転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件   作:友(ユウ)

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第2話 見知らぬ、天井

 

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

 

 

 

「……………ハッ!」

 

先の使徒との戦いで気を失ったシンジは、ベッドの上で目を覚ました。

シンジの目に映るのは、見慣れない天井。

 

「知らない天井だ………」

 

何となくそう呟くシンジ。

周りを見ると、どうやら病室らしいという事が分かる。

 

「気を失って運び込まれたのか…………」

 

暫くすると、医師が来て検診していく。

それからミサトを迎えに寄越すと言って去っていった。

待ち時間に廊下に出て外を眺めていると、ストレッチャーに乗せられて運ばれていく少女を見かけた。

それは、エヴァに乗る前に運ばれてきた青髪の少女だ。

彼女の真紅の瞳と一瞬視線が交わる。

 

「………………………」

 

彼女は、一体何を思っていたのだろう?

シンジは何となくそう思った。

 

 

 

普段着に着替えてロビーで待っていると、ミサトが迎えに来る。

これから住むところについての説明があるらしい。

エレベーターの呼び出しボタンを押して待っていると、エレベーターが到着して扉が開く。

だが、そこには先客がいた。

ゲンドウだ。

まるで威圧するように扉の前に仁王立ちしている。

 

「……………………」

 

シンジはゲンドウと目を合わせると、何も言わずにエレベーターに乗り込んだ。

動き出すエレベーター。

重苦しい父子の間の空気にミサトは息が詰まりそうになる。

すると、

 

「……………何で父さんがここに居るの? 僕の見舞いなわけ無いでしょ?」

 

自分への見舞いの可能性をキッパリと否定しつつそう問いかける。

 

「…………レイの見舞いだ」

 

ゲンドウはそう答える。

 

「レイ?」

 

「……………………」

 

シンジは聞き返すがゲンドウは答えない。

 

「……レ、レイって言うのは綾波 レイって言って、シンジ君と同じエヴァのパイロットよ。今は怪我をして入院してるの」

 

2人の空気に耐えきれなかったミサトがそう答える。

 

「もしかして、あの時連れてこられた女の子ですか?」

 

「え、ええ………そうよ………」

 

ミサトは気まずそうに頷く。

 

「………あれだけ酷い状態で戦わせようとしていた癖に、見舞いには行くんですね」

 

「………………」

 

ゲンドウは何も言わず、目的の階に着いたのか、エレベーターを降りる。

すると、

 

「……葛城一尉」

 

「は、はい!?」

 

突然呼ばれた事でミサトはどもる物の、返事をする。

 

「後でシンジを連れて司令室まで来るように」

 

「りょ、了解しました!」

 

そのミサトが返事をした直後にエレベーターの扉が閉まる。

直後、

 

「………ぶはぁ~~~~!!」

 

ミサトが大きく息を吐いた。

 

 

 

 

ミサトに連れられて施設の中を進む。

シンジの住む場所について説明を受けた時、シンジは1人暮らしの予定だったが、急遽ミサトが自分の部屋に住まわせると言ってきたのだ。

あれよあれよという間にミサトは許可を捥ぎ取って承認までさせてしまう。

シンジは呆気に取られたもの、まあいいかと思う事にした。

…………ミサトの部屋の惨状を見て後悔するのはこの半日後である。

本来であれば、このまま帰宅の予定だったが、ゲンドウに呼ばれている為司令室に向かうミサトとシンジ。

 

「失礼します!」

 

ミサトを先頭に司令室に入ると、薄暗い部屋にポツンと机があるだけの部屋で、背後の窓からの光が畏れを感じさせる。

机の席にはゲンドウ。

そして両脇にはコウゾウとリツコが立っていた。

 

「碇 シンジ君を連れて参りました」

 

ゲンドウの前に歩いて行くと、ミサトがそう報告する。

 

「…………………」

 

シンジは何も言わなかったが、

 

「聞きたいことがある」

 

ゲンドウは挨拶も何も無しにシンジに向かってそう言った。

 

「聞きたい事?」

 

シンジが聞き返すと、

 

「奴らは何者だ?」

 

『奴ら』と言われて何の事かと一瞬怪訝に思ったが、

 

「…………もしかして、ジェイ兄さん達の事ですか?」

 

直ぐに彼らの事だと思い当たりそう言う。

 

「ジェイ…………戦闘中にもそう言っていたけど、それが彼の名前なのね?」

 

リツコが質問する。

 

「女の子を助けてくれた人の事ならその通りです」

 

シンジは特に気負いもせずに頷いた。

 

「そう…………私達が聞きたいのはまさにその人物達の事なの。それに、あの赤と白の戦闘機や、青い人型ロボットの事も……………」

 

シンジは喋ってもいいのか迷ったが、目の前の者達に、ジェイ達を如何こうできるイメージが湧かなかったので、ありのまま話すことにした。

 

