転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件   作:友(ユウ)

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第10話 サヨナラノツバサ

 

 

 

シェリルとランカを連れて、アイランド船を脱出艇で脱出した俺達だったが、アルトの顔色は優れなかった。

その理由は、

 

「その………ジェイ……………ハルとルネの事なんだが……………」

 

アルトはとても言いにくそうに言葉を詰まらせると、

 

「………すまない!! 2人はシェリルとランカを助けるために、身代わりに宇宙空間に………!!」

 

アルトは思いきり頭を下げながら謝罪の言葉を口にした。

ハルとルネの姿が脱出艇の()に無かったのはそう言う事か。

 

「そんな事か………」

 

俺が大した事では無いとそう口にすると、

 

「お前っ………!? あいつらが死んだっていうのにその言い草は何だ!? ハルはお前の恋人でルネは同郷なんだろ!? 悲しむことすらしないのかよ!?」

 

アルトはカッとなって俺に詰め寄りながら叫ぶ。

ん?

もしかしてコイツ、ハルとルネが死んだと思ってるのか?

 

「………アルト」

 

俺は人差し指を立てると、窓の外を指差す。

 

「外がどうし……………!」

 

文句言いたげにアルトがその指先に視線を向けた時、同時に絶句する。

何故なら、そこには浄解モードになったハルと、緑の光に包まれてハルに抱えられたルネの姿があり、笑いながら手を振っていたからだ。

 

「うおわぁっ!? ルネ!? ハル!?」

 

アルトは盛大に驚きながら後退る。

 

「くくく…………!」

 

ミシェルが可笑しそうに笑いを零した。

それに気付くと、

 

「ミシェル!? お前知ってやがったのか!?」

 

アルトがミシェルに詰め寄ると、

 

「お前はあの時気絶してたから知らないだろうが、ハルやジェイは普通に宇宙空間を生身で飛んできたからな…………少なくとも、ハルが無事なのは確信していた。ルネも何か方法があるだろうとは思っていたさ」

 

「てめぇ………!」

 

自分だけ知らずに慌てていた事がバカみたいだと顔を真っ赤にするアルト。

脱出艇はそのままマクロス・クォーターに到着し、フォールドでその宙域を離れた。

尚、ジェイアークやオービットベース、他ディビジョン艦は既にESミサイルによって予定合流ポイントに移動している。

 

 

 

 

 

身を隠したマクロス・クォーターで、収監されていたシェリルの健康状態を調べる為に、検査が行われたのだが、そこで問題が発覚した。

 

「シェリルの身体がもう限界だって!?」

 

アルトが叫ぶ。

 

「ああ。検査して分かった事………というより、本人も知っていた事らしいのだが、シェリルはV型感染症に感染していて、余命幾何も無い…………次に歌えば、シェリルは………」

 

「そんな………」

 

カナリアの言葉に、アルトは悔しそうに拳を握りしめる。

シェリル本人の命もそうであるし、バジュラとコミュニケーションを取る為の歌も使えない。

ブリッジクルー達がショックを隠し切れずにいると、

 

「……………歌うわよ!」

 

突然ブリッジに入ってきたシェリルがそう言い放つ。

 

「シェリル!? 分かってるのか!? 次に歌ったらお前、死ぬかもしれないんだぞ!?」

 

アルトが思わず詰め寄りながらそう言う。

しかし、

 

「例え私が死んでも、歌は死なない!!」

 

不敵な笑みを浮かべながら、シェリルはそう言い放つ。

 

「シェリルッ…………」

 

その言葉に、思わず何も言えなくなってしまうアルト。

 

「それに、あなたならわかるでしょ? もしも死ぬなら舞台の上で!」

 

「ッ…………!」

 

「それに私は、私の歌で銀河を震わせたいの!!」

 

シェリルの言葉に、アルトは何かに気付いたようにハッとなった。

 

「お前っ………あの時の………?」

 

「ったく、今頃気付くなんて………」

 

アルトの言葉にシェリルが呆れたように言う。

そう言えば、このアルトは子供の頃にシェリルと会ってたんだっけ?

