転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件 作:友(ユウ)
【Side 三人称】
第4の使徒を倒し数日経ったある日、シンジはミサトに連れられて使徒を倒した現場に来ていた。
現場は使徒の研究の為に簡易的な工場のようなものになっており、機密を護る事にも一役買っている。
シンジは自分がパイロットであるという事が速攻でバレたので、この機密も時間の問題かなぁ、と思っていたが。
「それで? 何か分かったワケ?」
ミサトが現場で作業していたリツコに問いかける。
リツコがパソコンの画面を見せると、そこには【601】の数字が表示されていた。
「なにこれ?」
ミサトが問い返すと、
「解析不能を示すコードナンバー」
「つまりワケわかんないって事?」
「そう。使徒は粒子と波、両方の性質を備える光のようなもので構成されているの」
「………で? 動力源はあったんでしょ?」
「………らしきものはね。でも、その作動原理がサッパリなのよ」
「まだまだ未知の世界が広がっているわけね」
「とかくこの世は謎だらけよ。例えば、この使徒独自の固有波形パターン。構成素材の違いはあっても、信号の配置と座標は人間の遺伝子と酷似しているわ。99.89%ね」
シンジには理解できそうもない話を続ける大人2人。
シンジがふと横を見ると、数人の作業者と共にゲンドウが横切っていくのが目に入った。
「……………」
シンジが何となくその後姿を視線で追うと、シンジが破壊した使徒のコアらしき破片を観察している。
「………………あれ?」
シンジは後ろで手を組んだゲンドウの掌に火傷の跡があることに気付いた。
「どうしたの?」
シンジの様子に気付いたミサトが問いかけてくる。
「いえ、父さんの掌に火傷の跡があったので、どうしたのかと」
シンジがそう言うと、
「あなたが此処に来る前、起動実験中の零号機が暴走したの。その時、パイロットが中に閉じ込められてね………」
「パイロットって………レイですよね………!?」
「碇司令が彼女を助け出したの。加熱したハッチを無理矢理抉じ開けてね」
「父さんが………!?」
シンジは本気で意外そうな声を漏らした。
「掌の火傷は、その時のモノよ」
リツコがそう締めくくった。
シンジは普段の学校でもレイに話しかけてはいるが、やはり態度は素っ気なく、また、レイ自身にも親しい友人は居ないようだ。
しかし、エヴァの訓練をしている時、初号機の視線の正面にある零号機のタラップに、レイとゲンドウが話しているのを見た。
その時のレイは、普段の無表情では見る事の無い嬉しそうな表情をし、またゲンドウもシンジには見せない何処か優し気な表情を見せている。
「………………」
その事に、何とも言えない気持ちになるシンジ。
その夜。
ミサトがリツコに夕食を御馳走すると言って部屋に呼んだのだが、その内容がレトルトやカップラーメンになりそうだったので、急遽シンジが夕食を用意することになった。
シンジは元々ある程度家事は出来た上、ジェイ達との交流の中、シンやステラから料理を教わることもあり、その腕は並以上だ。
ミサトとリツコ(特にリツコ)には大絶賛だった。
そんな中、リツコからレイの更新したセキュリティカードを渡す様に頼まれた。
その時はシンジも快く受けたのだが……………
「…………な、何だこれ…………?」
住所に書かれていたレイの自宅は、ボロボロの集合住宅の一室。
明らかに整備が行き届いてない罅が入り、剥がれ落ちた壁や通路。
ゴミも散乱しており、とても治安や衛生関係が良いとは思えない。
シンジは意を決してレイの部屋のインターホンのスイッチに手を伸ばし、ボタンを押すが反応が無い。
「壊れてるのか………?」
シンジは遠慮がちにドアノブに手を伸ばし、それを回すと、あっさりと扉が開く。
「不用心すぎるよレイ…………」
鍵も掛かってない防犯レベルにレイが心配になるシンジ。
