転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件   作:友(ユウ)

45 / 153
第14話 気が付けば『お約束』………を破りましょう

 

 

 

ナデシコの次の任務は、クルスク工業地帯に現れた木星蜥蜴の新兵器、『ナナフシ』の破壊。

確かマイクロブラックホールキャノンだったか?

いや、重力波レールガンだったか?

まあ、似たようなものだろう。

任務内容をムネタケから聞いたとき、

 

「提督! 特殊部隊が3度全滅したと仰いましたが、どのように全滅したのかはわかっていますか?」

 

ユリカがそう尋ねると、

 

「おっと、言い忘れていたわね。『対空攻撃システム』………飛翔体に対し、高い命中精度で迎撃を行ってくるわ。攻撃部隊はこいつにやられたの。このナデシコなら、山から顔を覗かせた途端に撃たれるでしょうね」

 

「…………………」

 

ユリカがジト目でムネタケを見る。

『前』もこの話を聞いていればやりようはあったのに、グラビティブラストで遠距離射撃を選択したばかりにものの見事に撃ち落されたのだから仕方ない。

 

「そうなると、グラビティブラストでの遠距離射撃は使えませんね。やはり、地上部隊による攻撃を提案します」

 

ユリカがそう言うと、

 

「エステのパイロットが危険を伴うが、仕方あるまい」

 

ゴートも肯定する。

 

「はぁ~、経済的に頭が痛いですな………」

 

プロスさんはため息を吐いた。

 

 

 

 

「………では、ナナフシへの攻撃部隊は、砲戦2,陸戦3。更にデスティニーとガイアを加えたフォーメーションで行く」

 

ブリーフィングでゴートがパイロット達にそう指示する。

 

「あれ? アキトさんのブラックサレナは入らないんですか?」

 

ヒカルがそう尋ねると、

 

「ブラックサレナは陸戦が苦手だ。今回の作戦には相性が悪い」

 

ゴートがそう説明する。

 

「作戦指揮は………アカツキ!」

 

「はい!」

 

「君に担当してもらう」

 

「皆、よろしくぅ!」

 

アカツキはキザったらしくサムズアップをした。

その後、ウリバタケからエステバリスに外部バッテリーを背負わせていくことを聞き、出撃メンバーは準備に入った。

 

 

 

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

 

5機のエステバリス―――陸戦3機、砲戦2機とデスティニー、ガイアが山岳地帯を歩く。

グラカーニャ村を通り過ぎ、スベイヌン鉄橋を渡る。

カモフ岳は、エステバリスは砲戦フレームのワイヤーアンカーを崖上に引っかけて上昇し、デスティニーとガイアは最低限のブーストジャンプで飛び越えた。

渡河をする際は、エステバリスはほぼ首下まで沈んでしまうので、専用の簡易ボートに乗って進んだが、デスティニーとガイアにとっては膝上までの深さしかないのでそのまま歩いて渡る。

ナナフシにある程度まで近づくと、地雷原に遭遇した。

本来なら、少しずつ確かめながら進むのがセオリーなのだが、地雷とは爆弾。

つまり実弾兵器に類するものなので、

 

「俺達は弾避けかよ………」

 

シンが不服そうに口にしながら、デスティニーとガイアが地雷原を進む。

当然地雷を踏み抜いて爆発が起こるが、VPS装甲を持つデスティニーとガイアは無傷だ。

 

『ぼやかないぼやかない! これが一番手っ取り早いんだからさ!』

 

アカツキが通信でいい笑顔を浮かべながらサムズアップする。

 

「そりゃそうかもしれないけど」

 

シンも理に適っていることは理解している。

しかし、仮にも仲間に、『俺達が安全に進むために、ちょっと地雷原突っ切って先に地雷踏み抜いてきて』と言われて、思う所が無いとは言えない。

それはともかく、地雷原を抜けたところでいったん休憩に入る。

食事が用意されたのだが、

 

「おおっ! なかなか美味ぇなこれ!」

 

ガイがチャーハンを口に掻き込みながら感想を口にする。

 

