転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件   作:友(ユウ)

56 / 153
第25話 『いつか会う貴女の為に』今できること

 

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

 

 

和平交渉が決裂してから少し。

九十九はナデシコの医務室で治療を受け、ミナトとユキナが傍についている。

 

「で? これからどーするの?」

 

ブリッジでアカツキがユリカに問いかける。

 

「はい。火星の極冠遺跡へ向かいます」

 

「あらら………やっぱりそれも知ってるの………って、テンカワ君があの時に言ってたっけ」

 

アカツキは一瞬驚くが、アキトがその事を言っていた事を思い出し、納得する。

 

「アカツキさん。カキツバタや連合軍は如何してますか?」

 

「それも知ってるのね………カキツバタは間もなく到着。連合軍は数日遅れで到着って所かな?」

 

「そうですか………これよりナデシコは先行し、極冠遺跡、及びボソンジャンプ中枢ユニットの確保に向かいます」

 

「ナデシコ1隻で大丈夫なの?」

 

「カキツバタの戦力は当てにしています。しかし、連合軍が来る時には、木連の本隊も到着するでしょうから、そうなれば全面戦争です。その前にケリを付けます!」

 

「具体的なプランはあるの?」

 

「ナデシコの相転移砲で極冠遺跡周辺の艦隊を殲滅。カキツバタの援護を受けながらフィールドランサーを装備したエステバリス隊で極冠遺跡内部まで突入。中枢ユニットを確保! その後、ジェイアークのESミサイルで宇宙の彼方にポイッ! これで完璧!」

 

Vサインを作りながらそう言うユリカ。

 

「完璧じゃない!! あなた、あれがどれ程貴重な物か分かってるの!? これから始まる人類の新たなステージの切っ掛けとなり得るものなのよ!?」

 

エリナが思わず食って掛かった。

 

「あんなものは、余計な争いの火種になるだけの物です。だからと言って、壊してしまえばボソンジャンプに関する全ての歴史が無かったことになってしまいます。ですから、誰の手も届かない所に放棄するのが一番なんです」

 

「だから………!」

 

尚も反論しようとするエリナだったが、

 

「止めたまえエリナ君」

 

「アカツキ君! あなただって分かっているでしょう!? あれがどんなものか……!」

 

「分かっているからこそ、艦長はあれを放棄すると言っている。そして、僕もアレは惜しいとは思うが反対はしない」

 

「アナタ! 何言って………!?」

 

「これ以上反対すると、彼に力尽くで止められるよ?」

 

アカツキはそう言いながらアキトを見る。

アキトの眼は、鋭くエリナを睨んでいた。

 

「ッ………!?」

 

たじろぐエリナ。

アカツキはやれやれと肩を竦めると、

 

「中枢ユニットを放棄したからと言って、ボソンジャンプが使えなくなるわけじゃない。なら、せめて僕達にアドバンテージになるような情報位は欲しいね?」

 

アキトとユリカに向かってそう言うと、

 

「…………良いだろう。俺達の知る情報位なら教えてやる」

 

「よし来た! 言質は貰ったからね!」

 

アカツキは満足そうに頷いた。

 

「ではナデシコ、火星に向けて発進です!」

 

ユリカの号令で、ナデシコは火星に向けて飛び立った。

 

 

 

 

 

 

火星の極冠遺跡。

その上空には、木連の無人艦隊が集結している。

しかし、空から閃光が降り注ぐと、その全てが一気に消滅した。

ナデシコの相転移砲が炸裂したのだ。

 

「エステバリス隊! 直ちに発進を! 遺跡の中枢ユニットの確保を最優先! ここからは時間との勝負です!」

 

ユリカが指示を飛ばし、アキトのブラックサレナを含むエステバリス隊とデスティニーが発進した。

ただ、

 

「はぁ………」

 

空の飛べないガイアは今回もお留守番であり、ステラががっかりしていた。

 

「直ぐに火星の残存勢力が集まってきます! カキツバタは援護を! 敵が集まってくる前に中枢ユニットを確保します!」

 

ユリカはそう指示した。

各機が遺跡に向かって飛翔していくが、

 

「上空より落下する物体あり」

 

ルリがそう報告する。

その直後、雲を突き破って巨大な物体が火星の大地に突き刺さる。

ルリがそれを解析すると、

 

「チューリップです」

 

「そんなっ!? 早すぎる!?」

 

ユリカがその事に驚愕していると、

 

『北辰だな』

 

アキトから通信が入った。

 

「アキト!」

 

『奴も『前』の記憶を持っていた。俺達が直ぐに動くことも想定済みだろう』

 

