転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件   作:友(ユウ)

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第8話 告白

 

 

 

【Side ルネ】

 

 

 

 

 

突然現れた原種によって、絶体絶命のピンチに陥った私を助けてくれたのは、何とあのキングジェイダーだった。

キングジェイダーが原種3体を倒した後、何と話し合いを申し込んできたのだ。

しかも、私や勇者ロボを名指しで…………

私の所属はS.M.Sになっているため、話し合いはマクロス・クォーターで行われることとなった。

デスティニーガンダムとガイアガンダムから勇者ロボ達に引き渡された私は、ガオファイガーから降ろされ、医務室に直行となった。

頭からも割と派手に血が出ていたけど、幸運にも骨折のような重症は無く、打撲や裂傷がいくつかある程度で、少し休んだら動ける程度まで回復した。

因みにアルトはベッドに寝かされていて、こちらは意識が無い状態だった。

 

 

 

動けるようになった私は、直ぐに格納庫に戻った。

あのキングジェイダーの操縦者をどうしても確かめたかったから。

格納庫に着くと、デスティニーガンダムとガイアガンダムが歩いてきて所定の位置に着いた所だった。

すると、腹部のハッチが開いて赤いパイロットスーツを着た人物がワイヤーを使って床に降りてくる。

同じようにガイアガンダムのコクピットハッチが開いて中の人物が出て来たけど、そこからは、ピンクのパイロットスーツを着た人物と、続けて銀髪をツインテールにして、白い服を着た少女も一緒に降りてきた。

でも、その少女の見た目は、どこかで見た事があるような気がした。

そして、2つの赤い光が宙に浮いてやってくると、機体から降りてきた3人の前に降り立つ。

その光の中には、2人の人影が見えた。

オズマ少佐や勇者ロボ達は、銃こそ向けてはいないが警戒は怠っていないようだった。

すると、その光が徐々に収まって行き、2人の風貌が露になった。

1人は青髪で、私に負けず劣らずのスタイルを持つ女性。

そしてもう1人は……………

 

「ッ………!?」

 

その人を見た時、私は一瞬息をすることも忘れてしまった。

記憶にある姿よりもずっと若い。

だけど確かな面影があり、何より私の直感が、魂が目の前の人物が『その人』だと叫んでいる。

私は自分がケガ人だという事も、痛みも忘れて駆け出していた。

そして、

 

「おじさん!!」

 

人目があるにも憚らず私はその人の胸に飛び込んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

【Side Out】

 

 

 

 

 

 

 

「おじさん!!」

 

話し合いをするためにマクロス・クォーターの格納庫に来たのだが、何故か出会い頭に黒髪長髪の女の子にいきなり抱き着かれた。

 

「はぁっ!?」

 

俺は突然の事に素っ頓狂な声を漏らす。

 

「…………ジェイ、流石に手が早すぎるんじゃないかなぁ………?」

 

ハルはニコニコとしているが、若干圧を感じる。

ルリの視線も、何処か冷たい感じがした。

 

「ま、待て! 俺には何が何だか…………!?」

 

俺は弁明しようとするが、

 

「おじさん…………おじさん…………!」

 

俺に抱き着いた黒髪の少女は頭を胸に擦りつけるように泣きじゃくる声を漏らす。

 

「き、君も! 誰かと勘違いしてるんじゃないのか!?」

 

俺が抱き着く少女にそう言うと、

 

「そんなことない!!」

 

強い否定の言葉と共に、彼女が顔を上げる。

 

「私がおじさんの顔を見間違えるはずない!」

 

そう叫びながら顔を上げた事によって、俺は初めて彼女の顔を見ることが出来た。

そして、その顔は…………

 

「…………………琉音………ちゃん…………?」

 

かつて…………前世住んでいたアパートの隣の部屋に住んでいた高校生の少女の顔だった。

俺が彼女の名を呼んだ時、眼に涙を浮かべながら、パアッと花が咲くような笑みを浮かべた。

 

「うん………! そうだよ………! ルネだよ………! おじさん!」

 

琉音ちゃんは嬉しそうにしながら俺に抱き着く。

 

「な、何で君が此処に…………?」

 

