転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件   作:友(ユウ)

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第9話 脱獄

 

 

 

俺と同じように転生して来た琉音ちゃんことルネと再会し、フロンティア船団に身を寄せることになった俺達。

現在、俺達はES空間の中を移動中だった。

その理由は、

 

『デグチガワESウインドウトウタツ』

 

トモロの言葉と共に、進行方向にES空間の出口が見える。

ジェイアークがそこを通り抜けると、

 

「……ビンゴ!」

 

その視界の先にオービットベースが存在していた。

 

「見事な計算だ。ボルフォッグ」

 

俺は後に続いているタケハヤに乗っているボルフォッグにそう言う。

 

『いえ、マクロスフロンティア船団の正確な航行データがあればこそです』

 

謙遜するボルフォッグ。

後はオービットベースが動いていたとしても、近くに惑星が無いので引力等の影響をあまり受けず、微々たるものだったことも理由だろう。

 

『オービットベースのメインコンピューターにアクセスした所、小惑星の衝突によるものと思われる細かな損傷はあるものの、機能に影響を及ぼす重大な損傷は無いようです』

 

ボルフォッグがそう報告した。

すると、

 

『けどよ、こんなデカいもんどうやって動かすんだ?』

 

『本来は衛星軌道上にある宇宙ステーションで、多少の軌道修正は出来ますが、航行できるような推進システムは乗せてありませんからね』

 

炎竜や氷竜がそう言う。

 

「トモロ、牽引ビーム!」

 

『リョウカイ』

 

俺が指示すると、ジェイアークから電気の鎖のようなものが放たれ、オービットベースを包んだ。

 

「ジュエルジェネレーター出力全開!!」

 

俺の号令と共にジェイアークのメインブースターが火を噴き、ゆっくりとだがオービットベースが動き出した。

 

「どうやら動かせるようだな」

 

俺は考えていた方法でオービットベースを動かすことが出来てホッとする。

 

「ルリ」

 

俺は続けてルリに呼び掛けると、

 

「はい。オービットベースのシステム掌握を開始します」

 

ルリが専用のコンソールに手を置き、オモイカネのモニターに包まれ、ナノマシンの光が顔や瞳に浮かび上がる。

その間に、再びESミサイルを発射し、フロンティア船団へ合流の為に動き出した。

 

 

 

 

 

オービットベースを確保して戻ったまでは良かったが、フロンティア船団では大きな動きがあった。

シェリル・ノームがスパイ容疑で逮捕され、アルカトラズ刑務所に収監されたというのだ。

もうそんなところまで進んでたんだな。

ルリはオービットベースのシステムを掌握している途中なので残し、ボルフォッグ達に護衛を頼んだ。

俺とハル、ルネでマクロス・クォーターに行くと、既に話し合いが行われていた。

 

「………誰だ?」

 

とても美形な青年にそう言われる。

 

「彼はジェイ。シンやステラと同じく異世界の人間だそうだ。そして、ルネの同郷らしい」

 

オズマがそう説明する。

 

「ジェイ。お前が来たとき、こいつは負傷し医務室だったから知らないだろうが、スカル小隊の1人、早乙女 アルトだ」

 

なるほど、コイツがアルトか。

 

「………ジェイだ。ジェイアークの艦長とでも考えておけばいい」

 

「スカル4。早乙女 アルト准尉だ」

 

俺が名乗ると、アルトもそう答える。

すると、

 

「さて、諸君。我々は、人類とバジュラの命運を左右する重大な局面に居る。バジュラとのコミュニケーションの可能性を探る為にも、我々のクライアントであるシェリル・ノームを救出しようと思う。シェリルとの護衛契約もまだ続いている上に、残金も受け取っていない」

 

冗談を交えたジェフリーの言葉に、笑みを零す面々。

 

「ただし、この行為は三島達フロンティア政府によって、反逆行為として見做されるだろう。もちろん、人類同士の戦いにさえ参加している我々が、このような大義名分で動くなど、唯の偽善に過ぎないのかもしれん。それでも、ついてきてくれるか?」

 

ジェフリーの言葉に、皆は迷わずに頷いた。

 

「でもどうすれば………? アルカトラズの警備は厳重…………」

 

「システム的な障害であれば、こちらで如何にかできるが?」

 

キャサリンの言葉に、俺は口を開く。

その言葉に、全員の視線が俺を向いた。

 