「ッ………」

 

アキトの言葉にユリカが声を漏らす。

すると、チューリップが開いて優人部隊の戦艦が現れる。

 

『艦長! どうする!?』

 

リョーコが通信で呼び掛けると、

 

「ッ………! アキトとアカツキさんはこのまま遺跡へ! 残りのエステバリス隊とデスティニーで時間を稼いでください!」

 

ユリカがそう指示する。

 

『『『『『『了解!!』』』』』』

 

それぞれが返事をして、アキトとアカツキが遺跡へと向かう。

しかし、ブラックサレナの前に、ボソン粒子が発生する。

 

「ッ!?」

 

アキト達は急ブレーキをかけた。

その直後に、1機の機動兵器がボソンアウトしてくる。

それは、

 

「………夜天光…………北辰………!」

 

アキトにとって因縁のある機体、夜天光だった。

 

『然り………貴様との決着、ここでつけてくれようぞ………!』

 

「ッ…………アカツキ、奴は俺をご指名だ。先に行け」

 

『1人で大丈夫? 君の記憶じゃ結構コテンパンにやられてなかった?』

 

アカツキは茶化す様にそう言ってくるが、

 

「問題ない」

 

『そう? じゃあお先に!』

 

アカツキはそう言って遺跡へ向かって飛んでいく。

しかし、北辰はそれを何もせずに見送った。

 

「止めないのか?」

 

アキトが問いかけると、

 

『もとより草壁の目的などどうでも良い。我はただ、貴様との戦いを楽しみたいだけだ。貴様もそうだろう………? 我を追いし復讐人よ』

 

「………………一緒にするな」

 

アキトはそう口にすると、2人は同時に動き出した。

ブラックサレナがハンドガンを放ち、夜天光は軽やかに躱すと、ミサイルランチャーを発射。

複数のミサイルがブラックサレナに向かう。

アキトは機体を回転させつつ回避行動を取り、ミサイルを躱しきると夜天光に接近、テールアンカーで攻撃する。

しかし、夜天光は手に持っている錫杖でそれを弾いた。

 

『この程度………むっ!?』

 

北辰は余裕の声を漏らしたが、アキトは今回の作戦の為に追加装備されていたフィールドランサーを振り被っており、そのまま振り下ろした。

夜天光はギリギリだが錫杖で受け止める。

 

『ふはは! 腕を上げたなテンカワ・アキト。それも復讐に身をやつした事で手に入れた力か!』

 

北辰は嬉しそうに笑う。

 

『…………………』

 

アキトは否定も肯定もしない。

だが、何処か呆れたような目をしていた。

 

 

 

一方、元一朗は現れた優人戦艦が、自分の良く知る秋山 源八郎と高杉 三郎太の乗る『かんなづき』だと気づくと、戦いを止めるよう説得するためにマジンで出撃した。

 

「止めろお前達! ここでの戦闘は無意味だ!」

 

木連側に呼び掛ける元一朗。

だが、

 

『現れたな、裏切り者め!!』

 

デンジンに乗る三郎太が、元一朗の乗るマジンに突撃してくる。

 

「裏切り者だと!?」

 

『とぼけるな! 悪の地球人に寝返り、白鳥少佐を後ろから撃った卑怯者め!!』

 

「俺が九十九を撃った!?」

 

身に覚えのない元一朗は思わず聞き返す。

 

『まだとぼけるか!』

 

デンジンがロケットパンチを放ち、マジンに直撃。

マジンはよろける。

 

「ぐあぁっ!?」

 

声を上げる元一朗。

その様子を医務室のモニターで見ていた九十九は、

 

「ぐっ………!」

 

痛みを堪えて身を起こした。

 

「白鳥さん! 無理したら…!」

 

「お兄ちゃん!?」

 

ミナトとユキナが心配そうな声を掛けるが、

 

「お願いがありますミナトさん。私を、ブリッジまで連れて行ってください……!」

 

九十九はそう言って立ち上がる。

 

「この戦いは……止めなければいけません………!」

 

九十九の眼には、決意が宿っていた。

ミナトとユキナに支えられながら、九十九はブリッジの扉を潜る。

 

「白鳥さん!?」

 

ユリカが声を上げる。

 

「艦長……! 木連側に通信を………!」

 

九十九はそう頼んだ。

 

 

 

 

木連の攻撃は、更に苛烈になってきていた。

木連の兵士達は、九十九が地球側に寝返った元一朗に、延いては地球人に殺されたと伝えられていた。

その為、その怒りをナデシコに向けていたのだ。

だがその時、

 