「ジェイ兄さん達とは、半年前に出会いました」

 

「半年前………? そう言えばそんな報告も………」

 

「ええ。僕が1人でいるときに、声を掛けてくれたんです」

 

「………………知らない人に声を掛けられて怪しいと思わなかったの?」

 

ミサトがそう言う。

 

「最初は怪しいと思ってましたよ? それでも何度も会う内に少しずつ話す様になって、良い人達だと思ったんです」

 

「奴らは何者だ?」

 

再びゲンドウが問いかける。

 

「本人達は、異世界から来た人間だって言ってましたが?」

 

シンジはごくあっさりと答える。

 

「異世界ですって!?」

 

リツコが叫んだ。

 

「シンジ君? そんな出鱈目を信じてるわけじゃないでしょうね?」

 

ミサトが問いかけると、

 

「僕も最初は冗談と思ってましたよ。でも、宇宙戦艦に乗せられて宇宙に行って月の裏側にある宇宙ステーションまで連れて行ってもらいましたから、多分本当だと思いますよ」

 

シンジはそう答えた。

 

「あの………シンジ君? もし宇宙ステーションが本当だとしても、今の人類の科学力で月の裏まで行こうとしたら、どのぐらい時間かかるか分かってるの?」

 

リツコが呆れたようにそう言う。

 

「そりゃこの世界の技術力じゃ、辿り着くだけで精一杯って事は分かりますよ? だから異世界の技術なんじゃないですか。因みにジェイ兄さんの船なら、1時間どころか30分足らずで到着できます」

 

その言葉にリツコの顔がヒクつく。

 

「出鱈目にも程があるわね…………」

 

リツコは信じることを止めたようだ。

すると、

 

「話す気が無いのならそれで構わん」

 

ゲンドウの言葉に、

 

「嘘は言ってないけどね………」

 

ボソッと呟くシンジ。

その言葉を無視してゲンドウが言葉を続け、

 

「今後一切の奴らとの接触を禁止する」

 

そう一方的に宣言した。

だが、

 

「お断りします」

 

シンジは即言い返した。

 

「僕の交友関係を父さんに口出しされる筋合いはありません」

 

ズバッと言い切るシンジ。

 

「奴らの正体が不明確な以上、他の組織のスパイという可能性もある。エヴァの情報は守らねばならん」

 

ゲンドウはそう言い返すが、

 

「別にジェイ兄さん達は、あの程度の兵器の情報なんて要らないと思いますけど?」

 

シンジの言葉にピキリッとリツコの額に青筋が浮かんだ。

 

「シンジ君? エヴァンゲリオンは人類の英知の粋を集めて作り出した究極の汎用兵器よ? その情報が欲しくない組織なんているはずが無いわ」

 

リツコはそう言うが、

 

「パイロットが限られてて、電源コードが無ければ5分も動かず、空も飛べなくて、碌に武器もない。この程度で『究極の汎用兵器』とか言われても困りますけど………」

 

「そ、それはまだ未完成で………」

 

「そんな未完成の兵器に碌に訓練も受けたことない僕を乗せたんですね? あなた達は」

 

「え、A.T.フィールドがあればどんな攻撃も通さないわ!」

 

「ああ、あの防御フィールドですか? 確かに防御力だけは大したものでしたけど、それだけでしょう? 仮にアルトさんやシンさんと戦ったら、ある程度攻撃は防げるでしょうけど、空が飛べないのでこっちから手は出せませんし、その内動きについていけなくなって防御が間に合わなくなるか、電源コードを破壊されて終わりでしょう」

 

そもそも、勇者ロボ達が本気出せば、素でフィールドぶち抜いてきそうですし………と心の中で思うシンジ。

 

「以上の事から、ジェイ兄さん達にとって、エヴァはA.T.フィールド以外に目ぼしいものはありません」

 

シンジはキッパリとそう言う。

 

「そ、そのA.T.フィールドの秘密を探るために接触してきてるのかもしれないわ!」

 

リツコがこれでもかと食い下がる。

シンジは軽くため息を吐き、

 

「もしそうだとしても、機密に触れられるかどうかも分からない僕を利用するより、手っ取り早くルリ姉さんがハッキングすると思いますけど……………」

 

「それこそ不可能ね。NERVの情報はMAGIによって管理されているわ。MAGIは第7世代の有機スーパーコンピュータシステムで、これに比肩するものはまだ世界に存在しないわ!」

 

リツコが自信を持ってそう言う。

 

「……それって、コンピューターが自我を持ってるんですか?」

 

シンジがそう聞くと、

 

「そこまでではないけど、通常のコンピューターには出来ない人間が有するジレンマを再現しているわ」

 

「…………そうですか」

 

それならオモイカネやトモロ、勇者ロボの超AIの方が凄いとシンジは判断する。

もしかしたら、暇つぶしで既に攻略済みかもしれない、とシンジは思った。

 

 

 

 

 

