転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件 作:友(ユウ)
【Side 三人称】
アスカがシンジ達の学校に転校してきてからまた少し。
見た目が美人なアスカは男子生徒から人気の的だ。
トウジやケンスケはアスカの気の強さを知っているのでそれほどではないが、隠し撮りした彼女の写真の売れ行きは良い。
因みにアスカはレイとも顔を合わせたが、レイは相変わらず他人に興味を持たず、アスカの言葉に短く答えるだけだった。
そんなある日、再び使徒の出現を察知したNERV。
当然エヴァの出番という事で初号機と弐号機が出撃。
海から上陸する使徒を水際で迎え撃つ事になった。
輸送機で空輸されてきたエヴァ2機が投下され、地上に着地。
更にアンビリカルケーブルが接続され、戦闘準備が完了する。
すると海面が盛り上がり、使徒の姿が露になった。
全体像は人型に近いが頭が無く、胴体に顔のような部位が付いていた。
すると、
『形状はシンジ君が最初に戦った第3使徒が一番近いわね……第3使徒は腕から繰り出す光のパイルと、顔のような部分から放つ光線が主な攻撃方法だったわ! 同じ攻撃方法があるとは限らないけど、遠近両方の攻撃がある可能性は考慮しておいて!』
「「了解!」」
ミサトからの指示にシンジとアスカは返事を返す。
「シンジ! 私が先に行くわ! 援護をお願い!」
「わかった! アスカも油断しちゃダメだよ!」
「誰にモノ言ってんのよ!」
アスカは自信満々に答えながら弐号機が駆け出す。
それと同時に初号機はパレットライフルを構え、引き金を引いた。
無数の弾丸が撃ち出され使徒に殺到して爆煙に包む。
とはいえ、パレットライフル程度で使徒が倒せるなどとは欠片も思っていないシンジ。
目晦まし程度にはなるだろう程度の考えだ。
「行ける!」
アスカは水没したビルを足場に飛び移りながら使徒に接近。
ソニックグレイブと呼ぶ薙刀状の武器を振り被った。
「そりゃぁあああああああああああああっ!!」
アスカの気合の入った掛け声と共に上段から振り下ろされる刃。
その一撃は使徒を正中線に沿って見事に真っ二つにした。
「お見事!」
その様子に、シンジは純粋に称賛の言葉を贈る。
「やっぱり長物の近接武器があると良いよね………」
弐号機の持つソニックグレイブを見て、シンジはああいうのが欲しかったと内心愚痴る。
「どうシンジ……? 戦いは常に無駄なく美しくよ?」
アスカは得意げにそう言う。
「ははは………」
そんなアスカの姿に相変わらずだなぁ、と苦笑するシンジ。
だが、
「ッ………!?」
真っ二つになった使徒の身体が僅かに動いたことに気付いた。
「アスカ! 危ないっ!」
「えっ………?」
反射的に飛び出すシンジに、アスカは呆けた声を漏らした。
その直後、真っ二つになった使徒の身体のそれぞれが脱皮するように破れると、内部から一回り小さくなった使徒が現れた。
『ぬぁぁぁんてインチキ!!』
2体に分離した使徒に思わず叫ぶミサト。
2体に分裂するという予想外の事態に一瞬棒立ちになってしまうアスカ。
鋭い爪の付いた2体の使徒の腕が振り被られ、振り下ろされようとした瞬間、
「アスカ!!」
飛び出してきた初号機が弐号機を横から突き飛ばす。
「シンジ!?」
アスカが思わず叫ぶが、直後にその腕が振り下ろされた。
シンジは咄嗟に防御するも、肩と腕に大きく傷を付けられる。
「うわぁああああああああっ!?」
「シンジ!?」
シンジの悲鳴にアスカは取り乱す。
「このぉっ!!」
アスカはソニックグレイブを振り被って横薙ぎに振り回して使徒の1体を攻撃する。
その一撃は使徒の身体に大きく傷を付けたが、瞬く間に傷が塞がってしまった。
「嘘ッ!?」
アスカはその事実に驚愕。
その直後、目の前の使徒の背後からもう1体の使徒が頭上から飛び上がって現れ、弐号機に飛び掛かってきた。
「ッ!?」
アスカは目を見開く。
驚愕で動けなかったアスカはそのまま攻撃を………