中を覗くと、掃除も碌にされていなく、大量に詰められたポストから落ちたであろう手紙が散乱していた。
「レイ! シンジだけど………!」
声を掛けてみるが反応が無い。
この状態ではセキュリティカードを置いておいても受け取ってもらえない可能性を考えたシンジは意を決して上がり込んだ。
玄関の正面に見えた部屋は寝室の様だったが、ベッドと机があるだけの殺風景な部屋だ。
カーテンも閉められ、部屋の中は暗い。
極めつけは、以前の怪我のモノだろう血の付いた包帯が乱雑に捨てられ、ベッドにも少なくない血が染みついている。
「レイ……………!」
見ただけでもわかるあまりにも劣悪な生活環境。
「何だってこんな…………!? 父さんは何も言わないのか………!?」
実の息子である自分を放っておいて、レイに対して優し気な表情をしていたゲンドウに思う所が無いわけではないが、それでもこの惨状を見て、ゲンドウが本気でレイを大事にしているとはとても思えなかった。
その時、部屋の奥から扉が開く音が聞こえた。
そちらを振り向くと、そこには産まれたままの姿にタオルを首から掛けただけのレイの姿があった。
「なっ!? ご、ごめんっ!!」
シンジは慌てて後ろを向く。
「……………………………」
レイは無言で歩いてくる。
シンジは引っ叩かれることも覚悟したが、
「……………………」
レイは特に何も言わずにベッドの傍で立ち止まる。
何事も無いことに不思議に思ったシンジが後ろをチラリと伺うと、そこではレイが下着を付け、服を着ようとしていた。
「いっ………!?」
シンジは慌ててもう一度後ろを向く。
そして、
「…………………何?」
そう問いかけてきた。
「そ、そのっ……………僕はっ…………リツコさんに更新したカードを届けるように言われてっ…………!」
シンジはどもりながらここに来た理由を説明する。
シンジはレイが服を着たのを確認すると、
「こ、これっ………! 更新されたカード! これが無いとNERVに入れないからっ!」
動揺しながらも何とか内容を伝え、レイにカードを渡す。
そして、
「ほ、本当にごめんっ!!」
シンジは謝ると足早にレイの部屋を出て、真っ赤にした顔に手を当てながら走り去った。
その後、零号機の起動実験の為、NERV本部で顔を合わせることになるが、レイは気にしてないようだったがシンジはレイの顔をまともに見れなかった。
そのままレイの零号機の起動実験がスタートし、無事起動に成功するも、途中で未確認飛行物体を感知。
第5の使徒と断定して実験が中断。
初号機の発進準備に切り替わった。
――衛星軌道上、マクロス・ブレイバー艦内。
「使徒と思わしき飛行物体が上陸。真っ直ぐ第3新東京市に向かって進行中」
ルリがそう報告する。
モニターには空中を移動する青い正八面体の使徒が映っていた。
「NERVの動きは?」
ジェイが聞き返すと、
「初号機の発進準備を進めています。特に何も考えずに出撃させるようですね」
ルリの答えにジェイはため息を吐く。
「前の使徒までは、自衛隊が偵察代わりになっていたから良かったが、何も情報が無い相手にいきなり切り札を出すかなぁ………?」
「何も情報が無いからこそ、初めから全力で当たるという見方もありますが………この状況では悪手でしょうね」
ルリはそう答える。
すると、ルネが通信回線を開き、
「ボルフォッグ、聞こえる?」
『はい、隊長』
第3新東京市に潜伏しているボルフォッグに通信を繋いだ。
「悪いんだけど、使徒の威力偵察をお願い。危険な役目だけど………頼める?」
ルネは少し心配そうな雰囲気でそう言ったが、
『問題ありません。お任せを』
自信に満ちた返事が返ってくる。
「それじゃあよろしく…………気を付けて………」
『了解……!』
一方、NERV本部では初号機の発進準備が着々と進められていた。
『エヴァ初号機、発進準備良し!』
