転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件   作:友(ユウ)

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第20話 水の音は『私』の音…………その音の響く先は………

 

 

 

【Side ルリ】

 

 

 

 

 

パシャリ、パシャリと響く水の音で私は目を覚ます。

 

「…………この夢は…………」

 

私はベッドから身体を起こし、今の夢を思い出します。

これは私の始まりの夢。

でも、何で今更?

すると、目の前にモニターが開き、メグミさんが映ります。

 

『ルリちゃん、ちょっとブリッジまで来てくれるかな?』

 

「敵の攻撃ですか?」

 

『ううん、そうじゃなくて、お客様』

 

「お客様…………? あっ」

 

メグミさんの言葉に怪訝に思いましたが、私は思い当たる節がありました。

そう言えば、もうそんな時期なんですね。

 

「わかりました。すぐ行きます」

 

メグミさんにそう言うと、私は着替え始めました。

 

 

 

ブリッジで聞いた報告は、やはりピースランドの使者がやってくるという話でした。

正直、自分の居場所はナデシコだと思っているので、ピースランドに行く意味は無いのですが…………

一応遺伝子上の両親に当たるわけですから、一度くらいは顔を見せておいた方が良いでしょうか?

 

「ピースランドは、スイスランドに並ぶ永世中立国でして、前身はギャンブルOKのテーマパーク。国王は経営者の曾孫に当たるプレミア国王」

 

「はい、私も子供の頃行った事あります」

 

プロスさんの言葉にユリカさんが合わせます。

 

「喜ぶのは子供だけではありません。先の戦争で独立しまして。何しろギャンブルの国、エンターテインメントの国だからお金が集まる! ついでに出来たピース銀行は、正体不明の振り込み口座が一杯! 誰もが余分な収入は隠したい、無駄な税金は払いたくないですからな」

 

他人事のようにそう言うプロスさんですが、

 

「ネルガルもね………」

 

ユリカさんが的確なツッコミを入れます。

 

「ぁあ~! どちらにしろ、ピース銀行とスイス銀行は秘密厳守ですからな」

 

「まあ、今回の目的はルリちゃんですけど………」

 

プロスさんの言葉に、ユリカさんはそう言います。

 

「つかぬことを聞きますが、お二人はピースランドの目的が何かご存じで?」

 

「はい」

 

「もちろんです。でも、秘密にしてた方が面白そうですから」

 

私が頷き、ユリカさんが楽しそうにそう言います。

すると、目の前に使者が乗った船が着陸します。

前も思いましたが、小型艦に馬車を乗っけたような変な船です。

すると、そこから騎士のような服装をした使者が降りてきて私の前に歩み寄ると、恭しく跪きながら頭を下げました。

 

「お迎えに上がりました。姫」

 

「姫ぇーーーーーっ!?!?」

 

使者の言葉に、プロスさんの盛大に驚く声が響き渡ることになりました。

 

 

 

 

 

 

 

それで結局、一度は顔を見せに行くことになりまして、只今ピースランドの王城に向かっている所です。

 

「………………なあルリ? 騎士役はアキトに頼んだ方が良くなかったか?」

 

隣に居るジェイさんが問いかけてきました。

私が今いるのはジェイアークの艦橋。

私は姫の騎士役をジェイさんにお願いしました。

 

「今のアキトさんを、私の騎士にするわけには行きませんから……………」

 

アキトさんはユリカさんの騎士、いいえ、王子様ですから。

 

「………俺にも、ハルと言う恋人がいるんだがな?」

 

「そのハルさんには許可を得ましたから」

 

「そうなのか?」

 

ジェイさんが私の反対側に居るハルさんに尋ねます。

 

「うん。ルリがお願いして来たから、特に断る理由も無かったしね」

 

ハルさんは笑ってそう言います。

 

「………嫌じゃないのか? 俺がハル以外の女性と仲良くなるのは……」

 

「ん~、そもそも、恋人やお嫁さんが1人だけっていうのは、あくまでそう決められた法律なだけであって、何処にも定住出来ないジェイには当てはまらないと思うんだけど?」

 

「あ~…………」

 

確かにハルさんの言う通りですね。

何処かの国に定住するなら、その国の決まり事……法律を守らなければいけません。

しかし、ジェイさんは何処の国にも所属しない完全なフリーの立ち位置に居ます。

特に法律に縛られる義務は無いでしょう。

本人の論理感が許せばですけど。

 

