転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件   作:友(ユウ)

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第5話 決戦、第3新東京市

 

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

 

 

突如として出撃中止となったシンジはやや困惑しつつ、ミサトに呼ばれて作戦指令室に来ていた。

 

「ミサトさん、いきなり出撃中止なんて、何があったんですか?」

 

シンジがそう聞くと、

 

「ええ………その前に、ちょっとこれを見てくれる?」

 

ミサトはモニターを映す様に指示をする。

そこには、先程の使徒と戦うボルフォッグの姿が映し出された。

 

「これは………!」

 

「単刀直入に聞くけど、シンジ君。コレ知ってる?」

 

ミサトはボルフォッグを指してそう聞いた。

それに対し、

 

「あ、はい。彼はボルフォッグ。ジェイ兄さんの仲間です」

 

シンジはごくあっさりと答える。

 

「…………アレは一体何なの?」

 

ミサトが更に聞くと、

 

「ボルフォッグは超AI搭載した自分の判断で行動できるロボット………つまり、心を持ったロボット、らしいです」

 

シンジがそう言うと、

 

「そんな!? 人間が有するジレンマを再現しているMAGIでさえ巨大なスーパーコンピューターなのよ!? 自我を持てるほどの能力をあのサイズに納める事なんて絶対に不可能だわ!!」

 

リツコが感情的になりながらそう叫ぶ。

 

「いえ、ですから何度も言うようにジェイ兄さん達が異世界から来たと考えれば全部に説明つくんじゃないんですか?」

 

シンジはそう言うが、

 

「異世界なんて非科学的な事、信じられるわけ無いでしょ!?」

 

「駄目だこりゃ…………」

 

ジェイ達が異世界から来たことを一向に認めようとしないリツコに、シンジは匙を投げた。

その直後、映像の中のボルフォッグが使徒の加粒子砲を避けるシーンが映ったが、その周辺が蒸発したことにシンジは戦慄する。

 

(…………もしボルフォッグが戦ってくれなかったら、僕が初見でアレを受けてたの!?)

 

使徒の一部が光ったと思ったら次の瞬間には着弾しているので、自分では初見では避けることは絶対に不可能だと確信するシンジ。

本気で死ぬかもしれなかった事態に、シンジは血の気が引くと共に、

 

(………後で絶対にボルフォッグにお礼を言っておこう!)

 

心にそう誓うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

ボルフォッグが集めたデータを含め、NERVもいくつか偵察を行っていた。

ダミーバルーンや列車の自走砲など、遠距離からの攻撃も試している。

それらは全て、一定範囲内に入ったところで全て破壊された。

 

「なるほどね…………」

 

「これまで採取したデータによりますと、目標の一定距離の外敵を自動排除するものと推測されます」

 

「エリア進入と同時に加粒子砲で100%狙い撃ち。エヴァによる近接戦闘は危険すぎますね」

 

「A・Tフィールドはどう?」

 

「健在です。相転移空間を肉眼で確認できるほど強力なものが展開されています」

 

「誘導火砲、爆撃などの生半可な攻撃では泣きをみますね、こりゃ」

 

「攻守ともにほぼパーペキ。まさに空中要塞ね……で、問題のシールドは?」

 

「現在、目標は我々の直上。第3新東京市0エリアに侵攻。直径17.5mの巨大シールドがジオフロント内のNERV本部に向かい穿孔中です」

 

「敵はここ、NERV本部に直接攻撃を仕掛けるつもりですね」

 

「しゃらくさい………で、本部への到達予想時刻は?」

 

「明日午前0時6分54秒です。その時刻には22層、すべての装甲、防御を貫通してNERV本部に到達するものと思われます」

 

「あと、10時間足らずか………」

 

エヴァによる近接攻撃は危険。

零号機も実戦には耐えられない上、例え出撃できてもボルフォッグからのデータでは多角攻撃にも対応しているため、2体がかりでも結果は同じ。

 

「状況は芳しくないわね」

 

「白旗でも上げますか?」

 

マコトの冗談めいた言葉に、

 

「その前に、ちょっちやってみたいことがあるのよね」

 

ミサトは不敵に笑うのだった。

 