そして、シェリルの覚悟を受け止めたジェフリーは、シェリルとランカの歌でバジュラとコミュニケーションを取ることを決意。

バジュラ本星へフォールドしたフロンティア船団を追う事になった。

 

 

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

 

 

 

バジュラの通信プロトコルを解析し、インプラント弾によってバジュラをコントロール下に置いたフロンティア船団はバジュラの母星に降りていた。

その惑星は人類が生存可能な地球型惑星であり、移住可能な星に喜び勇む三島を始めとしたフロンティア政府だったが、女王バジュラの(ネスト)へ向かう途中、ギャラクシー船団の生き残りであるブレラによってブリッジが制圧され、三島達は全員射殺される。

ブレラはインプラント・ネットワークにより電脳世界の意識集合体となっているギャラクシー船団の幹部の本体をバトル・フロンティアに接続。

それを乗っ取った。

バトル・フロンティアで女王バジュラの下へ向かうギャラクシー幹部。

全ては、バジュラの力を以て全銀河を支配する野望の為に。

 

 

 

 

 

宇宙では、マクロス・クォーターがフォールドアウトし、各員が出撃準備を進めていた。

原種との戦いで大破したガオファイガーも、カーペンターズにより修復され、問題無く出撃できる。

マクロス・クォーターの甲板で出撃準備に入っていたガオファイガー………ルネの下に、ジェイから通信が入る。

 

『ルネ………』

 

「ジェイ?」

 

『………気を付けろよ』

 

「ッ………うん!」

 

ジェイの気遣いに悦びを露にするルネ。

そして各々が発進していく。

バルキリー隊と勇者ロボが発進する。

迎撃の為のバジュラ達も集まってきた。

しかし、バジュラ達は操られている影響で黄緑色の体色に変化していた。

戦闘開始と共にシェリルとランカの歌声が響く。

以前の戦いでメサイアを失ったアルトは、新型試作機であるYF-29『デュランダル』で出撃している。

アルトは、バジュラに2人の歌を届ける為に極力撃墜せず、より敵陣奥深くに食い込もうとしていた。

しかし、バジュラの攻撃は収まることなく、より一層激しくなるばかりだ。

 

「くっ………2人の歌が効かない……!」

 

アルトは何故と思いつつ、歌をより届ける為に飛ぶ。

その疑問は、勇者ロボ達も持っていた。

 

「畜生! 攻撃が止まねぇ!?」

 

「一体何故………!」

 

炎竜や氷竜が叫ぶ。

すると、

 

「…………………これは!」

 

解析を行っていたボルフォッグが何かに気付く。

ボルフォッグがバジュラの映像の一部を拡大すると、そこにはバジュラの関節部に撃ち込まれた紫の光を放つ円柱状の物体があった。

 

「それですっ!」

 

ボルフォッグがシルバームーンをバジュラに掠めるように投げると、その円柱状の物体――インプラント弾を切り裂く。

その直後、バジュラは動きを止め、黄緑色の体色だったバジュラは元の色を取り戻し、正気を取り戻したようにその場を離れていく。

 

「やはり!」

 

ボルフォッグは確信すると、

 

「ボルフォッグより各機! バジュラ達はインプラント弾で操られています! 関節部に撃ち込まれたインプラント弾を破壊してください!」

 

ボルフォッグの呼びかけに、

 

「インプラント弾………!?」

 

バジュラの攻撃を躱しつつ、アルトはバジュラをよく観察すると、首筋に撃ち込まれたインプラント弾を発見する。

 

「ッ! こいつか!」

 

アルトはバトロイドに変形し、バジュラに組み付くとナイフでインプラント弾を切り裂く。

その直後に暴れていたバジュラは動きを止め、元の体色を取り戻した。

 

「歌が通じた!」

 

アルトは喜びを露にする。

 

「そうと分かれば!」

 

ミシェルも得意の狙撃でインプラント弾を撃ち抜く。

 

「でぇえええええい!!」

 

デスティニーのシンは、インプラント弾を掴むとパルマフィオキーナで爆破する。

 

「マイク! ディスクMで!」

 

ガオファイガーがマイクに呼びかけると、

 