「それに、ジェイは誰と仲良くなっても、私を好きでいてくれるのは変わらないでしょ?」

 

「それはもちろんだ」

 

「だったら、私は気にしないよ」

 

ハルさんは強いですね。

ジェイさんを信じて、好きである気持ちを貫いています。

それはともかく、ジェイアークを城の近くに停泊させ、私達は門を潜ります。

赤絨毯が敷かれ、その両側に兵士達が並び立つ通路を進み、謁見の間に案内されます。

 

「おおっ! ルリと申したな? 我が子よ! よく生きていてくれた!」

 

そう言って涙を流しながらそう言うのが、私の遺伝子上の父親、プレミア国王です。

 

「初めまして、お父様…………と言うべきでしょうか?」

 

私は映像資料で見たお姫様のお辞儀を見様見真似でしてみます。

 

「そう! 私がお前の父だ! そしてこれが母!」

 

「あらあらまぁまぁ、立派になって」

 

私と同じ銀髪の女性………遺伝子上の母親がそう言います。

 

「そして! お前の兄弟達だ!」

 

「「「「「ようこそルリさん! 我らのお姉様!」」」」」

 

5人の子供たちが一斉に唱和します。

 

「みんな一緒じゃぁ~~~! ここにずぅ~っと居て良いんじゃよ?」

 

国王が私に駆け寄ってきて手を取り、涙ぐみながらそう言います。

まあ、本心なのでしょうし、悪い人でも無いんでしょうけど………

 

「…………少し時間をください」

 

私は『前』と同じ言葉を返しました。

 

 

 

 

 

 

 

とりあえず街を見て回ってナデシコの皆から頼まれた買い物を済ませることにします。

 

「……………言っちゃなんだが、何処も彼処もパチモンくせぇな」

 

ジェイさんが呆れたようにそう言います。

 

「この国は何処かの真似ばかりで、この国独自のものが無いんです。歴史の浅い国なので、仕方のない事かもしれませんが」

 

「真似することが悪いとは言わないが、それだけだといずれ限界は来るだろうな。他の国から取り込んだことを、この国独自のものに昇華させないと………」

 

そんな他愛ない話をしながら買い物を済ませます。

お昼は仕方ないので不味いピザとパスタで我慢します。

相変わらず、本家本元とか言ってましたが、本家本元はイタリアです。

『前』の私は空気が読めずに本音を口に出して暴力沙汰になり、アキトさんをケガさせてしまいましたが、今回は我慢します。

16歳なのでその位の分別はつきます。

でも、これだけは言わせてください。

この世の物とは思えない不味さでした。

 

 

 

 

 

翌日。

私は『前』の通り、スカンジナビアに向かう事にしました。

既に場所は知っていますが、国王に場所を聞きました。

これであの人も来るはずです。

私が育った研究施設の跡地にたどり着くと、

 

「何故ここに?」

 

ジェイさんが尋ねます。

 

「………そうですね。何となく、ジェイさん達には知っておいてほしかったから………でしょうか?」

 

私自身よくわかっていないので、何とも言えません。

私は施設の廊下を進み、魚の絵が描かれた扉に手を掛け、開きました。

 

「ここが………私の育った部屋です」

 

私はそう言います。

 

「「…………………」」

 

ジェイさん達は何も言いません。

何も言えないと言った方が正確でしょうか?

すると、

 

「ルリさん、ですね?」

 

その声に振り返ると、『前』に見た毛むくじゃらな男性がそこに居ました。

 

「私に会いに来ると、国王から使いがありました」

 

その人が語るのは、私の出自。

そして遺伝子操作の実験。

 

「これから進出すべき外宇宙に対応する人間を作る為には、遺伝子を操作するしかない!」

 

その人は力強く語ります。

すると、

 

「ねえ、ジェイ………それって…………」

 

「ああ…………C.Eのコーディネイターだな」

 

ジェイさん達は思い当たる節がある様に呟きます。

 

「コーディネイター………言いえて妙だね。人をコーディネイトする…………まさしくその通りだ!」

 

その人は嬉しそうに語る。

 

「ルリさん。あなたはその若さでナデシコを事実上動かしている。あなたは明らかに他の人間より優れている。私はあなたを誇りに思っている」

 

