転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件   作:友(ユウ)

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第6話 最大の危機

 

 

 

【Side ルネ】

 

 

 

第一次遭遇戦と呼ばれるようになったバジュラとの戦いから3カ月。

あれからも度々バジュラと遭遇しては、フロンティア船団を護る為に戦っていた。

ゾンダーとは、あれから一度も遭遇していない。

何でこの世界にゾンダーが現れたのかは分からない。

そもそも、ボルフォッグ達の記憶でもZマスターは倒されているため、ゾンダーが存在出来るはずが無い。

ジェフリー艦長やオズマ少佐達に説明を求められたけど、ゾンダーはかつて勇者ロボ達が戦っていた敵であり、この世界とは別の世界の存在であるという事。

Gストーンが動力源の勇者ロボ以外のメカがゾンダーに直接触ると吸収されてしまう事。

ゾンダーは、人間にゾンダーメタルと呼ばれるものが取り付いて生まれる物で、ゾンダー核は人間が素体となっている事。

ゾンダー核から人間に戻すためには本来、浄解と呼ばれる特殊な能力を持った人物が必要だという事。

現状では、浄解をする方法は無いという事。

それと、勇者ロボ達の記録データに残っていた戦闘記録から、ある程度のスペックを伝えておいた。

ジェフリー艦長達は渋い顔をしたが、一先ずその情報はS.M.Sと新統合軍で共有する事となった。

 

「………………」

 

再び遭遇したバジュラを撃退した私は、ホッと息を吐く。

今回もゾンダーは現れなかった。

一応覚悟はしてるけど、好き好んで人間が素体となっているゾンダー核を握りつぶしたくはない。

そうしないといけないって事も分かってるけど。

それでも毎日が気が気でない。

再びゾンダーが現れるのか。

それとも現れないのか?

そんな不安と安堵が交互に襲い掛かる毎日は、正直ストレスだ。

そんなある日、S.M.Sで慰安旅行に行くことになった。

正直気分転換には丁度いいと思った。

まあ、旅行と言っても夏の海を再現したアイランド船に行くだけだけど………

それでも思いっきり遊べる数日間だから、存分に楽しもう。

 

 

 

慰安旅行は、それぞれが満喫していた。

ジェフリー艦長はサーフボードでサーフィンを披露し(凄い上手い)、オペレーターのモニカさんはそんなジェフリー艦長に見とれてビーチバレーのボールを頭に受けてるし。

ミハエルは女の人をナンパしようとしてるけど、クラン大尉に咎められ、しかもそのナンパしようとした女性がルカの姉だったり。

そしてアルトは何故か居るランカとデートしてるし!

ランカはあのシェリルとマイクとのライブ以降、人気が急上昇しており、もうすぐファースト・ライブが控えている。

 

「…………それにしても」

 

私は並んで歩くアルトとランカを見つめる。

 

「………恋人………か…………」

 

オタク系女子と言えど、私だって年頃の女。

恋愛にだって興味あるし、もっと言えば〇〇〇にだって興味がある。

そう言えば、本来の運命のまま進んでいれば、私っておじさんと結婚してたんだよね?

私はその様子を妄想してみる。

おじさんと一緒に買い物したり映画館行ったり、今回みたいに海に旅行に行ったり………

そして夕日の浜辺で追いかけっこして、夜になったらホテルで………………

 

「隊長? どうかしましたか? 体温が上昇して心拍数も上がっていますが………?」

 

突如聞こえたボルフォッグの声にドキッとなる。

 

「へぁっ!? な、何でもない………!」

 

思わず変な声が出た。

相変わらずボルフォッグはホログラフィックカモフラージュで姿を消して私の護衛をしている。

私はブンブンと首を振って妄想を打ち切った。

おじさんも転生したみたいだけど、会える確率はゼロに等しいと思う。

この世界は宇宙まで進出してるから、地球なんかより遥かに広い世界が広がっている。

それだけでも会える可能性はコンマ台だろうに、何より同じ世界に転生してるとは限らない。

あり得ない妄想は悲しくなるだけだからやめよう。

………………あれ?

私、悲しいって思ってる?