 

 

 

それが、

 

「使徒のレンジ外からの超長距離射撃………ですか?」

 

作戦の概要を説明するために行われるブリーフィングでシンジがそう言う。

 

「そうよ、戦自から徴発した自走陽電子砲を、エヴァ用に改造したポジトロンスナイパーライフルとして使用。日本中の電力を集めて発射するの」

 

「…………………………」

 

ミサトの言葉に、シンジは考え込むような仕草をする。

 

「どうかしたの? シンジ君」

 

ミサトが聞くと、

 

「あ、いえ。どうして態々エヴァで狙い撃つのかと思って………全部機械任せの自動砲台にした方が命中率高いんじゃないですか?」

 

すると、リツコの額にピキリっと青筋が浮かび、

 

「シンジ君? 言いたいことは分からないでもないけど、陽電子砲の改造、砲台の組み立て、設置、照準の調整にどれだけ時間がかかると思ってるの? 限られた時間! 予算! 人員で行える最善の手段が陽電子砲をスナイパーライフルに改造してエヴァに狙撃させる方法よ! たった半日足らずの間に1つの施設を作り出せるのは、アニメの世界だけよ!」

 

リツコがいい加減にしろとばかりに捲し立てた。

 

「ご、ごめんなさい………」

 

その剣幕に、シンジは謝る事しかできない。

 

(カーペンターズっていうチート軍団が居たから感覚が狂ってたな………確かに10時間足らずで完璧な自動砲台準備しろって言うのも無理な話か…………)

 

シンジは異世界の技術に慣れ過ぎていて、この世界の常識とズレがあったことに自分を恥じた。

そして作戦の説明をされ、砲手が初号機のシンジが担当し、防御が盾を持った零号機のレイが担当する事となった。

 

 

 

 

作戦時間となった時、シンジとレイは簡易の更衣室でプラグスーツに着替えていた。

 

「…………レイは怖くないの?」

 

仕切りの向こうに居るレイにシンジは話しかける。

 

「…………何でそんな事聞くの?」

 

レイはそう問い返す。

 

「僕は怖いよ………死ぬかもしれないから…………」

 

それはまごうこと無きシンジの本音。

戦う決意はしても恐怖は感じている。

すると、

 

「あなたは死なないわ」

 

「ッ!?」

 

レイの言葉にハッとなる。

 

「私が護るもの」

 

それは気休めでも励ましでも何でもない。

ただ、そうであるという事実だけをレイは口にしていた。

 

「レイ………」

 

 

 

 

エヴァのエントリープラグの前のタラップで、シンジとレイは消えていく街の明かりを眺めていた。

 

「………レイは、何故エヴァに乗るの?」

 

シンジはふとそう尋ねた。

 

「………………絆だから」

 

レイはそう答える。

 

「絆?」

 

「そう………絆………」

 

「父さんとの?」

 

「………皆との」

 

「………そうなの?」

 

「私には……他に何もないもの………」

 

淡々とシンジの質問に答えていくレイ。

しかし、最後の言葉は、何処か寂しそうに思えた。

 

「他に何もないって………」

 

シンジは如何いう意味か問いかけようとしたが、

 

「時間よ。行きましょう」

 

レイはそう言って立ち上がると、

 

「じゃ、さよなら」

 

そう言い残してレイは零号機に乗り込んでいった。

 

「……………………」

 

その言葉をシンジは何とも言えない気持ちで受け止めていた。

 

 

 

 

 

初号機に乗り込んだシンジ。

とはいえ、殆どの作業はNERV職員が行うので、シンジのやる事は撃鉄を起こして引き金を引くだけだ。

 

「シンジ君……日本中のエネルギー、貴方に預けるわ。頑張ってね」

 

「はい!」

 

ミサトの言葉に頷くシンジ。

 

「第1次接続開始」

 

「第1から第803管区まで送電開始」

 

指揮車の中のオペレーター人員が慌ただしく指示を出し始める。

各変電機が唸りを上げながら電力を供給する。

突貫工事故か、ケーブル類が熱を持ち始め、煙も上がり始める。

今回の作戦中さえ持てばいいというのだろう。

最終安全装置が解除され、シンジはスナイパーライフルの撃鉄を起こし、カートリッジが装填される。

 

