転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件   作:友(ユウ)

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第16話 『真実』は1つじゃない………それは人の見方による

 

 

 

オモイカネの反乱からまた少し経ち、この世界のクリスマスが近付いてきたある日。

ナデシコがヨコスカベイ地球連合宇宙戦艦ドックに寄港した時の事。

 

「いつまでも軍艦のクルーが()()()と言う訳にも行くまい」

 

「本来なら全員お払い箱だけど、今回は()()()()()()()()()()()()の為に皆さんを軍人に取り立ててもらうようにお願いしたワケよ」

 

基地司令らしき軍人と、ムネタケがナデシコのクルーを呼び集めてそう言う。

その言葉に、ナデシコのクルー達は戸惑いを見せる。

 

「誠に心苦しいのですが、前回のオモイカネ暴走で地球連合軍に与えた損害を計算いたしますと、皆様にお給料を払えなくなってしまう事に………」

 

プロスさんが電卓を叩きながらそう言う。

 

「月面方面でナデシコを再編成することも考えられる。時間が無いのだ………」

 

基地司令がそう言うと、

 

「このまま艦を降りても不愉快な監視が付くだけですし………どうです、ここは曲げてご承知を………」

 

「……………」

 

アキトは以前、このタイミングでナデシコを降ろされたが、今回のアキトは降ろされるような問題行動は起こしてないはずだが…………どうなる?

すると、

 

「あ~、所でそこのアナタ?」

 

ムネタケがアキトに呼び掛ける。

 

「何だ?」

 

アキトが目を細めて睨み返すと、

 

「アナタは要らないわ」

 

「…………ほう?」

 

ムネタケの言葉に、アキトはそう返す。

予め予想は出来たんだろう。

 

「何でですか!? アキトは今までコックもパイロットも立派にやってきました!」

 

だが、それでも納得できないのかユリカが異を唱える。

 

「クルーの出自を調べさせてもらったが、その男には不明な部分が多すぎる。軍として、そのような正体不明の人物を受け入れるわけには行かない」

 

司令官がそう言った。

 

「なるほど………そう来たか…………」

 

アキトはため息を吐くと、

 

「つまり、ナデシコを降りろと?」

 

「そうよ。ここにあなたの居場所は無いの」

 

「…………いいだろう」

 

ムネタケの言葉にあっさりと頷くアキト。

 

「だが、ブラックサレナは俺の私物だ。一緒に持ち帰らせてもらう」

 

その言葉に、軍人達は焦りを見せた。

 

「残念だが、その機体は軍で引き取らせてもらう。前回のコンピューターの暴走でこちらが被った損害をそれで帳消しにするのだ。感謝して………」

 

「俺の機体はオモイカネの攻撃誘導システムの影響下には無い。連合軍には一切損害を与えてはいない。むしろ、ミサイルを撃ち落して損害を減らすよう動いていた。むしろ感謝はこちらにしてほしいな?」

 

「ぐっ………!」

 

ムネタケたちは、悔しそうに言葉を飲み込む。

すると、アキトは軍人達から視線を切り、

 

「さて、ナデシコ降りた後の身の振り方だが…………」

 

アキトはニヤリと笑って俺の方を向いた。

 

「ジェイ。俺をジェイアークに乗せてくれ」

 

「いいだろう」

 

アキトの言葉に俺は即答する。

 

「アキトはパイロットとしても………そしてコックとしても腕が良い。そのような人材ならこちらとしても願ったり叶ったりだ。今までナデシコを護ってきた『信用』もある。多少出自が不明な程度で、これほど優秀な人材を手放すなど、愚の骨頂だ」

 

俺は軍人達に皮肉を飛ばしながら、アキトを受け入れる宣言をする。

 

「ちょ、ちょっとアナタ! 何を勝手に………!?」

 

「ああ、そうだプロスさん。ナデシコが完全に軍の所属になるという事は、俺達との契約はどうなる?」

 

「そうですねぇ………アキトさん程の人物が出自不明でナデシコを降ろされるとなると、それ以上に正体不明なジェイさん一行を、私の一存で契約続行するのは難しいと思われます、はい………」

 

「なっ………!?」

 

プロスさんの言葉にムネタケが驚愕し、

 

「と言う訳で、俺達とナデシコの契約もここまでだな。シン、ステラ。デスティニーとガイアを引き上げて戻ってこいよ」

 

「仕方ないですよね。契約が続けられないんですから」

 

「残念………」

 

シンがニヤリと悪い笑みを浮かべながら承諾し、ステラは本当に残念そうな表情でそう言う。

 

「なっ!? ちょっと待ちなさい!? 何であなた達まで!?」

 

「そりゃ当然でしょ? 俺達は元々ジェイアークの一員なんです。俺達の機体をナデシコに乗せてもらう代わりに戦力として使っても良いって契約をしていただけで………ジェイアークとナデシコの契約が切れれば、ジェイアークに戻るしかないでしょ?」

