転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件 作:友(ユウ)
ナナフシの攻略作戦の後も、ナデシコはあちこちの戦場に引っ張りまわされ、木星蜥蜴の矢面に立たされている。
そして今日も、チューリップを破壊するために、連合軍と共同戦線を張っていた。
とはいえ、ナデシコを先頭に出して、連合軍の戦艦が援護射撃をするという感じだが。
それでも勝ってしまうナデシコは、やはり主力艦と言って差し支え無いだろう。
そして戦闘が始まる。
エステバリス各機とMSが出撃し、攻撃態勢に入る。
『よっしゃ頂き!』
空戦フレームのアカツキが早速と言わんばかりに敵カトンボをロックオン。
ミサイルを発射する。
しかしその瞬間、カトンボをロックオンしていたシステムが切り替わり、連合軍の戦艦をロックした。
『何ぃっ!?』
ミサイルが向きを変えて後方に居る連合軍の艦船へ向かっていく。
『ッ………!』
それに気付いたアキトのブラックサレナが、ハンドカノンでミサイルを撃ち落した。
『これは………! ルリちゃん!』
アキトがルリに呼び掛けると、ルリはコンソールに意識を集中し、
「駄目………オモイカネ…………連合軍は敵じゃない…………!」
オモイカネを説得しようと試みる。
しかし、味方の放つミサイル攻撃は無人兵器群と連合軍の両方をロックオンする。
「ッ…………エステバリス各機はミサイル等の誘導兵器の使用は極力避け、マニュアル射撃及び近接戦闘による自衛を最優先としてください! 敵の撃破は、ナデシコの攻撃誘導システムの影響下に無いブラックサレナとデスティニー、ガイアに任せます!」
ユリカがそう指示を出す。
『えぇ~!? マニュアル!?』
ヒカルがそんな~と言いたげな声を出す。
「現在ナデシコの攻撃誘導システムに深刻な問題が発生しているようです。このまま攻撃を続行すれば、連合軍に甚大な被害が出ることが予想されます」
ユリカは『前』の記憶から対処法を今まで模索していたので、すんなりと指示が出せた。
これだけでも前よりは被害を減らせるはずだ。
四苦八苦しながらも、戦闘を乗り切るナデシコ。
以前より減ったとはいえ、流石にミサイル不使用で戦闘を乗り切ることは難しく、咄嗟に撃ったミサイルのいくつかが連合軍の戦艦に被弾し、対応を求められることになった。
結果から言えば、『前』と同じくオモイカネのデータを初期化し、新しく連合軍に都合のいいデータを入力することになる。
当然ながら、それを受け入れられないルリやユリカ、アキトは『前』と同じくウリバタケに協力を仰ぎ、オモイカネの自意識部分にアクセスし、連合軍に従う振りをさせることにした。
因みに俺も興味本位で同行している。
ウリバタケの部屋に案内されると、プラモやフィギュアの箱が山積みにされており、塗装も自分で行っているのか、ニスやシンナーの匂いが充満している。
ウリバタケがオモイカネへのアクセス(不正)を行っている間にアキトがこそっとルリに耳打ちした。
「なあ。今更なんだが、手伝いは俺よりもガイの方が良かったんじゃないか? 『前』と同じなら、自意識の防衛に出てくるのはゲキガンガーだろうし………」
すると、
「いえ、私の予想では今回ゲキガンガーは出てこないと思います」
「えっ?」
「おそらく出てくるのは…………」
ルリがそう言いながら俺に視線を向けた。
「?」
その視線に俺は疑問符を浮かべる。
「よし! 出た!」
その時、ウリバタケがオモイカネのアクセスに成功する。
パソコンの画面にはデフォルメされたエステバリス。
何故か割烹着姿だが。
アキトは部屋の中央にあるVRシミュレーターのシートに腰掛けると、ヘッドギアを被る。
「バックアップは任せてください」
ルリが専用のコンソールを準備し、ウリバタケのコンピューターに接続する。
「よろしくぅ~! さあ行こうか………テンカワエステ起動!」
「了解」
IFSのコンソールに手を当て、電脳空間にダイブするアキト。
モニターに映る電脳空間内にテンカワエステが現れた。
その姿は、デフォルメされたブラックサレナのボディにアキトの顔が付いている物だ。
いうなればテンカワサレナと言ったところか。
「私がナビゲートします」
「頼んだよ。ルリちゃん」
テンカワサレナの肩にデフォルメされたルリの姿が現れる。
「そこ上………右………真っすぐ………」
ルリの案内に従い、テンカワサレナが電脳空間を進む。
その途中、連合軍のインストールしているプログラムを見つけたが、今はスルー。
そのまま先へ進み、巨大な空間の中に、大樹が聳え立つエリアに出た。
「あれだな」
「はい。オモイカネの自意識部分。今のナデシコが、ナデシコである証拠」
ルリが語る。
「少しだけ、忘れさせてあげてください………」
ルリは悲しそうに言った。
「ああ………わかってる」