「全エネルギーポジトロンライフルへ! 発射まで8……7……6……!」

 

カウントダウンが開始されたとき、

 

「目標に高エネルギー反応!!」

 

使徒を観測していたマヤが叫ぶ。

 

「何ですって!?」

 

リツコが驚愕するが、今更止めることは出来ない。

 

「……2……1!」

 

「発射!」

 

号令と共に引き金を引くシンジ。

だが、それとほぼ同時にラミエルからも加粒子砲が発射された。

互いに放たれた閃光が両者の中央で交差するが、それらが互いに干渉し、軌道を捻じ曲げる。

その結果、両者の攻撃は目標を外してしまった。

 

「外した!?」

 

シンジが叫ぶ。

 

「敵シールド! ジオフロントへ侵入!」

 

「第2射急いで!」

 

シンジはカートリッジを再装填する。

しかし、

 

「目標に再び高エネルギー反応!」

 

「拙いっ!」

 

その瞬間、初号機に向かって加粒子砲が放たれた。

 

「ッ!?」

 

シンジは一瞬直撃したと思ったが、思ったほどの衝撃は来ない。

シンジが前を伺うと、そこには盾を持った零号機が立ちはだかっていた。

 

「レイッ!?」

 

シンジは思わず叫ぶ。

零号機は盾で防いでいるが、その盾は見る見る溶解していく。

 

「盾が持たない!!」

 

「まだなの!?」

 

「あと10秒!」

 

各員に焦りが広がる。

 

「早く……! 早く……!」

 

シンジは思わず口に出す。

そしてついに零号機の盾が完全に融解し、加粒子砲をその身で受ける零号機。

 

「レイッ!!」

 

シンジの悲鳴のような声が上がる。

その時だった。

 

「はぁあああああっ!!」

 

突如として山中からビッグボルフォッグが姿を現した。

ホログラフィックカモフラージュで身を潜めていたのだ。

 

「ミラーコーティング!!」

 

ビッグボルフォッグはその身を銀色の粒子で包み込むと、

 

「はぁああああああああああああああああああああっ!!」

 

ビッグボルフォッグはそのまま零号機の前方に飛び込んだ。

 

「ビッグボルフォッグ!?」

 

シンジが思わず叫ぶ。

 

「う……ぉぉぉおおおおおおおおおっ!!!」

 

ミラーコーティングは電磁波や光学兵器に対し、高い耐性を持っている。

しかし、それでも使徒の加粒子砲は完全に防げるものではない。

ミラーコーティングが剥がされ、ビッグボルフォッグの装甲が融解を始める。

その時、

 

「再装填完了!」

 

「シンジ君!!」

 

再発射準備完了の報告が来る。

 

「ッ!!」

 

シンジは咄嗟に引き金を引く。

放たれた閃光は、今度こそ寸分違わず使徒を撃ち抜いた。

直後に沈黙し、墜落していく使徒。

しかし、シンジはそんな事を気にしている余裕は無かった。

 

「レイッ! ビッグボルフォッグ!」

 

初号機を走らせ自分を守ってくれた2人の仲間の安否を確認する。

 

「シンジ少年…………私は無事です………」

 

そう言ったのはビッグボルフォッグ。

そうは言うが、その装甲は溶けて爛れており、言うほど無事とは思えない。

 

「ご安心を………この程度は人間に言わせればかすり傷です。装甲板を取り換えれば問題ありません。私の事より、零号機のパイロットを………!」

 

膝を着きながらビッグボルフォッグはそう言った。

 

「う、うん……!」

 

ビッグボルフォッグも心配だが、レイも危ない。

シンジは零号機のエントリープラグ挿入口の装甲を抉じ開け、エントリープラグを引っ張り出す。

 

「レイッ!!」

 

零号機のエントリープラグを地面に置いたシンジは、自分も初号機のエントリープラグから出ると、一目散に駆け寄る。

零号機のエントリープラグの表面は融解しかかった跡があり、触るまでも無く熱を持っていることが分かった。

しかし、

 