「ルリ」

 

俺がそう言うと、

 

『はい。只今』

 

空間モニターが開いてルリが映ると、俺の周辺に次々とモニターが開いていく。

そこには、

 

「こ、これって、アルカトラズの警備システム!? 監視カメラの映像から警備状況まで!?」

 

キャサリンが驚きながら口にする。

 

『その気になれば、今すぐにでも警備システムを乗っ取ることも可能です』

 

「「「「「…………………………」」」」」

 

その言葉に、唖然となるS.M.S一同。

 

「…………流石『電子の妖精』」

 

ルネが感心したように呟いた。

 

『ぶい』

 

無表情でピースサインを決めるルリ。

 

「………………警備システムに関しては何とかなりそうだが、後はどうやって潜入するかだ」

 

ジェフリーが気を取り直してそう言うと、

 

「………私にやらせてください!」

 

ランカがそう発言した。

 

「ッ!?」

 

「ランカ!?」

 

アルトやオズマが驚く。

 

「私に……考えがあります!」

 

ランカが真剣な表情でそう言った。

そして…………

 

 

 

 

 

 

 

「皆! 抱きしめて! 銀河の………果てまで!!」

 

アルカトラズ刑務所に響き渡る軽快な音楽。

ランカの策とは、慰問ライブという名目でS.M.Sの関係者をスタッフとして刑務所内に潜入させる事だった。

俺やルネ、ハルも同行し、裏方からランカのライブの様子を見ている。

ギターがミシェル、ベースがクラン、ドラムがカナリア、キーボードがオペレーターのミーナ、バックダンサーが女装したアルトである。

それにしても、

 

「似合いすぎだろアルト…………」

 

俺は思わずそう零す。

 

「流石は元歌舞伎の女形………」

 

ルネもそう零す。

 

「あれで男の子なんだよね~………」

 

ハルも疑わしそうだ。

因みに、ルリの腕前ならいつでもシステムジャックが可能なので、ある程度盛り上がってから作戦開始としている。

『星間飛行』を歌い、場を盛り上げるランカ。

2コーラス目に入り、盛り上がりが最高潮に達した時、

 

『システムジャック開始します……………完了しました』

 

準備をしていたとはいえ、物の数秒でアルカトラズのシステムを掌握してしまうルリ。

 

「俺達も行くぞ」

 

「「うん」」

 

俺の言葉に、ハルとルネが頷いた。

俺とルネはアーマーを装着。

ライブの演出を利用し、予め潜入ポイントに待機していたアルトと合流し、シェリルの救出へ向かう。

 

「ふっ……!」

 

「せいっ!」

 

「てやっ!」

 

ライブ中とはいえ、流石に見張りは残っているので、ハル、ルネと共に蹴散らしてく。

 

「キュッ!」

 

「上か!」

 

ランカのペットである『あい君』の道案内を頼りにシェリルの下へ向かう。

やがて、ランカの歌声に交じり、『星間飛行』を口ずさむシェリルの声が聞こえて来た。

 

「シェリル!?」

 

歌声が聞こえて来た牢の前に辿り着くと、囚人服姿のシェリルがそこに居た。

 

「ッ!?」

 

シェリルは一瞬目の前の人物が誰か分からなかったようだが、

 

「下がれ!」

 

「ッ!? その声!」

 

もう一度呼びかけられた声でシェリルは勘付いたようだ。

 

「早く!」

 

アルトの呼びかけに下がるシェリル。

そこで、

 

「ラディアントリッパー!!」

 

俺が光剣で檻を切り裂く。

 

「おお~。カッコいい」

 

ルネが感心したような声でそう言う。

 

「煽てても何も出んぞ」

 

俺はそう返した。

すると、

 

「シェリル……! 詩……? こんな時にまで………」

 

アルトがシェリルに呼び掛けながら牢に入ると、壁中に綴られた詩が目に入った。

しかもそれは血をインク代わりにしている。

その事に、アルトは呆れたような感心したような声を漏らす。

 

「アルト………アンタこそ、何でここに………?」

 

シェリルの言葉にアルトは微笑むと、

 

「言ったろ? お前は1人ぼっちじゃないって」

 

そう答えた。

 

「ッ…………! バカッ!」

 

アルトの言葉に感極まったのか、シェリルは涙を浮かべてアルトに抱きついた。

 