まず浮かんだ疑問がそれだ。

彼女は前世の世界の住人の筈。

ここに居るはずが無い。

すると、

 

「あ~、ちょっといいか?」

 

無精髭を生やした男性が毒気を抜かれた表情で歩み寄ってきながら声を掛けてきた。

 

「どうやらあんたはルネと知り合いのようだが………」

 

「あ、ああ…………」

 

琉音ちゃんがいた事による動揺が抜けきらないまま返事をする。

 

「なら、一先ず敵では無いと思っていいんだな?」

 

「ああ。そちらから仕掛けてこなければ、無理に戦う必要は無いからな」

 

俺はそう答える。

 

「そうか。名乗り遅れたが、俺はS.M.Sスカル小隊隊長のオズマ・リー少佐だ」

 

この男の名はオズマ…………

それにS.M.Sって事は、ここはマクロスの世界か。

 

「………ジェイだ」

 

俺はそう名乗り返す。

 

「そうか……ならばジェイ。ルネの知り合いという事は、お前達も異世界から来たというクチか?」

 

オズマの言葉に俺は軽く目を見開く。

 

「琉音ちゃんから聞いたのか?」

 

「ああ。正直半信半疑ではあるが、超AIによる心を持ったロボット。ゾンダーの出現なんかがあるから、信憑性は高まってきているがな」

 

「ならば話が早い。その通りだ」

 

オズマの言葉に俺は頷きながら答えた。

 

「そうか…………お前達はこれからどうするつもりだ?」

 

オズマがそう聞いてくる。

 

「俺達は基本的に、この世界に現れるであろうゾンダーや原種を相手に戦う。人と人との争いに手を貸すつもりはない。まあ、非戦闘員の大量虐殺など、度が過ぎていると感じれば、介入することもあるがな」

 

俺は基本方針を述べる。

すると、

 

「何故、ゾンダーや原種が現れると?」

 

格納庫に居たボルフォッグが問いかけてきた。

 

「この世界にゾンダーや原種が現れるのは、俺達のようなイレギュラー………この世界の異物を排除するためのカウンターの為に世界が生み出したものだ。現に、この世界にたどり着く前までの世界でも、原種やゾンダーが現れている」

 

「ッ! では、かつて倒した原種が復活したのは……!」

 

「おそらくはガオファイガーやお前達に対するカウンターとして生み出された物だろう」

 

「そのような事が………!」

 

ボルフォッグや他の勇者ロボ達も困惑の様子が伺える。

 

「だが…………」

 

俺は同時に腑に落ちない事があった。

 

「ジェイアークに対するカウンターでも原種1体から2体………ガオファイガーやお前達を含めても、原種が3体も同時に出てくるのはおかしい………」

 

俺がそう呟くと、

 

「……………あの………もしかしたらだけど…………」

 

ルネが俺に抱き着いたまま、おずおずと言い出した。

 

「この世界に来るときに、オービットベースがあった………運用できないから他のディビジョン艦と一緒に放棄したけど………」

 

オービットベースがある事にも驚いたが、その言葉を聞いたときに腑に落ちた。

 

「ほぼ間違いなくそれだな…………無人とはいえオービットベースも大きなイレギュラー。だから原種が3体も現れたんだ」

 

俺はそう判断した。

 

「そうなると、このまま放っておくのも問題がありそうだな………オービットベースの位置は分かるか?」

 

俺がそう聞くと、

 

「オービットベース放棄後のタケハヤによる行動推移、及びマクロスフロンティア船団合流後のデータを照らし合わせれば、凡その位置の特定は可能です」

 

ボルフォッグがそう言う。

 

「それなら、後で回収しに行くぞ。ジェイアークのESミサイルを使えばそこまで時間はかからないだろう」

 

俺が一旦の方針を決めると、オズマに向き直る。

 

「オズマ少佐。俺達がフロンティア船団と行動を共にするのは可能だろうか?」

 

俺がそう尋ねると、

 

「あ~。ルネ達はS.M.Sに所属する条件でフロンティア船団に在住する許可を受けているんだが…………」

 

「なるほど…………ならば、デスティニーとガイア及びそのパイロットをそっちに出向させたい。こちらには格納できないからな。その間は、そちらの戦力として使ってもらって結構だ。