同じ頃、

 

「くしゅん!」

 

マクロス・ブレイバーの艦長席でルリがくしゃみをする。

 

【大丈夫?】

 

【風邪?】

 

ルリの周りにオモイカネが心配するモニターが映る。

 

「いえ………誰かが噂してるのかもしれません」

 

ルリはそう言って再びモニターに向かう。

そのモニターに、NERVとか極秘事項とか人類補完計画の文字が見えた気がするが、気にしてはいけない。

 

 

 

 

 

 

「とりあえず言いたいことは、僕はジェイ兄さん達との交流を止めるつもりは一切ありません。もし利用しようとしていたとしても、それはNERVも一緒でしょう?」

 

「「「「………………………」」」」

 

その言葉に何も言えない4人。

 

「だったら、僕はジェイ兄さん達に利用される方を選びます」

 

「ちょ!? シンジ君!? どうして………!?」

 

ミサトが問いかけるが、

 

「それは勿論『信頼』の差です」

 

シンジはそう言い返す。

 

「ジェイ兄さん達は、僕に『居場所』をくれました。父さんに捨てられて、先生達からも腫れもの扱い。僕の居場所なんて何処にも無かった! そんな僕に、ここに居ても良いと認めてくれたのがジェイ兄さん達です。僕に優しくしてくれて、褒めてくれて、間違った時には叱ってくれて、落ち込んだ時には励ましてくれる。そんなジェイ兄さん達を僕は信じています」

 

シンジはそう言い切る。

 

「そ、それなら私達だって………!」

 

「少なくとも、ジェイ兄さん達とあなた達NERVの信頼度の差は天と地ですからね? 訳も分からず呼び出されたと思ったら、何の説明も無く巨大ロボットに乗って化け物と戦えと言われた挙句、渋れば怪我した女の子を連れてきて、お前が乗らなきゃこの子を乗せると言わんばかりの脅迫染みた行動に出るわ、渋々乗ったと思えば碌に操縦方法も分からないうちから敵の目の前に放り出されるわ、逃げ遅れた女の子を見捨てて戦えだ、そんな相手は『信頼』どころか『信用』も出来ません」

 

「うっ………………」

 

ミサトは言葉に詰まるが、

 

「あの状況ではそれが最善の手段だった」

 

ゲンドウはシレっと言う。

 

「…………………今の言葉で更に信用度下がったんで」

 

シンジは青筋を立てる。

 

「そう言う訳で、ジェイ兄さん達に関する事で、あなた方の言う事は聞く気は無いので。文句あるならエヴァには乗りません」

 

シンジはキッパリとそう言った。

 

「お前が戦わねば世界が滅びるぞ?」

 

「また脅迫ですか? なら答えます。そうなったとしても僕の責任じゃないので」

 

ジェイから既に答えを貰ったシンジは迷わずに答える。

 

「シンジ君!?」

 

ミサトは信じられないと言った様子で叫ぶ。

 

「さっきも言ったでしょう? 僕に『居場所』をくれたのはジェイ兄さん達だ。そのジェイ兄さん達に会えないのなら、居場所のない空虚な世界に逆戻りだ。そんな世界なら滅びたって構わない」

 

シンジは淡々とそう告げた。

 

「………………………」

 

ゲンドウは無言でシンジを睨みつけるが、シンジは涼しい顔だ。

 

「……………………いいだろう。奴らとの交友関係は好きにしろ。代わりにエヴァには乗ってもらう」

 

「碇…いいのか……!?」

 

コウゾウがゲンドウの判断に思わず口を出す。

 

「今は使徒の殲滅が最優先だ。エヴァには乗ってもらわなければ困る」

 

ゲンドウは動じてない様にそう言った。

 

「聞きたいことは以上だ。行け」

 

ゲンドウの言葉で、ミサトが敬礼すると、シンジを伴って部屋を出た。

扉が閉まると、

 

「シンジの監視を強化しろ。奴らと接触した時を見計らって奴らを拘束、もしくは殺せ」

 

コウゾウにそう告げるゲンドウ。

 

「シンジ君に恨まれるぞ?」

 

「問題ない。所詮は青二才。如何とでもなる」

 

ゲンドウは何の疑いも持たない声でそう言った。

 

 

 

 

尚、放たれた刺客は漏れなく全員返り討ちにあったことは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 







はい、エヴァ編第2話です。
当然ながらジェイ達の事には突っ込まれると思ったんでそこを書いてみました。
はい、シンジ君の精神が成長しすぎですね。
何事にも動じてない。
次回は学校に転入ですね。
お楽しみに。



P.S 申し訳ありませんが、仕事の関係でしばらく更新速度が落ちます。多分週に1回か2回になると思います。その所為で今日の返信もお休みです。

A.T.フィールドは心の壁。つまりシェリルとランカの歌で使徒の心を開かせればA.T.フィールド消滅or弱体化はアリ?ナシ?

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