以前の11歳と違って16歳ですけどね。

 

「他の子供たちは………?」

 

私は一応そう聞きます。

『前』と違う事を祈って。

ですが、

 

「可哀想だが失敗もある。この方法もとっくの昔に禁止された。この施設もご覧通りさ。だがルリさん、あなたは成功だ。数少ない……な」

 

『失敗』、『成功』、『数少ない』。

この人の口から出てくる単語に、私は胸が締め付けられる思いです。

この人にとって、私はただの実験結果。

 

「………………お前は何も分かっていない」

 

ジェイさんが口を開きました。

 

「何………?」

 

その人は怪訝な声を漏らします。

 

「お前がやった事は、単なる自己満足だ」

 

「何を言う!? 私の研究は正しかった! 現に彼女という優秀な人間が……!」

 

「仮にお前の研究が続いていて、優秀な人間を多く作り出せたとしよう。その先に待つのは何だ?」

 

「それは勿論、新しき新時代の幕開けに………!」

 

「新時代か……………確かにそうとも言えるだろう…………血みどろの戦乱の時代の幕開けにな」

 

「なっ………!?」

 

「お前は人の心というものを全く理解していない。優秀な人間が居れば、それを僻み、嫉妬し、憎む者も出てくる。それが人為的なものだとしたら、尚更な」

 

「ッ…………!?」

 

「その果てに待っているのは、コーディネイターとナチュラルの互いの生存を掛けた戦争だ。俺達は、実際にそんな世界を見てきたからな」

 

「な、何を………」

 

「まあ、そんな事はどうでもいい。だが、俺が今一番気に食わないのが………お前がルリの心を全く考えていなかったことだ!!」

 

ジェイさんがその言葉と共に、その人の頬を殴りつけました。

その人は吹き飛び、壁に背中を打ち付けます。

 

「お前にとっては何人もいる実験体の1人なだけかもしれないが、ルリだって生きている! 心がある! 他の人と何も変わらない、1人の女の子なんだぞ!? それをお前は『成功』だの『失敗』だの、お前はルリを『モノ』としか見ていない! 俺はそれが気に食わない!!」

 

ジェイさんが怒りの剣幕でその人の胸倉を掴みながら怒鳴りました。

 

「ジェイさん…………」

 

私は、その言葉に嬉しさを感じました。

 

「ジェイさん、もう良いです」

 

私は胸倉を掴むジェイさんの手に、そっと手を当てて離すよう促しました。

ジェイさんは手を放します。

 

「私の為に怒ってくれて、ありがとうございます」

 

私はそうお礼を言います。

そして、

 

「ちょっと、ついてきてください」

 

私はそう言って廊下に出て、施設の裏口を目指します。

聞こえてくるのは水音。

パシャリ、パシャリと響くあの『音』。

裏口の扉を開くと、そこには川があり、サケの群れが川を遡っていきます。

 

「これは………」

 

「わぁ、凄い………! 私こんなの初めて見た!」

 

ジェイさんとハルさんが声を上げます。

この『音』だけが私の本当の思い出。

嘘で塗り固められた幼かった私の記憶の、たった1つの『真実』。

やっぱり来てよかった。

私は、心からそう思いました。

 

 

 

 








ナデシコ編第20話です。
今回はルリの帰郷編でした。
さて、ジェイとの仲がますます深く?
そして母艦のアンケートはマクロス・クォーターが優勢。
次いでクロガネですね。
メッセージでも、シロガネや、ラー・カイラム、ナデシコC。
良く知りませんが、ヴァルストークなんてのもありましたね。
果ては宇宙戦艦ヤマトや、アンドロメダもありました。
感想覧でもドライストレーガーとかマクロスエリシオンとかもありました。
ヤマトって実際MSとか積めるんですかね?
スパロボでは積めましたけど。
明らかにグラタンクラスしか積めないであろうνノーチラスにも大量のMS搭載してましたからスパロボなら何でもありなんでしょうけど。
メッセージくれた方はありがとうございます。
まだアンケートは続いてますので引き続きお願いします。




P.S すいません。今日の返信もお休みです。申し訳ない。

母艦をどうするか?

  • クロガネ(スパロボ)
  • ハガネ(スパロボ)
  • マクロス・クォーター級
  • その他
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