『木連の勇敢なる兵士諸君!』

 

突如として戦場一体に全周波数で通信が入った。

そして、聞こえたその声に兵士たちは動揺する。

 

『私は、突撃宇宙優人部隊少佐、白鳥 九十九である!』

 

その言葉と共に、九十九がモニターに映し出される。

 

「白鳥少佐!?」

 

三郎太も驚く。

 

『皆は私が死んだと聞かされているようだが、私はこうして生きている! 地球の方々の尽力により、一命を取り留めたのだ!』

 

九十九の言葉に、木連の兵士たちに動揺が走る。

 

『最初にこれだけは言っておきたい! 私を撃ったのは元一朗でも、ましてや地球の方々ではない! 木星と地球の和平を望まぬ一派による計略だ!』

 

明かされる事実に、さらに驚愕する兵士達。

 

『諸君! 先ずは話を聞いて欲しい………ゲキガンガーの結末は、悪の帝国は正義によって滅ぼされる………それは確かだ。だが、我々はゲキガンガーの結末をなぞるだけでいいのだろうか!?』

 

その言葉に、困惑が広がる。

 

『ゲキガンガーの結末を超えることは出来ないのだろうか!?』

 

「ゲキガンガーの結末を超える………?」

 

九十九の言葉に、三郎太も怪訝な声を漏らす。

 

『ゲキガンガーの幻の3話………その一つ、第33話『聖少女アクアマリンの微笑み』。皆も記憶に新しいはずだ。主人公のケンが、記憶を失った敵であるはずのアクアマリンと恋に落ちた話を…………その結末は、悲しくもアクアマリンの死という結末を迎えてしまった…………そして………この私も、敵であったはずの地球人の女性に恋をしてしまった…………』

 

九十九は懺悔するように自分の手を見つめ、半ば申し訳ない雰囲気でその手を握りしめる。

 

『だが私は、ゲキガンガーの様に死別などという悲しき結末を迎えたくはない………! 故に、私は今ここで、ゲキガンガーの結末を超えて見せる!!』

 

九十九は顔を上げて力強くそう言うと、

 

『…………ミナトさん!』

 

『は、はい……!』

 

九十九の映るモニターの隣に、ミナトの顔が映ったモニターが開く。

そして、九十九は頬を赤く染めながら、

 

『ミナトさん! 私と、け、け、け………結婚してください!!』

 

ハッキリと大きな声でプロポーズをした。

 

『ッ……………!?』

 

ミナトは意外だったのか、一瞬驚いたように目を見開く。

しかし、直ぐに嬉しそうに涙を浮かべながら笑みを浮かべると、

 

『………はいっ! 喜んで……!』

 

迷うことなく頷いた。

その瞬間、ナデシコ内で歓声が沸き上がり、2人のモニターの周りにクラッカーの音と共に、祝福を現す映像が次々と映し出される。

それには、木連の兵士達は驚愕を超えて唖然としていた。

死んだと聞かされていた九十九が生きていた上に、地球の女性に突如求婚。

更にその女性も躊躇なく頷くという正に驚天動地。

少なくとも、このまま戦闘を続けられる精神状態では無いだろう。

…………ただ一人を除いて。

 

『下らぬ、白鳥 九十九。そこまで腑抜けであったか………』

 

北辰は詰まらなそうにそう愚痴る。

 

「貴様には一生分からない事だ………!」

 

アキトがそう言いながらフィールドランサーで斬りかかり、北辰の夜天光も錫杖で鍔迫り合いを行っている。

 

『やはり我が心を満たすのは、貴様の復讐心だけだ………!』

 

北辰はアキトに向かって求めるように言う。

だが、

 

「…………………貴様は、一体いつまで勘違いをしている?」

 

『………何?』

 

アキトの言葉に、北辰は怪訝な声を漏らした。

 

「再び貴様と出会って確信した。俺は貴様に対して、既に何の興味も持っていない」

 

『なん……だと………!?』

 

そのアキトの言葉に、北辰の声に怒りが混じった。

 

「…………やはり、ナデシコは良い場所だったんだな。五感が治っていたとはいえ、俺の復讐心を奇麗に洗い流してくれた」

 

改めて確認するようにアキトはそう言う。

 

『………否………否、否! 否!! そんな筈が無い! 貴様は復讐人! そうでなくてはこの我とここまで戦えるはずが………!』

 

夜天光が錫杖を振り切り、ブラックサレナを突き飛ばす。

しかし、ブラックサレナは制動を取り、その場に留まる。

その直後、夜天光が一直線に突撃してきて腕を振り被った。

 