私は自分に疑問を覚えたが、オペレーターの人達にビーチバレーに誘われ、その考えを頭の片隅に追いやった。

 

 

 

 

けど、その日の夕方、緊急出動が掛かった。

理由は、発見されたゼントラーディの機動要塞であるボドルザー級要塞の残骸に、バジュラが巣を作っていることが確認されたからだ。

マクロス・クォーターでフォールドする私達。

今回はS.M.Sだけではなく、新統合軍も含めた合同部隊だ。

それぞれの戦艦からバルキリー隊が出撃。

私達は今回予め合体しておき、超竜神達は宇宙用の専用パック、『SPパック』を装備して出撃している。

 

『先行偵察部隊によれば、この中型ボドルザー級要塞は半世紀ほど前、バジュラによって滅ぼされ、その巣となっていることが判明した』

 

ジェフリー艦長が概要を説明する。

 

『LAIの分析で、バジュラはフォールド燃料を餌にして繁殖。成長すると推定されています。ここで食い止めないと、次はまたフロンティア船団が………!』

 

更にルカがバジュラの生態についての説明を行う。

その直後、こちらの接近を探知したのか、ボドルザー級の残骸の表面を突き破って無数のバジュラが飛び出してきた。

巣というだけあり、その数は今までの比じゃない。

 

『何て数だ………』

 

アルトが思わず呟いた。

すると紫のバルキリー、『ルシファー』が隊列に合流し、

 

『アンタレス1より新統合軍、並びにS.M.Sへ。今回は我々も援護する。ただし、お前達が付いてこられれば、だが』

 

『ブレラ………!』

 

ルシファーのパイロット、ブレラ・スターンの物言いに、アルトは不愉快そうに彼の名を呟く。

因みにブレラはシェリルの護衛であり、最近はシェリルの護衛も請け負っていたS.M.Sのメンバーもブレラとは顔見知りである。

勿論私も。

その時、

 

『来ます!!』

 

ルカが叫んだ。

 

『全艦! 砲撃開始!!』

 

ジェフリー艦長の号令で各隊が動き出す。

 

『全小隊コンバットオープン!』

 

「全機! 反応弾発射!!」

 

兵器使用の許可が出ると、オズマ少佐が反応弾の使用を指示する。

反応弾は簡単に言えば、OTM………初代マクロスから得たオーバーテクノロジーを使って生み出された核兵器のようなものだ。

従来の核兵器より、残留放射能が発生しないらしい。

詳しい設定は知らない。

各バルキリーから、大型のミサイルが発射される。

煙の尾を引き、バジュラの群れへ向かっていく。

そして、無数の大爆発が起こった。

 

「これが反応兵器…………」

 

「弾数に制限があるとはいえ、なんて爆発範囲だ………」

 

反応弾の爆破範囲は直径数㎞に及ぶ。

敵単体への破壊力なら勇者ロボ達の方が上だろうけど、射程と攻撃範囲はこちらの方が上だ。

因みに勇者ロボ達は、地球防衛の為に生み出された事に誇りを持っているため、反応弾の搭載はお断りした。

反応弾による攻撃で、前面の群れは大半が吹き飛んだけど、すぐさま後続が飛び出してくる。

あれだけの数を吹き飛ばしても、それは群れのほんの一部に過ぎない。

 

『フォーメーション! リバース!! 相対速度合わせ! 格闘戦に持ち込む!』

 

オズマ少佐がそう指示する。

 

「…………機動部隊! 行くよ!」

 

「「「「「了解!!」」」」」

 

ガオファイガーとなった私の言葉に、超竜神達が答える。

マイクがディスクPで援護し、ゴルディーはゴルディータンクで、デストロイド隊と共にマクロス・クォーターからの援護砲撃を担当している。

そして私、ガオファイガーの左腕にはあるハイパーツールが装備されている。

それは、

 

「空間湾曲! ガトリングドライバーーーーーーッ!!」

 

左腕に装備されたガトリングドライバーで周囲の空間を捻じ曲げ、バジュラの動きを止める。

 

「今だよ!」

 

私の言葉に、

 

「ダブルガン!!」

 

「フォンダオダン!!」

 

「シェルブールの雨!!」

 

「大回転魔弾!!」

 

それぞれが攻撃を仕掛ける。

動けないバジュラはそれらの攻撃に貫かれて爆散した。

スカル小隊やアンタレス小隊はバジュラ相手にも有利に戦いを進めているが、新統合軍の部隊は正直劣勢だ。

その時、後方から無数の強力なビームが放たれ、いくつかのバルキリー部隊に被害が出る。

すると、周囲に点在するデブリから、大型バジュラよりもさらに巨大な、新型の大型バジュラが現れた。

 

『新型!?』

 

ミシェルが驚愕の声を上げる。

 

『挟み撃ちかよ!!』

 

