転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件   作:友(ユウ)

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第12話 奇跡の作戦『逆行者の案』

 

 

 

ナデシコを降りたフクベ提督に代わり、新たに提督となったムネタケ。

フクベ提督が降ろされたのは、ムネタケの方が連合軍としては色々とやりやすいから何だろうなと思った。

 

「と言う訳で、いきなりで悪いけど命令よ」

 

そのムネタケがブリッジでブリーフィングを行う。

主なブリッジクルーとパイロットも集まっていた。

すると、

 

「提督」

 

「なぁに?」

 

ユリカが発言しムネタケが聞き返した。

 

「ネルガルは軍と協定を結んだとはいえ、命令如何によっては拒否権が我々には認められています!」

 

「ま、一応ね」

 

「本艦クルーの総意に反する命令に対しては、このミスマル・ユリカが艦長として拒否いたしますので、ご了解ください!」

 

「戦うだけの手駒にはならないって事?」

 

ムネタケの言葉にユリカは頷く。

 

「おあいにく様。あなた達への命令は戦う事じゃないわ」

 

「……………」

 

『前』はここで素っ頓狂な声を上げてしまったユリカだが、今回は黙って言葉を待つ。

 

「敵の目を搔い潜って救出作戦を成功させる事よ」

 

「「救出作戦?」」

 

ゴートとジュンが声を漏らす。

 

「木星の攻撃は無くとも、尊い命を守るというナデシコの使命は、まっ、果たさなきゃ駄目よねぇ」

 

意味ありげな笑みを浮かべながら、ムネタケはそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

ナデシコに与えられた命令は、北極海域のウチャツラワトツスク島に居る親善大使を救出する事だった。

でも、確かこれって親善大使とは名ばかりのモルモットになってた白熊を捕獲する作戦だったはずだよな?

まあ、移動時間はパイロットは暇になるので、新しくナデシコに配属されたパイロットのアカツキがアキトをシミュレーターに誘っていたので俺もそれを見学していた。

シミュレーター上では2人ともノーマルの陸戦フレームだ。

 

『実は君に聞きたいことがあったんだ』

 

『……………何だ?』

 

射撃戦を繰り広げながら、アカツキがアキトに問いかける。

 

『艦長………ユリカ君の事だ』

 

『………………………』

 

『彼女は君のステディなのか?』

 

『そうだ』

 

アカツキの問いに即答するアキト。

 

『ッ……と! 即答とは恐れ入ったね』

 

意外そうに声を漏らすアカツキ。

 

『俺はあいつを護る為なら何でもする………!』

 

アキト機が爆煙に紛れて姿を消した。

 

『ッ!?』

 

アカツキは咄嗟に左右を確認するが、アキト機の姿は無い。

直後に感づいて上を向くと、アキト機が空中でライフルを剣の様に掴んで振り上げていた。

 

『例えこの手を血で汚そうともな………!』

 

その言葉と共にアカツキ機の頭部に銃身が叩きつけられ、シミュレーターが終了した。

シミュレーターの筐体の扉が開くと、

 

「おいおい! 殴るのは卑怯じゃないのか!?」

 

「実戦に卑怯も何も無いだろう………?」

 

一応ルールとしては、ライフルを使った戦闘というものが設けられていた。

アキトはライフルを使って殴ったので、セーフと言えばセーフかもしれないが、文句を言いたくなる内容だ。

 

「よしわかった! なら、次は近接戦闘ありでもう一度だ!」

 

「いいだろう………!」

 

そんなやり取りをするアキトの表情は、どことなく楽しそうに見えた。

尚、後から聞いた話だが、『前』はこのやり取りが逆の配役だったらしく、アキトは仕返しが出来て満足だったそうな。

 

 

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

 

 

 

 

『前』はひょんなことからユリカがグラビティブラストぶっ放して敵を引き付けてしまう羽目になったのだが、今回はそんな事にはならず、順調に航行を続けているナデシコ。

 