「うぉおおおおおおおおおおおっ!!」
受ける直前、初号機が立ち上がって弐号機の前に立ちはだかり、使徒の攻撃をその背で受けた。
「ぐぅっ!?」
「シンジッ!?」
倒れこむ初号機を咄嗟に支えるアスカ。
すると、
『アスカ! 撤退よ!』
ミサトから通信が届く。
「そんな!? シンジをここまでやられて逃げ帰るなんて………!?」
『命令よ! 撤退しなさい!! N2爆雷の投下要請をするわ。足止め位にはなるはずよ!』
「ッ…………! りょ、了解…………」
強い口調のミサトの言葉に、アスカは渋々撤退を了承する。
初号機を抱えながら使徒の前から撤退するアスカ。
「…………………ッ!」
2体に分裂した使徒を横目で見ながら、悔しそうに歯を食いしばった。
その後、N2爆雷が投下され、足止めに成功。
再侵攻開始まで6日間の猶予を得ることが出来た。
使徒殲滅に失敗したシンジとアスカは、副指令であるコウゾウから説教を受けることになったが…………
一先ず帰ることになったシンジが現在の自宅であるミサトのマンションの部屋に入る。
「ただいま………って、誰も居ないんだけどね………」
シンジは自嘲気味にそう言いながら玄関で靴を脱いで廊下を歩く。
だが、ふと気づいた。
見慣れぬ段ボール箱が山積みになっていることに。
更に部屋を覗くと、そこには部屋いっぱいに積まれた段ボールの山。
「な、何だこれ!?」
シンジは思わず叫んだ。
「失礼ね。私の荷物よ」
聞き覚えのある声に振り向くと、そこにはアスカが居て缶ジュースを飲んでいる。
シャワーでも浴びたのかTシャツ短パンでタオルを首に掛けたラフな格好だ。
「何でアスカが此処に!?」
別の場所に住んでいるはずのアスカがここに居ることに驚きを隠せないシンジ。
すると、アスカはキョトンとして、
「ミサトから聞いて無いの?」
そう口にする。
「何を……!?」
「アタシも今日からここに住むって」
「ききき、聞いて無いよ!?」
シンジがそうしどろもどろになりながら言うと、
「そりゃ言ってなかったからね」
ミサトが笑いながら現れた。
「ミサトさん………! と、レイ?」
ミサトの隣には、レイも居た。
「ど、どういうことですか!? それと、何でレイもここに!?」
「次の作戦に必要だからよ」
動揺しているシンジを他所に、ミサトは当たり前のように答える。
「「作戦?」」
シンジとアスカが声をそろえて首を傾げた。
「第7使徒の弱点は1つ! 分離中のコアに対する二点荷重攻撃! これしかないわ!」
リビングに場所を移したミサトがそう言う。
「「………………?」」
「………………」
キョトンとするシンジとアスカ。
無反応のレイ。
「つまり、エヴァ2体のタイミングを完璧に合わせた攻撃よ。その為には2人の協調、完璧なユニゾンが必要なの。その為には、あなた達にはこれから一緒に暮らしてもらうわ」
ミサトがアスカとレイに視線を配りながらそう言った。
「「えええっ!?」」
盛大に驚くシンジとアスカ。
「命令ならそうするわ………」
全く動じないレイ。
「……………って、今アスカとレイを見ながら言いませんでした?」
シンジはアスカとレイが一緒に住むという所に注目してしまったが、そのミサトの視線に気づき、そう聞き返す。
「ええ。今度の作戦は、アスカとレイの2人に担当してもらうわ」
「えっ!? ファーストと!?」
「息を合わせるなら、元から知り合いの僕の方がやりやすいんじゃ………?」
ミサトから出た言葉に意外そうな声を漏らすアスカと疑問を口にするシンジ。
「確かに人としての相性ならそうかもしれないんだけど、残念ながら初号機の損傷が激しすぎて、6日後の作戦には修復が間に合いそうも無いわ。対する弐号機はほぼ無傷。そして、改修中の零号機を急ピッチで仕上げて5日後には完了する予定よ。だからアスカとレイの2人ってわけ」
「そうですか…………」
ミサトの言葉に、大分無茶したからなぁ、と反省するシンジ。