アルトが悪態を吐いた。

その時、私達の方に砲撃が来たので、

 

「プロテクトウォール!!」

 

私はプロテクトウォールで跳ね返す。

威力自体は以前のバジュラ戦艦の主砲よりも低いから問題なく跳ね返せる。

でも、大型バジュラは見た目通り耐久力もあるようなので、バルキリーでは苦労しそうだ。

 

「皆! 私達はあの新型の大型バジュラを中心に狙ってくよ!」

 

「了解しました」

 

「了解! すばしっこい奴らをやるよりも、ああいう相手の方がやりやすいぜ!」

 

「了解!」

 

「了解です、隊長!」

 

それぞれが返事を返す。

 

「ブロウクンファントム!!」

 

私が繰り出すブロウクンファントムが、新型の大型バジュラの装甲も、紙の如く貫き、粉砕する。

 

「ウルテクライフル!!」

 

「双頭龍!!」

 

「プライムローズの月!!」

 

「大回転大魔弾!!」

 

皆の攻撃も、新型の大型バジュラに有効の様だ。

その時、ボドルザー級の残骸から全長数kmはあろうかという大型の空母型バジュラが現れた。

空母っていうか、移動要塞みたいな見た目だけど。

そのバジュラは、4つのビームを斉射し、幾つかの艦隊が轟沈する。

 

『フォールドウェイブ、シグナル増大! 奴です! 奴が、バジュラの群れをコントロールしています!』

 

ルカがそう断言した。

すると、マクロス・クォーターがその空母型バジュラに向かっていき、人型へトランスフォーメーションしながら攻撃の為に大きなデブリを足場にして着地する。

 

「前に見た時も思ったが、戦艦が人型に変形するとは、キングジェイダーを思い出すな」

 

その様子を見た撃龍神がそう零す。

それは私も思った。

大きさはマクロス・クォーターの方が大きいけど、普通に戦ったらキングジェイダーが勝つだろうけど。

マクロス・クォーターは主砲のマクロスキャノンを構えて空母型バジュラに狙いを定め、最大出力で発射した。

重量子が渦を巻き、竜巻の様にバジュラ空母に直撃する。

だが、外壁に数十mの穴が開いただけだった。

 

『何て堅物なの!?』

 

操舵士のボビーさんが驚愕する。

すると、

 

『こちらアンタレス1。これより、敵母艦内部に強行突入する』

 

ブレラがそう報告し、凄まじい機動を見せながら護衛のバジュラを撃墜し、空母型バジュラに向かっていく。

そして、マクロスキャノンで開いた穴から内部に突入した。

 

「ブレラ………!」

 

すると、アルトのメサイアが加速し、バジュラ空母に向かっていく。

 

「アルト!」

 

その姿を見て、私は一瞬迷う。

でも、

 

「私はアルトを追う! 皆は外を任せたよ!」

 

「隊長!?」

 

ビッグボルフォッグが呼び止めようとするけど、私はスラスターを全開にしてバジュラ空母に向かう。

ついでにガトリングドライバーはパージ。

閉鎖空間でガトリングドライバーは使い勝手が悪い。

アルトが空母内部に突入してから少し遅れて私も空母に突入する。

空母内部は機械的なものではなく、やはり生物的な要素を感じさせる。

その時、

 

『♪~~~~~~~~♪~~~~~~~~~』

 

突然歌が聞こえた。

 

「歌………………? この歌は…………ランカ?」

 

空気ではなく、空間を震わせて歌が届いている感じだ。

本当にこの世界の『歌』は何でもありだ。

『勇気』と『気合』で大概の事は何とかできちゃうエヴォリュダーの私が言えることじゃないけど。

私はアルトの機体の反応を追って中枢を目指す。

そして、目の前の壁をドリルニーで貫きながら中枢内部へ到達した時、

 

「ッ!? アルト!!」

 

バトロイドとなっていたアルトのメサイアが、準女王バジュラの触手に後ろから貫かれていた。

メサイアの脱出機構が作動し、アルトがコクピットから射出される。

 

「アルト!」

 

私はガオファイガーの手でアルトを受け止めた。

直ぐに確認するけど、生命反応はある。

ホッとするのもつかの間、ブレラのルシファーが準女王バジュラの頭上。

即ち死角に陣取り、ビームガンポッドを展開。

高出力モードで発射し、準女王バジュラの首と腹を同時に撃ち抜く。

準女王バジュラは最後に大きな雄叫びを上げ、首を落とされ、腹に撃ち込まれたエネルギーが爆発して爆散した。

すると、ブレラのルシファーがそのまま背を向けたので、

 