「前方障害物オールクリア。これよりオートパイロットに切り替えます」

 

ルリがそう報告する。

 

「ん~! さあ、お昼お昼!」

 

手持ち無沙汰になったミナトが伸びをしながら立ち上がる。

 

「あれ? ルリルリ? お昼行かないの?」

 

やることが無いのに席を立とうとしないルリに、ミナトが問いかける。

 

「ええ。もう少し様子を見ようかと………お昼は皆さんが済んでから頂くことにします」

 

「そう? 真面目ね」

 

ミナトはそう言ってブリッジを出ていく。

すると、

 

「ルリちゃんも先にお昼行ってもよかったのに」

 

ユリカがそう言う。

 

「いえ。予想外の事態が起こらないとも限りません。2名以上はブリッジに居た方がいいかと」

 

ルリはそう返す。

 

「ありがと、ルリちゃん」

 

ユリカは笑顔を浮かべてそう言った。

 

 

 

 

それからしばらく何事も無くナデシコは航行していたのだが、突如として警戒アラートが鳴り響いた。

 

「熱源多数急速接近中。ミサイルの模様」

 

ルリがそう報告すると、ナデシコが激しい揺れに襲われた。

 

「「きゃああっ!?」」

 

ミナトやメグミが悲鳴を上げる。

 

「敵に見つかったの!?」

 

ユリカがそう聞くと、

 

「周囲に敵影無し。長距離からの攻撃の様です」

 

ルリがそう報告する。

 

「フィールドは最大に! ミサイルの発射元を特定して!」

 

「第二波来ます」

 

再び無数のミサイルが着弾し、ナデシコが激しい揺れに襲われる。

 

「きゃぁぁぁっ!?」

 

メグミが再び悲鳴を上げた。

 

「ミサイル発射元特定。 2時の方向です」

 

ルリがそう言いながらモニターを表示させる。

すると、吹雪で霞む画面の向こう側に、うっすらと映る巨大な影。

それはまるで………

 

「クマ?」

 

ユリカが首を傾げながら呟く。

そこに映ったのは、全長50mはありそうな巨大なクマの形をした影だった。

すると、そのクマの影の眼の辺りが赤く輝き、

 

「第三波来ます!」

 

クマの影の体中から無数のミサイルが発射された。

 

「ッ! フィールド全開! その後、グラビティブラストで反撃を!」

 

三度ミサイルが着弾する。

だが、ミサイルが途切れた瞬間、

 

「グラビティブラスト! てぇーーーーーっ!!」

 

ユリカの号令でグラビティブラストが発射された。

黒き閃光が巨大なクマの影を貫く。

そして同時に周囲の雪が吹き飛ばされ、一瞬だが視界が開いた。

そこに居たのは、

 

「何アレ………?」

 

「機械…………?」

 

シルエットこそ熊だったが、その体は機械を無理矢理熊の形にしたような姿だった。

そして、グラビティブラストの一撃は、その機械熊の右半身を吹き飛ばしていたが、10秒ほどで元通りに再生してしまった。

 

「嘘!? 元に戻った!?」

 

メグミが驚愕する。

すると、

 

「素粒子Z0反応感知。あれはゾンダーです」

 

ルリがそう報告する。

 

「素粒子ゼット………何なのそれ?」

 

聞き覚えの無い単語にエリナが困惑の声を漏らす。

 

「素粒子Z0………以前ジェイさんにデータを貰いました。ゾンダーが現れる時に感知される特殊粒子だそうです」

 

ルリがそう言う。

 

「ユリカ! どうするんだ?」

 

ジュンがそう聞くと、

 

「…………ここは、ジェイアークに任せます。ナデシコは後方へ。必要であれば、グラビティブラストで援護します」

 

「了解しました」

 