「まさか君らが料理まで出来たとはねぇ………?」

 

アカツキが意外そうな言葉を口にしながら視線をシンとステラに向けた。

 

「アキトさんには及びませんけど、食堂で働いてた時に賄いは自分たちでちょくちょく作ってたんで」

 

「私は、シンに喜んでほしくて料理を覚えたの」

 

シンは普通の理由だったが、ステラは惚気だ。

シンはその言葉に顔を赤くする。

 

「あ~、はいはい。ごちそう様」

 

ヒカルがステラの言葉に苦笑しながら話を終わらせる。

その後、

 

「よーし! 45分後に出発だぁ! それまでは休憩!」

 

アカツキがそう指示するが、既にイズミはお休み中。

ヒカルもそれに倣って横になる。

リョーコもガイも各々で休息を取っていた。

それからしばらくした後、突如として爆発音が響き渡った。

 

「な、なんだぁ!?」

 

リョーコが叫ぶと、

 

「敵襲……だろうね」

 

砲弾が飛んできたと思われる方向……川の対岸に視線を向けると、森の影からキャタピラの胴体に砲台が付いた兵器が現れる。

 

「戦車かっ!?」

 

シンが叫ぶと、森の中から戦車の大軍が現れた。

それぞれは自分の機体に乗り込む。

リョーコ達三人娘がラピッドライフルで戦車に攻撃するが、戦車の装甲は厚く、そう簡単には破壊出来ない。

それでも攻撃を続ければ破壊できるが、本来はディストーションフィールドをもつ木星蜥蜴の無人兵器用だ。

フィールドが無くとも装甲の厚い戦車には相性が悪かった。

しかし、緑の閃光が戦車を貫き、一撃で融解、爆発させる。

 

「フィールドが無いなら、この程度!」

 

「でぇぇぇぇぇぇいっ!」

 

シンとステラが叫びながらデスティニーとガイアのビームライフルを連射。

次々と戦車を撃ち抜く。

しかし、増援とばかりにまた20台ほどの戦車が現れる。

だが、

 

「それなら、コイツで!」

 

デスティニーの左背部に折りたたんで装着されている、高エネルギー長射程ビーム砲を左脇下から展開。

砲口を戦車の大軍に向けると、赤と青の閃光が放たれる。

デスティニーはエネルギーの放射を続けながら砲身を薙ぎ払い、それに伴ってビームが戦車の大軍を飲み込んだ。

ビームが途切れると、地面が大きく抉れ、跡形も残っていない戦車のなれの果てが転がるだけだった。

 

『ちょっとちょっと。改めて思うけど、一機動兵器に乗せていい火力じゃないでしょそれ』

 

アカツキが思わず突っ込む。

 

「俺が元居た世界じゃ、それなりに乗せてる機体はあったぞ」

 

『君らの世界って随分と殺伐としてるんだねぇ?』

 

「…………否定は出来ないな」

 

アカツキの言葉に、シンは自嘲気味に呟いた。

 

 

 

 

先を急ぎ、ナナフシを視界に収める辺りまで近づくと、今度は巨大な戦車が現れた。

大経口の3連装の砲身と、各部に機銃を装備した特別製だ。

その口径に見合った特大の砲弾が発射され、エステバリスやMSを爆炎に包む。

しかし、

 

「電磁加速もされてない弾丸が、通用するかぁっ!!」

 

シンが叫びながらビームライフルを放ち、戦車のキャタピラを破壊する。

シンの世界にも戦車は存在するが、その殆どはレールガンやリニアガンであり、普通の戦車の砲弾とは威力が桁違いだ。

PS装甲を装備していないMSですら直撃すれば危ういし、当たり所によっては撃墜もあり得る。

そんなC.Eの戦車と比べれば、砲弾がデカいだけの戦車など、デスティニーやガイアには何ら脅威にはなり得ない。

デスティニーの放ったビームが戦車のキャタピラに当たり、動きを鈍らせる。

 

「ステラ!」

 