「うぉおおおおおおおおおおおっ!!」

 

シンジは手が焼けることも構わずにハッチの取手を掴むと力尽くで回し始める。

融着しかかっていたハンドルはとても固かったが、シンジが力を振り絞ると何とか回った。

プラグのハッチが開くと、中から熱気が広がってくる。

 

「レイッ!」

 

シンジは中に乗り出すとレイに呼び掛ける。

レイはぐったりとシートに身を預けていたが、シンジが呼びかけるとゆっくりと瞼を開いていく。

それを見たシンジは安心感から涙を浮かべる。

 

「自分には………自分には他に何もないなんて………そんなこと言うなよ………」

 

「…………………」

 

「別れ際に『さよなら』なんて、悲しい事言うなよ…………ッく!」

 

シンジは耐えきれずに顔を伏せて涙を流した。

 

「……………何泣いてるの?」

 

「……………レイが無事だったことが嬉しいからだよ……!」

 

レイの問いにそう答えるシンジ。

 

「……………ごめんなさい。こんな時、どういう顔をすればいいのかわからないの………」

 

レイはそう呟く。

すると、シンジは顔を上げ、

 

「………笑えば……いいと思うよ………」

 

シンジは微笑みを浮かべながらそう言った。

 

「ッ……………!?」

 

その言葉と微笑みに、レイは何かを感じたのか一瞬ハッとなり、

 

「………………」

 

小さく口元を釣り上げ、奇麗な微笑みを浮かべたのだった。

 

 

 

 

それを見ていたビッグボルフォッグは安心したように立ち上がろうとして、

 

「うっ………!?」

 

やはり無理が祟ったのか、その場に崩れ落ちようとした。

しかし、何かに支えられるような状態で倒れようとしたビッグボルフォッグの身体が止まる。

すると、ビッグボルフォッグを支えるようにその場にガオファーが現れた。

ガオファーはホログラフィックカモフラージュと同じファントムカモフラージュと呼ばれる機能を持っており、それで姿を消していたのだ。

 

「大丈夫? ビッグボルフォッグ」

 

「隊長…………」

 

ガオファーとなっているルネがビッグボルフォッグに心配そうな声を掛けると、

 

「申し訳ありません………命令違反でしたね………」

 

万一の事を考えてビッグボルフォッグやガオファーが近くで待機していたが、ルネやジェイの意向ではこの作戦に介入するつもりは無かった。

何故なら、この作戦はシンジやレイの心の成長に必要な事だと思っていたからだ。

だが、ビッグボルフォッグは見ているだけでは我慢できず、思わず飛び出して行ってしまったのだ。

ビッグボルフォッグの言葉にガオファーは首を振る。

 

「ううん。謝るのは私の方。危険な目に遭う人が居るってわかってるのに、見ているだけなんて『勇者』であるビッグボルフォッグに我慢できるはずないよね?」

 

「隊長………」

 

「今は戻ってゆっくり休もう?」

 

「了解しました………隊長」

 

ビッグボルフォッグがそう言うと、

 

「ステルスガオー!!」

 

ガオファーがステルスガオーⅢを呼ぶと、何処からともなくステルス戦闘機型のステルスガオーⅢが飛んでくる。

ガオファーがビッグボルフォッグを抱えてジャンプすると、そのままステルスガオーⅢとドッキングし、飛び去って行った。

 

 

 

 

 

 





はい、エヴァ編第5話です。
ヤシマ作戦の回でした。
皆さんがポジトロンスナイパーライフルをエヴァで撃つことに納得できないという事をちらほら言っていたので、自分なりにエヴァに撃たせる意味を考えてみた。
実質エヴァ世界の技術力で、10時間足らずで完璧な自動砲台作るのは不可能だと思うんですよ。
なのでエヴァが撃つ必要があると思ったわけです。
あと、ジェイ達が殆ど介入しなかったのも最後のが理由です。
次回はJAのお話ですが果たして…………?
お楽しみに。





P.S 今日の返信もお休みです。申し訳ありません。

A.T.フィールドは心の壁。つまりシェリルとランカの歌で使徒の心を開かせればA.T.フィールド消滅or弱体化はアリ?ナシ?

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