 

 

 

その後、直ぐに脱出を開始した。

俺達で警備兵を殴り倒しつつ、ランカ達の下へ急ぐ。

ランカに加え、シェリルまで現れた事で会場は大盛り上がり。

囚人たちは大乱闘までかます始末だ。

2人の『Get it on 〜光速クライmax』をBGMに現場は大混乱に陥る。

制圧部隊が駆け寄ってくるが、俺とバンドメンバーがその相手をする。

その隙に、シェリル、ランカ、アルト。

そしてハルとルネがステージに設置されていた脱出路で脱出していった。

 

 

 

 

 

 

【Side ルネ】

 

 

 

 

 

 

アルカトラズから脱出した私達は、マクロス・クォーターへ向かっていた。

連絡シャフトを作業用車両で移動している。

その間、シェリルから彼女の身の上話を聞いていた。

彼女の祖母は、バジュラとコミュニケーションを取る為に、風の導き手と呼ばれる存在を探していた事。

そして、それがランカだという事を。

しかしその途中、ブレラが現れ、ランカに優しい言葉をかけて連れて行こうとした。

だけど、

 

「駄目よランカちゃん! そいつはもう、あなたのお兄さんじゃない! あなたを誘導するために、お兄さんにインプラントを埋め込んでギャラクシー軍にコントロールされた。唯の操り人形よ!」

 

「ッ!?」

 

アルトが咄嗟に銃を構える。

 

「裏切るのか? フェアリー9」

 

「奴らはあなたを殺して、免疫のある内臓を私の身体に全移植するつもりよ!」

 

「何だって!?」

 

アルトはランカを庇うように前に出た。

 

「………貴様に撃てるか?」

 

銃を構えるアルトにブレラは問いかけた。

 

「ああ! この2人を護る為なら!」

 

アルトは迷わずに答えた。

 

「………フッ」

 

ブレラは薄く笑うと動き出す。

アルトは咄嗟に引き金を引くが、その銃口の向きは見切られており、僅かに頭を逸らすだけで避けられる。

そのまま隠し持っていたナイフが投擲され、アルトは何とか銃身で防ぐものの、その隙を突かれて銃を掴まれる。

 

「うっ……!?」

 

そのまま銃を奪われ、殴り飛ばされそうになった。

なので、

 

「せいっ!!」

 

横からブレラの腹目掛けて蹴りを繰り出す。

 

「ぐっ………!?」

 

ブレラは後ろに吹き飛んで柱に激突した。

 

「ルネ!?」

 

アルトが私に気付く。

 

「私の事、忘れてた?」

 

私がそう問いかける。

 

「貴様………」

 

ブレラが私を睨みつける。

 

「アルト! ここは私に任せて早くクォーターに!」

 

「ルネ! しかし………!」

 

アルトは迷っているようだったが、

 

「女の子を護るのは、男の子の役目だよ」

 

そう言いながら私の横にハルが並んだ。

 

「頑張れ、男の子」

 

ハルが笑いかけながらそう言うと、

 

「ッ………頼む!」

 

アルトはシェリルとランカを連れて通路へ駆け出す。

 

「ッ!」

 

ブレラはアルト達の後を追おうとする。

 

「行かせない!」

 

私はブレラの前に立ちはだかる。

ブレラは腰の後ろに手を回すと、機関銃を取り出した。

それを即座に私に向け、引き金を引く。

 

「させないよ!」

 

でも、直ぐにハルが赤い光に包まれて防御壁を構築。

銃弾が全て弾かれた。

 

「何だと!?」

 

ブレラが驚いた声を上げた。

少し前に聞いた話では、ハルはアルマ………

つまり、戒道君と同じ能力を持っているとの事。

アルマは浄解能力だけでなく、高いサイキック能力や絶対防御壁などの能力も持っている。

ハルが使っているのはそれだろう。

そして、防御を任せられるなら、私は攻める事だけを考えればいい。

 

「ウィルナイフ!!」

 

私はIDアーマーから緑色の刀身を持つナイフを取り出す。

 

「はぁああああああっ!!」

 

 

「くっ……!」

 

私はブレラの持つ機関銃を断ち切る。

 

「おのれっ……!」

 

ブレラは飛び上がって天井近くにある作業用通路に着地する。

あの身体能力はサイボーグである賜物だろう。

だけど、

 