「作戦は6日後。その時までに2人のユニゾンを完璧にするために、この曲に合わせた攻撃方法をマスターするのよ。1秒でも早く!」
ミサトがカセットテープを見せながらそう言った。
3日後。
シンジ達の住むマンションに、3日も学校を休んでいるシンジの様子を見る為にトウジとケンスケがやってきていた。
目的の階に着いたエレベータから出ると、同じくアスカの様子を見に来たクラス委員長の洞木 ヒカリと鉢合わせ、3人で同じ部屋を訪ねることになった。
3人がミサトの部屋のインターホンを押すと、
「は~い!」
部屋の扉が開いてシンジが顔を見せる。
「あ、トウジにケンスケ! 洞木さんも。いらっしゃい!」
3人の顔を見て笑顔で迎え入れる。
すると、
「シンジ~? 誰か来たの?」
シンジの背後からペアルックの服を着たアスカとレイが姿を見せた。
「「「?」」」
そんなアスカとレイの姿を見て、3人は首を傾げる他無かった。
その後、3人はミサトから作戦の内容を聞き、
「そう言う事だったんですか~。それならそうとはよいってくれればいいのに~!」
「それで、ユニゾンは上手くいってるんですか?」
トウジとヒカリがそう言うと、
「それがね~………」
ミサトはそう言いながらダンスゲームを改造したユニゾン訓練装置で踊るアスカとレイを見つめる。
2人のダンスは中々上手く、素人目にはそれなりに合っているように思える。
やがて曲が終わると採点が行われ、『82点』という点数が表示された。
「おお~! 80点台とは中々じゃないか!」
ケンスケは表示された点数に感心した声を漏らし、
「そやそや。3日目でこれなら良いペースとちゃうん?」
トウジも笑いながらそう言う。
しかし、
「やっぱ駄目ね………」
ミサトはため息を吐きながらそう言った。
その言葉に、意外そうな表情をする3人。
「どうしたんですか? 上手く行ってるように思えたんですけど?」
ヒカリがそう言うと、
「ぶっちゃけ80点越えは1日目でクリアしてるのよ。それから全然点数上がらないの。つまり、進展無しって事」
ミサトが残念そうにそう言う。
すると、
「ファースト! 何度も言ってるけど、もうちょっとやる気出しなさいよね!!」
アスカがレイに食って掛かる。
「言われた事はやっているわ」
シレっと言うレイ。
「そうじゃなくて! せっかく音楽流れてるんだから、ちゃんと合わせなさいよ!」
「音を合図にして動く事はしているわ」
「そうじゃないでしょ!? 音楽って言うのは、こう、魂で感じてそれに合わせて体が動く感じでしょ!?」
「アスカ………その説明は流石に…………」
アスカの言葉に苦笑するシンジ。
だが、シンジもアスカの言おうとしていることは何となく理解している。
「音楽なんかに興味ないもの…………」
それでもレイは言葉通り興味なさげにそう言った。
「こ、コイツ…………!」
アスカはレイの物言いに拳を握りしめながらプルプルと震えている。
「あ~! も~! コイツにシェリルさんとランカさんの歌を聞かせてやりたいわ!!」
我慢できずにそう叫ぶアスカ。
その時、ピンポーンと再びインターホンが鳴った。
「あ、僕が行きます」
シンジが立ち上がって玄関に向かう。
その間にも、アスカはレイに向かってギャーギャーと文句を言っていた。
すると、
「ア、 アスカ…………」
シンジが困惑した表情で戻ってきた。
すると、
「ハァーイ!」
シンジの背後からピンクブロンドの髪にサングラスをかけた女性が現れ、
「よっ!」
一瞬女性と見紛う様な美形な青年が続き、
「こんにちは」
最後に緑の髪をした少女が頭を下げた。
「「「「………………誰?」」」」
ミサト、トウジ、ケンスケ、ヒカリが声を揃えてそう言った。
だが、
「あーっ! シェリルさん! ランカさん! アルトさん!」
アスカが指を指しながら叫んだ。
「だ、誰やシンジ? この別嬪さん達は………!?」
トウジが困惑しながらそう聞くと、
「あ~、僕とアスカの知り合いの、シェリル・ノームさん、ランカ・リーさん、早乙女 アルトさんです」