「OK! カモンロックンロール!」

 

マイクのスタジオ7からディスクMが飛び出し、

 

「ディスクM! セットオン!」

 

マイクはそれを胸にセット。

 

「ギラギラーン………VV!!」

 

同じくスタジオ7から飛び出したギラギラーンVVを手に演奏を開始。

当然、シェリルとランカの歌に合わせての演奏だ。

ディスクMの効果でインプラント弾の機能を麻痺、破壊していく。

マクロス・クォーター周囲のバジュラは次々とコントロールから解放されていくが、

 

『アイランド1からのコントロールウェーブが強すぎて、ディスクMの効果が妨害されています! このままでは、バジュラ全体に歌が届きません!』

 

ルカがそう報告する。

 

「やはり、アイランド1に突入し、フォールド発信ステーションを制圧するしかないか………モニカ君! 勝算は?」

 

ジェフリーの問いかけに、

 

「はい。マクロスキャノンでバジュラ群の中央に穴を開け、そこを最大船速で突破すれば、あるいは………」

 

「だけど、その速度では大気圏突入時に艦が燃え尽きて………」

 

「…………………」

 

オペレーター達の言葉に、ジェフリーは少しの間思案すると、

 

「………オペレーション・ビッグウェンズデー! 行くぞ!!」

 

そう号令をかけた。

その直後、マクロス・クォーターがマクロスキャノンを発射。前方に道を作り出すと、そこを最大船速で突っ切る。

その後ろにジェイアークが付いてきていたが、

 

「………マクロス・クォーターのスペックでは、この速度で大気圏に突入すると燃え尽きてしまいます!」

 

ルリがジェイにそう言う。

しかし、

 

「心配するな」

 

ジェイはそう言う。

すると、マクロス・クォーターはトランスフォーメーションで人型に変形。

前方にあったクォーターよりも大きなデブリに取り付くと、それを押し始める。

ジェフリーはデブリによって急減速すると同時に大気圏突入時のシールドとしても利用する気なのだ。

マクロス・クォーターはそのまま大気圏へと突入。

アイランド1へと接近する。

地上付近からの迎撃が来るが、

 

『野郎ども! 波に乗るぞ!!』

 

ジェフリーが叫ぶと、マクロス・クォーターは平べったいデブリをサーフボードに見立て、雲の海でサーフィンをするように空中を舞う。

近くのバジュラ達はマイクのディスクMとシェリル、ランカの歌で味方に付いてくれているが、まだ圧倒的に操られたバジュラの方が多い。

ジェフリーが打開策を思案していると、突如としてマクロス・クォーターに通信が入った。

 

『………こちらは………グレイス・オコナー…………S.M.S………聞こえているかしら………?』

 

ノイズ交じりでグレイスの声が聞こえてくる。

 

「グレイス!?」

 

その声にシェリルは驚いた。

 

『………アイランド1にある………教会ステージのフォールドアンプを起動してあるわ………そこで歌えば…………2人の歌声を増幅できる…………』

 

「グレイス!? どうして………!?」

 

グレイスの言葉にシェリルが呼びかけると、モニターが映り、その姿が露になる。

グレイスの姿は、体中に銃弾を浴びた痕跡があり、インプラントによるサイボーグ化を行っていなければ、確実に死んでいる。

 

『皮肉なものね………こんな姿になって………やっとインプラントから解放された…………』

 

その言葉に、グレイスの行動はグレイス個人の意思だという事を悟る。

 

『それにあなたは………私が育てたのよ………? さあ………もう一度聞かせて………あなたの歌…………』

 

「グレイス…………………ジェフリー艦長!!」

 

シェリルはグレイスの思いを受け止めるように胸に手を当てて握りしめた後、ステージの上から振り返ってジェフリーが居るであろうブリッジに向かって叫ぶ。

 

「うむ………! 皆! 歯を食いしばれ!!」

 

ジェフリーの言葉と共に、マクロス・クォーターが突撃。

攻撃を受けながらもドームに空いた穴からアイランド1内部へと突入する。

地面を滑りながら着地したが、直後に操られた複数の駆逐艦バジュラが狙いを定めていた。

 