 

「デスティニーとガイアというのは、そこの機体か?」

 

「そうだ」

 

俺がそう言うと、シンがヘルメットを取りながら前に出て、

 

「デスティニーのパイロットのシン・アスカです!」

 

そう言うと、続けてステラもヘルメットを取りながらシンの隣に並び、

 

「ガイアのパイロット。ステラ・ルーシェ」

 

そう名乗った。

 

「えっ…………?」

 

琉音ちゃんが驚いた声を漏らす。

恐らく、ガンダムSEED DESTINYの2人が居ることに驚いたんだろう。

 

「ついでに自己紹介しておきます。現状ジェイアークのオペレーター補助のホシノ・ルリです」

 

ルリもそう名乗った。

 

「ええっ………?」

 

琉音ちゃんは俺の影響で一昔前のアニメも知ってるからな。

もちろんナデシコの事も知っている。

驚いているのはその為だろう。

 

「私はハルだよ」

 

ハルもついでの如くそう名乗る。

 

「ん~………!? あの人もどこかで見たような気が………?」

 

ハル………柏木 晴子の事は知らないはずだが?

まあ、前の3人に比べれば知名度は低いだろう。

 

「一先ず艦長と話をしてくる。それまでは大人しくしていてくれ」

 

オズマがそう言ったので、

 

「わかった。こちらも琉音ちゃんに話を聞きたいからな」

 

そう言ってオズマはその場から離れた。

 

 

 

 

その間、俺は琉音ちゃんを連れてジェイアークの艦橋に来ていた。

他のメンバーはマクロス・クォーターに残っている。

言い方は悪いが人質交換のようなものだ。

 

「さて琉音ちゃん。改めて聞きたいんだが、何で君がここに居るんだ? しかも勇者ロボ達と一緒に………」

 

すると、琉音ちゃんは話し出した。

俺が死んで数年後、琉音ちゃんもトラックに轢かれて死んでしまったこと。

死後に会った天使から、自分の死は、俺が運命を弄られて死んだことによって起きたバグのようなもので、これも予定外の死だった事。

そして、お詫びとして異世界に転生することになり、転生特典が主要キャラ以外の機体という事で選んだのが、

 

「レプリオービットベースぅ~~~~(勇者ロボ付き)!?」

 

その事を聞いたとき、俺は思わず突っ込んでしまった。

 

「………ジェイアークを選んだ俺も相当だが、琉音ちゃんも大概だな…………」

 

半分関心、半分呆れの感情でそう呟く。

そして、転生した先がこの世界であり、必要最低限の物資や機体をタケハヤに詰め込み、オービットベースを放棄して放浪の旅に出た結果、マクロスフロンティア船団とバジュラの戦いに遭遇し、フロンティア船団を援護。

S.M.Sに入ることで居住権を手に入れたそうだ。

俺が経緯について何とか納得していると、

 

「……………おじさん」

 

「ん?」

 

琉音ちゃんが改まったように話しかけてきた。

 

「…………会いたかった」

 

涙を流しながらそう言う。

 

「琉音ちゃん…………」

 

「もう………どこにも行かないで…………」

 

まるで恋する乙女のような言葉でそう言われ、ドキッとする。

 

「あ~、琉音ちゃん。寂しかったのは分かるが、あまりそう言う言い方をするもんじゃない。相手を勘違いさせちゃうからね」

 

俺が注意するようにそう言うと、

 

「勘違いじゃない!」

 

強い言葉で否定された。

 

「えっ………?」

 

「勘違いじゃないよ…………だって私………おじさんの事好きだもん!!」

 

その言葉に一瞬呆ける俺。

それからハッとなると、

 

「何言ってるんだ琉音ちゃん!? こんなおっさんを………!?」

 

「そんなの関係ない! 私はおじさんが好き! 倍以上歳が離れてたって気にしない!」

 

「いや、だが………」

 

「それに、今は若いでしょ」

 

「……………そう言えば年齢違うのによく俺だとわかったな?」

 

「さっきも言ったけど、私がおじさんを見間違えるわけない」

 

自信を持ってそう言われる。

 

「それに、異世界転生で若くなるのはテンプレでしょ?」

 