射出口に初号機が移動し、後はミサトの発進の号令を待つだけになる。
ミサトが息を吸い込み、
「発し………!」
「待ってください!」
号令を掛けようとした瞬間、オペレーターのマコトが待ったをかけた。
「何よ一体!?」
出鼻を挫かれたミサトは不満そうに問いかける。
「何かが使徒に向かって行っています!」
続けて報告した後、モニターに外の様子が映し出される。
それはけたたましくサイレンを鳴らしながら使徒に向かって爆走していく1台のパトカーだった。
「パトカー!? どこの馬鹿よ一体!?」
ミサトが叫ぶ。
「この街の非常事態宣言は警察にも適用されるはずですが…………」
マコトが呟くと、
「正義感に溢れた警官が、勇気と無謀を履き違えての特攻かしらね?」
リツコがバカにしたようにそう呟く。
しかし彼女達は知らない。
『彼』は真の勇気を持った『勇者』であることを。
次の瞬間、モニターに信じられない光景が映った。
「システムチェーンジ!」
パトカーが突如として飛び上がると、瞬く間に形を変えていき、
「ボルフォォッォグ!!」
全長約10mの紫色の人型ロボットとなった。
「パ、パトカーが人型ロボットになったぁ!?」
ミサトが盛大に驚く。
「シルバームーン!」
ボルフォッグが何処からともなく金色のブーメランを取り出すと、銀色に輝きだし、それを投げつける。
それは弧を描きながら使徒に向かい、当たる直前に強力なA.T.フィールドに弾かれた。
「A.T.フィールド!?」
「それも、相転移空間を肉眼で確認できる位強力な………!」
ミサトとリツコが驚きの声を上げる。
弾かれたブーメランをボルフォッグがキャッチすると、使徒の外周部が輝きだす。
「使徒に高エネルギー反応……!? これはっ!」
ボルフォッグのセンサーがエネルギーの動きを取らえる。
「…………来る!」
ボルフォッグがタイミングを見計らって跳躍すると、直後にその場に加粒子砲が撃ち込まれ、周辺が蒸発する。
「この威力………まともに喰らえば一溜りもありませんね………」
そう口にしながらも、ボルフォッグには恐れは見えない。
ボルフォッグは更にもう1つの金色のブーメランを取り出すと、
「シルバークロス!!」
2つのブーメランを合体させ、巨大な四方手裏剣を作り出した。
更にそれが再び銀色に輝き、投げつける。
単純計算でも先ほどの倍以上の威力。
巨大な四方手裏剣が使徒に向かい、A.T.フィールドに衝突。
ギャリギャリとけたたましい音を上げる。
しかし数秒後、それは弾かれ2つに分かれて跳ね返される。
ボルフォッグは2つのブーメランを難なくキャッチすると、
「これも防ぎますか…………」
そう呟く。
その時、ボルフォッグのセンサーが再びエネルギーの上昇を感知。
「また来るっ……!」
再びタイミングを合わせて加粒子砲を躱す。
その際、迎撃用ビルが2、3棟蒸発した。
ボルフォッグは使徒に注目すると、
「攻撃後は僅かにチャージの時間が必要なようですね? ならば!」
ボルフォッグはそう判断すると、
「ガングルー! ガンドーベル!」
自分の相棒であるガンマシンを呼ぶ。
ヘリコプター型のガングルー、バイク型のガンドーベルが人型に変形すると、
「三位一体!!」
ガンマシンが両腕に変形し、ボルフォッグが腕の無い身体に変形すると、それぞれとドッキング。
全長20m超の1体の人型ロボットとなる。
「ビッグボルフォッグ!!」
ビッグボルフォッグとなってその場に降り立った。
「こ、今度は合体したぁ!?」
ミサトは更に驚き、
「な、何よあれ!? 明らかに物理法則を無視しているわ! アニメじゃないのよ!?」
科学者であるリツコは混乱の極みに居た。
「4000マグナム!!」
ビッグボルフォッグは右腕を向けると右腕に装備された4門の銃口からガトリングガンを連射。
A.T.フィールドに防がれるものの、ビッグボルフォッグは攻撃を続行する。