「敵艦隊上空に接近! 囲まれました!!」

 

「むっ!」

 

オペレーターの報告にジェフリーも上空を見上げる。

駆逐艦バジュラが砲撃体勢をとり、今にも発射されようとした時、上空から降り注いできた攻撃が駆逐艦バジュラ達を破壊してく。

ブリッジクルー達は何事かと困惑したが、

 

「S.M.S増援部隊から入電! 『これより貴艦を援護する』………!?」

 

「衛星軌道上にデフォールド反応多数! S.M.Sと新統合軍の連合艦隊です!!」

 

オペレーターからの報告に沸き立つブリッジ。

マクロス・クォーターは、教会ステージへと左腕を伸ばし、その上をシェリルとランカが駆け出していく。

ステージの上で『ライオン』を歌い始める2人。

それに伴い、増幅された歌が、今まで以上の範囲のバジュラをコントロールから解放していく。

しかしその時、バジュラの(ネスト)から女王バジュラと融合したバトル・フロンティアが姿を現し、上空に向けてマクロスキャノンを発射。

敵味方のバジュラ問わず、衛星軌道上の艦隊に大打撃を与える。

 

「女王バジュラとバトル・フロンティアが融合しています!」

 

『拙い! やつら、バジュラを直接支配して、歌を封じるつもりです!』

 

オペレーターの報告にルカがそう判断する。

その事実に誰もが絶望していると、

 

『……………俺が行く!』

 

アルトがそう口にする。

 

「この、思いを伝える石と共に、2人の歌を運んで飛ぶ!」

 

アルトは胸にかけてあるシェリルのイヤリングに手を当てる。

 

「アルト!」

 

「アルト君!」

 

シェリルとランカも立ち上がった。

 

「それが俺の………『翼の舞』だ!!」

 

 

そう言い放つアルト。

シェリルとランカは互いに頷き合うと、

 

「翼に……風を!!」

 

「銀河に……歌を!!」

 

願いを込めて手を掲げる。

アルトはバトロイドで敬礼すると、ファイターに変形。

アイランド1を出てバトル・フロンティア………女王バジュラに向かって飛ぶ。

『サヨナラノツバサ』を歌い始めるシェリルとランカ。

その歌を届けに行こうとするアルトだったが、別方向から攻撃が来る。

それは、ブレラのルシファーと3機のゴーストの小隊編成だった。

 

「ブレラ!? どうしてお前が!?」

 

『バジュラとフロンティアは、我らギャラクシーが制圧した』

 

「何だと………!?」

 

『生身の人間如きが、我らと戦おうなどと………』

 

ブレラの言葉は生身の人間を馬鹿にしたような口振りだ。

ブレラとゴーストはアルトのデュランダルに攻撃を仕掛けようとする。

しかしその瞬間、上空からの緑色の閃光がゴーストの1機を貫き、爆散させる。

 

『何っ………!?』

 

ブレラが上空を見上げると、デスティニーがビームライフルを構えながら突っ込んできた。

 

「行け! アルト!!」

 

「シンッ!?」

 

「ここは俺に任せろ!」

 

シンはビームライフルを撃ち、ブレラやゴーストを牽制する。

 

「ッ………! 頼んだぞ!」

 

アルトは直ぐに判断し、女王バジュラへ向かう。

 

『待て………!』

 

ブレラも後を追おうとしたが、

 

「行かせるか!」

 

その前方をビームで遮られる。

 

『チィッ………人間如きが………身の程を知れ!』

 

ブレラはイラつきながら舌打ちすると、目標をデスティニーに定める。

マイクロミサイルが放たれ、デスティニーが爆煙に包まれる。

 

『フッ…………』

 

ブレラは他愛ないと口元を釣り上げ、そのまま爆煙の近くを通り過ぎてアルトを追おうとしたが、

 

「うぉおおおおおおおおおっ!!」

 

爆煙を切り裂いてデスティニーが現れ、すれ違いざまにアロンダイトで2機目のゴーストを真っ二つにする。

 

「人間を止めてその程度かよ!」

 

『ッ!?』

 