 

シンがあっけらかんとそう言う。

 

「ぞ、続行よ! そっちとの契約は続行するわ!」

 

ムネタケが叫ぶが、

 

「それはおかしいな? お前達はアキトの出自が怪しいと理由でクビにした。俺達はそのアキトをスカウトした。ならば、その俺達との契約を続行するのはスジが通らないぞ?」

 

俺はそう言ってやる。

 

「まあ、アキトがナデシコを降ろされる理由の見当は大体ついているがな」

 

おそらくネルガル………エリナが手を回したのだろう。

エリナはボソンジャンプを研究していて、生体ボソンジャンプのキーになりそうなアキトを囲い込みたいがために、軍に働きかけたのだろう。

でなければ、パイロットとしてもコックとしても優秀なアキトを降ろす理由は無いからな。

 

「あと、俺達がナデシコに協力していたのは信用出来たからだ。軍の手先になって使いまわされるのは御免だからな。どちらにしろ、契約は打ち切らせてもらう」

 

俺はそう言って踵を返した。

軍人達が苦虫を噛みつぶしたような顔をしていたが、知った事では無い。

 

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

アキトがナデシコを降りる為に格納庫のブラックサレナへ向かっていた時、

 

「ちょ、ちょっと待ちなさい!」

 

エリナが走ってきてアキトを呼び止めた。

 

「…………何だ?」

 

呼び止められた理由に察しはつくものの、アキトは立ち止まってそう尋ねる。

 

「あなたにしか出来ない仕事があるの! あの白い船に乗るよりネルガルに来てくれない?」

 

エリナはそう言った。

 

「…………………生体ボソンジャンプの実験モルモットになれと言いたいんだろう?」

 

アキトは背を向けたままそう答える。

 

「ッ!? どうしてそれを!?」

 

エリナは驚愕するが、

 

「お断りだ。俺は2度と実験モルモットにはなりたくない」

 

アキトはそのまま立ち去ろうとする。

 

「人類の為なのよ! この研究が成功すれば、地球は救われるわ!」

 

エリナはアキトの手を掴んで引き留めようとする。

その瞬間、アキトが鬼のような形相で振り返り、エリナを突き飛ばす。

 

「きゃっ!?」

 

壁に背中を打ち付けたエリナが悲鳴を上げるが、アキトはエリナの顔のすぐ横の壁に手を突き出した。

バンッ、とけたたましい音が鳴る。

 

「ッ!?」

 

「人類の為の研究……!? 俺はそんなものの為にあんな目に遭ったのか!? 色んな薬打たれて……! 滅茶苦茶なナノマシン入れられて……! 解剖されて……! 頭ん中かき回されて………! その結果、五感のほとんどを失って、コックの夢を断たれたあの時の絶望がお前に分かるのかよ!?!?」

 

「なっ………あなた………何言って…………!?」

 

「……………俺はかつて、お前らの言う実験モルモットだったんだよ………」

 

「ッ………!?」

 

「今でこそ、ジェイ達のお陰で体は治ったが、ジェイ達に出会わなければどうにもならなかっただろう…………」

 

「………………………」

 

「お前達は知らないだろうが、お前とアカツキには借りがある。だから殺しはしない」

 

アキトはそう言うとエリナから離れる。

 

「ボソンジャンプの事で俺やユリカに関わるな………! それと、無駄な研究は止めておけ、死人が増えるだけだ」

 

アキトはそう言うと踵を返して去っていった。

 

 

 

 

アキトが去った後、

 

「随分と盛大に振られちゃったねぇ………?」

 

アカツキが現れてエリナに歩み寄った。

 

「………………」

 

エリナはまだショックが抜けきらないのか腰が抜けて立ち上がれない。

 

「まさかあのテンカワ君が、あそこまで感情を露にするなんて、よっぽど『実験モルモット』ってやつが、トラウマなんだねぇ………」

 

アカツキも意外そうな表情でそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

――ネルガルの研究所

そこでは鹵獲したチューリップによる生体ボソンジャンプの実験が行われていた。

だが、結果は全て失敗。

無駄に犠牲者が増えるだけであった。

しかしある時、そのチューリップに異変が起きる。

チューリップが強引に起動し、巨大な機動兵器が2機ボソンジャンプして来たのだ。

無残に破壊される研究所。

現れた2機の機動兵器は、人型をしており、ゲキガンガーに酷似した見た目をしていた。

クリスマスパーティーで騒いでいたナデシコも直ぐに発進。

現れた機動兵器の迎撃に向かった。

 

 

 