「待って、ブレラ」

 

私はブレラを呼び止める。

ブレラはこちらを向かなかったが、私はどうしても確認したいことがあった。

 

「…………ブレラ。アルトを囮にしたの?」

 

私はそう聞く。

すると、

 

『結果を見ればそうなる。だが、バジュラの攻撃を捌き切れなかったのは、そいつが未熟だったからだ』

 

「ッ………」

 

ブレラの言葉に私は言い返せなかった。

アルトがまだ未熟であることは確か。

でも、だからと言ってそれだけで切り捨てるのはどうかと思う。

その時、オズマ少佐のバルキリーが私達を追ってきたのか現れた。

 

「ルネ! アルトは!?」

 

オズマ少佐がそう叫ぶ。

 

「無事です。しかし、機体をロストしました」

 

私は掌の上に倒れるアルト見せながらそう言う。

オズマ少佐はクォーターに連絡し、救護班を用意させた。

すると、その間にブレラは飛び去ってしまう。

 

「…………………」

 

私は文句の1つでも言いたくなったけど、

 

「放っておけ。それよりも、今はアルトを優先だ」

 

「………了解」

 

私はアルトをオズマ少佐に預ける。

 

「外のバジュラは撤退したそうだ。俺達も脱出するぞ」

 

オズマ少佐が飛び立ち、それに続いて私も飛び立とうとした時、ズズズッ!と揺れを感じた。

 

「何………?」

 

気になった私は辺りを見回す。

あるのは準女王バジュラの亡骸だけ。

 

「…………気のせい?」

 

私は気を取り直してオズマ少佐の後を追おうと意識を先に向け……………

次の瞬間、衝撃と共に横殴りに吹き飛ばされた。

 

 

 

 

 

【Side Out】

 

 

 

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

 

 

オズマがバジュラ空母より脱出してくると、

 

『スカル1よりクォーターへ。これよりスカル4を搬送する。医療班の準備はいいな?』

 

『デルタ1よりスカル1へ。準備は完了しています。いつでも』

 

『了解した』

 

オズマがマクロス・クォーターへ進路を向ける。

すると、

 

「オズマ少佐。隊長は?」

 

ビッグボルフォッグがオズマに問いかける。

 

『ルネも無事だ。すぐに出てくる…………』

 

オズマがそう言いかけた時、バジュラ空母の外壁が突如として爆散した。

 

『な、何だ!?』

 

オズマが驚きの声を上げた直後、

 

「きゃぁああああああああああああっ!?」

 

煙を切り裂いてガオファイガーが吹き飛ばされて出てきた。

 

「「「「「隊長!?」」」」」

 

勇者ロボ達が声を上げる。

 

「くっ…………!」

 

ガオファイガーはスラスターを制御して体勢を立て直すと、制動を掛けてその場に停止する。

そして、前を見据えると煙が流れていき、その内部位にいた存在が露になる。

 

「そ、そんな…………!」

 

ガオファイガーは信じられないといった声を漏らした。

それは、紫のマントを纏い、頭部が巨大な赤い掌のような形の存在と、同じく紫のマントを纏い、頭が巨大な口と歯となっている存在。

すると、

 

「あれは!? ZX-01とZX-03!?」

 

ビッグボルフォッグが叫ぶ。

 

「なんてこった! ゾンダーだけじゃなく、原種まで復活したっていうのか!?」

 

撃龍神が吐き捨てるようにそう言った。

 

「とにかく、今は隊長の援護を! ガオファイガーのスペックならば、原種相手にも遅れは取らないが、戦闘経験の浅い隊長では原種2体相手は分が悪い!」

 

超竜神がそう言う。

 

「分かったわ!」

 

天竜神が頷くと、勇者ロボ達がガオファイガーの援護に向かおうとする。

だがその時、別方向から無数の攻撃が勇者ロボ達を襲った。

 

「ぐわぁあああああああっ!?」

 

「っ!? 別方向からの攻撃!?」

 

その攻撃に足止めを受けてしまう。

一旦攻撃がやんだため、その攻撃が来た方に視線を向けると、

ボドルザー級の残骸の一番大きな物に、まるで背骨のような形をした巨大な柱が伸び始めていた。

 

「あれはZX-05!? 原種がもう一体だと!?」

 