ブレラは目を見開くが、

 

「そんな動き! レイのドラグーンに比べれば……!」

 

デスティニーは高エネルギー長射程ビーム砲を展開すると発射。

ゴーストの進行方向に放たれたそれにゴーストは自ら突っ込み、撃墜される。

この世界のバルキリーの動きはMSより遥かに速い。

しかし、宇宙空間ならともかく、大気圏内での戦闘は、バルキリーは空気抵抗の影響を諸に受ける。

その為ファイターモードの動きは直線的になりやすい。

バルキリーには及ばないにしろ、戦闘中の航空機や高速飛行形態のムラサメを大剣のアロンダイトで何度も切り落としたことがあるシンにとって、動きを見切るのはそこまで難しい事では無かった。

 

『おのれ………人間風情が………!』

 

「俺に勝てなきゃそれ以下って事だな!」

 

『ほざけ!』

 

デスティニーとルシファーの戦いは激化していった。

 

 

 

 

アルトは女王バジュラの下へ向かっていたが、その時、マクロスキャノンの照準がアイランド1のマクロス・クォーター………シェリルとランカに向き、間髪入れず発射される。

 

「「ッ!?」」

 

2人は目を見開くが、突如としてコントロールから解放されたバジュラ達がアイランド1の前に集結。

マクロスキャノンの盾となった。

それを見て、

 

「バジュラ………よぉし!!」

 

バジュラとのコミュニケーションが上手く行くと確信したアルトは女王バジュラに飛翔する。

しかし、バトル・フロンティアの対空システムが作動し、無数の迎撃のビームが放たれる。

 

「くっ………!」

 

その迎撃に近付くことも簡単ではなくなった。

だがその時、アルトはイヤリングを通してバジュラの痛みを感じる。

 

「これが……バジュラの痛み………!」

 

だが、その時ハッとなる。

 

「そうか! バジュラの気持ちになれば!」

 

アルトはヘルメットを外すと首に下げていたイヤリングを耳に付ける。

イヤリングを通してバジュラの気持ちがアルトに伝わり、アルトはどのように動けばいいのかの最適解を即座に判断する。

迎撃システムや女王バジュラの触腕の動きなどを完全に先読みしたアルトは、女王バジュラの周りを舞い踊る様に飛び回る。

更にデュランダルに搭載されているフォールド・クォーツがシェリル、ランカの歌と共鳴し、光の粒子を纏い、舞い散らせながら機体性能を限界以上に引き上げた。

光の粒子が女王バジュラ包み込むように飛ぶアルト。

女王バジュラを操っているギャラクシー幹部も、女王バジュラのコントロールに異常をきたし始めていることに気付き、慌て始める。

その時、ギャラクシー幹部達は女王バジュラと融合したバトル・フロンティアの艦橋の目の前に、いつの間にか1機の人型機動兵器が居る事に気付いた。

それは、10枚の赤い光の翼を広げたメカノイド、ジェイダー。

ジェイダーは腕組みしながら静かに佇んでいたが、

 

「…………貴様らの行いは見るに堪えん」

 

そう口にすると右腕を振り被り、赤い光の剣、プラズマソードを発生させる。

 

「はぁああああああああああっ!!」

 

バトル・フロンティアの装甲を突き破ってその腕が内部に侵入すると、

 

「ルリッ!」

 

ジェイダーの胸部、ジェイアークの艦橋内に居るルリに呼び掛けた。

 

「………ハッキング開始します」

 

ルリの顔にナノマシンの光が浮かび上がる。

オモイカネ、更にはトモロの協力もあり、瞬く間にバトル・フロンティアのシステムを掌握していくルリ。

 

『な、何だこれは!? システムが次々と乗っ取られて……!?』

 

『ええい! 何でもいい! 早く何とかしろ!』

 

『駄目! 侵食率80%突破! 止められない!』

 