街では、赤と青の人型機動兵器がグラビティブラストで建物を破壊していた。

小型なのでナデシコ程の威力は持っていないが、それでもかなりの威力がある。

ナデシコのエステバリス隊が攻撃を開始する。

相手の動きは鈍いため、ディストーションフィールドで軽減されるものの、攻撃を当てるのは難しくなかった。

しかし、その機動兵器は突如として消え、別の場所に現れた。

短距離のボソンジャンプを使ったのだ。

それによって動揺し、ペースを乱されるリョーコ達。

その時、ナデシコのブリッジに通信が届き、

 

『手を貸そうか?』

 

ジェイがモニターに映ってそう言った。

 

「アンタ!? 今更何を………!?」

 

「お願いします!」

 

ムネタケが文句を言いそうになったが、ユリカは即答で頷いた。

 

「艦長!?」

 

「戦力は少しでも多い方が良いです!」

 

勢いでムネタケを黙らせるユリカ。

 

『了解した』

 

モニターが閉じると、ジェイアークが浮上してくる。

そして甲板に立っていた、ブラックサレナ、デスティニー、ガイアが発進する。

ブラックサレナとデスティニーが空から、ガイアがMA形態に変形して大地を駆ける。

 

「でぇぇぇぇぇぇい!!」

 

ステラがそのままの勢いで赤い機動兵器に飛び掛かる。

しかし、その寸前で機動兵器は姿を消す。

 

「ッ!?」

 

ステラは一瞬驚いた表情をしたが、背後に現れたのに気付いてその場を飛び退いた。

その時、

 

「落ち着いて! 私が前に出ます」

 

アカツキやガイのエステバリスよりも、濃い青のエステバリスが敵に接近しながら叫んだ。

アキトの代わりに補充されたパイロットだ。

彼女は、ワイヤーアンカーを飛ばして敵に組み付こうとする。

しかし、そのアンカーが、別方向から飛んできた弾丸に弾かれた。

 

「ッ!?」

 

彼女は驚愕するが、

 

『奴に組み付くのは止めておけ』

 

アキトのブラックサレナが降りてきてそう言う。

 

「奴の瞬間移動はボソンジャンプ………普通の人間が巻き込まれれば、命は無い」

 

アキトはそう言い放つ。

 

「テンカワ!」

 

リョーコが叫ぶ。

その時、

 

「はぁあああああああああああああっ!!」

 

空中からデスティニーがアロンダイトを構えて突っ込んできた。

それは敵の強力なディストーションフィールドを突き破り、左肩を付け根から切断する。

バランスを崩して倒れこむ赤い機動兵器。

すると、

 

『各機! 残りの敵に集中攻撃!』

 

空中からアカツキが指示する。

各エステバリスが、射撃武器で青い機動兵器を攻撃する。

集中攻撃を受けた敵はボソンジャンプで逃れるが、

 

『3秒後! 右へ30度!』

 

アカツキがそう指示する。

言った通りの場所に現れ、再び集中攻撃を加える各機。

 

『ジャンプのパターンさえ読めれば……勝てる!』

 

そしてついに限界を迎えたのか、青い機動兵器も倒れこんだ。

しかし、腹部周辺の装甲が外れ、その下から動力部らしきものが現れて激しく放電する。

自爆しようとしているのだ。

爆発すれば、この街ごと消し飛ぶだろう。

エステバリス隊が攻撃を加えるが、出力をオーバーロードさせて行う自爆の為、フィールドの出力が一時的に跳ね上がっており、エステバリスの武装では歯が立たない。

すると、

 

「ジェイ、頼む」

 

アキトがそう言った。

その直後、

 

『ESミサイル!!』

 

ジェイアークから2発のミサイルが発射され、機動兵器の足元に着弾。

そこにESウインドウが開き、青い機動兵器はその中に落ちていった。

ESウインドウが閉じ、

 

「どこに飛ばしたんだ?」

 

アキトが尋ねると、

 

『月の軌道上だ』

 

「そうか」

 

その言葉を聞き、ホッとするアキト。

アキトからすれば、あの『中』に乗っているのは師とも呼べる人物だからだ。

 

 

 

 

尚、もう1機の機動兵器はナデシコに回収されたが、何とその兵器には、コクピットらしき場所があり、何故かゲキガンガーの曲が流されていた。

 

 

 






ナデシコ編第16話です。
はい、ジンタイプとの戦闘でした。
メインはその前のアキトのクビ騒ぎですけどね。
多分アキトが降ろされた理由はああなんだろうと思ってこうしました。
アキトが要らない? なら俺が貰おう。
ってな感じでジェイが拾ってしまったので、特に今までと変わり無しだったり。
んで、最後のジンタイプは、九十九をゾンダー化させようかとも考えましたが、ここでストレス解消させると、この後の話がややこしくなるような気がしたので止めました。
では、次回をお楽しみに。

P.S ちょっとやることがあるので、今回の返信はお休みします。

ルリの扱いについて

  • アキトの第二夫人
  • アキトの家族(娘的な)
  • Jアークに乗せたら情報戦でも無敵じゃね?
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