アキトが大樹に近付くと、天辺に生えている枝に咲く花を切り落とし始める。
今のアキトがそんな作業を文句も言わずに行っていることが、どことなくシュールだが。
だがその瞬間、
「ッ!?」
アキトが何かに気付いて咄嗟に飛びのくと、その眼前を赤い閃光が横切った。
「今のは!?」
『出やがったな! コンピューターの異物排除意識! オモイカネの自衛反応だ!』
「大事なものを忘れたくないエネルギーです!」
ルリの言葉と共に、再び赤い閃光がアキトに襲い掛かる。
「くっ! これはっ………!?」
自分の記憶とは違う攻撃にアキトは戸惑う。
その出所に視線を向けると、そこにはゲキガンガーより遥かに巨大な影。
「こっ、コイツはっ………!?」
空中に浮かぶ白亜の戦艦。
それはまさしく、
「ジェイアーク………だと!?」
俺は思わず叫んだ。
「やっぱり………」
ルリは呟く。
「やっぱり?」
俺がその意味を問うと、
「オモイカネは、入力されたデータの中で、最も強く、最も正しい『何か』を正義の味方……自分の味方として記憶しています。オモイカネにとって、ピンチの時に助けてくれて、圧倒的な力で敵を倒すジェイアークは、まさしく正義の味方なんです。アニメの正義の味方よりも、確実な…………」
ルリが推測を口にする。
「まさか、ジェイアークが敵になるとは………」
アキトが冷や汗を流す。
「あまり、当たってほしくない予測ではありました………」
「とにかくやってみる!」
アキトは気を取り直すと光に包まれ、リアルなブラックサレナの姿となる。
オモイカネのジェイアークが反中間子砲を放ち、アキトはそれを回避しつつ、ハンドカノンで攻撃した。
しかし、ジェネレイティングアーマーも再現されているのか、淡い赤の光に包まれ、ダメージを受けたようには見られない。
「くっ……硬い……!」
続けてジェイアークがメーザーミサイルを撃つ。
「当たるかっ!」
急旋回と急加減速を駆使し、メーザーミサイルを躱しつつ迎撃するアキト。
しかしその時、ジェイアークのジェイバードが分離。
ジェイダーに変形してプラズマウイングを展開。
高速で近付いてくる。
「なっ!?」
アキトが声を漏らした瞬間、ジェイダーがプラズマソードを展開。
それを振り被る。
「くっ………!」
アキトは咄嗟に回避行動を取るが、装甲の一部を切り裂かれた。
「ッ……! 攻撃、防御、スピード……! 全てが圧倒的過ぎるッ………!」
アキトは思わず吐き捨てるようにそう零す。
「アキト!」
それを見ていたユリカが叫ぶ。
何とか持ってはいるが、やられるのは時間の問題だろう。
だから俺は、
「少し失礼する」
俺はルリの右横に進み出て、専用のコンソールに手を置いているルリの右手に左手を重ねた。
「あ……………」
ルリが声を漏らしたが、俺は目を伏せて意識を集中する。
それと共に、俺の左手の甲に『J』の紋章が浮かび上がり、身体から赤い光を放つ。
「これは………?」
「ジェイさんが光ってる…………」
「何だなんだぁっ!?」
3人が怪訝な声を漏らした瞬間、俺は目を見開き、
「…………アクセス!」
エヴォリュダーの能力で意識を電脳空間にダイブさせた。
【Side 三人称】
「くそっ………!」
アキトが悪態を吐きながらジェイダーの攻撃を凌ぐ。
だが、遂に追い詰められ、
「しまった………!」
決定的な隙を晒してしまう。
ジェイダーが止めとばかりにプラズマソードを振り被り、
『反中間子砲!!』
その言葉と共に、8条の赤き閃光がジェイダーに襲い掛かる。
直前で気付いたジェイダーは、攻撃を中断して回避した。
「ッ……! 今のはっ!」
アキトが振り返ると、そこにはもう1隻のジェイアークが存在していた。
「ジェイアークがもう1隻!?」
アキトが驚きの声を上げると、
『下がっていろ、アキト』
「ジェイ!? ジェイなのか!? 一体どうやって!?」
アキトはジェイが電脳空間に現れた事に驚愕したが、
『話は後だ。ここは俺が引き受ける』
ジェイがそう言うと、
『フュゥゥゥゥゥゥジョン!! ジェイバード、プラグアウト!!』
ジェイアークからジェイバードが分離。
ジェイダーに変形した。
「ジェイダー!! プラズマウイング!」
プラズマウイングを展開し、オモイカネのジェイダーに向かって飛翔する。
「プラズマソード!!」
右手からプラズマソードを展開し、それを振り被る。
オモイカネのジェイダーも、それに立ち向かうようにプラズマソードを振り被った。
プラズマソードが激突し、激しい火花が散る。
「パワーは互角か………!」
ジェイダーがそう評する。
ジェイダーが左手からもプラズマソードを発生させ、ダブルプラズマソードとして構えた。
オモイカネのジェイダーも、同じように左手からプラズマソードを発生させる。
一瞬の静寂の後、2機が消えたと錯覚させる程の超スピードで切り結び始めた。