電脳世界で好き勝手行い、『死』すらも超越したと思い込んでいたギャラクシー幹部の集合意識達は慌てふためくが、ルリの前に成す術なくシステムを掌握されていく。

電子の世界で神様気取りをしていた愚か者達は、『電子の妖精』によって自らの器を知ることとなった。

ルリが完全にシステムを掌握したことで、バトル・フロンティアから女王バジュラが分離していく。

バトル・フロンティアから女王バジュラが完全に分離し、バトル・フロンティアがその場に倒れこんだ。

その時、マクロス・クォーターに入電が入る。

それは、『敵軍の混乱に乗じ、全艦でマクロスキャノンで一斉攻撃せよ』というものだった。

他のマクロス・クォーター級達は次々とトランスフォーメーションし、砲口を女王バジュラに向け始める。

キャサリンがアルトに退避を呼び掛けるが、アルトは真っ直ぐに女王バジュラに向かっていく。

マクロス・クォーター艦隊はマクロスキャノンのエネルギーのチャージを開始しようとした。

しかしその時、艦隊のマクロスキャノンのシステムが一斉にダウンする。

その直後、それぞれのブリッジのモニターに、

 

【お休み中】

 

【ごめんなさい】

 

【攻撃禁止】

 

等と言った文字が映し出された。

これはルリがS.M.Sの通信ネットワークを介して各システムに侵入。

マクロスキャノンを使用不能にしたのだ。

これによって少々混乱が生じたが時間は稼げる。

すると、

 

「信じてくれバジュラ! 俺達は敵じゃない!」

 

アルトは脱出装置を起動させると生身で外に飛び出し、EXギアのウイングで女王バジュラに向かう。

そのアルトに女王バジュラの触腕が伸び、アルトを掴んだ。

その光景に誰もが息を呑む。

すると、女王バジュラはその触腕を自分の顔の前に持ってくると、その先を開く。

そこにはアルトの無事な姿があった。

アルトは女王バジュラを見上げる。

 

「バジュラ………」

 

女王バジュラはまるで語り掛けるように顔の眼らしき部分が発光する。

その雰囲気から、もう敵対意思は感じられなかった。

その時、女王バジュラがフォールドの光に包まれ始める。

 

「女王バジュラより、フォールドの兆候を確認!」

 

オペレーターが叫ぶと、

 

「いかん! あのままではスカル4がフォールドに巻き込まれる!」

 

ジェフリーが叫んだ。

 

『逃げろ! アルト!!』

 

オズマも全力で呼び掛ける。

 

「アルト!?」

 

「アルト君!?」

 

シェリルとランカがまるで求めるように可能な限りステージの前まで駆け寄る。

女王バジュラの手の上でアルトは2人に振り返り、微笑んだ。

次の瞬間、女王バジュラが強い光に包まれる。

シェリルとランカは思わず目を庇う。

そして、次に目を開けた時には、女王バジュラの姿は何処にもなかった。

そう、アルトの姿も…………

 

「そんな………アルト………」

 

「アルト君………」

 

2人は絶望するようにその場で座り込む。

 

「「「「「………………………………」」」」」

 

マクロス・クォーターのブリッジやミシェル、クラン、ルカ達にも暗い雰囲気が漂った。

だが…………………

 

「案ずることは無い」

 

自信を持った声がすぐ傍から聞こえ、シェリルとランカは顔を上げる。

そこには、ジェイダーが胸の前で手を重ね合わせた状態で上空から降りてくるところだった。

2人はその言葉の意味を計りかねていたが、2人の前にジェイダーが重ね合わせた手を近付けると、上の手を退かした。

するとそこには…………

 

「シェリル………ランカ…………」

 

女王バジュラと共にフォールドで消えたと思われたアルトの姿があった。

アルトはフォールドの直前、ジェイダーによって超スピードで救出されていたのだ。

 

「アルト!!」

 

「アルト君!!」

 

思わず駆け寄り、アルトに抱き着く2人。

 

「うわっ!?」

 

慌てるアルトだったが、泣いている2人を見て何も言えなくなってしまった。

 

「…………………すまない」

 

一言だけ謝るアルト。

すると、

 

「アルト、忘れ物」

 

ガオファイガーが、アルトが乗り捨てたデュランダルを抱えてやってきた。

 

「YF-29!? 回収してくれたのか、ルネ!」

 

アルトが叫ぶと、

 