「………どうやら、A.T.フィールドを張っている最中の攻撃は不可能の様ですね?」
先程の攻撃のインターバルが過ぎている事にも関わらず、攻撃が来ない事にビッグボルフォッグは仮説を立てた。
そこでビッグボルフォッグは攻撃を中断すると、再び外周部に光が灯る。
そして、再び加粒子砲が放たれた。
爆煙に覆い隠されるビッグボルフォッグ。
だが、
「甘いです!」
直上からビッグボルフォッグが急降下。
「ムラサメソード!!」
左腕のローターを回転させながら使徒に向かって斬りかかる。
高速回転するローターの刃が使徒に迫るが、A.T.フィールドが張られ、火花が散った。
「ぉおおおおおおおおおおおおっ!!」
ビッグボルフォッグは力を籠めるが、A.T.フィールドは破れない。
「これでも抜けませんか!」
ビッグボルフォッグは仕方なく飛び退くと、やはりエネルギーの上昇を確認する。
すると、
「超分身殺法!!」
加粒子砲の発射の直前、ビッグボルフォッグは突如として分離し、三方向に分かれる。
加粒子砲はビッグボルフォッグが居た場所を通過。
その隙にボルフォッグ達は多角攻撃を仕掛けた。
2機のガンマシンが両側面からのガトリングの連射。
ボルフォッグが正面上方からのシルバームーンによる攻撃。
しかし、それらの攻撃もそれぞれがA.T.フィールドに防がれる。
「A.T.フィールドは多角攻撃にも対応していますか………!」
ボルフォッグは通用しないと判断すると、再び銀色の光に包まれて1つとなり、ビッグボルフォッグへと姿を戻す。
「ならば、私が取れる行動は後1つ!」
使徒が放ってきた加粒子砲を避けるとビッグボルフォッグはそのまま使徒に接近。
「大回転大魔断!!」
ビッグボルフォッグが持つ最高威力の攻撃手段。
回転しながら銀色の駒のようになり、使徒に突撃する。
A.T.フィールドに衝突し、激しい火花を散らしながら攻撃を続ける。
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
ビッグボルフォッグは気合を入れた声を上げながら回転数を上げる。
やがて、
「ッ!」
ビッグボルフォッグはA.T.フィールドを抜け、使徒本体に攻撃が届いた。
だが、A.T.フィールドを突破するのにエネルギーを消耗したビッグボルフォッグでは、使徒の表面に傷をつけることが精一杯だった。
「……………これ以上の戦闘の続行は不可能。しかし、威力偵察の任務は成功と判断。撤退します。ホログラフィックカモフラージュ!」
ビッグボルフォッグは周囲の景色に溶け込むように姿を消す。
「………………逃げた?」
姿を消してから何の反応も無い様子にミサトはそう呟く。
「あ、あの………」
オペレーターのマヤがおずおずと切り出す。
「たった今、先程の戦闘の詳細と思われるデータが送られてきまして………」
そう報告する。
「少なくとも、あのまま初号機を出していたら狙い撃ちされていたでしょうね」
何とか復活したリツコがそう答えながらミサトを見る。
ミサトは悔しそうに唇を噛みながら、
「出撃中止! 作戦を練り直す必要があるわ!」
ミサトはそう決断するのだった。
エヴァ編第4話です。
はい、ラミエル前半戦です。
っていうかボルフォッグが大活躍。
まあ、諜報活動が主ですからこの人。
そのお陰でシンジ君命拾いです。
でも、ラミエルのA.T.フィールド破っちゃったのはやりすぎかなぁと思わないでもない。
と言う訳で次回はヤシマ作戦となります。
お楽しみに。
P.S本日の返信はお休みします。
A.T.フィールドは心の壁。つまりシェリルとランカの歌で使徒の心を開かせればA.T.フィールド消滅or弱体化はアリ?ナシ?
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アリ
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ナシ