シンジが3人を紹介する。
「アルト………? そう言えば、シンジ君の口から何度かその名前を聞いたような………?」
ミサトが聞き覚えのある名に思い出そうとすると、
「アルトさんはYF-29………白と赤の可変戦闘機のパイロットです」
シンジの言葉にミサトはハッとなり、
「あの戦闘機の!?」
思い当たったミサトが叫んだ。
「早乙女 アルトだ」
そう名乗るアルト。
「……………女?」
「ッ! 俺は男だ!」
アルトの顔を見たミサトがつい言ってしまった言葉にアルトはカチンときたが、何とか感情を抑えながら訂正する。
そんな姿にシェリルとランカが笑いを零した。
「それで、何でアルトさん達はここに?」
シンジがそう聞くと、
「何か面白そうなことやってるみたいだったからね。様子を見に来たのよ」
シェリルがそう言う。
「それで? 訓練は順調なの?」
続けてランカがそう聞くと、
「そうよ! シェリルさん、ランカさん! コイツに2人の歌聞かせてやってください!! コイツ音楽の良さを全然分かってくれないんですよ!」
アスカがレイを指差しながら叫ぶ。
「へぇ………?」
シェリルがサングラス越しにレイを見つめる。
「…………………」
その視線にも無表情なレイ。
そんなレイを面白そうに見つめると、
「いいわよ。こんなサービスめったにしないんだからね!」
「やった!」
シェリルの言葉にアスカは嬉しそうな表情をする。
すると、
「そうだわシンジ。久しぶりに演奏してみない?」
「あっ、良いですね! 準備してきます!」
シェリルの言葉にシンジは自分の部屋に行ってチェロを持ち出してきた。
椅子を準備してシンジが腰掛け、チェロを構えると、その横にシェリルが立つ。
そして、シンジがチェロを弾き出す。
何処か悲し気なメロディーが響く。
すると、シェリルが息を吸い込んで歌い出した。
『♪~~~~~♪~~♪~~~~~』
シェリルが歌う曲は『ダイヤモンドクレバス』。
シェリルが歌い出した瞬間、思わず黙り込み、声が出なくなるミサト、トウジ、ケンスケ、ヒカリ。
シェリルの歌声に聞き惚れ、吞み込まれている。
シンジの演奏もシェリルの歌を引き立て、その神秘的な雰囲気を醸し出している。
そこから歌が終わるまでの数分間、シェリルの歌声とシンジの演奏以外、一切の音が消えた気がした。
やがて一曲が歌い終わると、
「な、なんやこの歌………! 涙が止まらへん……!」
「ぐずっ……! 凄い………! 凄いとしか言いようがないよ……!」
滂沱の涙や鼻水を流しながらそう口にするトウジとケンスケ。
「凄かったです! 私、感動しました!」
ヒカリも涙を拭い、自分の気持ちを口にした。
「確かに良い歌だったわ………こんな歌手が居たなんてね…………」
ミサトも涙を溜めている。
「……………………」
肝心のレイは何も言わない。
だが、
「おっ、見てみい。綾波も泣いとるで」
「綾波の涙なんて初めて見たよ」
レイの顔を見たトウジとケンスケがそう言う。
その言葉通り、レイの真紅の瞳から涙が零れ落ちていた。
「……………えっ?」
その言葉に驚いていたのはレイ自身だった。
確かめるように自分の頬に触れる。
その手に感じる濡れた感触。
そして濡れた指先を見て、
「泣いてるの………? 私…………?」
本気で驚いたように目を見開いた。
「そりゃ当然よね! シェリルさんの歌を始めて聞いて何も感じない奴が居たら、そいつは人間じゃないわ!」
アスカが堂々と言い放つ。
「…………………人間……………人間なの………? 私が…………?」
レイは小さく呟く。
すると、
「それじゃ、次は私の番だね!」
ランカが立ち上がる。
シェリルと入れ替わる様にシンジの横に立つと、シェリルの神秘的で悲し気なメロディとは違い、ランカの言葉と共にメルヘンチックで楽し気なメロディーが流れだした。
「♪~~~♪~~♪♪♪」
ランカが歌うのは『虹色クマクマ』。
沈んだ心を引っ張り上げるような勇気を出す、励ます歌。