「アルトの心の翼はその2人かもしれないけど、実際の翼も大事にしなきゃね」

 

「えっ?」

 

その言葉に思わず顔を赤らめるアルト。

アルトの無事が知れ渡り、大団円となる雰囲気が広がり始めた。

その時、

 

「………………はぁ。こんな時に無粋なんだから」

 

ハルがため息を吐き、呆れたように言った。

 

「原種か?」

 

ジェイダーが確認すると、

 

「うん」

 

ハルが頷いた。

すると、次の瞬間倒れこんだバトル・フロンティアが起き上がり、色が白く染まり、胸にゾンダーメタルの文様が浮かび上がると、周囲に強烈な電磁波を発し始めた。

 

「この強力な電磁波は………!」

 

「ああ、覚えがあるぜ!」

 

その様子に、氷竜と炎竜が思い当たる節がある事を口にする。

 

「間違いないッゼ!」

 

マイクも頷く。

 

「奴は、ZX-04!!」

 

ボルフォッグがそう叫んだ。

ZX-04。

正式名称は『巨脚原種』。

勇者ロボ達の世界ではかつて、その強力な電磁波により『バンアレン帯』を消失させ人類を弱体化させようとした原種である。

 

「原種………この前の奴らの仲間か!」

 

オズマがそう叫ぶ。

すると、

 

「それじゃあ、この前の借りを返さないとね………」

 

ガオファイガーが不敵にそう言う。

 

「手を貸すか?」

 

ジェイダーがそう言うと、ガオファイガーは首を振った。

 

「いつまでもジェイに甘えてちゃ駄目だからね。護られるだけの女でいるつもりはないし」

 

ガオファイガー……ルネはそう言う。

 

「それに………何もしなかったら勇者王の名が廃る!」

 

ルネはそう言うと気合を入れるように握りこぶしを作った。

 

「フッ………なら送るぐらいはしよう」

 

ジェイダーは飛び上がると変形し、ジェイバードとなってジェイキャリアーと合体。

ジェイアークとなる。

 

「うん……! 行くよ皆!!」

 

「「「「「「「「「了解!」」」」」」」」

 

「「「「「「シンメトリカルドッキング!!」」」」」」

 

「三位一体!」

 

「ハンマーコネクト!!」

 

それぞれが合体してく。

 

「超ぉぉぉぉぉ竜ぅぅぅぅぅぅじぃぃぃぃぃぃぃぃん!!」

 

「撃っ………龍ぅぅぅぅぅぅぅじぃぃぃぃぃぃぃぃん!!」

 

「天っ………竜ぅぅぃぅぅぅ神ッ!!」

 

「ビッグボルフォッグ!!」

 

「ゴルディオン………ハンマァァァァァァァッ!!」

 

超竜神、撃龍神、天竜神、ビッグボルフォッグ、ゴルディオンハンマーを装備したガオファイガーが降り立つ。

 

「乗れ! 勇者達よ!」

 

ジェイが叫ぶと、ジェイアークの上にそれぞれが飛び乗り、マイクもスタジオ7で続く。

更に、マクロス・クォーターからプライヤーズが円柱状の物を運んできて超竜神に渡す。

 

「ジェイアーク、発進!」

 

『リョウカイ』

 

ジェイアークがアイランド1から飛び出し、原種となったバトル・フロンティアへ向かう。

すると、バトル原種がマクロスキャノンをジェイアークへ向け、直後に強烈な極太ビームが放たれるが、

 

「遅い遅い! 遅すぎる!!」

 

その巨体故にゆったりとした動きしかできないバトル原種ではジェイアークの速度を捉え切れず、ジェイアークはビームの影響を受けないスレスレをビームに沿って突き進む。

そして、ある程度の距離まで近づくと、

 

「ディスクP! セットオン! ドカドカーンV!!」

 

マイクが演奏を始め勇者ロボ達のGSライドの出力を上げる。

 

「バリア解除! メルティングサイレン!!」

 

ビッグボルフォッグが胸のメルティングサイレンを鳴り響かせて原種のバリアを消し、

 

「電磁波消去! イレイザーヘッド………発射!!」

 