「甘いよ!」

 

私もジャンプしてブレラに追いつく。

 

「何っ……!?」

 

ブレラは驚きつつも蹴りを繰り出し、私はそれを右腕で受け止める。

普通の人間なら防御ごと蹴り飛ばせる威力だけど、私には通用しない。

 

「ッ……!?」

 

ブレラは直ぐに飛び退くと、

 

「何なのだ貴様は………!? 貴様もサイボーグなのか………!?」

 

ブレラは忌々しそうに問いかけてくる。

私は右手を握りしめながら甲を見せるようにして、

 

「私は超進化人類エヴォリュダー! そこらのサイボーグには負けない!」

 

その手にGの紋章を輝かせた。

 

「エヴォリュダーだと………?」

 

ブレラが驚いている内に私は瞬時に懐に踏み込む。

 

「ッ!?」

 

「はぁああああああああああああっ!!」

 

その頬に拳を撃ち込んだ。

吹き飛んだブレラだけど、隠し持っていた爆弾を投げつけてくる。

私は咄嗟に退避したけど、その爆発で通路が破壊された。

その瓦礫に身を隠しながらブレラはアルト達が通った通路に向かった。

 

「待て!」

 

私とハルは即座にその後を追った。

 

 

 

 

 

 

 

【Side Out】

 

 

 

 

 

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

 

 

 

マクロス・クォーターに向かっていたアルト、シェリル、ランカは、アイランド船の入り口まで辿り着いていた。

改札口が機能していないので扉を跨ぎ、先を急ごうとする。

直後、アルト達がやってきた出入り口から衝撃音と共にブレラが飛び出してきて、

 

「待てって言ってる!」

 

「もう観念しなよ!」

 

続けてルネとハルが飛び出してきた。

ルネとハルはほぼ無傷。

反対にブレラはボロボロだ。

相当手ひどくやられたのだろう。

それでもブレラは執拗にランカを狙っている。

 

「いい加減に………!」

 

「……………しろーーーーーーっ!!」

 

ハルのサイコキネシスでルネを加速させ、ブレラの腹に強烈な拳を叩きこんだ。

吹き飛んでいくブレラ。

しかしその時、周囲の外壁が爆発。

宇宙空間への穴が出来てしまった。

現在外ではバジュラの攻撃を受けており、軍が応戦している所だ。

宇宙空間へ空気が放出されることにより、ランカとシェリルがその風に巻き込まれる。

 

「シェリル! ランカ!」

 

「アルト!」

 

「アルト君!」

 

アルトが後を追うが、距離が離れすぎている。

 

「「……………」」

 

ハルとルネは互いに視線を交わすと頷き、床を蹴った。

ハルがシェリルへ。

ルネがランカを捕まえる。

 

「あなたっ!?」

 

「ルネさん!?」

 

すると、2人はシェリルとランカを同時にアルトへと押し出した。

その反動でハルとルネは宇宙空間へ吸い出されていく。

 

「ルネ!? ハル!?」

 

シェリルとランカを掴んだアルトは叫ぶが、2人は宇宙空間へと消えた。

その直後に応急の防護壁に穴が塞がれる。

 

「ああっ……!?」

 

「そんな………!?」

 

「ルネ―――ッ!? ハル―――ッ!?」

 

アルトの叫び声が響いた。

 

 

 

 

 






マクロスF編第9話です。
アルカトラズの脱獄編でした。
まあ、最初にオービットベースを回収してましたが、ジェイアークの出力ならオービットベースを動かすぐらいなら何とかなるでしょう。
オービットベースの大きさって、円盤部直径345.5m。
全高475mっていうマクロス・クォーターよりちょっと大きめ位ですし。
基地に対してディビジョン艦がデカすぎなんですよね。
でもって、ルネ&ハル対ブレラです。
ブレラの身体能力って普通の人よりかは高いですけどサイボーグ時代のガイよりも圧倒的に弱いですよね?
凱兄ちゃん虚弱体質ですけど(笑)
ハルとルネが宇宙空間へ消えてしまった。
ナンテコトダー!?(棒読み)
如何なる次回?
当然ながら、今年最後の投稿です。
それでは皆さん、よいお年を!

マクロスF編のラストは?

  • ほぼ原作通り
  • アルトとシェリルを助けるだけ
  • 両手に花のアルトを連れて異世界へ
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