先程のシェリルの『ダイヤモンドクレバス』の感動も相まって、その歌声が聞く者の心を鷲掴みにする。
「うぉぉぉ~~! さっきとは違うベクトルで感動する歌や~~~!!」
「こんな歌手が埋もれていたなんで信じられない~!!」
先程から泣きっぱなしのトウジとケンスケ。
「乙女心…………勇気…………」
ヒカリは何かを感じたように胸に手を当てる。
「どうファースト? 少しは音楽の良さが分かった?」
アスカがレイにそう言うと、
「……………わからない」
レイはそう呟く。
しかし、
「でも………ドキドキする………」
レイは自分の胸に手を当てる。
「最初の人の歌は、胸が締め付けられる感じだった…………今の人の歌は、胸が暖かくなるような感じだった……………でも…………どっちもドキドキした………」
自分でもよく分かっていなさそうだったが、アスカはそんなレイを見て笑みを浮かべる。
「何よ? ちゃんと人間らしい感情あるじゃない」
「えっ………?」
アスカの言葉に、レイは声を漏らす。
「シェリルさんの歌には感動して、ランカさんの歌は楽しくなったって事でしょ? それが当然なのよ!」
アスカが満足そうに笑みを浮かべると、
「今のアンタとなら上手くやれそうね」
「弐号機のパイロット………」
「アスカよ!」
「私もあなたを『レイ』って呼ぶわ! だからあなたも私を名前で『アスカ』って呼びなさい!」
「………………アスカ」
「ええ! それでいいわ。レイ! 早速だけど、やるわよ!」
2人は再び訓練を開始する。
そしてその結果は、
「95点………凄い! いきなり最高記録更新だ!」
シンジが称賛するように叫んだ。
「うん! なんていうか、さっきと違って息がピッタリ合ってたような感じだったわ!」
ヒカリも先程とは違う事を口にする。
「さあ! この調子でガンガン行くわよ!」
気合を入れるアスカ。
その後も訓練を続けていたが、
「…………もう一歩が足らないわねぇ………」
ミサトがぼやく。
95点前後を安定して出せるようにはなっているが、100点を取ったことは一度もない。
「な~にが足らないのかしら?」
見た目ではピッタリ合っているようには見えるが、微妙なズレがあるらしい。
「アスカ、レイ? 何か気付いたことはある?」
ミサトが2人にそう聞くと、
「そう言われても………」
アスカも思い当たることは無い。
しかし、
「………………曲」
レイが呟いた。
「………この曲だと、ドキドキしない………」
更に続いたレイの言葉に、
「あ~、そう言う事………」
アスカが気付いたように口にした。
「何か分かったの? アスカ?」
「レイはいきなりシェリルさんやランカさんレベルの歌を聞いたから、音楽に対する要望と言うか、求めるレベルが滅茶苦茶高くなっちゃったのよ。だから普通の曲じゃ乗り切れないんだわ」
その言葉に納得する一同。
試しにシェリルとランカに歌ってもらいながら訓練してみたところ、ものの見事に100点を取ってしまった。
そこでミサトは、
「あ~、悪いんだけど、シェリルさんにランカさん? だったかしら? あなた達の歌を録音させてもらえる?」
そう頼んでみた。
すると、
「2人の歌ならこれに入ってますよ」
シンジが1つのカセットテープを取り出した。
シンジがよく聞いているウォークマンに入っているカセットだ。
2人の曲のデータをこの世界のカセットテープに録音した物である。
そこでその録音されたデータで訓練してみたところ、99点をたたき出すことはザラなのだが、何故か100点までは届かない。
「レイ………アンタ生歌じゃないと乗り切れないって要望高過ぎでしょ………」
アスカは呆れたようにそう言う。
「あら? だったら本番でも歌ってあげるわよ?」
シェリルがそう言い出す。
「えっ!? いや、でも危険ですよ!?」
シンジが思わず叫ぶ。
すると、シェリルは不敵な笑みを浮かべ、
「私はシェリル・ノームよ。どこであろうと私は歌うわ。たとえそれが戦場だろうとね」
「「「「「……………………」」」」」
自信に満ちたその表情と言葉に圧倒される一同。