先程プライヤーズが運んできた円柱状の物体………イレイザーヘッドで原種が放っている電磁波を消去する。

それでもバトル原種は照準を修正し、もう一度マクロスキャノンを放とうとしていた。

 

「主砲は撃たせん! 唸れ疾風! 轟け雷光! 双頭龍!!」

 

撃龍神が放った2匹の龍がガンシップの砲口に飛び込むと、内部から蹂躙、後方から飛び出すと直後に爆発四散する。

それでも原種は、バトル・フロンティアに装備されていた迎撃システムで撃ち落そうとするが、

 

「天竜神! 光と闇の舞!!」

 

天竜神が左肩のミサイルを全弾発射。

それはバトル原種の頭部、元艦橋部分に向かうが、迎撃システムによりすべてが撃ち落される。

しかし、爆発したミサイルは煙幕の様にバトル原種の頭部を覆い隠した。

その内部ではセンサー類が狂い、周囲の様子が把握できない。

バトル原種は煙幕を吹き飛ばそうとレーザーやビームを乱射したが、その攻撃が突如として乱反射し、最終的に自分に当たってしまう。

更に闇の中から天竜神が狙いを定め、ビームを発射。

それに直前で気付いたバトル原種はバトル・フロンティアのピンポイント・バリアを起動させ、正面を護る。

しかし、そのビームは先ほどと同じように乱反射。

唯一違う事は、そのビームはピンポイント・バリアを避けるように後ろに回り込み、無防備な後ろからバトル原種の頭部に直撃する。

バトル原種は慌ててピンポイント・バリアを後方に移動させるが、今度はビームが正面から降り注いだ。

これは、煙幕の中に混じる結晶がビームやレーザーを反射するものであり、迂闊に攻撃すれば乱反射してきて自爆する上、天竜神は反射角度を瞬時に計算し、的確に攻撃してくるのだ。

相手にとっては堪ったものではない。

その時、

 

「必殺! 大回転大魔断!!」

 

ビッグボルフォッグが高速回転して駒の様になると、その状態で突撃。

バトル原種の片足を貫いた。

片足を破壊され、バランスを大きく崩したバトル原種はその場で仰向けに転倒した。

そしてそれが、最大の隙。

ガオファイガーがマーグハンドの側面から光のパイルを引き抜く。

それを左手で逆手に持つと、バトル原種に向かって急降下。

 

「ハンマァァァァァッ………ヘルッ!!」

 

ゾンダーメタルの紋様目掛けて光のパイルを突き刺し、更にそれをゴルディオンハンマーで打ち込む。

更にマーグハンドから巨大なくぎ抜きが展開すると、

 

「ハンマァァァァァッ………ヘブンッ!!」

 

それを使って光のパイルを引き抜いた。

その光のパイルの先には原種核が確保されている。

ガオファイガーは原種核を左手で受け止めると、

 

「光に………なれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

 

ゴルディオンハンマーをバトル原種へと叩きつけた。

光へと変えられ、跡形もなくなるバトル原種。

すると、

 

「お見事です。隊長」

 

ビッグボルフォッグが褒めたたえる。

すると、ガオファイガーは首を横に振り、

 

「私だけじゃない。皆の力があってこそだよ」

 

ガオファイガーは勇者ロボ達を見渡しながらそう言う。

だが、勇者ロボ達は認めている。

ルネは、間違いなく自分たちの『隊長』だという事を。

間違いなく、『勇者』であるという事を………………

 

 

 

 






あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
はい、マクロスF編第10話でした。
なんか中途半端で終わるのが嫌だったから書きたいところまで書いてたらやたらと長くなってしまった。
まあ大まかな流れは変わらずにアルトはジェイダーが救出です。
オマケで原種が出てきましたが、まあ、オマケなのでリベンジの如くガオファイガーにやってもらいました。
で、マクロスF編は次回で最終話です。
母艦をどう手に入れるのかはお楽しみに。

マクロスF編のラストは?

  • ほぼ原作通り
  • アルトとシェリルを助けるだけ
  • 両手に花のアルトを連れて異世界へ
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