シンがステラに呼び掛けると、ガイアが獣の姿のようなMA形態に変形。

地を駆けて大型戦車に接近する。

大型戦車が副砲を放つが、ガイアは左右に飛び跳ねるようにして躱しながら接近。

 

「ええぇぇぇぇぇい!!」

 

背部のウイングのビームブレイドを展開し、一気に飛び掛かる。

すれ違いざまに砲塔部分を斬り飛ばし、更に空中で向きを変えると、切断して内部が露になったところに背部のビームキャノンを撃ち込む。

その直後、大爆発する大型戦車。

 

『ヒュ~! やるねぇ』

 

口笛を吹いて称賛するアカツキ。

 

『それじゃあヤマダ君。お膳立てはしてくれたみたいだから、美味しい所を貰っちゃおうか!』

 

『ダイゴウジ・ガイだ! 言われるまでもねぇ!』

 

砲戦フレームを装備したアカツキ機とヤマダ機がナナフシに接近。

武装の射程内に入ると、

 

『全弾発射!!』

 

『ゲキガンシューット!!』

 

砲戦フレームの全武装が展開。

無数のミサイルと砲弾が放たれる。

それらがナナフシの動力部に降り注ぎ、やがて機能を停止した。

 

『どうやら成功の様だ』

 

アカツキはその様子を見てそう判断する。

 

『お疲れさん! 作戦終了だ!』

 

最後にそう宣言して作戦は終了した。

 

 

 

 

 

 

はずだった。

突如として嫌な音がナナフシから聞こえだす。

動力部が唸り声のような音を上げ、周りの空間が揺らぎだす。

 

「な、なんだぁ!?」

 

ガイが叫ぶと、

 

『拙いわね』

 

通信のモニターが開いてイネスが映った。

 

『ナナフシの動力部が暴走を始めたようね。このままだと、ナナフシを中心に都市一つ分は蒸発するわよ』

 

「「「「「なっ!?」」」」」

 

イネスの言葉に全員が驚愕する。

 

「止める方法は無いんですか!?」

 

シンが叫ぶと、

 

『一撃でナナフシを消滅させる他ないわ。半端な攻撃は逆効果。爆発を早めるだけね』

 

イネスは冷静にそう言った。

 

「一撃で消滅なんて無理だよぉ~!?」

 

ヒカルが泣きそうな声を上げ、

 

「ここまでかしらね…………」

 

イズミは諦めたように目を伏せる。

やがてナナフシの動力部が強く輝きだし…………

 

『反中間子砲!!』

 

8条の赤き閃光が飛来。

強い輝きがナナフシを飲み込み、分子レベルまで粉々になった。

その光景に、シンは思わず笑みを浮かべて空を見上げた。

 

「ジェイさん!!」

 

シンが叫ぶと、空に白き箱舟、ジェイアークが飛んでいた。

朝日を反射し、白く輝くその姿はまさに救いの箱舟。

 

『大丈夫だったか? お前達』

 

「ジェイさん、助かりました!」

 

シンはそうお礼を言う。

 

『お前達がナナフシを機能停止させたお陰だ。いくらジェイアークでも、ナナフシの攻撃を受ければ無傷では済まんからな』

 

ジェイがそう答えた。

アキト達の記憶とは若干齟齬があったが、無事、ナナフシ攻略は成功したのだった。

 

 

 

 





ナデシコ編第14話です。
はい、今回もサラッと終わってしまった。
本当ならナナフシをゾンダー化させる予定だったのですが、ふと気づいた。
『ゾンダー核に出来そうなやつがこの場に居ねぇ』って事に。
なので急遽こんな感じに。
今回の相手は戦車だったのでデスティニーとガイアのビーム兵器が大活躍。
多分、機動兵器の武器の威力なら、ナデシコ世界よりもC.Eの方が優れてると思う。
戦艦はナデシコの方が上って感じで。
次回はオモイカネの反乱ですがはてさて?

ルリの扱いについて

  • アキトの第二夫人
  • アキトの家族(娘的な)
  • Jアークに乗せたら情報戦でも無敵じゃね?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。