そのまま歌う事で決定してしまったのだが、問題が一つ残っていた。
それは、
「シェリルさんの『ノーザンクロス』!! これに決まっているでしょ!?」
「ランカさんの『放課後オーバーフロウ』も捨てがたいよ!!」
本番で歌う曲は何にするかをアスカとシンジで言い合っていた。
2人の勢いについて行けない他のメンバーは傍観に徹している。
すると、
「「アルトさんはどっちがいいと思いますか!?」」
シンジとアスカが同時にアルトに振り向きながらそう言った。
「そこで俺に振るのかよ………」
困ったようにため息を吐くアルト。
尚、結果的に2人が歌う曲、『ライオン』で両者が妥協することになった。
作戦当日。
「……………で? 肝心の歌う人間は何処に居るのかしら?」
作戦指令室でリツコが言った。
予定時間になってもシェリルとランカが現れないのだ。
既にアスカの弐号機とレイの零号機も発進準備が完了している。
後は歌手達の到着を待つだけなのだが…………
「目標は絶対防衛線を突破!」
オペレーターからの報告に、
「時間が無いわよ!」
リツコが焦りを見せる。
しかし、
「大丈夫です」
シンジはそう言って全く焦った様子を見せない。
「シンジ君がこう言ってるのよ。信じましょ?」
ミサトもそう言った。
「でも………!」
リツコが何かを言いかけた時、
「ッ!? 上空から、何かが降下してきます!!」
「映像に出して!」
ミサトが叫ぶとモニターに映像が映る。
そこには、上空から隕石のように赤熱しながら降下してくる巨大な物体。
しかし、そのまま地上に激突したりはせず、落下スピードが遅くなってやがて空中に留まる。
そして、その全貌が露になった。
それは空中に浮かぶ金色の戦艦。
「マクロス・ブレイバー!!」
シンジが叫んだ。
すると、マクロス・ブレイバーの甲板に透明な三角形の板張りのステージが現れる。
その上には、もちろんシェリルとランカの2人が立っていた。
そして、音楽が流れ出す。
一瞬呆けていた作戦司令室のメンバーだったが、
「ミサトさん!!」
シンジの一声で我に返る。
「エヴァンゲリオン! 発進!」
歌が始まるタイミングに合わせてエヴァ両機が射出される。
2機は歌に合わせて流れるように使徒にグレイブを投げつけ、真っ二つにする。
そのまま使徒は再び2体に分離。
エヴァ2機はそのまま射出された武器を受け取って攻撃。
使徒からの攻撃も息の合った動きで回避して見せ、パレットライフルで反撃。
尚も使徒が反撃してくるがそれも回避。
都市の迎撃システムからミサイルが発射され、使徒に降り注ぎ、使徒の動きを止める。
その隙に2機はそれぞれの使徒に接近。
完全にシンクロした動きのアッパーカットからの回し蹴りで使徒を吹き飛ばすと、使徒が再び1体に合体した。
その一瞬、2個のコアが露になる。
2機は同時に飛び上がると、見事なユニゾンを決めながら飛び蹴りを繰り出す。
その一撃は、寸分の狂いなく同時にコアを蹴り砕いた。
歌の終わりと共に爆発する使徒。
こうして、見事使徒殲滅に成功したのだった。
はい、エヴァ編第8話でした。
初号機が原作以上にダメージを負い、零号機の損傷が原作よりもマシだったため、アスカとユニゾンするのはレイになった、の巻でした。
最初は音楽の良さを分からないレイでしたがなんとシェリルとランカ(オマケにアルト)が登場。
2人の歌ならレイも心を揺さぶられるでしょう、多分!
しかもここで泣いちゃうレイ。
心の成長も急激ですねはい。
後は順当に使徒殲滅です。
歌に合わせて戦いを表現しきる文才が無いのが悲しい………
次回はマグマにダイブ。
と、いう事は…………
予想できる人も居るかもしれませんがお楽しみに。
A.T.フィールドは心の壁。つまりシェリルとランカの歌で使徒の心を開かせればA.T.フィールド消滅or弱体化はアリ?ナシ?
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アリ
-
ナシ