超竜神が叫ぶと、ZX-05………脊髄原種が、関節の1つ辺り2本生えている爪状の突起からエネルギー弾を放ってくる。

それが関節の数だけあり、現在も増え続けているため、その攻撃は激しくなるばかりだ。

 

「うぉおおおおおおおおおおおおっ!?」

 

「奴は、我々を隊長の下へと行かせないつもりか!」

 

エネルギー弾の嵐に苦戦する勇者ロボ達。

その頃、ガオファイガーは、

 

「ブロウクン………ファントム!!」

 

ZX-01………巨腕原種に向かってブロウクンファントムを放つ。

巨椀原種はバリアで受け止めようとしたが、ブロウクンファントムの威力は原種のバリアシステムでも止めることは出来ない。

バリアを貫き、巨腕原種の中指に当たる部分を貫通。

その指を落とした。

 

「よしっ!」

 

攻撃に手ごたえがあったことにルネは喜びの声を上げるが、その背後からZX-03………顎門(あぎと)原種が大きく口を開き、歯をミサイルとして放ってくる。

それは無防備だったガオファイガーの背中に直撃した。

 

「きゃああっ!?」

 

悲鳴を上げ、よろけるガオファイガー。

 

「このっ………!」

 

右腕が戻ってきていないため、ドリルニーで顎門原種に攻撃を仕掛けるガオファイガー。

しかし、そんな見え見えの攻撃が通る程原種は甘くなかった。

顎門原種は瞬時に歯を生やすと、ドリルニーを繰り出した足に喰らい付き、受け止める。

 

「ッ!?」

 

驚愕するガオファイガー。

その直後、破砕音と共に右足が一気に嚙み砕かれた。

 

「きゃぁあああああああああああっ!?」

 

衝撃と共にダメージがルネに伝わる。

 

「うぐっ………!」

 

それでも何とか体勢を立て直すと戻ってきた右腕前腕を接続するために右腕上腕を掲げようとして、

 

「あっ!?」

 

巨腕原種がその右腕をつまむようにして止めてしまった。

巨腕原種はそのまま力を込めて、ガオファイガーの右腕を圧し潰し、圧壊させる。

 

「腕が……!?」

 

その事に一瞬呆けてしまうガオファイガー。

直後、巨椀原種は握りこぶしの様になり、ガオファイガーを殴りつけた。

 

「あぁああああああああああっ!?」

 

各部の破片を飛び散らせながら、ガオファイガーは吹き飛ばされる。

その先には大きく口を開いた顎門原種。

吹き飛んできたガオファイガーをキャッチするかの如くその顎を閉じ、ガオファイガーの左腕を噛み砕く。

 

「うぁあああああああああああああああっ!?」

 

ルネの乗るコクピットの各部にもショートや爆発が起こり、ルネ自身も負傷してしまう。

 

「ううっ………!」

 

意識が朦朧となり始めるルネ。

 

「いけません! このままでは!」

 

ビッグボルフォッグが焦りを隠せずに叫ぶ。

 

「それは分かってるけど………!」

 

天竜神も何とか脊髄原種の攻撃を掻い潜ろうとしているが、回り込もうとする先に攻撃の嵐が降り注いで先へ進めない。

 

「本気でヤバいッゼ!」

 

マイクも攻撃を避けながら焦り出す。

 

「畜生! 俺のウルテクエンジンじゃあそこまで行けねぇ!!」

 

ゴルディマーグも悔しそうに叫んだ。

すると、

 

『各機ガオファイガーを援護せよ!』

 

ジェフリーがそう指示を出した。

 

「言われなくても!」

 

ミシェルが得意の射撃で巨椀原種を狙う。

 

「あそこまでデカけりゃ外さない!!」

 

そう叫んで引き金を引く。

スナイパーライフルのビームが一直線に巨椀原種に向かい、直撃する。

 

「如何だ!?」

 

ミシェルは直撃したことに手ごたえを感じるが、

 

「無傷だと!?」

 

ビームは原種のバリアを貫くことは出来なかった。

 

「これなら如何だ!?」

 

クランのクァドラン・レアが背中のミサイルランチャーを展開。

無数のミサイルが顎門原種を襲う。

しかし、その全てが着弾するも、原種は全くの無傷だった。

それどころか、ミシェルやクランを気にする素振りも見せない。

 

「こっちは眼中に無しか!?」

 

クランが悔しそうに吐き捨てる。

すると、

 

『敵機表面に高エネルギーのバリアフィールドを確認しました。これがこちらの攻撃を無効化しているんです!』

 