「………………………」

 

俺は一度ため息を吐くと、

 

「……………琉音ちゃん。君の気持は正直嬉しい…………だが」

 

俺はハルやルリとの関係を話そうとして、

 

「恋人がいるんでしょ? 少なくとも、あのハルって子は間違いなくそうだし、ルリの方も可能性が高いよね?」

 

「…………ああ。その通りだ」

 

俺はその言葉を肯定する。

 

「だから…………」

 

「だったら私にもチャンスはあるよね?」

 

「えっ?」

 

「恋人が2人居るなら3人目が居ても問題ない」

 

「………………いや、それでいいのか?」

 

「構わない………おじさんと一緒に居られるのなら……………それに、本来の運命では、私はおじさんと結婚する運命だったらしいし」

 

「はっ!?」

 

俺は驚愕する。

 

「20歳の誕生日に酒を飲んで酔っ払って一線を越えた挙句に一発妊娠で出来ちゃった婚だったみたい」

 

「マジか!?」

 

俺は思わず声を上げた。

 

「転生させてくれた天使がそう言ってた」

 

「………………………」

 

いや、前世の俺が結婚できてたって事にびっくりだわ。

いやいや、自分の半分以下の年齢の女の子に手を出したのか俺!?

すると、

 

「でも、そんなのは関係ない………私は、私の意志でおじさんを好きになった………だから…………」

 

琉音ちゃんの言葉に、俺が何も言えなくなっていると、

 

「これはジェイの負けだね」

 

そんな言葉と共に、この場にハルとルリが現れた。

 

「ハル!? ルリ!?」

 

俺が2人の登場に驚くと、

 

「彼女の様子を見て、ジェイさんの事が好きな事は一目瞭然でしたから」

 

ルリが此処に来た理由を言う。

 

「だからルリと話し合って、その子をどうするか決めてたの。それで、その子がどの位ジェイの事を好きかで判断するって事になったんだけど………」

 

「私は構いません。私もジェイさんとハルさんの2人の間に強引に入ったようなものですから」

 

ルリがそう言い、

 

「私もさっきの言葉を聞いて、この子なら大丈夫かなって」

 

ハルがニコニコしながらそう言った。

 

「お、おい………」

 

「って事で、ルネだっけ? ジェイに言い寄ることは邪魔しないけど、彼の心は自分で掴んでね?」

 

まるで煽る様にそう言う。

その言葉に、琉音ちゃんはムッとした表情になると、

 

「正妻の余裕ですか? 油断してると私がその座を奪っちゃいますからね?」

 

煽り返す様にそう言い返す琉音ちゃん。

 

「私はいつでも受けて立つよ。ジェイの一番は渡さないから」

 

そう言うハルと琉音ちゃんの間に、バチバチと火花が散った気がした。

 

「あ~………それで琉音ちゃん」

 

俺がそう言うと、琉音ちゃんは不満そうにして、

 

「ルネです! 私はもう20歳なので子ども扱いは止めてください、おじさん!」

 

そう言ってくる。

 

「す、すまん…………なら、そっちも『おじさん』呼ばわりは止めてくれ。一応肉体年齢は22歳前後だからな。ジェイでいい」

 

「わかった、おじ………ジェイ」

 

「それでいい。これから改めてよろしくな。ルネ」

 

「ん」

 

俺がそう言うと、ルネは嬉しそうに頷くのだった。

 

 

 

 

 

 

 







マクロスF編第8話です。
昨日は門松の準備やらなんやらで忙しく投稿できませんでした。
今回はルネとジェイの再会の回ですが、これが限界だった………
自分に修羅場を書くのは無理っすね。
既にジェイに恋人がいることに感付くルネに、ジェイの事を好きな事を感付くハルとルリ…………
勘が良すぎますね。
因みにハルとルリはジェイの転生云々については知っています。
次はオービットベース回収しに行って原作の流れに戻ります。
お楽しみに。
あと、毎度の如くアンケートがあるので投票お願いします。



P.S 今日の返信はお休みします。

マクロスF編のラストは?

  • ほぼ原作通り
  • アルトとシェリルを助けるだけ
  • 両手に花のアルトを連れて異世界へ
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