激突の火花がエリアの彼方此方で散る。
数十回の攻防の後、2機が弾かれ合って距離を取った。
「やるな………電脳世界とは言え、ここまでジェイダーのスペックを再現するとは……」
すると、ジェイダーの横にモニターが開き、
『だが、人が操縦してる分、こっちが不利だ!』
ウリバタケがそう評した。
確かに間違いでは無いだろう。
完全無人機と有人機。
体力や精神力に限りがある人よりも、無人機の方が有利なのは当然だ。
『そんなことありません!』
ルリが強い口調で叫び、ウリバタケが目を丸くする。
『ジェイさんの方が、そのロボットに対する思い入れは強いはずです! ジェイさんの思いが、負けるはずない!』
「…………フッ…………そこまで言われては、応える他あるまい!」
ジェイダーは口元に笑みを浮かべると、オモイカネのジェイダーに向かって右手を突き出し、
「オモイカネ! そこまでジェイダーを再現したことは見事だと言っておこう! だが、お前は2つ間違っている!」
ジェイダーはまず人差し指を立て、
「1つ…………偽物では本物には決して勝てない」
更に中指を立てて2本指を立てた。
「そして2つ目…………今まで見せたジェイアークの力が、その全てではない!」
そう言い放つジェイダー。
その時、ジェイダーの背後から分離したジェイキャリアが接近して来た。
「見せてやろう! これがジェイアークの真の姿だ!!」
ジェイダーが高く飛び上がると、
「メガッ……フュージョン!!」
ジェイキャリアが変形し、胴体部分と脚部を形成。
更にジェイダーが分離し、頭部と両腕部となって変形したジェイキャリアにドッキング。
「キングッ………ジェイダー!!」
白き巨神となってその姿を現した。
『な、なんだこれはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?!?』
ウリバタケが物凄い形相で叫んだ。
「これがジェイアークの真の姿。ジェイダーとジェイキャリアがメガフュージョンして誕生するジャイアントメカノイド! キングジェイダーだ!!」
名乗りを上げるキングジェイダー。
「キング………ジェイダー…………」
ルリが噛み締めるように呟いた。
「こんなものがあったとは…………ホントにゲキガンガー………いや、それ以上のインパクトだな…………」
流石のアキトもこれには呆然としていた。
キングジェイダーがオモイカネのジェイダーとジェイキャリアを見据えると、ジェイダーが心なしか、たじろいだ様な気がした。
「オモイカネ! お前には悪いが一気に決めさせてもらう!」
キングジェイダーが両手を突き出し、指先を真っすぐに前方に伸ばすと、
「反中間子砲! 五連メーザー砲! 全メーザーミサイル一斉発射!!」
両手の指のメーザー砲、両腕部の反中間子砲、そしてキングジェイダーの全身の各部に備えられた各メーザーミサイルが一斉に発射された。
無数の閃光がオモイカネのジェイダーとジェイキャリアに降り注ぎ、大爆発と共に消え去る。
「……………忘れたくない思い………か………」
キングジェイダーは、何処か悲し気に呟いた。
その後、アキトが連合軍のプログラムを破壊し、作業は終了した。
電脳ダイブが終了すると、
「…………ん?」
ジェイはずっとルリの手を握っていた事に気付く。
「ああ………すまない………」
「いえ………それより、ありがとうございました」
ジェイに向かって頭を下げるルリ。
「あなたのお陰で、オモイカネはオモイカネのままでいられます」
「まあ、あれは俺の責任でもあるからな………」
ルリに面と向かってお礼を言われてジェイは照れたのか、視線を逸らす。
「………ありがとう」
奇麗な微笑みを浮かべて、ルリはそう言うのだった。
ナデシコ編第15話です。
はい、オモイカネ反乱編でした。
被害を減らしましたがそれでもこんな感じに。
で、オモイカネに対処するためにトモロのお説教を期待した人も居ると思われますが、ここはルリの好感度を上げる為にジェイとの絡みを持たせるためにきっかけにするためにこうなりました。
オモイカネの防衛反応にジェイアークが出てくると予想した人はいるのかな?
でもって、なんとこの世界のキングジェイダー初出が電脳空間でした。
エヴォリュダーのハッキング能力を生かす場面でもありましたから。
次回は木連の有人機が現れる回ですが果たして………?
ルリの扱いについて
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アキトの第二夫人
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アキトの家族(娘的な)
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Jアークに乗せたら情報戦でも無敵じゃね?