転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件   作:友(ユウ)

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第6話 敗北?

 

 

PXの騒動があってからまたしばらく…………

今日も俺はA-01部隊の訓練に付き合っていた。

 

「はぁあああああああああっ!」

 

「ほれ」

 

速瀬中尉が突っ込んできたタイミングに合わせて体を逸らしながら横に避け、ついでに足を引っかける。

 

「わっ!? たぁ~っ!?」

 

バランスを崩して盛大にすっころぶ速瀬中尉。

 

「あ~も~! 今度こそはって思ったのに~!」

 

悔しそうに叫ぶ速瀬中尉。

いや、以前は悔しがる気も起きないとか言ってなかったか?

 

「さて? もう挑戦者はいないか?」

 

俺はみんなに尋ねる。

そろそろいい時間だし、切り上げるには丁度いい。

すると、

 

「あ、最後にもう一度いいかな?」

 

手を上げながらそう言ったのはハルだ。

 

「ハルか。お前が自分から挑戦するのは珍しいな」

 

「まあ、ちょっと試したいことがあってね」

 

ニコニコとした笑顔でそう言う。

ハルは模擬短刀を持って俺と対峙する。

 

「始め!」

 

審判役の伊隅大尉が始まりの合図を出すと、

 

「ん?」

 

ハルが今まで右手に持っていた模擬短刀を左手に持ち変えると、

 

「てやっ!」

 

左手で模擬短刀を突き出す。

当然ながらその動きは良く見えている。

狙いは俺の右胸。

俺は左側………ハルから見て右側に避ける。

そしてそのまま反撃しようとして、

 

「いいっ!?」

 

俺は思わず飛び退いてハルから距離を取った。

 

「む………?」

 

今までにない俺の動きに伊隅大尉が怪訝な声を漏らす。

 

「…………偶然か?」

 

俺はハルを注視すると、

 

「如何したのかな~?」

 

楽しそうにニコニコしていた。

 

「行くよ~………! それっ!」

 

ハルは果敢に攻めてくる。

 

「うぉっ……と………!」

 

俺は避けるだけで反撃できない。

 

「一体どうしたのだ、特務少佐は………?」

 

「全然反撃しないじゃない」

 

周りからも怪訝な声が漏れる。

因みに俺が反撃できない理由として、

 

「せいっ!」

 

再びハルが攻撃してくる。

そしてその際に、ハルは必ず体の正面が俺の方に向くように攻撃してくるのだ。

その為…

 

「うぐっ……」

 

ハルの持つ豊満なモノが自己主張するように目の前で揺れるため、思わず目が行ってしまい、反撃のタイミングを逃しているのだ。

アホかと思われるかもしれないが、40年間死ぬまで童貞を貫いた俺にとって、ハルのような立派な胸部装甲を持つ女性は刺激が強すぎるのだ。

 

「えへへ、思った通りだね~」

 

ハルは楽しそうにそう言う。

 

「……やっぱりワザとか」

 

「うん。ジェイって攻撃を避けるとき、背中側に回り込もうとする癖があるからね。もしかしたらって思って」

 

よく見てるなこいつ。

でも、狙いが分かれば対処は簡単。

 

「せやっ!」

 

ハルの攻撃に合わせて、多少避けにくくても背中側に回り込めばいい。

本来ならハルの正面側に回り込んだ方が避けるには良いところを、身体能力で強引に背中側に回る。

これなら色香に惑わされることも無い。

俺はそう思って突き出された腕を掴んで無力化しようと左手を出した時、

 

「よっ……と!」

 

ハルは強引に身体を反転。

俺に対し正面を向いた。

その為、ふよん、と突き出した左手にとても柔らかい感触がした。

 

「あ…………」

 

俺は思わず声を漏らす。

俺の左手は、ハルの胸をがっちりと掴んでいた。

 

「おわぁああああああああああっ!? す、すまんっ!!」

 

俺は思わず後退りながら両手を上にあげた。

その瞬間、

 

「隙ありっ!」

 

ハルが飛び掛かってくる。

気が動転していた俺はその動きに対処することが出来ず、ハルに押し倒されて転倒。

ハルに馬乗りにされると、そのまま模擬短刀を胸に突き付けられた。

 

「そこまで!!」

 

伊隅大尉から終了の合図が出される。

 

「えへへ。初めてジェイから一本取った」

 

ハルは嬉しそうに笑顔を見せる。

俺は少しの間ポカンとしていたが、

 

「あ~も~! 言い訳はしねーよ! 負けだ負け!」

 

俺はそう言って負けを認める。

色仕掛けに引っかかった自分が悪い。

だが、

 

「お前、捨て身にもほどがあるだろ?」

 

俺は呆れてそう零す。

 

「ジェイが相手だったから、出来たんだよ………」

 

ハルが何か呟いたようだったが、よく聞き取れなかった。

 

「何か言ったか?」

 

「何でもないよ」

 

俺は一応聞き返してみるが、ハルはニコニコしてはぐらかすだけだ。

まあ、それはともかく、

 

「…………そろそろどいてくれないか?」

 

俺はずっと馬乗りっぱなしになっているハルにそう言う。

いや、もう、さっきから平然なふりしてるけど、女の子特有の匂いとか、腹に押し付けられる尻の感触とかが相まってかなり危険だ。

主に俺の尊厳が。

 

「あ、ごめんね」

 

ハルは謝りながら退くと、俺は起き上がる。

こうして俺の初黒星はハルによって刻まれたのだった。

 

 

 

 

 

その後、

 

「あっはっはっはっはっは!」

 

香月博士に呼び出された俺は、大笑いされていた。

 

「アンタそれで負けたの………!? ププッ……! 流石童貞ね………!」

 

伊隅大尉から連絡がいったのか、俺がハルに負けた経緯はしっかりと把握していた。

 

「全部事実なんで言い訳もできません」

 

全部本当の事なので俺は認めるしかない。

 

「それにしても敗因がラッキースケベ………プププ」

 

香月博士はまだ笑っている。

 

「ラッキースケベというか、ハルは俺の隙を作るために狙ってやった感じなんですけどね。まあ、あいつの作戦勝ちですよ」

 

俺はそう言うが、香月博士はしばらく笑い続けていた。

 

 

ひとしきり笑ってようやく落ち着いたのか、香月博士は真面目な顔で向き直る。

 

「それで本題だけど、近々帝都の方で面倒事が起きそうな感じなのよ。もしもの時にはアンタにも働いてもらうつもりだから、そのつもりでいて頂戴」

 

もう12月に入っている状態で帝都の面倒事って言うと、軍事クーデターか。

もうそんな時期なんだな。

 

「了解です。そう言う契約ですからね」

 

いざという時の協力は惜しまないつもりだ。

もしもというか、物語の流れの通りならクーデターは起こるんだけどな。

そう言えば、このクーデターでもA-01部隊に欠員が出るんだったよな。

出来ればそれも防ぎたい。

どんな事が起きてもいいように、心構えはしておこう。

俺は、来るべき日に向けて、決意するのだった。

 

 

 

 

 






めっちゃ短いけど第6話の投稿。
クーデターまで行くつもりだったけど何となく思いついたからジェイの敗北を入れてみた。
まあ、幕間とか特別編とかそんな感じで見といてください。
まあ、ハルの好感度が不自然に上がりすぎなんですけど…………
では次もお楽しみに。


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