ルリはその指示に従い、ナデシコを下げると、入れ替わる様にジェイアークが前に出てきた。

そして、

 

「フュゥゥゥゥゥゥジョン!!」

 

ジェイが指揮壇から飛び上がり、ジェイバードへ融合。

 

「ジェイバード、プラグアウト!」

 

ジェイアークからジェイバードが分離、変形する。

 

「ジェイダー! プラズマウイング!!」

 

ジェイダーはそのまま10枚の光の翼を発生させた。

 

『グォオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!』

 

熊型のゾンダーは、ジェイダーに向かって威嚇するように吠える。

 

「熊の形をしたゾンダー…………こいつの素体はまさか…………」

 

ジェイダーがそう呟いていると、ゾンダーベアーが腕を振るって攻撃して来た。

 

「ッ!」

 

ジェイダーが高速移動でその一撃を避けると、振り下ろされた腕が氷山に当たり、粉々に粉砕する。

 

「このパワー………今までのゾンダーの中ではトップクラスか………!」

 

ジェイはそう判断した。

 

「だが!」

 

再び繰り出してきた腕を紙一重で避けながら懐に飛び込む。

 

「当たらなければそのパワーも無意味!!」

 

ジェイダーはゾンダーベアーの懐へたどり着くと、

 

「プラズマソード!!」

 

右腕からプラズマソードを発生させ、一気に切り上げた。

真っ二つになるゾンダーベアー。

そして、その直後に爆発した。

ジェイダーの右手に握られるゾンダー核。

ジェイダーの胸部。

ジェイアークの艦橋部分から浄解モードのハルが飛び出した。

ジェイダーの手にあるゾンダー核の前に浮遊すると、

 

「テンペルム…………ムンドゥース………インフィニ………トゥーム………レディーレ!!」

 

浄解の言霊を唱え、赤い光がゾンダー核を包む。

核の形が変わっていき、後に残ったのは……………

 

「あれっ?」

 

ハルが思わず素っ頓狂な声を漏らす。

何故なら、そこに居たのは人ではなく、『親善大使』という首輪が下げられた白熊。

 

「……………………」

 

ジェイダーは無言でナデシコに振り返ると、

 

「おいムネタケ。まさかとは思うが、お前の言う『親善大使』とやらは、この白熊の事では無いだろうな?」

 

少し圧のある声で白熊が見えるように手を差し出しながら問いかけた。

その言葉に、ムネタケは少し焦り気味な表情になると、

 

「えっ……? いえ、それは………まさか、軍が多大な費用をかけて実験用器材を組み込んだモルモットの熊を、命懸けで保護しろなんて言ったら、だーれもやんないだろうからね! おーっほっほっほっほ!」

 

笑って誤魔化すムネタケ。

 

「実験用モルモットか…………あれほどのパワーが出せるストレスが溜まるのも頷ける」

 

因みに、

 

「実験用器材とやらは、全部ゾンダーに取り込まれたようだぞ?」

 

ジェイの言葉にムネタケの笑いが止まる。

ジェイダーの手の上に居るのは、首輪以外何もつけてない白熊だ。

ストレスが解消されたのか、伸び伸びとしている。

顎が外れそうなほど口をあんぐりと開けているムネタケを見て、少しは溜飲が下がったジェイダーだった。

 

 

 

 





ナデシコ編第12話です。
今回も逆行者の記憶により楽勝と思いきや、まさかの親善大使(笑)がゾンダー化。
とりあえず、人間以外もゾンダーになることが可能な事を忘れずにって感じで。
因みにグラビティブラストならゾンダーバリアは突破できます。
まあ、あれだけの出力があれば当然かと。
アークエンジェルやミネルバの陽電子砲よりかは威力上でしょうし。
次回は南国…………やることあるか?

ルリの扱いについて

  • アキトの第二夫人
  • アキトの家族(娘的な)
  • Jアークに乗せたら情報戦でも無敵じゃね?
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