『死ねっ! テンカワ・アキトォッ!!』

 

その拳を繰り出す。

その拳は、ブラックサレナのコクピット部分に向かって一直線に突き進み、

 

「…………………ジャンプ」

 

ブラックサレナがその場から消え、拳が空振る。

 

『ボソン………ジャンプ…………!?』

 

北辰は己の失策を呪った。

その直後、拳を振り切った夜天光のすぐ真下にブラックサレナが現れ、

 

「終わりだ! 北辰っ!!」

 

アッパーカットの如く繰り出された拳が、夜天光のコクピットに直撃。

その内部を圧し潰した。

 

『がはっ!?』

 

北辰は血を吐き出しながらブラックサレナを……アキトを見据え、

 

『つ、次だ………次こそは貴様を………貴様が我を追う限り………!』

 

「言ったはずだ。俺は既に貴様に興味など無いとな」

 

『テ、テンカワ・アキトォォォォォォォォォォッ!!!』

 

その叫びと共に、夜天光が爆散する。

 

「………………やはり、何も感じないな」

 

アキトは改めてそう言った。

すると、

 

『おーい! 皆―!? やっと一番下まで着いたよ!』

 

遺跡へ向かっていたアカツキから通信が入る。

すると、

 

「ナデシコはこれより遺跡内部に入り、中枢ユニットを確保。遺跡から取り外した後、ジェイアークのESミサイルで宇宙の彼方へ放棄します」

 

ユリカの指示でナデシコが遺跡内部へ降下していく。

とはいえ、木連の先遣隊は九十九のお陰で休戦状態となったが、本隊が来ればどうなるかは分からない。

よってユリカは、総動員で中枢ユニットの切り離し作業をすることにした。

整備班やパイロットは総員で作業は勿論の事、食堂のメンバーは現場で炊き出し、プロスペクターやゴート、ジュン、メグミも雑用を。

イネスは自らの興味で外に出て、九十九は本人であることを証明するために、元一朗、ミナト、ユキナと共にかんなづきに赴いた。

その為、現在ナデシコにはオペレーターのルリ1人というまずあり得ない状況になっていた。

しかし、その甲斐あって中枢ユニットの切り離しは、木連の本隊が到着する前に終えることが出来た。

 

「後はナデシコで遺跡の上まで引っ張りあげて、ジェイさんにESミサイル撃ってもらえばオッケー!」

 

ユリカが笑顔でそう言った時、ナデシコの真上にESウインドウが開いた。

 

「あれ? ジェイさん? ESウインドウ開くの早すぎますよ?」

 

ユリカが通信でジェイに呼び掛けると、

 

『何………? こちらはまだESミサイルは使っていないが?』

 

ジェイはそう答えた。

 

「え? だって、今現にナデシコの真上にESウインドウが…………」

 

ユリカがそう言った時、

 

『ッ!? いかん! 全員即座に退避だ! ナデシコには誰が残っている!?』

 

「えっ? ナデシコにはルリちゃんが………」

 

ユリカがそう言った時、ESウインドウから何かが現れ、ナデシコに向かって落ちていく。

それは棘の付いた大きな紫の球体だった。

 

『ッ……! 原種だ!』

 

通信からハルの声が聞こえる。

その瞬間、ESウインドウから現れた棘付きの球体―――原種核がナデシコに接触、融合する。

直後、ナデシコが形を変えていく。

更にワイヤーで繋いでいた遺跡の中枢ユニットまで取り込まれてしまった。

ナデシコが形を変え、Yユニットの上に、脳を思わせる形をしたドーム状のものが乗った形に変化した。

 

「まさか…………ルリとナデシコが…………原種に…………!」

 

予想外の事態に、ジェイは戦慄の声を漏らすのだった。

 

 

 

 

 





はい、ナデシコ編第25話です。
まあ、九十九のプロポーズとか、北辰のあっさり決着とか色々ありますが、おそらく最後が全部持っていくでしょう。
ルリとナデシコが原種に取り込まれるという事は、ルリがジェイアークに同行する事が決まってから、こうすると決めていました。
まあ、どうやって取り込ませるか悩みまくったのですが、結局はご都合主義の上に強引な形でルリ1人の時に取り込まれる形に………
此処は見逃してください。
さて、分かっていると思いますが、今回現れたのは脳原種です。
一体どうなってしまうのか?
次回をお楽しみに。

母艦をどうするか?

  • クロガネ(スパロボ)
  • ハガネ(スパロボ)
  • マクロス・クォーター級
  • その他
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。