんはそんな事気にするイメージではありませんからね。

 

「ついでに言うと、項目を削除するときにお給料を1割ほどカットすることが条件でした」

 

ユリカさんがそう言います。

 

「あなた方の言い分は崩れましたな?」

 

「うるせー!! これが見えねえか!?」

 

そう言いながら反乱組が銃を突きつけます。

ウリバタケさんだけスパナですけど。

 

「この契約書も見てください」

 

紙1枚で銃に立ち向かうプロスさんの胆力には驚かされます。

まあ、実際どうにかできる実力はあるんでしょうけど。

その時、ナデシコに激しい衝撃と揺れが襲いました。

 

「敵部隊確認、攻撃の規模がこれまでのものとは違います、迎撃が必要です!」

 

私はそう報告する。

 

「皆さん! 契約書についてのご不満は分かります。ですが今はその時ではありません。戦いに勝たなければ、不満をぶつけることも、異性で付き合う事も出来ません! 皆さん今は、目の前の脅威を乗り越えることを第一に考えてください!」

 

ユリカさんの言葉で、それぞれが我に返ったように行動を開始しました。

 

 

 

 

 

因みに余談ですけど、シン君とステラさん、ジェイさんとハルさんはナデシコ所属ではないので、所構わずフツーにイチャイチャしてます。

今回の反乱の原因の一因になったのでは?

 

 

 

 






ナデシコ編第7話です。
今回はルリ視点でお送りいたしました。
まあ、プロスさんとゴートに正体バレしただけですけど。
次回はやっとデスティニーの本領発揮?
お楽しみに。

ルリの扱いについて

  • アキトの第二夫人
  • アキトの家族(娘的な)
  • Jアークに乗せたら情報戦でも無敵じゃね?
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