ルカがそう言うと、

 

『バリアを突破する方法は無いのか!?』

 

アルトを置いて戻ってきたオズマがそう聞くと、

 

『このバリアは、バジュラの次元バリアとも、ピンポイント・バリアとも違うメカニズムで作られているようです。バリアを突破するだけの高出力による攻撃。もしくは、ビッグボルフォッグのメルティングサイレンぐらいしか方法がありません!』

 

ルカが悲観そうに叫んだ。

 

「打つ手なしか…………!?」

 

オズマが悔しそうに歯ぎしりする。

「マクロスキャノンではガオファイガーごと巻き込んでしまう………」

 

「見ている事しか出来ないなんて…………」

 

ジェフリーやキャサリンが歯痒そうにそう言う。

その視線の先で、繰り返し攻撃を受け、ボロボロになったガオファイガーが力なく漂う。

その時、ブロウクンファントムによるダメージを再生させた巨椀原種が、ガオファイガーから距離を取り、その掌を握りしめ、巨大な拳を形作る。

 

「拙い! 止めを刺す気だ!!」

 

ミシェルがそう判断する。

巨大な拳となった巨腕原種は勢いをつけながらガオファイガーに向かって突き進んだ。

巨腕原種の拳の威力は、パワーアップする前とはいえガオガイガーのヘルアンドヘブンを真っ向から打ち破り、両腕を粉砕する程の威力がある。

今のガオファイガーが喰らえば、確実に粉々になるだろう。

巨腕原種は加速しながらガオファイガーにぐんぐん迫る。

 

「た、隊長!」

 

「くっそぉぉぉぉぉっ!!」

 

「駄目ぇぇぇぇぇぇっ!!」

 

「くぉおおおおおおおおおっ!?」

 

「オーマイガーッ!!」

 

「ちっくしょぉおおおおおおおおおおっ!!」

 

勇者ロボ達は助けに行けない事に悔しそうな声を上げる。

力なく漂うガオファイガー。

その中で傷つき、意識が朦朧になっているルネは、ぼやける視界で迫りくる巨椀原種を見つめていた。

 

「あ………う……………」

 

最早悲鳴を上げる力も残っていない。

そんな中ルネの脳裏には走馬灯のように記憶が駆け巡っていた。

それでも、その中で一番記憶に残っているのは、

 

(…………………おじさん……………)

 

『おじさん』の事だった。

歳は離れていても、気軽に話し合い、遊べる仲。

歳の離れた大事な友達。

そう思っていた。

だが、

 

(……………ああ、そっか……………そうだったんだ…………)

 

死を間際にした、自分の本当の心に。

 

(私………おじさんの事、男の人として好きだったんだ…………)

 

一度目に死んだときは、突発的な事故だったため、自分を顧みる暇も無かった。

だが、今回は不幸にも確実に止めを刺される瞬間を目の当たりにしている。

その為、死の間際の時間で自分の本当の心を自覚してしまった。

 

「…………おじ………さん………………」

 

辛いときにはいつも『おじさん』が居てくれた。

苦しい時には助けてくれた。

 

(だから………今度も助けてよぅ…………)

 

ルネは心で『おじさん』に救いを求める。

そんなのは唯の現実逃避。

そんな事はルネ自身も分かってる。

しかし、今のルネには『おじさん』に縋るしかなかった。

巨腕原種の拳が視界一杯に広がる。

もう一瞬後には、ガオファイガーごとルネ自身が砕かれるだろう。

だから、

 

「…………助けて……………おじさん…………」

 

ルネの瞳から一筋の涙が零れる。

そして…………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………粉々に砕かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

巨腕原種が8条の赤き閃光によって。

 

「……………………え?」

 

ルネはその瞬間を現実感なく見つめていた。

そして自然と視線は、その閃光の出所だろう方向に向く。

その先にいたのは白き箱舟とも呼ばれる白亜の戦艦。

 

「………………ジェイ…………アーク……………」

 

その艦の名を、ルネは呆然と呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





はい、マクロスF編第6話です。
火曜日に間に合わなかったぁ!
まさかサヨナラノツバサ編に入って初っ端から原種が出てくるとは思うまい。
ルネも戦闘経験の乏しさから大ピンチに陥りました。
かつてのガオガイガーの如くボッコボコにやられてしまったルネでしたが、そこに現れたのはやはり……………
次回をお楽しみに。




P.S 時間無いので今日の返信はお休みします。

放棄したオービットベースについて。後々ディビジョン艦を回収?

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